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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227079(P2015-227079A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】駆動システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/033 20060101AFI20151120BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   B60R16/02 670B
   B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-112703(P2014-112703)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB12
3D333CC06
3D333CD53
3D333CD59
3D333CE03
3D333CE38
(57)【要約】
【課題】定格電圧の異なる複数の電源によりEPS用モータの冗長性を確保しつつ、部品管理を容易にする駆動システムを提供することにある。
【解決手段】本発明の駆動システム100は、モータジェネレータ20、MG用インバータ部22、EPS用モータ40、EPS用インバータ部42、2つの電源6,7、および電源切替部8を備えている。電源切替部8は、2つの電源6,7のいずれか一方を選択的にEPS用インバータ部42に接続することができる。また、MG用インバータ部22を構成するMG用スイッチング素子221〜226と、EPS用インバータ部42を構成するEPS用スイッチング素子421〜426とは、最大定格電圧および最大定格電流が等しい。MG用インバータ部22とEPS用インバータ部42との間でスイッチング素子の仕様を共通化することができるため、部品管理を容易にすることができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、交流回転電機を駆動する駆動システムであって、
互いに定格電圧が異なる2つの直流電源であって、相対的に定格電圧が高い第1電源(6)および相対的に定格電圧が低い第2電源(7)と、
内燃機関(3)を始動させるためのトルクを出力する第1交流回転電機(20)と、
第1群のスイッチング素子(221〜226)から構成され、前記第1電源から供給される電力を変換して前記第1交流回転電機に電力を供給する第1インバータ部(22)と、
運転者の操舵を補助するための操舵アシストトルクを出力する第2交流回転電機(40、47)と、
第2群のスイッチング素子(421〜426、441〜446)から構成され、前記第1電源又は前記第2電源から供給される電力を変換して前記第2交流回転電機に電力を供給する第2インバータ部(42、44)と、
前記第1電源および第2電源のいずれか一方を選択的に前記第2インバータ部に電気的に接続する電源切替手段(8)と、
を備え、
前記第1群のスイッチング素子と、前記第2群のスイッチング素子とは、最大定格電流および最大定格電圧が等しいことを特徴とする駆動システム(100、110、120)。
【請求項2】
前記第1群及び第2群のスイッチング素子の前記最大定格電圧は、前記第1電源に合わせて設定されていることを特徴とする請求項1記載の駆動システム。
【請求項3】
前記第2交流回転電機の前記最大定格電圧は、前記第2電源に合わせて設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記第1電源の電圧をVHとし、前記第2電源の電圧をVLとし、1≦k≦2とすると、
前記第2インバータ部が前記第1電源に接続されているとき、前記第2群のスイッチング素子の導通率の上限値は、k×VL/VHに制限されていることを特徴とする請求項3記載の駆動システム。
【請求項5】
前記電源切替手段は、前記第1電源及び前記第2電源の各々から前記第2インバータ部への電力供給ラインに直列に接続されたダイオード(84、85)から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記電源切替手段は、前記第1電源及び前記第2電源の各々から前記第2インバータ部への電力供給ラインに直列に接続されたスイッチ部(86、87)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記スイッチ部は、第3群のスイッチング素子(861〜862、871〜872)から構成され、
前記第1群、第2群、及び第3群のスイッチング素子は、前記最大定格電流および前記最大定格電圧が等しいことを特徴とする請求項6に記載の駆動システム。
【請求項8】
前記第1電源と前記第2電源との間に設けられ、第4群のスイッチング素子(901〜904)を含んで構成された直流電圧変換器(9)をさらに備え、
