【解決手段】特定の共通配列、別の特定の共通配列、また別の特定の共通配列のいずれかを有する、アシルCoAリダクターゼをコードする核酸を導入した宿主微生物。以下(a)又は(b)のタンパク質をコードする核酸を宿主微生物に導入してなる組換え微生物。(a)一群の特定の共通配列を含むタンパク質(アシルCoリダクターゼ)をコードする核酸、(b)一群の特定の共通配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、アシルCoからアルデヒド化合物を合成する活性を有するタンパク質(アシルCoリダクターゼ活性)をコードする核酸、前記宿主微生物はアルデヒドを基質として炭化水素及びアルコールを合成する能力を有し、アルデヒドデカルボニラーゼを有する。
以下のアミノ酸配列:GxGxxxFLxxKxxxxxGxTGFLxKVxIEKILRTxPxVxKxxxxIKAxxxxxAxxRLxxxxxxxxxFxxLxxxxGxxYxxFxxxKLxPxxGxxxxxxxGxxxxxxxxxAxxVDxxxNSAANTTFxERYDxAxxxNTxGxxxxMxxAxxxxxLKLFLxxSTAYVNGQxQGxxxExPF(配列番号1)[26-57aa]GLxRAxxxGWQDTYVFTKAMGEMxxxxxRxxxPVxxxRPSVIESTxxxPFPGWMEGxRMMDPxxLxYGKGQLxGFxxDPxGVxDVVPADMVVNATLAxxAxHG(配列番号2)[9-18aa]YxxxSSxxNPLxFxxLxxxxxxHxxxxPxxDxxGxPIxVxxM(配列番号3
)[39-48aa] VxQxxxLxxIYxPYTFxxGRFDNxNxxxLxxxMxxxExxxFxFDVxxxxWxDYIxNVHIPGLxxxVxKG(配列番号4)を含む共通配列を有する、アシルCoAリダクターゼをコードする核酸を宿主微生物に導入してなる組換え微生物。
上記共通配列は、以下のアミノ酸配列:G(I/L)G(I/V)xxFLx(G/A)Kx(F/L)x(I/V)(T/S)G(A/G)TGFL(A/G)KV(L/F)IEKILRTxP(D/N)V(G/N)K(I/M)(Y/F)x(L/V)IKA(K/E)xx(E/Q/D)(A/V)AxxRLx(N/I/K)(E/D)(I/V)(I/V/L)(N/D)(A/T)(E/Q/D)(V/L/I)Fx(O/G/R)L(Q/R/K)x(A/I/V/T)(Y/H)G(K/N/E)(S/D/Y/G)Y(Q/H/M/S/D)xF(M/V/I/A)(L/A/I)(S/A/R/N/K)KL(V/I)P(V/I)(A/L/V)Gx(V/I)(C/R)(G/E/D)x(S/N/D)(L/I/V)Gxxx(D/G/E)x(A/S)xx(I/M)Ax(E/R/D/Q)VD(V/I)(I/F/V)(V/I)NSAANTTF(D/H)ERYD(I/T/V)Ax(D/N)(I/V)NTxG(P/T)x(H/R/N)(L/I)Mx(F/I)A(K/H/Q)x(C/F)x(K/R/N)LKLFL(Q/H)(V/I)STAYVNGQ(R/K/T)QG(R/V/L)(I/V)(M/L)E(K/R)PFxx(G/E)(D/E/L)x(I/V)(A/R/E/I)x(E/D)(配列番号5)[17-48aa]GL(E/Q)RAxxxGWQDTYVFTKAMGEM(V/M)(I/V)(D/N)x(M/L)R(G/D)(E/D)(I/L/V)PV(V/A)x(I/M)RPSVIESTxx(E/D)PFPGWMEG(N/S)RMMDP(I/V)(V/I)L(Y/O/W)YGKGQL(T/S)GF(V/L)(A/V)DP(N/Y/E/D)GV(L/I)DVVPADMVVNATLA(A/S)(M/I)A(R/K/W)HG(配列番号6)[8-17aa](V/I)Y(Q/H)x(A/T/S)SS(V/T/A)(V/A)NPL(I/V/D/A)Fx(D/R/E)Lx(S/R/D/K/T)(H/L/M/F)(F/L)xxHxx(S/R/G)(S/O)PxxDxxG(N/R/Q/T)PIxV(P/S)xM(K/R/S)(L/F)(F/L)x(S/T)(T/I/M/V/S)(E/D)x(F/L)(S/A)x(H/Y)(L/V/I)(W/E)(R/I)(D/Y)(A/V)xx(R/K)(S/R/C/A)(配列番号7)[18-26aa](K/R)(S/T)V(K/E)Q(A/T/L)(K/T/V)(Y/H)L(A/G)xIYxPYTF(Y/F)(G/P/N)GRFDN(S/G)N(T/V)(Q/E)xL(M/L/I/F)xxM(O/S/T)(E/A/K/V/P)(E/K/A/N)E(K/R)xxFxFDVx(S/N/G)(I/L/V)(D/E)WxDYI(S/T)NVHIPGL(R/K)(R/K)(H/Y)V(M/L)KG(配列番号8)を含むことを特徴とする請求項1記載の組換え微生物。
上記共通配列は、以下のアミノ酸配列:MDAGSLVLSQNGKSQA(E/D)I(L/V)VKDLVPY(D/G)G(P/T)T(配列番号9)[0-2aa]TLIG(V/L)ED(配列番号10)[0-1aa]GIGIVKFL(G/R)GKKFFITGATGFLAKV(F/L)IEKILRTEPDVGKMY(L/I)LIKAKN(K/N)Q(A/V)AMERLQ(N/K)EIINT(E/Q)LFRCL(Q/R)(E/Q)IHGKSYQAFMLSKLVP(V/I)VG(N/D)ICE(H/T)NLGLDE(G/D)(I/L)S(D/N)VIA(E/D)EVDV(I/F)VNSAANTTFDERYDTAININT(I/R)GP(O/S)RLM(N/A)IAKKCKKLKLFLHVSTAYVNGQ(R/K)QGRIMERPFSIG(E/D)CIAREK(YL)IS(E/G)V(S/P)PKYLPTLDIE(G/N)EIN(L/M)V(S/L)(N/K)(Y/N)KG(D/N)(配
列番号11)[0-1aa]IE(D/E)NLL(A/T)QKM(K/R)E(I/M)GLERA(R/K)RYGWQDTYVFTKAMGEMMIDKLR(G/D)DIPVV(V/I)(M/I)RPSVIEST(F/L)SEPFPGWMEGNRMMDP(I/V)VL(C/W)YGKGQLTGFLVDPNGVLDVVPADMVVNATLAAMA(R/K)HG(V/M)(S/N/I)QK(P/A)DINVYQIASSVVNPL(V/A)FQDL(A/T)RLLYEHYSSSP(C/F)IDS(K/M)GRPIQVP(L/I)MK(L/F)FSS(T/S)EEFSGHLWRD(A/V)I(Q/N)K(R/S)G(L/I)T(A/S)(V/M)ASSK(G/A)KMSQKLEN(M/I)CRKSVEQAKYLA(N/K)IVEPYTFYGGRFDNSNTQRLME(S/I)MSE(K/E)EK(R/T)EF(G/D)FDVK(S/G)IDW(N/T)DYITNVHIPGLRR(H/Y)VMKGRGM(G/S)(S/N)Q(配列番号1
2)を含むことを特徴とする請求項1記載の組換え微生物。
上記宿主微生物は、アルデヒドを基質として炭化水素を合成するアルデヒドデカルボニラーゼをコードする核酸を有することを特徴とする請求項10記載の組換え微生物。
請求項1乃至14いずれか一項記載の組換え微生物を炭素源を含む培地にて培養する工程と、培養後の組換え微生物内から目的物質を回収する工程とを含む物質製造方法。
上記目的物質は、脂肪族アルデヒド、当該脂肪族アルコール及び炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項15記載の物質製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図面及び実施例を用いてより詳細に説明する。
本発明に係る組換え微生物は、特定の共通配列を有するアシルCoAリダクターゼをコー
ドする核酸を導入したものである。本発明にかかる組換え微生物は、当該アシルCoAリダ
