【解決手段】 前記アブレーション部位のうちの少なくともいくつかのものの間の距離が、それらの位置に基いて測定される。警告基準を満たしている、前記アブレーション部位間の1つまたは2つ以上の空白域が識別される。当該識別された空白域が操作者に対して示される。
前記距離を測定することは、第1のアブレーション部位と第2のアブレーション部位との間の距離を、前記第1のアブレーション部位及び前記第2のアブレーション部位の一方又は両方に関連したアブレーションの質に依存する倍率によって拡大縮小することを含む、請求項1に記載の方法。
前記距離を測定することは、前記アブレーション部位を、第1の閾値より距離が小さい隣接するアブレーション部位どうしを接続することによってグループにクラスタ化することを含み、且つ、前記空白域を識別することは、グループどうしを隔てる距離で、第2の閾値より小さいものを識別することを含む、請求項1に記載の方法。
前記アブレーション部位をクラスタ化することは、所与のクラスタから前記アブレーション部位のうちの1つ又は2つ以上までの距離を繰り返し計算することと、あるアブレーション部位から前記所与のクラスタまでの距離が前記第1の閾値より小さいことが判明すると、当該アブレーション部位を前記所与のクラスタに追加することと、を含む、請求項4に記載の方法。
前記距離を測定することは、前記アブレーション部位を形成するために用いられるアブレーション信号のパラメータに応じて、前記距離を評価することを含む、請求項1に記載の方法。
前記プロセッサは、第1の閾値よりも大きいが第2の閾値より小さい前記空白域を検知することによって前記空白域を識別するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
前記プロセッサは、第1のアブレーション部位と第2のアブレーション部位との間の距離を、前記第1のアブレーション部位及び前記第2のアブレーション部位の一方又は両方に関連したアブレーションの質に依存する倍率によって拡大縮小するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
前記プロセッサは、前記アブレーション部位を、第1の閾値より距離が小さい隣接するアブレーション部位どうしを接続することによってグループにクラスタ化し、グループどうしを隔てる距離で、第2の閾値より小さいものを識別するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
前記プロセッサは、所与のクラスタから前記アブレーション部位のうちの1つ又は2つ以上までの距離を繰り返し計算することと、あるアブレーション部位から前記所与のクラスタまでの距離が前記第1の閾値より小さいことが判明すると、当該アブレーション部位を前記所与のクラスタに追加することと、により前記アブレーション部位をクラスタ化するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
前記プロセッサは、前記アブレーション部位を形成するために用いられるアブレーション信号のパラメータに応じて、前記距離を評価するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概論
心臓アブレーションは、心臓の機能障害を和らげるために、心腔の内面上の心臓の組織を局所的に加熱しアブレーションする手術である。医師、典型的には心臓専門医がアブレーション療法を施す際には、当該医師は通常、カテーテルの遠位端部に位置するアブレーション電極を用いて、例えば心臓組織にRFエネルギーを適用することにより、アブレーション処置済部位を形成する。アブレーション電極は、あらかじめ定義された軌跡に沿った複数の別々のアブレーション部位において、心腔の心内膜に接触するようになっている。
【0013】
心臓専門医は、ディスプレイ上の心臓の画像内で、カテーテルの先端部の位置を観察することによって、手術の模様を監視し得る。カテーテルの先端部の位置は、例えば、カテーテル位置追跡システム又は同画像化システムによって、検出することが可能である。
【0014】
もし心臓専門医が、隣り合うアブレーション処置済部位を、あまりに互いから遠く離れて作製した場合、その結果生じる空白域は、例えば、心臓興奮波の寄生的な電気的経路を完全には消滅させることができず、心臓の機能障害を完全に緩和し得ない場合がある。
【0015】
本明細書に説明される本発明の実施形態は、心臓アブレーション部位間にある空白域を識別し視覚化するための方法を提供する。いくつかの実施形態においては、心臓をマッピングしアブレーションするシステムのプロセッサが、心臓の表面上の複数のアブレーション部位の座標を受信する。続いてプロセッサは、アブレーション部位間の許容できない空白域を識別する。許容できない空白域とは、例えば、一定の閾値より大きい空白域のことである。プロセッサは、識別した空白域を、医師が当該空白域を消滅させることが可能になるように提示する。
【0016】
