特開2015-227764(P2015-227764A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭化成ケミカルズ株式会社の特許一覧
特開2015-227764スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器
<>
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000005
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000006
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000007
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000008
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000009
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000010
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000011
  • 特開2015227764-スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227764(P2015-227764A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】スティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器
(51)【国際特許分類】
   F42B 39/20 20060101AFI20151120BHJP
【FI】
   F42B39/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-114389(P2014-114389)
(22)【出願日】2014年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593056082
【氏名又は名称】大川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 勇
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 恭一
(72)【発明者】
【氏名】石原 悠
(72)【発明者】
【氏名】松尾 春香
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられる弾薬用容器を提供する。
【解決手段】有底円筒状の容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、容器本体の筒部に、所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、長孔は所定長さの接合部と交互に並び少なくとも1つのスティッチ状脆弱部として軸方向に延びており、そして、軸方向に延びるスティッチ状脆弱部内の全長孔の隙間に、封止手段を設けることで、容器が封止されている、ことを特徴とする弾薬用容器。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、
該容器本体の筒部に、所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に並び少なくとも1つのスティッチ状脆弱部として軸方向に延びており、そして
該軸方向に延びるスティッチ状脆弱部内の全長孔の隙間に、封止手段を設けることで、該容器が封止されている、
ことを特徴とする前記弾薬用容器。
【請求項2】
前記スティッチ状脆弱部の両端には、それぞれ、応力が集中するY字状脆弱部が設けられ、該脆弱部は二股に分岐し、かつ、該脆弱部には、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはミシン目状に且つ該スティッチ状脆弱部に対して20度〜160度の方向(切欠き方向)に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、Y字状脆弱部がさらに設けられている、請求項1に記載の弾薬用容器。
【請求項3】
前記長孔の形状が、直線状、曲線状、L字状又は斜め状である、請求項1又は2に記載の弾薬用容器。
【請求項4】
前記容器本体の筒部の長さ600〜1500mmであり、該筒部の厚みが略1mmであり、前記少なくとも1つの直線状スティッチ状脆弱部の長さが略150mm以上であり、前記長孔の形状が、線状であり、前記長孔の長さが略4mm〜60mmであり、前記接合部の長さが略1mm〜5mmであり、そして前記長孔の隙間が略0.1mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾薬用容器。
【請求項5】
前記Y字状脆弱部の切欠き長さが略10mmであり、かつ、前記切欠き方向がスティッチ状脆弱部に対して、90〜135度である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の弾薬容器。
【請求項6】
前記封止手段が熱により分解燃焼する接着剤又は塗装剤の前記隙間への充填である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾薬用容器。
【請求項7】
