特開2015-227020(P2015-227020A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227020(P2015-227020A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】弾性率可変材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/18 20060101AFI20151120BHJP
   H01F 1/28 20060101ALI20151120BHJP
   F16F 1/36 20060101ALI20151120BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20151120BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20151120BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20151120BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20151120BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   B29C39/18
   H01F1/28
   F16F1/36 C
   F16F1/36 B
   C08L21/00
   C08K3/08
   C08K3/22
   C08K5/29
   C08L79/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-113778(P2014-113778)
(22)【出願日】2014年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】井上 敏郎
【テーマコード(参考)】
3J059
4F204
4J002
5E041
【Fターム(参考)】
3J059AA09
3J059AD04
3J059BA41
3J059DA32
4F204AA45
4F204AB13
4F204AE10
4F204AG27
4F204AH17
4F204AM29
4F204EA03
4F204EB01
4F204EB11
4F204EB28
4F204EF02
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002BB151
4J002CM052
4J002CP031
4J002DA086
4J002DC006
4J002DE116
4J002ER006
4J002FD112
4J002FD116
4J002FD202
4J002FD206
4J002GR02
5E041AA01
5E041AA02
5E041AA14
5E041AA17
5E041AB01
5E041AB02
5E041AB12
5E041AC01
5E041BB03
5E041CA10
5E041HB05
(57)【要約】
【課題】母材となる材料に汎用性を持たせることができ、簡単に製造することができ、磁場に対する応答特性のばらつきを抑制しやすい弾性率可変材料を提供する。安定した特性の弾性率可変材料を容易に製造することができる弾性率可変材料の製造方法を提供する。
【解決手段】弾性率可変材料10は、磁場の作用により磁気分極する粒子18が分散された第1弾性部材12と、第1弾性部材12とは別に、母材として形成される第2弾性部材14とを備える。第1弾性部材12は、第2弾性部材14の内部に配置される。弾性率可変材料10の製造方法は、第2弾性部材14の成形型40の内部で複数の第1弾性部材12を配列した状態で、成形型40に第2弾性部材14の基材48を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料であって、
弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、
前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、
前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置される、
ことを特徴とする弾性率可変材料。
【請求項2】
請求項1記載の弾性率可変材料において、
前記第1弾性部材は、細長形状に形成され、
複数の前記第1弾性部材が、前記第2弾性部材の内部に並列配置される、
ことを特徴とする弾性率可変材料。
【請求項3】
請求項1記載の弾性率可変材料において、
前記第1弾性部材は、細長形状に形成され、
長手方向を第1の方向に向けて並列配置された複数の前記第1弾性部材からなる第1方向部と、
長手方向を前記第1の方向に対して交差する第2の方向に向けて並列配置された複数の前記第1弾性部材からなる第2方向部と、が設けられる、
ことを特徴とする弾性率可変材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性率可変材料において、