前記1群及び第2群のスイッチング素子と、前記第4群のスイッチング素子とは、前記最大定格電流および前記最大定格電圧が等しいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項9】
前記スイッチング素子は、MOSFETであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項10】
前記第2交流回転電機(47)は、複数相の巻線からなる巻線組(411〜413、431〜433)を複数組有しており、
前記第2インバータ部は、前記複数組の巻線組に対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記第2インバータ部は、前記第2交流回転電機に一体に搭載されている請求項1〜10のいずれか一項に記載の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流回転電機を駆動する駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の基本機能を担うシステムについて、故障等に対するシステムの冗長性が強く求められている。
例えば、欧州を中心として市場に投入されている一部の車両には、2個の直流電源、特に従来の12Vとそれよりも高い定格電圧とによる2電源系を構築したものが存在する。高い定格電圧を用いる理由には、自動車の電動化と半導体の進化が進み、電気容量の大きな電気装置が搭載されるようになり、従来の12V系電源だけでは対応しきれなくなってきているという事情がある。
【0003】
引用文献1には、定格電圧の異なる2電源系に対応した電動パワーステアリング装置が開示されている。引用文献1では、電動パワーステアリング装置の操舵アシスト用モータを定格電圧の異なる第1電源および第2電源に並列に接続して、いずれか一方の電源から選択的にモータに電力供給している。通常時には第1電源が電力供給を行い、第1電源の異常時には第2電源が電力供給を行うことにより、操舵アシスト用モータの冗長性が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−326379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両に登載される交流モータには、電動パワーステアリング装置の操舵アシスト用モータ(以下、EPS用モータと称する)の他に、スタータおよびジェネレータの機能を兼ね備えたモータジェネレータが存在する。一般的には、EPS用モータの定格出力が500W程度であるのに対し、モータジェネレータの定格出力は3〜4kW程度である。よって、EPS用モータの定格電圧は12Vに設計されるのに対し、モータジェネレータの定格電圧は、過電流が流れることのないように36Vや48Vに設計される。
【0006】
これらのモータジェネレータおよびEPS用モータは、直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータによって駆動される。インバータは複数のスイッチング素子から構成されており、スイッチング素子には、その動作機能を制限する最大許容値としての最大定格が定められている。この最大定格には、電流の最大定格(以下、最大定格電流)および電源電圧に対する最大定格(以下、最大定格電圧)が含まれており、これらはスイッチング素子の仕様を決定する。
【0007】
ここで、本発明者は、モータジェネレータおよびEPS用モータを含む駆動システムにおいて、EPS用モータの冗長性のために定格電圧の異なる2電源系を構築することを検討したところ、以下の新規な課題を見いだしている。
【0008】
すなわち、従来の思想によれば、定格出力が異なるEPS用モータとモータジェネレータとの間では、それぞれを駆動するインバータのスイッチング素子の仕様は異なることが常套である。しかしながら、車両用交流モータであるEPS用モータとモータジェネレータとの間で、インバータのスイッチング素子の仕様が異なる場合、その部品管理が煩雑になり、コストがかかる。
【0009】
また、定格電圧が互いに異なる2電源系では、単純に機器を2つの電源に接続するのみでは問題が生じることがある。例えば、低圧側の電源用に設計された機器では、高圧側の電源を単に接続しても機器の内部インピーダンスが小さいために過大電流が流れ込み、機器が破損する可能性がある。
【0010】
本発明は上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、EPS用モータおよびモータジェネレータを備える駆動システムであって、定格電圧の異なる2つの電源によりEPS用モータの冗長性を確保しつつ、部品管理を容易にする駆動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の駆動システムは、互いに定格電圧が異なる2つの直流電源であって相対的に定格電圧が高い方の第1電源および相対的に定格電圧が低い方の第2電源と、第1回転電機と、第1インバータと、第2交流回転電機と、第2インバータと、電源切替手段とを備える。