いくつかの実施形態においては、プロセッサは許容できない空白域を、アブレーション部位間の距離を測定し、漸次アブレーション部位をグループに集める、反復される工程を用いて識別するようになっている。当該工程は通常、結果として生じるグループ又はクラスタを提示し、それらの間に見出されたあらゆる許容できない空白域を強調するようになっている。
【0017】
開示される技術を用いて、医師は、アブレーションの質が不十分であると思われる場所を強調した、明瞭でリアルタイムの視覚的表示を取得できる。このようなディスプレイを用いることにより医師は、問題の場所を一度離れた後再び処置し、アブレーション手術を成功裏に完了することが可能になる。
【0018】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、心臓アブレーションのシステム20を概略的に示すブロック図である。システム20は、本実施例では心臓カテーテルであるプローブ22と、制御コンソール24とを含む。本明細書に説明される実施形態においては、例として、カテーテル22は、その遠位端部40近くに位置するアブレーション電極を用いて、患者28の心臓26の組織をアブレーションするために用いることが想定されている。代替的又は追加的に、カテーテル22は、例えば、患者28の心臓26の心腔に対して、電気生理学的な(EP)心臓信号マッピングを、心臓の機能障害の診断(ここでは不図示)のために行うなど、任意の他の好適な診断及び/又は治療的手技において用いられ得る。
【0019】
コンソール24は、インターフェイス38を介してプローブ22からの信号を受信するため及び本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するための適切なフロントエンド回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ42を備える。プロセッサ42は、システムによって使用される機能を実行するためにソフトウェアにプログラムされてもよく、プロセッサはソフトウェアのためのデータをメモリ50に記憶する。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール24にダウンロードするか、又は光学的、磁気的又は電子的記録媒体などの、非一時的な実体のある媒体上に提供され得る。代替的に、プロセッサ42の機能の一部又はすべてが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0020】
通常は医師又は心臓専門医であるが、操作者30がカテーテル22を患者28に挿入し、当該カテーテルを患者の血管系を通して操縦する。心臓専門医30は、カテーテル22の遠位端部40を、心臓26内のアブレーションされる標的領域近傍に、動かす。
【0021】
まず、アブレーション療法の間に、遠位端部40にあるアブレーション電極の患者28内の位置(すなわち、座標)を検知して記録することに関して、いくつかの実施形態においては、カテーテル22の遠位端部40の心腔内での位置を測定するために、位置検知システムが用いられてよい。コンソール24は、駆動回路34を備えており、この駆動回路34は、患者28に対して外側の既知の位置、例えば患者の胴体の下に配置された磁場発生器36を駆動する。
【0022】
磁場センサ、典型的には磁気プローブコイル(不図示)を含む磁場センサが、遠位端部40近傍でカテーテル22に装着される。位置センサは、コイルからの磁場に応答して電気位置信号を生成し、それによってプロセッサ42が心腔内における遠位端部40の座標すなわち位置、それゆえにアブレーション電極の座標を判定することが可能になる。
【0023】
他の実施形態では、システム20は、心腔内の遠位端部40の位置を判定するために、インピーダンスを基本とする位置検知技法(例えば、高度カテーテル位置(ACL)技術)を使用することができる。これらの実施形態におけるシステム20は、遠位端部40の少なくとも1つの電流電極と、典型的には患者の心臓の上方の胸部に装着された患者28(
図1には図示せず)上の複数の体表面電極との間で電流を駆動するように構成される。その後、プロセッサ42は、複数の体表面電極と遠位端部40の少なくとも1つの電流電極との間で測定された電流に基づいて遠位端部の位置を判定する。更に代替的には、システム20は、他の任意の好適な方法により、遠位端部40(それはすなわちアブレーション電極)の位置を判定し得る。
【0024】
RFアブレーションに関して、コンソール24は、RF信号生成器を含むが、当該RF信号生成器は、カテーテル22の遠位端部40にあるアブレーション電極に、RF信号を適用するために用いられる。電極が心臓組織に接触すると、RF信号がアブレーション部位にある心臓組織を局所的に加熱し、局所的に壊死させる。上記の位置検知システム、又は、例えば、超音波、X線透視法、若しくは磁気共鳴映像法(MRI)といった画像化システムが、施術中にアブレーション電極により形成された複数のアブレーション部位の位置を記録する。
【0025】
