特開2015-226972(P2015-226972A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-226972(P2015-226972A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】円筒状被加工物の保持治具
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/40 20060101AFI20151120BHJP
   B23B 31/20 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   B23B31/40
   B23B31/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-114578(P2014-114578)
(22)【出願日】2014年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】大谷 啓一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 哲哉
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032JJ04
3C032JJ08
(57)【要約】
【課題】簡易な構造の円筒状被加工物の保持治具を提供することである。
【解決手段】外面が円柱面11であり、両端面から内面が内側に向かって先細となる錘状の凹部12が形成された保持部材10と、前記各凹部12に係合され、外面が先端に向かって先細となる錘状の部分21を有する錘状部材20と、前記各凹部12に係合された前記錘状部材20同士の間隔を調整する調整手段30と、を備える、円筒状被加工物の保持治具1〜3とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面が円柱面であり、両端面から内面が内側に向かって先細となる錘状の凹部が形成された保持部材と、
前記各凹部に係合され、外面が先端に向かって先細となる錘状の部分を有する錘状部材と、
前記各凹部に係合された前記錘状部材同士の間隔を調整する調整手段と、
を備える、円筒状被加工物の保持治具。
【請求項2】
前記保持部材にスリットが形成されている、請求項1に記載の円筒状被加工物の保持治具。
【請求項3】
前記スリットは、その少なくとも一部が前記保持部材の中心軸方向に対し傾斜した形状である、請求項2に記載の円筒状被加工物の保持治具。
【請求項4】
前記スリットは、その少なくとも一部が螺旋状である、請求項2または請求項3に記載の円筒状被加工物の保持治具。
【請求項5】
前記スリットは、前記保持部材の中心軸に沿う直線状である、請求項2に記載の円筒状被加工物の保持治具。
【請求項6】
前記スリットは、
前記保持部材の一方側端面から延び、他方側端面に到達しないものと、
前記保持部材の他方側端面から延び、一方側端面に到達しないものと、
が前記保持部材の周方向において交互に形成されている、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の円筒状被加工物の保持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の被加工物を加工する際に用いられる治具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、圧縮または引張方向に力を加えることにより外径を変化させる円筒状被加工物の保持治具が開示されている。また、下記特許文献2には、被加工物の内側の中間部位に対応する外径を、被加工物の内側の端部位に相当する外径に比較して小さくした円筒状被加工物の保持治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−269377号公報
【特許文献2】特開2008−213080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の保持治具は、被加工物を保持する保持部材に対し力を加えたとき、軸方向における保持部材の外径の変化にばらつきが大きいという問題がある。また、特許文献2に記載の保持治具は、被加工物を保持する保持部材の外径寸法の精度を高くする必要があるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構造の円筒状被加工物の保持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明にかかる円筒状被加工物の保持治具は、外面が円柱面であり、両端面から内面が内側に向かって先細となる錘状の凹部が形成された保持部材と、前記各凹部に係合され、外面が先端に向かって先細となる錘状の部分を有する錘状部材と、前記各凹部に係合された前記錘状部材同士の間隔を調整する調整手段と、を備える。
【0007】
前記保持部材にはスリットが形成されているとよい。
【0008】
前記スリットは、その少なくとも一部が前記保持部材の中心軸方向に対し傾斜した形状であるとよい。
【0009】
前記スリットは、その少なくとも一部が螺旋状であるとよい。
【0010】
前記スリットは、前記保持部材の中心軸に沿う直線状であるとよい。
【0011】
