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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227004(P2015-227004A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20151120BHJP
【FI】
   B41J2/01 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-113238(P2014-113238)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康成
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EC12
2C056EC34
2C056EC74
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】 印刷媒体上の端部領域の印刷のための搬送量が小さく設定される場合でも、印刷を迅速に実行すること。
【解決手段】 端末装置は、印刷データをプリンタに供給して、対象画像の印刷をプリンタに実行させる。印刷データは、シートS上の端部領域DEAを印刷するためのデータと、中央領域CABを印刷するためのデータと、を含む。端部領域DEAが印刷される際には、区間TA1の4回に亘って基準搬送量よりも小さい搬送量でシートSが順次搬送され、4回の搬送の後の4回の主走査動作において使用ノズル群のノズル数がn個に維持され、使用ノズル群が副走査方向の上流側にシフトする。中央領域CABが印刷される際には、区間TBの7回に亘って基準搬送量でシートSが順次搬送され、7回の搬送の後の7回の主走査動作において使用ノズル群のノズル数がn個に維持され、使用ノズル群がシフトしない。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷実行部に印刷を実行させるための制御装置であって、
前記印刷実行部は、
第1方向に沿って並ぶN個(Nは2以上の整数)のノズルを備える印刷ヘッドと、
印刷媒体を前記第1方向に沿って上流側から下流側に向けて搬送する媒体搬送部と、
前記印刷ヘッドに主走査動作を実行させるヘッド駆動部であって、前記主走査動作は、前記印刷ヘッドを、前記第1方向に直交する第2方向に沿って移動させつつ、前記印刷ヘッドに、前記印刷媒体に向けてインクを吐出させる動作を含む、前記ヘッド駆動部と、を備え、
前記制御装置は、
対象画像を表わす画像データを取得する取得部と、
前記画像データを用いて、所定の印刷解像度に従った前記印刷媒体への前記対象画像の印刷を前記印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する生成部と、
前記印刷データを前記印刷実行部に供給する供給部と、を備え、
前記印刷データは、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の端部に位置する第1の端部領域に、前記対象画像のうちの第1の端部画像を形成するための第1の端部印刷データと、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の中央部に位置する第1の中央領域に、前記対象画像のうちの第1の中央画像を形成するための第1の中央印刷データと、を含み、
前記第1の端部印刷データは、以下の各条件、即ち、
(A1)前記媒体搬送部が、M1回(M1は2以上の整数)に亘って、基準搬送量よりも小さい第1の搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(A2)前記第1の搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第1種の前記主走査動作を実行させる、
(A3)前記M1回の搬送の後にそれぞれ実行されるM1回の前記第1種の主走査動作では、使用が許容される使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちのn個(nは1≦n<Nを満たす整数)に維持される、及び、
(A4)前記M1回の前記第1種の主走査動作では、m1回目(m1は2≦m1≦M1を満たす各整数)の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m1−1)回目の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群よりも、前記第1方向の前記上流側にシフトする、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含み、
前記第1の中央印刷データは、以下の各条件、即ち、
(B1)前記媒体搬送部が、M2回(M2は2以上の整数)に亘って、前記基準搬送量以上の第2の搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(B2)前記第2の搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第2種の前記主走査動作を実行させる、及び、
(B3)前記M2回の搬送の後にそれぞれ実行されるM2回の前記第2種の主走査動作では、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持される、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含み、
前記基準搬送量は、前記印刷媒体が均等の搬送量で搬送され、かつ、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持され、かつ、前記使用ノズル群がシフトしない状態で、複数回の前記主走査動作によって前記所定の印刷解像度の印刷を実現するための搬送量である、制御装置。
【請求項2】
前記第1の中央印刷データは、さらに、以下の各条件、即ち、
(B4)前記第2の搬送量が前記基準搬送量に等しい、及び、
(B5)前記M2回の前記第2種の主走査動作では、m2回目(m2は2≦m2≦M2を満たす各整数)の前記第2種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m2−1)回目の前記第2種の主走査動作における前記使用ノズル群に一致する、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の端部領域は、前記印刷媒体上の前記第1方向の下流側の端部に位置し、
前記印刷データは、さらに、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の上流側の端部に位置する第2の端部領域に、前記対象画像のうちの第2の端部画像を形成するための第2の端部印刷データを含み、
前記第2の端部印刷データは、以下の各条件、即ち、
(C1)前記媒体搬送部が、M3回(M3は2以上の整数)に亘って、前記基準搬送量よりも小さい第3の搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(C2)前記第3の搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第3種の前記主走査動作を実行させる、
(C3)前記M3回の搬送の後にそれぞれ実行されるM3回の前記第3種の主走査動作では、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持される、及び、
(C4)前記M3回の前記第3種の主走査動作では、m3回目(m3は2≦m3≦M3を満たす各整数)の前記第3種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m3−1)回目の前記第3種の主走査動作における前記使用ノズル群よりも、前記第1方向の前記上流側にシフトする、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含む、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の端部領域は、前記印刷媒体上の前記第1方向の下流側の端部に位置し、
前記印刷データは、さらに、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の上流側の端部に位置する第2の端部領域に、前記対象画像のうちの第2の端部画像を形成するための第2の端部印刷データを含み、
前記第1の中央印刷データは、さらに、以下の各条件、即ち、
(B4)前記第2の搬送量が前記基準搬送量よりも大きい、及び、
(B5)前記M2回の前記第2種の主走査動作では、m2回目(m2は2≦m2≦M2を満たす各整数)の前記第2種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m2−1)回目の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群よりも、前記第1方向の前記下流側にシフトする、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含み、
前記第2の端部印刷データは、以下の各条件、即ち、
(C1)前記媒体搬送部が、M3回(M3は2以上の整数)に亘って、前記基準搬送量よりも小さい第3の搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(C2)前記第3の搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第3種の前記主走査動作を実行させる、
(C3)前記M3回の搬送の後にそれぞれ実行されるM3回の前記第3種の主走査動作では、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持される、及び、
(C4)前記M3回の前記第3種の主走査動作では、m3回目(m3は2≦m3≦M3を満たす各整数)の前記第3種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m3−1)回目の前記第3種の主走査動作における前記使用ノズル群よりも、前記第1方向の前記上流側にシフトする、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記印刷データは、さらに、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の中央部に位置する第2の中央領域であって、前記第1の中央領域よりも前記第1方向の前記下流側に位置する前記第2の中央領域に、前記対象画像のうちの第2の中央画像を形成するための第2の中央印刷データを含み、
前記第2の中央印刷データは、以下の各条件、即ち、
(D1)前記媒体搬送部が、M4回(M4は2以上の整数)に亘って、前記基準搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(D2)前記基準搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第4種の前記主走査動作を実行させる、
(D3)前記M4回の搬送の後にそれぞれ実行されるM4回の前記第4種の主走査動作では、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持される、及び、
(D4)前記M4回の前記第4種の主走査動作では、m4回目(m4は2≦m4≦M4を満たす整数)の前記第4種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m4−1)回目の前記第4種の主走査動作における前記使用ノズル群に一致する、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含む、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記印刷データは、さらに、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の第3の中央領域であって、前記第1の中央領域よりも前記第1方向の前記上流側に位置する前記第3の中央領域に、前記対象画像のうちの第3の中央画像を形成するための第3の中央印刷データを含み、
前記第3の中央印刷データは、以下の各条件、即ち、
(E1)前記媒体搬送部が、M5回(M5は2以上の整数)に亘って、前記基準搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(E2)前記基準搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第5種の前記主走査動作を実行させる、
(E3)前記M5回の搬送の後にそれぞれ実行されるM5回の前記第5種の主走査動作では、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持される、及び、
(E4)前記M5回の前記第5種の主走査動作では、m5回目(m5は2≦m5≦M5を満たす整数)の前記第5種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m5−1)回目の前記第5種の主走査動作における前記使用ノズル群に一致する、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含む、請求項4又は5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1の端部領域は、前記印刷媒体上の前記第1方向の下流側に位置する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記媒体搬送部は、前記印刷ヘッドよりも前記第1方向の上流側に位置する上流側ローラであって、前記印刷媒体を保持するための前記上流側ローラと、前記印刷ヘッドよりも前記第1方向の下流側に位置する下流側ローラであって、前記印刷媒体を保持するための前記下流側ローラと、を備え、