プロセッサ42は、心臓専門医30に対して、ディスプレイ46上に、恐らくは、局所的心電信号測定値をシミュレート面上に重ねた形で、記録された複数のアブレーション部位の位置を記した心臓26の画像44を表示する。
【0026】
インターフェイス38は、アブレーション電極により形成された複数のアブレーション部位の座標を、プロセッサ42に中継するように構成されている。いくつかの実施形態においては、インターフェイスは、磁場センサから、カテーテル22の遠位端部40の近くに位置するアブレーション電極の座標を示す信号を、受信するように構成されていてよい。次にプロセッサ42は、遠位端部40の位置(例えば、アブレーション電極の位置座標)を演算する。
【0027】
他の実施形態においては、インターフェイスは、任意の好適な画像化システム(例えば、超音波、X線透視法、MRI等)により記録されたアブレーション部位の座標を受信するように構成されていてよい。プロセッサ42は、複数のアブレーション部位の座標を、任意の好適な方法によって受信してよく、本明細書に説明される実施形態により、当該座標をアブレーション空白域を識別するために用いることができるようになっている。
【0028】
最後に、システム20はまた、EP心臓信号マッピングを含み得るが、当該マッピングを、アブレーション療法の有効性をリアルタイムで評価するために用いることができる。カテーテル22はまた、カテーテルの遠位端部近くに、1つ又は2つ以上のマッピング電極を含み得るが、当該マッピング電極により、心臓組織との1つ又は2つ以上の接触点において、心電信号を測定することが可能となる。プロセッサ42は、当該の心腔又は心室の模擬表面を構築するマップ点の遠位端部座標の位置を使用する。続いて、プロセッサ42は、マップ点の電位測定値をシミュレート面と組み合わせて、シミュレート面上に重ね合わされた電位マップを作製する。システム20は、例えば、X線透視法、又は磁気共鳴映像法(MRI)を、カテーテル位置検知システムにおいて心臓の画像をEPマッピングと同期するために用いてよい。
【0029】
この位置検知法は、例えば、Biosense Webster社(カリフォルニア州、ダイアモンドバー)が製造するCARTO(商標)システムにおいて実行されており、その詳細は米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、PCT特許公開WO 1996/05768、並びに米国特許出願公開第2002/0065455号、同第2003/0120150号及び同第2004/0068178号に開示されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。Biosense Webster社(カリフォルニア州、ダイアモンドバー)製造の、VisiTag(商標)モジュールは、アブレーション処置済部位の視覚的表現を提供し、心臓専門医がアブレーションの戦略を立てるのを、処置済部位形成のための異なるパラメータを表示することによって支援するようになっている。
【0030】
図1に示される実施形態は、単に視覚的に明確にするためのものであり、本発明の実施形態を限定しようとするものではない。システム20は、RFアブレーションに限られないが、RFアブレーションは、本明細書においてはそれを通して、一例として用いられている。集光レーザーアブレーション又は超音波アブレーションのような、任意の他の好適な心臓アブレーション療法を用いてもよい。カテーテル22は、遠位端部40に位置した1つのアブレーション電極を持つものに限られず、カテーテル22の本体に沿って任意の好適な位置に設けられた任意の好適な数のアブレーション電極を含むものであってよい。カテーテルは、例えば、その遠位端部に沿って分布する複数のアブレーション電極を有するラッソーカテーテルを含み得る。
【0031】
心臓アブレーション部位内の空白域の識別
アブレーション手術中に、心臓専門医30は、アブレーション電極を用いて心臓の組織を、通常、その部位毎に個別にアブレーションする。時には、心臓専門医30が、アブレーション手術の最中に、心臓の組織における、アブレーション部位の計画された空間的軌跡に沿った1つの領域をアブレーションし損なう場合があり得る。そのようにアブレーションし損なわれた領域を、本明細書では空白域と呼ぶ。もし空白域が存在する場合には、心臓の機能障害は、アブレーション手術によっても緩和されないことがあり得る。したがって、アブレーション処置済部位間にある空白域を識別し、心臓専門医にそれを警告することは、心臓専門医がアブレーション手術の全体的な有効性を評価し、必要であればそれを改善するのを支援するという点で非常に有利なものである。
【0032】
図2Aは、本発明の一実施形態による、アブレーションを受けている心臓26を示す図である。カテーテル22の遠位端部40(
図2Aにおいては黒色で示されている)にあるアブレーション電極が、心腔に複数のアブレーション部位100において接触して、心臓組織を局所的に壊死させるようになっている。それぞれのアブレーション部位100において、アブレーション処置済部位が形成される。
【0033】