前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体が、該容器本体に溶接された蝶番部と、該容器内圧が0.3〜1.5MPaになったときに破断する破断ピンにより、該容器本体筒部に固定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の弾薬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器に関する。より詳しくは、本発明は、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられる前記弾薬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に記載されるように、りゅう弾砲用発射装薬等に使用される弾薬用容器とは、細かい粒状の発射薬を装填した複数個の発射装薬を梱包し、運搬し、弾薬庫に保管したりする際に一時的に使用する金属容器のことである。発射装薬をりゅう弾砲等の薬室に挿入する際には、弾薬用容器は発射装薬から取り除かれる。一般に、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬等に使用される梱包容器としての弾薬用容器は、運用面を配慮して一定以上の落下強度と気密性を有する構造となっている。
【0003】
近年、りゅう弾砲用発射薬やその他火砲用の弾薬は、その貯蔵、運搬及び使用中における火災、被弾等を受けた際に、我の被害を最小限にする目的で、弾薬の不感化・低感度化(以下、IM(Insensitive Munition)化という)の開発、装備化が進められている。また、これらの弾薬のIM性や取り扱い評価方法として、米国のITOP(International Test Operations Procedure)やSTANAG(Standardization Agreement、NATO規格)などで試験方法が規格化されている。これらの規格の中で運用面での取り扱い性を評価する試験項目としては、落下試験、クックオフ試験、殉爆試験及び銃撃感度試験が規定されている。このような規定は、弾薬単体だけではなく弾薬用容器を含めた状態でも満足する必要があるため、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬用の弾薬用容器にも高いIM性や強固な落下強度、高い気密性が要求されている。
【0004】
以下の特許文献2には、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、円筒部の外周面と内周面の少なくとも一方の面に接合部と干渉しない位置に切り込み部が設けられ、円筒部の肉厚に対する切り込み部の深さの比率が0.10〜0.95であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。
【0005】
また、以下の特許文献3にも、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、有底円筒状をなす容器本体の開口部には蓋体が接合され、容器本体の円筒部には螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、前記円筒部には接合部と干渉しない位置に複数の開口孔が設けられ、その開口孔を封止する封口板を有し、該封口板は円筒部の強度より低く設定されるとともに、円筒部の外周面の表面積に対する開口部の総面積の比率が0.02〜0.25であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。また、前記開口孔が設けられていない円筒状弾薬用容器の破壊強度に対する前記封口板の破壊強度の比率が0.1〜0.9である態様も開示されている。
【0006】
また、以下の特許文献4にも、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、円筒状をなす胴部に、筒部を有する円板状の底部と筒部を有する円板状の蓋部とが接合された円筒状爆薬用容器であって、前記底部と蓋部のうちいずれか低い方の破壊強度に対する胴部の破壊強度の比率が0.09〜0.50であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。また、前記蓋部と底部の各筒部間が補強部材で連結される態様も開示されている。
【0007】
また、以下の特許文献5には、衝撃や熱等を受けて収納された発射装薬が爆発したときにおいて、収納容器を所定の脆弱部において破壊させることにより、破壊による開口面積をできるだけ大きなものにして圧力を効果的に開放し、それ以上激しい反応が起きにくくするとともに、破片の飛散をできるだけ防止できる発射装薬の収納容器を提供することを目的として、螺旋状に巻かれた帯状金属板が溶接一体化されたものであるか又は予め筒状に形成されたものである筒体、筒体の両端部を閉塞する底部材と蓋部材を備えた発射装薬の収納容器であり、前記筒体が、内周面及び外周面の少なくとも一面において長さ方向に形成された螺旋状の脆弱部(前記溶接部であるか又は該溶接部を除く)を有している発射装薬の収納容器が開示されている。
【0008】
また、以下の特許文献6には、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和でき、周囲の被害を抑制できる円筒状弾薬用容器を提供することを目的として、有底円筒状をなす容器本体の開口部には蓋体が接合され、容器本体の円筒部には螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、前記円筒部には接合部と干渉する位置に少なくとも1個の貫通した開口孔が設けられ、その開口孔を封止する封口板を有し、前記円筒部の長さに対する開口孔の長さの和の比率が0.25〜3.0であることを特徴とする円筒状容器が開示されている。また、特許文献5には、前記円筒部の外径に対する開口孔の幅の比率が0.0001〜0.005である態様も開示されている。
【0009】
また、以下の特許文献7には、弾薬が燃焼する不所望の刺激を受けたときに、開放する弾薬収納容器であって、頂部、底部、及びその間の少なくとも1の側面を有する容器、ここで、該容器は、その内に爆薬を収納し、該爆薬はエネルギー材料を含み、その側面に接合部分と非接合部分を有する少なくとも1つの繋ぎ目を有し;並びに該繋ぎ目の非接合部分をシールするための接着剤等からなるシール、ここで該シールは、該容器の残部が破壊される前に、内圧が外圧よりも少なくとも3psi高いとき、破壊されるよう作用する;を含み、それにより該容器を開放し、収納されたエネルギー材料の燃焼速度を制御して、激しい反応を回避する前記弾薬収納容器が開示されている。
