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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227635(P2015-227635A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】内燃機関のカバー構造
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20151120BHJP
   F02B 67/06 20060101ALI20151120BHJP
   F01M 9/10 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   F02F7/00 K
   F02B67/06 G
   F01M9/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-113424(P2014-113424)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 和也
【テーマコード(参考)】
3G024
3G313
【Fターム(参考)】
3G024AA73
3G024BA23
3G313AA06
3G313AA17
3G313BB04
3G313BB18
3G313BC08
3G313BD64
3G313CA26
3G313FA06
(57)【要約】
【課題】駆動輪を潤滑するオイルを安定的に確保できる内燃機関のカバー構造を提供する。
【解決手段】エンジンEのカバー構造は、クランクスプロケット21と、カムスプロケット22A,22Bと、カム用タイミングチェーン24と、チェーンケース30とを備える。チェーンケース30は、チェーンケース30の内面33bからエンジン本体10に向けて突出し、カム用タイミングチェーン24の内側に設けられ、カムスプロケット22A,22Bからクランクスプロケット21におけるカム用タイミングチェーン24との噛込部近傍へ延在する第1リブ41と、内面33bからエンジン本体10に向けて突出し、第1リブ41の噛込部側の端部近傍に設けられ、オイルを内面33bから離間する方向へ誘導する第2リブ42とを備える。第2リブ42は、一端が第1リブ41に繋がっており、他端から第1リブ41に繋がる一端に向けて下方へ傾斜している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関本体に設けられた駆動輪及び従動輪と、
前記駆動輪及び前記従動輪に掛け渡された無端状のタイミングチェーンと、
前記内燃機関本体との間でタイミングトレーン室を形成して前記タイミングチェーンを覆うカバー部材と、
を備えた内燃機関のカバー構造であって、
前記カバー部材は、
当該カバー部材の内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記タイミングチェーンの内側に設けられ、前記従動輪側から前記駆動輪における前記タイミングチェーンとの噛込部近傍へ延在する第1オイル誘導部と、
前記内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部近傍に設けられ、オイルを前記内面から離間する方向へ誘導する第2オイル誘導部と、を備え、
前記第2オイル誘導部は、一端が前記第1オイル誘導部に繋がっており、他端から前記第1オイル誘導部に繋がる一端に向けて下方へ傾斜していることを特徴とする内燃機関のカバー構造。
【請求項2】
前記カバー部材は、
前記内面かつ前記タイミングチェーンの内側に設けられ、前記従動輪側から前記駆動輪における前記タイミングチェーンとの噛離部側へ延在する第3オイル誘導部をさらに備え、
前記第3オイル誘導部は、前記第1オイル誘導部に対して離間して設けられ、
前記第2オイル誘導部は、他端が前記第3オイル誘導部に繋がっており、前記第1オイル誘導部と前記第3オイル誘導部とに跨って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のカバー構造。
【請求項3】
前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部は、前記内面から前記駆動輪の直上まで突出し、
前記第2オイル誘導部の一端は、前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部と略同一の高さを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関のカバー構造。
【請求項4】
前記カバー部材は、
前記内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記第2オイル誘導部の上方に設けられた第4オイル誘導部をさらに備え、
前記第4オイル誘導部は、一端が前記第1オイル誘導部に繋がっており、他端から前記第1オイル誘導部に繋がる一端に向けて下方へ傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関のカバー構造。
【請求項5】
前記第4オイル誘導部は、前記内面のうち当該第4オイル誘導部と隣接する部位よりも高く形成されていることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のカバー構造。
【請求項6】
前記カバー部材は、
前記第1オイル誘導部と前記第3オイル誘導部との間に設けられ、前記内燃機関本体から離間する方向に凹むオイル誘導凹部をさらに備え、
前記オイル誘導凹部は、前記第1オイル誘導部又は前記第3オイル誘導部へ向けて下り傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のカバー構造。
【請求項7】
前記第1オイル誘導部は、前記内燃機関本体に当接する第1カバー部材側ボス部を有し、
前記第1カバー部材側ボス部は、前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部寄りに設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関のカバー構造。
【請求項8】
前記カバー部材は、
エンジンマウントが取り付けられるエンジンマウント取付部と、
前記エンジンマウント取付部に隣接して設けられ、前記内燃機関本体から離間する方向へ凹むエンジンマウント凹部と、
前記エンジンマウント凹部上に設けられ、前記内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記内燃機関本体に当接する第2カバー部材側ボス部と、
前記エンジンマウント凹部上に設けられ、前記第2カバー部材側ボス部に一端が繋がっている補強リブをさらに備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の内燃機関のカバー構造。