心臓専門医30が、アブレーション電極を用いて、心腔の面上に複数のアブレーション処置済部位を形成するにしたがって、プロセッサ42が、遠位端部40にある位置センサの位置追跡機能、又は、先に説明したような画像化システムを用いて、複数のアブレーション部位100の位置を記録する。アブレーション部位100の位置を、心臓専門医30に対して、ディスプレイ46上に、心臓26の画像44中に、リアルタイムで表示することができる。カテーテル22の遠位端部近くにあるか、又は別体のカテーテル(
図1には不図示)上にあるEPマッピング電極を用いて、1つ又は2つ以上のマッピング電極において、上に説明したように測定される心電信号がアブレーション療法に対してどのように変化するかを監視することができる。
【0034】
図2Bは、本発明の一実施形態による、心臓26の画像44上の、注記がなされたアブレーション部位を示す図である。
図2Bは、挿入
図90内にアブレーション部位100の、プロセッサ42による処置後の、
図2Aに示したアブレーション領域の拡大図を示したものである。この図を作製するためのアルゴリズムの一例が、以下に
図3A〜3Eで説明される。
【0035】
図2Bの例では、アブレーション部位100は丸で表されている。アブレーション部位のいくつかは、線120により接続されている。線120によって相互に接続されているアブレーション部位100のグループのそれぞれは、部位グループ又はクラスタと呼ばれる。
図2Bにおいて、アブレーション部位間の許容できない空白域110は、太線125でマークされている(それゆえ、医師に対して目立つように強調されている)。
【0036】
本実施形態においては、許容できない空白域とは、アブレーション部位、又はクラスタ間の間隔であって、隣接距離閾値(ADT)よりも大きいが、グループ外(OOG)閾値よりも小さい間隔として定義されている。このように2つの閾値を採用するのは、非常に大きい空白域(つまりOOG)が存在する場合、それらが意図的に残されたという可能性が高いからである。このように、OOG閾値より大きい間隔があっても、それれは、許容できない空白域とみなすことはできず、それは通常、医師に対しては目立つように強調されない。そのような間隔の一例が、
図2Bに、大括弧115として図示されている。
【0037】
図2A及び2Bに示す図は、単に概念を明瞭にすることを目的としたものであり、本発明の実施形態を制限するものではない。ADT大括弧110及びOOG大括弧115の長さ(例えば、これらのパラメータの値)は、あくまでも例にすぎず、心臓専門医は、任意の好適な値を選ぶことができる。ADT及びOOG(例えば、ADT大括弧110及びOOG大括弧115)の典型的値としては、それぞれ5mm及び20mmである。
【0038】
なお、
図2Bにおいては、カテーテル22の遠位端部40にあるアブレーション電極によって形成される、複数のアブレーション部位100におけるアブレーション処置済部位の直径は、あくまで図の明瞭さのため、概ね同じ径になるように描かれている。代替的な実施形態においては、アブレーション部位100の直径は、例えば、それぞれのアブレーション部位に応じて設定されたアブレーションのパラメータ(例えばアブレーション時間、又はアブレーション信号のパワー)に応じて、個々に異なっていてよい。
【0039】
いくつかの実施形態においては、アブレーション部位100間の測定された距離(例えば、線120)は、当該部位の直径を考慮していない。例えば、上記距離は、アブレーション部位の中心どうしの間の距離として計算されてよい。他の実施形態においては、アブレーション部位100間の測定された距離は、部位の直径に依存する。例えば、アブレーション部位の中心が同じ位置にあっても、アブレーション処置済部位の径が大きい場合には、アブレーション処置済部位の径が小さい場合よりも上記距離は短くなる。
【0040】
いくつかの実施形態においては、プロセッサ42は、アブレーション部位間の測定された物理的距離を、一方又は両方のアブレーション部位のアブレーションの質(アブレーションインデックスとも呼ばれる)に依存する倍率によって拡大縮小する。その結果、質の低いアブレーション部位は、質の高い部位と比べてより遠くに離れているように解釈されるようになる。
【0041】
図3A〜3Eは、本発明の一実施形態による、アブレーションの空白域を検出し、視覚化するアルゴリズムのフローを示す図である。
図3Aにおいては、プロセッサ42は、複数のアブレーション部位100の位置を受信し、登録する。
【0042】
アルゴリズムのフローの第1のステップにおいては、プロセッサ42は、ある領域130を検査する。それぞれのアブレーション部位100に対して、プロセッサは、より近い隣接アブレーション部位を有しない、最も近い隣接アブレーション部位を探す。上記二つのアブレーション部位間の距離が、隣接距離閾値(ADT)よりも短い場合、プロセッサ42は、それらを対であるとしてフラグを立てる。