【0010】
さらに、以下の特許文献8には、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられ、周囲の被害を抑制できる弾薬用容器を提供することを目的として、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、前記容器本体の筒部は、金属長板が螺旋状に巻回されてその両側縁同士を接合することで、螺旋状に延在する接合部を有する円筒状に形成されており、前記筒部には、軸方向に延びる長孔が内外貫通状に穿設されており、前記長孔は、封止材によって封止され、該長孔及び該封止材の外面は金属製のカバー部材によって覆われていることを特徴とする弾薬用容器が開示されている。
【0011】
以上、従来技術として、爆薬用容器の円筒体に種々の形状の脆弱部や開口部を設けることが提案されているが、特許文献6〜8のみが、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することを教示している。
しかしながら、特許文献6〜8のいずれにも、該直線状の長孔の両端に、それぞれ、二股に分岐し、応力が集中する脆弱部が、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該脆弱部に対して20度〜160度の方向に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、設けるか、又は、該内外貫通状の直線状の長孔に代えて、所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に並びスティッチ状脆弱部として軸方向に延びており、さらに場合により該軸方向に延びたスティッチ状脆弱部の両端に、二股に分岐し、応力が集中する脆弱部を、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該スティッチ状脆弱部に対して20度〜160度の方向に、設けることは、教示も示唆もされていない。すなわち、特許文献6〜8はいずれも、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することに代えて、所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に線状に並び軸方向に延びるスティッチ状脆弱部とし、さらに場合により、該スティッチ状脆弱部の両端に二股状又はY字状の脆弱部を設けることは一切教示も示唆もされていない。
ここで、脆弱部とは、内外貫通加工や切込み溝状加工、スティッチ状加工がされ、引張強度(破断強度)が低い箇所をいう。
また、スティッチ状脆弱部とは、上記脆弱部の内、スティッチ加工(内外貫通孔が長孔穿設されと内外貫通孔が穿設されていない接合部が線状に交互に穿設)されており、引張強度(破断強度)が低い箇所をいう。
また、Y字部とは、円筒体の軸方向に延びたスティッチ状脆弱部の両端に、二股に分岐した線状の脆弱部がY字状に穿設された箇所をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−226031号公報
【特許文献2】特開2011−145007号公報
【特許文献3】特開2011−252645号公報
【特許文献4】特開2012−2381号公報
【特許文献5】特開2012−17935号公報
【特許文献6】特開2012−117741号公報
【特許文献7】米国特許第7624888号明細書
【特許文献8】特開2013−44454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記したように、従来技術の弾薬用容器では、容器内部に収容された弾薬や発射装薬を構成する火薬類が発火した場合、高い気密性を有する弾薬用容器内において火薬類の燃焼反応が生じて圧力上昇するため、最終的には容器が爆発してしまい、周囲の人員や機材などに多大な被害や損失を与える事態が発生する。その問題を解決するための手段として、弾薬用容器の円筒体に種々の形状の脆弱部や開口部を設けて、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられ、周囲の被害を抑制できる弾薬用容器を提供することを目的とするものである。
また、前記したように、引用文献6と7は、かかる脆弱部又は開口部として、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することを教示しているものの、内装する火薬の種類や形状よっては、相当量の長孔が必要であり、落下強度及び気密性を両立するものではない。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を確実に避けて周囲の被害を抑制することができる弾薬用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することに代えて、所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に線状に並び軸方向に延びるスティッチ状脆弱部とし、さらに場合により、内装する火薬の種類や形状により該スティッチ状脆弱部の両端に二股状又はY字状の脆弱部をさらに設けること、及び、前記カバー部材に代えて、スティッチ状脆弱部の内外貫通状の長孔の隙間に、封止手段を設けることにより前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、
該容器本体の筒部に、所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に並び少なくとも1つのスティッチ状脆弱部として軸方向に延びており、そして
該軸方向に延びるスティッチ状脆弱部内の全長孔の隙間に、封止手段を設けることで、該容器が封止されている、
ことを特徴とする前記弾薬用容器。
【0016】