前記スリットは、前記保持部材の一方側端面から延び、他方側端面に到達しないものと、前記保持部材の他方側端面から延び、一方側端面に到達しないものと、が前記保持部材の周方向において交互に形成されているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる円筒状被加工物の保持治具は、保持部材に形成された先細の錘状である凹部の内側に錘状部材が係合されており、錘状部材同士の間隔を変化させることにより保持部材の外径が変化する。このように、錘状部材同士の間隔を調整することにより、保持部材の外径が変化する簡易な構造の保持治具とすることができる。
【0013】
保持部材にスリットが形成されていれば、錘状部材同士の間隔を変化させたとき、スリット幅が変化することにより保持部材の外径が変化する構造となるため、保持部材の外径の調整が容易である。
【0014】
上記スリットの少なくとも一部が保持部材の中心軸方向に対し傾斜した形状であれば、スリット幅を変化させたとき、保持部材の周方向における外径変化のばらつきを低減することができる。すなわち、保持部材から被加工物に伝わる荷重のばらつきを低減することができ、加工精度が向上する。スリットの少なくとも一部が螺旋状であれば、当該ばらつきの低減効果が高い。
【0015】
スリットが保持部材の中心軸に沿う直線状であれば、保持部材にスリットを形成する作業(スリットの加工)が容易である。
【0016】
スリットは、保持部材の一方側端面から延び、他方側端面に到達しないものと、保持部材の他方側端面から延び、一方側端面に到達しないものとが保持部材の周方向において交互に形成されていれば、スリットによって保持部材が分離してしまわない(ばらばらにならない)ようにしつつ、保持部材の中心軸方向における外径変化のばらつきを低減することができる。すなわち、保持部材から被加工物に伝わる荷重のばらつきを低減することができ、加工精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態にかかる円筒状被加工物の保持治具の外観図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】本発明の第二実施形態にかかる円筒状被加工物の保持治具の外観図である。
図4図3のB−B線断面図である。
図5図3のC−C線断面図である。
図6】本発明の第三実施形態にかかる円筒状被加工物の保持治具の外観図である。
図7図6のD−D線断面図である。
図8図6のE−E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかる円筒状被加工物の保持治具1(以下、単に「保持治具1」というときもある)について説明する。なお、以下の説明における中心軸方向とは、保持部材10や錘状部材20の中心軸(図1図4図6図7に示す軸X)に沿う方向をいうものとする。
【0019】
図1図2に示す第一実施形態にかかる保持治具1は、円筒状の被加工物Wを保持する際に使用される治具であって、保持部材10、錘状部材20および調整手段30を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0020】
保持部材10は、金属材料で形成された外形が円柱形状の部材である。保持部材10は、その外面は円柱面11である。保持治具1使用時には、この円柱面11である外面が、円筒状の被加工物Wの内周面に密着することとなる。保持部材10の外径(円柱面11の外径)は、円筒状の被加工物Wの内径よりも僅かに小さくなるように設定される。保持部材10の両端面(中心軸方向に直交する面)には、円錘状の凹部(以下、錘状凹部12と称する)が形成されている。錘状凹部12は、中心軸方向内側に向かって先細となるように窪む凹部である。つまり、各錘状凹部12は、その先端に向かうに従い、他方の錘状凹部12に近づくような形状を有する。錘状凹部12の中心軸線は、保持部材10の中心軸線と一致する。
【0021】
錘状部材20は、金属材料で形成された円錐形状の部材であって、上記保持部材10に形成された各錘状凹部12に係合する部材である。つまり、保持治具1には、二つの錘状部材20が用いられる。錘状部材20は、その先端側の一部が切り取られたような形状を有する(断面で見て、先端が尖った形状ではない)。錘状部材20の外面(外錘面21)の傾斜角度は、錘状凹部12の内面(内錘面13)の傾斜角度と略同じである。したがって、各錘状凹部12内に嵌まり込んだ錘状部材20の外面は、各錘状凹部12の内面に密着する。また、錘状凹部12に係合された錘状部材20の中心軸線は、保持部材10の中心軸線と略一致する。
【0022】
調整手段30は、二つの錘状部材20同士の間隔を調整するものである。本実施形態における調整手段30は、外周にねじが形成された調整軸31およびナット32を有する。上記各錘状部材20には、その中央を貫く貫通孔(中心軸線が保持部材10の中心軸線と一致する貫通孔)である軸挿通孔22が形成されている。当該軸挿通孔22は、調整軸31の直径よりも僅かに大きく形成される。調整軸31は、両錘状部材20に形成された軸挿通孔22を貫くように通されている。つまり、調整軸31の両端部分は、各錘状部材20の端面(円錐の底面)より中心軸方向外側に突出している。当該調整軸31の突出した両端部分にナット32が螺合されている。つまり、ナット32は、各錘状部材20の端面より中心軸方向外側に位置する。少なくともいずれか一方のナット32を錘状部材20の端面に押し付ける方向に回転させれば、一方の錘状部材20がナット32に押され、他方の錘状部材20に近づく。なお、ナット32と錘状部材20の端面との間には座金等が介在されているとよい。
【0023】