図3Bに示すように、これらの距離は線120によって接続される。第1のステップの終わりに、すべてのアブレーション部位100は、対にグループ化されるか又は対にされぬままにされることになる。なお、本ステップは、ADT閾値よりも短い距離で互いの近くにあるアブレーション部位のすべての対を、マークしつくすというわけではない。
【0043】
アルゴリズムの第2のステップにおいては、プロセッサ42が、ADT閾値よりも短い距離で互いの近くにあるクラスタ(単一部位からなるクラスタとみなされる、対になっていない個別の部位100を含む)どうしを接続する。本ステップを表3Cに示す。本ステップにおいては、いくつかの距離155(単一部位からなるクラスタの1つと、複数の部位からなるクラスタの1つとの間の距離)が、部位100と線120の中間点145との間で計算される。このクラスタ化の工程は通常、安定に至るまで、すなわち、接続すべき新たなクラスタの対を見つけることができなくなるまで継続する。
図3Cのアルゴリズムステップは、少なくともADT閾値と等しい距離だけ互いに離間している複数のクラスタ140を作り出す(もしそれより離間距離が短ければ、それらのクラスタは接続されているであろう)。
【0044】
図3Dに示される第3にして最後のステップにおいては、プロセッサ42が、隣接クラスタ140間にある、OOG閾値よりも短い距離の空白域110を識別する。識別された空白域は、許容できない空白域125として、ディスプレイ46上に、太線でマークされるか、又はその他の方法で目立たせて強調される。
【0045】
OOG閾値より長い距離によって離間しているアブレーション部位クラスタ間の空白域は、通常マークされず、許容できない空白域とみなされないようになっている。
図3Eは、この種のシナリオを示す。同図には、2つの領域130及び160が図示されている。当該2つの領域内の、それぞれ最も近くにあるクラスタ間の離間距離(空白域115としてマークされている)は、OOG閾値より大きくなっている。そのため空白域115は、許容できないものとしてはマークされず、そうはみなされない。
【0046】
図3A〜3Eに描かれている図は、開示される技術を例示する際の、諸概念を明確にするためのものに過ぎず、本発明の実施形態を制限するためのものではない。代替的な実施形態においては、プロセッサ42は、空白域125の識別のために、任意の他の好適なアルゴリズムを用いてよい。例えば、複数のアブレーション部位100の座標に基いた任意の好適な基準点を用いて、隣接するアブレーション部位間の距離を計算して、空白域を識別することも可能である。開示される技術は、先に説明したような、中心と中心との間の距離や、中間点145を用いるものに限られない。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態による、アブレーションの空白域の存在を検出する方法を示すフローチャートである。当該方法は、まずアブレーションステップ200において、心臓26の内面上の所望の軌跡に沿った複数のアブレーション部位100で、医師30がアブレーションを実行することにより開始される。位置入力ステップ204において、プロセッサ42は、インターフェイス38を介して、アブレーション部位100の位置(例えば、座標)を受信する。上記のように、アブレーション部位100の位置は、磁気的位置追跡システム又は画像化(例えば、超音波)システムのような、任意の好適なソースから受信されてよい。
【0048】
距離測定ステップ208において、プロセッサ42は、上記
図3A〜3Eに図示されるように、アブレーション部位間、及び/又は部位クラスタ間の距離を測定する。部位表示ステップ208において、プロセッサ42は、クラスタ化されたアブレーション部位をディスプレイ46上に表示する。
【0049】
空白域チェックステップ216において、プロセッサ42は、クラスタ化されたアブレーション部位間に許容できない空白域が存在するかをチェックする。本実施例においては、プロセッサ42は、いずれかの空白域がADT閾値より大きく、しかしOOG閾値より小さいかをチェックする。しかし代替的には、任意の他の警告基準を用いて、許容できない空白域を識別することも可能である。
【0050】
もし許容できない空白域が1つも見つからなければ、本方法は、上述のステップ200に戻る。もし1つまたは2つ以上の空白域が許容できないものであると判明した場合には、マーキングステップ220において、プロセッサ42が、識別された空白域をディスプレイ46にマークする。この目的のためには、任意の好適な視覚的手段を用いることが可能である。次に、本方法は、上述のステップ200に戻り、そこで医師は、任意選択で、上記の識別された空白域に追加的なアブレーション部位100を形成する。
【0051】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかであろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに上記の説明を読むことによって当業者には想到されるであろう、先行技術において開示されていない変形例及び改変例も含まれるものである。参照により本特許出願に援用される文書は本出願の一部をなすものとみなされるべきであるが、これらの援用される文書において、任意の用語が、本明細書において明示的又は暗示的になされる定義と矛盾するように定義される限りは、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) 心臓の表面上に形成された複数のアブレーション部位の位置を受信することと、
