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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227112(P2015-227112A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】給油用リテーナ
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20151120BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   B60K15/04 F
   B60K15/04 E
   F02M37/00 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-113114(P2014-113114)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】菊谷 一信
(72)【発明者】
【氏名】山本 征爾
(72)【発明者】
【氏名】棚田 弘美
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA15
3D038CB01
3D038CC14
3D038CD14
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でありながら給油ガンの挿入規制及び位置規制を実現することができ、かつ給油性を向上させることができる給油用リテーナを提供すること。
【解決手段】給油用リテーナ1は、燃料を燃料タンクに導くインレットパイプの給油側端部内に挿入配置される筒状の本体部2を備えている。本体部2には、その先端部202を構成すると共に軸方向に直交する断面が楕円形状の楕円部42と、楕円部42の先端から内方に折れ曲がって突出する爪部44とが設けられている。爪部44は、楕円部42の短径方向に対向する位置に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃料タンクに導くインレットパイプの給油側端部内に挿入配置される筒状の本体部を備え、
該本体部には、その先端部を構成すると共に軸方向に直交する断面が楕円形状の楕円部と、該楕円部の先端から内方に折れ曲がって突出する爪部とが設けられ、
該爪部は、少なくとも、前記楕円部の短径方向に対向する位置に設けられていることを特徴とする給油用リテーナ。
【請求項2】
車両上下方向に対する前記楕円部の長径方向の傾斜角は、75°以下であることを特徴とする請求項1に記載の給油用リテーナ。
【請求項3】
前記本体部は、その基端部を構成する第1部品と、該第1部品に固定され、前記楕円部及び前記爪部が設けられた第2部品とを備え、該第2部品は、巻きパイプで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給油用リテーナ。
【請求項4】
前記本体部の前記先端部には、前記本体部内に挿入された給油ガンのオートストップセンサを露出させるためのセンサ用切欠部と、該センサ用切欠部から切り欠かれ、エア抜きをするためのエア抜き用切欠部とが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の給油用リテーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油用リテーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等の燃料タンクにガソリン等の燃料を注入するためのフューエルインレットが知られている。一般に、フューエルインレット(フィラーパイプ)は、給油口から燃料タンクへ燃料を導くインレットパイプを備えている。そして、インレットパイプの給油側端部には、インレットパイプとは別体の給油用リテーナが配設されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、給油ガンのノズルの挿入を案内する筒状の給油用リテーナ(ノズルガイド)を設けた給油口構造が開示されている。この給油口構造は、給油用リテーナに凹設した一対の内方突部によって給油ガンのノズルの挿入を規制するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5200586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の給油口構造では、次のような問題があった。すなわち、筒状の給油用リテーナ(ノズルガイド)の内周面を内方に突出させて内方突部を形成するため、構造が複雑となっていた。また、給油ガンのノズルの径や内方突部の形状精度によって給油ガンのノズルの挿入位置(先端位置)が変化するおそれがあり、安定した給油性を十分に確保できないおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でありながら、給油ガンの挿入規制及び位置規制を実現することができ、かつ給油性を向上させることができる給油用リテーナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、燃料を燃料タンクに導くインレットパイプの給油側端部内に挿入配置される筒状の本体部を備え、該本体部には、その先端部を構成すると共に軸方向に直交する断面が楕円形状の楕円部と、該楕円部の先端から内方に折れ曲がって突出する爪部とが設けられ、該爪部は、少なくとも、前記楕円部の短径方向に対向する位置に設けられていることを特徴とする給油用リテーナにある。
