特開2015-227184(P2015-227184A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227184(P2015-227184A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20151120BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20151120BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   B65D47/34 B
   B65D83/00 K
   B05B11/00 101G
   B05B11/00 101K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-113177(P2014-113177)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PD11
3E014PE06
3E014PE09
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FB02
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LC06
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】使用開始時において、下部弁体がステムとともに上昇するのを抑制できる吐出器を提供する。
【解決手段】ポンプ4は、内側にステム6が上方に向けて立設されたシリンダ10と、ステム6に連係するとともにシリンダ10内に上下摺動可能に嵌合されたピストン11と、ステム6内に離脱可能に嵌合され、かつシリンダ10の下連通口10aを開閉する下部弁体13と、シリンダ10の上端部に装着されるとともに、下降端位置P1に位置する押下ヘッド5が螺着され、押下ヘッド5及びステム6の上方移動を規制する規制筒12と、を備え、シリンダ10の内周面には、下部弁体13に係合する係合部77が形成され、下部弁体13をシリンダ10に対して上昇させ、係合部77を上方に乗り越えさせるのに要する力が、下部弁体13をステム6から下方に離脱させるのに要する力よりも大きくなっていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、
前記装着キャップに、上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、
前記ステムの上端に装着されるとともに、吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、
前記ポンプは、
前記装着キャップによって前記容器本体の前記口部内に挿入された状態で保持されるとともに、内側に前記ステムが上方に向けて立設されたシリンダと、
前記ステムに連係するとともに前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、
前記ステム内に離脱可能に嵌合され、かつ前記シリンダの下端開口を開閉する下部弁体と、
前記シリンダの上端部に装着されるとともに、下降端位置に位置する前記押下ヘッドが螺着され、前記押下ヘッド及び前記ステムの上方移動を規制する規制筒と、を備え、
前記シリンダの内周面には、前記下部弁体に係合する係合部が形成され、
前記下部弁体を前記シリンダに対して上昇させ、前記係合部を上方に乗り越えさせるのに要する力が、前記下部弁体を前記ステムから下方に離脱させるのに要する力よりも大きくなっていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
前記下部弁体は、前記シリンダの下端開口縁上に離反可能に着座して、前記シリンダの下端開口部を開閉する弁本体を備え、
前記ステム及び前記下部弁体を相対的に前記ステムの軸線回りに回転移動させるのに要する回転トルクが、前記シリンダ及び前記下部弁体を相対的に軸線回りに回転移動させるのに要する回転トルクよりも高くなっていることを特徴とする請求項1記載の吐出器。
【請求項3】
前記係合部は、前記シリンダの内周面から径方向の内側に向けて突出し、
前記下部弁体は、
前記ステム内に嵌合される小径部と、
前記小径部の下方に配設されるとともに、前記小径部よりも径方向の外側に張り出す張出部と、を備え、
前記張出部は、外周面が前記シリンダの内周面に当接若しくは近接し、かつ上端面が前記係合部に対して下方に離間していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吐出器。
【請求項4】