前記アブレーション部位のうちの少なくともいくつかのものの間の距離を、前記位置に基いて測定することと、
警告基準を満たしている、前記アブレーション部位間の1つまたは2つ以上の空白域を識別することと、
操作者に対して前記識別された空白域を示すことと、を含む方法。
(2) 前記空白域を識別することは、第1の閾値よりも大きいが第2の閾値より小さい前記空白域を検知することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記距離を測定することは、第1のアブレーション部位と第2のアブレーション部位との間の距離を、前記第1のアブレーション部位及び前記第2のアブレーション部位の一方又は両方に関連したアブレーションの質に依存する倍率によって拡大縮小すること(scaling)を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記距離を測定することは、前記アブレーション部位を、第1の閾値より距離が小さい隣接するアブレーション部位どうしを接続することによってグループにクラスタ化することを含み、且つ、前記空白域を識別することは、グループどうしを隔てる距離で、第2の閾値より小さいものを識別することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記アブレーション部位をクラスタ化することは、所与のクラスタから前記アブレーション部位のうちの1つ又は2つ以上までの距離を繰り返し計算することと、あるアブレーション部位から前記所与のクラスタまでの距離が前記第1の閾値より小さいことが判明すると、当該アブレーション部位を前記所与のクラスタに追加することと、を含む、実施態様4に記載の方法。
【0053】
(6) 前記距離を測定することは、前記アブレーション部位を形成するために用いられるアブレーション信号のパラメータに応じて、前記距離を評価することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記距離を測定することは、前記アブレーション部位のサイズに応じて、前記距離を評価することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 心臓の表面上に形成された複数のアブレーション部位の位置を受信するように構成されているインターフェイスと、
前記アブレーション部位のうちの少なくともいくつかのものの間の距離を、前記位置に基いて測定し、警告基準を満たしている、前記アブレーション部位間の1つまたは2つ以上の空白域を識別し、操作者に対して前記識別された空白域を示すように構成されているプロセッサと、を備えるシステム。
(9) 前記プロセッサは、第1の閾値よりも大きいが第2の閾値より小さい前記空白域を検知することによって前記空白域を識別するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記プロセッサは、第1のアブレーション部位と第2のアブレーション部位との間の距離を、前記第1のアブレーション部位及び前記第2のアブレーション部位の一方又は両方に関連したアブレーションの質に依存する倍率によって拡大縮小するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
【0054】
(11) 前記プロセッサは、前記アブレーション部位を、第1の閾値より距離が小さい隣接するアブレーション部位どうしを接続することによってグループにクラスタ化し、グループどうしを隔てる距離で、第2の閾値より小さいものを識別するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
(12) 前記プロセッサは、所与のクラスタから前記アブレーション部位のうちの1つ又は2つ以上までの距離を繰り返し計算することと、あるアブレーション部位から前記所与のクラスタまでの距離が前記第1の閾値より小さいことが判明すると、当該アブレーション部位を前記所与のクラスタに追加することと、により前記アブレーション部位をクラスタ化するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記プロセッサは、前記アブレーション部位を形成するために用いられるアブレーション信号のパラメータに応じて、前記距離を評価するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
(14) 前記プロセッサは、前記アブレーション部位のサイズに応じて、前記距離を評価するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。