前記条件(A4)は、前記下流側ローラによって前記印刷媒体が保持されない状態から、前記下流側ローラによって前記印刷媒体が保持される状態に変化した後に、前記m1回目の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群が、前記(m1−1)回目の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群よりも、前記第1方向の前記上流側にシフトすることを含む、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第1の端部領域は、前記印刷媒体上の前記第1方向の上流側に位置する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記媒体搬送部は、前記印刷ヘッドよりも前記第1方向の上流側に位置する上流側ローラであって、前記印刷媒体を保持するための前記上流側ローラと、前記印刷ヘッドよりも前記第1方向の下流側に位置する下流側ローラであって、前記印刷媒体を保持するための前記下流側ローラと、を備え、
前記条件(A4)は、前記上流側ローラによって前記印刷媒体が保持される状態から、前記上流側ローラによって前記印刷媒体が保持されない状態に変化する前に、前記m1回目の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群が、前記(m1−1)回目の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群よりも、前記第1方向の前記上流側にシフトすることを含む、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記印刷データは、前記印刷実行部が、前記第2方向に沿って一直線状に伸びる1本のラスタをj回(jは1以上の整数)の前記主走査動作によって前記印刷媒体上に形成するためのデータであり、
前記基準搬送量は、n/j・Dであり、
Dは、前記印刷媒体上に前記第1方向に沿って形成される隣接する2個のドットの間の長さを示し、
jは、nの約数である、請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記印刷データは、前記印刷実行部が、前記第1方向に沿った1ノズルピッチの長さの間に、k本(kは1以上の整数)のラスタをk×j回(jは1以上の整数)の前記主走査動作によって前記印刷媒体上に形成するためのデータであり、
前記1ノズルピッチは、前記N個のノズルのうちの前記第1方向に沿って隣接する2個のノズルの間の距離であり、
jは、前記第2方向に沿って一直線状に伸びる1本のラスタを形成するために必要な前記主走査動作の回数であり、
前記基準搬送量は、(k×x+b)・Dであり、
Dは、前記印刷媒体上に前記第1方向に沿って形成される隣接する2個のドットの間の長さを示し、
b及びxは、それぞれ、式「−(1/2)×k<b≦(1/2)×k」と、式「n=(k×x+b)×j」と、を満たす整数である、請求項1から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
印刷実行部に印刷を実行させるための制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記印刷実行部は、
第1方向に沿って並ぶN個(Nは2以上の整数)のノズルを備える印刷ヘッドと、
印刷媒体を前記第1方向に沿って上流側から下流側に向けて搬送する媒体搬送部と、
前記印刷ヘッドに主走査動作を実行させるヘッド駆動部であって、前記主走査動作は、前記印刷ヘッドを、前記第1方向に直交する第2方向に沿って移動させつつ、前記印刷ヘッドに、前記印刷媒体に向けてインクを吐出させる動作を含む、前記ヘッド駆動部と、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記制御装置に、以下の各処理、即ち、
対象画像を表わす画像データを取得する取得処理と、
前記画像データを用いて、所定の印刷解像度に従った前記印刷媒体への前記対象画像の印刷を前記印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する生成処理と、
前記印刷データを前記印刷実行部に供給する供給処理と、を実行させ、
前記印刷データは、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の端部に位置する第1の端部領域に、前記対象画像のうちの第1の端部画像を形成するための第1の端部印刷データと、前記印刷実行部が、前記印刷媒体上の前記第1方向の中央部に位置する第1の中央領域に、前記対象画像のうちの第1の中央画像を形成するための第1の中央印刷データと、を含み、
前記第1の端部印刷データは、以下の各条件、即ち、
(A1)前記媒体搬送部が、M1回(M1は2以上の整数)に亘って、基準搬送量よりも小さい第1の搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(A2)前記第1の搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第1種の前記主走査動作を実行させる、
(A3)前記M1回の搬送の後にそれぞれ実行されるM1回の前記第1種の主走査動作では、使用が許容される使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちのn個(nは1≦n<Nを満たす整数)に維持される、及び、
(A4)前記M1回の前記第1種の主走査動作では、m1回目(m1は2≦m1≦M1を満たす各整数)の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群が、(m1−1)回目の前記第1種の主走査動作における前記使用ノズル群よりも、前記第1方向の前記上流側にシフトする、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含み、
前記第1の中央印刷データは、以下の各条件、即ち、
(B1)前記媒体搬送部が、M2回(M2は2以上の整数)に亘って、前記基準搬送量以上の第2の搬送量で前記印刷媒体を前記第1方向に沿って順次搬送する、
(B2)前記第2の搬送量での前記印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、前記ヘッド駆動部が前記印刷ヘッドに第2種の前記主走査動作を実行させる、及び、
(B3)前記M2回の搬送の後にそれぞれ実行されるM2回の前記第2種の主走査動作では、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持される、
を満たす印刷を前記印刷実行部に実行させるためのデータを含み、
前記基準搬送量は、前記印刷媒体が均等の搬送量で搬送され、かつ、前記使用ノズル群のノズル数が前記N個のうちの前記n個に維持され、かつ、前記使用ノズル群がシフトしない状態で、複数回の前記主走査動作によって前記所定の印刷解像度の印刷を実現するための搬送量である、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、印刷実行部に印刷を実行させるための制御装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のプリンタが広く知られている。この種のプリンタでは、印刷媒体が副走査方向に沿って上流側から下流側に向けて複数回に亘って順次搬送され、各回の搬送が終了する毎に印刷ヘッドの主走査動作が実行される。主走査動作では、印刷ヘッドは、主走査方向に沿って移動しつつ、印刷媒体に向けてインクを吐出する。
【0003】
例えば、特許文献1の技術では、印字開始の1スキャン目から11スキャン目までの区間では、記録素子列の長さの1/8ずつシートが搬送される。そして、12スキャン目から使用記録素子の範囲の拡大が開始され、シートの搬送量が増える。即ち、特許文献1の技術では、シートの中央部の印刷と比べると、シートの端部の印刷では、シートの搬送量が小さく設定されると共に、使用記録素子の数が少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−271231号公報
【特許文献2】特開2006−44060号公報
【特許文献3】特開2011−126124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1の技術では、シートの端部の印刷では、シートの搬送量が小さく設定されると共に、使用記録素子の数が少ないので、印刷に長時間を要する。より具体的には、シートの端部の単位面積当たりの印刷時間は、シートの中央部の単位面積当たりの印刷時間よりも長くなる。本明細書では、印刷媒体上の端部領域の印刷のための搬送量が小さく設定される場合でも、印刷を迅速に実行するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、印刷実行部に印刷を実行させるための制御装置を開示する。印刷実行部は、第1方向に沿って並ぶN個(Nは2以上の整数)のノズルを備える印刷ヘッドと、印刷媒体を第1方向に沿って上流側から下流側に向けて搬送する媒体搬送部と、印刷ヘッドに主走査動作を実行させるヘッド駆動部と、を備える。主走査動作は、印刷ヘッドを、第1方向に直交する第2方向に沿って移動させつつ、印刷ヘッドに、印刷媒体に向けてインクを吐出させる動作を含む。制御装置は、対象画像を表わす画像データを取得する取得部と、画像データを用いて、所定の印刷解像度に従った印刷媒体への対象画像の印刷を印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する生成部と、印刷データを印刷実行部に供給する供給部と、を備える。印刷データは、印刷実行部が、印刷媒体上の第1方向の端部に位置する第1の端部領域に、対象画像のうちの第1の端部画像を形成するための第1の端部印刷データと、印刷実行部が、印刷媒体上の第1方向の中央部に位置する第1の中央領域に、対象画像のうちの第1の中央画像を形成するための第1の中央印刷データと、を含む。第1の端部印刷データは、以下の各条件、即ち、(A1)媒体搬送部が、M1回(M1は2以上の整数)に亘って、基準搬送量よりも小さい第1の搬送量で印刷媒体を第1方向に沿って順次搬送する、(A2)第1の搬送量での印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、ヘッド駆動部が印刷ヘッドに第1種の主走査動作を実行させる、(A3)M1回の搬送の後にそれぞれ実行されるM1回の第1種の主走査動作では、使用が許容される使用ノズル群のノズル数がN個のうちのn個(nは1≦n<Nを満たす整数)に維持される、及び、(A4)M1回の第1種の主走査動作では、m1回目(m1は2≦m1≦M1を満たす各整数)の第1種の主走査動作における使用ノズル群が、(m1−1)回目の第1種の主走査動作における使用ノズル群よりも、第1方向の上流側にシフトする、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含む。第1の中央印刷データは、以下の各条件、即ち、(B1)媒体搬送部が、M2回(M2は2以上の整数)に亘って、基準搬送量以上の第2の搬送量で印刷媒体を第1方向に沿って順次搬送する、(B2)第2の搬送量での印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、ヘッド駆動部が印刷ヘッドに第2種の主走査動作を実行させる、及び、(B3)M2回の搬送の後にそれぞれ実行されるM2回の第2種の主走査動作では、使用ノズル群のノズル数がN個のうちのn個に維持される、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含む。基準搬送量は、印刷媒体が均等の搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル群のノズル数がN個のうちのn個に維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない状態で、複数回の主走査動作によって所定の印刷解像度の印刷を実現するための搬送量である。
【0007】
上記の構成によると、制御装置は、第1の端部印刷データと第1の中央印刷データとを含む印刷データを印刷実行部に供給する。このために、印刷実行部では、第1の端部印刷データに従って、印刷媒体上の第1の端部領域に第1の端部画像が形成され、第1の中央印刷データに従って、印刷媒体上の第1の中央領域に第1の中央画像が形成される。第1の端部領域に第1の端部画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量よりも小さい第1の搬送量で第1方向に沿って搬送され、かつ、使用ノズル群のノズル数がn個に維持され(即ちN個のノズルのうちの一部であるn個のノズルのみが使用され)、かつ、使用ノズル群が第1方向の上流側にシフトする。また、第1の中央領域に第1の中央画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量以上の第2の搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル群のノズル数がn個に維持される。このように、第1の端部画像が形成される際に、印刷媒体が基準搬送量よりも小さい第1の搬送量で搬送されるが、第1の端部画像が形成される際の使用ノズル群のノズル数(即ちn個)は、第1の中央画像が形成される際の使用ノズル群のノズル数に等しい。従って、印刷媒体上の第1の端部領域の印刷のための搬送量が小さく設定される場合でも、印刷を迅速に実行することができる。
【0008】
第1の中央印刷データは、さらに、以下の各条件、即ち、(B4)第2の搬送量が基準搬送量に等しい、及び、(B5)M2回の第2種の主走査動作では、m2回目(m2は2≦m2≦M2を満たす各整数)の第2種の主走査動作における使用ノズル群が、(m2−1)回目の第2種の主走査動作における使用ノズル群に一致する、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含んでいてもよい。この構成によると、第1の中央領域に第1の中央画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル群がシフトしない。このために、第1の中央画像の印刷を適切に実行し得る。
