特開2015-226483(P2015-226483A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-226483(P2015-226483A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/06 20060101AFI20151120BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20151120BHJP
   A01F 12/46 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   A01D69/06
   A01D41/12 E
   A01F12/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-112752(P2014-112752)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 次郎
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 鷹人
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
2B396
【Fターム(参考)】
2B074BA04
2B074CD02
2B074CD05
2B074CE01
2B074DA01
2B074DA02
2B074DC03
2B074DE03
2B074DF03
2B074DF08
2B076AA04
2B076BA08
2B076CC02
2B076DA12
2B076DB01
2B076DB02
2B076DB06
2B396JC08
2B396KA02
2B396KE03
2B396KE04
2B396LA13
2B396LC07
2B396LJ03
2B396LR02
2B396LR10
2B396LR13
2B396MC02
2B396MC07
2B396MC13
2B396MG09
2B396ML06
(57)【要約】
【課題】ラジエータファンの吸入能力と排塵ファンの排気能力が高く、エンジンのオーバヒートを抑制し、保守・点検作業の頻度が少ない作業車輌の原動部構造を提供する。
【解決手段】グレンタンク(5)の前側に形成されたエンジンルーム(8)と、エンジンルーム(8)内に配置されたエンジン(E)と、エンジン(E)の冷却水を冷却するラジエータ(50)と、エンジン(E)とラジエータ(50)の間に配置された外気吸入用の冷却ファン(20)と、エンジン(E)の駆動力を冷却ファン(20)へ伝達する第1伝動軸(110)と、エンジン(E)の駆動力を穀粒排出用の送風装置(75)へ伝達する第2伝動軸(65)とを備え、第1伝動軸(110)および第2伝動軸(65)が、機体前後方向において、エンジン(E)とグレンタンク(5)の間に配置されることにより解決される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)に搭載されたグレンタンク(5)と、
このグレンタンク(5)に貯留された穀粒を機外へ搬送する排出装置(7)と、
この排出装置(7)に搬送用の空気を供給する送風装置(75)と、
前記グレンタンク(5)の前側に形成されたエンジンルーム(8)と、
このエンジンルーム(8)内に配置されたエンジン(E)と、
このエンジン(E)の冷却水を冷却するラジエータ(50)と、
前記エンジン(E)と前記ラジエータ(50)の間に配置された外気吸入用の冷却ファン(20)と、
前記エンジン(E)の駆動力を前記冷却ファン(20)へ伝達する第1伝動軸(110)と、
前記エンジン(E)の駆動力を前記送風装置(75)へ伝達する第2伝動軸(65)とを備え、
前記第1伝動軸(110)および第2伝動軸(65)が、機体前後方向において、前記エンジン(E)と前記グレンタンク(5)の間に配置されているコンバイン。
【請求項2】
前記第1伝動軸(110)が前記第2伝動軸(65)よりも下側に配置されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記第2伝動軸(65)が前記第1伝動軸(110)よりも前側に配置されている請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記第1伝動軸(110)の機体内側の端部に、前記エンジン(E)の駆動力が伝達される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記冷却ファン(20)と同一軸心上に、排気用の排塵ファン(30)が配置されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記排塵ファン(30)の羽根の翼角が、前記冷却ファン(20)の羽根の翼角と反対の角度に設定されている請求項5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記冷却ファン(20)の駆動状態において排塵ファン(30)を停止状態に切換え、前記冷却ファン(20)の停止状態においては排塵ファン(30)を駆動状態に切換える駆動状態切換手段(45)を備えた請求項5または請求項6に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのオーバヒートを防止する原動部構造を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイン等の作業車輌には水冷式エンジンが使用されている。エンジンにより温度上昇した冷却水は、ラジエータを循環することにより冷却された後、再びエンジンを循環する。