【0008】
前記給油用リテーナにおいて、筒状の本体部には、その先端部を構成すると共に軸方向に直交する断面が楕円形状の楕円部が設けられている。そのため、楕円部において給油ガンの径による規制が可能となる。例えば、大径の有鉛ガソリン用給油ガン等の挿入を楕円部において規制できる。また、楕円部において給油ガンとの間に隙間を形成することができるため、給油時のエア抜きが可能となり、給油性を向上させることができる。
【0009】
また、本体部には、楕円部の先端から内方に折れ曲がって突出する爪部が設けられている。そのため、給油ガンの先端位置を爪部によって容易に規制できる。これにより、給油ガンの過挿入を防止すると共に、安定した給油が可能となる。また、爪部は、本体部の先端部分を折り曲げて形成できるため、プレス成形等を用いて容易に成形できると共に、その形状精度を高めることができる。
【0010】
また、爪部は、少なくとも、楕円部の短径方向に対向する位置に設けられている。そのため、楕円部の先端から内方に突出する長さをできるだけ短くしながら、給油ガンの先端位置の規制を確実に行うことができる。これにより、例えば爪部が給油ガンからの燃料の流れを阻害する等、爪部が給油時の障害となることを抑制できる。また、簡易な構造で給油ガンの位置規制を実現でき、材料費等のコスト低減、質量の低減も可能となる。
【0011】
このように、本発明によれば、簡易な構造でありながら、給油ガンの挿入規制及び位置規制を実現することができ、かつ給油性を向上させることができる給油用リテーナを提供することができる。
【0012】
前記給油用リテーナにおいて、車両上下方向に対する前記楕円部の長径方向の傾斜角は、75°以下であることが好ましい。すなわち、車両上下方向と楕円部の長径方向との間の角度(90°以下)が0°〜75°の範囲内であることが好ましい。この場合には、給油ガンを車両上下方向に対して斜めに挿入しても、給油ガンの姿勢が楕円部の長径方向において決まるため、給油ガンの姿勢のばらつきを抑制できる。これにより、給油時の給油ガンの姿勢(向き)を一定とすることができ、安定した給油が可能となる。
【0013】
また、前記本体部は、その基端部を構成する第1部品と、該第1部品に固定され、前記楕円部及び前記爪部が設けられた第2部品とを備え、該第2部品は、巻きパイプで構成されていてもよい。この場合には、本体部の先端部を構成し、楕円部及び爪部が設けられた第2部品を容易に製造することができる。また、給油用リテーナの全長が長くなり、従来の絞り加工等の方法では製造が困難な場合でも、給油用リテーナの一部(第2部品)を巻きパイプとすることにより、給油用リテーナの製造が容易となる。なお、巻きパイプとは、板材を筒状に巻いてその板材の一方の端縁部と他方の端縁部とを突き合わせて溶接等により接合したものをいう。
【0014】
また、前記本体部の前記先端部には、前記本体部内に挿入された給油ガンのオートストップセンサを露出させるためのセンサ用切欠部と、該センサ用切欠部から切り欠かれ、エア抜きをするためのエア抜き用切欠部とが形成されていてもよい。この場合には、センサ用切欠部において給油ガンのオートストップセンサを露出させることにより、給油完了時に給油ガンのオートストップセンサを確実に反応させ、給油時の燃料の吹き返しを防止することができる。また、エア抜き用切欠部において給油時のエア抜きが可能となり、給油性を向上させることができる。また、従来のように、本体部にエア抜き用の貫通孔を形成する必要がなく、構造の簡素化、製造の容易化を図ることができる。
【0015】
なお、前記給油用リテーナの前記本体部において、基端部とは、本体部における給油側の端部のことであり、先端部とは、本体部における給油側とは反対側(燃料タンク側)の端部のことである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1における、給油用リテーナを含むフューエルインレットの構造を示す説明図である。
図2図1のA−A線矢視断面図である。
図3】実施形態1における、給油用リテーナを示す斜視図である。
図4】実施形態1における、給油用リテーナのセンサ用切欠部側を示す斜視図である。
図5図1のB−B線矢視断面図である。
図6】実施形態2における、給油用リテーナのセンサ用切欠部側を示す斜視図である。
図7】その他の実施形態における、図5と同様の位置の矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1図5に示すように、本実施形態の給油用リテーナ1は、燃料を燃料タンクに導くインレットパイプ5の給油側端部内に挿入配置される筒状の本体部2を備えている。本体部2には、その先端部202を構成すると共に軸方向に直交する断面が楕円形状の楕円部42と、楕円部42の先端から内方に折れ曲がって突出する爪部44とが設けられている。爪部44は、楕円部42の短径方向E2に対向する位置に設けられている。以下、これを詳説する。