前記第1弾性部材は、細長形状に形成された前記弾性材料からなる軸部の外周部に前記粒子が設けられて構成される、
ことを特徴とする弾性率可変材料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性率可変材料において、
前記弾性率可変材料は、車両に搭載される弾性支持要素であり、
前記第1弾性部材の長手方向は、前記弾性率可変材料への荷重の入力方向に対して交差する方向に配置される、
ことを特徴とする弾性率可変材料。
【請求項6】
弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置され、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料の製造方法であって、
前記第1弾性部材を成形する第1成形工程と、
前記第2弾性部材用の成形型の内部で、前記第1成形工程で成形された複数の前記第1弾性部材を、所定方向に配向した状態で配列する工程と、
前記第1弾性部材が配列された状態の前記第2弾性部材用の前記成形型の内部に前記第2弾性部材の基材を供給し、前記第2弾性部材を成形する第2成形工程と、を有する、
ことを特徴とする弾性率可変材料の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の弾性率可変材料の製造方法において、
前記第1成形工程では、前記第1弾性部材用の成形型に設けられた細長形状の溝又はキャビティに、前記粒子を前記第1弾性部材の基材とともに供給する、
ことを特徴とする弾性率可変材料の製造方法。
【請求項8】
請求項6記載の弾性率可変材料の製造方法において、
前記第1成形工程では、細長形状に形成された前記弾性材料からなる軸部の外周部に前記粒子を付着させる、
ことを特徴とする弾性率可変材料の製造方法。
【請求項9】
請求項6記載の弾性率可変材料の製造方法において、
前記第1成形工程では、前記第1弾性部材の基材と前記粒子とを混合した状態で、線状に射出することにより、細長形状の前記第1弾性部材を成形する、
ことを特徴とする弾性率可変材料の製造方法。
【請求項10】
弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置され、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料の製造方法であって、
前記第1弾性部材の断面形状と前記第2弾性部材の断面形状とを有する層を成形する工程を有し、
成形された前記層の上に別の前記層を積み重ねることを繰り返す、
ことを特徴とする弾性率可変材料の製造方法。
【請求項11】
弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置され、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料の製造方法であって、
細長形状の複数の隙間が設けられた前記第2弾性部材を成形する工程と、
成形された前記第2弾性部材の前記隙間の各々に、前記第1弾性部材の基材と前記粒子とを混合した液状混合物を充填し、前記第1弾性部材を成形する工程と、を有する、
ことを特徴とする弾性率可変材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料(磁気粘弾性エラストマ)が知られている。例えば、特許文献1には、多数の空孔を有する弾性体の母材と、空孔の一部に埋め込まれた添加材に含まれる磁性粒子とを備える構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献1とは別に、弾性率可変材料の製造方法として、いくつかの方法が提案されている。ある製造方法(製法1)は、弾性率可変材料の基材(ゴム)に磁性粒子(鉄粉)を混ぜて磁性粒子を基材中によく分散させ、その混合体に磁場をかけて磁性粒子を所定方向に整列させた状態で固めることで、弾性率可変材料を得る。別の製造方法(製法2)は、ゴムの成形体に多数の穴を開け、各穴に磁性粒子を流し込むことで、弾性率可変材料を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−227411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、母材となる弾性体が多孔質のものに限定されるため汎用性に乏しく、母材の空孔に均一に添加材を含有するのが難しく、しかも、添加材中の磁性粒子の割合の管理も難しいという問題がある。
【0006】