【請求項9】
前記第4オイル誘導部は、前記エンジンマウント凹部と前記補強リブに交差していることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関のカバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のカバー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クランクスプロケットを潤滑するための潤滑構造が種々開発されている。例えば、特許文献1には、カムスプロケット側からクランクスプロケット近傍に亘って延在するリブをチェーンケースの内面に設け、リブを利用してクランクスプロケットへオイルを誘導する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−113166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明では、オイルがリブの下端からチェーンケースの内面を伝って下方へ流れるので、クランクスプロケットを逸れるように流れてしまい、クランクスプロケットへオイルを十分に供給できない虞がある。このような問題は、チェーンケースの内面を流れるオイルが少量の場合に顕著となる。
【0005】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、駆動輪を潤滑するオイルを安定的に確保できる内燃機関のカバー構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、内燃機関本体に設けられた駆動輪及び従動輪と、前記駆動輪及び前記従動輪に掛け渡された無端状のタイミングチェーンと、前記内燃機関本体との間でタイミングトレーン室を形成して前記タイミングチェーンを覆うカバー部材と、を備えた内燃機関のカバー構造であって、前記カバー部材は、当該カバー部材の内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記タイミングチェーンの内側に設けられ、前記従動輪側から前記駆動輪における前記タイミングチェーンとの噛込部近傍へ延在する第1オイル誘導部と、前記内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部近傍に設けられ、オイルを前記内面から離間する方向へ誘導する第2オイル誘導部と、を備え、前記第2オイル誘導部は、一端が前記第1オイル誘導部に繋がっており、他端から前記第1オイル誘導部に繋がる一端に向けて下方へ傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1オイル誘導部やカバー部材の内面に沿って流れてきたオイルは、第2オイル誘導部に到達した後、第2オイル誘導部に沿ってカバー部材の内面から離間する方向へ流れる。
また、第2オイル誘導部が他端から第1オイル誘導部に繋がる一端に向けて下方へ傾斜しているので、第1オイル誘導部やカバー部材の内面から第2オイル誘導部に到達したオイルは、自重により第1オイル誘導部と第2オイル誘導部との成す角部へ向けて流れる。
これにより、第1オイル誘導部やカバー部材の内面に沿って流れてきたオイルは、カバー部材の内面から離間した位置で、前記角部から駆動輪へと落下することになる。
したがって、駆動輪を潤滑するオイルを安定的に確保できるとともに、カバー部材の内面に沿って流れてきたオイルを第2オイル誘導部で捕捉して駆動輪の潤滑に使用できる。
【0008】
また、前記カバー部材は、前記内面かつ前記タイミングチェーンの内側に設けられ、前記従動輪側から前記駆動輪における前記タイミングチェーンとの噛離部側へ延在する第3オイル誘導部をさらに備え、前記第3オイル誘導部は、前記第1オイル誘導部に対して離間して設けられ、前記第2オイル誘導部は、他端が前記第3オイル誘導部に繋がっており、前記第1オイル誘導部と前記第3オイル誘導部とに跨って設けられている構成とするのが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、第1オイル誘導部や第3オイル誘導部に沿って流れてきたオイルと、第1オイル誘導部と第3オイル誘導部との間の内面に沿って流れてきたオイルを第2オイル誘導部へ誘導することができる。
また、第1オイル誘導部と第3オイル誘導部とを第2オイル誘導部で繋ぐので、カバー部材の剛性を高めることができる。
【0010】
また、前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部は、前記内面から前記駆動輪の直上まで突出し、前記第2オイル誘導部の一端は、前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部と略同一の高さを有する構成とするのが好ましい。
なお、略同一とは、完全に同一である場合と、同一とみなせる程度の場合の両方を含む概念である。
【0011】
かかる構成によれば、オイルは、第1オイル誘導部と第2オイル誘導部との成す角部から駆動輪へ確実に誘導される。
【0012】
また、前記カバー部材は、前記内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記第2オイル誘導部の上方に設けられた第4オイル誘導部をさらに備え、前記第4オイル誘導部は、一端が前記第1オイル誘導部に繋がっており、他端から前記第1オイル誘導部に繋がる一端に向けて下方へ傾斜している構成とするのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、カバー部材の内面に沿って流れてきたオイルが第1オイル誘導部へ誘導されやすくなる。
【0014】
また、前記第4オイル誘導部は、前記内面のうち当該第4オイル誘導部と隣接する部位よりも高く形成されている構成とするのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、カバー部材の内面に沿って流れてきたオイルが第1オイル誘導部へ誘導されやすくなる。
【0016】
また、前記カバー部材は、前記第1オイル誘導部と前記第3オイル誘導部との間に設けられ、前記内燃機関本体から離間する方向に凹むオイル誘導凹部をさらに備え、前記オイル誘導凹部は、前記第1オイル誘導部又は前記第3オイル誘導部へ向けて下り傾斜している構成とするのが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、第1オイル誘導部や第3オイル誘導部に沿って流れずに、第1オイル誘導部と第3オイル誘導部との間の内面に沿って流れてきたオイルを捕捉できる。
また、オイル誘導凹部は、第1オイル誘導部又は第3オイル誘導部へ向けて下り傾斜しているので、捕捉されたオイルは、自重により第1オイル誘導部又は第3オイル誘導部へ誘導されやすくなる。
【0018】