第1交流回転電機は、内燃機関を始動させるためのトルクを発生する。第1インバータは、第1群のスイッチング素子から構成され、第1電源から供給される電力を変換して第1回転電機に電力を供給する。
第2交流回転電機は、操舵を補助するためのアシストトルクを発生する。第2インバータは、複数のスイッチング素子から構成され、第1電源又は第2電源から供給される電力を変換して第2回転電機に電力を供給する。
電源切替手段は、第1電源および第2電源のいずれか一方を選択的に第2インバータに接続することができる。
【0012】
上記構成では、第1電源および第2電源のうち、第2交流回転電機に接続された一方の電源が電力供給できなくなったとき、電源切替手段によって、当該一方の電源に換えて、他方の電源を第2交流回転電機に接続することができる。
【0013】
また、本発明では、第2インバータを構成する第2群のスイッチング素子は、第1インバータを構成する第1群のスイッチング素子と、最大定格電圧および最大定格電流が等しい。
ここで、内燃機関を始動させるための第1交流回転電機は、操舵を補助するための第2交流回転電機よりも電気定格が大きい。このため第2交流回転電機が第1電源および第2電源のいずれに接続されるとしても、第2交流回転電機には、第1交流回転電機の同程度以下の電流が流れる。よって、上記構成によれば、第2群のスイッチング素子に、その最大定格電流よりも大きい電流が流れることが抑制される。これにより、定格電圧の異なる2つの電源によって第2交流回転電機に対する電力供給の冗長性を実現することができる。
また、第1インバータと第2インバータとの間でスイッチング素子の仕様を共通化することができるため、部品管理を容易にすることができる。
【0014】
なお、スイッチング素子の間で最大定格電圧又は最大定格電流が「等しい」とは、当業者の技術常識の範囲で等しいと判断されるものを含み、メーカーや品番の異なる「相当品」であってもよく、かつ、数値が厳密に一致することを要しない。例えば、比較される2つの数値の間で、一方が他方の2倍以内かつ1/2以上の数値であればよい。
また、最大定格電圧とは、スイッチング素子に入力される電源電圧の最大定格(耐電圧)を意味し、最大定格電流とは、電流の最大定格を意味する。
【0015】
また、本発明の駆動システムでは、第1群のスイッチング素子および第2群のスイッチング素子の最大定格電圧は、第1電源に合わせて設定されていることが好ましい。
上記構成によれば、電源を降圧せずとも、第2群のスイッチング素子に、その最大定格電圧よりも大きい電圧が印加されることが抑制される。よって、定格電圧の異なる2つの電源によって第2交流回転電機に対する電力供給の冗長性を、より簡単に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態による駆動システムを適用したエンジンおよび電動パワーステアリング装置を示す概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態による駆動システムを示す図である。
図3図2の電源切替部の内部構成を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態による電源切替部の内部構成を示す図である。
図5図4に示す電源切替部の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第3実施形態による駆動システムを示す図である。
図7図6に示す直流電圧変換器の内部構成を示す図である。
図8】本発明の第4実施形態による駆動システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による駆動システムについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、駆動システム100は、モータジェネレータ20および電動パワーステアリング装置4の電動モータ41を含んだ車両用電気系システムに適用される。
【0018】
まず、本実施形態の駆動システム100の概要について図1を参照して説明する。図1に示すように、駆動システム100は、モータジェネレータ20、モータジェネレータ(MG)用インバータ部22、電動パワーステアリング(EPS)用モータ41、EPS用インバータ部42、2つの電源6,7、および電源切替部8を備えている。
【0019】
「第1交流回転電機」としてのモータジェネレータ20は、「内燃機関」としてのエンジン3を始動させるためのトルクを発生するスタータ機能、および、エンジン3から伝達されるトルクによる回生動作によって発電するジェネレータ機能を兼ね備えた交流モータである。モータジェネレータ20は、エンジン3のクランク軸にベルト24を介してトルク伝達結合されている。なお、ベルト24はギアチェーン等であってもよい。
MG用インバータ部22は、モータジェネレータ20を制御可能であり、モータジェネレータ20に一体に搭載されている。
【0020】
「第2交流回転電機」としてのEPS用モータ40は、車両のステアリング操作をアシストする電動パワーステアリング装置4を構成する要素であり、操舵アシストトルクを発生する交流モータである。EPS用モータ40は、ベルト46を介してラック軸52にトルク伝達結合されている。なお、ベルト51はギアチェーン等であってもよい。