【0009】
第1の端部領域は、印刷媒体上の第1方向の下流側の端部に位置してもよい。印刷データは、さらに、印刷実行部が、印刷媒体上の第1方向の上流側の端部に位置する第2の端部領域に、対象画像のうちの第2の端部画像を形成するための第2の端部印刷データを含んでいてもよい。第2の端部印刷データは、以下の各条件、即ち、(C1)媒体搬送部が、M3回(M3は2以上の整数)に亘って、基準搬送量よりも小さい第3の搬送量で印刷媒体を第1方向に沿って順次搬送する、(C2)第3の搬送量での印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、ヘッド駆動部が印刷ヘッドに第3種の主走査動作を実行させる、(C3)M3回の搬送の後にそれぞれ実行されるM3回の第3種の主走査動作では、使用ノズル群のノズル数がN個のうちのn個に維持される、及び、(C4)M3回の第3種の主走査動作では、m3回目(m3は2≦m3≦M3を満たす各整数)の第3種の主走査動作における使用ノズル群が、(m3−1)回目の第3種の主走査動作における使用ノズル群よりも、第1方向の上流側にシフトする、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含んでいてもよい。この構成によると、第2の端部領域に第2の端部画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量よりも小さい第3の搬送量で搬送されるが、第2の端部画像が形成される際の使用ノズル群のノズル数(即ちn個)は、第1の中央画像が形成される際の使用ノズル群のノズル数に等しい。従って、対象画像の印刷を迅速に実行することができる。
【0010】
第1の端部領域は、印刷媒体上の第1方向の下流側の端部に位置してもよい。印刷データは、さらに、印刷実行部が、印刷媒体上の第1方向の上流側の端部に位置する第2の端部領域に、対象画像のうちの第2の端部画像を形成するための第2の端部印刷データを含んでいてもよい。第1の中央印刷データは、さらに、以下の各条件、即ち、(B4)第2の搬送量が基準搬送量よりも大きい、及び、(B5)M2回の第2種の主走査動作では、m2回目(m2は2≦m2≦M2を満たす各整数)の第2種の主走査動作における使用ノズル群が、(m2−1)回目の第1種の主走査動作における使用ノズル群よりも、第1方向の下流側にシフトする、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含んでいてもよい。第2の端部印刷データは、以下の各条件、即ち、(C1)媒体搬送部が、M3回(M3は2以上の整数)に亘って、基準搬送量よりも小さい第3の搬送量で印刷媒体を第1方向に沿って順次搬送する、(C2)第3の搬送量での印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、ヘッド駆動部が印刷ヘッドに第3種の主走査動作を実行させる、(C3)M3回の搬送の後にそれぞれ実行されるM3回の第3種の主走査動作では、使用ノズル群のノズル数がN個のうちのn個に維持される、及び、(C4)M3回の第3種の主走査動作では、m3回目(m3は2≦m3≦M3を満たす各整数)の第3種の主走査動作における使用ノズル群が、(m3−1)回目の第3種の主走査動作における使用ノズル群よりも、第1方向の上流側にシフトする、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含んでいてもよい。この構成によると、第1の中央領域に第1の中央画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量よりも大きい第2の搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル群のノズル数がn個に維持され、かつ、使用ノズル群が下流側にシフトする。このように、使用ノズル群が下流側にシフトするので、第2の端部画像が形成される際に、使用ノズル群が上流側にシフトすることができる。そして、第2の端部画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量よりも小さい第1の搬送量で第1方向に沿って搬送されるが、第2の端部画像が形成される際の使用ノズル群のノズル数(即ちn個)は、第1の中央画像が形成される際の使用ノズル群のノズル数に等しい。従って、対象画像の印刷を迅速に実行することができる。
【0011】
印刷データは、さらに、印刷実行部が、印刷媒体上の第1方向の中央部に位置する第2の中央領域であって、第1の中央領域よりも第1方向の下流側に位置する第2の中央領域に、対象画像のうちの第2の中央画像を形成するための第2の中央印刷データを含んでいてもよい。第2の中央印刷データは、以下の各条件、即ち、(D1)媒体搬送部が、M4回(M4は2以上の整数)に亘って、基準搬送量で印刷媒体を第1方向に沿って順次搬送する、(D2)基準搬送量での印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、ヘッド駆動部が印刷ヘッドに第4種の主走査動作を実行させる、(D3)M4回の搬送の後にそれぞれ実行されるM4回の第4種の主走査動作では、使用ノズル群のノズル数がN個のうちのn個に維持される、及び、(D4)M4回の第4種の主走査動作では、m4回目(m4は2≦m4≦M4を満たす整数)の第4種の主走査動作における使用ノズル群が、(m4−1)回目の第4種の主走査動作における使用ノズル群に一致する、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含んでいてもよい。この構成によると、第2の中央領域に第2の中央画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル群がシフトしない。このために、第2の中央画像の印刷を適切に実行し得る。
【0012】
印刷データは、さらに、印刷実行部が、印刷媒体上の第1方向の第3の中央領域であって、第1の中央領域よりも第1方向の上流側に位置する第3の中央領域に、対象画像のうちの第3の中央画像を形成するための第3の中央印刷データを含んでいてもよい。第3の中央印刷データは、以下の各条件、即ち、(E1)媒体搬送部が、M5回(M5は2以上の整数)に亘って、基準搬送量で印刷媒体を第1方向に沿って順次搬送する、(E2)基準搬送量での印刷媒体の各回の搬送が終了する毎に、ヘッド駆動部が印刷ヘッドに第5種の主走査動作を実行させる、(E3)M5回の搬送の後にそれぞれ実行されるM5回の第5種の主走査動作では、使用ノズル群のノズル数がN個のうちのn個に維持される、及び、(E4)M5回の第5種の主走査動作では、m5回目(m5は2≦m5≦M5を満たす整数)の第5種の主走査動作における使用ノズル群が、(m5−1)回目の第5種の主走査動作における使用ノズル群に一致する、を満たす印刷を印刷実行部に実行させるためのデータを含んでいてもよい。この構成によると、第3の中央領域に第3の中央画像が形成される際には、印刷媒体が基準搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル群がシフトしない。このために、第3の中央画像の印刷を適切に実行し得る。
【0013】
第1の端部領域は、印刷媒体上の第1方向の下流側に位置してもよい。また、媒体搬送部は、印刷ヘッドよりも第1方向の上流側に位置する上流側ローラであって、印刷媒体を保持するための上流側ローラと、印刷ヘッドよりも第1方向の下流側に位置する下流側ローラであって、印刷媒体を保持するための下流側ローラと、を備えていてもよい。条件(A4)は、下流側ローラによって印刷媒体が保持されない状態から、下流側ローラによって印刷媒体が保持される状態に変化した後に、m1回目の第1種の主走査動作における使用ノズル群が、(m1−1)回目の第1種の主走査動作における使用ノズル群よりも、第1方向の上流側にシフトすることを含んでいてもよい。
【0014】
第1の端部領域は、印刷媒体上の第1方向の上流側に位置してもよい。また、条件(A4)は、上流側ローラによって印刷媒体が保持される状態から、上流側ローラによって印刷媒体が保持されない状態に変化する前に、m1回目の第1種の主走査動作における使用ノズル群が、(m1−1)回目の第1種の主走査動作における使用ノズル群よりも、第1方向の上流側にシフトすることを含んでいてもよい。
【0015】
印刷データは、印刷実行部が、第2方向に沿って一直線状に伸びる1本のラスタをj回(jは1以上の整数)の主走査動作によって印刷媒体上に形成するためのデータであってもよい。基準搬送量は、n/j・Dであってもよい。Dは、印刷媒体上に第1方向に沿って形成される隣接する2個のドットの間の長さを示していてもよい。jは、nの約数であってもよい。
【0016】
印刷データは、印刷実行部が、第1方向に沿った1ノズルピッチの長さの間に、k本(kは1以上の整数)のラスタをk×j回(jは1以上の整数)の主走査動作によって印刷媒体上に形成するためのデータであってもよい。1ノズルピッチは、N個のノズルのうちの第1方向に沿って隣接する2個のノズルの間の距離であってもよい。jは、第2方向に沿って一直線状に伸びる1本のラスタを形成するために必要な主走査動作の回数であってもよい。基準搬送量は、(k×x+b)・Dであってもよい。Dは、印刷媒体上に第1方向に沿って形成される隣接する2個のドットの間の長さを示していてもよい。b及びxは、それぞれ、式「−(1/2)×k<b≦(1/2)×k」と、式「n=(k×x+b)×j」と、を満たす整数であってもよい。
【0017】
上記の印刷実行部と上記の制御装置とを備えるシステムも、新規で有用である。また、上記の制御装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読取可能記憶媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】印刷システムの構成を示す。
図2】印刷エンジンの一部の構成を示す。
図3】印刷エンジンの一部の斜視図を示す。
図4】端末装置が実行する処理のフローチャートを示す。
図5】各パスでのシートに対する印刷ヘッドの位置を示す。
図6】1パス目〜11パス目の印刷が実行される様子を示す。
図7】14パス目〜21パス目の印刷が実行される様子を示す。
図8】22パス目〜30パス目の印刷が実行される様子を示す。
図9】各パスでの印刷ヘッドに対するシートの位置を示す。
図10】比較例の各パスでのシートに対する印刷ヘッドの位置を示す。
図11】第2実施例の各パスでのシートに対する印刷ヘッドの位置を示す。
図12】第3実施例の各パスでのシートに対する印刷ヘッドの位置を示す。
図13】第4実施例の各パスでのシートに対する印刷ヘッドの位置を示す。
図14】第4実施例の各パスでの印刷ヘッドに対するシートの位置を示す。
図15】第5実施例の1パス目〜11パス目の印刷が実行される様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施例)
(印刷システム2の構成;図1
図1に示されるように、印刷システム2は、プリンタPRと端末装置TRとを備える。プリンタPRと端末装置TRとは、LAN4を介して、相互に通信可能である。
【0020】
(プリンタPRの構成)
プリンタPRは、ネットワークインターフェイス12と、制御回路20と、印刷エンジンPEと、を備える。ネットワークインターフェイス12は、LAN4に接続されている。制御回路20は、図示省略のCPU及びメモリを備えており、印刷エンジンPEに印刷を実行させるための様々な処理を実行する。印刷エンジンPEは、印刷ヘッドPHと、シート搬送部TUと、ヘッド駆動部AUと、を備える。
【0021】
(印刷エンジンPEの構成;図2図3
図2は、印刷エンジンPEの一部の構成を示す。図2では、シートSへの印刷が実行される際に印刷ヘッドPHが移動する紙面垂直方向が主走査方向であり、シートSへの印刷が実行される際にシートSが移動する左方向が副走査方向である。シート搬送部TUは、上流側ローラ対URと、上流側ローラ対URのうちの一方のローラを駆動する上流側モータUMと、下流側ローラ対DRと、下流側ローラ対DRのうちの一方のローラを駆動する下流側モータDMと、を備える。なお、図2では、1個の上流側ローラ対URと1個の下流側ローラ対DRとが示されている。ただし、実際には、図2の紙面垂直方向において、複数個の上流側ローラ対URが並んでいると共に、複数個の下流側ローラ対DRが並んでいる。上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRは、シートSを図2の左方向(即ち副走査方向)に搬送する。上流側ローラ対UR、下流側ローラ対DRは、それぞれ、副走査方向において、印刷ヘッドPHよりも上流側(即ち図2の右側)、下流側(即ち図2の左側)に配置される。上流側ローラ対URは、シートSを下流側ローラ対DRに向けて搬送する。下流側ローラ対DRは、上流側ローラ対URによって搬送されたシートSを図示省略の排紙トレイに向けて搬送する。
【0022】
印刷ヘッドPHは、インク流路ユニット30と、アクチュエータユニット32と、を備える。インク流路ユニット30の下面には、ブラック(K)のインク滴を吐出するための複数個のノズルNZが形成されている。ノズルNZの総数は、例えば、400個以上であり、以下では「N個(Nは2以上の整数)」と記載する。N個のノズルNZは、副走査方向に沿って一直線上に等間隔で並んでいる。インク流路ユニット30には、さらに、複数個(具体的にはN個)の圧力室Cが形成されている。各圧力室Cには、ブラックのインクが満たされる。各ノズルNZは、異なる1個の圧力室Cに連通している。
【0023】
アクチュエータユニット32は、インク流路ユニット30の上面に接合されている。アクチュエータユニット32は、積層体34と、複数個(具体的にはN個)の個別電極IEと、を備える。積層体34は、複数枚の圧電シートと、共通電極シートと、が積層されたものである。各個別電極IEは、積層体34の上面に配置されている。各個別電極IEは、異なる1個の圧力室Cに対応する位置に配置されている。アクチュエータユニット32を構成する個別電極IEに、後述の駆動回路48から駆動信号が供給されると、当該個別電極に対応する積層体34の部分(例えば図2の2本の破線の内側の部分)が変形し、この結果、当該部分に対向する圧力室C内の圧力が変化する。これにより、当該圧力室Cに連通するノズルNZからインク滴が吐出される。
