【解決手段】ミラーベース9は、前側ボス93と右側ボス95と、前側ボス93及び右側ボス95を繋ぐように延びる板部96とを備えている。ハーネス10の中途部の外面は、前側板部96に接触するように配置される。前側板部96には、ハーネス10の中途部の径方向一側から係合する第1係合部111と径方向他側から係合する第2係合部112とが一体成形されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のハーネスの固定構造では、ミラーベースの固定部材取付部に固定部材を取り付けるようにしているので、ミラーベースとは別に固定部材が必要になり、部品点数の増加を招く。また、固定部材取付部に対する固定部材の取り付け状態が異なることが考えられ、こうなるとハーネスの固定が確実になされなくなる恐れがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数の増加を招くことなく、ハーネスの中途部をミラーベースに確実に固定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、ミラーベースに設けた複数の締結部を繋ぐように延びる板部にハーネスの中途部を配置し、その板部に一体成形した第1係合部及び第2係合部がハーネスの径方向両側から係合するようにした。
【0008】
第1の発明は、
ミラーと、
上記ミラーが取り付けられるハウジングと、
上記ハウジングが取り付けられ、該ハウジングを車体に支持するためのミラーベースと、
上記ハウジングが有する電気部品に接続されるハーネスとを備え、
上記ハーネスの中途部が上記ミラーベースに固定される車両用サイドミラーにおいて、
上記ミラーベースは、車体に締結される複数の締結部と、該締結部を繋ぐように延びる板部とを備え、
上記ハーネスの中途部の外面は、上記板部に接触するように配置され、
上記板部には、該板部に配置された上記ハーネスの中途部の径方向一側から係合する第1係合部と径方向他側から係合する第2係合部とが一体成形されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ミラーベースの板部に接触するように配置されたハーネスの中途部に対して、板部の第1係合部及び第2係合部がハーネスの径方向両側から係合することによってハーネスの中途部が板部に固定される。車体に締結される締結部は一般に強度が高いものなので、締結部を繋ぐように延びる板部は締結部と一体化して強度が高くなる。この強度の高い板部に第1係合部及び第2係合部を設けたので、両係合部の変形や相対的な変位が抑制される。よって、第1係合部及び第2係合部がハーネスの中途部にしっかりと係合した状態を維持することが可能になる。これにより、ハーネスの中途部の位置決めが行われるとともに、仮にハーネスが車体側から引っ張られた場合であっても移動し難くなる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、
上記ハーネスの中途部の一部分には、外径が他の部分に比べて小さい小径部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ハーネスの小径部を第1係合部及び第2係合部の間に容易に挿入することが可能になる。挿入後は、ハーネスを長手方向に引っ張って小径部よりも径の大きい部分を第1係合部及び第2係合部に係合させることで、ハーネスがしっかりと係合するようになる。
【0012】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記ミラーベースには、上記ハーネスの中途部における上記第1係合部及び第2係合部の係合部分から離れた部分に係合する第3係合部が一体成形され、
上記ハーネスの中途部は屈曲した状態で上記第3係合部に係合することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、ハーネスの中途部が第1〜第3係合部に係合することで屈曲した状態となるので、ハーネスが引っ張られた場合に長手方向に移動し難くなる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、
上記ミラーベースは、上記ハウジングを支持する支軸部と、車体に取り付けられる取付板部とを備えており、
上記第3係合部は、上記支軸部と上記取付板部とを繋ぐように形成されたリブで構成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、リブによってミラーベースの支軸部と取付板部とが強固に一体化する。このリブを第3係合部とすることで別途係合部を形成することなく、ハーネスに係合させることが可能になるので、ミラーベースの構成がシンプルになる。
【0016】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