【0003】
コンバインは、穀稈の刈取、脱穀、選別、排藁処理を行う過程で、前部の刈取装置からは、立毛穀稈の切断や搬送によって藁屑や塵埃が発生し、後部からは、脱穀処理や脱穀後の排稈切断処理によって発生した藁屑、塵埃等を排出するので、コンバインの機体周囲には多量の藁屑や塵埃が巻き上げられる。この巻き上げられた藁屑等がエンジンルームのカバーに装着された濾過体に付着し、これらの濾過体が目詰まった場合、濾過体の外側から内側に十分な外気を吸入することができなくなり、ラジエータの冷却効率が低下し、場合によってはエンジンがオーバヒートする恐れがある。
【0004】
上記問題を解決するため、特許文献1には、テンション操作体を移動することによりラジエータの内側に設けたファンの回転方向を切換え、ラジエータの冷却とエンジンルームのカバーの濾過体に付着した藁屑、塵埃等の除去を行なう構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−263063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された構成では、ファンの伝動部材の大部分が、エンジンとファンの間の間隔部に収容されているため、伝動部材によってファンの送風が妨げられ、エンジン及びラジエータの冷却効率が低下するという問題があった。
【0007】
この傾向は、グレンタンクに貯留された穀粒を排出する排出装置の伝動部材がエンジンとファンの間に配置されている場合、特に顕著であった。
また、伝動ベルトを備えるテンション操作体を回転させることにより、ファンを正転方向と逆転方向への切換えを行なっているために、伝動ベルトの劣化が著しく保守・点検作業の頻度が多いという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消しつつ、ファンの伝動部材をコンパクトに配置することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、機体フレーム(1)に搭載されたグレンタンク(5)と、このグレンタンク(5)に貯留された穀粒を機外へ搬送する排出装置(7)と、この排出装置(7)に搬送用の空気を供給する送風装置(75)と、前記グレンタンク(5)の前側に形成されたエンジンルーム(8)と、このエンジンルーム(8)内に配置されたエンジン(E)と、このエンジン(E)の冷却水を冷却するラジエータ(50)と、前記エンジン(E)と前記ラジエータ(50)の間に配置された外気吸入用の冷却ファン(20)と、前記エンジン(E)の駆動力を前記冷却ファン(20)へ伝達する第1伝動軸(110)と、前記エンジン(E)の駆動力を前記送風装置(75)へ伝達する第2伝動軸(65)とを備え、前記第1伝動軸(110)および第2伝動軸(65)が、機体前後方向において、前記エンジン(E)と前記グレンタンク(5)の間に配置されているコンバインである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記第1伝動軸(110)が前記第2伝動軸(65)よりも下側に配置されている請求項1に記載のコンバインである。
請求項3に係る発明は、前記第2伝動軸(65)が前記第1伝動軸(110)よりも前側に配置されている請求項1または請求項2に記載のコンバインである。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記第1伝動軸(110)の機体内側の端部に、前記エンジン(E)の駆動力が伝達される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンバインである。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記冷却ファン(20)と同一軸心上に、排気用の排塵ファン(30)が配置されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコンバインである。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記排塵ファン(30)の羽根の翼角が、前記冷却ファン(20)の羽根の翼角と反対の角度に設定されている請求項5に記載のコンバインである。