【0024】
プリンタPRは、さらに、シート支持部70を備える。シート支持部70は、印刷ヘッドPHの下方に配置されていると共に、上流側ローラ対URと下流側ローラ対DRとの間に配置されている。シート支持部70は、ベース部72と、複数個のプラテン74と、を備える。ベース部72は、略板形状を有する。各プラテン74は、ベース部72の上面から上方に突出している。各プラテン74は、上流側ローラ対URより下流側に搬送されたシートSを支持する。
【0025】
N個のノズルNZのうちの上流側(即ち図2の右側)に位置する上流側ノズル群は、各プラテン74の副走査方向の下流端(即ち図2の左端)よりも上流側に位置し、N個のノズルNZのうちの下流側(即ち図2の左側)に位置する下流側ノズル群は、各プラテン74の副走査方向の下流端よりも下流側に位置する。従って、印刷ヘッドPHが主走査方向に沿って移動する際に、上流側ノズル群は、各プラテン74に対向するが、下流側ノズル群は、各プラテン74に対向しない。下流側ノズル群が各プラテン74に対向しないので、下流側ノズル群から吐出されるインクは、各プラテン74に付着しない。従って、プリンタPRは、下流側ノズル群を利用して、シートSの副走査方向の上流側及び下流側のそれぞれの端部に余白が設けられない印刷(即ちいわゆる縁無印刷)を実行することができる(後述の図13及び図14の第4実施例参照)。
【0026】
ヘッド駆動部AUは、駆動回路48を備える。駆動回路48は、各個別電極IEに接続されており、各個別電極IEに駆動信号を供給する。これにより、印刷ヘッドPHが駆動され、各ノズルNZからインク滴が吐出される。
【0027】
図3に示されるように、ヘッド駆動部AUは、さらに、キャリッジ40と、ベルト42と、一対のプーリ44(図3では一方のプーリ44のみを示す)と、キャリッジモータ46と、を備える。キャリッジ40は、印刷ヘッドPHを支持する。ベルト42は、キャリッジ40に接合されている。ベルト42は、無端ベルトであり、一対のプーリ44の間に架けられている。キャリッジモータ46は、プーリ44に接続されている。キャリッジモータ46が駆動されると、プーリ44が回転し、この結果、プーリ44に接続されているベルト42が回転する。これにより、ベルト42に接続されているキャリッジ40と、キャリッジ40によって支持されている印刷ヘッドPHと、が移動する。キャリッジモータ46がプーリ44を正逆に選択的に回転させることによって、キャリッジ40が往復移動する。キャリッジ40の往復移動方向、即ち、印刷ヘッドPHの往復移動方向が主走査方向であり、主走査方向は、副走査方向に直交する。
【0028】
本実施例では、印刷ヘッドPHは、主走査方向に沿った1回の往復移動のうちの往路の移動を実行しつつ、シートSに向けてインクを吐出するが、復路の移動を実行しつつ、シートSに向けてインクを吐出しない。以下では、印刷ヘッドPHが往路の移動を実行しつつインクを吐出する動作のことを、「主走査動作」と呼ぶ。なお、変形例では、印刷ヘッドPHは、主走査方向に沿った1回の往復移動のうちの往路の移動を実行しつつ、シートSに向けてインクを吐出すると共に、復路の移動を実行しつつ、シートSに向けてインクを吐出してもよい。この場合、印刷ヘッドPHが往路の移動を実行しつつインクを吐出することによって、1回の主走査動作が実行され、印刷ヘッドPHが復路の移動を実行しつつインクを吐出することによって、1回の主走査動作が実行される。
【0029】
(端末装置TRの構成;図1
図1に示されるように、端末装置TRは、ネットワークインターフェイス102と、操作部104と、表示部106と、制御部120と、を備える。ネットワークインターフェイス102は、LAN4に接続されている。操作部104は、マウスとキーボードとによって構成される。ユーザは、操作部104を操作することによって、様々な指示を端末装置TRに入力することができる。表示部106は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。制御部120は、CPU122と、メモリ124と、を備える。CPU122は、メモリ124に格納されている図示省略のOSプログラム、プリンタドライバ126等に従って、様々な処理を実行する。
【0030】
プリンタドライバ126は、印刷対象の対象画像を表わす画像データから印刷データを生成して、当該印刷データをプリンタPRに供給するためのプログラムである。プリンタドライバ126は、例えば、プリンタドライバ126を格納しているコンピュータ読取可能記憶媒体から端末装置TRにインストールされてもよいし、インターネット上のサーバから端末装置TRにインストールされてもよい。
【0031】
(端末装置TRが実行する処理;図4
図4を参照して、端末装置TRのCPU122がプリンタドライバ126に従って実行する処理の内容を説明する。S10では、CPU122は、ユーザによって指定される画像データを取得する。当該画像データは、複数個の画素データを含み、各画素データは、多階調(例えば256階調)のRGB値を示す。S10では、CPU122は、さらに、ユーザによって指定される印刷条件に基づいて、印刷解像度と印刷画質(即ち高画質又は普通画質)とを特定する。印刷解像度は、印刷が実行される際の主走査動作の回数に関係する。印刷画質は、印刷が実行される際に使用が許可される使用ノズル群のノズル数に関係する。なお、以下では、S10で特定される印刷解像度のことを「所定の解像度」と呼ぶ。
【0032】
S12では、CPU122は、S10で取得された画像データに対して解像度変換処理を実行することによって、S10で特定された所定の解像度に対応する変換済み画像データを生成する。当該変換済み画像データは、複数個の画素データ(即ち所定の解像度に対応する数の画素データ)を含み、各画素データは、多階調(例えば256階調)のRGB値を示す。本実施例では、CPU122は、シートSの副走査方向の長さよりも小さいサイズを有する変換済み画像CIを表わす変換済み画像データを生成する。即ち、変換済み画像データは、シートSの副走査方向の上流側及び下流側のそれぞれの端部に余白が設けられる印刷(即ちいわゆる縁有印刷)のためのデータである。また、変換済み画像CIは、シートSの主走査方向の長さ以下のサイズを有する。
【0033】
S14では、CPU122は、S12で生成された変換済み画像データに対する色変換処理を実行して、CMYK画像データを生成する。当該CMYK画像データは、複数個の画素データ(即ち変換済み画像データと同じ数の画素データ)を含み、各画素データは、多階調(例えば256階調)のCMYK値を示す。
【0034】
S16では、CPU122は、S14で生成されたCMYK画像データに対するハーフトーン処理(例えば、誤差拡散法、ディザ法等の処理)を実行して、二値データを生成する。当該二値データは、複数個の画素データ(即ちCMYK画像データと同じ数の画素データ)を含み、各画素データは、二階調(即ち「1」又は「0」)のCMYK値を含む。画素データ「1」は、ドットON(即ちインクの吐出)を示し、画素データ「0」は、ドットOFF(即ちインクの不吐出)を示す。本実施例では、印刷ヘッドPHに形成されているノズルNZ(図2等参照)が、ブラック(K)のインク滴を吐出することによって、シートS上にドットを形成する。このため、二値データ内の各画素データは、「K=1」又は「K=0」によって構成される。ただし、ノズルNZ以外にも、例えば、CMYに対応するノズル群が設けられている場合には、二値データ内の各画素は、Kに対応する値のみならず、CMYに対応する値も含む。また、本実施例では、「1」又は「0」を示す2階調のデータが生成されるが、3階調以上のデータが生成されてもよい。例えば、大ドットON、中ドットON、小ドットON、及び、ドットOFFの4階調のデータが生成されてもよい。
【0035】
S18では、CPU122は、S16で生成された二値データを用いて、印刷データを生成する。特に、CPU122は、S10で特定された印刷画質が高画質である場合には、印刷ヘッドPHに形成されているN個のノズルNZの全てが使用されるパスを含まない印刷、即ち、いずれのパスでも、N個のノズルNZのうちの一部のノズル群のみが使用される印刷(以下では「高画質印刷」と呼ぶ)を実現するための印刷データ160を生成する。ここで、「パス」は、印刷ヘッドPHの1回の主走査動作を意味する。一方、CPU122は、S10で特定された印刷画質が普通画質である場合には、N個のノズルNZの全てが使用されるパスを含む印刷(以下では「普通画質印刷」と呼ぶ)を実現するための印刷データ(図示省略)を生成する。普通画質印刷は、公知の印刷であるために、説明を省略する。
【0036】
高画質印刷を実現するための印刷データ160は、複数個のパスデータを含む。1個のパスデータが1回のパス(即ち1回の主走査動作)に対応する。各パスデータでは、N個のノズルNZ(例えばノズルN1〜N6等)のそれぞれについて、当該ノズルと、二値データ内の各画素データと、が対応付けられている。例えば、図4のS18内に示される1パス目のパスデータでは、ノズルN1に対応付けられている各画素データは、左から順に、「1」、「0」、「1」等を示す。これは、1回目のパスの過程で、ノズルN1から、インク滴の吐出、インク滴の不吐出、インク滴の吐出が、順に実行されることを意味する。上述したように、高画質印刷では、各パスにおいて、N個のノズルNZのうちの一部のノズル群のみが使用される。即ち、各パスにおいて、少なくとも1個のノズルは、インクを吐出しない。従って、印刷データ160内の各パスデータでは、少なくとも1個のノズルについて、画素データ「0」のみが対応付けられている。
【0037】
各パスデータは、さらに、シートSの副走査方向の搬送量を示す搬送量データを含む。例えば、1パス目のパスデータは、5・D分の距離を示す搬送量データを含む。これは、1パス目の主走査動作が実行される前に、シートSが副走査方向に沿って5・Dだけ搬送されることを意味する。ここで、Dは、シートS上に副走査方向に沿って形成される隣接する2個のドットの間の長さ(即ち1ドットピッチ)である。印刷データ160のより詳しい生成手法については、印刷データ160によって実現される印刷の内容を説明した後に、再び説明する。
【0038】
S20では、CPU122は、S18で生成された印刷データ160をプリンタPRに供給する。これにより、プリンタPRの制御回路20は、印刷データ160に従って、シート搬送部TUとヘッド駆動部AUとを制御して、印刷データ160によって表わされる対象画像、即ち、S10で取得された画像データによって表わされる対象画像を、シートSに印刷する。
【0039】
(印刷の内容;図5
続いて、図5を参照して、プリンタPRが印刷データ160に従って実行する印刷の内容を説明する。本実施例では、プリンタPRがいわゆるベタ画像をシートSに印刷することを想定している。図5は、印刷ヘッドPHがシートSに対して副走査方向に沿って相対移動する様子を示す。1〜5パス目では、下流側ローラ対DRの位置が示されている。そして、シートSの下流端は、1〜4パス目では、下流側ローラ対DRよりも上流側(即ち下側)に位置し、5パス目では、下流側ローラ対DRよりも下流側(即ち上側)に位置する。即ち、シートSは、1〜4パス目では、下流側ローラ対DRによって保持されず、5パス目では、下流側ローラ対DRによって保持される。また、26〜30パス目では、上流側ローラ対URの位置が示されている。そして、シートSの上流端は、26パス目では、上流側ローラ対URよりも上流側(即ち下側)に位置し、27〜30パス目では、上流側ローラ対URよりも下流側(即ち上側)に位置する。即ち、シートSは、26パス目では、上流側ローラ対URによって保持され、27〜30パス目では、上流側ローラ対URによって保持されない。従って、シートSは、1〜4パス目では、上流側ローラ対URのみによって保持され、5〜26パス目では、上流側ローラ対URと下流側ローラ対DRとの双方によって保持され、27〜30パス目では、下流側ローラ対DRのみによって保持される。
【0040】
また、印刷ヘッドPH内のハッチングは、印刷ヘッドPHに形成されているN個のノズルNZのうち、使用が許可される使用ノズル群の位置を示す。即ち、各パスでは、ハッチングが示されている位置に存在する使用ノズル群からインクが吐出されるが、ハッチングが示されていない位置に存在する不使用ノズル群からインクが吐出されない。各パスでのハッチングの様子から理解できるように、1〜30パス目のいずれにおいても、印刷ヘッドPHに形成されている全てのノズルが使用されず、一部のノズル群のみが使用される。これにより、高画質印刷を実現することができる。その理由を次に説明する。
【0041】
例えば、印刷ヘッドPHに形成されている全てのノズルNZが使用される構成では、使用ノズル群のノズル数(以下では「使用ノズル数」と呼ぶ)が多いので、各ノズルとシートSとの間のギャップ(以下では単に「ギャップ」と呼ぶ)の長さが一定にならない可能性が高い。各ノズルの各ギャップの長さが一定にならないと、各ノズルから吐出される各インク滴のシートSへの付着位置が安定しないので、印刷画質が低くなる。一方、例えば、N個のノズルNZのうちの一部のノズルのみが使用される構成では、使用ノズル数が少ないので、各ノズルの各ギャップの長さが一定になる可能性が高い。これにより、各ノズルから吐出される各インク滴のシートSへの付着位置が安定するので、この結果、高画質印刷を実現することができる。
【0042】
また、例えば、使用ノズル群のうちの上流側に位置する上流側ノズルにおけるギャップの長さと、下流側に位置する下流側ノズルにおけるギャップの長さと、が異なる可能性がある。印刷ヘッドPHに形成されている全てのノズルNZが使用される構成では、上流側ノズルのギャップの長さと下流側ノズルのギャップの長さとの相違が大きくなり得る。この場合、上流側ノズル及び下流側ノズルの双方から同じタイミングでインク滴が吐出されても、それらのインク滴によって形成されるシートS上の各ドットの位置が主走査方向にずれるので、印刷画質が悪くなる。一方、例えば、N個のノズルNZのうちの一部のノズルのみが使用される構成では、上流側ノズルのギャップの長さと下流側ノズルのギャップの長さとの相違を小さくすることができる。このために、各ドットの位置が主走査方向にずれるのを抑制することができ、この結果、高画質印刷を実現することができる。
