特開2015-226930(P2015-226930A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-226930(P2015-226930A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】鋳造装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/00 20060101AFI20151120BHJP
   B22D 18/04 20060101ALI20151120BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20151120BHJP
   B22C 9/06 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   B22C9/00 B
   B22D18/04 R
   B22D17/22 G
   B22C9/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-114041(P2014-114041)
(22)【出願日】2014年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 洋史
(72)【発明者】
【氏名】大野 努
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕亮
【テーマコード(参考)】
4E093
【Fターム(参考)】
4E093KB04
4E093NA01
(57)【要約】
【課題】鋳造時に中子から発生するガスから、ヤニを効率的に回収してガス抜き配管等に対するヤニの付着の低減を図る。
【解決手段】金型2のキャビティ6内に崩壊性の中子3を配設して鋳造する鋳造装置1において、先端部がキャビティ6内に位置し、中子3から発生するガスを通すガス抜きピン4と、ガス抜きピン4の基端部と連通し、ガス抜きピン4から流入するガスを冷却する冷却手段を有して、冷却されたガスの一部を液化したヤニとして回収するヤニ回収装置16と、を備える構成とした。前記冷却手段は、ヤニ回収装置16のガス出口側で発生させる負圧によりガスを冷却する構成からなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型のキャビティ内に崩壊性の中子を配設して鋳造する鋳造装置において、
先端部がキャビティ内に位置し、前記中子から発生するガスを通すガス抜きピンと、
前記ガス抜きピンの基端部と連通し、ガス抜きピンから流入するガスを冷却する冷却手段を有して、冷却されたガスの一部を液化したヤニとして回収するヤニ回収装置と、
を備えることを特徴とする鋳造装置。
【請求項2】
前記冷却手段は、
前記ヤニ回収装置のガス出口側で発生させる負圧によりガスを冷却する構成からなることを特徴とする請求項1に記載の鋳造装置。
【請求項3】
前記ヤニ回収装置は、
そのガス流路が、ガス出口におけるガス流れ方向に対して少なくとも1回は逆向きとなるように迷路構造となっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋳造装置。
【請求項4】
前記ヤニ回収装置のガス入口は、ヤニ回収装置の底部に上下方向に開口形成されて前記ガス抜きピンの上部に位置し、
前記ガス入口の上部には水平方向に対して交差した交差面が形成され、
前記ガス入口から流入したガスが前記交差面に沿って下方に流れるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の鋳造装置。
【請求項5】
前記ガス抜きピンには、金型の外側の位置においてガス抜きピンを加熱するヒータが取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の鋳造装置。
【請求項6】
前記ヤニ回収装置は、底板部にガス入口が形成され、側板部にガス出口が形成された密閉箱状のヤニ回収ボックスを備えて構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の鋳造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、エンジン部品の一つであるアルミニウム合金製のシリンダヘッド等のように、複雑な内部空間形状を有する鋳造製品の製造は従来、金型のキャビティ内に崩壊性の中子を配設し、且つ「低圧鋳造法(LPDC)」により行われている。この製造方法では、鋳造成形が終わって鋳造製品を金型から取り出した後、中子を崩すことにより複雑な内部空間形状を確保する。