また、上述した製法1では、強い磁場をかけて磁性粒子を整列させた状態を長時間保持する必要があるため、量産するには製造に要する時間が長く(生産性が悪く)、製造コストが嵩むという問題がある。製法2では、細い穴を開ける場合には磁性粒子を挿入することが困難になり、一方、太い穴を開ける場合には弾性率可変材料全体の剛性を調整するように磁場をコントロールすることが困難になる。また、これらの製造方法では、量産する上で製品のばらつきを調整することが難しく、歩留まりが悪くなる場合や、弾性率の制御安定性を確保するために制御効果を下げなければならない場合が発生し得る。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、母材となる材料に汎用性を持たせることができ、簡単に製造することができ、磁場に対する応答特性のばらつきを抑制しやすい弾性率可変材料を提供することを目的とする。また、本発明は、安定した特性の弾性率可変材料を容易に製造することができる弾性率可変材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料であって、弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置される、ことを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された本発明の弾性率可変材料によれば、母材として形成される第2弾性部材は、粒子を含む第1弾性部材とは別に設けられる部材であるため、母材となる材料に汎用性を持たせることができる。また、この弾性率可変材料は、粒子が分散された第1弾性部材が母材である第2弾性部材の内部に配置される構成であるため、簡単に製造することができる。さらに、第1弾性部材自体の特性と、第2弾性部材内における第1弾性部材の位置を規定することによって、弾性率可変材料の特性を管理できるため、磁場に対する応答特性のばらつきを抑制しやすい。
【0010】
上記の弾性率可変材料において、前記第1弾性部材は、細長形状に形成され、複数の前記第1弾性部材が、前記第2弾性部材の内部に並列配置されてもよい。
【0011】
この構成により、第1弾性部材が細長形状であるため、第1弾性部材において、粒子間に磁気的結合が形成される状態で粒子を分散させることが容易である。従って、磁場に対する応答特性のばらつきを抑制しやすい。また、細長形状の複数の第1弾性部材が第2弾性部材の内部に並列配置されるので、弾性率可変材料に対して第1弾性部材の延在方向に磁場を印加することで、弾性率可変材料のせん断方向の弾性率(剛性)を可変にすることができる。よって、弾性率可変材料の設計が容易となる。
【0012】
上記の弾性率可変材料において、前記第1弾性部材は、細長形状に形成され、長手方向を第1の方向に向けて並列配置された複数の前記第1弾性部材からなる第1方向部と、長手方向を前記第1の方向に対して交差する第2の方向に向けて並列配置された複数の前記第1弾性部材からなる第2方向部と、が設けられてもよい。
【0013】
この構成により、第2弾性部材の内部において、異なる2方向に粒子が配向されるため、使用時に印加する磁場の方向を必要に応じて2方向で制御することで、2方向について弾性率を可変にすることができる。
【0014】
上記の弾性率可変材料において、前記第1弾性部材は、細長形状に形成された前記弾性材料からなる軸部の外周部に前記粒子が設けられて構成されてもよい。
【0015】
この構成により、細長形状に形成された弾性材料を軸部として、軸部に沿って粒子を容易に配置することができる。よって、弾性率可変材料の設計が容易となる。
【0016】
上記の弾性率可変材料において、前記弾性率可変材料は、車両に搭載される弾性支持要素であり、前記第1弾性部材の長手方向は、前記弾性率可変材料への荷重の入力方向に対して交差する方向に配置されてもよい。
【0017】
この構成により、車両に搭載される弾性支持要素(例えば、マウント、ブッシュ、ダイナミックダンパを構成する弾性部材等)として弾性率可変材料が適用される場合に、弾性率可変材料が受ける荷重による変位や振動を、磁場の印加により好適に調整することができる。
【0018】
また、本発明は、弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置され、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料の製造方法であって、前記第1弾性部材を成形する第1成形工程と、前記第2弾性部材用の成形型の内部で、前記第1成形工程で成形された複数の前記第1弾性部材を、所定方向に配向した状態で配列する工程と、前記第1弾性部材が配列された状態の前記第2弾性部材用の前記成形型の内部に前記第2弾性部材の基材を供給し、前記第2弾性部材を成形する第2成形工程と、を有する、ことを特徴とする。
【0019】
上記の製造方法によれば、粒子を分散させた母材樹脂に磁場をかけて粒子を所定方向に配向しその状態で母材樹脂を固めることによって粒子のばらつきを抑えるという複雑な製法によらずに、粒子のばらつきを好適に抑制した弾性率可変材料を容易に製造することができる。また、弾性率可変材料の設計が容易となり、安定した特性の弾性率可変材料を製造することができる。
【0020】
上記の弾性率可変材料の製造方法において、前記第1成形工程では、前記第1弾性部材用の成形型に設けられた細長形状の溝又はキャビティに、前記粒子を前記第1弾性部材の基材とともに供給してもよい。
【0021】