【0043】
また、例えば、印刷ヘッドPHに形成されている全てのノズルNZが使用される構成では、各主走査動作の前に実行されるシートSの搬送で利用される搬送量が大きくなる。シートSの搬送量が大きいと、シートSの搬送精度が低くなる可能性があり、ドットが目的の位置から副走査方向にずれて形成され得る。一方、N個のノズルNZのうちの一部のノズルのみが使用される構成では、シートSの搬送量が小さくなり、シートSの搬送精度を高めることができる。このために、ドットが目的の位置から副走査方向にずれて形成されるのを抑制することができ、この結果、高画質印刷を実現することができる。
【0044】
図5の印刷のための1〜30パス目は、シートSの副走査方向の搬送量に応じて、5個の区間(即ちインターバル)TA〜TEに区分される。9〜15パス目の区間TBの搬送量と、20〜23パス目の区間TDの搬送量と、は等しく、以下では、当該搬送量のことを「基準搬送量」と呼ぶ。1〜8パス目の区間TAは、搬送量が基準搬送量よりも小さい区間である。以下では、区間TAの搬送量のことを「小搬送量」と呼ぶ。16〜19パス目の区間TCは、搬送量が基準搬送量よりも大きい区間である。以下では、区間TCの搬送量のことを「大搬送量」と呼ぶ。24〜30パス目の区間TEは、搬送量が小搬送量である区間である。
【0045】
基準搬送量で搬送される区間TB,TDでは、各パスでの使用ノズル数が等しい。以下では、基準搬送量で搬送される区間の使用ノズル数のことを「n」と記載する。小搬送量で搬送される区間TAは、さらに、今回のパスの使用ノズル数が前回のパスの使用ノズル数とは異なる区間TA1と、今回のパスの使用ノズル数が前回のパスの使用ノズル数に等しい区間TA2(即ち使用ノズル数「n」が維持される区間TA2)と、に区分される。また、小搬送量で搬送される区間TEは、さらに、今回のパスの使用ノズル数が前回のパスの使用ノズル数に等しい区間TE1(即ち使用ノズル数「n」が維持される区間TE1)と、今回のパスの使用ノズル数が前回のパスの使用ノズル数とは異なる区間TE2と、に区分される。
【0046】
また、本実施例では、副走査方向の印刷解像度は、シートS上の1ノズルピッチの長さの間に、対象画像を構成する4本のラスタを形成するための印刷解像度である。1ノズルピッチは、副走査方向において隣接する2個のノズルの間の距離である。また、ラスタは、シートS上において、主走査方向に沿って一直線に並ぶドット群である。本実施例では、1ノズルピッチの長さの間に4本のラスタを形成するために、4回のパス(即ち主走査動作)が実行され、このことを「4パスのインタレース印刷」と呼ぶ。なお、変形例では、副走査方向の印刷解像度は、4パス以外のパス数のインタレース印刷を実行するための印刷解像度であってもよい。また、以下では、副走査方向の下流、上流のことを、「副走査方向」を省略して、単に「下流」、「上流」と呼ぶ。
【0047】
(1〜4パス目の区間TA1)
プリンタPRの制御回路20は、1パス目の印刷を実行するための前処理として、まず、シート搬送部TUの少なくとも上流側モータUM(図2参照)に駆動信号を供給して、シートSを所定の印刷開始位置まで搬送する。次いで、制御回路20は、1パス目のパスデータを利用して、シート搬送部TUを制御する。1パス目のパスデータに含まれる搬送量データは、小搬送量(例えば図4のS18内の5・D)を示す。従って、制御回路20は、シート搬送部TUの各モータUM等に駆動信号を供給して、小搬送量でシートSの搬送を実行する。これにより、シートSは、1パス目の主走査動作が実行されるべき位置まで移動する。
【0048】
次いで、制御回路20は、1パス目のパスデータを利用して、ヘッド駆動部AUを制御する。具体的には、制御回路20は、まず、ヘッド駆動部AUのキャリッジモータ46(図3参照)に駆動信号を供給して、印刷ヘッドPHに主走査方向に沿った往復移動を実行させる。制御回路20は、さらに、印刷ヘッドPHの往復移動のうちの往路の間に、ヘッド駆動部AUの駆動回路48(図2参照)に駆動信号を供給して、1パス目のパスデータに含まれる画素データ「1」に対応する位置で、当該画素データに対応付けられているノズルからインク滴を吐出させる。1パス目では、シートSの下流端と使用ノズル群との間に間隔が存在する。当該間隔が、シートSの下流側の端部に設けられる余白の長さに相当する。これにより、シートSの下流側の端部において、縁有印刷が実現される。
【0049】
次いで、制御回路20は、2〜4パス目の各パスデータを順に利用して、シート搬送部TUとヘッド駆動部AUとを制御する。2〜4パス目の各パスデータに含まれる各搬送量データは、小搬送量を示す。従って、2〜4パス目の各主走査動作が実行される前に、小搬送量でのシートSの搬送が実行される。2〜4パス目では、シートSは、上流側ローラ対URのみによって保持される。また、2〜4パス目では、印刷ヘッドPHにおける使用ノズル群の領域が順次拡大するので、使用ノズル数が順次増加する。この結果、4パス目の使用ノズル群は、印刷ヘッドPHに形成されているN個のノズルNZのうち、最も下流側に位置する最下流ノズルを含む。4パス目の使用ノズル数は、「n」である。
【0050】
次いで、制御回路20は、5〜30パス目の各パスデータを順に利用して、シート搬送部TUとヘッド駆動部AUとを制御する。これにより、5〜30パス目の各パスデータについて、当該パスデータに含まれる搬送量データによって示される搬送量でのシートSの搬送と、当該パスデータに含まれる各画素データに応じた主走査動作と、が実行される。以下では、5パス目以降の印刷について説明する。
【0051】
(5〜8パス目の区間TA2)
5〜8パス目の各搬送量は小搬送量である。また、5〜8パス目の各使用ノズル数は、「n」である。5〜8パス目の各使用ノズル群は、使用ノズル数「n」が維持された状態で、前回のパス目の使用ノズル群よりも上流側(即ち図5の下側)にシフトする。以下では、使用ノズル数「n」が維持された状態で、使用ノズル群が上流側にシフトすることを、「上流側シフト」と呼ぶ。上流側シフトは、印刷ヘッドPHにおける使用ノズル群の位置が上流側にシフトすることを意味する。区間TA2では、5〜8パス目の4回の上流側シフトが実行される。4回の上流側シフトが実行されることに起因して、8パス目の使用ノズル群は、印刷ヘッドPHに形成されているN個のノズルNZのうち、最も上流側に位置する最上流ノズルを含む。
【0052】
区間TA1及び区間TA2の各パスによって、シートS上の副走査方向の下流側の端部に位置する下流側端部領域DEAに、対象画像のうちの下流側端部画像が形成される。特に、区間TA2の5〜8パス目の印刷は、4回に亘って小搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、4回の搬送の後の4回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、上流側シフトが実行される、を満たす印刷である。
【0053】
(9〜15パス目の区間TB)
9〜15パス目の各搬送量は基準搬送量である。また、9〜15パス目の各使用ノズル数は「n」である。9〜15パス目の各使用ノズル群は、最上流ノズルを含み、前回のパスの使用ノズル群に一致する(即ち使用ノズル群がシフトしない)。区間TBの各パスによって、シートS上の副走査方向の中央部に位置する中央領域CABに、対象画像のうちの中央画像が形成される。区間TBの印刷は、7回に亘って基準搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、7回の搬送の後の7回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない、を満たす印刷である。
【0054】
(16〜19パス目の区間TC)
16〜19パス目の各搬送量は大搬送量である。また、16〜19パス目の各使用ノズル数は「n」である。16〜19パス目の各使用ノズル群は、使用ノズル数「n」が維持された状態で、前回のパスの使用ノズル群よりも下流側(即ち図5の上側)にシフトする。以下では、使用ノズル数「n」が維持された状態で、使用ノズル群が下流側にシフトすることを、「下流側シフト」と呼ぶ。下流側シフトは、印刷ヘッドPHにおける使用ノズル群の位置が下流側にシフトすることを意味する。区間TCでは、16〜19パス目の4回の下流側シフトが実行される。4回の下流側シフトが実行されることに起因して、19パス目の使用ノズル群は、最下流ノズルを含む。区間TCの各パスによって、シートS上の副走査方向の中央部に位置する中央領域CACに、対象画像のうちの中央画像が形成される。中央領域CACは、中央領域CABよりも上流側に位置する領域である。区間TCの印刷は、4回に亘って大搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、4回の搬送の後の4回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、下流側シフトが実行される、を満たす印刷である。区間TCでは、シートSが上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRの双方によって保持されているので、シートSの搬送精度が高い。このために、区間TCにおいて大搬送量でシートSが搬送されても、シートSを適切に搬送することができ、この結果、中央領域CACの印刷画質が低下するのを抑制することができる。
【0055】
(20〜23パス目の区間TD)
20〜23パス目の搬送量は基準搬送量である。また、20〜23パス目の各使用ノズル数は「n」である。20〜23パス目の各使用ノズル群は、最下流ノズルを含み、前回のパスの使用ノズル群に一致する(即ち使用ノズル群がシフトしない)。区間TDの各パスによって、シートS上の副走査方向の中央部に位置する中央領域CADに、対象画像のうちの中央画像が形成される。中央領域CADは、中央領域CACよりも上流側に位置する領域である。区間TDの印刷は、4回に亘って基準搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、4回の搬送の後の4回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない、を満たす印刷である。
【0056】
(24〜27パス目の区間TE1)
24〜27パス目の搬送量は小搬送量である。また、24〜27パス目の各使用ノズル数は「n」である。24〜27パス目では、4回の上流側シフトが実行される。4回の上流側シフトが実行されることに起因して、27パス目の使用ノズル群は、最上流ノズルを含む。
【0057】
(28〜30パス目の区間TE2)
28〜30パス目の搬送量は小搬送量である。また、28〜30パス目の各使用ノズル数は、前回のパスの使用ノズル数よりも小さい。30パス目では、シートSの上流端と使用ノズル群との間に間隔が存在する。当該間隔が、シートSの上流側の端部に設けられる余白の長さに相当する。これにより、シートSの上流側の端部において、縁有印刷が実現される。
【0058】
区間TE1及び区間TE2の各パスによって、シートS上の副走査方向の上流側の端部に位置する上流側端部領域UEAに、対象画像のうちの上流側端部画像が形成される。特に、区間TE1の24〜27パス目の印刷は、4回に亘って小搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、4回の搬送の後の4回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、上流側シフトが実行される、を満たす印刷である。
【0059】
1〜30パス目の各印刷が実行されると、シートSへの対象画像の印刷が完了する。制御回路20は、対象画像の印刷が完了すると、シート搬送部TUを制御して、シートSを排紙トレイまで搬送する。これにより、対象画像が形成されているシートSをユーザに提供することができる。
【0060】
(各区間TA〜TEの搬送量が異なる理由)
上述したように、図5の印刷では、各区間TA〜TEの搬送量が異なる。区間TB又は区間TDで採用される基準搬送量は、シートSが均等の搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル数「n」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない状態で、図4のS10で特定された所定の解像度の印刷を複数回の主走査動作によって実現するための搬送量である。より具体的に言うと、基準搬送量は、使用ノズル数「n」によって決められるn・Dである。
【0061】
区間TAで小搬送量を採用する理由は、以下のとおりである。上述したように、シートSは、1〜4パス目では、下流側ローラ対DRによって保持されず、上流側ローラ対URのみによって保持される。この状態では、シートSがローラUR,DRの双方によって保持されている状態と比べて、シートSの搬送精度が低い。搬送精度が低い状態で搬送量が大きいと、適切な位置にシートSを搬送するのが困難になり、この結果、印刷画質が低くなる。このような実情に鑑みて、シートSが上流側ローラ対URのみによって保持される1〜4パス目では、基準搬送量よりも小さい小搬送量を採用する。これにより、適切な位置にシートSを搬送し得るので、高画質の印刷を実現し得る。図5の領域DAは、1〜4パス目で印刷されるシートS上の領域を示す。そして、1〜4パス目において小搬送量で領域DAの印刷が実行されるので、当該領域DAの印刷を実行するための5〜7パス目でも同じ小搬送量を採用した方が、高画質の印刷を実現し得る。このために、5〜7パス目でも小搬送量を採用する。なお、8パス目は領域DAの印刷に無関係であるが、本実施例では、8パス目の搬送量として、小搬送量を採用している。ただし、変形例では、8パス目の搬送量として、区間TBで採用される基準搬送量を採用してもよい。
【0062】