前記係合部は、前記シリンダの内周面から径方向の内側に向けて突出し、
前記係合部のうち、頂部に上方から連なる部分は、上方から前記頂部に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けた突出量が高くなっていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出器として、容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備えた構成が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。上述したポンプは、ステムが連係するピストンと、ピストンが上下摺動可能に嵌合されたシリンダと、シリンダの下端開口を開閉する下部弁体と、を主に備えている。
【0003】
上述した吐出器では、押下ヘッドの押下によりステムを下方に移動させることで、シリンダに対してピストンを下降させることができるので、シリンダ内に位置する内容物をステム内に流入させた後、吐出孔を通じて外部に吐出することができる。
【0004】
ところで、吐出器では、未使用時、押下ヘッド及びステムが下降端位置で固定されている。例えば、上述した押下ヘッドは、シリンダの上端部に配設されたねじ筒部に装着されることで、未使用時、押下ヘッド及びステムが下降端位置で固定され、シリンダに対する上方移動が規制されている。また、下降端位置において、ステムの下端部内には下部弁体の上端部が嵌合されており、ステム内とシリンダの下端開口との連通が遮断されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−232228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述した吐出器の使用開始時には、押下ヘッドをねじ筒部に対して軸線回りに回転させてねじ筒部に対する押下ヘッドの螺着を解除し、押下ヘッド及びステムを上方移動させる必要がある。
しかしながら、ねじ筒部に対する押下ヘッドの螺着を解除して、押下ヘッド及びステムがねじ筒部に対して上方移動する際、下部弁体がステムから離脱せず、ステムとともに上昇するおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、使用開始時において、下部弁体がステムとともに上昇するのを抑制できる吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出器は、容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、前記装着キャップに、上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端に装着されるとともに、吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、前記ポンプは、前記装着キャップによって前記容器本体の前記口部内に挿入された状態で保持されるとともに、内側に前記ステムが上方に向けて立設されたシリンダと、前記ステムに連係するとともに前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、前記ステム内に離脱可能に嵌合され、かつ前記シリンダの下端開口を開閉する下部弁体と、前記シリンダの上端部に装着されるとともに、下降端位置に位置する前記押下ヘッドが螺着され、前記押下ヘッド及び前記ステムの上方移動を規制する規制筒と、を備え、前記シリンダの内周面には、前記下部弁体に係合する係合部が形成され、前記下部弁体を前記シリンダに対して上昇させ、前記係合部を上方に乗り越えさせるのに要する力が、前記下部弁体を前記ステムから離脱させるのに要する力よりも大きくなっていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、吐出器を使用するにあたって、押下ヘッドを規制筒に対して軸線回りに回転させ、押下ヘッドの規制筒に対する螺着を解除することにより、押下ヘッドを規制筒から離脱させることができ、ステムに対する上方付勢力を利用してステム及び押下ヘッドを上方移動させることができる。その結果、押下ヘッド及びステムを押下可能な状態(上昇端位置)に移行させることができ、それ以降、内容物の吐出を行うことができる。
【0010】