上記の製造方法によれば、細長形状の溝又はキャビティに、粒子とともに基材を供給するため、第1弾性部材の細長形状に沿って粒子を配向することが容易である。従って、粒子のばらつきを好適に抑制した弾性率可変材料を容易に製造することができ、設計が容易で、安定した特性の弾性率可変材料を製造することができる。
【0022】
上記の弾性率可変材料の製造方法において、前記第1成形工程では、細長形状に形成された前記弾性材料からなる軸部の外周部に前記粒子を付着させてもよい。
【0023】
上記の製造方法によれば、第1弾性部材の成形時に、所定方向に沿って粒子を容易に配向することができる。従って、粒子のばらつきを好適に抑制した弾性率可変材料を容易に製造することができ、設計が容易で、安定した特性の弾性率可変材料を製造することができる。
【0024】
上記の弾性率可変材料の製造方法において、前記第1成形工程では、前記第1弾性部材の基材と前記粒子とを混合した状態で、線状に射出することにより、細長形状の前記第1弾性部材を成形してもよい。
【0025】
上記の製造方法によれば、第1弾性部材の基材と粒子を混合した状態で線状に射出することにより、所定方向に沿って粒子を容易に配向することができる。従って、細長形状の第1弾性部材の成形が容易であり、弾性率可変材料を容易に製造することができる。
【0026】
また、本発明は、弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置され、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料の製造方法であって、前記第1弾性部材の断面形状と前記第2弾性部材の断面形状とを有する層を成形する工程を有し、成形された前記層の上に別の前記層を積み重ねることを繰り返す、ことを特徴とする。
【0027】
上記の製造方法によれば、第1弾性部材と第2弾性部材と別々に成形する必要がなく、弾性率可変材料を容易に製造することができる。
【0028】
また、本発明は、弾性材料と、前記弾性材料に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子とを有する第1弾性部材と、前記第1弾性部材とは別に、母材として形成される第2弾性部材と、を備え、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材の内部に配置され、印加する磁場の大きさにより弾性率を可変とする弾性率可変材料の製造方法であって、細長形状の複数の隙間が設けられた前記第2弾性部材を成形する工程と、成形された前記第2弾性部材の前記隙間の各々に、前記第1弾性部材の基材と前記粒子とを混合した液状混合物を充填し、前記第1弾性部材を成形する工程と、を有する、ことを特徴とする。
【0029】
上記の製造方法によれば、細長形状の複数の第1弾性部材を第2弾性部材用の成形型に配置する必要がないため、弾性率可変材料を一層容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の弾性率可変材料によれば、母材となる材料に汎用性を持たせることができ、簡単に製造することができ、磁場に対する応答特性のばらつきを抑制しやすい。本発明の弾性率可変材料の製造方法によれば、安定した特性の弾性率可変材料を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に係る弾性率可変材料の構成を示す斜視図である。
図2図2Aは、第1構成例に係る第1弾性部材の部分断面図であり、図2Bは、第2構成例に係る第1弾性部材の部分断面図である。
図3図3Aは、成形型を用いた第1弾性部材の成形方法の説明図であり、図3Bは、成形型を用いた第1弾性部材の別の成形方法の説明図である。
図4】基材と粒子とを混合して線状に射出することによる第1弾性部材の成形方法の説明図である。
図5図5Aは、弾性率可変材料の第1の製造方法における一工程の説明図であり、図5Bは、弾性率可変材料の第1の製造方法における別工程の説明図である。
図6】弾性率可変材料の第2の製造方法の説明図である。
図7図7Aは、弾性率可変材料の第3の製造方法の第1説明図であり、図7Bは、弾性率可変材料の第3の製造方法の第2説明図である。
図8】弾性率可変材料のブッシュへの適用例を示す図である。
図9】弾性率可変材料のダイナミックダンパへの適用例を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る弾性率可変材料の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る弾性率可変材料について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る弾性率可変材料10の構成を示す斜視図である。弾性率可変材料10は、印加される磁場の大きさにより弾性率が可変となっている部材である。図1に示すように、弾性率可変材料10は、複数の第1弾性部材12と、第1弾性部材12とは別に母材として形成される第2弾性部材14とを備える。弾性率可変材料10は、いわゆる磁気粘弾性エラストマである。
【0034】