区間TEで小搬送量を採用する理由は、区間TAで小搬送量を採用する理由と同様である。即ち、シートSは、27〜30パス目では、上流側ローラ対URによって保持されず、下流側ローラ対DRのみによって保持される。従って、シートSが下流側ローラ対DRのみによって保持される27〜30パス目では、適切な位置にシートSを搬送するために、小搬送量を採用する。図5の領域UAは、27〜30パス目で印刷されるシートS上の領域を示す。そして、27〜30パス目において小搬送量で領域UAの印刷が実行されるので、当該領域UAの印刷を実行するための24〜26パス目でも同じ小搬送量を採用した方が、高画質の印刷を実現し得る。このために、24〜26パス目でも小搬送量を採用する。
【0063】
ところで、シートSの各端部領域DEA,UEAを印刷するための各区間TA2,TE1の使用ノズル数「n」は、シートSの各中央領域CAB,CAC,CADを印刷するための各区間TB,TC,TDの使用ノズル数「n」に等しい。後で詳しく説明するが、このように、シートSの端部領域を印刷するための使用ノズル数をシートSの中央領域を印刷するための使用ノズル数に等しくすれば、印刷の高速化を実現することができる。従って、本実施例では、印刷の高速化のために、各区間TA2,TE1の使用ノズル数として「n」を採用する。そして、区間TA2では、使用ノズル数「n」が維持された状態で、シートSが基準搬送量よりも小さい小搬送量で搬送されるので、上流側シフトが実行される。この結果、区間TA2の最後の8パス目では、使用ノズル群が最上流ノズルを含むことになり、さらなる上流側シフトを実行不可能な状態になる。そして、各区間TB,TDでは、シートSが基準搬送量で搬送されるので、使用ノズル群はシフトしない。従って、区間TE2で上流側シフトを実行するためには、区間TEが開始される前に、さらなる上流側シフトを実行可能な状態にしておく必要がある。このために、区間TCで基準搬送量よりも大きい大搬送量が採用される。区間TCの16〜19パス目では、使用ノズル数「n」が維持された状態で、シートSが基準搬送量よりも大きい大搬送量で搬送されるので、下流側シフトが実行される。この結果、区間TE2で上流側シフトを実行することができる。換言すれば、区間TE2において、使用ノズル数「n」が維持された状態で、シートSを基準搬送量よりも小さい小搬送量で搬送することができる。即ち、区間TCは、印刷の高速化のために、区間TE2で上流側シフトを実行するための準備区間であると言える。
【0064】
(印刷の詳細;図6図8
続いて、図6図8を参照して、図5の印刷の詳細を説明する。図6図8は、印刷ヘッドPHがシートSに対して副走査方向に沿って相対移動する様子を示す。図2及び図3では、印刷ヘッドPHに例えば400個以上のノズルNZが形成されているが、図6図8では、説明の便宜上、印刷ヘッドPHに13個のノズルが形成されている構成を例としている。印刷ヘッドPH内の数字「1」〜「13」は、各ノズルの位置を示す。即ち、印刷ヘッドPH内の数字「1」、数字「13」は、それぞれ、最下流ノズル、最上流ノズルの位置を示す。以下では、便宜上、数字「p(pは1〜13の各整数)」で示される位置に存在するノズルのことを、「ノズル[p]」と記載する。また、印刷ヘッドPH内の各数字のうち、丸で囲まれている数字が使用ノズル群の位置を示し、丸で囲まれていない数字が不使用ノズル群の位置を示す。
【0065】
(1〜11パス目の印刷;図6
図6は、1〜11パス目を示す。4パス目のノズル[7]とノズル[8]との間に1ノズルピッチの間隔が示されている。そして、当該間隔内において、4パス目のノズル[7]と、5パス目のノズル[6]と、6パス目のノズル[5]と、7パス目のノズル[4]と、からインクが吐出される。即ち、シートS上の副走査方向の1ノズルピッチの長さの間に4〜7パス目の4回の主走査動作によって4本のラスタが形成され、4パスのインタレース印刷が実現される。なお、1ノズルピッチの間に4本のラスタが形成されるということは、1ノズルピッチは4・Dに等しいことを意味する。
【0066】
1〜4パス目の区間TA1では、使用ノズル数が、「3」、「5」、「7」、「9」と順次増加する。5パス目〜8パス目の区間TA2では、使用ノズル数「9」が維持された状態で、使用ノズル群の上流側シフトが実行される。例えば、4パス目の使用ノズル群がノズル[1]〜ノズル[9]であるのに対し、5パス目の使用ノズル群がノズル[2]〜ノズル[10]である。即ち、5パス目では、1個のノズル分の上流側シフトが実行される。同様に、6〜8パス目でも、1個のノズル分の上流側シフトが実行される。この結果、8パス目の使用ノズル群は、最上流ノズル[13]を含む。換言すると、5〜8パス目では、使用ノズル群の位置のシフト量(以下では符号「NS」を利用する)は、1ノズルピッチ、即ち、4・D分の距離である。また、9〜11パス目の区間TBでは、使用ノズル数「9」が維持され、使用ノズル群がシフトしない(即ち使用ノズル群がノズル[5]〜ノズル[13]である)。
【0067】
区間TBの搬送量TBamount(即ち基準搬送量)は、シートSが均等の搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル数「9」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない状態で、複数回の主走査動作によって所定の解像度の印刷を実現するための搬送量である。上述したように、使用ノズル数が「n」である場合に、TBamountは、n・Dである。図6の例では、区間TBの使用ノズル数が「9」であるので、TBamountは、9・Dである。
【0068】
区間TAの搬送量TAamount(即ち小搬送量)は、TBamountから、区間TA2での使用ノズル群の位置のシフト量NSが減算された値である。図6の例では、TBamount、NSが、それぞれ、9・D、4・Dであるので、TAamountは、5・Dである。
【0069】
(14〜21パス目の印刷;図7
図7は、14〜21パス目を示す。なお、図7では、図6の続きである12〜13パス目を省略している。14〜15パス目の区間TBでは、使用ノズル数「9」が維持され、使用ノズル群がシフトしない(即ち使用ノズル群がノズル[5]〜ノズル[13]である)。16〜19パス目の区間TCでは、使用ノズル数「9」が維持された状態で、使用ノズル群の下流側シフトが実行される。例えば、15パス目の使用ノズル群がノズル[5]〜ノズル[13]であるのに対し、16パス目の使用ノズル群がノズル[4]〜ノズル[12]である。即ち、16パス目では、1個のノズル分の下流側シフトが実行される。同様に、17〜19パス目でも、1個のノズル分の下流側シフトが実行される。この結果、19パス目の使用ノズル群は、最下流ノズル[1]を含む。換言すると、16〜19パス目では、使用ノズル群の位置のシフト量NSは、1ノズルピッチ(即ち4・D分の距離)である。また、20パス目〜21パス目の区間TDでは、使用ノズル数「9」が維持され、使用ノズル群がシフトしない(即ち使用ノズル群がノズル[1]〜ノズル[9]である)。
【0070】
区間TCの搬送量TCamount(即ち大搬送量)は、TBamountに、区間TCでの使用ノズル群の位置のシフト量NSが加算された値である。図7の例では、TBamount、NSが、それぞれ、9・D、4・Dであるので、TCamountは、13・Dである。また、区間TDの搬送量TDamount(即ち基準搬送量)は、TBamount(即ち9・D)に等しい。
【0071】
(22〜30パス目の印刷;図8
図8は、22〜30パス目を示す。22〜23パス目の区間TDでは、使用ノズル数「9」が維持され、使用ノズル群がシフトしない(即ち使用ノズル群がノズル[1]〜ノズル[9]である)。24〜27パス目の区間TE1では、使用ノズル数「9」が維持された状態で、1個のノズル分の上流側シフトが実行される(即ち、使用ノズル群の位置のシフト量NSは、1ノズルピッチ(即ち4・D分の距離)である)。この結果、27パス目の使用ノズル群は、最上流ノズル[13]を含む。また、28〜30パス目の区間TE2では、使用ノズル数が、「7」、「5」、「3」と順次減少する。
【0072】
区間TEの搬送量TEamount(即ち小搬送量)は、TDamountから、区間TEでの使用ノズル群の位置のシフト量NSが減算された値である。図9の例では、TDamount、NSが、それぞれ、9・D、4・Dであるので、TEamountは、5・Dである。
【0073】
(印刷の詳細;図9
図9は、図6図8の印刷において、シートSが印刷ヘッドPHに対して副走査方向に沿って移動する様子を示す。各パスのシートS上のハッチングは、当該パスの使用ノズル群の位置(即ちドットが形成される位置)を示す。
【0074】
1〜4パス目の区間TA1では、シートSは、下流側ローラ対DRによって保持されず、上流側ローラ対URのみによって保持される。区間TA1では、使用ノズル数が順次増加する。5パス目において、シートSは、下流側ローラ対DRによって保持されない状態から、上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRの双方によって保持される状態に変化する。そして、5〜8パス目の区間TA2では、使用ノズル数「9」が維持された状態で、使用ノズル群の上流側シフトが実行される。即ち、下流側ローラ対DRによってシートSが保持されない状態から、下流側ローラ対DRによってシートSが保持された状態に変化した後に、上流側シフトが実行(換言すると開始)される。
【0075】
9〜23パス目の区間TB,TC,TDでは、シートSは、上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRの双方によって保持される。区間TBでは、使用ノズル数「9」が維持され、使用ノズル群がシフトしない。区間TCでは、使用ノズル数「9」が維持され、使用ノズル群の下流側シフトが実行される。区間TDでは、使用ノズル数「9」が維持され、使用ノズル群がシフトしない。
【0076】
24〜26パス目の区間TE1では、シートSは、上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRの双方によって保持される。区間TE1では、使用ノズル数「9」が維持された状態で、使用ノズル群の上流側シフトが実行される。27パス目において、シートSは、上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRの双方によって保持される状態から、上流側ローラ対URによって保持されずに、下流側ローラ対DRのみによって保持される状態に変化する。即ち、上流側ローラ対URによってシートSが保持される状態から、上流側ローラ対URによってシートSが保持されない状態に変化する前に、上流側シフトが実行(換言すると開始)される。区間TA2では、使用ノズル数が順次減少する。
【0077】
(印刷データ160の生成手法)
続いて、図4のS18の処理の内容について、再び説明する。S18では、CPU122は、図5図9を用いて説明した印刷を実現するための印刷データ160を生成する。即ち、CPU122は、1〜8パス目及び24〜30パス目の各パスデータについて、5・Dを示す搬送量データを生成する。CPU122は、9〜15パス目及び20〜23パス目の各パスデータについて、9・Dを示す搬送量データを生成する。また、CPU122は、16〜19パス目の各パスデータについて、13・Dを示す搬送量データを生成する。CPU122は、さらに、各パスデータを生成する際に、当該パスデータに対応するパスで、図5図8に示される使用ノズル群によってドットが形成されるように、各ノズルに対応する各画素データを生成する。例えば、図6の1パス目では、ノズル[4]〜ノズル[6]が使用ノズル群であるので、ノズル[4]〜ノズル[6]に対応する各画素データは、「1(即ちドットON)」を含み得る。ただし、他のノズル(例えばノズル[1])に対応する各画素データは、「1」を含まない(即ち「0」のみを含む)。
【0078】
(第1実施例の効果)
図10は、比較例の印刷の内容を示す。比較例では、本実施例の図5に示されるシートSと同じサイズを有するシートSに同じ対象画像が印刷される。比較例では、使用ノズル数「n」が維持された状態で、使用ノズル群がシフトしない(即ち、上流側シフト及び下流側シフトが実行されない)。
【0079】
区間TFの1〜8パス目の各搬送量は小搬送量(例えば5・D)である。即ち、シートSが上流側ローラ対URのみによって保持される1〜4パス目では、基準搬送量よりも小さい小搬送量を採用する。そして、1〜4パス目で印刷される領域DAの印刷を実行するための5〜7パス目でも、小搬送量を採用する。8パス目は領域DAの印刷に無関係であるが、8パス目の搬送量として、小搬送量を採用する。この点は、図5の8パス目と同様である。区間TFでは、使用ノズル数が順次増加する。この結果、区間TFの最後の8パス目では、使用ノズル数が「n」になる。
【0080】
区間TGの9〜25パス目の各搬送量は基準搬送量(例えば9・D)である。9〜21パス目では、使用ノズル数「n」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない。22〜25パス目では、使用ノズル数が順次減少する。
【0081】
区間THの26〜40パス目の各搬送量は小搬送量(例えば5・D)である。即ち、シートSが下流側ローラ対DRのみによって保持される29〜40パス目では、基準搬送量よりも小さい小搬送量を採用する。そして、29〜40パス目で印刷される領域UAの印刷を実行するための26〜28パス目でも、小搬送量を採用する。また、26〜37パス目では、25パス目の使用ノズル数(即ちn未満のノズル数)が維持される。38〜40パス目では、使用ノズル数が順次減少する。
【0082】
上述したように、比較例では、対象画像をシートSに印刷するのに40パスが必要である。これに対し、本実施例では、図5に示されるように、対象画像をシートSに印刷するのに30パスで済む。本実施例のパス数が少なくなる理由は、下流側端部領域DEAの印刷のための区間TA2と、上流側端部領域UEAの印刷のための区間TE1と、において、使用ノズル数「n」が維持された状態で、上流側シフトが実行されるからである。即ち、区間TA2及び区間TE1では、小搬送量でシートSが搬送されるが、使用ノズル数は、各中央領域CAB,CAC,CADの印刷のための各区間TB,TC,TDの使用ノズル数「n」に等しい。従って、本実施例では、比較例と比べてパス数が少なくなり、この結果、対象画像の印刷を高速で実行することができる。