EPS用インバータ部42は、EPS用モータ40を制御可能であり、EPS用モータ40に一体に搭載されている。
【0021】
なお、MG用インバータ部22およびEPS用インバータ部42をモータジェネレータ20およびEPS用モータ40にそれぞれ搭載する方法等は、周知の実装技術を採用すればよい。
【0022】
2つの電源6、7は、互いに定格電圧の異なる直流電源である。「第1電源」としての電源6は、例えば48Vの定格電圧のリチウム電池であり、以下では48V系電源6と称する。また、「第2電源」としての電源7は、例えば12Vの定格電圧の鉛蓄電池であり、以下では12V系電源7と称する。
【0023】
モータジェネレータ20には、48V系電源6から電力が供給される。一方、EPS用モータ40には、電源切替部8を介して、48V系電源6および12V系電源7のいずれか一方から電力が供給される。
【0024】
「電源切替手段」としての電源切替部8は、2つの電源6、7とEPS用インバータ部42との間に設けられている。電源切替部8は、詳細は後述するが、48V系電源6および12V系電源7のいずれか一方を選択的にEPS用インバータ部42に接続することができる。
【0025】
次に、図2を参照して、駆動システム100における電気回路を説明する。
【0026】
モータジェネレータ20は、三相交流ブラシレスモータであり、三相Y結線された固定子巻線211、212、213による巻線組21を有する。巻線組21は、定格電圧が48Vに設定されており、定格電流が100Arms程度に設定されている。また、その電気容量は4.8kVA程度に設定されている。
【0027】
EPS用モータ40は、三相交流ブラシレスモータであり、三相Y結線された固定子巻線411、412、413による巻線組41を有する。巻線組41は、定格電圧が12Vに設定されており、定格電流が100Arms程度に設定されている。また、その電気容量は1.2kVA程度に設定されている。
【0028】
なお、モータジェネレータ20およびEPS用モータ40に関する他の構成は、周知の通りである。例えば、巻線組21又は41が巻かれた固定子の内側には、永久磁石を装着した回転子が空隙を介して回転自在に搭載されており、固定子と回転子の空隙間での電磁作用によりトルクを発生する。
【0029】
MG用インバータ部22では、「第1群の」6個の半導体スイッチング素子221〜226がブリッジ接続されて三相インバータを構成している。半導体スイッチング素子221〜226を、以下、MG用スイッチング素子221〜226と称する。MG用スイッチング素子221〜226は、例えばMOSFET、すなわち金属酸化物半導体電界効果トランジスタである。MG用スイッチング素子221〜226は、モータジェネレータ20への通電が可能であるように、定格電圧が48Vであり、定格電流が100Armsである。
【0030】
EPS用インバータ部42では、「第2群の」6個の半導体スイッチング素子421〜426がブリッジ接続されて三相インバータを構成している。半導体スイッチング素子421〜426を、以下、EPS用スイッチング素子421〜426と称する。EPS用スイッチング素子421〜426は、例えばMOSFET、すなわち金属酸化物半導体電界効果トランジスタである。
【0031】
EPS用スイッチング素子421〜426の最大定格電圧および最大定格電流を含む仕様は、MG用スイッチング素子221〜226の仕様と等しい。すなわち、EPS用スイッチング素子421〜426は、最大定格電圧が48Vであり、最大定格電流が100Armsである。
【0032】
なお、スイッチング素子の間で最大定格電圧又は最大定格電流が「等しい」とは、当業者の技術常識の範囲で等しいと判断されるものを含み、メーカーや品番の異なる「相当品」であってもよく、かつ、数値が厳密に一致することを要しない。例えば、比較される2つの数値の間で、一方が他方の2倍以内かつ1/2以上の数値であればよい。
また、本明細書で説明するスイッチング素子の仕様について、最大定格電圧とは、スイッチング素子に入力される電源電圧の最大定格(耐電圧)を意味し、最大定格電流とは、電流の最大定格を意味する。
【0033】
また、MG用インバータ部22およびEPS用インバータ部42には、それぞれ、供給される電圧の脈動を抑制し、平滑化するためのコンデンサ23、45が並列に接続されている。
【0034】
次に、図3を参照して電源切替部8について説明する。
電源切替部8は、48V系電源6からの入力端子81と、12V系電源7からの入力端子82と、出力端子83と、各入力端子81、82に直列接続された第1ダイオード84および第2ダイオード85とを備えている。第1ダイオード84および第2ダイオード85は、出力端子83側にカソードが共通化されるように装着されている。
【0035】
電源切替部8は、第1ダイオード84および第2ダイオード85による電圧OR回路を構成しており、第1ダイオード84および第2ダイオード85のうち、48V系電源6に接続された第1ダイオード84に電流が流れる。すなわち、通常時には、EPS用モータ40への電力供給源として、48V系電源6が受動的に選択される。このとき、第2ダイオード85によって、12V系電源7側への電流が逆流することが阻止される。