また、前記第1オイル誘導部は、前記内燃機関本体に当接する第1カバー部材側ボス部を有し、前記第1カバー部材側ボス部は、前記第1オイル誘導部の噛込部側の端部寄りに設けられている構成とするのが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、第1カバー部材側ボス部により、内燃機関本体の振動を抑制できる。これにより、内燃機関本体の振動による第1オイル誘導部や第2オイル誘導部の共振を抑制し、第1オイル誘導部と第2オイル誘導部との成す角部から予め規定した位置へオイルを確実に落下させることができる。
【0020】
また、前記カバー部材は、エンジンマウントが取り付けられるエンジンマウント取付部と、前記エンジンマウント取付部に隣接して設けられ、前記内燃機関本体から離間する方向へ凹むエンジンマウント凹部と、前記エンジンマウント凹部上に設けられ、前記内面から前記内燃機関本体に向けて突出し、前記内燃機関本体に当接する第2カバー部材側ボス部と、前記エンジンマウント凹部上に設けられ、前記第2カバー部材側ボス部に一端が繋がっている補強リブをさらに備える構成とするのが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、補強リブにより、カバー部材のエンジンマウント取付部近傍の剛性を高めることが可能となり、エンジンマウントの荷重を好適に支えることができる。
また、第2カバー部材側ボス部が内燃機関本体に当接しており、補強リブの一端が第2カバー部材側ボス部に繋がっているため、エンジンマウントの荷重を一層好適に支えることができる。
【0022】
また、前記第4オイル誘導部は、前記エンジンマウント凹部と前記補強リブに交差している構成とするのが好ましい。
【0023】
かかる構成によれば、第4オイル誘導部により、カバー部材のエンジンマウント取付部近傍の剛性を高めることが可能となり、エンジンマウントの荷重を一層好適に支えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、駆動輪を潤滑するオイルを安定的に確保できる内燃機関のカバー構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】内燃機関のカバー構造を備えるエンジンの概略構成図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図である。
図2】エンジンからチェーンケースを外した状態を示す側面図である。
図3】チェーンケースの正面図である。
図4】チェーンケースの背面図である。
図5】チェーンケースをシリンダ軸線方向斜め下方から見た状態を示す斜視図である。
図6】第2リブを示す部分拡大斜視図である。
図7】第2リブを示す部分拡大背面図である。
図8図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
図9図3のIX−IX線に沿った概略断面図である。
図10】第1リブ−第4リブを流れるオイルの流れを模式的に示したエンジンの側面図である。
図11】第1リブ−第4リブを流れるオイルの流れを模式的に示したチェーンケースの背面図である。
図12】第2リブからクランクスプロケットへ流れるオイルの流れを模式的に示したチェーンケースの部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、本発明の内燃機関を自動車のエンジンに適用した場合を例にとって説明する。また、方向を説明する場合は、図1に示す車両の前後上下左右に基づいて説明する。
【0027】
なお、本実施形態では、上下方向は、エンジンを自動車に搭載した状態における鉛直方向に一致し、シリンダ軸線方向は、上下方向(鉛直方向)に対し前側に所定角度傾斜しているものとする。また、軸方向は、クランクシャフト及びカムシャフトの回転中心に平行な方向であるものとする。更に、直交方向は、軸方向から見たとき、シリンダ軸線方向に直交する方向であるものとする。そして、シリンダ軸線方向に直交する平面であるシリンダ直交平面に対して、上側となる方を上方、下側となる方を下方という。
【0028】
図1は、内燃機関のカバー構造を備えるエンジンEの概略構成図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図である。図2は、エンジンEからチェーンケース30を外した状態を示す側面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、エンジンEは、例えば、車体に横置きされたDOHC形式の直列型エンジンである。エンジンEは、エンジン本体10と、タイミングトレーン機構20と、チェーンケース30と、を主に備える。
【0029】
<エンジン本体>
内燃機関本体たるエンジン本体10は、図2に示すように、シリンダブロック11と、ロアブロック12と、シリンダヘッド13と、ヘッドカバー14と、オイルパン15と、を有する。
【0030】
<シリンダブロック>
シリンダブロック11は、図示は省略するが、主にシリンダボアとクランクケースとを構成する部材である。シリンダブロック11の内部には、ピストン、コンロッド、クランクシャフト16等が収容される。
【0031】
<ロアブロック>
ロアブロック12は、シリンダブロック11と共にクランクケースを構成する部材であり、シリンダブロック11の下方に配置される。クランクシャフト16の端部は、シリンダブロック11の側壁11aとロアブロック12の側壁12aとの間に回転可能に挟持される。
【0032】
<シリンダヘッド>
シリンダヘッド13は、シリンダブロック11と共に燃焼室を構成する部材であり、シリンダブロック11の上方に配置される。シリンダヘッド13の内部には、図示は省略するが、燃焼室に連通する吸気ポート及び排気ポートが形成されると共に、吸気ポート及び排気ポートを開閉するための吸気バルブ及び排気バルブやロッカアーム等が配置される。また、シリンダヘッド13の上方には、2本のカムシャフト17が配置される。カムシャフト17は、吸気側カムシャフト18及び排気側カムシャフト19を構成する。吸気側カムシャフト18及び排気側カムシャフト19は、互いに軸方向が平行となるように並設される。
【0033】
なお、シリンダブロック11の側壁11a、ロアブロック12の側壁12a、及びシリンダヘッド13の側壁13aの幅方向両端部には、その延在方向に沿って、複数のボルト挿通孔10a,10aが間隔を空けて形成される。
【0034】
シリンダヘッド13は、油圧制御弁取付部13bと、第1締結用ボス部13cと、第2締結用ボス部13dと、第3締結用ボス部13eと、を備える。
【0035】
油圧制御弁取付部13bは、シリンダヘッド13の側縁13gから当該側縁13gの内側に形成された円筒状の部分である。油圧制御弁取付部13bには、油圧制御弁51が挿入して取り付けられている。
【0036】