第1弾性部材12は、直線状且つ細長形状に形成され、第2弾性部材14の内部に配置される。このような第1弾性部材12の形状は、細長形状の他、長尺状、線状、糸状、柱状等と表現することもできる。第1弾性部材12は、細長形状のシート状に形成されてもよい。
【0035】
第2弾性部材14の内部において、複数(多数)の第1弾性部材12が並列配置される。具体的には、第1弾性部材12は、第2弾性部材14の互いに相反する外面のうち一方面から他方面に向かう方向に、長手方向を揃えて配置されるとともに、長手方向に直交する方向に互いに離間して、第2弾性部材14の内部に配置されている。
【0036】
第1弾性部材12同士の間隔は、等間隔でもよく、あるいは、部分的に間隔が異なっていてもよい。
【0037】
図2Aに示すように、第1弾性部材12は、第1弾性部材12の母材を構成する弾性材料16と、弾性材料16に分散状態で固定されるとともに磁場の作用により磁気分極する粒子18(磁性粒子)とを有する。一構成例(第1構成例)に係る第1弾性部材12aでは、弾性材料16中に多数の粒子18が分散状態で存在する。従って、多数の粒子18は、第1弾性部材12の長手方向に沿って配向されている。
【0038】
図2Bに示すように、別の構成例(第2構成例)に係る第1弾性部材12bは、細長形状に形成された弾性材料16からなる軸部17の外周部に多数の粒子18が設けられて構成される。従って、多数の粒子18は、第1弾性部材12bの長手方向に沿って配向されている。
【0039】
粒子18は、磁場の作用によって磁気分極する性質を有するとともに、導電性を有する。粒子18の構成材料としては、例えば、磁気軟鉄、方向性ケイ素鋼、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、マグネタイト、コバルト、ニッケル等の金属、4−メトキシベンジリデン−4−アセトキシアニリン、トリアミノベンゼン重合体等の有機物、フェライト分散異方性プラスチック等の有機・無機複合体等の公知の材料か挙げられる。
【0040】
粒子18の形状は、特に限定されず、例えば、球形、針形、平板形等であってよい。粒子18の粒径は、特に限定されず、例えば、0.01μm〜500μm程度であってよい。
【0041】
弾性材料16の内部又は外周部に設けられる粒子18は、磁場が印加されていない状態においては互いの相互作用が小さく、磁場が印加された状態においては磁気相互作用によって互いに作用する引力が増大するようになっている。粒子18は、磁場を印加した際に粒子18間に磁気的結合が連鎖的に形成されるように分散されているのがよい。
【0042】
例えば、粒子18は、磁場が印加されていない状態においては接触部位が少なく、磁場が印加されている状態においては磁気的結合によって互いの接触部位が増大し得るように分散されている。粒子18は、磁場が印加されていない状態においては、互いに接触しない程度に分散されていてもよいし、一部が接触して連続するように分散されていてもよい。すなわち、粒子18が相互に接触してつながりを持った状態のみでなく、粒子18が相互に接触していなくても、磁場を印加した際に実質的に相互に接触した状態になればよい。
【0043】
弾性材料16としては、例えば、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等の室温で粘弾性を有する公知の高分子材料が挙げられる。
【0044】
第2弾性部材14は、マトリックスとしての粘弾性をもつ部材である。第2弾性部材14は、互いに相反する側に所定の軸線に直交する主面14a、14bを有する。一方の主面14aと他方の主面14bとは、互いに平行である。第2弾性部材14は、任意の形状とすることができ、例えば、直方体や円柱形とすることができる。図1では、直方体に形成された第2弾性部材14が示されている。一方の主面14aと他方の主面14bは、第2弾性部材14が直方体の場合には互いに相反する一対の外面であり、第2弾性部材14が円柱形の場合には軸線に直交する両端面である。
【0045】
第2弾性部材14の構成材料としては、上述した第1弾性部材12の弾性材料16の構成材料が挙げられる。第1弾性部材12の弾性材料16と、第2弾性部材14とは、同じ材料でもよいし、異なる材料でもよい。第2弾性部材14は、天然ゴムによって構成されてもよい。
【0046】
上記のように構成された弾性率可変材料10において、図1のA方向に磁場が印加されると、磁場の強さに応じて粒子18は磁気分極し、磁気的結合を形成する。このとき、磁場の磁力線に沿うように粒子18が並ぼうとする力が作用するため、見かけ上のバネ定数が大きくなる。すなわち、弾性率可変材料10の弾性率は、母材である第2弾性部材14自体の弾性率(剛性)よりも増大する。弾性率可変材料10に印加される磁場が強いほど、粒子18間の磁気的結合が増大し、弾性率可変材料10の弾性率が増大する。
【0047】
本実施形態に係る弾性率可変材料10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0048】