クターゼを発現することで、脂肪酸とCoAとのチオエステル化合物であるアシルCoA(脂肪酸アシルCoAと称する場合もある)を還元してアルデヒド化合物を高生産できるといった
特徴を有する。生産されたアルデヒド化合物は、当該微生物内の代謝反応により酸化されアルコールとなるか、炭化水素合成活性を有する酵素により炭化水素合成の基質として使用される。したがって、本発明に係る組換え微生物は、当該アシルCoAリダクターゼを発
現することでアルデヒド化合物を高生産できるといった特徴に加え、当該アルデヒド化合物に基づくアルコールを高生産する、及び/又は当該アルデヒド化合物に基づく炭化水素
を高生産するといった特徴を有する。
【0033】
なお、核酸とは、DNA及びRNAといった天然に存在する核酸、PNA(ペプチド核酸)や塩
基・糖・リン酸ジエステル部に化学修飾を加えた核酸分子などの人工核酸を含む意味である。また、アシルCoAリダクターゼをコードする核酸としては、ゲノムに存在する発現調
節領域及びコーディング領域を含む領域、及びゲノムに存在するコーディング領域のみからなる領域の両者を含む意味である。
【0034】
なお、アシルCoAは、宿主微生物内の代謝反応により糖から合成される。糖とはC
n(H
2O)
mの化学式であらわされる物質で、多価アルコールのアルデヒド、ケトン誘導体、それら
に近縁の誘導体や縮合体を含め、多糖・オリゴ糖(少糖)・二糖・単糖も含む意味である。単糖の具体的な例としては、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、マンノース、キシロース、キシルロース、リボース、エリトロース、トレオース、エリトルロース、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトンなどが挙げられ、二糖の具体的な例としては、スクロース(サッカロース・蔗糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、トレハロース、セロビオースなどが挙げられる。
【0035】
<
アシルCoAリダクターゼ>
上述したアシルCoAリダクターゼにおいて共通配列とは、一例として、以下のアミノ酸
配列:GxGxxxFLxxKxxxxxGxTGFLxKVxIEKILRTxPxVxKxxxxIKAxxxxxAxxRLxxxxxxxxxFxxLxxxxGxxYxxFxxxKLxPxxGxxxxxxxGxxxxxxxxxAxxVDxxxNSAANTTFxERYDxAxxxNTxGxxxxMxxAxxxxxLKLFLxxSTAYVNGQxQGxxxExPF(26-57aa)GLxRAxxxGWQDTYVFTKAMGEMxxxxxRxxxPVxxxRPSVIESTxxxPFPGWMEGxRMMDPxxLxYGKGQLxGFxxDPxGVxDVVPADMVVNATLAxxAxHG(9-18aa)YxxxSSxxNPLxFxxLxxxxxxHxxxxPxxDxxGxPIxVxxM(39-48aa)VxQxxxLxxIYxPYTFxxGRFDNxNxxxLxxxMxxxExxxFxFDVxxxxWxDYIxNVHIPGLxxxVxKGである(共通配列1)。
【0036】
上記アミノ酸配列において、xは任意のアミノ酸残基を示している。当該アミノ酸配列
において、-で連結した2つの数値とaaからなる表記は、その位置が任意のアミノ酸から
なる配列であり、その配列が当該2つの数値で挟まれる範囲のアミノ酸残基数からなることを示している。なお、本明細書に記載するアミノ酸配列については、この表記方法を採用する。
【0037】
また、上記共通配列1のアミノ酸配列については、N末端からC末端にかけて、配列番号1のアミノ酸配列、26〜57個の任意のアミノ酸残基、配列番号2のアミノ酸配列、9〜18
個の任意のアミノ酸残基、配列番号3のアミノ酸配列、39〜48個の任意のアミノ酸残基及び配列番号4のアミノ酸配列がこの順で連結したアミノ酸配列であると言い換えることができる。
【0038】
この共通配列1は、種々のアシルCoAリダクターゼの中から、アシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性の高いアシルCoAリダクターゼを特定し、特定したアシルCoAリダクターゼ群について、アミノ酸配列情報に基づいてClustalWによる系統樹(
図1)及びマルチプルアラインメント(
図2−1〜
図2−3)を作成し、作成した系統樹及びマルチプルアラインメントから導き出されたものである。
【0039】
すなわち、上述した共通配列1は、種々のアシルCoAリダクターゼのうち、アシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性の高いアシルCoAリダクターゼ群を特徴付け
るアミノ酸配列である。言い換えると、上述した共通配列1を有するアシルCoAリダクタ
ーゼは、共通配列1を有しないアシルCoAリダクターゼと比較して、アシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性が高いと言える。上述した共通配列1は、アシルCoA
を基質としてアルデヒド化合物を合成する活性が高いアシルCoAリダクターゼ群を、アシ
ルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性の無い或いは低いアシルCoAリダクターゼから区別できる明確な区別基準となる配列である。
【0040】
具体的に、共通配列1を有するアシルCoAリダクターゼとしては、表1に示す12種類
のアシルCoAリダクターゼを挙げることができる。
【0042】
すなわち、共通配列1を有するアシルCoAリダクターゼをコードする核酸としては、例
えば、Fragaria vesca (woodland strawberry)由来の遺伝子ID:101311020で特定される
遺伝子、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100776505で特定される遺伝子、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100801815で特定される遺伝子、Populus trichocarpa (black cottonwood)由来の遺伝子ID:POPTR_576417で特定される遺伝子、Vitis vinifera (wine grape)由来の遺伝子ID:100245182で特定される遺伝子、Cicer arietinum (chickpea) 由来の遺伝子ID:101510781で特定される遺伝子、Solanum lycopersicum (tomato)
由来の遺伝子ID:101262598で特定される遺伝子、Cucumis sativus (cucumber)由来の遺
伝子ID:101212401で特定される遺伝子、Brachypodium distachyon由来の遺伝子ID:100845156で特定される遺伝子、Setaria italica (foxtail millet)由来の遺伝子ID:101779750で特定される遺伝子、Sorghum bicolor (sorghum)由来の遺伝子ID:SORBI_01g046030で特定される遺伝子及びOryza sativa japonica (Japanese rice)由来の遺伝子ID:Os03t0167600-01で特定される遺伝子を挙げることができる。
【0043】
なお、表1に示した各種植物由来のアシルCoAリダクターゼのアミノ酸配列について、ClustalW multiple sequence alignmentプログラム(国立遺伝学研究所のDDBJで使用でき
る)を用いてアラインメント解析した結果を
図2−1〜2−3に示す。解析に用いたバージョンおよび各種パラメーターを以下に示す。
【0044】
ClustalW Version, 2.1