【0003】
前記崩壊性の中子は、周りをレジン(熱可塑性樹脂)でコーティングされた細粒ケイ砂を鋳造製品の内部空間形状に対応させた形状に造形し、レジンを硬化させることで中子として造形される。
このような中子を利用する鋳造装置の従来技術としては、たとえば特許文献1、2に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−110559号公報
【特許文献2】特開2009−131888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鋳造の際、鋳造製品を成形するキャビティ内に配設された中子は、充填される合金アルミニウム等の溶融金属の高温の溶湯に触れる。すると、中子のレジンが溶湯の高熱により熱分解を起こして、有機ガスである「中子ガス」が発生する。一般に金型には、ガス抜き配管等が備えられているが、従来、中子ガスがこのガス抜き配管において液化し、いわゆる「ヤニ」として滞留するという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために創作されたものであり、鋳造時に中子から発生するガスから、ヤニを効率的に回収してガス抜き配管等に対するヤニの付着の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、金型のキャビティ内に崩壊性の中子を配設して鋳造する鋳造装置において、先端部がキャビティ内に位置し、前記中子から発生するガスを通すガス抜きピンと、前記ガス抜きピンの基端部と連通し、ガス抜きピンから流入するガスを冷却する冷却手段を有して、冷却されたガスの一部を液化したヤニとして回収するヤニ回収装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この鋳造装置によれば、中子から発生したガスが、比較的低温のヤニ回収装置の装置内に触れた際、液化されてヤニとなって装置内に回収される。また、ガスを装置内部で冷却するので、装置内でヤニを効率的に回収できる。
【0009】
また、本発明は、前記冷却手段は、前記ヤニ回収装置のガス出口側で発生させる負圧によりガスを冷却する構成からなることを特徴とする。
【0010】
この鋳造装置によれば、ヤニ回収装置内において、ガス出口側で発生させる負圧によりガスの流速が上がり、ガスが冷却されてヤニを効率的に回収できる。ガス出口側で負圧を発生させるので、ガス出口側の冷却効果に比してガス入口側での冷却効果は低くなる。したがって、ガス抜きピン側でのヤニの付着を低減できる。
【0011】
また、本発明は、前記ヤニ回収装置は、そのガス流路が、ガス出口におけるガス流れ方向に対して少なくとも1回は逆向きとなるように迷路構造となっていることを特徴とする。
【0012】
この鋳造装置によれば、ヤニ回収装置内でのガスの流路長さを大きく確保できるので、その分、ガスの通過時間が長くなり、その分、ヤニを効率的に回収できる。
【0013】
また、本発明は、前記ヤニ回収装置のガス入口は、ヤニ回収装置の底部に上下方向に開口形成されて前記ガス抜きピンの上部に位置し、前記ガス入口の上部には水平方向に対して交差した交差面が形成され、前記ガス入口から流入したガスが前記交差面に沿って下方に流れるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
この鋳造装置によれば、ガス入口の上部に交差面を設けることにより、交差面からのヤニの滴下を防止でき、ガス抜きピンへのヤニの流入を防止できる。
【0015】
また、本発明は、前記ガス抜きピンには、金型の外側の位置においてガス抜きピンを加熱するヒータが取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
この鋳造装置によれば、ガス抜きピン内でガスが冷却されて液化し、ヤニがガス抜きピン内に付着することを防止できる。
【0017】
また、本発明は、前記ヤニ回収装置は、底板部にガス入口が形成され、側板部にガス出口が形成された密閉箱状のヤニ回収ボックスを備えて構成されていることを特徴とする。
【0018】
この鋳造装置によれば、ヤニ回収装置を簡単な構造にできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、鋳造時に中子から発生するガスから、ヤニを効率的に回収してガス抜き配管等に対するヤニの付着の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る鋳造装置の側面図である。