請求項7に係る発明は、前記冷却ファン(20)の駆動状態において排塵ファン(30)を停止状態に切換え、前記冷却ファン(20)の停止状態においては排塵ファン(30)を駆動状態に切換える駆動状態切換手段(45)を備えた請求項5または請求項6に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、第1伝動軸(110)および第2伝動軸(65)が、機体前後方向において、前記エンジン(E)と前記グレンタンク(5)の間に配置されているので、エンジン(E)と冷却ファン(20)の間の間隔部に位置する伝動部材を少なくして、冷却ファン(20)の送風効率を向上させることで、エンジン(E)の冷却効率を高めることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、第1伝動軸(110)が第2伝動軸(65)よりも下側に配置されているので、第1伝動軸(110)と第2伝動軸(65)を含む伝動部材をコンパクトに配置して、これらの伝動部材の存在によるグレンタンク(5)の容量低下を抑え、グレンタンク(5)の容量を確保することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、第2伝動軸(65)が第1伝動軸(110)よりも前側に配置されているので、グレンタンク(5)の容量低下を抑え、グレンタンク(5)の容量を確保することができるとともに、グレンタンク(5)底面の穀粒流下角度を確保して、穀粒排出を円滑化することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、第1伝動軸(110)は、その機体内側の端部にエンジン(E)の駆動力が伝達されるので、第1伝動軸(110)と第2伝動軸(65)を含む伝動部材を、更にコンパクトに配置して、グレンタンク(5)の容量を確保することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、冷却ファン(20)と同一軸心上に、排気用の排塵ファン(30)が配置されているので、排塵ファン(30)によってエンジンルームのカバーに付着した塵埃を除去することができるものでありながら、一方のファンの伝動部材が他方のファンの送風を妨げることを抑制することができる。また、複雑な伝動機構が不要となり、以って、冷却ファン(20)および排塵ファン(30)の送風効率を向上させて、エンジン(E)の冷却効率を更に高めることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、排塵ファン(30)の羽根の翼角が、冷却ファン(20)の羽根の翼角と反対の角度に設定されているので、冷却ファン(20)と排塵ファン(30)にエンジン(E)の回転を伝動する構成部品が削減でき、保守・点検作業の頻度を少なくすることができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項5または請求項6に記載の発明の効果に加えて、冷却ファン(20)の駆動状態において排塵ファン(30)を停止状態に切換え、冷却ファン(20)の停止状態においては排塵ファン(30)を駆動状態に切換える駆動状態切換手段(45)を備えているので、駆動状態切換手段(45)を作動させることでエンジンルーム(8)への外気吸入と排気を切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】コンバインの右側面図である。
図2】コンバインの平面図である。
図3】グレンタンク周辺の平面図である。
図4】グレンタンク周辺の右側面図である。
図5】エンジンルームの要部平面図である。
図6】エンジンルームの要部左側面図である。
図7】駆動状態切換手段周辺の要部右側面図である。
図8】ラジエータファンと排塵ファン周辺の要部背面図である。
図9】第1、2テンションローラ周辺の要部左側面図である。
図10】コンバインの要部の伝動線図である。
図11】エンジンと酸化触媒装置の右側面図である。
図12】エンジンと酸化触媒装置の平面図である。
図13】エンジンと酸化触媒装置の背面図である。
図14】エンジンと酸化触媒装置の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために、操縦席に搭乗した操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0023】
図1および図2に示すように、コンバインは、平面視で矩形状に枠組構成された機体フレーム1の下方に走行装置2を設け、機体フレーム1の前側部に刈取装置3を設け、機体フレーム1上の前側部右側に操縦席6を設け、機体フレーム1上の後部左側に脱穀装置3を設け、機体フレーム1上の後部右側にグレンタンク5を設けている。
【0024】
前記刈取装置3は、掻込オーガ(図示省略)を備えた枠体4Aと、該枠体4Aの左右両側に配設している左右分草体4B,4Bと、立毛穀稈を掻き込む昇降調節自在の掻込リール4Cと、掻き込まれた穀稈を刈り取る刈刃装置4Dと、刈り取った穀稈を後方へ搬送する搬送コンベア4Eとを備え、搬送コンベア4Eの後端部を脱穀装置3の穀稈供給口に接続している。
【0025】
前記脱穀装置3は、上側の扱室内に穀稈の穂先側部を脱穀処理する螺旋式の扱胴を備え、下側の選別室内には揺動選別式の選別装置を配設している。
前記グレンタンク5は、上部を左右側板,前後側板,上側板で下方を開放した箱体に構成し、下部を前後傾斜案内板と、左右傾斜案内板5D,5Cにより漏斗状に構成し、脱穀装置3で脱穀選別処理された穀粒を一番揚穀機11でグレンタンク5の左側板の投入口から揚穀投入する構成である。
【0026】
(グレンタンク及び排出装置)