【0083】
また、図10の2本の二点鎖線VLCに示されるように、比較例では、各パスの各使用ノズル群の各最上流ノズルを結ぶと折れ線が形成されると共に、各最下流ノズルを結ぶと折れ線が形成される。これに対し、図5の2本の二点鎖線VL1に示されるように、本実施例では、2本の直線が形成される。このように2本の直線が形成される理由は、区間TA2及び区間TE1において、使用ノズル数「n」が維持された状態で、上流側シフトが実行されるからであると言える。
【0084】
(対応関係)
プリンタPR、端末装置TRが、それぞれ、「印刷実行部」、「制御装置」の一例である。副走査方向、主走査方向が、それぞれ、「第1方向」、「第2方向」の一例である。図5において、下流側端部領域DEA、中央領域CAB、中央領域CAC、中央領域CAD、上流側端部領域UEAが、それぞれ、「第1の端部領域」、「第2の中央領域」、「第1の中央領域」、「第3の中央領域」、「第2の端部領域」の一例である。区間TAの1〜8パス目のパスデータ、区間TBの9〜15パス目のパスデータ、区間TCの16〜19パス目のパスデータ、区間TDの20〜23パス目のパスデータ、区間TEの24〜30パス目のパスデータが、それぞれ、「第1の端部印刷データ」、「第2の中央印刷データ」、「第1の中央印刷データ」、「第3の中央印刷データ」、「第2の端部印刷データ」の一例である。区間TA2の4回の主走査動作、区間TBの7回の主走査動作、区間TCの4回の主走査動作、区間TDの4回の主走査動作、区間TE1の4回の主走査動作が、それぞれ、「M1回の第1種の主走査動作」、「M4回の第4種の主走査動作」、「M2回の第2種の主走査動作」、「M5回の第5種の主走査動作」、「M3回の第3種の主走査動作」の一例である。また、TAamount、TCamount、TEamountが、それぞれ、「第1の搬送量」、「第2の搬送量」、「第3の搬送量」の一例である。
【0085】
また、中央領域CAB(又は中央領域CAD)が、「第1の中央領域」の一例であると考えることもできる。この場合、区間TBの9〜15パス目のパスデータ(又は区間TDの20〜23パス目のパスデータ)が、「第1の中央印刷データ」の一例である。区間TBの7回の主走査動作(又は区間TDの4回の主走査動作)が、「M2回の第2種の主走査動作」の一例である。また、TBamount(又は搬送量TDamount)が、「第2の搬送量」の一例である。
【0086】
また、上流側端部領域UEAが、「第1の端部領域」の一例であると考えることもできる。この場合、区間TEの24〜30パス目のパスデータが、「第1の端部印刷データ」の一例である。区間TE1の4回の主走査動作が、「M1回の第1種の主走査動作」の一例である。また、TEamountが、「第1の搬送量」の一例である。
【0087】
(第2実施例;図11
本実施例では、図4のS18において、端末装置TRのCPU122は、対象画像の副走査方向のサイズが比較的に小さい場合には、基準搬送量でシートSが搬送される区間(図5の区間TB,TD参照)を含まない印刷をプリンタPRに実行させるための印刷データを生成する。これにより、プリンタPRでは、図11の印刷が実行される。図11は、本実施例の各パスにおいて、印刷ヘッドPHがシートSに対して副走査方向に沿って相対移動する様子を示す。図11の各区間TA,TC,TEは、図5の各区間TA,TC,TEと同様である。
【0088】
本実施例によると、区間TA2,TE1では、小搬送量でシートSが搬送されるが、使用ノズル数は、中央領域CACの印刷のための区間TCの使用ノズル数「n」に等しい。従って、対象画像の印刷を高速で実行することができる。また、2本の二点鎖線VL2に示されるように、本実施例でも、各パスの各使用ノズル群の各最上流ノズルを結ぶと直線が形成されると共に、各最下流ノズルを結ぶと直線が形成される。本実施例では、下流側端部領域DEA、中央領域CAC、上流側端部領域UEAが、それぞれ、「第1の端部領域」、「第1の中央領域」、「第2の端部領域」の一例である。
【0089】
(第2実施例の変形例その1)
図4のS18において、端末装置TRのCPU122は、対象画像の副走査方向のサイズが第2実施例よりも大きい場合に、例えば、図11の区間TAと区間TCとの間に基準搬送量で搬送される区間TB(図5参照)が追加された印刷をプリンタPRに実行させるための印刷データを生成してもよい。本変形例では、下流側端部領域DEA、中央領域CAB(図5参照)、中央領域CAC、上流側端部領域UEAが、それぞれ、「第1の端部領域」、「第2の中央領域」、「第1の中央領域」、「第2の端部領域」の一例である。
【0090】
(第2実施例の変形例その2)
図4のS18において、端末装置TRのCPU122は、対象画像の副走査方向のサイズが第2実施例よりも大きい場合に、例えば、図11の区間TCと区間TEとの間に基準搬送量で搬送される区間TD(図5参照)が追加された印刷をプリンタPRに実行させるための印刷データを生成してもよい。本変形例では、下流側端部領域DEA、中央領域CAC、中央領域CAD(図5参照)、上流側端部領域UEAが、それぞれ、「第1の端部領域」、「第1の中央領域」、「第3の中央領域」、「第2の端部領域」の一例である。
【0091】
(第3実施例;図12
本実施例では、図4のS18において、端末装置TRのCPU122は、大搬送量でシートSが搬送される区間(例えば図5の区間TC)を含まない印刷をプリンタPRに実行させるための印刷データを生成する。これにより、プリンタPRでは、図12の印刷が実行される。図12は、本実施例の各パスにおいて、印刷ヘッドPHがシートSに対して副走査方向に沿って相対移動する様子を示す。図12の印刷は、小搬送量でシートSが搬送される区間TIと、基準搬送量でシートSが搬送される区間TJと、小搬送量でシートSが搬送される区間TKと、に区分される。
【0092】
区間TIのうちの区間TI1では、使用ノズル数が順次増加する。4パス目では、使用ノズル群は最下流ノズルを含み、使用ノズル数は「n」である。区間TIのうちの区間TI2では、使用ノズル数「n」が維持され、2回の上流側シフトが実行される。6パス目の使用ノズル群は、最上流ノズルと最下流ノズルとを含まない。即ち、6パス目の使用ノズル群は、印刷ヘッドPHに形成されているN個のノズルNZのうち、副走査方向の中央部に存在するノズル群(以下では「中央部ノズル群」と呼ぶ)のみを含む。区間TIの各パスによって、シートS上の下流側端部領域DEAに、対象画像のうちの下流側端部画像が形成される。特に、区間TI2の5〜6パス目の印刷は、2回に亘って小搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、2回の搬送の後の2回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、上流側シフトが実行される、を満たす印刷である。
【0093】
区間TJでは、使用ノズル数「n」が維持される。また、区間TJでは、使用ノズル群がシフトしないので、使用ノズル群は、中央部ノズル群のみを含む。なお、7パス目で印刷される領域は、シートSが上流側ローラ対URのみによって保持される1〜4パス目で印刷される領域を含む。ただし、本実施例では、図12の印刷を実現するために、7パス目で小搬送量を採用せずに基準搬送量を採用する。また、24〜25パス目で印刷される領域は、シートSが下流側ローラ対DRのみによって保持される27〜30パス目で印刷される領域を含むが、24〜25パス目で基準搬送量を採用する。このようにして基準搬送量を採用する点は、後述の第4実施例(図13参照)でも同様である。区間TJの各パスによって、シートS上の副走査方向の中央部に位置する中央領域CAJに、対象画像のうちの中央画像が形成される。区間TJの印刷は、19回に亘って基準搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、19回の搬送の後の19回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない、を満たす印刷である。
【0094】
区間TKのうちの区間TK1では、使用ノズル数「n」が維持され、2回の上流側シフトが実行される。27パス目では、使用ノズル群は最上流ノズルを含む。区間TKのうちの区間TK2では、使用ノズル数が順次減少する。区間TKの各パスによって、シートS上の上流側端部領域UEAに、対象画像のうちの上流側端部画像が形成される。特に、区間TK1の26〜27パス目の印刷は、2回に亘って小搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、2回の搬送の後の2回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、上流側シフトが実行される、を満たす印刷である。
【0095】
区間TJの搬送量TJamount(即ち基準搬送量)は、n・Dである。区間TIの搬送量TIamount(即ち小搬送量)は、TJamountから、区間TIでの使用ノズル群の位置のシフト量NSが減算された値である。同様に、区間TKの搬送量TKamount(即ち小搬送量)は、TJamountから、区間TKでの使用ノズル群の位置のシフト量NSが減算された値である。また、2本の二点鎖線VL3に示されるように、本実施例でも、各パスの各使用ノズル群の各最上流ノズルを結ぶと直線が形成されると共に、各最下流ノズルを結ぶと直線が形成される。
【0096】
一般的には、印刷ヘッドPHでは、副走査方向の上流側及び下流側に位置する端部ノズル群の吐出精度が、副走査方向の中央部に位置する中央部ノズル群の吐出精度よりも悪くなる傾向がある。上述したように、本実施例では、中央領域CAJの印刷が実行される際に、端部ノズル群が使用されず、中央部ノズル群のみが使用される。また、中央領域CAJの印刷が実行される際には、シートSが上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRの双方によって保持されるので、シートSの搬送精度が高い。このように、本実施例では、シートSの搬送精度が高い状態で、吐出精度が高い中央部ノズル群のみを使用して、中央領域CAJの印刷を実行するので、中央領域CAJの高画質印刷を実現し得る。
【0097】
また、本実施例によると、区間TI2,TK1では、小搬送量でシートSが搬送されるが、使用ノズル数は、中央領域CAJの印刷のための区間TJの使用ノズル数「n」に等しい。従って、対象画像の印刷を高速で実行することができる。このように、対象画像の印刷を高速で実行しつつ、中央領域CAJの高画質印刷を実現し得る。本実施例では、下流側端部領域DEA、中央領域CAJ、上流側端部領域UEAが、それぞれ、「第1の端部領域」、「第1の中央領域」、「第2の端部領域」の一例である。
【0098】
(第4実施例;図13図14
本実施例では、図4のS12において、端末装置TRのCPU122は、シートSの副走査方向の長さよりも大きいサイズを有する変換済み画像CIを表わす変換済み画像データを生成する。即ち、変換済み画像データは、シートSの副走査方向の上流側及び下流側のそれぞれの端部に余白が設けられない印刷(即ちいわゆる縁無印刷)のためのデータである。この場合、S18では、CPU122は、縁無印刷をプリンタPRに実行させるための印刷データを生成する。また、CPU122は、シートS上の上流側端部領域UEA(図13参照)の印刷が実行される際に、基準搬送量よりもかなり大きな搬送量(以下では「特大搬送量」と呼ぶ)でシートSを搬送するための印刷データを生成する。これにより、プリンタPRでは、図13の印刷が実行される。図13は、本実施例の各パスにおいて、印刷ヘッドPHがシートSに対して副走査方向に沿って相対移動する様子を示す。
【0099】
区間TL(即ち区間TL1,TL2)は、図5の区間TA(即ち区間TA1,TA2)と同様である。ただし、区間TL1の1〜4パス目の各使用ノズル群は、シートSの下流端よりも下流側(即ち上側)に位置するノズル群を含む。これにより、仮に、シートSが目的の位置よりもやや下流側の位置に搬送されても、シートSの下流側の端部において、縁無印刷を適切に実行することができる。区間TLの各パスによって、シートS上の下流側端部領域DEAに、対象画像のうちの下流側端部画像が形成される。特に、区間TL2の5〜8パス目の印刷は、4回に亘って小搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、4回の搬送の後の4回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、上流側シフトが実行される、を満たす印刷である。
【0100】
区間TMは、図5の区間TBと同様である。区間TMの各パスによって、シートS上の中央領域CAMに、対象画像のうちの中央画像が形成される。区間TMの印刷は、7回に亘って基準搬送量でのシートSの搬送が実行され、かつ、7回の搬送の後の7回の主走査動作において使用ノズル数「n」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない、を満たす印刷である。
【0101】
区間TNでは、小搬送量でシートSが搬送され、使用ノズル数が順次減少する。即ち、区間TNの使用ノズル数は、「n」未満である。また、区間TOでは、特大搬送量でシートSが搬送される。これにより、シートSは、上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRの双方によって保持されている状態から、下流側ローラ対DRのみによって保持されている状態に変化する。区間TOの20パス目の使用ノズル数は、19パス目の使用ノズル数に等しい(即ち「n」未満である)。
【0102】
区間TPでは、小搬送量でシートSが搬送される。区間TPの21〜23パス目の各使用ノズル数は、20パス目の使用ノズル数に等しい(即ち「n」未満である)。区間TPの24〜26パス目では、使用ノズル数が順次減少する。また、23〜26パス目の各使用ノズル群は、シートSの上流端よりも上流側(即ち下側)に位置するノズル群を含む。これにより、仮に、シートSが目的の位置よりもやや上流側の位置に搬送されても、シートSの上流側の端部において、縁無印刷を適切に実行することができる。区間TN,TO,TPの各パスによって、シートS上の上流側端部領域UEAに、対象画像のうちの上流側端部画像が形成される。