【0018】
図1図2に示すように、本実施形態の給油用リテーナ1は、フューエルインレットの一部を構成している。フューエルインレットは、自動車用の部品であって、燃料タンクに燃料を注入するために用いられるものである。フューエルインレットは、給油用リテーナ1、インレットパイプ5、ブリーザチューブ(図示略)等を備えている。
【0019】
インレットパイプ5は、給油口から燃料タンクへ燃料(ガソリン等)を導くための燃料供給経路を形成する円筒状のパイプであり、本実施形態では金属製である。インレットパイプ5の給油側端部、つまり燃料供給経路の上流側となる端部(上流端部)には、拡径された注入部51が形成されている。注入部51の上流端部外周には、エアフィルタ(図示略)が設けられている。
【0020】
ブリーザチューブは、燃料タンク内の燃料蒸気を含む空気、いわゆるベーパーをインレットパイプ5の上流側へ導き、燃料タンクの内圧を低減させるためのエア抜き経路を形成する円筒状のパイプであり、本実施形態では金属製である。ブリーザチューブは、その先端部がインレットパイプ5を貫通した状態で、インレットパイプ5に接続されており、例えばロウ付けにより固定されている。
【0021】
図1図3に示すように、インレットパイプ5の注入部51には、インレットパイプ5とは別部品の給油用リテーナ1が設けられている。給油用リテーナ1は、給油ガン6のノズル61が挿入される筒状部品であり、本実施形態では金属製である。給油用リテーナ1は、インレットパイプ5の注入部51内に挿入配置される筒状の本体部2を備えている。
【0022】
本体部2は、その一部がインレットパイプ5の注入部51内に挿入された状態で、溶接等により固定されている。また、本体部2は、2つの別々の部品である第1部品21及び第2部品22から構成されている。第1部品21は、本体部2の基端部201を含む基端側部分を構成しており、第2部品22は、本体部2の先端部202を含む先端側部分を構成している。
【0023】
第1部品21は、両端部211、212に開口が形成された筒状の部品であり、絞り加工により形成されている。第1部品21は、所定の強度が要求される給油口部分を構成する部品であるため、インレットパイプ5等と比較して板厚の厚い材料(例えば板厚1.2mmのステンレス製の板材)で形成されている。
【0024】
第1部品21の外径は、その軸方向に応じて異なるが、それら各外径の中心軸の位置は一定(同軸)である。具体的には、第1部品21において、燃料供給経路の上流側となる端部(上流端部)211には、注入部51の内径よりも外径の大きい部分が形成されている。上流端部211は、注入部51の外側に露出した状態で配置され、給油ガン6のノズル61を挿入するための給油口を形成する。また、上流端部211の内周面には、給油キャップ(図示略)を脱着するための脱着機構であるネジ部(螺旋係合部)31が形成されている。このネジ部31は、給油ガン6挿入時において給油ガン6(ノズル61)をラッチング(係止)する役割を果たす。
【0025】
一方、第1部品21において、燃料供給経路の下流側となる端部(下流端部)212は、その外径が注入部51の内径よりも小さい円筒状に形成されている。下流端部212の端面は、全周に渡って平坦に(軸方向に直交する平面で切断された形に)形成されている。
【0026】
また、第1部品21において、上流端部211及び下流端部212の間に挟まれた中央部213は、注入部51の内径に対応した(例えば注入部51の内径と同じ又はやや小さい寸法の)外径の円筒状に形成されている。そして、中央部213は、注入部51に挿入され、注入部51の上流端部において全周に渡って隙間がないように溶接等により注入部51に固定されている。
【0027】
第2部品22は、両端部221、222に開口が形成された筒状の部品であり、巻きパイプで構成されている。第2部品22は、ステンレス製の板材を筒状に巻き、その板材の一方の端縁部と他方の端縁部とを突き合わせ、その突き合わせ部41を溶接して接合されている。なお、本実施形態では、第2部品22は、第1部品21と板厚及び材質が同じ材料で形成されている。
【0028】
第2部品22において、燃料供給経路の上流側となる端部(上流端部)221は、第1部品21における下流端部212の外径に対応した(例えば下流端部212の外径と同じ又はやや大きい寸法の)内径の円筒状に形成されている。
【0029】
一方、第2部品22において、燃料供給経路の下流側となる端部(下流端部)222には、軸方向に直交する断面が楕円形状の楕円部42が形成されている。楕円部42は、本体部2の先端部202を構成している。
【0030】
図5に示すように、楕円部42の内周面の形状(内周形状)は、楕円形状であり、その楕円において長径D1>短径D2である。短径D2は、給油ガン6のノズル61の外径よりもやや大きい(多少の余裕が生じる程度の)寸法に設定されている。ただし、短径D2は、有鉛ガソリン用給油ガンのノズルの外径よりも小さく設定されている。
【0031】