図2に示すように、油圧制御弁51は、排気側カムシャフト19に対応する可変バルブタイミング機構(カムスプロケット)22Bを制御するための弁である。油圧制御弁51は、シリンダヘッド13及び排気側カムシャフト19に形成された油路(図示省略)を介して可変バルブタイミング機構22Bと連通している。油圧制御弁51の先端面51aは、タイミングトレーン室S内に配置されており、先端面51aには、オイルが排出されるドレン開口51bが形成されている。
【0037】
第1締結用ボス部13cは、後記するチェーンケース30の第1締結用ボス部39aにボルト(図示省略)で固定される有底円筒状の部分である。
第2締結用ボス部13dは、後記するチェーンケース30の第2締結用ボス部39bにボルト(図示省略)で固定される有底円筒状の部分である。
第3締結用ボス部13eは、後記するチェーンケース30の第3締結用ボス部39cにボルト(図示省略)で固定される有底円筒状の部分である。
各締結用ボス部13c−13eは、シリンダヘッド13の側壁13aの内面(チェーンケース30側面)からチェーンケース30側へ所定長だけ突出して形成され、その突出端面がチェーンケース30の各締結用ボス部39a−39cの突出端面に当接する。
【0038】
<ヘッドカバー>
ヘッドカバー14は、シリンダヘッド13の上部を閉塞して動弁室を構成する蓋状の部材であり、シリンダヘッド13の上方に配置される。吸気側カムシャフト18及び排気側カムシャフト19の端部は、ヘッドカバー14の側壁14aに回転可能に固定される。
【0039】
<オイルパン>
オイルパン15は、エンジンE内の各部を潤滑して落下してくるオイルを受け止めるための部材であり、ロアブロック12の下方に配置される。オイルパン15の内部には、エンジンE内の各部にオイルを圧送するためのオイルポンプ15aが配置される。オイルポンプ15aのポンプ駆動軸15bの一端側は、オイルパン15の側壁15cから突出している。
【0040】
なお、クランクシャフト16は、駆動軸として機能するものであり、吸気側カムシャフト18、排気側カムシャフト19、及びポンプ駆動軸15bは、それぞれ従動軸として機能するものである。
【0041】
<タイミングトレーン機構>
タイミングトレーン機構20は、クランクシャフト16の回転力をポンプ駆動軸15bとカムシャフト17とに伝達する機構である。
タイミングトレーン機構20は、クランクスプロケット21と、カムスプロケット22A,22Bと、オイルポンプ用スプロケット23と、カム用タイミングチェーン24と、オイルポンプ用タイミングチェーン25と、可動シュー26Aと、第1固定シュー26Bと、第2固定シュー26Cと、第1油圧式テンショナ装置27と、シュー28と、第2油圧式テンショナ装置29と、を主に備える。
【0042】
<クランクスプロケット>
駆動輪たるクランクスプロケット21は、エンジン本体10の側面から突出したクランクシャフト16の一端側に固定され、クランクシャフト16と一体的に回転可能に構成された歯車部材である。クランクスプロケット21は、径の大きい第1ギア部21aと、径の小さい第2ギア部21bと、を備える。第1ギア部21aは、第2ギア部21bよりもエンジン本体10側に配設される。なお、本実施形態では、クランクスプロケット21(クランクシャフト16)は、図2における時計回り方向に回転する。
【0043】
<カムスプロケット>
従動輪たるカムスプロケット22A,22Bは、エンジン本体10の側面から突出した2本のカムシャフト17の一端側に夫々固定され、カムシャフト17と一体的に回転可能に構成された歯車部材である。カムスプロケット22Aは、吸気側カムシャフト18に連結され、カムスプロケット22Bは、排気側カムシャフト19に連結される。カムスプロケット22A,22Bの回転に伴って、吸気側カムシャフト18及び排気側カムシャフト19が回転することにより、吸気バルブ及び排気バルブが所定のタイミングで開閉する。
【0044】
カムスプロケット22A,22Bは、可変バルブタイミング機構を備えている。すなわち、可変バルブタイミング機構たるカムスプロケット22A,22Bは、ハウジングと、当該ハウジングに収容されるベーンと、を備える。一方、カムシャフト17(18,19)は、アウタシャフトと、当該アウタシャフト内のインナシャフトと、を備える。インナシャフトはベーンに連結されており、ベーンがハウジングに対して回動すると、インナシャフトがアウタシャフトに対して相対的に回動する。かかる回動によって、インナシャフトに連結されたカムの位相が変化する。
【0045】
<カム用タイミングチェーン>
タイミングチェーンたるカム用タイミングチェーン24は、クランクシャフト16の回転力をカムシャフト17に伝達する無端状のチェーンであり、クランクスプロケット21の第2ギア部21bとカムスプロケット22A,22Bとの間に掛け渡される。
【0046】
<可動シュー>
可動シュー26Aは、カム用タイミングチェーン24の緩み側(図2の左側)に摺接し、カム用タイミングチェーン24をガイドする弓状の長尺部材である。可動シュー26Aは、上端側がシリンダヘッド13の側壁13aに揺動自在に固定される。可動シュー26Aの下端側は、第1油圧式テンショナ装置27によってカム用タイミングチェーン24に向かって付勢される。
【0047】
<第1固定シュー>
第1固定シュー26Bは、カム用タイミングチェーン24の張り側の部位(図1の右側の部位)に摺接し、カム用タイミングチェーン24をガイドする直線状の長尺部材である。第1固定シュー26Bは、シリンダブロック11の側壁11a及びシリンダヘッド13の側壁13aに跨って複数のボルトB,Bで固定される。
【0048】
<第2固定シュー>
第2固定シュー26Cは、カムスプロケット22A,22Bの上方に配置され、カム用タイミングチェーン24に摺接し、カム用タイミングチェーン24をガイドする直線状の部材である。第2固定シュー26Cは、ヘッドカバー14に固定される。
【0049】
<第1油圧式テンショナ装置>
第1油圧式テンショナ装置27は、可動シュー26Aをカム用タイミングチェーン24に向かって付勢することにより、カム用タイミングチェーン24の張力を略一定に調節する装置である。第1油圧式テンショナ装置27は、可動シュー26Aに当接する当接部27aと、ロアブロック12の側壁12aに固定されたハウジング27bと、ハウジング27bから突出して当接部27aを押圧するプランジャ27cと、を有する。
【0050】
当接部27aは、可動シュー26Aの下端側に配置された略三角形状の部材である。当接部27aは、内側下端がシリンダブロック11の側壁11aに揺動自在に固定される。当接部27aの外側下端は、プランジャ27cによって可動シュー26Aに向かって付勢される。
【0051】
ハウジング27bには、エンジン本体10のオイル供給油路(図示省略)から高圧のオイルが供給される。この場合、ハウジング27bから押し出されたプランジャ27cによって当接部27aが可動シュー26Aに向かって押圧されると(図2の時計回り方向に揺動すると)、当接部27aを介して可動シュー26Aがカム用タイミングチェーン24に向かって押圧され、カム用タイミングチェーン24の張力が略一定に調節される。