図3および図4に示すように、グレンタンク5底部の前後傾斜案内板と、左右傾斜案内板5D,5Cの下端中央部に下方に向けて開口する流下口5Aを構成し、流下口5Aの下方に繰出装置113を設け、流下口5Aから繰出装置113に穀粒を流下供給するようにしている。
【0027】
繰出装置113は繰出ケース113aの内部に前後方向に支架されている繰出軸113bに複数の繰出羽根113c,…を取り付けた構成で、繰出軸113bが所定方向に回転したり,左右方向に揺動しながら穀粒を下方に繰り出すようにしている。この繰出ケース113aの上方にはグレンタンク5の流下口5Aを対向配置し、繰出ケース113aの入口部にはグレンタンク5から流下する穀粒量を調節するシャッタ弁を備えている。
【0028】
繰出ケース113aの下方には前後方向に沿った搬送筒115を繰出ケース113aの前後に突出するように配設し、繰出ケース113aの流下口に搬送筒115の上部受入れ口を接続している。
【0029】
グレンタンク5に貯留された穀粒を機外へ搬送する排出装置7は、送風装置75から供給される搬送空気により、穀粒を搬送する。
繰出装置113の前方に送風装置75を配設し、送風装置75の送風口に送風筒7Aの始端側を接続し、送風筒7Aの終端側を搬送筒115の始端側に接続している。エンジンEから伝動ギヤボックス70を経由して送風装置75に動力を伝達している。なお、送風装置75の送風口から繰出ケース113aの下側に向う送風筒7Aは、上方から穀粒が落下してくる繰出ケース113aの下部において、搬送空気の流れを安定させるために、所定の搬送長をもって形成されている。
【0030】
また、前記グレンタンク5の後方には電動モータ(図示省略)により縦軸回りに回動調節自在な揚穀支持筒7Cを立設し、揚穀支持筒7Cの上端部には油圧シリンダ(図示省略)により横軸回りに上下回動自在な排出支持筒7Dを接続している。そして、搬送筒115の終端側に可撓性のある排出筒7Bの始端側を接続し、排出筒7Bの中途部を前記揚穀支持筒7C,排出支持筒7Dの内部を通して排出支持筒7Dの先端部まで延出し、送風装置75の風力によりグレンタンク5の穀粒を排出するようにしている。
【0031】
(原動部)
機体フレーム1の上部右側には、操作者が搭乗する操作部を備えた操縦席6が設けられ、操縦席6の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム8が設けられている。また、エンジンルーム8の右側には、エンジンルーム8の保守・点検用のカバー8Aが装着されており、カバー8Aの上下方向における中間部と下部には、目抜き鉄板等から形成された濾過体8Bが取付けられている。
【0032】
図5および図6に示すように、エンジンルーム8の内側には、エンジンEが設けられている。また、図11〜14に示すように、エンジンEの上部左側には、エンジンEから排出された排気ガス中の未燃燃料を酸化するDOC等の酸化触媒装置11が設けられている。これにより、酸化触媒装置11により加熱された内気を効率的に脱穀装置3に向かって送風し、脱穀装置3内の脱穀穀粒の乾燥を促進させることができる。なお、酸化触媒装置11は、エンジンEの上部左側に設けられたステー11Bに、前後2本の支持部材11Aにより着脱自在に取付けられている。
【0033】
エンジンEの右側には、所定の間隔を隔ててエンジンEに供給される冷却水を冷却するラジエータ50が設けられている。
エンジンEとラジエータ50の間には、エンジンルーム8の外部から内部に向かって外気を吸入するラジエータファン(請求項における「冷却ファン」)20と、ラジエータファン20の左側に、エンジンルーム8の内部から外部に向かって内気を排気して濾過体8B上に付着した粉塵を除去する排塵ファン30が設けられている。
【0034】
ラジエータファン20の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、外気をエンジンルーム8の内側に吸入して、ラジエータ50等の表面に送風することにより、ラジエータ50の冷却効率を高めることができる。また、排塵ファン30の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、内気を外部に排気して、内気を濾過体8Bに送風することにより、濾過体8Bに付着した粉塵を除去することができ、ラジエータファン20による外気の吸入効率を一定に維持することができる。なお、便宜上、ラジエータファン20、排塵ファン30の回転時を駆動状態といい、ラジエータファン20、排塵ファン30の回転の停止時を停止状態という。
【0035】
ラジエータファン20は、回転軸24に取付けられる中心部と、中心部から径方向に向かって延出する羽根から形成されている。ラジエータファン20による外気の吸入効率を高めるために、本実施形態では羽根は、中心部の円周方向に所定の間隔を隔てて8枚設けているが、所望の吸入能力が得られる範囲で任意の枚数に変更することができる。
【0036】