-Pairwise Alignment Parameters
--Alignment Type, Slow
--Slow Pairwise Alignment Options
---Protein Weight Matrix, Gonnet
---Gap Open, 10
---Gap Extension, 0.1
Multiple Sequence Alignment Parameters
-Protein Weight Matrix, Gonnet
-Gap Open, 10
-Gap Extension, 0.20
-Gap Distances, 5
-No End Gaps, no
-Iteration, none
-Numiter, 1
-Clustering, NJ
Output Options
-Format, Aln w/numbers
-Order, Aligned
【0045】
図2−1〜2−3に示すように、表1に示したアシルCoAリダクターゼは、上述した共
通配列1を有することが理解できる。なお、
図2−1〜2−3に示すように、上述した共通配列1は、表1に示した複数のアシルCoAリダクターゼのアミノ酸配列において完全に
一致するアミノ酸残基を抜き出し、その他のアミノ酸残基を任意のアミノ酸(Xと表記)
とした配列である。
【0046】
また、
図2−1〜2−3に示すように、表1に示した複数のアシルCoAリダクターゼは
、アミノ酸配列間において完全に一致しないものの、類似するアミノ酸残基を含むことがわかる。したがって、上述した共通配列1に代えて、これら類似するアミノ酸残基を含む共通配列2を定義することができる。すなわち、表1に示した複数のアシルCoAリダクタ
ーゼにおける共通配列2とは、表1に示した複数のアシルCoAリダクターゼのアミノ酸配
列において完全に一致するアミノ酸残基と、アミノ酸配列間において完全に一致しないものの、類似するアミノ酸残基とを含むアミノ酸配列である。
【0047】
具体的に、共通配列2のアミノ酸配列は以下の通りである。共通配列2:G(I/L)G(I/V)xxFLx(G/A)Kx(F/L)x(I/V)(T/S)G(A/G)TGFL(A/G)KV(L/F)IEKILRTxP(D/N)V(G/N)K(I/M)(Y/F)x(L/V)IKA(K/E)xx(E/Q/D)(A/V)AxxRLx(N/I/K)(E/D)(I/V)(I/V/L)(N/D)(A/T)(E/Q/D)(V/L/I)Fx(O/G/R)L(Q/R/K)x(A/I/V/T)(Y/H)G(K/N/E)(S/D/Y/G)Y(Q/H/M/S/D)xF(M/V/I/A)(L/A/I)(S/A/R/N/K)KL(V/I)P(V/I)(A/L/V)Gx(V/I)(C/R)(G/E/D)x(S/N/D)(L/I/V)Gxxx(D/G/E)x(A/S)xx(I/M)Ax(E/R/D/Q)VD(V/I)(I/F/V)(V/I)NSAANTTF(D/H)ERYD(I/T/V)Ax(D/N)(I/V)NTxG(P/T)x(H/R/N)(L/I)Mx(F/I)A(K/H/Q)x(C/F)x(K/R/N)LKLFL(Q/H)(V/I)STAYVNGQ(R/K/T)QG(R/V/L)(I/V)(M/L)E(K/R)PFxx(G/E)(D/E/L)x(I/V)(A/R/E/I)x(E/D)(17-48aa)GL(E/Q)RAxxxGWQDTYVFTKAMGEM(V/M)(I/V)(D/N)x(M/L)R(G/D)(E/D)(I/L/V)PV(V/A)x(I/M)RPSVIESTxx(E/D)PFPGWMEG(N/S)RMMDP(I/V)(V/I)L(Y/O/W)YGKGQL(T/S)GF(V/L)(A/V)DP(N/Y/E/D)GV(L/I)DVVPADMVVNATLA(A/S)(M/I)A(R/K/W)HG(8-17aa)(V/I)Y(Q/H)x(A/T/S)SS(V/T/A)(V/A)NPL(I/V/D/A)Fx(D/R/E)Lx(S/R/D/K/T)(H/L/M/F)(F/L)xxHxx(S/R/G)(S/O)PxxDxxG(N/R/Q/T)PIxV(P/S)xM(K/R/S)(L/F)(F/L)x(S/T)(T/I/M/V/S)(E/D)x(F/L)(S/A)x(H/Y)(L/V/I)(W/E)(R/I)(D/Y)(A/V)xx(R/K)(S/R/C/A)(18-26aa)(K/R)(S/T)V(K/E)Q(A/T/L)(K/T/V)(Y/H)L(A/G)xIYxPYTF(Y/F)(G/P/N)GRFDN(S/G)N(T/V)(Q/E)xL(M/L/I/F)xxM(O/S/T)(E/A/K/V/P)(E/K/A/N)E(K/R)xxFxFDVx(S/N/G)(I/L/V)(D/E)WxDYI(S/T)NVHIPGL(R/K)(R/K)(H/Y)V(M/L)KG
【0048】
なお、本明細書に記載するアミノ酸配列において、括弧内で複数のアミノ酸を/で区切
って示した表記は、その位置が当該複数のアミノ酸のうちいずれかのアミノ酸であることを示している。
【0049】
共通配列2のアミノ酸配列については、N末端からC末端にかけて、配列番号5のアミノ酸配列、17〜48個の任意のアミノ酸残基、配列番号6のアミノ酸配列、8〜17個の任意の
アミノ酸残基、配列番号7のアミノ酸配列、18〜26個の任意のアミノ酸残基及び配列番号8のアミノ酸配列がこの順で連結したアミノ酸配列であると言い換えることができる。
【0050】
この共通配列2は、種々のアシルCoAリダクターゼのうち、アシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性の高いアシルCoAリダクターゼを、アシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性の無い或いは低いアシルCoAリダクターゼとより厳密に区
別するアミノ酸配列であるといえる。
【0051】
ここで、上記共通配列2において、所定の位置で取りうるアミノ酸残基のバリエーションは以下の理由によるものである。参考文献(1)(「マッキー生化学」第3版 5章アミノ
酸・ペプチド・タンパク質 5.1アミノ酸、監修:市川厚、監訳:福岡伸一、発行者:曽
根良介、発行所:(株)化学同人、ISBN4-7598-0944 -9)でも記載されているように、アミノ酸は同様の性質(化学的性質や物理的大きさ)を持つ側鎖に従って分類される事がよく知られる。また、タンパク質の活性を保持したまま、所定のグループに分類されるアミノ酸残基間における分子進化上の置換が頻度高く起こることがよく知られる。この考えを基に、参考文献(2): Henikoff S., Henikoff J.G., Amino-acid substitution matrices from protein blocks, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 10915-10919 (1992)中の、Fig.2でアミノ酸残基の置換変異のスコアマトリックス(BLOSUM)が提唱され、広く使用され
ている。参考文献(2)では、側鎖の化学的性質が似たもの同士のアミノ酸置換は、タンパ
ク質全体に与える構造や機能変化が少なくなると言う知見に基づくものである。上記参考文献(1)及び(2)によれば、マルチプルアラインメントで考慮するアミノ酸の側鎖のグループは、化学的性質や物理的大きさなどの指標を基にして考えることができる。これは、参考文献(2)に開示されたスコアマトリックス(BLOSUM)において、スコアの0以上の値を持つアミノ酸、好ましくは1以上の値を持つアミノ酸のグループとして示される。代表的な
グループとしては、下記の8つが上げられる。その他の細かいグループ分けは、当該スコアの値の0以上同士のアミノ酸グループ、好ましくは1以上同士のアミノ酸グループ、さらに好ましくは2以上のアミノ酸グループであれば良い。
【0052】