【0052】
<オイルポンプ用スプロケット>
オイルポンプ用スプロケット23は、オイルパン15の側壁15cから突出したポンプ駆動軸15bに固定された歯車部材である。この場合、オイルポンプ用スプロケット23の回転に伴ってポンプ駆動軸15bが回転することにより、オイルポンプ15aが駆動し、高圧のオイルがオイル供給通路(図示省略)を通ってエンジン本体10内の各所に供給される。
【0053】
<オイルポンプ用タイミングチェーン>
オイルポンプ用タイミングチェーン25は、クランクシャフト16の回転力をポンプ駆動軸15bに伝達する無端状のチェーンであり、クランクスプロケット21の第1ギア部21aとオイルポンプ用スプロケット23との間に掛け渡される。
【0054】
<シュー>
シュー28は、オイルポンプ用タイミングチェーン25の緩み側(図2の右側)に当接する部材である。シュー28の下端は、第2油圧式テンショナ装置29に揺動自在に固定される。
【0055】
<第2油圧式テンショナ装置>
第2油圧式テンショナ装置29は、シュー28をオイルポンプ用タイミングチェーン25に向かって付勢することにより、オイルポンプ用タイミングチェーン25の張力を略一定に調節する装置である。第2油圧式テンショナ装置29は、ロアブロック12の側壁12aに固定されたハウジング29aと、ハウジング29aから突出してシュー28を押圧するプランジャ29bと、ハウジング29aに形成される中空部(図示省略)に収容されるリリーフバルブ29cと、を備える。
【0056】
ハウジング29aは、第2油圧式テンショナ装置29のボディを構成する部材であり、その内部に油路や高油圧室等を備える。ハウジング29aの高油圧室には、エンジン本体10のオイル供給通路(図示省略)から高圧のオイルが供給される。この場合、ハウジング29aから押し出されたプランジャ29bによって、シュー28がオイルポンプ用タイミングチェーン25に向かって押圧され、オイルポンプ用タイミングチェーン25の張力が略一定に調節される。
【0057】
リリーフバルブ29cは、ハウジング29aの高油圧室の油圧が所定値以上になったときにリリーフ孔29c1からオイルを排出するとともに、排出したオイルを利用してタイミングトレーン機構20を潤滑する機能を有する。リリーフバルブ29cのリリーフ孔29c1は、ハウジング29aの上側後方に貫通して形成される。リリーフ孔29c1は、ハウジング29aの任意の位置に設けることができる。
【0058】
<チェーンケース>
図1に戻り、カバー部材たるチェーンケース30は、エンジン本体10の一側面に固定されており、カム用タイミングチェーン24を外側から覆う部材である。すなわち、チェーンケース30は、エンジン本体10との間でタイミングトレーン室S(図1(b)参照)を形成し、カム用タイミングチェーン24を覆っている。
【0059】
図3は、チェーンケース30の正面図である。図4は、チェーンケース30の背面図である。図5は、チェーンケース30をシリンダ軸線方向斜め下方から見た状態を示す斜視図である。なお、図4では、説明の便宜上、クランクシャフト16、クランクスプロケット21の第2ギア部21b、及び、カム用タイミングチェーン24を描いている。
チェーンケース30は、図3乃至図5に示すように、断面視コ字状を呈する部材であって、幅方向(前後方向)に互いに離間する一対の側縁部31,32と、側縁部31,32を繋ぐ壁部33と、を主に備える。
【0060】
<側縁部>
側縁部31,32は、壁部33の幅方向両端部からエンジン本体10に向けて突出して形成され、エンジン本体10に当接固定される部分である。側縁部31,32には、その延在方向に沿って、複数のボルト挿通孔31a,32aが間隔を空けて貫通して形成される。ボルト挿通孔31a,32aは、エンジン本体10のボルト挿通孔10a(図2参照)に対応する位置に設けられる。
【0061】
<壁部>
壁部33は、図3及び図4に示すように、可変バルブ用ボス部36と、オイル通路用溝部38と、オイル通路用ボス部35と、第1締結用ボス部39a−第3締結用ボス部39cと、エンジンマウント取付部34と、複数のリブ40,40と、オイル誘導凹部46と、を主に有する。なお、以下の説明では、壁部33のうちエンジン本体10に対向する面のことを「内面33b」といい、内面33bの反対側の面のことを「外面33c」という。
【0062】
<可変バルブ用ボス部>
可変バルブ用ボス部36は、吸気側カムシャフト18に対応する可変バルブタイミング機構(カムスプロケット)22Aを制御する油圧制御弁(図示省略)が挿入される略卵状の孔部36dを有する部分である。可変バルブ用ボス部36は、壁部33の上端側であって、幅方向中央部に設けられる。なお、油圧制御弁は、可変バルブ用ボス部36の孔部36dを介して、シリンダヘッド13(図2参照)に取り付けられる。
【0063】
<オイル通路用溝部>
オイル通路用溝部38は、可変バルブ用ボス部36に対し後斜め下方に設けられており、シリンダヘッド13の側壁13aに接合されることによって、当該オイル通路用溝部38と側壁13aとの間に油路を構成する。
【0064】
<オイル通路用ボス部>
オイル通路用ボス部35は、オイル通路用溝部38に対し前方に離間して設けられる。オイル通路用ボス部35の外面(外面33cのうちオイル通路用ボス部35に対応する部位)には、吸気側カムシャフト18に対応するバルブリフト可変機構を制御する油圧制御弁(図示省略)が取り付けられる。オイル通路用ボス部35は、エンジン本体10に液密に接合されることによって、エンジン本体10と油圧制御弁との間に油路を構成する。オイル通路用ボス部35は、エンジン本体10と油圧制御弁との間で作動油の受け渡しを行う機能を備える。オイル通路用ボス部35は、側縁部32に隣接している。
【0065】
<締結用ボス部>
第1締結用ボス部39a、第2締結用ボス部39b、及び、第3締結用ボス部39cは、図4に示すように、エンジン本体10の一側面にボルト(図示省略)で固定される円筒状の部分である。各締結用ボス部39a−39cは、壁部33の内面33bからエンジン本体10へ所定長だけ突出して形成され、その突出端面がエンジン本体10の一側面に当接する。各締結用ボス部39a−39cは、可変バルブ用ボス部36及びオイル通路用溝部38の周囲に互いに間隔を空けて設けられる。第1締結用ボス部39a−第3締結用ボス部39cは、互いに連結リブ48で連結され、可変バルブ用ボス部36とオイル通路用溝部38を囲むように配置される。第2カバー部材側ボス部たる第3締結用ボス部39cは、エンジンマウント取付部34に対し前斜め下方に離間して設けられる(図3参照)。
【0066】
<エンジンマウント取付部>