[2]前記スティッチ状脆弱部の両端には、それぞれ、応力が集中する脆弱部が設けられ、該脆弱部は二股に分岐し、かつ、該脆弱部には、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該スティッチ状脆弱部に対して20度〜160度の方向(切欠き方向)に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、加工部(以下、Y字部と記する)がさらに設けられている、前記[1]に記載の弾薬用容器。
【0017】
[3]前記切込み部の形状が、直線状、曲線状、L字状又は斜め状である、前記[1]又は[2]に記載の弾薬用容器。
【0018】
[4]前記容器本体の筒部の長さ600〜1500mmであり、該筒部の厚みが略1mmであり、前記少なくとも1つの直線状スティッチ状脆弱部の合計長さが略150mm以上であり、前記切込み部の形状が、直線状であり、前記切込み部の長さが略4mm〜60mmであり、前記接合部の長さが略1mm〜5mmであり、そして前記長孔の隙間が略0.1mmである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【0019】
[5]前記脆弱部の長さが略10mmであり、かつ、前記切欠き方向が90〜135度である、前記[2]〜[4]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【0020】
[6]前記封止手段が熱により分解燃焼する接着剤又は塗装剤の前記隙間への充填である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【0021】
[7]前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体が、該容器本体に溶接された蝶番部と、該容器内圧が0.3〜1.5MPaになったときに破断する破断ピンにより、該容器本体筒部に固定されている、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るスティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器を用いれば、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には長孔間の接合部が破断し、容器の爆発を確実に避けて周囲の被害を抑制することができる。また、弾薬容器が銃撃された場合には、特に接合部の長さが3mm以下であれば、その衝撃により接合部が破断し繋がり大きな長孔を形成することで、より容器内圧の上昇を抑えることができる。すなわち、本発明に係るスティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器においては、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、内装する火薬の組成と形状に応じて、スティッチ形状の変更や応力集中箇所を設けることで、低圧力領域から圧力開放を実現でき、燃焼速度の抑制が可能となり、また、開口孔の隙間を細くすることで、封止剤を用いても所望の封止強度を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来技術の弾薬用容器の斜視図である。図中、容器本体の長孔貫通部の隙間を示す。
図2】本実施形態に係る切込み部と接合部からなるスティッチ状脆弱部を有し、かつ、非開放蓋体を有する弾薬用容器の斜視図である。図中、A:脆弱部1長さ、B:脆弱部1−2間長さ、C:脆弱部2長さ、D:長孔の隙間、E:長孔1個当たりの長さ、F:長孔1個当たりの接合部の長さ、筒部中央部に設けられた任意的リブを示す。
図3】スティッチ状脆弱部の両端にY字部をさらに有する本実施形態に係る弾薬用容器の斜視図である。図中、G:Y字部切欠き長さ、H:Y字部切欠き方向(角度)120度を示す。
図4】長孔の形状が、曲線状、L字状又は斜め状である場合の形状及び寸法の説明図である。
図5】本発明に係る開放式蓋体の図である。図中、蝶番、破断ピンを示す。
図6】各種安全性評価とそれらを説明する概略図である。
図7】安全性試験のセットアップ状況を示す図である。
図8】安全性評価試験結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
前記したように、本実施形態に係る弾薬用容器は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、
該容器本体の筒部に、所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状が穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に並び少なくとも1つのスティッチ状脆弱部として軸方向に延びており、そして
該軸方向に延びるスティッチ状脆弱部内の全長孔の隙間に、封止手段を設けることで、該容器が封止されている、
ことを特徴とする。
【0025】
本発明者は、容器に内装する火薬の組成及び燃焼反応速度、容器の内部圧力の上昇、容器素材の破断強度、容器の開口面積等をシミュレーションし、さらに実際に検証した結果、従来技術のスリット構造では、低圧力領域で圧力開放が不十分となり、容器の安全内圧を達成できないか、容器の気密性が十分でないか、容器の強度が十分でないか、又は容器の安全性が担保できない場合があることが分かった。そこで、従来のスリット構造に代えて、「所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に線状に並び軸方向に延びる少なくとも1つのスティッチ状脆弱部」からなるスリット構造を新たに提供するものである。
【0026】
また、内装する火薬が一気に燃焼した場合、従来技術の圧力開放機能では、圧力開放速度が追いつかず、火薬が爆燃し、蓋体を飛翔させ、周囲の者に怪我をさせる危険があることも判明した、そこで、従来技術の非開放式(ネジ式)の蓋体に代えて、図5に示す。開放式の蓋体を提供するものである。かかる開放式の蓋体の破断ピンの破断強度は、内装する火薬の組成と燃焼速度から決定することができる。尚、特許文献4では、底部と蓋部のうちいずれか低い方の破壊強度に対する胴部の破壊強度の比率が0.09〜0.50である円筒状弾薬用容器が開示されている。すなわち、特許文献4では、胴部の破壊強度は蓋体の破壊強度よりも低いものとなっている。