1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)
このグループは、上記参考文献(1)で示された中性非極性アミノ酸のうち、脂肪属性の
疎水性側鎖をもつアミノ酸のグループであり、V(Val、バリン)、L(Leu、ロイシン)、I(Ile、イソロイシン)及びM(Met、メチオニン)から構成される。参考文献(1)による中性非極
性アミノ酸と分類されるもののうちFGACWPは以下理由で、この「脂肪族疎水性アミノ酸グループ」には含めない。G(Gly、グリシン)やA(Ala、アラニン)はメチル基以下の大きさで非極性の効果が弱いからである。C(Cys、システイン)はS-S結合に重要な役目を担う場合
があり、また、酸素原子や窒素原子と水素結合を形成する特性があるからである。F(Phe
、フェニルアラニン)やW(Trp、トリプトファン)は側鎖がとりわけ大きな分子量をもち、
かつ、芳香族の効果が強いからである。P(Pro、プロリン)はイミノ酸効果が強く、ポリペプチドの主鎖の角度を固定してしまうからである。
【0053】
2)ヒドロキシメチレン基をもつグループ(STグループ)
このグループは、中性極性アミノ酸のうちヒドロキシメチレン基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、S(Ser、セリン)とT(Thr、スレオニン)から構成される。SとTの側鎖に存在する水酸基は、糖の結合部位であるため、あるポリペプチド(タンパク質)が特定の活性を持つために重要な部位である場合が多い。
【0054】
3)酸性アミノ酸(DEグループ)
このグループは、酸性であるカルボキシル基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、D(Asp、アスパラギン酸)とE(Glu、グルタミン酸)から構成される。
【0055】
4)塩基性アミノ酸(KRグループ)
このグループは、塩基性アミノ酸のグループであり、K(Lys、リジン)とR(Arg、アルギ
ニン)から構成される。これらKとRは、pHの広い範囲で正に帯電し塩基性の性質をもつ。
一方、塩基性アミノ酸に分類されるH(His、ヒスチジン)はpH7においてほとんどイオン化されないので、このグループには分類されない。
【0056】
5)メチレン基=極性基(DHNグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてメチレン基が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持ち、N(Asn、アスパラギン、極性基はアミド基)、D(Asp、アスパラギン酸、極性基
はカルボキシル基)とH(His、ヒスチジン、極性基はイミダゾール基)から成る。
【0057】
6)ジメチレン基=極性基(EKQRグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてジメチレン基以上の直鎖炭化水素が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるジメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持つ。E(Glu、グルタミン酸、極性基はカルボキシル基)、K(Lys、リジン、極性基はアミノ基)、Q(Gln、グルタミン、極性基はアミド基)、R(Arg、ア
ルギニン、極性基はイミノ基とアミノ基)から成る。
【0058】
7)芳香族(FYWグループ)
このグループには、側鎖にベンゼン核を持つ芳香族アミノ酸であり、芳香族特有の化学的性質を特徴とする。F(Phe、フェニルアラニン)、Y(Tyr、チロシン)、W(Trp、トリプト
ファン)から成る。
【0059】
8)環状&極性(HYグループ)
このグループには、側鎖に環状構造を持つと同時に極性も持つアミノ酸で、H(H、ヒス
チジン、環状構造と極性基は共にイミダゾール基)、Y(Tyr、チロシン、環状構造はベンゼン核で極性基は水酸基)から成る。
【0060】
上記のアミノ酸グループに基づき、ある機能を有するタンパク質のアミノ酸配列中のあるアミノ酸残基を同一のグループに属するアミノ酸残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。たとえば上記「1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)」に基づき、ある機能を有するタンパク質のアミノ酸配列中のイソロイシン残基をロイシン残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。ある機能を有するタンパク質が複数ある場合には、コンセンサス配列としてアミノ酸配列を記載する場合もあるが、この場合でもあるアミノ酸残基を同一のグループに属するアミノ酸残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。たとえば、ある機能を有するタンパク質が複数あり、そこから算出されたコンセンサス配列中のアミノ酸残基がイソロイシンまたはロイシン(L/I)の時、上記「1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)」に基づき、イソロイシンまたはロイシン残基をメチオニンまたはバリン残基に置換しても同様の機能を有する新規タンパク質が得られることが容易に予想できる。
【0061】
一方、表1に示したアシルCoAリダクターゼ遺伝子のうち、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100776505で特定される遺伝子、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100801815で特定される遺伝子、及びCicer arietinum (chickpea) 由来の遺伝子ID:101510781で特定される遺伝子は、アシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性が他のアシルCoAリダクターゼよりも著しく高いアシルCoAリダクターゼをコードしている。これらGlycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100776505で特定される遺伝子、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100801815で特定される遺伝子、及びCicer arietinum (chickpea) 由来の遺伝子ID:101510781で特定される遺伝子によりコードされる3つのアシルCoAリダクターゼについて、ClustalW multiple sequence alignmentプログラム(国立遺
伝学研究所のDDBJで使用できる)を用いてアラインメント解析した結果を
図3に示す(解析に用いたバージョンおよび各種パラメーターは上記の通りである)。
【0062】
図3に示すように、これら高活性の3つのアシルCoAリダクターゼは、互いに非常に類
似したアミノ酸配列を有していることが分かる。これら3つのアシルCoAリダクターゼを