ここで、下部弁体をシリンダに対して上昇させ、係合部を上方に乗り越えさせるのに要する力が、下部弁体をステムから下方に離脱させるのに要する力よりも大きくなっているため、押下ヘッド及びステムを上述した下降端位置から上昇端位置に移行する過程において、下部弁体をステムから下方に離脱させた状態で、上昇端位置に移行させることができる。すなわち、押下ヘッドを規制筒から離脱させた後、ステムに対する上方付勢力を利用してステムが押下ヘッドとともに上昇する際、下部弁体がステムとともに上昇したとしても、下部弁体が係合部の下側に係合して、下部弁体の上昇が規制されることになる。これにより、使用開始時において、下部弁体が係合部を上方に乗り越え、ステムとともに上昇するのを抑制し、下部弁体をステムから確実に離脱させることができる。
また、下部弁体をステムから確実に離脱させることができるので、ステムを上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材が、ステムと下部弁体とにより軸線方向に挟まれている場合には、例えばステムに作用する上方付勢力を小さくし、吐出操作時における押下ヘッドの押下力を小さく抑えることできるので、吐出器の操作性を高めることもできる。
【0011】
(2)前記下部弁体は、前記シリンダの下端開口縁上に離反可能に着座して、前記シリンダの下端開口部を開閉する弁本体を備え、前記ステム及び前記下部弁体を相対的に前記ステムの軸線回りに回転移動させるのに要する回転トルクが、前記シリンダ及び前記下部弁体を相対的に軸線回りに回転移動させるのに要する回転トルクよりも高くなっていてもよい。
【0012】
この場合には、弁本体とシリンダの下端開口縁との間で内容物が固化し、この固化した内容物により両者が密着したとしても、押下ヘッドを規制筒に対して軸線回りに回転させたときに、下部弁体がステムとともにシリンダに対して周方向に回転することになる。その結果、弁本体とシリンダの下端開口縁との密着を解除することができ、使用段階において弁本体の開閉操作を確実に行わせることができる。
【0013】
(3)前記係合部は、前記シリンダの内周面から径方向の内側に向けて突出し、前記下部弁体は、前記ステム内に嵌合される小径部と、前記小径部の下方に配設されるとともに、前記小径部よりも径方向の外側に張り出す張出部と、を備え、前記張出部は、外周面が前記シリンダの内周面に当接若しくは近接し、かつ上端面が前記係合部に対して下方に離間していてもよい。
【0014】
この場合には、係合部が張出部の上端面に対して上方に間隔をあけて配設されているため、下部弁体の小径部がステム内に嵌合された状態で、押下ヘッドを規制筒に対して回転させたときに、下部弁体をステムとともに、シリンダに対して周方向に確実に回転させることが可能になる。その結果、弁本体とシリンダの下端開口縁との密着を確実に解除できる。
【0015】
(4)前記係合部は、前記シリンダの内周面から径方向の内側に向けて突出し、前記係合部のうち、頂部に上方から連なる部分は、上方から前記頂部に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けた突出量が高くなっていてもよい。
【0016】
この場合には、係合部のうち、係合部の頂部に上方から連なる部分が頂部に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けた突出量が高くなっているため、吐出器の組み付け時において、シリンダの上端開口部から下部弁体を挿入する際、係合部を簡単に下方に乗り越えさせ、下部弁体の組付性を向上させることができる。また、組み付け時において、下部弁体によって係合部が径方向の外側に向けて潰されるのを抑制できるので、使用開始時において、下部弁体が係合部を上方に乗り越えるのを確実に抑制できる。その結果、下降端位置から上昇端位置に移行する過程において、下部弁体をステムから確実に離脱させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の吐出器によれば、使用開始時において、下部弁体がステムとともに上昇するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る吐出器の実施形態を示す図であって、押下ヘッド及びステムが下降端位置に位置している状態を示す半縦断面図である。
図2図1に示す状態から、押下ヘッド及びステムが上昇端位置に位置した状態を示す図である。
図3図1のA部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る吐出器の実施形態について図面を参照して説明する。
図1図2に示すように、本実施形態の吐出器1は、内容物が収容される容器本体2の口部2aに装着される有頂筒状の装着キャップ3と、装着キャップ3に上方付勢状態で上下動可能に貫設された筒状のステム6を有するポンプ4と、ステム6の上端に装着されるとともに吐出孔5aが形成された押下ヘッド5と、を備えている。
【0020】