図2】(a)はヤニ回収装置の平面図であり、(b),(c)はそれぞれ(a)におけるA−A断面図、B−B断面図である。
図3】ヤニ回収装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、鋳造装置1は、金型2と崩壊性の中子3とガス抜きピン4とを備えている。金型2は、上型2Aと複数の横型2Bと下型2Cとを備えて構成される。下型枠5Cに取り付けられて固定型となる下型2Cに対し、上型枠5Aに取り付けられた上型2Aが昇降自在に構成され、横型枠5Bに取り付けられた横型2Bが横方向にスライド自在に構成されている。下型2Cには、金型2のキャビティ6内に溶湯を流し込むための湯口7が形成されている。
【0022】
キャビティ6内には、鋳造製品の成形後に崩される中子3が配置される。中子3は、レジン(熱可塑性樹脂)でコーティングされた細粒ケイ砂を鋳造製品の内部空間形状に対応させた形状を呈し、レジンを硬化させることで造形されている。中子3は、金型2が開いた状態のときに金型2内に配置され、金型2が閉じたときに上型2A、横型2B、下型2Cにより位置決め保持される。
【0023】
ガス抜きピン4は、中子3から発生するガスを外部に放出するためのパイプ状の部材である。本実施形態のガス抜きピン4は、上型2Aを鉛直方向に貫通して先端部(下端)が中子3に若干埋設されるように接する下方ピン部8と、下方ピン部8の上端に鉛直状に取り付けられる配管部9と、配管部9の上端に鉛直状に取り付けられる上方ピン部10とを備えて構成される。下方ピン部8と配管部9と上方ピン部10とにより鉛直方向に延びるガス抜き流路11が形成される。上方ピン部10の高さ方向中程の外周面にはフランジ部10Aが形成されており、このフランジ部10Aに下端が載置されるようにして圧縮コイルばね12が上方ピン部10に外嵌されている。圧縮コイルばね12の上端には、上方ピン部10に対して昇降自在に遊嵌されるリング板状の蓋板13が配置されている。
【0024】
配管部9は、上型2Aの外側(上方)に位置している。配管部9は、平断面が略矩形状を呈した上下方向に長尺のブロック片からなり、前記したように内部にガス抜き流路11が形成されるとともに、このガス抜き流路11に平行して加温孔14が形成されている。加温孔14は配管部9の上面から穿孔され、その下端は貫通することなく配管部9の下面近傍で寸止めされている。そして、配管部9には、その一部が加温孔14に差し込まれるようにヒータ15が取り付けられている。これにより、ヒータ15からの熱が加温孔14を介して配管部9の略高さ全体にわたり、ガス抜き流路4Dを流れるガスに伝達される。なお、下方ピン部8と配管部9と上方ピン部10とは、互いに別部材であるものを一体に組み付けたものであってもよいし、一体成形されたものであってもよい。
また、ガス抜きピン4の数は本実施形態では2本としているが(図1では奥側のガス抜きピン4が隠れて図示されている)、1本でもよいし3本以上であってもよい。
なお、ガス抜きピン4を加温しなくともよい場合はヒータ15がなくてもかまわない。
【0025】
「ヤニ回収装置16」
鋳造装置1には、ガス抜きピン4の基端部(上方ピン部10の上端)と連通し、ガス抜きピン4から流入するガスを冷却する冷却手段17(図2)を有して、冷却されたガスの一部を液化したヤニとして回収するヤニ回収装置16が備えられている。
【0026】
ヤニ回収装置16は、底板部にガス入口18が形成され、側板部にガス出口19が形成された密閉箱状のヤニ回収ボックス20を備えている。ヤニ回収ボックス20は、図示しないブラケットを介して昇降テーブル23に図示しないボルトにより載置固定されている。図2および図3において、ヤニ回収ボックス20は、横長の直方体形状を呈しており、本実施形態では水平面を分割面として下方の本体部21と上方の蓋部22とに分割構成されている。
【0027】
本体部21は、上部が開口形成された直方体状の箱筺体からなり、上縁全周にはフランジ部21Aが外側に向けて水平状に延設されている。本体部21の底板21Bには、無蓋無底の円筒部21Cが本体部21内に突出するように立設されている。円筒部21Cは、本体部21の長手方向に沿って一対として立設されている。各円筒部21Cには、無蓋無底の筒部材24が上方から挿通される。筒部材24は、円筒部21Cに挿通される筒部24Aと、筒部24Aの上縁に形成されるフランジ部24Bとを備えて構成されており、フランジ部24Bが円筒部21Cの上縁に当接することで、円筒部21Cに対して落下不能に遊嵌される。筒部材24の下端は本体部21の底板21Bから下方に突出して、昇降テーブル23に形成された貫通孔を挿通して下方に位置した状態となる。そして、図1に示すように、ガス抜きピン4の基端部は、この筒部材24の下端近傍の内部に位置する。すなわち、本実施形態では筒部材24が、ガス抜きピン4と連通するガス入口18を構成する。