【0103】
図14は、図13の印刷において、シートSが印刷ヘッドPHに対して副走査方向に沿って移動する様子を示す。各パスの実線及び破線のハッチングは、当該パスの使用ノズル群の位置を示す。特に、実線のハッチング、破線のハッチングは、それぞれ、シートSが目的の位置まで正確に搬送される場合に、使用ノズル群によって印刷される領域、使用ノズル群によって印刷されない領域を示す。例えば、1パス目において、シートSが目的の位置まで搬送されると、破線のハッチングで示される下流側のノズル群によって吐出されるインクがシートSに付着しない(即ち下流側のノズル群によって印刷されない)。ただし、例えば、1パス目において、シートSが目的の位置よりもやや下流側(即ち左側)の位置に搬送されると、上記の下流側のノズル群よって吐出されるインクがシートSに付着する。これにより、縁無印刷を適切に実行することができる。
【0104】
1〜4パス目の破線のハッチングで示されるように、使用ノズル群のうちの下流側のノズル群によって吐出されるインクがシートSに付着しない可能性がある。ただし、上記の下流側のノズル群は、プラテン74の下流端(即ち左端)よりも下流側に位置する。従って、上記の下流側のノズル群から吐出されるインクによってプラテン74が汚れること、即ち、プラテン74によって支持されるシートSが汚れること、を抑制することができる。この点は、23〜26パス目でも同様であり、使用ノズル群のうちの上流側のノズル群によって吐出されるインクがシートSに付着しない可能性があるが、上記の上流側のノズル群は、プラテン74の下流端よりも下流側に位置する。従って、上記の上流側のノズル群から吐出されるインクによってプラテン74が汚れることを抑制することができる。
【0105】
本実施例によると、区間TOにおいて、特大搬送量でシートSが搬送される。その理由は、以下のとおりである。例えば、19パス目の後に、特大搬送量ではなく、基準搬送量等の比較的に小さい搬送量でシートSが搬送される状況を想定する。この場合、シートSが上流側ローラ対URによって保持されている状態から保持されていない状態に変化した際に、下流側ローラ対DRよりも上流側(即ち右側)に位置するシート部分の副走査方向の長さが大きくなる。このように、当該シート部分の長さが大きいと、例えば、シートSの上流端が上方に変形する事象が起こった際に、シートSの上流端の上方への変形量が大きくなる。この結果、印刷ヘッドPHが主走査方向に移動する際に、シートSの上流端が印刷ヘッドPHの下面(即ちノズルNZが形成されている面)に接触して、シートSが汚れる可能性がある。一方、本実施例のように、19パス目の後に、特大搬送量でシートSが搬送されると、下流側ローラ対DRよりも上流側に位置するシート部分の長さを小さくすることができる。これにより、シートSの上流端が上方に変形する事象が起こっても、変形量が小さいので、シートSの上流端が印刷ヘッドPHの下面に接触するのを抑制することができる。即ち、シートSが汚れるのを抑制することができる。
【0106】
ところで、インタレース印刷を実現するためには、特大搬送量でシートSが搬送されるパス(図13の例では20パス目)において、当該パスの直前のパスで印刷された印刷領域を印刷しなければならない。即ち、特大搬送量の値は、上記の直前のパスの印刷領域を印刷可能な範囲内で設定される。そして、特大搬送量の値を大きくすることができれば、特大搬送量でシートSが搬送された後に、下流側ローラ対DRよりも上流側に位置するシート部分の長さを適切に小さくすることができる。これにより、シートSの上流端が上方に変形する事象が起こっても、シートSの上流端が印刷ヘッドPHの下面に接触するのを適切に抑制することができ、この結果、シートSが汚れるのを適切に抑制することができる。仮に、区間TL2で上流側シフトが実行されない構成、例えば、区間TL2において、N個のノズルNZのうちの副走査方向の中央部に位置する中央部ノズル群のみが使用される構成を採用すると、区間TL2の後の区間TM及び区間TNでも、中央部ノズル群のみが使用され得る。この場合、特大搬送量でシートSが搬送されるパスにおいて、当該パスの直前のパスで中央部ノズル群によって印刷された印刷領域を印刷しなければならないので、特大搬送量の値を比較的に小さくせざるを得ない。これに対し、本実施例では、区間TL2で上流側シフトが実行されるので、区間TL2の後の区間TM及び区間TNにおいて、N個のノズルNZのうちの上流側に位置する上流側ノズル群のみが使用される。このように、19パス目で上流側ノズル群のみが使用されるので、20パス目の特大搬送量の値を大きくすることができる。これにより、シートSが汚れるのを適切に抑制することができる。
【0107】
また、本実施例によると、区間TL2では、小搬送量でシートSが搬送されるが、使用ノズル数は、中央領域CAMの印刷のための区間TMの使用ノズル数「n」に等しい。従って、シートSが汚れるのを抑制しつつ、対象画像の印刷を高速で実行することができる。本実施例では、下流側端部領域DEA、中央領域CAMが、それぞれ、「第1の端部領域」、「第1の中央領域」の一例である。
【0108】
(第5実施例;図15
上記の第1〜第4実施例では、副走査方向の印刷解像度は、シートS上の1ノズルピッチの長さの間に複数本のラスタを形成するための印刷解像度である(即ちインタレース印刷が実行される)。これに代えて、本実施例では、副走査方向の印刷解像度は、シートS上の1ノズルピッチの長さの間に1本のラスタを形成するための印刷解像度である。特に、当該1本のラスタは、4回の主走査動作によって形成される。本実施例のように、1本のラスタを4回の主走査動作によって形成する印刷のことを「4パスのシングリング印刷」と呼ぶ。なお、変形例では、副走査方向の印刷解像度は、4パス以外のパス数のシングリング印刷を実行するための印刷解像度であってもよい。
【0109】
図15は、印刷ヘッドPHがシートSに対して副走査方向に沿って相対移動する様子を示す。6パス目のノズル[4]とノズル[5]との間に1ノズルピッチの間隔が示されている。そして、当該間隔内の副走査方向の同じ位置に、3パス目のノズル[7]と、4パス目のノズル[6]と、5パス目のノズル[5]と、6パス目のノズル[4]と、からインクが吐出される。これにより、1本のラスタが4回の主走査動作によって形成され、4パスのシングリング印刷が実現される。なお、1ノズルピッチの間に1本のラスタが形成されるということは、1ノズルピッチは1・Dに等しいことを意味する。
【0110】
1〜4パス目の区間TA1では、使用ノズル数が、「2」、「4」、「6」、「8」と順次増加する。5パス目〜8パス目の区間TA2では、使用ノズル数「8」が維持された状態で、使用ノズル群の上流側シフトが実行される。5〜8パス目では、使用ノズル群の位置のシフト量NSは、1ノズルピッチ(即ち1・D)である。また、9〜11パス目の区間TBでは、使用ノズル数「8」が維持され、使用ノズル群がシフトしない。
【0111】
TBamount(即ち基準搬送量)は、シートSが均等の搬送量で搬送され、かつ、使用ノズル数「8」が維持され、かつ、使用ノズル群がシフトしない状態で、複数回の主走査動作によって所定の解像度の印刷を実現するための搬送量である。シングリング印刷が実行される場合には、使用ノズル数が「n」である場合に、TBamountは、n/j・Dである。ここで、jは、シングリングに必要なパス数である。図15の例では、n=8及びj=4であるので、TBamountは、2・D(即ち(8/4)・D)である。
【0112】
TAamount(即ち小搬送量)は、TBamountから、区間TA2での使用ノズル群の位置のシフト量NSが減算された値である。図15の例では、TBamount、NSが、それぞれ、2・D、1・Dであるので、TAamountは、1・Dである。図示省略しているが、各区間TC,TD,TE(図5参照)の各搬送量は、以下のとおりである。即ち、TCamount(即ち大搬送量)は、TBamount(即ち2・D)に、区間TCでの使用ノズル群の位置のシフト量NS(即ち1・D)が加算された値であり、3・Dである。TDamountは、TBamountに等しく、2・Dである。また、TEamount(即ち小搬送量)は、TDamount(即ち2・D)から、区間TE1(図5参照)での使用ノズル群の位置のシフト量NS(即ち1・D)が減算された値であり、1・Dである。本実施例では、4パスのシングリング印刷を高速で実行することができる。
【0113】
(基準搬送量のまとめ)
第5実施例では、1ノズルピッチの長さの間に1本のラスタが複数回(即ち4回)の主走査動作によって形成される。これに代えて、1ノズルピッチの長さの間に1本のラスタが1回の主走査動作によって形成されてもよい(以下では「ノーマル印刷」と呼ぶ)。ノーマル印刷の場合には、基準搬送量はn・Dである。また、第1実施例のインタレース印刷の場合には、1ノズルピッチの長さの間に複数本(即ち4本)のラスタが複数回(即ち4本)の主走査動作によって形成される。ここで、1本のラスタに着目すると、当該1本のラスタは、1回の主走査動作によって形成される。インタレース印刷の場合には、基準搬送量はn・Dである。一般的には、1本のラスタをj回(jは1以上の整数)の主走査動作によって形成するための基準搬送量は、n/j・Dで表現される。ここで、jはnの約数である。第1実施例のインタレース印刷(即ちn=9、j=1;図6参照)では、基準搬送量は、9・D(即ち9/1・D)である。第5実施例のシングリング印刷(即ちn=8、j=4;図15参照)では、基準搬送量は、2・D(即ち8/4・D)である。上記のノーマル印刷(即ちj=1)では、例えばn=8である場合には、基準搬送量は、8・D(即ち8/1・D)である。
【0114】
また、一般的には、1ノズルピッチの長さの間にk本(kは1以上の整数)のラスタをk×j回の主走査動作によって形成するための基準搬送量は、(k×x+b)・Dで表現される。ここで、jは、1本のラスタを形成するために必要な主走査動作の回数である。また、b及びxは、それぞれ、(式1)「−(1/2)×k<b≦(1/2)×k」と、(式2)「n=(k×x+b)×j」と、を満たす整数である。第1実施例のインタレース印刷(図6参照)では、k=4、j=1、及び、n=9である。(式1)によると、b=−1、0、1、又は、2である。また、(式2)によると、「9=(4×x+b)×1」である。従って、x=2及びb=1である。このために、基準搬送量は、9・D(即ち(4×2+1)・D)である。第5実施例のシングリング印刷(図15参照)では、k=1、j=4、及び、n=8である。(式1)によると、b=0である。また、(式2)によると、「8=(1×x+0)×4」である。従って、x=2である。このために、基準搬送量は、2・D(即ち(1×2+0)・D)である。上記のノーマル印刷では、k=1及びj=1である。(式1)によると、b=0である。また、例えばn=8である場合には、(式2)によると、「8=(1×x+0)×1」である。従って、x=8である。このために、基準搬送量は、8・D(即ち(1×8+0)・D)である。
【0115】
また、例えば、4パスのインタレース印刷と、2パスのインタレース印刷と、が複合されて実行される状況を想定する。この場合、k=4及びj=2であり、1ノズルピッチの長さの間に4本のラスタが8回(即ち4×2回)の主走査動作によって形成される。(式1)によると、b=−1、0、1、又は、2である。また、例えばn=18である場合には、(式2)によると、「18=(4×x+b)×2」である。従って、x=2、b=1である。このために、基準搬送量は、9・D(即ち(4×2+1)・D)である。
【0116】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0117】
(変形例1)上記の実施例では、上流側ローラ対UR及び下流側ローラ対DRでは、駆動ローラ及び従動ローラを含むローラ対が利用されるが、従動ローラを省略してもよい。この場合、駆動ローラは、フラットな面を有する部材との間でシートSを保持すればよい。即ち、「上流側ローラ」及び「下流側ローラ」のそれぞれは、少なくとも1個のローラによって構成されればよい。
【0118】
(変形例2)上記の実施例では、端末装置TRのCPU122は、印刷データ160を生成して、印刷データ160をプリンタPRに供給する(図4参照)。これに代えて、プリンタPRの制御回路20(具体的には図示省略のCPU)は、端末装置TRから画像データを含む印刷指示を取得し、当該画像データを利用して図4のS12〜S18の処理を実行して、印刷データ160を生成してもよい。この場合、制御回路20は、印刷データ160を印刷エンジンPEに供給することによって、印刷エンジンPEを制御する。本変形例では、プリンタPRの印刷エンジンPE、制御回路20が、それぞれ、「印刷実行部」、「制御装置」の一例である。
【0119】
(変形例3)上記の実施例では、端末装置TRのCPU122がプリンタドライバ126(即ちソフトウェア)を実行することによって、図4の各処理が実現される。これに代えて、図4の各処理のうちの少なくとも1つの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0120】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0121】
2:印刷システム、PR:プリンタ、12:ネットワークインターフェイス、20:制御回路、PE:印刷エンジン、PH:印刷ヘッド、TU:シート搬送部、AU:ヘッド駆動部、NZ:ノズル、C:圧力室、IE:個別電極、UM:上流側モータ、UR:上流側ローラ対、DM:下流側モータ、DR:下流側ローラ対、30:インク流路ユニット、32:アクチュエータユニット、34:積層体、40:キャリッジ、42:ベルト、44:プーリ、46:キャリッジモータ、48:駆動回路、70:シート支持部、72:ベース部、74:プラテン、TR:端末装置、102:ネットワークインターフェイス、104:操作部、106:表示部、120:制御部、122:CPU、124:メモリ、126:プリンタドライバ、S:シート、CAB,CAC,CAD,CAJ,CAM:中央領域、DEA:下流側端部領域、UEA:上流側端部領域
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