エンジンマウント取付部34は、図3に示すように、可変バルブ用ボス部36の孔部36dの後方に設けられ、エンジンマウント(図示省略)が取り付けられる部分である。エンジンマウント取付部34は、壁部33の外面33cの上端側であって、側縁部31の近傍に設けられる。エンジンマウント取付部34は、壁部33の外面33cからエンジン本体10側から離間する方向へ突出している。図3の形態においては、エンジンマウント取付部34にエンジンマウントブラケットを一体に形成している。図示は省略するが、エンジンマウント取付部34とエンジンマウントブラケットを別体に形成してもよい。なお、エンジンマウント取付部34とエンジンマウントブラケットを一体に形成する形態は、エンジンEとして自然吸気エンジンを用いる場合に使用される。一方、エンジンマウント取付部34とエンジンマウントブラケットを別体に形成する形態は、エンジンEとして過給エンジンを用いる場合に使用される。
【0067】
<リブ>
リブ40は、図4及び図5に示すように、壁部33の内面33bからエンジン本体10へ突出しており、シリンダ軸線方向、直交方向、上下方向、及び、前後方向等に沿って複数形成される。
リブ40は、第1リブ41と、第2リブ42と、第3リブ43と、第4リブ44と、第5リブ45と、を主に有する。
【0068】
第1オイル誘導部たる第1リブ41は、カムスプロケット22A,22B側からクランクスプロケット21におけるカム用タイミングチェーン24との噛込部近傍に亘って延在するリブである。第1リブ41は、シリンダ軸線方向に沿って延在している。第1リブ41の上端(一端)は、第3締結用ボス部39cに繋がっている。第1リブ41の下端(他端)は、クランクスプロケット21の上方に位置している。第1リブ41は、カムスプロケット22A,22B及びクランクスプロケット21に巻き掛けられたカム用タイミングチェーン24の内側に設けられる。つまり、第1リブ41は、カム用タイミングチェーン24に囲まれた領域に設けられる。第1リブ41は、2つのボス部41a,41aと、上リブ部41bと、中間リブ部41cと、下リブ部41dと、で構成される。
【0069】
第1カバー部材側ボス部たるボス部41a,41aは、エンジン本体10の一側面に当接する部位である。ボス部41a,41aは、エンジン本体10の振動を抑制する機能を備える。ボス部41a,41aは、シリンダ軸線方向に互いに間隔を空けて設けられる。上側のボス部41aは、オイル通路用ボス部35から延びる第4リブ44と第1リブ41の交点に位置している。上側のボス部41aは、第1リブ41の長手方向の略中央位置に設けられる。下側のボス部41aは、クランクスプロケット21の周囲に形成される円環状リブ上であって、第1リブ41の噛込部側の端部寄りに設けられる。
【0070】
上リブ部41bは、第3締結用ボス部39cと上側のボス部41aとの間に形成された部位である。
中間リブ部41cは、2つのボス部41a,41a同士の間に形成された部位である。中間リブ部41cは、シリンダ軸線方向において、可動シュー26Aの揺動側(当接部27a側)に近い部位に設けられる(図2及び図4参照)。中間リブ部41cは、第1リブ41のうち最も低く形成される。これにより、カム用タイミングチェーン24に伸びが発生し、第1油圧式テンショナ装置27及び可動シュー26Aによって押圧されたときには、カム用タイミングチェーン24と第1リブ41の中間リブ部41cが干渉するのを回避できる。
【0071】
下リブ部41dは、下側のボス部41aの下端から下方へ向けて延出する部位である。下リブ部41dは、クランクスプロケット21におけるカム用タイミングチェーン24との噛込部近傍に位置している。下リブ部41dは、内面33bからクランクスプロケット21の直上まで突出している(図8参照)。
【0072】
第3オイル誘導部たる第3リブ43は、カムスプロケット22A,22B側からクランクスプロケット21におけるカム用タイミングチェーン24との噛離部側に亘って延在するリブである。第3リブ43は、第1リブ41に対し前方に離間して設けられ、シリンダ軸線方向に沿って延在している。第3リブ43の上端(一端)は、第4リブ44に繋がっている。第3リブ43の下端(他端)は、クランクスプロケット21の上方に位置している。図5に示す第3リブ43は、壁部33の内面33bから突出した突状部43aと、内面33bにおいて高さの異なる面を隣接させて形成された段差部43bとを含んで構成されている。
【0073】
図6は、第2リブ42を示す部分拡大斜視図である。図7は、第2リブ42を示す部分拡大背面図である。図8は、図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
図6に示すように、第2オイル誘導部たる第2リブ42は、第1リブ41と第3リブ43とに跨って設けられたリブである。第2リブ42は、第1リブ41の下端近傍に設けられる。第2リブ42は、第1リブ41及び第3リブ43と交差する方向に沿って延在している。第2リブ42は、オイルを内面33bから離間する方向へ誘導する機能を備える。第2リブ42は、第1リブ41に接するリブ側端辺42bと、内面33bに接する内面側端辺42cと、第1リブ41と第3リブ43とを繋ぐ先端辺42aとによって、平面視において、三角形状を呈する。第2リブ42の内面33bからの突出量は、第3リブ43から第1リブ41へ向かうにつれて漸増している。換言すると、第2リブ42の先端辺42aは、第3リブ43から第1リブ41へ向かうにつれてエンジン本体10側に近付くように傾斜している。
【0074】
図7に示すように、第2リブ42の一端は、下リブ部41dに繋がっている。第2リブ42の他端は、第3リブ43に繋がっている。第2リブ42は、第1リブ41と第3リブ43の概ね下端に繋がっている。第2リブ42の全体は、クランクスプロケット21の上方に位置している。第2リブ42は、エンジンEの車載状態において、他端から一端に向けて下方へ傾斜している。つまり、第2リブ42は、クランク軸線視において、第1リブ41に向かうほどシリンダ軸線方向下方に位置するように傾斜している。
【0075】
図8に示すように、第2リブ42の一端は、内面33bからクランクスプロケット21の直上まで突出している。つまり、第1リブ41と第2リブ42との成す角部47の先端は、クランクスプロケット21の直上に位置している。角部47の先端は、クランクスプロケット21におけるカム用タイミングチェーン24との噛込部の直上に位置している。第2リブ42は、内面33bに対し直交するようにエンジン本体10へ向けて突出している。第2リブ42の一端の内面33bからの高さH2は、第1リブ41の下リブ部41dの内面33bからの高さH1と略同等に形成されている。詳しくは、図8に示す第2リブ42の一端は、下リブ部41dよりも若干低く形成される。第2リブ42の先端辺42aは、下リブ部41dの先端よりも若干エンジン本体10から離間する側に位置している。
【0076】