【0027】
図1に、従来技術の弾薬用容器を示す。蓋体はネジ式の非開放型であり、スリットは、直線状の貫通した長孔であり、所定の隙間を有している。本発明におけるスティッチ状脆弱部の切込み部の隙間も図示されるものと同様に規定される。弾薬用容器(単に容器ともいう。)は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有し、内部に複数個の弾薬(図示せず)が直列に並べて装填されるようになっている。弾薬(発射薬)としては、シングルベース発射薬、ダブルベース発射薬、トリプルベース発射薬、マルチベース発射薬等が用いられる。通常、容器本体の軸方向端部には容器本体の外面を囲むように設けられた、補強用のリムが設置され、図2、3に示すように、かかる補強用のリムは容器本体の中央部に追加的に設置されることもある。
【0028】
本発明においては、容器本体は金属製であり、その筒部は長尺状の金属長板が螺旋状に巻回されてその両側縁同士が突き合わされ、シーム溶接などにより接合されることで円筒状に形成されているものであることができる。したがって、容器本体の筒部には、軸方向に延びる螺旋状の接合部を有する。接合部は、容器本体の底面に対して20〜40°程度の角度で螺旋状に延びている。金属板の材質は特に限定されず、従来からこの種の弾薬用容器に使用されている金属の全てが使用できるが、中でも剛性の高い鉄板が好ましい。
【0029】
従来技術の蓋体はカップ状であり、弾薬用容器内を密閉できるものであれば、その材料は特に制限されない。例えば、容器本体と同様の金属製とするほか、プラスチック製、繊維強化プラスチック製、樹脂含浸紙製、又はゴム製とすることも可能である。蓋体は、容器本体の開口へ圧入又は螺合により嵌合される。
【0030】
前記したように、リムも容器本体と同様の金属製であり、容器本体の外面へ溶接されている。リムの外周面形状は円形であり、直径は同一である。弾薬用容器を横倒し状態にしたとき、リムが地面に接して支点となり容器本体は直接地面に接しないことで、容器本体の破損防止に有利となっている。
【0031】
図1に示すように、従来技術の容器本体の筒部には、軸方向に延びる長孔が内外貫通状に穿設されている。当該長孔を有することにより、弾薬用容器内において弾薬が発火したときに長孔を介して燃焼ガスを弾薬用容器外へ放出することで内圧上昇を抑制でき、弾薬用容器の爆発を回避することができるとされてきた。
しかしながら、前記したように、本発明者は、容器に内装する火薬の組成及び燃焼反応速度、容器の内部圧力の上昇、容器素材の破断強度、容器の開口面積等をシュミレーションし、さらに実際に検証した結果、従来技術のスリット構造では、容器の気密性を高めるため長孔の長さを短くすると、低圧力領域で圧力開放が不十分となり、容器の安全内圧を達成できないか、圧力開放が十分となる様、長孔の長さを長くすると、容器の気密性が十分でないか、容器の強度が十分でないか、又は容器の安全性が担保できない場合があることを見出し、かかる従来技術のスリット構造に代えて、「所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に並び軸方向に延びる少なくとも1つのスティッチ状脆弱部」からなるスリット構造、さらに場合により該スティッチ状脆弱部の両端に二股に分岐する脆弱部としてY字部をさらに有するスリット構造を新たに提供するものである。
【0032】
図2に、本実施形態に係るスティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器を示す。A:脆弱部1長さ、B:脆弱部1−2間長さ、C:脆弱部2長さ、D:長孔の隙間、E:長孔1個当たりの長さ、F:長孔1個当たりの接合部の長さは、図示するように規定される。図2において、長孔の形状は直線状である。
また、図3に、Y字部をさらに有する本実施形態に係る弾薬用容器を示す。図3では、追加的に設けたY字部切欠き方向Hが120度となっている。
従来技術のスリット構造と本願発明に係る「所定形状及び所定長さの長孔が所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該長孔は所定長さの接合部と交互に並び軸方向に延びる少なくとも1つのスティッチ状脆弱部」からなるスリット構造とは、前者では長孔の全体が内外貫通状であるのに対し、後者では、接合部以外の長孔だけが内外貫通状である点で相違する。また、本実施形態において、該スティッチ状脆弱部にY字部を追加的に設けた場合には、この点でも、従来技術のスリット構造と相違する。但し、このY字部の切欠きは、Y字部接合面積30%の溝切りや、Y字部接合面積30%のスティッチであることもできる(図示せず)。スティッチ状脆弱部の存在により、本実施形態に係る弾薬用容器は、従来技術の弾薬用容器に比べて、気密性が高まり、容器強度が向上し、また、安全性が高められたものとなっている。Y字部を追加的に設ける場合、切欠き方向は好ましくは90〜135度である。
【0033】
本実施形態に係る弾薬用容器では、スティッチ状脆弱部の本数は1本でもよいが、容器強度が維持される限り、複数本(例えば、2〜15本程度)設けてもよい(図8参照)。スティッチ状脆弱部の長さも、設置本数に応じて適宜設定すればよい。例えば、スティッチ状脆弱部の本数が比較的少ない(例えば、1〜3本程度)場合は長寸にし、本数が比較的多い(例えば、4本以上)場合は短寸にすることもできる。また、スティッチ状脆弱部を複数本設ける場合は、容器本体の周方向に等間隔で設けることが好ましい。燃焼ガスを効率良く外部へ放出できるからである。また、スティッチ状脆弱部は基本的には線状、好ましくは直線状であるが、湾曲状や螺旋状に形成することもできる。また、スティッチ状脆弱部は容器本体の軸方向(中心軸)と平行に設けてもよいし、容器本体の軸方向(中心軸)に対し、斜めに設けることもできる。本実施形態においては、図2では、容器本体の軸方向両端部に亘る長寸な直線状のスティッチ状脆弱部を、容器中央部に設けたリブを隔てて、2つのスティッチ状脆弱部を設け、また、図3では、容器本体の軸方向(中心軸)と平行に形成して、容器中央部に設けたリブを跨って筒部へ1本設けている。前記少なくとも1つのスティッチ状脆弱部の長さが150mm以上であれば、燃焼ガスを効率良く外部へ放出できることができる。