特徴付けるアミノ酸配列として共通配列3を定義することができる。共通配列3:MDAGSLVLSQNGKSQA(E/D)I(L/V)VKDLVPY(D/G)G(P/T)T(0-2aa)TLIG(V/L)ED(0-1aa)GIGIVKFL(G/R)GKKFFITGATGFLAKV(F/L)IEKILRTEPDVGKMY(L/I)LIKAKN(K/N)Q(A/V)AMERLQ(N/K)EIINT(E/Q)LFRCL(Q/R)(E/Q)IHGKSYQAFMLSKLVP(V/I)VG(N/D)ICE(H/T)NLGLDE(G/D)(I/L)S(D/N)VIA(E/D)EVDV(I/F)VNSAANTTFDERYDTAININT(I/R)GP(O/S)RLM(N/A)IAKKCKKLKLFLHVSTAYVNGQ(R/K)QGRIMERPFSIG(E/D)CIAREK(YL)IS(E/G)V(S/P)PKYLPTLDIE(G/N)EIN(L/M)V(S/L)(N/K)(Y/N)KG(D/N)(0-1 aa)IE(D/E)NLL(A/T)QKM(K/R)E(I/M)GLERA(R/K)RYGWQDTYVFTKAMGEMMIDKLR(G/D)DIPVV(V/I)(M/I)RPSVIEST(F/L)SEPFPGWMEGNRMMDP(I/V)VL(C/W)YGKGQLTGFLVDPNGVLDVVPADMVVNATLAAMA(R/K)HG(V/M)(S/N/I)QK(P/A)DINVYQIASSVVNPL(V/A)FQDL(A/T)RLLYEHYSSSP(C/F)IDS(K/M)GRPIQVP(L/I)MK(L/F)FSS(T/S)EEFSGHLWRD(A/V)I(Q/N)K(R/S)G(L/I)T(A/S)(V/M)ASSK(G/A)KMSQKLEN(M/I)CRKSVEQAKYLA(N/K)IVEPYTFYGGRFDNSNTQRLME(S/I)MSE(K/E)EK(R/T)EF(G/D)FDVK(S/G)IDW(N/T)DYITNVHIPGLRR(H/Y)VMKGRGM(G/S)(S/N)Q
【0063】
なお、共通配列3のアミノ酸配列の表記方法は、共通配列1及び2の表記方法と同じである。また、共通配列3のアミノ酸配列については、N末端からC末端にかけて、配列番号9のアミノ酸配列、0〜2個の任意のアミノ酸残基、配列番号10のアミノ酸配列、0又は1個の任意のアミノ酸残基、配列番号11のアミノ酸配列、0又は1個の任意のアミノ酸残基及び配列番号12のアミノ酸配列がこの順で連結したアミノ酸配列であると言い換えることができる。
【0064】
この共通配列3は、種々のアシルCoAリダクターゼのうち、アシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性が特に高いアシルCoAリダクターゼを、当該活性の高いアシ
ルCoAリダクターゼ及びアシルCoAを基質としてアルデヒド化合物を合成する活性の無い或いは低いアシルCoAリダクターゼと区別するアミノ酸配列であるといえる。
【0065】
すなわち、共通配列3を有するアシルCoAリダクターゼは、宿主微生物内において発現
すると、アシルCoAを還元してアルデヒド化合物を更に高生産でき、当該アルデヒド化合
物に基づくアルコールを更に高生産する、及び/又は当該アルデヒド化合物に基づく炭化
水素を更に高生産できるといった特徴を示すこととなる。
【0066】
以上のように、本発明において使用できるアシルCoAリダクターゼをコードする核酸は
、上述した共通配列1、2又は3を有する、アシルCoAリダクターゼをコードするもので
あれば、特に限定されない。言い換えると、当該核酸としては、表1に列挙した具体的なアシルCoAリダクターゼ遺伝子に限定されず、表1に挙げた植物種と異なる植物種由来の
アシルCoAリダクターゼをコードする核酸も含まれる。例えば、GenBank等のデータベースに配列データが格納されていない植物由来であって、共通配列1、2又は3を有する、アシルCoAリダクターゼをコードする核酸も使用することができる。
【0067】
具体的に、本発明において使用できるアシルCoAリダクターゼとしては、表1に示した
ように配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のいずれかに示したアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。特に、アシルCoAリダクターゼとしては、配列番号14、16及び18のいずれかに示したアミ
ノ酸配列を含むタンパク質であることが好ましい。
【0068】
なお、本発明において使用できるアシルCoAリダクターゼをコードする核酸は、上述の
ように具体的な配列番号で特定されるアシルCoAリダクターゼをコードする核酸に限定さ
れず、上述した共通配列1、2又は3を有するアシルCoAリダクターゼをコードする核酸
であれば如何なる核酸も使用することができる。アシルCoAリダクターゼをコードする核
酸とは、当該核酸がコードするタンパク質がアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を生
成する活性を有することを意味する。
【0069】
なお、本発明において使用できるアシルCoAリダクターゼが共通配列1、2又は3を有
するか否か、若しくは当該タンパク質をコードする核酸が共通配列1、2又は3を有するタンパク質をコードするか否かは、当該タンパク質のアミノ酸配列若しくは当該核酸がコードするアミノ酸配列を共通配列1、2又は3に示すアミノ酸配列と比較することで容易に判別することができる。
【0070】
ここで、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のいずれかに示したアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、共通配列1、2又は3を有するアシルCoAリダクターゼとしては、例えば、配列番号14、16、1
8、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のいずれかに示したアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、且つ、共通配列1、2又は3を有し、アシルCoAリダクターゼ活性を有す
るタンパク質をコードするものであっても良い。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記アシルCoAリダクターゼをコードする核酸の塩基配列を、当該
技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法に
より行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA Bio社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA Bio社製)を用いて変異が導
入される。また、変異導入方法としては、EMS(エチルメタンスルホン酸)、5-ブロモウ
ラシル、2-アミノプリン、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-Nニトロソグアニ
ジン、その他の発ガン性化合物に代表されるような化学的変異剤を使用する方法でも良いし、X線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、イオンビームに代表されるような放射線処
理や紫外線処理による方法でも良い。
【0071】
また、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、共通配列1、2又は3を有するアシルCoAリダクターゼとしては、例えば、配列番号14、16、18、20、22、2
4、26、28、30、32、34及び36のいずれかに示したアミノ酸配列に対する類似度(Similarity)又は同一性(identity)が例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上であるアミノ酸配列を有し、且つ、共通配列1、2又は3を有し、アシルCoAリダクターゼ活性を有するタンパク質をコー
ドするものであっても良い。類似度及び同一性の値は、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)プログラムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
【0072】