吐出器1は、未使用段階では、図1に示すようにステム6及び押下ヘッド5が下降端位置P1に位置し、かつ押下ヘッド5が後述する規制筒12に螺着して保持されることで、装着キャップ3に対する上方移動が規制されている。一方、使用段階では、図2に示すように、ステム6及び押下ヘッド5は上昇端位置P2に位置して、吐出操作のための待機状態を維持している。
【0021】
なお、容器本体2及び装着キャップ3は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を軸線Oといい、軸線Oに沿った押下ヘッド5側を上側、その反対側を下側という。また、軸線O方向から見た平面視において、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0022】
装着キャップ3は、環状の天壁部3aを有する有頂筒状に形成され、容器本体2の口部2aに螺着されている。天壁部3aは、後述するシリンダ10のフランジ部20、及び容器本体2の口部2aの上端開口縁上に配置され、シリンダ10の上方への抜けを防止している。
【0023】
ポンプ4は、上述した装着キャップ3によって容器本体2の口部2a内に挿入された状態で保持されるとともに、その内側にステム6が軸線O方向に向けて立設されたシリンダ10と、ステム6に連係するとともにシリンダ10内に上下摺動可能に嵌合されたピストン11と、シリンダ10の上端部に装着されるとともに、押下ヘッド5を下降端位置P1で保持する規制筒12と、を備えている。
さらに、ポンプ4は、シリンダ10内に配設され、シリンダ10の下連通口10a(下端開口)を開閉する下部弁体13と、ステム6を上方に向けて付勢する付勢部材14と、を備えている。
【0024】
シリンダ10は、装着キャップ3の内側に配設された環状のフランジ部20と、フランジ部20の内周縁から下方に向けて延設された直筒部21と、直筒部21の下端縁から下方に向けて延設された吸込み筒部22と、フランジ部20の内周縁から上方に向けて延設された突出筒部23と、を備えている。
【0025】
フランジ部20は、直筒部21の上端縁(突出筒部23の下端縁)から径方向の外側に向けて突出し、直筒部21の全周に亘って環状に形成されている。フランジ部20は、パッキン19を介して容器本体2の口部2aの上端開口縁上に配置されている。
【0026】
直筒部21の上部には、直筒部21を径方向に貫通する空気孔25が形成されている。直筒部21の下端部(吸込み筒部22との境界部分)には、径方向の内側に向けて突設された環状の下弁座部(下端開口縁)26が形成されている。なお、下弁座部26の内側が、シリンダ10内と容器本体2内とを連通させる上述した下連通口10aを構成している。
【0027】
吸込み筒部22内には、容器本体2内の内容物を吸い上げるチューブ体27が嵌合されている。チューブ体27は、上端縁が下弁座部26に下方から当接している。
突出筒部23の内周面には、軸線O方向に沿って延びる第1縦リブ23aが周方向に間隔をあけて形成されている。
【0028】
規制筒12は、シリンダ10の突出筒部23内に嵌合された内筒部30と、突出筒部23に外嵌されるとともに、上端が内筒部30の上端に連結された外筒部31と、外筒部31を径方向の外側から囲繞するとともに、上端が外筒部31の上端に連結されたねじ筒部32と、内筒部30に対して径方向の内側に位置するとともに、上端が内筒部30の上端に連結されたガイド筒部33と、を備えている。
【0029】
ねじ筒部32は、上部側よりも下部側の方が拡径した2段筒状に形成され、上部側の外周面に雄ねじ部32aが形成されている。ねじ筒部32の下端は、装着キャップ3の天壁部3aよりも上方に、天壁部3aとの間に隙間をあけた状態で配置されている。
【0030】
なお、内筒部30の外周面には、軸線O方向に沿って延在する第2縦リブ30aが形成されている。この第2縦リブ30aは、シリンダ10における突出筒部23に形成された上述した第1縦リブ23aに周方向で係合している。これにより、規制筒12は、シリンダ10に対して回り止めがされた状態で、シリンダ10に対して一体的に装着されている。但し、回り止めの構成は、上述した構成に限定されるものではない。
【0031】
ガイド筒部33は、下端縁がシリンダ10のフランジ部20よりも下方に位置しており、規制筒12に対するステム6及び押下ヘッド5の上下動を案内する。なお、ガイド筒部33と内筒部30との間には、軸線O方向に延びる連結壁34が周方向に間隔をあけて配設されており、これら連結壁34を介してガイド筒部33及び内筒部30が一体的に連結されている。
【0032】
本実施形態において、ステム6及びピストン11は、一体に形成されている。