【0036】
電源切替部8が48V系電源6を選択しているときには、EPS用スイッチング素子421〜426の制御に際し、その導通率の上限に制限をかける。これにより、EPS用モータ40に過電流が流れることが抑制される。このような制御は周知のPWM(パルス幅変調)制御により実現できる。また、その制限値は、kを1以上2以下の定数とするとき、k×12/48であることが好ましい。
【0037】
一方、48V系電源6に異常が発生し、電圧低下や遮断が発生した場合には、電源切替部8による電圧OR回路は12Vが優勢電位となる。これにより、EPS用モータ40の電源として12V系電源7が受動的に選択される。
【0038】
電源切替部8が12V系電源7を選択しているとき、EPS用モータ40の巻線組41には、その定格電圧(12V)と等しい定格電圧の12V系電源7が接続されることになる。このため、上述したようなEPS用スイッチング素子421〜426の導通率の制限を行わずともよい。
【0039】
(効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態では、MG用スイッチング素子221〜226およびEPS用スイッチング素子421〜426の仕様を共通化している。このため、EPS用スイッチング素子221〜226には、MG用スイッチング素子221〜226に使用する部品を流用できる。よって、部品管理が容易になり、コストが低減される。
また、EPS用インバータ部42が48V系電源6および12V系電源7のいずれに接続されるとしても、EPS用インバータ部42には、MG用インバータ部22に流れる電流と同程度以下の電流が流れる。このため、EPS用スイッチング素子421〜426に、その最大定格電流を超える電流が流れることは抑制される。よって、定格電圧の異なる2つの電源6、7によって、EPSインバータ部42に対する電力供給の冗長性を実現することができる。
【0040】
また、本実施形態では、MG用スイッチング素子221〜226およびEPS用スイッチング素子421〜426の最大定格電圧は、48V系電源6に合わせて設定されている。このため、48V系電源6の電圧を降圧せずとも、EPS用スイッチング素子421〜426に、その最大定格電圧を超える電圧が印加されることは抑制される。よって、定格電圧の異なる2つの電源6、7によって、EPS用インバータ部42に対する電力供給の冗長性をより簡単に実現することができる。
【0041】
また、本実施形態では、EPS用モータ40の巻線組41の定格電圧が12V系電源7に合わせて設定されている。
ここで、仮に、EPS用モータ40の巻線組41の定格電圧を48V系電源6に合わせて設定した場合、12V系電源7に合わせて設定した場合に比べて、流れる電流は1/4程度、すなわち25Arms程度になる。このため、EPS用スイッチング素子421〜426の最大定格電圧は、25Arms程度に設定するのが常套である。
【0042】
しかしながら、このように設定した場合、EPS用インバータ部42を12V系電圧6に接続したとき、EPS用スイッチング素子421〜426には、最大定格電流よりも大きな電流が流れることになる。また、EPS用モータ40の内部インピーダンスが高いために電源電圧が足りなくなる。このため、バックアップ機能が十分に働かない。
【0043】
そこで、本実施形態のようにEPS用モータ40の定格電圧を12V系電源7に合わせて設定することにより、EPS用インバータ部42が48V系電源6および12V系電源7のいずれに接続する場合にも、問題なく電流を流すことができ、電力供給のバックアップ機能を十分に果たすことができる。
【0044】
また、このような設定により、EPS用モータ40には汎用の12V定格のモータを用いることができる。よって、本実施形態の専用で開発する必要があるのは制御ロジックのみとなるため、開発工数の低減が可能である。
【0045】
また、本実施形態では、電源切替部8が48V系電源6を選択しているとき、EPS用スイッチング素子421〜426の制御に際し、その導通率の上限に制限をかけている。
ここで、定格電圧が12Vに設定されたEPS用モータ40は、48V系電源6に単に接続された場合、EPS用モータ40の内部インピーダンスが小さいため、過大電流が流れる恐れがある。そこで、上述のような導通率の制限を行うことにより、電源電圧を降圧せずとも、EPS用モータ40に過大電流が流れ込むことを抑制し、破損を防止することができる。
【0046】
また、本実施形態では、電源切替部8を第1ダイオード84および第2ダイオード85から簡単に構成することができる。また、電源切替部8は、電圧OR回路を構成するため、他からの信号を受けることなく、通常時には48V系電源6からの入力を選択し、48V系電源6が故障した場合には12V系電源7からの入力を選択することができる。
また、モータジェネレータ20およびEPS用モータ40としては、それぞれ、インバータ部とモータが一体に構成された「機電一体モータ」を使用することができる。