上記第1係合部と上記第2係合部とは、互いに上記ハーネスの中途部の長手方向に離れて配置されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、第1係合部と第2係合部との間にハーネスの中途部を挿入する際の作業性が良好になる。挿入後は、ハーネスの中途部に対して第1係合部と第2係合部とが径方向両側から係合することになるので、ハーネスが確実に位置決めされる。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、車体に締結される複数の締結部を繋ぐ板部に接触するようにハーネスの中途部を配置し、このハーネスの中途部の径方向一側から係合する第1係合部と径方向他側から係合する第2係合部とを板部に一体成形したので、部品点数の増加を招くことなく、ハーネスの中途部をミラーベースに確実に固定できる。
【0019】
第2の発明によれば、ハーネスの小径部を設けているので、第1係合部及び第2係合部に係合させる作業を容易に行うことができる。
【0020】
第3の発明によれば、ハーネスの中途部が屈曲した状態で第1〜3係合部に係合するようになっているので、ハーネスが引っ張られた場合に長手方向に移動し難くなる。
【0021】
第4の発明によれば、ミラーベースの支軸部と取付板部とを繋ぐように形成されたリブを第3係合部としたので、ミラーベースの構成をシンプルにしながら、ハーネスの中途部をミラーベースに確実に固定できる。
【0022】
第5の発明によれば、第1係合部と第2係合部とが互いにハーネスの長手方向に離れているので、第1係合部と第2係合部との間にハーネスの中途部を挿入する際の作業性を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用サイドミラー1の分解斜視図である。車両用サイドミラー1は、自動車の側部に配設されるドアD(一部を
図2に仮想線で示す)の前端部に取り付けられて乗員が後方を確認する場合に使用される、いわゆるドアミラーである。以下の説明では、車両の右側に取り付けられるサイドミラー1について説明するが、左側に取り付けられるサイドミラーは右側のものと左右対称構造である点で異なるだけである。
【0026】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、また車両後側を単に「後」といい、また車両左側を単に「左」といい、また車両右側を単に「右」というものとする。
【0027】
車両用サイドミラー1は、後方確認用のミラー2と、ミラー2に設けられるヒーター(電気部品)3と、ミラーホルダー4と、ピボットプレート5と、角度調整ユニット6と、ハウジング7と、フレーム8と、ミラーベース9とを備えている。さらに、車両用ドアミラー1は、ヒーター3や角度調整ユニット6に接続されるハーネス10の他、ミラーベース9に設けられるシール材Sも備えている。
【0028】
ミラー2は、使用状態において左右方向に長い形状となっており、表面(使用状態において車両後側の面)が鏡面である。ヒーター3は、ミラー2の裏面(使用状態において車両前側の面)の形状に対応したフィルム状をなしており、ミラー2の裏面に対して図示しない両面テープによって広範囲に亘って貼り付けられている。ヒーター3は、電力の供給によって発熱する発熱体(例えば電熱線)を有する従来周知のものであるので詳細な説明は省略する。
【0029】
尚、図示しないが、ミラー2の裏面には、車両後方に存在する車両を検知するシステムの表示部(電気部品)を設けることもできる。表示部は例えば電力を供給することによって発光するLED等で構成することができる。ミラー2には、その他にも電力の供給によって作動する各種電気部品を設けることができ、これら部品にはハーネス10が接続される。
【0030】
ミラーホルダー4は、ミラー2を保持するためのものであり、樹脂材を板状に成形してなるものである。このミラーホルダー4のミラー2とは反対側(前側)にピボットプレート5が固定されている。ピボットプレート5は、その前側に図示しないがピボットを有している。角度調整ユニット6は、ピボットプレート5のピボットが嵌合するピボット嵌合部6aを有している。ピボット嵌合部6aにピボットプレート5のピボットが嵌合した状態で、ピボットプレート5が上下方向及び左右方向に傾動自在となる。角度調整ユニット6は、図示しないが2つの電動モーターを内蔵しており、これらモーターによってピボットプレート5を駆動することによってミラー2を上下方向及び左右方向に傾動させ、このことによってミラー2の角度を調整することができるように構成された従来周知のものである。
【0031】
ハウジング7の後面には、前側へ窪むように形成されたミラー収容凹部7aが形成されている。ミラー収容凹部7aには、角度調整ユニット6、ピボットプレート5、ミラーホルダー4、ヒーター3及びミラー2が収容されるようになっている。角度調整ユニット6がミラー収容凹部7aの内面に固定されている。
【0032】
ハウジング7は、アッパーパネル7cと、アンダーパネル7dとを備えている。アッパーパネル7cは、ハウジング7の本体部分の前側上半部を覆うように形成されている。アンダーパネル7dは、ハウジング7の本体部分の前側下半部を覆うように形成されている。アッパーパネル7c及びアンダーパネル7dはハウジング7の本体部分に対して固定されている。