上記のように構成された弾性率可変材料10によれば、母材として形成される第2弾性部材14は、粒子18を含む第1弾性部材12とは別に設けられる部材であるため、母材となる材料に汎用性を持たせることができる。第1弾性部材12は、両端に微弱電流をかけてその電気抵抗を計測することで、第1弾性部材12単体の特性を管理できる。また、この弾性率可変材料10は、粒子18が分散された第1弾性部材12が母材である第2弾性部材14の内部に配置される構成であるため、簡単に製造することができる。さらに、第1弾性部材12自体の特性と、第2弾性部材14内における第1弾性部材12の位置を規定することによって、弾性率可変材料10の特性を管理できるため、磁場に対する応答特性のばらつきを抑制しやすい。
【0049】
本実施形態の場合、第1弾性部材12が細長形状であるため、第1弾性部材12において、粒子18間に磁気的結合が形成される状態で粒子18を分散させることが容易である。従って、磁場に対する応答特性のばらつきを抑制しやすい。また、細長形状の複数の第1弾性部材12が第2弾性部材14の内部に並列配置されるので、弾性率可変材料10に対して第1弾性部材12の延在方向に磁場を印加することで、弾性率可変材料10のせん断方向の弾性率(剛性)を可変にすることができる。よって、弾性率可変材料10の設計が容易となる。
【0050】
図2Bのように、第1弾性部材12は、細長形状に形成された弾性材料16からなる軸部17の外周部に多数の粒子18が設けられて構成されると、軸部17に沿って粒子18を容易に配置することができるので、弾性率可変材料10の設計が容易となる。
【0051】
次に、弾性率可変材料10のいくつかの製造方法を説明する。
【0052】
弾性率可変材料10の製造方法(第1の製造方法)は、第1弾性部材12を成形する第1成形工程と、成形された複数の第1弾性部材12を所定状態に配列する配列工程と、第2弾性部材14を成形する第2成形工程とを有する。
【0053】
図2Aに示す第1弾性部材12(12a)を成形する場合、第1成形工程では、例えば、図3Aに示すように、第1弾性部材12用の成形型20(金型)に設けられた細長形状の溝22に、粒子18を第1弾性部材12の基材(液状化した材料)とともに供給する。図3Aの例では、第1弾性部材12用の成形型20の上面21に、上方に開口する細長形状の複数の溝22が間隔をおいて設けられている。第1成形工程では、第1弾性部材12の基材と粒子18とを混合して基材中に粒子18を分散させた状態の液状混合物24を予め用意しておく。そして、当該液状混合物24を溝22に流し込み、固化させることにより、第1弾性部材12が得られる。
【0054】
第1成形工程では、図3Bに示すように、射出成形法により、細長形状の第1弾性部材12(12a)を成形してもよい。具体的には、第1金型26と第2金型28とによって第1弾性部材12用の成形型25が構成され、第1金型26と第2金型28との間に、細長形状のキャビティ30が形成される。この場合、第1金型26に設けられた注入路32を介して、基材と粒子18とを混合した液状混合物24がキャビティ30内に充填される。そして、キャビティ30内で固化させることにより、図2Aに示す第1弾性部材12が得られる。
【0055】
上記の方法によれば、細長形状の溝22又はキャビティ30に、粒子18とともに基材を供給するため、第1弾性部材12aの細長形状に沿って粒子18を配向することが容易である。従って、粒子18のばらつきを好適に抑制した弾性率可変材料10を容易に製造することができ、設計が容易で、安定した特性の弾性率可変材料10を製造することができる。
【0056】
図2Bに示す第1弾性部材12bを成形する場合、第1成形工程では、細長形状に形成された弾性材料16からなる軸部17の外周部に粒子18を付着させる。この場合、例えば、軸部17の外周部に接着剤を塗布し、接着剤が塗布された軸部17の外周部に粒子18を付着させるとよい。また、軸部17の外周部に粒子18を付着させた後に、さらにその外側に、弾性材料のコーティングを保護層として設け、粒子18の脱落を防止するようにしてもよい。
【0057】
上記の方法によれば、第1弾性部材12bの成形時に、所定方向に沿って粒子18を容易に配向することができる。従って、粒子18のばらつきを好適に抑制した弾性率可変材料10を容易に製造することができ、設計が容易で、安定した特性の弾性率可変材料10を製造することができる。
【0058】
図4に示すように、第1成形工程では、第1弾性部材12の基材と粒子18とを混合した状態で、線状に射出することにより、細長形状の第1弾性部材12を成形してもいい。この場合、例えば、射出手段としてのノズル34をC方向(水平方向)に直線的に移動させながら、基材(液状化したもの)と粒子18を予め混合した液状混合物24をノズル34から成形ステージ38に向かって下方に流出させる。そうすると、成形ステージ38上に液状混合物24が直線状に載り、これが固化することによって、細長形状の第1弾性部材12が得られる。図4の場合、複数のノズル34を有する供給部36が水平直線移動するとともに、各ノズル34から液状混合物24が線状に下方に射出することにより、複数の第1弾性部材12を同時に成形するようになっている。
【0059】