さらに、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、共通配列1、2又は3を有するアシルCoAリダクターゼをコードする核酸は、植物ゲノム情報が明らかとなっていない
場合には、対象となる植物から核酸を抽出し、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のいずれかに示したアミノ酸配列をコードする核酸に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を単離することで同定することができる。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、45℃、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーション、その後の50〜65℃、0.2〜1×SSC、0.1%SDSでの洗浄が挙げられ、或いはそのような条件として
、65〜70℃、1×SSCでのハイブリダイゼーション、その後の65〜70℃、0.3×SSCでの洗浄を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載さ
れている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
【0073】
以上のように、本発明において使用するアシルCoAリダクターゼを共通配列1、2又は
3を有するものとして定義した。しかし、本発明において使用できるアシルCoAリダクタ
ーゼは、この共通配列1、2又は3を有するタンパク質に限定されない。
【0074】
すなわち、本発明において使用するアシルCoAリダクターゼとしては、配列番号14、
16、18、20、22、24、26、28、30、32、34及び36のいずれかに示したアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、アシルCoAリダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするも
のであっても良い。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記アシルCoAリダクターゼをコードする核酸の塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によっ
て改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入する方法は上述した方法を適宜適用することができる。
【0075】
また、アシルCoAリダクターゼとしては、例えば、配列番号14、16、18、20、
22、24、26、28、30、32、34及び36のいずれかに示したアミノ酸配列に対する類似度(Similarity)又は同一性(identity)が例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上であるアミノ酸配列を有し、アシルCoAリダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。
類似度及び同一性の値は、上述した方法により求めることができる。
【0076】
さらに、アシルCoAリダクターゼとしては、例えば、配列番号14、16、18、20
、22、24、26、28、30、32、34及び36のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、アシルCoAリダクターゼを有するタンパク質をコードするものであって
も良い。ここで、ストリンジェントな条件とは、上述したものと同様である。
【0077】
なお、所定の塩基配列からなる核酸が、上述したアシルCoAリダクターゼをコードして
いるかは、該核酸を適当なプロモーターとターミネーター等の間に組み込んだ発現ベクターを作製し、この発現ベクターを用いて適当な宿主を形質転換し、発現するタンパク質のアシルCoAリダクターゼ活性を測定すればよい。ここでアシルCoAリダクターゼ活性を測定するには、上記形質転換体を炭素源を含む培地にて培養し、合成されたアルデヒド化合物又はアルデヒド化合物に由来するアルコールをガスクロマトグラフィー/質量分析装置等
によりにより測定すればよい。なお、形質転換体を培養する際には、培地にアシルCoAを
添加しても良い。
【0078】
<
発現ベクター及び宿主微生物>
以上で説明したアシルCoAリダクターゼをコードする核酸は、適当な発現ベクターに組
み込まれ、宿主微生物に導入される。ここで、宿主微生物としては、アシルCoAリダクタ
ーゼを発現できる微生物であれば特に限定されるものではない。宿主としては、例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などのエッシェリヒア属、コリネバクテリウ
ム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)などのコリネ菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)
などのシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)などのリゾビウム属に属する細菌が挙げられ、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母、糸状菌などを含む真菌が挙げられる。
【0079】
大腸菌などの細菌を宿主とする場合、発現ベクターは、該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、上述した遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、発現ベクターには、プロモーター活性を制御する遺伝子が含まれていてもよい。
【0080】
大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリBL21(DE3)株、K12株、DH1株、JM109株など従来公知の如何なる菌株を使用することができる。大腸菌としては、特にK12株及びK12株から作製された株などの所謂K株を使用することができる。また、枯草菌としては、例
えばバチルス・ズブチリス168株などが挙げられる。
【0081】
プロモーターとしては、大腸菌などの宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターなどの大腸菌由来のものやT7プロモーターなどのファージ由来のものが用いられる。さらに、tacプロモーターなどのように人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。
【0082】
発現ベクターの導入方法としては、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定される
ものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法[Cohen, S.N.,et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69:2110-2114 (1972)]、エレクトロポレーション法などが挙げられる
。
【0083】
また、宿主として用いることができる酵母としては、特に限定するものではないがCandida Shehatae等のCandida属酵母、Pichia stipitis等のPichia属酵母、Pachysolen tannophilus等のPachysolen属酵母、Saccharomyces cerevisiae等のSaccharomyces属酵母及びSchizosaccharomyces pombe等のSchizosaccharomyces属酵母が挙げられ、特にSaccharomyces cerevisiaeが好ましい。