【0047】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による駆動システムについて説明する。なお、第2実施形態では、電源切替部8の内部構成以外は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0048】
本実施形態の電源切替部8の内部構成を図4に示す。本実施形態の電源切替部8では、第1実施形態の第1ダイオード84および第2ダイオード85が第1スイッチ86および第2スイッチ87に置換されており、第1スイッチ86および第2スイッチ87を制御するコントローラ89を有している。
【0049】
第1スイッチ86は、例えばMOSFETによる2個の半導体スイッチング素子861〜862が、ドレイン電極同士で直列に(逆直列に)接続されて構成されている。同様に、第2スイッチ87は、例えばMOSFETによる2個の半導体スイッチング素子871〜872が逆直列されて構成されている。これら「第3群」の半導体スイッチング素子861〜862、871〜872の最大定格電圧および最大定格電流は、MG用スイッチング素子221〜226、および、EPS用スイッチング素子421〜426と等しい。
コントローラ89は、ECU等の外部の上位システムから入力される切替信号SWに従ってスイッチング素子861〜862、871〜872を制御する。また、この制御時、コントローラ89は、外部システムに対して警告信号WRを出力することにより、運転者に警告灯や警告音で修理を促すことが可能である。
【0050】
なお、電源切替部8による電源切替シークエンスは、上位システムから入力される切替信号SWに支配されている。この上位システムは、例えば、48V系電源6の電源ラインが正常と判断している間にはLレベルの切替信号SWを出力し、48V系電源6の電源ラインに何らかに異常を検知した場合には切替信号SWをHレベルに立ち上げる。
【0051】
電源切替部8による電源切替シークエンスついて、図5のフローチャートを参照して説明する。以下のフローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。
【0052】
まず、コントローラ89は、切替信号SWをチェックし(S1)、切替信号SWがHレベルであるか否かを判断する(S2)。そして、切替信号SWがLレベルであれば(S2:NO)、第1スイッチ86が導通し、第2スイッチ87が遮断されるように制御を行う(S3)。これにより、EPS用モータ40への電力供給源として、48V系電源6が選択される。
通常時には、上記のS1〜S3が繰り返し実施される。
【0053】
一方、S2において、切替信号SWがHレベルであれば、コントローラ89は、第1スイッチ86が遮断され、第2スイッチ87が導通するように制御を切り替える(S4)。これにより、EPS用モータ40への電力供給源として、12V系電源7が選択される。その後、コントローラ89は、運転者に警告灯や警告音で修理を促すための警告信号WRを出力する(S5)。
【0054】
第2実施形態の効果について、第1実施形態と比較して説明する。
例えば48V系電源6が部分的な失陥を起こし電圧が低下して30V程度になった場合を考える。このような場合、第1実施形態では、電源切替部8は電圧の高い側を受動的に選択するため、12V系電源7ではなく、引き続き48V系電源6を選択する。このため、電源を切り替えることができない。
【0055】
一方、第2実施形態では、電源切替部8は、48V系電源6を監視する上位システムからの切替信号SWを受けて能動的に電源切替を行うため、上述のような48V系電源6の異常が生じた場合にも、12V系電源7に確実に切り替えることができる。
【0056】
また、電源切替部8の第1スイッチ86および第2スイッチ87を構成するスイッチング素子861〜862、871〜872は、MG用スイッチング素子221〜226およびEPS用スイッチング素子421〜426と仕様が等しいため、駆動システム100における部品の共用化をさらに図ることができる。半導体素子は製造量が増えるにつれ単価が低下するため、1つの駆動システム100に使用する複数の部品が同じ仕様であれば、コスト低減効果が大きくなる。
【0057】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による駆動システム110について図6図7を参照しつつ説明する。
第3実施形態では、駆動システム110が直流電圧変換器9を備える点、および、電源切替部8が第2実施形態と同様の構成を有する点以外は、第2実施形態と同様である。以下では、第2実施形態との差異点について主に説明する。
【0058】
図6に示すように、直流電圧変換器9は、48V系電源6と12V系電源7との間に接続されており、48V系電源6の電圧を12Vに降圧する。EPS用インバータ部42には、12Vに降圧された電力が供給されるため、第1実施形態で説明したようなEPS用スイッチング素子421〜426の導通率の制限を行わずとも良い。
【0059】