【0034】
本実施形態に係る弾薬用容器では、スティッチ状脆弱部の長孔の形状は、直線状、曲線状、L字状又は斜め状であることができる。図2、3では、長孔は直線状である。図4に、曲線状、L字状又は斜め状の長孔の形状、寸法の例を示す。
【0035】
従来技術の弾薬用容器の筒部外周面には、長孔を外面から封止するように板状の封止材が接合される場合がある。封止材は、長孔の開口面積より大寸であり、長孔の外周部において容器本体へ接着ないし溶接等によって接合されている。封止材は、容器本体よりも強度が低い素材からなる。弾薬用容器内において弾薬が発火した際に、内圧上昇に伴って他の部位よりも優先的に破損されなければならないためである。すなわち、長孔及び封止材は、脆弱部と称すこともできる。例えば、鉄鋼製の容器本体に対して、封止材はアルミニウムや銅などの軟質金属製、又はポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製とする。封止材は、(アルミニウム)テープ状でもよいし、板状でもよい。
【0036】
これに対し、本実施形態に係る弾薬用容器では、スティッチ状脆弱部の長孔及び場合により追加的に設けたY字部の隙間を、好ましくは略0.1mmと狭くし封止剤を充填することで、容器を封止してもよい。開口孔の隙間を細くした上で所定の封止剤を用いれば、所望の容器気密性と容器強度を達成することができ、また、上記アルミニウムテープ等の封止材を傷つける運搬上のリスクの低減することができる。
【0037】
好ましい実施形態では、容器本体の筒部の長さは600〜1500mmであり、該筒部の厚みは略1mmであり、少なくとも1つの線状スティッチ状脆弱部の長さは略150mm以上であり、長孔の形状は直線状であり、長孔の長さは略4mm〜60mmであり、接合部の長さは略1mm〜5mmであり、好ましくは3mm以下であり、そして長孔の隙間が略0.1mmである。また、前記脆弱部の長さは略10mmであり、かつ、前記切欠き方向が90〜135度であることが好ましい。
【0038】
以下、本発明に係る弾薬用容器の作用について説明する。
弾薬用容器の運搬時や一時保管時等の取扱時において、衝撃や温度上昇等の原因により弾薬用容器内の弾薬が燃焼反応を引き起こした場合、発生する燃焼ガスによって弾薬用容器内の圧力が上昇する。すると、燃焼ガスによりスティッチ状脆弱部の長孔及び場合により追加的に設けたY字部切込みの隙間に充填されたシリコン(接着剤)、塗装剤等の封止剤又はアルミテープ等の封止手段が破壊され、さらに、該Y字部が所望の脆弱性を有することで、開口し、燃焼ガスが、容器安全内圧以下で外部に放出される。これにより、弾薬用容器の内圧上昇が抑制されるので、弾薬用容器の爆発が回避され、安全性が高まる。
また、従来技術の脆弱部(長孔)に比較して、スティッチ状脆弱部では、隙間が容器本体筒部の軸方向の全体に亘って均質に維持することができるので、これまで通常の取扱いで剥離していた封止剤による封止が確実になると同時に、接合部の存在により容器強度の低下を防止することができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る弾薬用容器では、蓋体が、従来技術の非開放式(ネジ式)から、図5に示す開放式にすることができる。本発明の好ましい実施態様では、前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体が、該容器本体に溶接された蝶番部と、該容器内圧が0.3〜1.5MPaになったときに破断する破断ピンにより、該容器本体筒部に固定されている開放式になっている。これにより、容器内に収容している火薬が一気に燃焼した場合、容器本体に設けた線状長孔等の圧力開放機構のみでは、圧力開放速度が追いつかず、蓋体が飛翔して、近くにいる人に怪我をさせる危険を低減することができる。
【0040】
前記蝶番部の破断強度は、前記破断ピンの破断強度よりも高く、内装する爆薬を構成する火薬の組成や燃焼速度を考慮し、破断ピンの素材、外径を適宜選択することで、破断ピンの破断強度を調整することができる。
また、開放式の蓋体であっても、容器本体を金属製としながら、容器本体の開口を該蓋体で塞いでいるので、従来と同様に落下強度及び気密性を有する。
【実施例】
【0041】
以下の実施例等により本発明を具体的に説明する。
実施例で使用した評価方法を以下に説明する。
【0042】
[安全性の評価]
(応答の型)
応答の型は以下に分類される。
I型の応答(爆轟):火薬事象の最も烈しい型。超音速分解反応(爆轟)がエネルギ物質中を伝播して周囲の媒体(例えば、空気、水)には強い衝撃を発生し、金属容器には超高速塑性変形とそれに伴う多くの破片生成を生じる。また、砲弾のあった地面または近くの地面には大きいクレータが見られ、隣接金属プレートの貫通孔、塑性変形、破片生成、近隣構造物の爆風過圧損傷、等の効果もある。
II型の応答(部分爆轟):火薬事象の2番目に烈しい型。エネルギ物質の全部ではないがその一部がI型の応答を起す。強い衝撃が起きて、容器の一部が壊れて小さい破片になり、地面にクレータができ得、隣接金属プレートにI型の応答と同じ損傷を生じ得、近隣構造物に爆風過圧損傷を生じる。II型の応答は、烈しい圧力破裂(脆性破壊)に似る、大きい容器破片を生じ得る。I型の応答と比較しての損傷の程度は、物質の爆轟した比律に依存する。
III型の応答(爆発):火薬事象の3番目に烈しい型。密閉されたエネルギ物質の発火と迅速燃焼が高い局部圧力上昇を発生して密閉構造に烈しい圧力破裂を誘起する。金属容器は大きい破片になり(脆性破壊)、遠くに飛ぶこともある。未反応エネルギ物質も飛散し、中には燃えながら飛ぶものもある。空気衝撃(air shock)が発生するので、これが近隣構造物を損傷することもある。火災と発煙の危害がある。爆風と高速破片が地面に小さいクレータを、隣接金属プレートに損傷(分割、裂け、溝状キズ)をつくり得る。爆風圧はI型やII型の応答よりも低い。