同様に、排塵ファン30は、筒状回転軸34に取付けられる中心部と、中心部から径方向に向かって延出する羽根から形成されている。ラジエータファン20による外気の吸入効率の低下を防止するために、排塵ファン30の羽根の外径は、ラジエータファン20の羽根の外径よりも小さく形成されている。また、ラジエータファン20と、排塵ファン30の伝動構成を簡易にし、エンジンルーム8内の空間を有効に活用するために、排塵ファン30の羽根の翼角度は、ラジエータファン20の羽根の翼角度とは逆の翼角度を持って中心部に立設されている。これにより、排塵ファン30が取付けられた筒状回転軸34に伝動された回転方向と、ラジエータファン20が取付けられた回転軸24に伝動された回転方向が同一回転方向であっても、ラジエータファン20においては、外気を吸入してエンジンルーム8の内側に送風でき、排塵ファン30においては、内気をエンジンルーム8の外側に排気することができる。なお、排塵ファン30の羽根は、中心部の円周方向に所定の間隔を隔てて8枚設けているが、所望の送風能力が得られる範囲で任意の枚数に設定することができる。
【0037】
図10に示すように、エンジンEの回転動力は、エンジンEの下部において、エンジンEの左右に突出するクランクシャフト60に伝動され、
また、クランクシャフト60の右端部と、ウォータポンプシャフト60Aと、オルタネータシャフト60Dに軸支されたプーリには、ベルト60Eが巻回されており、クランクシャフト60の回転動力は、ベルト60Eを介して、ウォータポンプシャフト60Aと、オルタネータシャフト60Dに伝動される。
【0038】
また、クランクシャフト60の左端部にはプーリ53を備えている。そして、プーリ53と、機体フレーム1上に固定されたカウンタ軸支持部材56に支持されるカウンタ軸に軸支されるプーリ55には、ベルト54が巻回されている。カウンタ軸のプーリ55と反対側の端部には、プーリ57を備えており、このプーリ57と、後部伝動軸(請求項における「第1伝動軸」)110の左端部に設けられたプーリ59には、ベルト58が巻回されている。
【0039】
これにより、クランクシャフト60から出力された回転動力は、カウンタ軸を介して後部伝動軸110に伝動される。
後部伝動軸110に伝動された回転動力は、プーリ121、ベルト122、プーリ23を介して、プーリ23を支持する回転軸24に伝動され、回転軸24の右側端部に支持されたラジエータファン20を回転させる。
【0040】
同様に、後部伝動軸110に伝動された回転動力は、プーリ131、ベルト132、プーリ33を介して、プーリ33を支持する筒状回転軸34に伝動され、筒状回転軸34の右側端部に支持された排塵ファン30を回転させる。なお、回転軸24は、ベアリングを介して支持部25の内側に内嵌されており、筒状回転軸34は、ベアリングを介して支持部25の外側に外嵌されている。
【0041】
プーリ121とプーリ23に巻回されたベルト122には、テンションローラ26が備えられており、テンションローラ26によりベルト122の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。
【0042】
同様に、プーリ131とプーリ33に巻回されたベルト132には、テンションローラ36が備えられており、テンションローラ36によりベルト132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。
【0043】
ラジエータファン20に回転動力を伝動するベルト122は、排塵ファン30に回転動力を伝動するベルト132よりもエンジンE側に設けられている。これにより、駆動時間が長いためにベルト132よりも早く劣化するベルト122の保守・点検作業を容易に行なうことができる。
【0044】
クランクシャフト60の右端部に伝動された回転動力は、プーリ61、ベルト62、プーリ63を介して、プーリ63を支持する排出伝動軸(請求項における「第2伝動軸」)65に伝動される。排出伝動軸65に伝動された回転動力は、一対の対向するベベルギヤを備えた伝動ギヤボックス70を介して、伝動ギヤボックス70から後側に向かって延出する軸71に伝動される。
【0045】
軸71に伝動された回転動力は、プーリ72、ベルト73、プーリ74を介して、プーリ74を支持する送風装置75の入力軸に伝動される。なお、プーリ72とベルト73に巻回されたベルト73には、このベルト73に常時張力を付与するテンションローラ(図示省略)が備えられている。また、ベルト62には、テンションクラッチ(図示省略)が設けられており、操縦席6に設けられた排出操作具の操作により、送風装置の駆動状態と駆動停止状態とを切替可能に構成されている。
【0046】
次に、後部伝動軸110、排出伝動軸65等の配置について説明する。
図5,6に示すように、後部伝動軸110と排出伝動軸65は、エンジンEの後部とグレンタンク5の前壁5Aの間に形成される空間Sに配置されている。また、後部伝動軸110は、排出伝動軸65よりも下側に配置されている。また、後部伝動軸110は、排出伝動軸65よりも後側に配置されている。
【0047】
後部伝動軸110は機体フレーム1上に設けられた2つの支持部材(図示省略)に固定された支持筒111Aに軸受部材(図示省略)を介して内嵌されている。上記の支持部材は、それぞれ、後部伝動軸110におけるプーリ121側の部位と、後部伝動軸110におけるプーリ59側の部位を支持している。そして、これらの支持部材の上部に、排出伝動軸65を回転自在に支持するブラケットと、伝動ギヤボックス70が固定されている。
【0048】