【0033】
ハウジング7の本体部分の前側は締結部材等によってフレーム8に固定されている。フレーム8は、左右方向に延びている。フレーム8の左側には、略上下方向に延びる円筒部8aが形成されている。フレーム8における円筒部8aの下端部には、下方へ突出する複数のフレーム側凸部8bが該円筒部8aの周方向に互いに間隔をあけて形成されている。
【0034】
ミラーベース9はハウジング7を車体のドアDに対して支持するためのものであり、例えばアルミニウム合金等を用いて一体成形されている。このミラーベース9にはハウジング7がフレーム8を介して取り付けられるようになっている。
図2〜
図4に示すように、ミラーベース9の上側には略上下方向に延びる支軸部90が設けられている。支軸部90は、フレーム8の円筒部8aに対して下方から挿入される。フレーム8は支軸部90周りに回動可能に支持される。
【0035】
図4に示すように、支軸部90は円筒状に形成されており、その中心線は上側へ行くほど右側(車幅方向外側)に位置するように傾斜して延びている。支軸部90の内部は、ハーネス10が挿通するハーネス挿通孔90aとなっており、上下両端部は開放されている。ハーネス挿通孔90aの内径はハーネス10の外径よりも大きく設定されてハーネス10が容易に挿通可能となっている。
【0036】
図2に示すように、支軸部90の外周面の上部には、周方向に延びる環状溝90bが形成されている。この環状溝90bには、
図1に示すスプリングストッパー13が嵌入するようになっている。支軸部90の下部には、支軸部90の外径よりも大径の第1大径部90cが形成されている。支軸部90の第1大径部90cよりも下側には、第1大径部90cよりも大径の第2大径部90dが形成されている。第2大径部90dの上面は支軸部90の中心線と同心状に環状に延びている。第2大径部90dの上面には、上方へ突出する複数のベース側凸部90eが互いに周方向に間隔をあけて形成されている。支軸部90をフレーム8の円筒部8aに挿入した状態で、フレーム8の円筒部8aの下面と、支軸部90の第2大径部90dの上面とが対向し、周方向に隣合うベース側凸部90e、90eの間に、フレーム側凸部8bが配置される。
【0037】
フレーム8の円筒部8aには
図1に示すスプリングAが収容されるようになっている。スプリングAの内方に支軸部90が挿入されてスプリングAの上端部がスプリングストッパー13によって下方に押圧された状態で保持される。これにより、フレーム8の円筒部8aの下面が、支軸部90の第2大径部90dの上面に向けて付勢された状態になり、この状態でフレーム側凸部8bがベース側凸部90e、90eに対して支軸部90の周方向に係合することによってハウジング7の支軸部90周りの回動が規制されるようになっている。仮にハウジング7に対して支軸部90周りの大きな外力が作用した際には、スプリングAの付勢力に抗してフレーム側凸部8bがベース側凸部90eを乗り越えるようにフレーム8が上方へ移動し、このことでハウジング7の回動が許容される。
【0038】
図5に示すように、ミラーベース9の下側には、ドアDに取り付けられる取付板部91が設けられている。取付板部91は、全体として支軸部90の径方向に延出するように形成されている。取付板部91は、支軸部90の第2大径部90dの下端部から下方へ離れて配置され、該第2大径部90dの下端部に対して上下方向に延びる連結板部92によって連結されている。取付板部91は、前側へ延出する前側延出部91aと、後側へ延出する後側延出部91bと、右側へ延出する右側延出部91cとを有しており、これら延出部91a、91b、91cは互いに連続するように形成されている。前側延出部91a及び後側延出部91bは延出方向先端へ近くほど幅が狭くなるように形成されている。
【0039】
支軸部90の第2大径部90dの下面には、連結板部92の前後方向両縁部からそれぞれ右側へ延びる第1リブ101及び第2リブ102が設けられている。第1リブ101及び第2リブ102は、支軸部90の第2大径部90dと取付板部91の上面とを繋ぐように形成されている。第1リブ101と第2リブ102との間に形成される空間Rは、支軸部90のハーネス挿通孔90aの下端部と連通している。
図4に示すように空間Rの左側は連結板部92によって閉塞され、空間Rの下側は取付板部91によって閉塞されている。また、空間Rの前後両側は第1リブ101及び第2リブ102によって閉塞されており、従って、空間Rは
図4に示すように右側にのみ開放されている。ハーネス挿通孔90aに挿通したハーネス10の中途部は、空間Rを経て右側へ出るように取り回される。
【0040】
また、
図5に示すように取付板部91の前側延出部91aの上面には、支軸部90の第2大径部90dと取付板部91の上面とを繋ぐ第3リブ103が上下方向に延びるように形成されている。この第3リブ103は、第1リブ101から前側に離れている。さらに、取付板部91の後側延出部91bの上面には、支軸部90の第2大径部90dと取付板部91の上面とを繋ぐ第4リブ104が上下方向に延びるように形成されている。この第4リブ104は、第2リブ102から後側に離れている。