IV型の応答(爆燃):火薬事象の4番目に烈しい型。密閉されたエネルギ物質の発火と燃焼が、低強度容器や容器壁の通気口(差し込み口の隙間、点火カプセル、等々)に、弱い圧力放出を誘起する。容器は破裂するが、破片にはならない、オリフィス付き蓋が外れて未燃焼エネルギ物質が飛散して、中には燃えながら飛ぶものもある、火が広がる。圧力開放が固定されていない試験アイテムを推進させて二次危害を生じることもある。周囲に爆風効果や著しい破片損傷を生じることはなく、被害はエネルギ物質燃焼による熱と煙の被害だけである。
V型の応答(燃焼):火薬事象の最下位の烈しい型。エネルギ物質が発火して推進することなく燃える。容器は穏やかに裂けるが、熔融または弱化して燃焼ガスがゆっくり開放できるようになり、容器の蓋は内圧によって開く。殆どの残骸は火災現場に残る。残骸が兵員に致死的負傷を負わせることも、有害な破片が15m(49フィート)を超えて飛ぶことも考えられない。
反応なし。
【0043】
(スロークックオフ試験)
図6に示すように、実施例の安全性評価としては、装薬が銃撃されたこと場合を想定した反応性評価である銃撃感度試験を使用した。かかる銃撃感度試験は、STANAGに準拠した条件で実施した。
【0044】
(安全性評価の試験手順)
図7に示すように、金属容器に発射装薬を入れ、金属容器を固定し、金属容器の内部に圧力計を設置し、金属容器の中央を12.7mm弾で射撃した。
【0045】
(安全性の評価)
図8に示すように、最終反応後の破片数に応じて、以下の評価基準で安全性を評価した:
○:0個
△:1個
×:2個以上
(爆発圧の評価)
金属容器に発射装薬を入れ、底部にデジタル出力ができる圧力計を設置し、反応前後の最大圧力値を評価した。爆発圧は、比較例1を100%基準として、評価した。
図8に、試験結果の一例を示す。
火薬の燃焼速度は、組成(ニトログリセリン量等)や形状(表面積)で、使用用途に応じて調整されている。そのため、火薬の組成や形状を考慮して、燃焼速度シミュレーションを行い、容器内に発生する内圧を想定した。内装する発射装薬として、組成(トリプルベース)、形状(粒状)を用いた。
【0046】
[容器落下強度の評価]
(落下試験)
内容物の入った包装容器を規定の高さから自然落下させる試験を実施した。具体的には、包装容器の中に発射装薬を入れ、I-TOPによる既定の高さ(12m,2.1m,1.5m)と規定の角度(水平、垂直、斜め)になるように包装容器をセットして自然落下させ、落下後の状況を判断した。落下する地面はコンクリートに厚さ20mmの鉄板を敷いたものを使用した。落下後の装薬の運用性を判断した。例えば、長孔が長い包装容器は、変形し装薬が破壊され変形した箇所から内容物(火薬)が放出され危険である。弾薬用包装容器は、様々な条件下でも、安全に装薬を運搬できる構造でなければならない。落下試験は、運搬時の取扱い性の評価指標であり、以下の3つの基準がある:
12m落下によって、包装容器から内容物が飛散しないこと
2.1m落下後も、発射装薬を取りだすことができ、かつ安全に射撃ができること
1.5m落下後も、包装容器に所定の気密性(0.02MPaで空気リークなし)を有すること
(容器落下強度の評価)
以下の評価基準に従い、容器強度を評価した:
◎:上記3つの基準を十分に満足する
○:上記3つのいずれかの基準を満足するが、満足しない基準がある
×:基準を満足しないものがある
【0047】
[気密性の評価]
表1に示す予察試験では、気密性を強調評価するため、レーザー切削により隙間0.1mm〜3.0mmで、直線状に50mmの長孔を加工し、該長孔部に各種封止剤を入れ、容器に蓋をし、内圧を加え、封止部分から空気が漏れないことを確認した。表2に示す実施例では、レーザー切削により隙間0.1mmに表2に示す様々な脆弱部を加工し、該脆弱部に各種封止剤を入れ、容器に蓋をし、内圧を加え、封止部分から空気が漏れないことを確認した。以下の評価基準で気密性を評価した:
◎:0.3MPaでリークがないこと
○:0.02MPaでリークがないこと
△:0.02MPaで一部リークあり
×:常圧で剥れがある(常圧でも気密性がない)
【0048】
[運搬性の評価]
金属缶を車両に乗せる際、所定の治具を用いて積載し車両にて運搬する。更に車両から積み下ろし使用場所まで手動で運搬する。移動後金属缶から内容物を取り出す動作を実施し、既存品の運搬に対して違いがないか確認し評価した。
○:既存品と同様に運搬・運用が可能
△:既存品とは違う運搬治具が必要、又は運搬時接触等の注意が必要
【0049】
アルミテープとシリコン(接着剤)を以下の実施例で用いたが、以下の各種封止剤:ウレタン(系接着剤)、セルロース(系接着剤(セメダイン(登録商標))、エポキシ(系接着剤)、塗装剤を予め検討した。
【表1】
【0050】
[比較例1]
容器本体の筒部に長さ400mm隙間0.1mmの長孔を中央部リムを隔てて2個設けアルミテープで封止し、非開放式蓋で封止した容器の安全性、爆発圧、落下強度、気密性、運搬性を、低燃薬を用い上記評価試験により評価した。結果を以下の表2に示す。また、比較例1における爆発圧を100%基準とした。長孔の隙間は、0.8mm程度に広がり気密性が低下するがアルミテープにより補強封止されるため気密性は○、運搬時は、封止部がアルミテープであるため、接触に注意が必要となり運搬性は△、中央部リムが落下衝撃を吸収したため落下強度は○、安全性は○であった。
【0051】
[比較例2]
脆弱部の長さを150mmに代えたことを除き、比較例1と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧が270%となり、気密性は○、運搬性は△、落下強度は〇、蓋部の飛翔及び、一部破片が発生したため安全性は△であった。
【0052】
[比較例3]