図7に示すように、直流電圧変換器9は、周知のHブリッジ型スイッチング電源であり、48V系電源6からの入力端子91、出力端子92、接地端子93、2つのコンデンサ94、95、チョークコイル96、および、4つの半導体スイッチング素子901〜904を備えている。
【0060】
ここで、直流電圧変換器9を構成する「第4群」のスイッチング素子901〜904の最大定格電圧および最大定格電流は、MG用スイッチング素子221〜226、EPS用スイッチング素子421〜426、および、電源切替部8を構成するスイッチング素子861〜862、871〜872と等しい。
したがって、本実施形態では、駆動システム110における部品の共用化をさらに図ることができ、一層のコスト低減を実現できる。
【0061】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による駆動システム120について、図8を参照して説明する。第4実施形態の駆動システム120では、2組の巻線組を有するEPS用モータ47と、各巻線組に対応する2つのインバータ部42、44とを有している点が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態との差異点について主に説明する。
【0062】
図8に示すように、EPS用モータ47が、2組の巻線組41、43を有する。第1巻線組41は、三相Y結線された固定子巻線411、412、413を有し、第2巻線組43は、三相Y結線された固定子巻線431、432、433を有する。第1巻線組41および第2巻線組43は、互いに電気的に絶縁された状態で1つの固定子に巻装されている。
【0063】
また、駆動システム120には、第1巻線組41に対応する第1EPS用インバータ部42と、第2巻線組43に対応する第2EPS用インバータ部44とが設けられている。第1EPS用インバータ部42および第2EPS用インバータ部44は、電源切替部8に互いに並列に接続されている。第1EPS用インバータ部42を構成するEPS用スイッチング素子421〜426、および、第2EPS用インバータ部44を構成するEPS用スイッチング素子441〜446の最大定格電圧および最大定格電流は、MG用スイッチング素子221〜226と等しい。
【0064】
本実施形態は、EPSモータ47の巻線組と、対応するEPS用インバータ部との組み合わせによる系統が2系統存在する。よって、いずれかの系統の巻線組又はEPS用インバータ部にショートや断線等の故障が生じたとき、他方の系統の巻線組およびEPS用インバータ部を用いてEPSモータ47の駆動を継続することができる。
また、1つの駆動システム120における同じ仕様のスイッチング素子の数が多くなるため、1つの部品当たりのコストを低減することできる。
【0065】
(その他の実施形態)
(ア)上記実施形態において使用する半導体スイッチング素子は、MOSFET以外の素子であってもよい。
(イ)モータジェネレータ20およびEPS用モータ40の相の数は、三相に限らず四相以上であってもよい。また、EPSモータ47の巻線組と対応するEPS用インバータ部との組み合わせについては、2組に限られず、3組以上であってもよい。
(ウ)上記実施形態では、定格電圧の異なる2つの電源の例として、48V系電源6および12V系電源7を用いているが、定格電圧の値はこれに限られない。例えば、一方の定格電圧が他方の2倍以上の値であることが好ましい。
(エ)上記実施形態において使用する半導体スイッチング素子221〜226、421〜426、431〜433は、第1電源である48V系電源6に合わせて設定されているが、本発明はこれに限られない。例えば、第2電源を48V系電源とし、第1電源をそれ以上の定格電圧の電源とする場合、第2電源に合わせて設定されていてもよい。この場合、第1電源と電源切り替え部との間にはコンバータ等を設けても良い。
(オ)上記実施形態において、EPS用モータ40、43の巻線組41、43の定格電圧は、12V系電源7に合わせて設定されているが、本発明はこれに限られず、48V系電源6に合わせて設定されていてもよい。
(カ)また、上記実施形態では、EPS用モータ40への電力供給源として、通常時には12V系電源7を用い、12V系電源7の異常時には48V系電源6を用いても良い。
【0066】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。また、本発明は、各実施形態を組み合わせて構成されるものも含む。
【符号の説明】
【0067】
20・・・モータジェネレータ(第1交流回転電機)
22・・・MG用インバータ部(第1インバータ部)
221〜226・・・MG用スイッチング素子
40・・・EPS用モータ(第2交流回転電機)
42・・・EPS用インバータ部(第2インバータ部)
421〜426・・・EPS用スイッチング素子
6・・・48V系電源(第1電源)
7・・・12V系電源(第2電源)
8・・・電源切替部(電源選択手段)
100、110、120・・・駆動システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8