【0041】
前側延出部91aの前端部の下面には、ミラーベース9をドアDに締結するためのボルト等の締結部材(図示せず)が下方から螺合する前側ボス(締結部)93が下方へ突出するように設けられている。また、後側延出部91bの後端部の下面には、同様の締結部材が螺合する後側ボス(締結部)94が下方へ突出するように設けられている。さらに、右側延出部91cの右端部の下面には、同様の締結部材が螺合する右側ボス(締結部)95が下方へ突出するように設けられている。
【0042】
取付板部91の下面には、前側ボス93の外面と右側ボス95の外面とを繋ぐように該取付板部91の縁部に沿って延びる前側板部96が下方へ突出するように設けられている。また、取付板部91の下面には、後側ボス94の外面と右側ボス95の外面とを繋ぐように該取付板部91の縁部に沿って延びる後側板部97が下方へ突出するように設けられている。さらに、取付板部91の下面には、前側ボス93の外面と後側ボス94の外面とを繋ぐように取付板部91の縁部に沿って延びる右側板部98(
図4に示す)が下方へ突出するように設けられている。前側板部96、後側板部97及び右側板部98は互いに連続して環状をなしており、これら板部96〜98によって取付板部91の強度が向上する。
【0043】
右側延出部91cの上面には、ハーネス10の中途部が載置される載置面91fが下方へ窪むように形成されている。載置面91fは、第1リブ101の下端部近傍から前側板部96まで延びている。
【0044】
第1リブ101の下部には、載置面91fに載置されたハーネス10の中途部に対して上方から接触して係合する上側係合部101aが右側へ突出するように一体成形されている。上側係合部101aは、ハーネス10の中途部を載置面91fと共に該ハーネス10の径方向(上下方向)に挟持する。
【0045】
前側板部96の外面には、凹面96aが形成されている。凹面96aは、前側板部96の上下方向に連続しており、凹面96aの上端は上記載置面91fと連続するようになっている。この凹面96aには、ハーネス10の中途部が接触するように配置される。
【0046】
前側板部96の外面には、前側ボス93側に第1係合部111が一体成形され、右側ボス95側に第2係合部112が一体成形されている。第1係合部111及び第2係合部112は、前側板部96の上側に位置している。第1係合部111は、凹面96aに配置されたハーネス10の中途部に対して径方向一側から接触することによって係合するものであり、第2係合部112へ向けて突出し、その突出方向先端部と凹面96aとの間にハーネス10の中途部が入るようになっている。また、第2係合部112は、凹面96aに配置されたハーネス10の中途部に対して径方向他側から接触することによって係合するものであり、第1係合部111へ向けて突出し、その突出方向先端部と凹面96aとの間にハーネス10の中途部が入るようになっている。第1係合部111の突出方向先端と、第2係合部112の突出方向先端との間隔は、ハーネス10の中途部の外径よりも小さく設定されている。従って、ハーネス10の中途部は、第1係合部111と第2係合部112とによって径方向両側から挟持されるとともに、凹面96aに向けて押し付けられて動かないように保持されるようになっている。
【0047】
また、
図7に示すように、ミラーベース9の取付板部91には、ドアDに対してミラーベース9を仮固定するための仮固定部115と、ドアDに形成された孔部(図示せず)に挿入されるピン116とが設けられている。
【0048】
図2や
図3に示すように、ミラーベース9の下側には、ベースカバー14が取り付けられる。ベースカバー14は、樹脂製であり、ミラーベース9の支軸部90よりも下側を覆うように形成されている。ハーネス10の中途部は、ベースカバー14内に収容されてドアDの内部に引き込まれる。
【0049】
ミラーベース9の下端部とドアDとの間にはシール材Sが配設されている。シール材Sは、ミラーベース9の下端部を覆うように形成されている。
【0050】
ハーネス10は、角度調整ユニット6のモーター及びヒーター3に電力を供給するためのものである。ハーネス10は、上述した表示部等の電気部品が設けられている場合には、それらにも電力を供給できるように構成することができる。
図1に示すように、ハーネス10の基端部には、車両側のハーネス(図示せず)に接続されるコネクタ10cが設けられている。ハーネス10の先端側は角度調整ユニット6のモーターに接続されるモーター接続ハーネス10aと、ヒーター3に接続されるヒーター接続ハーネス10bとに分岐されている。
【0051】