また、車両上下方向Xに対する楕円部42の長径方向E1の傾斜角α(図示略)は、75°以下に設定されている。本実施形態において、傾斜角αは、0°である。すなわち、楕円部42の長径方向E1は、車両上下方向Xと同じ方向である。また、楕円部42の短径方向E2は、車両上下方向Xと直交する方向である。
【0032】
また、図3図5に示すように、第2部品22の下流端部222(本体部2の先端部202)には、その内周面を第2部品22の下流端(本体部2の先端)に向かって径方向内側に傾斜させたテーパ部43が設けられている。テーパ部43は、給油ガン6のノズル61を案内すると共にノズル61先端の向きを第2部品22の下流端部222の開口(本体部2の先端部202の開口)に向け、給油性を高める役割を果たす。なお、テーパ部43は、周方向全周に渡って形成されているわけではなく、その一部において形成されている。もちろん、周方向全周に渡って形成されていてもよい。
【0033】
また、第2部品22の下流端部222(本体部2の先端部202)には、楕円部42の先端から内方に折れ曲がって突出する一対の爪部44が設けられている。一対の爪部44は、楕円部42の短径方向E2に対向する位置に設けられている。爪部44は、本体部2の先端部分をプレス成形によって折り曲げて形成されている。
【0034】
また、図3図4に示すように、第2部品22の下流端部222(本体部2の先端部202)には、第2部品22の下流端(本体部2の先端)から切り欠かれ、給油ガン6のノズル61に配設されたオートストップセンサ62を露出させるためのセンサ用切欠部45が形成されている。オートストップセンサ62は、燃料が一定量を超えたときに給油ガン6のノズル61からの燃料の供給を停止するためのものである。
【0035】
また、第2部品22において、上流端部221及び下流端部222の間に挟まれた中央部223は、その内径が上流端部221の内径よりも小さく、下流端部222の内径よりも大きく円筒状に形成されている。中央部223には、上流端部221から下流端部222に向かって徐々に径(内径及び外径)が小さくなる縮径部46が形成されており、挿入された給油ガン6のノズル61を案内する役割を果たす。
【0036】
また、図3に示すように、第2部品22の中央部223には、ブリーザチューブからインレットパイプ5の上流側へ供給されたベーパーを通過させて外部へ排出されるようにするための複数のエア抜き孔47が形成されている。ブリーザチューブからのベーパーは、インレットパイプ5において、給油用リテーナ1よりも燃料供給経路の下流側へ供給されるため、外部へ排出されるためには、給油用リテーナ1を通過する(通り抜ける)必要がある。エア抜き孔47は、その際のベーパーの通過経路を形成するものである。
【0037】
また、図1図2に示すように、第2部品22は、第1部品21に固定されており、第1部品21と共に本体部2(給油用リテーナ1)を構成している。具体的には、第2部品22の上流端部221が、第1部品21の下流端部212を外側から覆うように装着され、溶接等(例えばスポット溶接)により固定されている。これにより、給油ガン6のノズル61を挿入する際に、第1部品21と第2部品22との固定部分においてノズル61の引っ掛かりを防止し、ノズル61を円滑に挿入することができる。
【0038】
次に、本実施形態の給油用リテーナ1の作用効果について説明する。
本実施形態の給油用リテーナ1において、筒状の本体部2には、その先端部202を構成すると共に軸方向に直交する断面が楕円形状の楕円部42が設けられている。そのため、楕円部42において給油ガン6(ノズル61)の径による規制が可能となる。例えば、大径の有鉛ガソリン用給油ガン等の挿入を楕円部42において規制できる。また、楕円部42において給油ガン6との間に隙間を形成することができるため、給油時のエア抜きが可能となり、給油性を向上させることができる。
【0039】
また、本体部2には、楕円部42の先端から内方に折れ曲がって突出する爪部44が設けられている。そのため、給油ガン6(ノズル61)の先端位置を爪部44によって容易に規制できる。これにより、給油ガン6(ノズル61)の過挿入を防止すると共に、安定した給油が可能となる。また、爪部44は、本体部2の先端部分を折り曲げて形成できるため、プレス成形等を用いて容易に成形できると共に、その形状精度を高めることができる。
【0040】
また、爪部44は、楕円部42の短径方向E2に対向する位置に設けられている。そのため、楕円部42の先端から内方に突出する長さをできるだけ短くしながら、給油ガン6(ノズル61)の先端位置の規制を確実に行うことができる。これにより、例えば爪部44が給油ガン6からの燃料の流れを阻害する等、爪部44が給油時の障害となることを抑制できる。また、簡易な構造で給油ガン6の位置規制を実現でき、材料費等のコスト低減、質量の低減も可能となる。
【0041】
また、本実施形態の給油用リテーナ1において、車両上下方向Xに対する楕円部42の長径方向E1の傾斜角αは、75°以下である。本実施形態では、0°である。すなわち、楕円部42の長径方向E1と車両上下方向Xとが同じ方向である。そのため、給油ガン6を車両上下方向Xに対して斜めに挿入しても、給油ガン6の姿勢が楕円部42の長径方向E1において決まるため、給油ガン6の姿勢のばらつきを抑制できる。これにより、給油時の給油ガン6の姿勢(向き)を一定とすることができ、安定した給油が可能となる。