ピストン11は、シリンダ10における直筒部21内に上下摺動可能に配設されている。ピストン11は、上端部が上方に向かうに従い漸次拡径し、下端部が下方に向かうに従い漸次拡径している。そして、ピストン11の上端及び下端は、シリンダ10における直筒部21の内周面に周方向の全周に亘って例えば液密に摺接している。
【0033】
ステム6は、ピストン11に連結された大径部40と、大径部40の上方に連結段部41を介して連設された小径部42と、小径部42よりもさらに縮径するとともに、小径部42の上端から上方に向けて延びる立ち上がり筒部43と、を備えている。
【0034】
大径部40の外径は、ピストン11の内径よりも小さく形成されている。大径部40の下端は、ピストン11における軸線O方向の中間部に径方向の内側から連結されている。
連結段部41は、ステム6及び押下ヘッド5が上昇端位置P2(図2参照)に位置した際、上述したガイド筒部33の下端縁に下方から接触する。これにより、規制筒12に対するステム6及び押下ヘッド5のそれ以上の上方移動が規制されている。
【0035】
小径部42は、外径が規制筒12のガイド筒部33内を上下動可能な大きさとされ、内径が大径部40の内径と同等とされている。
小径部42と立ち上がり筒部43との連結部分には、環状の上弁座部46が配設されている。上弁座部46は、軸線O方向に沿う縦断面視において、径方向の内側に向かうに従い漸次、下方に向けて傾斜している。そして、上弁座部46の内側が、ステム6内と押下ヘッド5内とを連通する上連通口6aを構成している。立ち上がり筒部43内には、上弁座部46に上方から離反可能に着座する上部弁体45が配設されている。図示の例において、上部弁体45は、球状を呈し、上弁座部46の上面に着座して上連通口6aを閉塞している。
【0036】
上述した空気孔25は、シリンダ10の直筒部21において、ステム6の大径部40が配設されている部分よりも上方に位置する部分に形成されている。また、シリンダ10内におけるピストン11上には、ステム6とシリンダ10との間に画成されるとともに空気孔25が開口する環状空間70が設けられている。
さらに、空気孔25はステム6に形成された連通路71を通して外部に連通している。この連通路71は、ステム6における小径部42の外周面及び連結段部41の上面に亘って形成され、軸線O方向に沿う縦断面視でL字状を呈し、環状空間70を介して空気孔25に連通している。なお、図示の例において、連通路71は、小径部42の外周面において、軸線O方向の全体に亘って形成されるとともに、連結段部41の上面において、径方向の全体に亘って形成されている。
【0037】
下部弁体13は、シリンダ10内の加圧時に、シリンダ10の下連通口10aを閉塞した状態に維持し、且つシリンダ10内の減圧時に、シリンダ10の下連通口10aを開放する逆止弁とされている。なお、下部弁体13は、軸線O回りに回転可能にシリンダ10内に支持されている。
【0038】
具体的に、下部弁体13は、ステム6内に嵌合された有底筒状の小径部51と、上述した下弁座部26上に配設された下環部52と、小径部51及び下環部52間を連結する連結部53と、下環部52の内側に配設され、下連通口10aを開閉する弁本体50と、を備えている。なお、図示の例において、小径部51及び下環部52は、軸線Oと同軸状に配置されている。
【0039】
小径部51は、下環部52よりも小径とされ、その筒部の上端部がステム6の下端部内に離脱可能に嵌合されている。小径部51の底壁部には、軸線Oに沿って延びる軸部51aが立設されている。軸部51aの上端は、小径部51の上端縁よりも下方に位置している。
【0040】
連結部53は、軸線O方向から見た平面視において、シリンダ10(直筒部21)の内周面に倣って周方向に沿って湾曲しているとともに、軸線Oを径方向で挟んで一対配設されている。具体的に、各連結部53は、小径部51の下端縁から下方に向けて延設された縦壁部56と、縦壁部56の下端縁から連設されるとともに、径方向の外側に向けて張り出す張出部57と、を備えている。
【0041】
一対の連結部53のうち、縦壁部56同士の間には、軸線O方向に延在する仕切り壁部59が配設されている。仕切り壁部59は軸線O上に配置されるとともに、仕切り壁部59の表裏面は軸線O方向及び径方向の両方向に沿って延在している。具体的に、仕切り壁部59は、上端縁が小径部51(底壁部)の下面に連結され、両側端は縦壁部56において径方向の内側を向く内面に各別に連結されている。
【0042】