【0084】
また、上述したアシルCoAリダクターゼの発現を強化する際には、転写活性の高い適当
なプロモーターを使用する。このようなプロモーターとしては、特に限定されないが、例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH3)のプロモーター、3-ホ
スホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK1)のプロモーター、高浸透圧応答7遺伝子(HOR7)のプロモーターなどが利用可能である。なかでもピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子(PDC1)のプロモーターが下流の目的遺伝子を高発現させる能力が高いために好ましい。その他にも、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーターなどを使用することで、下流の遺伝子を強発現させることができる。
【0085】
また、上述した遺伝子を導入する方法としては、酵母の形質転換方法として知られている従来公知のいかなる手法をも適用することができる。具体的には、例えば、エレクトロポレーション法“Meth. Enzym., 194, p182 (1990)”、スフェロプラスト法“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929(1978)”、酢酸リチウム法“J.Bacteriology, 153, p163(1983)”、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929 (1978)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法で実
施可能であるが、これに限定されない。
【0086】
ところで、上述したアシルCoAリダクターゼをコードする核酸は、アルデヒド化合物を
基質とした炭化水素合成能を有する微生物に導入されることが好ましい。この場合、上述したアシルCoAリダクターゼを発現する組換え微生物は、アルデヒド化合物から炭化水素
を高生産することができる。例えば上述した微生物に対して、デカルボニラーゼ活性を有する酵素(脱CO酵素)をコードする核酸を導入することによって、アルデヒド化合物から炭化水素を合成する能力を有する組換え微生物を製造することができる。このように得られた組換え微生物或いは本来的にデカルボニラーゼ活性を有する微生物を宿主として、上述したアシルCoAリダクターゼを導入することで、非常に高収率で炭化水素を合成するこ
とができる。
【0087】
デカルボニラーゼ活性を有する酵素としては、特に限定されず、従来公知の酵素を適用することができる。例えば、WO2006/109558に開示された、炭化水素生産能を有する新規
微細藻類シュードコリシスチス・エリプソイディア(Pseudochoricystis ellipsoidea)
や、シュードコリシスチス(Pseudochoricystis)属或いはコリシスチス(Choricystis)属に属する炭化水素生産能を有する微細藻類を培養することで、培養物から炭化水素を採取する方法が開示されている。これらの生物からデカルボニラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸を単離して使用することができる。特開2010-528627号公報に開示されたア
ルデヒドをアルカンに転換する遺伝子、特表2011-520455号公報に開示されたSynechococcus elongatus由来のアルカン合成酵素遺伝子やアルデヒド合成酵素遺伝子を利用することもできる。さらにまた、特開平09-322780号公報に開示されたアラビドプシス・サリアナ
由来の脂肪アルデヒドデカルボニラーゼ活性に関与するタンパク質をコードする遺伝子を利用することもできる。
【0088】
さらにまたWO2013/129393には、所定のモチーフ配列を含み、デカルボニラーゼ活性を
有する酵素をコードする炭化水素合成遺伝子が開示されている。WO2013/129393に開示さ
れた炭化水素合成酵素遺伝子を利用することで、上述したような炭化水素の高生産が可能となる。
【0089】
このように、デカルボニラーゼをコードする核酸を導入した組換え微生物、例えば組換え大腸菌、組換え酵母は、上記デカルボニラーゼが発現することによってアルデヒド化合物及びNADH等の補酵素が存在すれば、当該アルデヒド化合物から炭化水素を合成することができる。
【0090】
ここで、合成可能な炭化水素は、鎖状構造からなる炭化水素(鎖式炭化水素)及び環構造からなる炭化水素(環式炭化水素)の両方である。なお、鎖状構造からなる炭化水素は、1以上の分岐を有する構造であってもよい。分岐としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基(tert-ブチル基を含む)等のアルキル基、アルキニル基、アルケニ
ル基等を挙げることができる。また、分岐としては、クロロメチル基、アセチル基、2-ピリジル基、ヒドロキシフェニル基、アミノアセチル基、メトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基等を挙げることができる。さらに、合成対象の炭化水素は飽和炭化水素(アルカン)でもよいし、不飽和炭化水素(アルケン及びアルキン)でもよい。
【0091】
一方、合成対象の炭化水素の炭素数としては、特に限定されないが、常温で液体である炭素数5〜20程度であることが好ましい。また、合成対象の炭化水素としては、ディーゼル燃料としての用途を考慮して炭素数10〜20の飽和炭化水素が好ましく、特に炭素数12〜14の飽和炭化水素がより好ましく、特に炭素数13の飽和炭化水素が最も好ましい。より具体的に、合成対象の炭化水素としは、炭素数12のドデカン、炭素数13のトリデカン及び炭素数14のテトラデカンを挙げることができる。
【0092】
<
物質製造方法>
本発明に係る組換え微生物は、上述したように、アシルCoAを基質としてアルデヒド化
合物を合成する活性に優れている。したがって、本発明に係る組換え微生物を利用することによって、アルデヒド化合物、アルデヒド化合物から合成されるアルコール及び炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を製造することができる。
【0093】
例えば、本発明に係る組換え微生物を、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、マンノース、キシロース、キシルロース、リボース、エリトロース、トレオース、エリトルロース、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、スクロース(サッカロース・蔗糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、トレハロース、セロビオースなどの炭素源を含む培地で培養することで、上述したアルデヒド化合物、アルコール及び炭化水素といった目的物質を製造することができる。
【0094】
なお、本発明に係る組換え微生物は、in vitroにおける目的物質の製造方法に利用することもできる。一例として、本発明に係る組換え生物を破砕して得られる破砕溶液を用いて、in vitroにて目的物質を合成できる。すなわち、上記破砕溶液に対して基質となるアシルCoA(必要であればNADH等の補酵素)を添加することで、in vitroにて目的物質を合
成できる。
【0095】