図4に示すように、第4リブ44は、第1リブ41とオイル通路用ボス部35とに跨って設けられた直線状のリブである。第4リブ44は、第2リブ42及び第3リブ43の上方に位置している。第4リブ44の一端は、第1リブ41に繋がっている。第4リブ44の他端は、オイル通路用ボス部35に繋がっている。第4リブ44は、エンジンEの車載状態において、他端から一端に向けて下方へ傾斜している。つまり、第4リブ44は、第1リブ41に向かうほどシリンダ軸線方向下方に位置するように傾斜している。第4リブ44は、側縁部32と第3締結用ボス部39cとの間を横切るように設けられ、第5リブ45と交差している。図5及び図9に示すように、第4リブ44は、内面33bのうち当該第4リブ44に隣接する第5リブ45や面よりも高く形成される。第4リブ44のうちカム用タイミングチェーン24と交差する部位は、最も低く形成される。これにより、カム用タイミングチェーン24と第2リブ42が干渉するのを回避できる(図4参照)。
【0077】
図4に示すように、補強リブたる第5リブ45は、第3締結用ボス部39cから側縁部32近傍に亘って延在するリブである。第5リブ45は、図示しないエンジンマウントの側面に沿って延びている。第5リブ45は、シリンダ軸線方向に互いに間隔を空けて複数(2つ)設けられる。第5リブ45の一端は、第3締結用ボス部39cに繋がっている。第5リブ45の他端は、側縁部32の近傍に位置している。第5リブ45は、エンジンEの車載状態において、一端から他端に向けて下方に傾斜している。つまり、第5リブ45は、側縁部32に向かうほどシリンダ軸線方向下方に位置するように傾斜している。第5リブ45は、第3リブ43及び第4リブ44と交差している。
【0078】
図9は、図3のIX−IX線に沿った概略断面図である。
図3及び図9に示すように、壁部33のうちエンジンマウント取付部34に隣接する部位には、エンジン本体10側から離間する方向へ凹む凹部37が形成される。エンジンマウント凹部たる凹部37は、エンジンマウント取付部34から側縁部32近傍に亘って延在している。第3リブ43、第4リブ44、及び、第5リブ45は、凹部37上に延在している。第3リブ43、第4リブ44、及び、第5リブ45は、エンジンマウント取付部34近傍の剛性を高める機能を備える。第3締結用ボス部39cは、凹部37上に位置している。なお、エンジンマウント取付部34とエンジンマウントブラケットを別体に形成する場合には、凹部37を省略乃至縮小できる。
【0079】
<オイル誘導凹部>
図4に示すように、オイル誘導凹部46は、エンジン本体10から離間する方向に凹む凹状かつ三角状の部位である。オイル誘導凹部46は、第1リブ41と第3リブ43との間に複数(4つ)設けられる。複数のオイル誘導凹部46は、シリンダ軸線方向に互いに間隔を空けて設けられる。オイル誘導凹部46は、第2リブ42の上方に位置しているとともに、第4リブ44の下方に位置している。オイル誘導凹部46の下面46aは、エンジンEの車載状態において、第1リブ41又は第3リブ43へ向けて下り傾斜している。オイル誘導凹部46は、第1リブ41や第3リブ43に沿って流れずに内面33bに沿って流れてきたオイルを捕捉する機能を備える。また、オイル誘導凹部46は、捕捉したオイルを第1リブ41又は第3リブ43へ向けて誘導する機能も備える。
【0080】
なお、チェーンケース30の下端側には、その他に、クランクシャフト16が挿入されるクランクシャフト挿入孔30Bや第1油圧式テンショナ装置27(図1(a)参照)を視認可能な開口部30C等が貫通して形成される。
【0081】
本実施形態に係る内燃機関のカバー構造を備えたエンジンEは、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、図10乃至図12を参照して、その動作及び作用効果について説明する。図10は、第1リブ41−第4リブ44を流れるオイルの流れを模式的に示したエンジンEの側面図である。図11は、第1リブ41−第4リブ44を流れるオイルの流れを模式的に示したチェーンケース30の背面図である。図12は、第2リブ42からクランクスプロケット21へ流れるオイルの流れを模式的に示したチェーンケース30の部分拡大斜視図である。
なお、図10では、説明の便宜上、第1リブ41−第4リブ44及びオイル誘導凹部46等をエンジン本体10に投影して描いている。図11では、説明の便宜上、クランクシャフト16、クランクスプロケット21の第2ギア部21b、及び、カム用タイミングチェーン24を描いている。図12では、オイルをドットハッチングで描いている。
【0082】
図10に示すように、エンジンEの起動によりクランクシャフト16が回転すると、クランクシャフト16に取り付けられたクランクスプロケット21が回転する。そして、クランクスプロケット21の回転がカム用タイミングチェーン24によってカムスプロケット22A,22Bに伝達され、カムスプロケット22A,22Bの回転に伴って2本のカムシャフト17が回転する。これにより、図示しない吸気バルブ及び排気バルブが所定のタイミングで開閉する。
【0083】
一方、クランクスプロケット21の回転は、オイルポンプ用タイミングチェーン25によって、オイルポンプ用スプロケット23に伝達され、オイルポンプ用スプロケット23の回転に伴ってポンプ駆動軸15bが回転する。これにより、オイルポンプ15aが駆動して、オイルパン15のオイルが汲み上げられ、エンジンEの各部にオイルが供給される。
【0084】
そして、オイルの多くは、シリンダヘッド13、可変バルブタイミング機構(カムスプロケット)22A,22B、油圧制御弁51のドレン開口51b等を介して、チェーンケース30内に供給される。
【0085】
図11に示すように、チェーンケース30内に供給されたオイルは、内面33bに沿って下方へ流れる。
【0086】
内面33bに沿って下方へ流れたオイルの一部は、第1締結用ボス部39a−第3締結用ボス部39cや連結リブ48等に沿って第1リブ41へ向けて流れる。
第1リブ41に到達したオイルは、第1リブ41に沿って下方へ流れ、第2リブ42に到達する。
【0087】
内面33bに沿って下方へ流れたオイルの一部は、第4リブ44に到達する。第4リブ44は、第1リブ41へ向けて下り傾斜しているので、オイルは、第4リブ44に沿って第1リブ41へ向けて流れる。
第1リブ41に到達したオイルは、第1リブ41に沿って下方へ流れ、第2リブ42に到達する。
【0088】
一方、内面33bに沿って下方へ流れたオイルの一部は、第4リブ44を乗り越え、第3リブ43に沿って下方へ流れたり、第1リブ41と第3リブ43との間の内面33bに沿って下方へ流れたりする。
【0089】
第3リブ43に沿って下方へ流れたオイルは、第2リブ42に到達する。
第1リブ41と第3リブ43との間の内面33bに沿って下方へ流れたオイルは、オイル誘導凹部46内に流入する。
【0090】
オイル誘導凹部46内に流入したオイルは、オイル誘導凹部46の下面46aに到達する。
下面46aは、第1リブ41又は第3リブ43へ向けて下り傾斜しているので、下面46aに到達したオイルの一部は、下面46aに沿って第1リブ41又は第3リブ43へ向けて流れる。第1リブ41又は第3リブ43に到達したオイルは、第1リブ41又は第3リブ43に沿って下方へ流れ、第2リブ42に到達する。