次に、ラジエータファン20と排塵ファン30の駆動状態を切換える駆動状態切換手段45について説明する。
図7に示すように、駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の左後側に位置する左後側フレーム1Dの上部後側に設けられている。より詳細には、駆動状態切換手段45は、左後側フレーム1Dから後側に向かって延出するエンジンEやラジエータ50を循環する冷却水の一部を一時的に貯留するリザーバタンク92を支持するするステー90の上部にボルト等の締結手段によって着脱自在に連結されたブラケット91に取付けられている。これにより、駆動状態切換手段45の保守・点検作業を容易に行うことができ、また、駆動状態切換手段45がラジエータファン20や排塵ファン30の送風を妨げることを防止できる。
【0049】
ブラケット91は、ステー90にリザーバタンク92を支持する締結手段を利用して共締めすることによりステー90に連結され、駆動状態切換手段45は、リザーバタンク92と反対側のブラケット91の左側面に取付けられている。これにより、部品点数を削減し、リザーバタンク92の破損時にリザーバタンク92から飛び散った冷却水により駆動状態切換手段45が故障することを防止できる。
【0050】
モータと減速機を備えた駆動状態切換手段45の出力軸45Dには、略長方形状のプレート45Eが支持されている。図7に示すように、プレート45Eには、出力軸45Dから前後に所定間隔を隔てて2本のピン45Cが立設されている。2本のピン45Cにはそれぞれ連繋手段80のアウターケーブル80Aに内装されたインナーケーブル80Bの後端部が接続される。なお、出力軸45Dは、駆動状態切換手段45から右側に向かって延出し、プレート45E、インナーケーブル80B等は、リザーバタンク92の上側に設けられている。これにより、リザーバタンク92の上側の空間を有効活用することができる。
【0051】
次に、連繋手段80とベルト122,132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ26,36の接続について説明する。
図8,9に示すように、一側の連繋手段80のアウターケーブル80Aの前端部は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側上部に設けられたステー81に支持され、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。これにより、連繋手段80とステー81が、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。
【0052】
連繋手段80のインナーケーブル80Bの前端部は、プーリ23とプーリ121に巻回されたベルト122の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ26のベルトストッパ26Cにスプリング等の弾性部材82を介して接続されている。これにより、過度の負荷が駆動状態切換手段45に加わる回数を減少させ、駆動状態切換手段45の耐久性を向上させることができる。
【0053】
なお、ベルトストッパ26Cは、回転軸24の軸心方向視において略く字形状に形成され、ベルト122に接触する先端側のベルト接触部と、テンションアーム26Bに固着される接続部とを備えている。また、接続部の中間部には、弾性部材82を介してインナーケーブル80Bの前端部が接続されている。
【0054】
テンションローラ26は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側下部に左右方向に設けられた支軸86に回転自在に取付けられたテンションアーム26Bと、テンションアーム26Bの先端部に回転自在に支持されたローラ26Aと、テンションアーム26Bの基部に固着されたベルトストッパ26Cを備えて構成されている。なお、支軸86は、ラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。これにより、支軸86が、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。
【0055】
また、テンションローラ26のテンションアーム26Bとステー81の下部は、テンションローラ26をベルト122に向かって付勢するスプリング85で接続されている。
同様に、図8,9に示すように、他側の連繋手段80のアウターケーブル80Aの前端部は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側上部に設けられたステー81に支持され、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。
【0056】
連繋手段80のインナーケーブル80Bの前端部は、プーリ33とプーリ131に巻回されたベルト132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ36のベルトストッパ36Cにスプリング等の弾性部材82を介して接続されている。なお、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24の外周よりも外側に設けられている。なお、ベルトストッパ36Cは、回転軸24の軸心方向視において略く字形状に形成され、ベルト132に接触する先端側のベルト接触部と、テンションアーム36Bに固着される接続部とを備えている。また、接続部の中間部には、弾性部材82を介してインナーケーブル80Bの前端部が接続されている。