このように構成される保持治具1は、以下のように使用される。ナット32による錘状部材20の押し込み(ナット32の締め付け)がほとんどない状態のとき、すなわち、錘状部材20が錘状凹部12の内面に押し付けられた状態ではないとき、保持部材10の外径に変化はない。上述したように、保持部材10の外径は円筒状の被加工物Wの内径よりも僅かに小さくなるように設定されているため、当該保持部材10を被加工物Wの内側に挿入することが可能である。
【0024】
保持部材10が被加工物Wの内側に挿入された状態で少なくともいずれか一方のナット32を錘状部材20に押し付ける方向に回転させると、当該ナット32に押されて錘状部材20同士の間隔が小さくなっていく。つまり、錘状部材20の外面が、保持部材10の錘状凹部12の内面に押し付けられる。これにより、保持部材10が径方向外側に弾性変形する。すなわち、保持部材10の外径が大きくなる。保持部材10の外径が大きくなると、保持部材10の円柱面11が被加工物Wの内周面に密着する。これにより、保持部材10(保持治具1)に対して被加工物Wが保持される。保持部材10(保持治具1)から被加工物Wを取り外す際には、ナット32を緩める方向に回転させ、保持部材10が弾性変形した状態を解除する。
【0025】
このように、本実施形態にかかる保持治具1は、調整手段30によって錘状部材20同士の間隔を調整することにより、保持部材10の弾性変形量を変化させることでその外径を変化させる。外径の変化が大きくなるようにしたい場合には、保持部材10を弾性変形しやすい材料で形成すればよい。保持部材10を変形させるための錘状部材20および調整手段30(調整軸31およびナット32)は、加工が容易である(高い加工精度が不要である)ため、治具の作製コスト低減につながる。
【0026】
以下、本発明の第二実施形態にかかる保持治具2について、上記第一実施形態にかかる保持治具1と異なる点を中心に説明する。図3図5に示す本発明の第二実施形態にかかる保持治具2は、保持部材10にスリット40が形成されている点で上記第一実施形態にかかる保持治具1と異なるものである。
【0027】
本実施形態における保持部材10には、中心軸方向に沿う直線状のスリット40が形成されている。保持部材10には、周方向において等間隔に位置するように複数のスリット40が形成されている。本実施形態では、保持部材10の周方向において45度間隔で複数のスリット40が形成されている。
【0028】
各スリット40は、保持部材10の外面(円柱面11)から、錘状凹部12に到達するまでの深さを有する。また、複数のスリット40のうち、一部は保持部材10の一方側端面から延び、他方側端面に到達しないもの(以下、第一直線状スリット41と称することもある)であり、その他の一部は保持部材10の他方側端面から延び、一方側端面に到達しないもの(以下、第二直線状スリット42と称することもある)である。つまり、各スリット40は、保持部材10の片方の端面から、もう一方の端面の近傍まで延び、当該端面には到達しない。換言すれば、各スリット40の先端と、当該先端側の端面との間はスリット40によって分断されていない(以下、当該分断されていない部分を接続部43と称する)。当該もう一方の端面とスリット40の先端との距離(接続部43の長さ)は適宜設定することができる。
【0029】
第一直線状スリット41と、第二直線状スリット42は、保持部材10の周方向において交互に位置する。仮に全てのスリット40が保持部材10の片方の端面からもう一方の端面に到達するまで延びるものであるとすると、スリット40によって保持部材10がばらばらになるところ、本実施形態では各スリット40が保持部材10の片方の端面からもう一方の端面に到達するまで延びるものではないため、保持部材10がばらばらになってしまうことはない。
【0030】
このような構成を備える本実施形態にかかる保持治具2では、調整手段30によって錘状部材20同士の間隔を狭め、錘状部材20の外面が錘状凹部12の内面に押し付けられると、保持部材10に形成されたスリット40が広がることにより保持部材10の外径が大きくなる。つまり、第一実施形態にかかる保持治具1のように保持部材10の変形によってその外径を変化させるものではなく、スリット40の拡大、縮小によって保持部材10の外径(スリット40を含めた見かけ上の外径)を変化させるものであるため、保持部材10の外径の調整が容易である。
【0031】
また、保持部材10に形成された複数のスリット40は、周方向において交互に形成された第一直線状スリット41と第二直線状スリット42を含む。上述したように、保持部材10がばらばらにならないようにするため、スリット40は保持部材10の片方の端面からもう一方の端面に到達するまで延びるものではない(接続部43が存在するように設定される)。保持部材10の外径を大きくする際、接続部43が存在する箇所はスリット40が存在する箇所に比して変化が小さい。したがって、仮に、保持部材10の周方向において第一直線状スリット41と第二直線状スリット42が連続して形成される構成とした場合、同じ側に位置する接続部43が周方向において連続してしまうため、保持部材10の中心軸方向における外径変化にばらつきが生じてしまうこととなる。これに対し本実施形態では、第一直線状スリット41と第二直線状スリット42が周方向において交互に形成されている、すなわち保持部材10の一方の端面側に位置する接続部43と他方の端面側に位置する接続部43が周方向において交互に存在するため、このような外径変化のばらつきを低減することができる。そのため、保持治具2に被加工物Wを保持させた際の、保持部材10から被加工物Wに伝わる荷重のばらつきを低減することができ、被加工物Wの加工精度が向上する。
【0032】
また、本実施形態のように、保持部材10に形成されるスリット40が中心軸方向に沿う直線状であれば、保持部材10に対してスリット40を形成する作業(スリット40の加工)が容易である。