上記の方法によれば、第1弾性部材12の基材と粒子18を混合した状態で線状に射出することにより、所定方向に沿って粒子18を容易に配向することができる。従って、細長形状の第1弾性部材12の成形が容易であり、弾性率可変材料10を容易に製造することができる。
【0060】
配列工程では、図5Aに示すように、第2弾性部材14用の成形型40の内部で、第1成形工程で成形された複数の第1弾性部材12を、所定方向に配向した状態で配列する。具体的には、第2弾性部材14用の成形型40の内部に、互いに平行に離間するように複数の第1弾性部材12を配置する。図5Aの場合、第2弾性部材14用の成形型40は、第1金型42(上型)と第2金型44(下型)とを有し、第1金型42と第2金型44によって内部に第2弾性部材14の形状に対応したキャビティ46が形成される。
【0061】
第2成形工程では、図5Bに示すように、第1弾性部材12が配列された状態の第2弾性部材14用の成形型40の内部に第2弾性部材14の基材48(液状化したもの)を供給し、第2弾性部材14を成形する。具体的には、第1金型42に設けられた注入路43を介して、キャビティ46内に液状化した基材48を充填する。基材48が固化することによって、複数の第1弾性部材12が内部に配置された状態の第2弾性部材14が得られる。
【0062】
上記の第1成形工程、配列工程及び第2成形工程を実施することにより、弾性率可変材料10が得られる。上記の第1の製造方法によれば、粒子18を分散させた母材樹脂に磁場をかけて粒子18を所定方向に配向しその状態で母材樹脂を固めることによって粒子18のばらつきを抑えるという複雑な製法によらずに、粒子18のばらつきを好適に抑制した弾性率可変材料10を容易に製造することができる。また、弾性率可変材料10の設計が容易となり、安定した特性の弾性率可変材料10を製造することができる。
【0063】
図6に示すように、弾性率可変材料10の別の製造方法(第2の製造方法)は、第1弾性部材12の断面形状S1と第2弾性部材14の断面形状S2とを有する層Rを成形する工程を有し、成形された層Rの上に別の層Rを積み重ねることを繰り返すことによって、弾性率可変材料10を成形する。当該第2の製造方法は、例えば、3Dプリンタを用いて実施することができる。3Dプリンタを用いる場合、例えば、熱溶解積層方式やインクジェット方式を採用し得る。
【0064】
熱溶解積層方式は、溶解させた樹脂をプリンタヘッドで押し出しながら少しずつ積み上げて立体物を作る方式である。
【0065】
熱溶解積層方式によって弾性率可変材料10を成形する場合、プリンタヘッドは、第1弾性部材12の基材と粒子18とを混合した液状混合物24を流出させる第1ノズルと、第2弾性部材14の基材を流出させる第2ノズルとを有する。第1ノズルからの材料の流出と、第2ノズルからの材料の流出をそれぞれ制御することにより、第1弾性部材12の断面形状S1と第2弾性部材14の断面形状S2とを有する層Rを成形し、層Rを積み重ねていくことで、弾性率可変材料10を成形する。
【0066】
インクジェット方式は、紫外線硬化樹脂の微細粒子をインクジェットヘッドから噴射して積層面を印刷する方式であり、積層面を固化するために紫外線を照射する。
【0067】
インクジェット方式によって弾性率可変材料10を成形する場合、インクジェットヘッドは、第1弾性部材12の基材と粒子18とを混合した液状混合物24の微細粒子を噴射する第1噴射ノズルと、第2弾性部材14の基材の微細粒子を噴射する第2噴射ノズルとを有する。第1噴射ノズルからの微細粒子の噴射と、第2噴射ノズルからの微細粒子の噴射をそれぞれ制御することにより、第1弾性部材12の断面形状S1と第2弾性部材14の断面形状S2とを有する層を成形し、層を積み重ねていくことで、弾性率可変材料10を成形する。
【0068】
上記の第2の製造方法によれば、第1弾性部材12と第2弾性部材14と別々に成形する必要がなく、弾性率可変材料10を容易に製造することができる。
【0069】
次に、図7A及び図7Bを参照し、弾性率可変材料10のさらに別の製造方法(第3の製造方法)を説明する。第3の製造方法は、細長形状の複数の隙間50が設けられた第2弾性部材14を成形する母材成形工程(図7A)と、成形された第2弾性部材14の隙間50の各々に、第1弾性部材12の基材と粒子18とを混合した液状混合物24を充填し、第1弾性部材12を成形する充填工程(図7B)と、を有する。
【0070】
母材成形工程では、第2弾性部材14において、細長形状の複数の隙間50を、互いに平行に離間するように形成する。この場合、隙間50が形成されていない第2弾性部材14を成形した後に、穴あけ加工(例えば、ドリル等の機械加工や、レーザ加工等)によって複数の隙間50を形成してよい。あるいは、射出成形法や、3Dプリンタ等による立体造形法によって、複数の隙間50が形成された第2弾性部材14を成形してもよい。
【0071】
充填工程では、第2弾性部材14に形成された隙間50の各々に、液状混合物24を注入し、その後固化させる。これにより、第2弾性部材14の内部に、互いに平行に離間した複数の第1弾性部材12が成形される。
【0072】
次に、弾性率可変材料10のいくつかの適用例を説明する。
【0073】