【0057】
テンションローラ36は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側下部に左右方向に設けられた支軸86に回転自在に取付けられたテンションアーム36Bと、テンションアーム36Bの先端部に回転自在に支持されたローラ36Aと、テンションアーム26Bの基部に固着されたベルトストッパ36Cを備えて構成されている。
【0058】
また、テンションローラ36のテンションアーム36Bとステー81の下部は、テンションローラ36をベルト132に向かって付勢するスプリング85で接続されている。
図9は、ラジエータファン20が駆動状態であり、排塵ファン30が停止状態であるテンションローラ26,36の状態が図示されている。
【0059】
図9に示すように、駆動状態切換手段45によりプレート45Eを回転させて、連繋手段80のインナーケーブル80Bを引込みテンションローラ26のベルトストッパ26Cが時計方向に回転した場合には、テンションローラ26のローラ26Aは、ベルト122を押圧し、テンションローラ26のベルトストッパ26Cは、ベルト122から離間して非制動状態となり、プーリ121に伝動されたエンジンEの回転動力をプーリ23に伝動する。
【0060】
一方、駆動状態切換手段45によりプレート45Eを回転させて、連繋手段80のインナーケーブル80Bを押出しテンションローラ36のベルトストッパ36Cが反時計方向に回転した場合には、テンションローラ36のローラ36Aは、ベルト132から離間し、テンションローラ36のベルトストッパ36Cは、ベルト132を押圧して制動状態となり、プーリ131に伝動されたエンジンEの回転動力のプーリ23への伝動を速やかに遮断する。これにより、図9においては、排塵ファン30の回転を速やかに停止し、ラジエータファン20の送風を妨げることを防止することができる。
【0061】
なお、駆動状態切換手段45の駆動は、制御装置(図示省略)によりラジエータ50の冷却水の温度等の状態に合わせて自動的に行なわれるものであるが、操縦者が駆動状態切換手段45の切換えを手動操作できるように、操縦席6や、エンジンルーム8とグレンタンク5の前壁5Aの空間Sに切換えレバーを設けることもできる。
【0062】
次に、ラジエータファン20が取付けられた回転軸24と、排塵ファンが取付けられた筒状回転軸34を支持するブラケット140について説明する。
図8,9に示すように、ブラケット140は、ブラケット140の中心部に回転軸24を内嵌し、筒状回転軸34を外嵌する支持部25が固着され、ブラケット140における支持部25は、ラジエータ50の上下方向の中心部よりも上側に偏倚した位置に設けられている。これにより、ラジエータファン20により吸入された外気がエンジンEの上側に送風され、エンジンEや、エンジンEの上側に設けられた酸化触媒装置11を効率良く冷却することができる。
【0063】
ブラケット140は、回転軸24の軸心方向視で支持部25を中心に放射状に径方向に延在する3つのアーム部を有する三又形状に形成されている。すなわち、ブラケット140は、支持部25から略上前側に延在する前アーム部141と、支持部25から略後側に延在する後アーム部142と、支持部25から略下側に延在する下アーム部143を有している。
【0064】
前アーム部141は、先端側に延在するに従って右側(機体外側)に傾斜し、先端部は、右前側フレーム1Aに連結されている。後アーム部142は、回転軸24と直交する方向へ延在し、先端部は、右後側フレーム1Bと連結されている。下アーム部143は、先端側に延在するに従って右側(機体外側)に傾斜し、先端部は、機体フレーム1の上側に固着されたブラケット1Eに連結されている。
【0065】
これにより、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。また、ブラケット140の剛性が高まり、回転軸24、筒状回転軸34を安定して支持することができ、ラジエータファン20、排塵ファン30を安定して回転させることができる。さらに、前アーム部141と下アーム部143の先端側は、右側(機体外側)に向かい傾斜しているので、ブラケット140の前側、下側において間隔部Bを広く形成できるので、ラジエータファン20、排塵ファン30、エンジンE等の保守・点検作業が容易に行なうことができる。
【符号の説明】
【0066】
1 機体フレーム
5 グレンタンク
7 排出装置
8 エンジンルーム
20 ラジエータファン(冷却ファン)
30 排塵ファン
45 駆動状態切換手段
50 ラジエータ
65 排出伝動軸(第2伝動軸)
75 送風装置
110 後部伝動軸(第1伝動軸)
E エンジン
図1
図2
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図5
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