張出部57は、その下端縁が上述した下環部52に一体に連結されている。また、張出部57は、直筒部21内に挿入され、外周面が直筒部21の内周面に近接している。この場合、上述したステム6及び下部弁体(小径部51)を相対的に軸線O回りに回転移動させるのに要する回転トルクは、シリンダ10(直筒部21)及び下部弁体(張出部57)を相対的に軸線O周りに回転移動させるのに要する回転トルクよりも高くなっている。したがって、下降端位置P1で、かつ下部弁体13の小径部51がステム6内に嵌合された状態において、下部弁体13は、ステム6の回転に伴いシリンダ10に対して共回りするように構成されている。なお、張出部57は、直筒部21内に嵌合され、外周面が直筒部21の内周面に当接していてもよい。さらに、直筒部21に径方向の内側に向けて突出する図示しないリブを形成し、このリブが張出部57の外周面が当接する構成にしても構わない。
下環部52は、外周面が張出部57の外周面及び内周面と面一に配置されるとともに、各張出部57の下端縁同士を接続している。
【0043】
弁本体50は、軸線Oと同軸に配置された円板状を呈し、下弁座部26に離反可能に着座して下連通口10aを閉塞している。弁本体50の外周面と、下環部52の内周面と、の間には、下環部52に対して弁本体50を弾性変位可能に連結する弾性連結片55が、周方向に間隔をあけて配設されている。
【0044】
付勢部材14は、下部弁体13の上述した縦壁部56に外挿され、ステム6を上方に向けて付勢している。具体的に、付勢部材14は、ピストン11の大径部40と、下部弁体13における張出部57の上端面と、の間に介在し、ステム6及び下部弁体13を軸線O方向で離間させる方向に付勢している。
【0045】
また、上弁座部46と下弁座部26との間は、ステム6の小径部42及び大径部40、ピストン11、シリンダ10の直筒部21の各内部に亘って延在し、内容物が収容される収容室Rとされている。そして、上述した下部弁体13を具備していることで、シリンダ10内の加圧時に、収容室R内の内容物が下連通口10aを通して容器本体2内に戻ることが規制され、かつシリンダ10内の減圧時に、容器本体2内の内容物が下連通口10aを通して収容室R内に流入することが許容されている。
【0046】
押下ヘッド5は、有頂筒状の本体筒部60と、本体筒部60の頂壁部60aから下方に向けて延設され、ステム6の上端部に装着される装着筒部61と、本体筒部60から径方向の外側に突出するとともに内部が装着筒部61内に連通し、先端に吐出孔5aが形成されたノズル部62と、を備えている。なお、本体筒部60及び装着筒部61は軸線Oと同軸に配設されている。
【0047】
周壁部60bにおける下端部内周面には、規制筒12のねじ筒部32に螺着される雌ねじ部60cが形成されている。本体筒部60は、下降端位置P1(図1参照)において、規制筒12に螺着され、上昇端位置P2において、規制筒12との螺着が解除されている。
【0048】
装着筒部61は、本体筒部60の下端縁よりも下方に向けて延びており、ステム6の立ち上がり筒部43に外嵌されている。なお、装着筒部61と本体筒部60の周壁部60bとの間には、軸線O方向及び径方向の両側に沿って延在する補強壁部63が、周方向に間隔をあけて複数配設されている。この補強壁部63によって、本体筒部60の周壁部60bと装着筒部61とが一体に連結されている。
【0049】
ここで、図1図3に示すように、シリンダ10の直筒部21のうち、ピストン11よりも下方に位置する部分には、下部弁体13の張出部57に上方から係合する係合部77が径方向の内側に向けて突設されている。係合部77は、軸線O方向に沿う縦断面視において、上方及び下方から軸線O方向の内側に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて延びる(径方向の内側に向けた突出量が高くなる)三角形状を呈している。また、係合部77は、直筒部21の内周面において、全周に亘って延びる環状とされている。なお、係合部77は、周方向に間欠的に配設しても構わない。
【0050】
係合部77は、その頂部が張出部57の外周面よりも径方向の内側に位置しているとともに、張出部57の上端面に対して上方に間隔をあけて配設されている。また、係合部77のうち、頂部に対して上方から連なる上裾野部は、頂部に対して下方から連なる下裾野部に比べて軸線O方向に沿う長さが長くなっている。すなわち、上裾野部は、直筒部21の内周面とのなす勾配が下裾野部に比べて小さくなっている。
【0051】
そして、下降端位置P1から上昇端位置P2に移行する過程において、下部弁体13の張出部57に係合部77が上方から係合することで、張出部57が係合部77を上方に乗り越えるのに要する力(係合力)が、下部弁体(小径部51)をステム6から下方に離脱させるのに要する力(嵌合力)よりも大きくなっている。
【0052】
次に、上述した吐出器1を使用する場合について説明する。