例えば、弾性率可変材料10は、車両に搭載される弾性支持要素であり、第1弾性部材12の長手方向は、弾性率可変材料10への荷重の入力方向に対して交差する方向に配置されてよい。車両に搭載される弾性支持要素としては、例えば、車体骨格とエンジンとの間に介装されるエンジンマウントや、サスペンションアームと車輪とを支持するナックルとの間に介装されるブッシュや、振動体の振動を低減するダイナミックダンパが挙げられる。
【0074】
この構成により、車両に搭載される弾性支持要素として弾性率可変材料10が適用される場合に、弾性率可変材料10が受ける荷重による変位や振動を、磁場の印加により好適に調整することができる。
【0075】
図8に示すように、弾性率可変材料10がブッシュ52に適用される場合には、例えば、弾性率可変材料10を筒状に形成する。筒状のブッシュ52の軸方向の両側又は一方側に、磁場印加部としての図示しない電磁石(コイル)を配置し、ブッシュ52に印加する磁場の強さを調整することによって、ブッシュ52の弾性率を変更することができる。
【0076】
図9に示すように、弾性率可変材料10がダイナミックダンパ54に適用される場合には、例えば、振動体56に対して、弾性率可変材料10を有する弾性体ユニット58を介してマス部材60を支持する。図9の場合、弾性体ユニット58は、振動体56に取り付けられたブラケット62に支持され、2つの弾性体ユニット58の間にマス部材60がD方向に揺動可能に懸架される。従って、ダイナミックダンパ54は、D方向の振動を低減するように作動する。D方向は、車両の上下方向、左右方向、あるいは前後方向であり得る。なお、弾性体ユニット58は1つだけ設けられてもよい。
【0077】
弾性体ユニット58において、弾性率可変材料10の両側には、磁場印加部としての電磁石64、65(コイル)が配置される。弾性率可変材料10に印加する磁場の強さを調整することによって、振動体56の振動周波数と逆位相の振動低減周波数で振動するように弾性率可変材料10の弾性率を変更し、振動体56の振動周波数に追従して効果的に振動を低減することができる。なお、弾性体ユニット58において弾性率可変材料10の両側に設けられる電磁石64、65のうち一方を省略してもよい。
【0078】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係る弾性率可変材料10aの斜視図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0079】
弾性率可変材料10aでは、長手方向を第1の方向に向けて並列配置された複数の第1弾性部材12からなる第1方向部66と、長手方向を第1の方向に対して交差する第2の方向に向けて並列配置された複数の第1弾性部材12からなる第2方向部68とが設けられる。
【0080】
図10において、具体的には、第1方向部66を構成する複数の第1弾性部材12は、第2弾性部材14の内部で互いに平行に離間して配置される。第2方向部68を構成する複数の第1弾性部材12は、第2弾性部材14の内部で互いに平行に離間して配置される。第1の方向と第2の方向は、互いに直交する。第1方向部66と第2方向部68は、それぞれ複数ずつ設けられ、交互に配置される。
【0081】
図10において、弾性率可変材料10aの第1の方向に沿ったA方向に沿う両側又は一方側に磁場印加部として電磁石を配置し、弾性率可変材料10aに対してA方向に印加する磁場の強さにより、A方向に直交する面に沿うせん断方向への変形に対する弾性率を調整することができる。
【0082】
また、弾性率可変材料10aの第2の方向に沿ったB方向に沿う両側又は一方側に磁場印加部として電磁石を配置し、弾性率可変材料10aに対してB方向に印加する磁場の強さにより、B方向に直交する面に沿うせん断方向への変形に対する弾性率を調整することができる。
【0083】
従って、本実施形態に係る弾性率可変材料10aによれば、第2弾性部材14の内部において、異なる2方向(第1の方向及び第2の方向)に粒子18が配向されるため、使用時に印加する磁場の方向を必要に応じて2方向で制御することで、2方向について弾性率を可変にすることができる。
【0084】
弾性率可変材料10aは、第1実施形態に係る弾性率可変材料10と同様に、ブッシュ、マウント、ダイナミックダンパ等に適用することができる。弾性率可変材料10aは、第1実施形態に係る弾性率可変材料10の製造方法と同様の方法により、製造することができる。
【0085】
第2実施形態において、第1実施形態と共通する各構成部分については、第1実施形態における当該共通の各構成部分がもたらす作用及び効果と同一又は同様の作用及び効果が得られることは勿論である。
【0086】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
10、10a…弾性率可変材料 12、12a、12b…第1弾性部材
14…第2弾性部材 16…弾性材料
17…軸部 18…粒子
20、25…第1弾性部材用の成形型 40…第2弾性部材用の成形型
66…第1方向部 68…第2方向部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10