【0028】
図2および図3に戻り、本体部21の内部には、上面が傾斜状に形成されたインナボックス25が配置される。インナボックス25は、本体部21の長手方向に沿った横長であって、下部が開口形成された略直方体形状の箱筺体からなり、一対の筒部材24を囲うようにして本体部21の底板21Bに載置される。インナボックス25の上面は、インナボックス25の短辺方向に傾斜する傾斜上面25Aとして形成されている。傾斜上面25Aの長手方向における一端(ガス出口19が形成される側)近傍には長孔25Bが穿孔されている。以上により、ガス入口18を構成する筒部材24の直上に、水平方向に対して交差した交差面(傾斜上面25A)が位置し、長孔25Bは筒部材24に対して長手方向一端側にずれて位置する。
【0029】
「冷却手段17」
蓋部22は、下部が開口形成された扁平直方体状の箱筺体からなり、下縁全周にはフランジ部22Aが外側に向けて水平状に延設されている。蓋部22の短辺に沿う一対の側面22B,22Cの内で、一方の側面22Bにはホース継ぎ手26が取り付けられ、他方の側面22Cにはホース継ぎ手26と同軸上に円孔が穿孔されている。蓋部22の内部には、基端がホース継ぎ手26と連通するように蓋部22の長手方向に沿って延設されたエア管27が取り付けられている。他方の側面22Cの内側には、エア管27の外径よりも大径の内径を有する無蓋無底の筒体28が、前記円孔に嵌入されて溶接等により固定されている。外部に臨む筒体28の開口端はガス出口19を構成する。エア管27の先端は、側面22Cから所定距離だけ離間して筒体28の内部に位置しており、エア管27の先端周りの外面と筒体28の内面との間には、隙間Lを有して蓋部22の内部に臨む環状の負圧空間29が形成される。
【0030】
以上により、ホース継ぎ手26に接続したホース30からエアを吹き込むと、エアは図2(b)に矢印Qで示すようにエア管27の先端からガス出口19を通って外部に抜ける。そして、エア管27の先端から吹き出るエアの勢いにより狭隘な負圧空間29に負圧が発生し、ヤニ回収ボックス20内のガスが矢印Pで示すように負圧空間29に吸い込まれてガス出口19から排出される。本実施形態では、負圧空間29で生じる負圧が冷却手段17を構成する。負圧空間29で生じる負圧の大きさは、エア管27の径や隙間Lの寸法を適宜に設定することで、所望の大きさを得ることができる。
また、本発明においては、ヤニ回収ボックス20は金型2から離間した位置に設けられており、ガスがヤニ回収ボックス20に流入するとヤニ回収ボックス20の筺体に触れることにより冷却されることとなる。したがって、ヤニ回収ボックス20自体も冷却手段17を構成するものである。
【0031】
以上の構成からなる本体部21と蓋部22とは、例えば平板状の仕切り板33を挟むようにしてフランジ部21A,22A同士があてがわれ、ボルト31およびナット32により締結固定されることにより、略密閉状のヤニ回収ボックス20として構成される。仕切り板33は、インナボックス25との間で空間を形成するようにインナボックス25の上方に位置する。仕切り板33の長手方向における一端(ホース継ぎ手26が取り付けられている側)近傍には長孔33Aが穿孔されている。長孔33Aは筒部材24に対して長手方向他端側にずれて位置している。
【0032】
また、蓋部22内には、ガス中のヤニ成分を吸着するための綿状のヤニ吸着材34が適宜に充填されている。そして、ヤニ吸着材34は、換言すると、蓋部22の長手方向に沿って延設されるエア管27を接して取り囲んで詰められている。ヤニ吸着材34は、たとえば布状部材、フェルト部材、網目金属部材等でもかまわない。所定の通気性を有していればその材質は特に限定されるものではない。また、ヤニ吸着材34を設けない構成にしてもよい。
【0033】
「作用」
鋳造成形時においては、昇降テーブル23が下降して筒部材24の下端が蓋板13に当接した状態にある。これによりガス入口18が密閉された状態としてガス抜きピン4と連通している。また、ホース30を介してエア管27にエアが供給され、負圧空間29に負圧が発生している。
【0034】