【0042】
また、本体部2は、その基端部201を構成する第1部品21と、第1部品21に固定され、楕円部42及び爪部44が設けられた第2部品22とを備え、第2部品22は、巻きパイプで構成されている。そのため、本体部2の先端部202を構成し、楕円部42及び爪部44が設けられた第2部品22を容易に製造することができる。また、給油用リテーナ1の全長が長くなり、従来の絞り加工等の方法では製造が困難な場合でも、給油用リテーナ1の一部(第2部品22)を巻きパイプとすることにより、給油用リテーナ1の製造が容易となる。
【0043】
また、本体部2の先端部202には、本体部2内に挿入された給油ガン6のオートストップセンサ62を露出させるためのセンサ用切欠部45が形成されている。そのため、センサ用切欠部45において給油ガン6のオートストップセンサ62を露出させることにより、給油完了時に給油ガン6のオートストップセンサ62を確実に反応させ、給油時の燃料の吹き返しを防止することができる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、簡易な構造でありながら、給油ガン6の挿入規制及び位置規制を実現することができ、かつ給油性を向上させることができる給油用リテーナ1を提供することができる。
【0045】
(実施形態2)
本実施形態は、図6に示すように、給油用リテーナ1の本体部2、具体的には第2部品22の構成を変更した例である。
【0046】
同図に示すように、第2部品22の下流端部222(本体部2の先端部202)には、センサ用切欠部45が形成されていると共に、センサ用切欠部45から切り欠かれ、エア抜きをするためのエア抜き用切欠部48が形成されている。また、第2部品22の中央部223には、実施形態1のエア抜き孔47(図1図3参照)が形成されていない。その他の基本的な構成は、実施形態1と同様である。
【0047】
本実施形態の場合、本体部2の先端部202には、本体部2内に挿入された給油ガン6のオートストップセンサ62を露出させるためのセンサ用切欠部45と、センサ用切欠部45から切り欠かれ、エア抜きをするためのエア抜き用切欠部48とが形成されている。そのため、実施形態1と同様に、センサ用切欠部45において給油ガン6のオートストップセンサ62を露出させることにより、給油完了時に給油ガン6のオートストップセンサ62を確実に反応させ、給油時の燃料の吹き返しを防止することができる。さらに、エア抜き用切欠部48において給油時のエア抜きが可能となり、給油性を向上させることができる。また、従来のように、本体部2にエア抜き用の貫通孔であるエア抜き孔47(図1図3参照)を形成する必要がなく、構造の簡素化、製造の容易化を図ることができる。その他の基本的な作用効果は、実施形態1と同様である。
【0048】
なお、本実施形態では、エア抜き用切欠部48を設け、実施形態1のエア抜き孔47(図1図3参照)を設けない構成としたが、例えば、これらを両方とも設ける構成としてもよい。
【0049】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0050】
(1)前記実施形態では、図5に示すように、車両上下方向Xに対する楕円部42の長径方向E1の傾斜角α(図示略)が0°である、すなわち楕円部42の長径方向E1が車両上下方向Xと同じ方向であるが、図7に示すように、車両上下方向Xに対して楕円部42の長径方向E1が傾斜していてもよく、その傾斜角αが75°以下であればよい。
【0051】
(2)前記実施形態では、図5等に示すように、楕円部42は、本体部2の先端部202に設けられているが、例えば、これに加えてさらに他の部分に、軸方向に直交する断面が楕円形状の部分を設けてもよい。
【0052】
(3)前記実施形態では、図5等に示すように、爪部44は、楕円部42の短径方向E2に対向する位置に一対設けられているが、例えば、これに加えてさらに他の位置に爪部を設けてもよい。ただし、爪部が給油ガンから供給される燃料の流れを阻害しない位置に設けることが好ましい。
【0053】
(4)前記実施形態では、図1等に示すように、本体部2は、第1部品21と第2部品22との2つの部品で構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部を1つの部品で構成してもよいし、3つ以上の部品で構成してもよい。
【0054】
(5)本発明の各構成要素は概念的なものであり、前記実施形態に限定されない。例えば、1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、前記実施形態の構成の少なくとも一部を同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…給油用リテーナ
2…本体部
202…先端部
42…楕円部
44…爪部
5…インレットパイプ
E2…短径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7