次に、上記のように構成された車両用サイドミラー1のミラーベース9にハーネス10を組み付ける場合について説明する。まず、ハーネス10の中途部をミラーベース9の支軸部90のハーネス挿通孔90aに挿通する。ハーネス挿通孔90aに挿通したハーネス10は、第1リブ101と第2リブ102との間の空間Rに通し、この空間Rの開放部分(右側部分)からミラーベース9の右側へ取り出す。そして、ハーネス10の中途部を取付板部91の載置面91fに載置するとともに、上側係合部101aに係合させる。係合させる際には、ハーネス10の中途部を径方向に移動させて載置面91fと上側係合部101aとの間に押し込むようにすることで上側係合部101aがハーネス10の中途部に係合する。これにより、ハーネス10の中途部が上側係合部101aと載置面91fとで径方向に挟持される。
【0052】
また、ハーネス10の中途部のうち、上側係合部101aから離れた部位を径方向に移動させて第1係合部111と第2係合部112との間に押し込む。これにより、ハーネス10の中途部は、第1係合部111と第2係合部112とによって径方向両側から挟持されるとともに、凹面96aに向けて押し付けられて保持され、これにより、第1係合部111及び第2係合部112がハーネス10の中途部に係合する。尚、上側係合部101aは、ハーネス10の中途部における第1係合部111及び第2係合部112の係合部分から離れた部分に係合するものであり、本発明の第3係合部に相当する。
【0053】
ここで、ドアDに締結される前側ボス93や右側ボス95は一般に強度が高いものなので、前側ボス93及び右側ボス95を繋ぐように延びる前側板部96は前側ボス93及び右側ボス95と一体化して強度が高くなる。この強度の高い前側板部96に第1係合部111及び第2係合部112を設けたので、両係合部111、112の変形や相対的な変位が抑制される。よって、第1係合部111及び第2係合部112がハーネス10の中途部にしっかりと係合した状態を維持することができる。これにより、ハーネス10の中途部の位置決めが行われるとともに、仮にハーネス10が車体側から引っ張られた場合であっても移動し難くなる。
【0054】
また、ハーネス10の中途部は、上側係合部101aよりも上側の部分が上下方向に延び、上側係合部101aよりも下側の載置面91fに載置される部分が前後方向に延び、さらに、第1係合部111及び第2係合部112に係合する部分が上下方向に延びている。このように、2箇所以上屈曲させたハーネス10の中途部を、ハーネス20の長手方向に離れた2箇所で挟持するようにしているので、例えばハーネス10が長手方向に引っ張られても、長手方向に移動し難くなる。
【0055】
以上説明したように、この実施形態に係る車両用サイドミラー1によれば、前側ボス93及び右側ボス95を繋ぐように延びる前側板部96に接触するようにハーネス10の中途部を配置し、このハーネス10の中途部の径方向一側から係合する第1係合部111と径方向他側から係合する第2係合部112とを前側板部96に一体成形したので、従来例の固定部材のような部品を設けることなく、部品点数を低減しながら、ハーネス10の中途部をミラーベース9に確実に固定できる。
【0056】
また、ハーネス10の中途部を屈曲させた状態で上側係合部101aにも係合させるようにしたので、ハーネス10が引っ張られた場合に長手方向に移動し難くなる。
【0057】
また、ミラーベース9の支軸部90と取付板部91とを繋ぐように形成された第1リブ101の一部を上側係合部101aとしたので、ミラーベース9の構成をシンプルにしながら、ハーネス10の中途部をミラーベース9に確実に固定できる。
【0058】
また、
図9及び
図10に示す実施形態の変形例1のように、ハーネス10の中途部の一部分に、外径が他の部分に比べて小さい小径部10eを設けてもよい。この変形例1のハーネス10をミラーベース9に組み付ける場合には、まず、
図9に示すようにハーネス10の小径部10eを、第1係合部111と第2係合部112との間に挿入する。これにより、ハーネス10の中途部を小さい力で第1係合部111と第2係合部112との間に挿入できるので作業性が良好である。その後、ハーネス10を
図9に示す矢印Tの方向に引っ張り、
図10に示すように小径部10eを第1係合部111及び第2係合部112よりも下方に位置付ける。これにより、ハーネス10の小径部10eよりも径の大きな部位が第1係合部111及び第2係合部112に係合するので、ハーネス10の中途部が第1係合部111及び第2係合部112にしっかりと係合し、第1係合部111と第2係合部112との間から抜け難くなる。
【0059】
また、
図11及び
図12に示す実施形態の変形例2のように、第1係合部111と第2係合部112とが、互いにハーネス10の中途部の長手方向に離れて配置されていてもよい。この変形例では、第1係合部111と第2係合部112との間隔が広がるので、第1係合部111と第2係合部112との間にハーネス10の中途部を挿入する際の作業性が良好になる。そして、挿入後は、ハーネス10の中途部に対して第1係合部111と第2係合部112とが径方向両側から係合することになるので、ハーネス10が確実に位置決めされる。
【0060】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。