吐出器1を使用するにあたって、まず押下ヘッド5及びステム6を図1に示す下降端位置P1から図2に示す上昇端位置P2に移行させる。具体的には、押下ヘッド5を周方向の一端側(押下ヘッド5と規制筒12との螺着を解除する方向)に向けて回転させ、押下ヘッド5の規制筒12に対する螺着を解除する。なお、上述したように押下ヘッド5内にはステム6の上端部が嵌合され、さらにステム6の下端部内には下部弁体13の小径部51が嵌合されているため、押下ヘッド5の回転に伴い、ステム6や下部弁体13も一体に回転する。
【0053】
規制筒12に対する押下ヘッド5の螺着を解除する過程において、押下ヘッド5やステム6は周方向に回転しながら規制筒12に対して上昇する。そして、押下ヘッド5の規制筒12に対する螺着が解除され、押下ヘッド5が規制筒12から離脱すると、付勢部材14の上方付勢力(弾性復元力)により、ピストン11、ステム6及び押下ヘッド5が一体的に上方に向けて押し上げられる。これにより、図2に示すように、ステム6及び押下ヘッド5を上昇端位置P2に移動させて、押下ヘッド5を吐出操作可能な待機状態に移行させることができる。
【0054】
なお、ピストン11の上方移動に伴って、ピストン11の連結段部41が規制筒12におけるガイド筒部33の下端縁に対して下方から当接する。これにより、ピストン11のそれ以上の上方移動を規制することができ、ステム6及び押下ヘッド5を予め設定された上昇端位置P2に正確に位置させることができる。
【0055】
また、上述した過程において、ピストン11がシリンダ10(直筒部21)の内周面上を上方に向けて摺動することで、収容室R内が減圧され、弁本体50に連結された弾性連結片55が弾性変形する。これにより、弁本体50が下弁座部26から離反して下連通口10aが開放される。すると、容器本体2内の内容物がチューブ体27及び下連通口10a内を通して、収容室R内に流入する。
そして、ステム6及びピストン11が上昇端位置P2まで上昇し、シリンダ10に対するピストン11の上方に向けた摺動が停止すると、弾性連結片55が復元変形する。これにより、弁本体50が下弁座部26に着座して下連通口10aが閉塞される。
【0056】
また、押下ヘッド5を上昇端位置P2に移行させた後、内容物を吐出する場合には、押下ヘッド5を押下して、ステム6とともに押下ヘッド5を下方移動させる。すると、ステム6の下方移動に伴って、ピストン11が付勢部材14の付勢力に抗しながら直筒部21の内周面上を下方に向けて摺動する。これにより、収容室R内が加圧され、上部弁体45が上弁座部46から離反して上連通口6aが開放される。そのため、収容室R内の内容物が、ステム6の立ち上がり筒部43、押下ヘッド5の装着筒部61及びノズル部62の内部を順次流通し、吐出孔5aに達する。その結果、内容物を、吐出孔5aを通じて外部に吐出することができる。
【0057】
次に、押下ヘッド5の押下を解除した場合には、上述した上昇端位置P2への移行時と同様に、付勢部材14の上方付勢力(弾性復元力)によって、ピストン11、ステム6及び押下ヘッド5が上方に復元移動する。これにより、容器本体2内の内容物がシリンダ10の収容室R内に流入するとともに、次回の押下ヘッド5の押下による吐出操作に備えることができる。
【0058】
なお、本実施形態の吐出器1では、空気孔25が連通路71を通して外部に連通しているので、容器本体2内の圧力が上昇しようとしたときに、この圧力を、空気孔25及び連通路71を通して容器本体2の外部に逃がすことができる。そのため、例えば未操作時(上昇端位置P2にあるとき)に容器本体2内の内容物が吐出孔5aから漏出することを抑制することができる。
また、押下ヘッド5を押下して内容物を吐出する場合には、ピストン11の移動による環状空間70内の容積変化に伴って、環状空間70内と容器本体2内とで空気を相互に流通させることができ、スムーズな押下操作を実施できる。さらに、例えば容器本体2が高温環境下におかれた場合等であっても、容器本体2内と外部との連通を、空気孔25、環状空間70及び連通路71を通して良好に確保することができる。その結果、上述の作用効果を奏功させることができる。
【0059】
ここで、本実施形態では、張出部57が係合部77を上方に乗り越えるのに要する力が、下部弁体13(小径部51)をステム6から下方に離脱させるのに要する力よりも大きくなっているため、上述した下降端位置P1から上昇端位置P2に移行する過程において、下部弁体13をステム6から離脱させた状態で、上昇端位置P2に移行させることができる。すなわち、ステム6が付勢部材14の上方付勢力によって押下ヘッド5とともに上昇する際、下部弁体13がステム6とともに上昇したとしても、下部弁体13における張出部57の上端面が係合部77の下側(下裾野部)に係合して、下部弁体13の上昇が規制されることになる。これにより、使用開始時において、張出部57が係合部77を上方に乗り越え、下部弁体13がステム6とともに上昇するのを抑制し、下部弁体13をステム6から確実に離脱させることができる。