鋳造成形時に湯口7からキャビティ6内に溶湯が流れ込むと中子3からガスが発生する。発生したガスは、ガス抜きピン4を通ってヤニ回収ボックス20に流入する。ガス抜きピン4の配管部9にはヒータ15が取り付けられているため、ガス抜きピン4内でガスが冷却されて液化し、ヤニがガス抜き流路11内に付着することはない。
【0035】
筒部材24からヤニ回収ボックス20内に流入したガスは、ヤニ回収ボックス20の筺体に触れることにより冷却される。中子3から発生するガスは、たとえば200℃程度まで冷却されると液化してヤニになるので、ヤニ回収ボックス20やインナボックス25に触れることにより冷却されてこれらの筺体内面にヤニとして付着する。具体的には、筒部材24からヤニ回収ボックス20内に上向きに流入したガスは、先ずインナボックス25の傾斜上面25Aに当たって傾斜上面25Aに沿って流れる。また、ヤニ回収ボックス20の長手方向に関するガスの流れについては、図2(b)に矢印Rで示すように図中右側から左側に流れて長孔25Bから上方に抜ける。
【0036】
長孔25Bを抜けたガスは、今度は、インナボックス25と仕切り板33との間の空間を矢印Sで示すように図中左側から右側に流れて長孔33Aから上方に抜ける。長孔33Aを抜けたガスは、ヤニ吸着材34によりヤニ成分が除去されたうえで、負圧空間29で生じた負圧により矢印Pで示すように図中右側から左側に流れて負圧空間29に吸い込まれ、ガス出口19から排出される。
【0037】
以上から判るように本実施形態では、ヤニ回収ボックス20内のガス流路は、ガス出口19におけるガス流れ方向(P方向)に対して少なくとも1回は逆向きのS方向となるように迷路構造となっている。この構造により、ヤニ回収ボックス20内のガス流路の長さを大きくとれるため、ガスの通過時間が長くなり、その分、限られたヤニ回収ボックス20の内部空間でヤニを効率的に回収することができる。
【0038】
ヤニ回収ボックス20内において、ガスは負圧空間29で生じる負圧により、つまりガス出口19側で発生させる負圧により流速が上がり、その分、効率的に冷却されることとなる。本発明者は当初、ガス入口18の近傍において正圧で、すなわちエアを吹き込むことにより、ガスの流速を高めて圧送することを試みた。しかし、この構造では、ガスの流速が上がって冷却効果が確かめられたものの、ガスがガス抜きピン4の基端周りで液化してヤニとなり、ガス抜きピン4内に付着することが判った。そこで、本発明者はヤニ回収ボックス20のガス入口18側でガスを圧送するのではなく、本実施形態のようにガス出口19側で負圧を発生させる構造を採用したところ、ガス抜きピン4内でガスを液化させることなく、ヤニ回収ボックス20内でガスを効率的に液化できることが判った。
【0039】
また、インナボックス25の上面は傾斜状になっているので、傾斜上面25Aに付着したヤニは傾斜上面25Aに沿って傾斜上面25Aの下端まで流れたうえで、インナボックス25の側板を伝って本体部21の底板21Bに溜まる。仮にインナボックス25の上面が水平面であった場合には、上面に付着したヤニが滴下して筒部材24(ガス抜きピン4)に入り込むおそれがあるが、上面を傾斜上面25Aとすることによりヤニの滴下を防止でき、ガス抜きピン4へのヤニの流入を防止できる。
【0040】
なお、ヤニ回収ボックス20で回収したヤニについては、たとえば定期的にヤニ回収ボックス20を昇降テーブル23から外して分解し、本体部21、蓋部22、インナボックス25、仕切り板33の清掃を行って除去する。ヤニ吸着材34についてはたとえばヤニを清掃除去するか、或いは新品のものと交換する。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。ヤニ回収ボックス20の形状、構造や、その他の部材の構造等については、図面に記載したものに限定されずに様々な設計変更が可能である。
例として、本体部21の構造として、直方体状で板厚が一定の箱筺体の実施形態で説明したが、たとえば、ヤニ回収ボックス20の筺体を大気で冷やす冷却効果を狙って、筺体の板厚を薄くしたり、熱伝導率の高い銅合金製やアルミニウム合金製にしたり、大気に触れる表面積を増やすために冷却フィンや凹凸形状等を形成したりしてもかまわない。
【符号の説明】
【0042】
1 鋳造装置
2 金型
3 中子
4 ガス抜きピン
6 キャビティ
8 下方ピン部
9 配管部
10 上方ピン部
11 ガス抜き流路
15 ヒータ
16 ヤニ回収装置
17 冷却手段
18 ガス入口
19 ガス出口
20 ヤニ回収ボックス
21 本体部
22 蓋部
25 インナボックス
25A 傾斜上面
29 負圧空間
図1
図2
図3