一方、下面46aに到達したオイルの一部は、各オイル誘導凹部46の下面46aを乗り越えて下方へ流れ、第2リブ42に到達する。
【0091】
図11及び図12に示すように、第2リブ42は、第1リブ41へ向けて下り傾斜しているので、第2リブ42に到達したオイルは、第2リブ42に沿って第1リブ41へ向けて流れ、角部47に集められる。
また、第2リブ42の先端辺42aは、第3リブ43から第1リブ41へ向かうにつれてエンジン本体10側に近付くように傾斜しているので、先端辺42aに到達したオイルは、先端辺42aに沿って第1リブ41へ向けて流れ、角部47に集められる。
【0092】
ここで、図12に示すように、第2リブ42は、内面33bからエンジン本体10へ向けて突出しているので、角部47に到達したオイルは、第2リブ42に沿って内面33bから離間する方向へ流れる。
また、角部47の先端は、クランクスプロケット21の直上に位置しているので、角部47に到達したオイルは、内面33bから離間した位置で、角部47の先端からクランクスプロケット21へと落下する。
そして、オイルは、クランクスプロケット21とカム用タイミングチェーン24との噛込部を潤滑することになる。
【0093】
以上説明した本実施形態によれば、オイルは、第1リブ41及び第2リブ42に沿ってクランクスプロケット21へ誘導されやすくなるので、クランクスプロケット21を潤滑するオイルを安定的に確保できる。
つまり、本実施形態では、第2リブ42が内面33bからエンジン本体10へ向けて突出しているとともに第1リブ41と交差しているので、オイルが内面33bから離間する方向へ流れることになる。
また、第2リブ42が第1リブ41へ向けて下り傾斜しているので、オイルが角部47に集められることになる。
さらに、第1リブ41の下リブ部41dが内面33bからクランクスプロケット21の直上まで突出するとともに、第2リブ42の一端が下リブ部41dと略同一の高さを有するので、角部47に集められたオイルが角部47の先端からクランクスプロケット21へ確実に誘導されることになる。
【0094】
本実施形態によれば、第2リブ42が第1リブ41と第3リブ43とに跨って設けられているので、第1リブ41や第3リブ43に沿って流れてきたオイルと、第1リブ41と第3リブ43との間の内面33bに沿って流れてきたオイルを、第2リブ42へ誘導することができる。
特に、本実施形態では、チェーンケース30の内面33bに沿って流れてきたオイルを第2リブ42で捕捉してクランクスプロケット21の潤滑に使用できる点で技術的意義を有している。
【0095】
本実施形態によれば、第2リブ42が第1リブ41と第3リブ43とを繋ぐので、チェーンケース30の剛性を高めることができる。
【0096】
本実施形態によれば、第4リブ44が第1リブ41へ向けて下り傾斜しているので、チェーンケース30の内面33bに沿って流れてきたオイルが第1リブ41へ誘導されやすくなる。
【0097】
本実施形態によれば、第4リブ44がチェーンケース30の内面33bのうち第4リブ44と隣接する部位よりも高く形成されているので、チェーンケース30の内面33bに沿って流れてきたオイルが第1リブ41へ誘導されやすくなる。
【0098】
本実施形態によれば、オイル誘導凹部46が第1リブ41と第3リブ43との間に設けられるとともに第1リブ41又は第3リブ43へ向けて下り傾斜しているので、第1リブ41、第3リブ43、及び、第4リブ44に沿って流れずに、第1リブ41と第3リブ43との間の内面33bに沿って流れてきたオイルを捕捉できる。
また、本実施形態によれば、オイル誘導凹部46が第1リブ41又は第3リブ43に向けて下方へ傾斜しているので、捕捉されたオイルは、自重により第1リブ41又は第3リブ43へ誘導されやすくなる。
【0099】
本実施形態によれば、第1リブ41がエンジン本体10に当接するボス部41aを有するとともに、ボス部41aが第1リブ41の噛込部側の端部寄りに設けられているので、エンジン本体10の振動を抑制できる。これにより、エンジン本体10の振動による第1リブ41や第2リブ42の共振を抑制し、角部47から予め規定した位置へオイルを確実に落下させることができる。
【0100】
本実施形態によれば、エンジンマウント取付部34に隣接して設けられた凹部37上に第5リブ45が設けられているので、チェーンケース30のエンジンマウント取付部34近傍の剛性を高めることが可能となり、エンジンマウントの荷重を好適に支えることができる。
また、本実施形態によれば、第5リブ45がエンジンマウントの側面に沿って延びているとともに、第5リブ45の一端が第3締結用ボス部39cに繋がっているので、エンジンマウントの荷重を一層好適に支えることができる。
さらに、本実施形態によれば、第4リブ44が凹部37と第5リブ45に交差しているので、チェーンケース30のエンジンマウント取付部34近傍の剛性を高めることが可能となり、エンジンマウントの荷重を一層好適に支えることができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0102】
本実施形態では、自動車用のエンジンEに本発明を適用したが、船舶や汎用機等の自動車以外のエンジンに適用してもよい。
【0103】
本実施形態では、直列形式のエンジンEに本発明を適用したが、他の形式のエンジン(例えばV型エンジン等)に本発明を適用してもよい。
【0104】
本実施形態では、シリンダ軸線方向は、上下方向(鉛直方向)に対し前側に所定角度傾斜している構成としたが、シリンダ軸線方向は、上下方向に対し後側に所定角度傾斜する構成としてもよいし、上下方向(鉛直方向)に一致する構成としてもよい。
【0105】
本実施形態では、第2リブ42は、内面33bに対し直交するように突出している構成としたが、内面33bに対し傾斜状に突出してもよい。つまり、第2リブ42は、内面33bからエンジン本体10へ向かうにつれてシリンダ軸線方向下方に位置するように傾斜してもよい。
【符号の説明】
【0106】
E エンジン(内燃機関)
S タイミングトレーン室
10 エンジン本体(内燃機関本体)
20 タイミングトレーン機構
21 クランクスプロケット(駆動輪)
22A,22B カムスプロケット(従動輪)
24 カム用タイミングチェーン
30 チェーンケース(カバー部材)
33b 内面
34 エンジンマウント取付部
37 凹部(エンジンマウント凹部)
39c 第3締結用ボス部(第2カバー部材側ボス部)
40 リブ
41 第1リブ(第1オイル誘導部)
41a ボス部(第1カバー部材側ボス部)
41d 下リブ部
42 第2リブ(第2オイル誘導部)
43 第3リブ(第3オイル誘導部)
44 第4リブ(第4オイル誘導部)
45 第5リブ(補強リブ)
46 オイル誘導凹部
47 角部
図1
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