【0033】
本発明の第三実施形態にかかる保持治具3について、上記第一実施形態にかかる保持治具1、第二実施形態にかかる保持治具2と異なる点を中心に説明する。図6図8に示す本発明の第三実施形態にかかる保持治具3は、保持部材10に形成されるスリット50の少なくとも一部が中心軸方向に対し傾斜した形状である。具体的には、本実施形態における当該スリット50は螺旋状(「傾斜した形状」の一態様)である部分を有する。保持部材10には複数のスリット50が形成されている。なお、複数のスリット50によって保持部材10が分割されてしまわないようにするため、本実施形態における各スリット50の「螺旋」は、360度未満である。
【0034】
各スリット50は、保持部材10の外面(円柱面11)から、錘状凹部12に到達するまでの深さを有する。また、複数のスリット50のうち、一部は保持部材10の一方側端面から延び、他方側端面に到達しないもの(以下、第一螺旋状スリット51と称することもある)であり、その他の一部は保持部材10の他方側端面から延び、一方側端面に到達しないもの(以下、第二螺旋状スリット52と称することもある)である。つまり、各スリット50は、保持部材10の片方の端面から、もう一方の端面の近傍まで延び、当該端面には到達しない。換言すれば、各スリット50の先端と、当該先端側の端面との間はスリット50によって分断されていない(以下、当該分断されていない部分を接続部53と称する)。当該もう一方の端面とスリット50の先端との距離(接続部53の長さ)は適宜設定することができる。
【0035】
第一螺旋状スリット51と、第二螺旋状スリット52は、保持部材10の周方向において交互に位置する。仮に全てのスリット50が保持部材10の片方の端面からもう一方の端面に到達するまで延びるものであるとすると、スリット50によって保持部材10がばらばらになるところ、本実施形態では各スリット50が保持部材10の片方の端面からもう一方の端面に到達するまで延びるものではないため、保持部材10がばらばらになってしまうことはない。
【0036】
このような構成を備える本実施形態にかかる保持治具3では、調整手段30によって錘状部材20同士の間隔を狭め、錘状部材20の外面が錘状凹部12の内面に押し付けられると、保持部材10に形成されたスリット50が広がることにより保持部材10の外径が大きくなる。つまり、第一実施形態にかかる保持治具1のように保持部材10の変形によってその外径を変化させるものではなく、スリット50の拡大、縮小によって保持部材10の外径(スリット50を含めた見かけ上の外径)を変化させるものであるため、保持部材10の外径の調整が容易である。
【0037】
さらに、本実施形態におけるスリット50は、中心軸方向に対し傾斜した形状である部分を有するため、保持部材10の中心軸方向だけでなく、周方向における外径変化のばらつきを低減することができる。例えば、上記第二実施形態のようにスリット40が保持部材10の中心軸方向に沿う直線状であると、周方向においてスリット40が存在する箇所が変化しない(中心軸方向における位置によらずスリット40の存在する箇所が周方向に変化しない)から、周方向においてスリット40が形成された部位(付近)の外径変化は大きいが、スリット40から離れた部位の外径変化は小さい、という構造となってしまう。これに対し本実施形態のようにスリット50が中心軸方向に対して傾斜した部分を有するものであれば、周方向においてスリット50が存在する箇所が変化する(中心軸方向における位置に応じてスリット50の存在する箇所が周方向に変化する)から、保持部材10の外径を変化させた際における、保持部材10の周方向における外径変化のばらつきを低減することができる。本実施形態のようにスリット50が螺旋状である部分を有していれば、当該ばらつきの低減効果が高い。そのため、保持治具3に被加工物Wを保持させた際の、保持部材10から被加工物Wに伝わる荷重のばらつきを低減することができ、被加工物Wの加工精度が向上する。
【0038】
また、上記第二実施形態と同様に、第一螺旋状スリット51と第二螺旋状スリット52が周方向において交互に形成されている、すなわち保持部材10の一方の端面側に位置する接続部53と他方の端面側に位置する接続部53が周方向において交互に存在するため、(同じ側に位置する接続部53が周方向において連続してしまうことによる)外径変化のばらつきを低減することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、スリット50の一部が中心軸に対して傾斜した形状(螺旋状)であることを説明したが、スリット50の全部が中心軸に対して傾斜した形状(螺旋状)であってもよい。
【0040】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上記本発明の実施形態にかかる保持治具1、2、3は、高い寸法精度が要求される円筒状部材の加工に際し好適に用いることができる。高い寸法精度が要求される円筒状部材の例としては、極低温冷凍機のシリンダが挙げられる。
【符号の説明】
【0042】
1、2、3 円筒状被加工物の保持治具
10 保持部材
11 円柱面
12 (錘状)凹部
13 内錘面
20 錘状部材
21 外錘面
22 軸挿通孔
30 調整手段
31 調整軸
32 ナット
40 スリット(直線状)
41 第一直線状スリット
42 第二直線状スリット
50 スリット(螺旋状)
51 第一螺旋状スリット
52 第二螺旋状スリット
W (円筒状の)被加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8