なお、合成した炭化水素等の目的物質は定法にしたがって単離することができる。例えば、上述した組換え酵母を培地にて培養し、炭化水素を生産させる。合成された炭化水素は培地中に合成されるため、遠心分離等の手段によって培地から菌体を分離した後の上清画分から単離できる。上清画分から炭化水素を単離するには、例えば、上清画分に酢酸エチル及びメタノール等の有機溶媒を添加し、十分に撹拌する。水層と溶媒層とに分離し、溶媒層から炭化水素を抽出することができる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0097】
〔実施例1〕
本実施例では、ラン藻(ノストク・パンクチフォルム(Nostoc punctiform))由来のアルデヒドデカルボニラーゼ遺伝子(遺伝子ID:Npun R1711)を有する発現ベクターと、種
々の植物由来のアシルCoAリダクターゼ遺伝子を有する発現ベクターとを大腸菌に導入し
、得られた組換え大腸菌におけるアルカン生産能を評価した。本実施例で使用したアシルCoAリダクターゼ遺伝子を表2に纏めた。
【0098】
【表2】
【0099】
なお、本実施例で使用したアシルCoAリダクターゼ遺伝子及びアルデヒドデカルボニラ
ーゼ遺伝子はデータベースに格納された塩基配列情報に基づいて人工的に合成した。アルデヒドデカルボニラーゼ遺伝子(遺伝子ID:Npun R1711)の塩基配列及びアミノ酸配列を
配列番号67及び68に示した。
【0100】
人工合成したアシルCoAリダクターゼ遺伝子はpCDFDuet-1 vector (Novagen社製)のNdeI-XhoIサイトへ挿入し、人工合成したアルデヒドデカルボニラーゼ遺伝子はpRSFDuet-1 vector (Novagen社製)のPst1サイトへ挿入した(
図4参照)。なお。アシルCoAリダクター
ゼ遺伝子を人工合成する際、5’末端にはNdeI認識配列を含むTACCATGGGCATACATATGGCCATCATAACGGTTCTGGCAAATATTCTGAAATGAGCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAAGGAGATATACG(配列番号69)を、3’末端にはXhoI認識配列を含むTAATTAACCTAGGCTGCTGCCACCGCTGAGCAATAACTAGCATAACCCCTTGGGGCCTCTAAACGGGTCTTGAGGGGTTTTTTGCCCTCGAGTCCGGCCGCATGCGGCCGCAT(配列番号70)を付加した。
【0101】
次に、作製した2種類の発現ベクターをE.coli BL21(DE3)株へ形質転換した。形質転換は、E.coli BL21(DE3)のコンピテントセルを調整し、Novagen社のUser Protocol TB009 Rev. F0104を参照して行った。
【0102】
次に、得られた形質転換体を、0.5mlのLB培地(ストレプトマイシン30mg/ml及びカナマイシン50mg/mlを含む)で37℃、130rpmで一晩振とう培養した。この培養液を、2mlのM9培地(グルコース2%、Yeast extract0.1%、ストレプトマイシン30mg/ml及びカナマイシン50mg/mlを含む)に1%容量で接種し、37℃、130rpmで約4時間(最終吸光度OD600=0.4〜0.6)振とう培養した。この培養液に終濃度1mMになるようにIPTG(Isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside)を添加し、37℃、130rpmで3日間培養した。
【0103】
そして、培養液1mlを1.5mlエッペンドルフチューブに採取し、遠心機で集菌(6,000rpm,1分、室温)し、上清を取り除いた。ペレットに酢酸エチルを100ml添加し、約1分間ボ
ルテックスで懸濁した。これを遠心分離(10,000rpm、1分、室温)し、この上清をGC/MS
分析に供した。GC/MS分析の条件を表3に示した。
【0104】
【表3】
【0105】
本実施例で作製した27種類の組換え大腸菌について、トリデカン及びペンタデカンをGC/MS分析により定量した結果を
図5に示し、テトラデカノール及びヘキサデカノールをGC/MS分析により定量した結果を
図6に示した。また、27種類の組換え大腸菌のうちGm2
株に関するGC/MS分析のチャートを
図7に示した。
図5及び6に示した定量結果を表4に
纏めた。
【0106】
【表4】
【0107】
図5及び6並びに表4に示した結果から12個の組換え大腸菌、すなわちFv1株、Gm1株、Gm2株、Pt1株、Vv1株、Ca1株、Sl3株、Cc1株、Bd1株、Si1株、Sb1株及びOs1株は、アルコール及びアルカン生産量が付与されていることが明らかとなった。これは、これら12種の組換え大腸菌においては、導入したアシルCoAリダクターゼ遺伝子により、アシルCoAからのアルデヒド化合物生成能が付与されたことを示す結果である。言い換えると、これら12種の組換え大腸菌に導入したアシルCoAリダクターゼ遺伝子は、宿主微生物におい
てアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を生成する活性を有するアシルCoAリダクターゼをコードしていることが示された。
【0108】
すなわち、本実施例により、Fragaria vesca (woodland strawberry)由来の遺伝子ID:101311020で特定される遺伝子、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100776505で特
定される遺伝子、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100801815で特定される遺伝子、Populus trichocarpa (black cottonwood)由来の遺伝子ID:POPTR_576417で特定される遺伝子、Vitis vinifera (wine grape)由来の遺伝子ID:100245182で特定される遺伝子、Cicer arietinum (chickpea) 由来の遺伝子ID:101510781で特定される遺伝子、Solanum lycopersicum (tomato)由来の遺伝子ID:101262598で特定される遺伝子、Cucumis sativus (cucumber)由来の遺伝子ID:101212401で特定される遺伝子、Brachypodium distachyon由来の遺伝子ID:100845156で特定される遺伝子、Setaria italica (foxtail millet)由
来の遺伝子ID:101779750で特定される遺伝子、Sorghum bicolor (sorghum)由来の遺伝子ID:SORBI_01g046030で特定される遺伝子及びOryza sativa japonica (Japanese rice)由来の遺伝子ID:Os03t0167600-01で特定される遺伝子は、宿主微生物においてアシルCoAを還元してアルデヒド化合物を生成する活性を有するアシルCoAリダクターゼをコードして
いることが示された。なお、共通配列1及び2は、これら12種類の遺伝子によりコードされるアシルCoAリダクターゼを特徴付ける配列である。
【0109】
特に、
図5及び6並びに表4に示した結果から、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100776505で特定される遺伝子、Glycine max (soybean)由来の遺伝子ID:100801815で特定される遺伝子及びCicer arietinum (chickpea) 由来の遺伝子ID:101510781で特定される遺伝子は、上記活性が特に優れたアシルCoAリダクターゼをコードしていることが示
された。なお、共通配列3は、これら3種類の遺伝子によりコードされるアシルCoAリダ
クターゼを特徴付ける配列である。
【0110】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。