また、下部弁体13をステム6から確実に離脱させることができるので、ステム6を上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材14が、ステム6と下部弁体13とにより軸線O方向に挟まれている場合には、例えば付勢部材14の上方付勢力を小さくし、吐出操作時における押下ヘッド5の押下力を小さく抑えることできるので、吐出器1の操作性を高めることもできる。
【0060】
また、本実施形態では、ステム6及び小径部51を相対的に軸線O回りに回転移動させるのに要する回転トルクが、直筒部21及び下部弁体13の張出部57を相対的に軸線O周りに回転移動させるのに要する回転トルクよりも高くなっている構成とした。
この構成によれば、弁本体50とシリンダ10の下弁座部26との間で内容物が固化し、この固化した内容物により両者が密着したとしても、押下ヘッド5を規制筒12に対して周方向に回転させたときに、下部弁体13がステム6とともにシリンダ10に対して周方向に回転することになる。その結果、弁本体50と下弁座部26との密着を解除することができ、使用段階において弁本体50の開閉操作を確実に行わせることができる。
【0061】
しかも、本実施形態では、係合部77が張出部57の上端面に対して上方に間隔をあけて配設されているため、下部弁体13がステム6内に嵌合された状態で、押下ヘッド5を規制筒12に対して回転させたときに、下部弁体13をステム6とともに、シリンダ10に対して周方向に確実に回転させることが可能になる。その結果、弁本体50と下弁座部26との密着を確実に解除できる。
【0062】
さらに、本実施形態では、係合部77の上裾野部が上方から頂部に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けて延在しているため、吐出器1の組み付け時において、シリンダ10内に下部弁体13を挿入する際、係合部77を簡単に下方に乗り越えさせ、下部弁体13の組付性を向上させることができる。また、組み付け時において、下部弁体13によって係合部77が径方向の外側に向けて潰されるのを抑制できるので、使用開始時において、下部弁体13が係合部77を上方に乗り越えるのを確実に抑制できる。その結果、下降端位置P1から上昇端位置P2に移行する過程において、下部弁体13をステム6から確実に離脱させることができる。
【0063】
一方、係合部77のうち、下裾野部の勾配が上裾野部の勾配に比べて大きくなっているので、下部弁体13の上昇を係合部77により確実に規制することができ、下部弁体13がステム6とともに上昇するのを抑制できる。
【0064】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0065】
例えば、装着キャップ3、ピストン11、ステム6や下部弁体13等の構成は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。また、上述した実施形態では、ピストン11及びステム6を一体に形成したが、ピストン11及びステム6を別体としてもよい。この場合には、ピストン11をステム6に連係させ、ピストン11の上下動に伴ってステム6も可動するように構成すればよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、ステム6の外周面に連通路71を溝状に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば規制筒12におけるガイド筒部33の内周面に連通路71を溝状に形成しても構わないし、ステム6の外周面とガイド筒部33の内周面との間に隙間を設け、隙間を連通路71としても構わない。また、連通路71は、1つであっても良いし、例えば周方向に間隔をあけて複数設けても良い。
【0067】
さらに、係合部77は、下部弁体13に係合可能な構成であれば、適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、係合部77の下裾野部が頂部に向かうに従い径方向の内側に向けて延びる傾斜面としたが、これに限られない。下裾野部は、直筒部21の内周面に対して垂直に延びる平坦面等に形成しても構わない。
【符号の説明】
【0068】
1…吐出器
2…容器本体
2a…口部
3…装着キャップ
4…ポンプ
5…押下ヘッド
5a…吐出孔
6…ステム
10…シリンダ
10a…下連通口(下端開口部)
11…ピストン
12…規制筒
13…下部弁体
26…下弁座部(下端開口縁)
50…弁本体
51…小径部
57…張出部
77…係合部
O…軸線
P1…下降端位置
P2…上昇端位置
図1
図2
図3