開放式蓋に代えたことを除き、比較例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧が280%となり、気密性は○、運搬性は△、落下強度は〇、蓋部の飛散が抑えられ安全性は○であった。
【0053】
[実施例1]
容器本体の筒部に長さ400mm隙間0.1mmのスティッチ状脆弱部を中央部リムを隔てて2個設け、それぞれのスティッチ状脆弱部に、長孔1個当たりの長さ20mm、長孔間の接合部長さ1mmの長孔を線状に穿設したことを除き、比較例1と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。着弾の衝撃でスティッチ状脆弱部の接合部が破断し、比較例1同様の長孔を形成した後、内部反応が進行したため、爆発圧は100%であり、接合部を設けた事で、長孔の隙間が広がらないため、表1同様に気密性は◎、落下強度は◎となり、運搬性は△、安全性は比較例同様に〇であった。比較例1に比べ、気密性と落下強度が向上した。
【0054】
[実施例2]
封止剤をアルミテープからシリコン接着剤に代えたことを除き、実施例1と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。着弾の衝撃でスティッチ状脆弱部の接合部が破断したため、爆発圧は100%と変わらず、気密性は◎、運搬性は○、落下強度は◎、安全性は○であった。実施例1に比べて、運搬性が向上することが分かった。
【0055】
[実施例3]
スティッチ状脆弱部の接合部長さを1mmから2mmに高めたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。着弾の衝撃でスティッチ状脆弱部の接合部が破断したため、爆発圧は変わらず、気密性は◎、落下強度は◎、安全性は○であり、運搬性が改善され○となった。
【0056】
[実施例4]
スティッチ状脆弱部の接合部長さを1mmから3mmに高めたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。着弾の衝撃でスティッチ状脆弱部の接合部が破断したため、実施例2に比べて、爆発圧が100%と変わらず、実施例2同様の結果となった。
【0057】
[実施例5]
スティッチ状脆弱部の接合部長さを1mmから5mmに高めたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。着弾の衝撃では、スティッチ状脆弱部の接合部が破断しなかったため、実施例2に比べて、爆発圧270%と増加し、蓋体が飛散したため、安全性が△となった。
【0058】
[実施例6]
蓋体を非開放式から開放式(ネジ式)の蓋体に代えたことを除き、実施例5と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。着弾の衝撃でスティッチ状脆弱部の接合部が破断しないため、爆発圧280%となるが、蓋体の飛散が抑制されたため、安全性が○となった。
【0059】
[実施例7]
スティッチ状脆弱部の長孔1個当たりの長さ60mm、長孔間の接合部長さ5mmの長孔を線状に穿設したことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。弾着の着弾の衝撃でスティッチ状脆弱部の接合部が破断しないが、実施例6に比べ接合部長さの合計が短いため、接合部に加わる応力が集中し破断しやすくなるため、爆発圧が125%に低下し、安全性が○となった。
【0060】
[実施例8]
スティッチ状脆弱部の長さを900mmに延長したことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。実施例2に比べて、爆発圧が95%に低下した。
【0061】
[実施例9]
中央リムを外したことを除き、実施例8と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。実施例8に比べて、圧力開放口が大きく開いたことで、爆発圧が80%に低下し、リムを外したことで落下強度が△に低下した。
【0062】
[実施例10]
本体スティッチ状脆弱部と同じ箇所の中央リムに本体同様の脆弱部を設けたことを除き、実施例8と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。実施例8に比べて、爆発圧が85%に低下した。
【0063】
[実施例11]
長孔の形状を直線から曲線に代えたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。結果は実施例2と同様であった。
【0064】
[実施例12]
長孔の形状を直線からL字に代えたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。結果は実施例2と同様であった。
【0065】
[実施例13]
長孔の形状を直線から斜めに代えたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。結果は実施例2と同様であった。
【0066】
[実施例14]
スティッチ状脆弱部の両端の長孔の形状を直線から図3のY字に代えたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。実施例2に比べて、低圧力から圧力開放されたことで、爆発圧は70%に低下した。
【0067】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るスティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器を用いれば、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を確実に避けて周囲の被害を抑制することができる。また、弾薬容器が銃撃された場合には、その衝撃により接合部が破断し繋がり大きな長孔を形成することでより内圧の上昇を抑える。すなわち、本発明に係るスティッチ状脆弱部を有する弾薬用容器においては、内装する火薬の組成と形状に応じて、応力集中箇所や狭い接合部を設けることで、低圧力領域から圧力開放を実現でき、燃焼速度の抑制が可能となり、また、接合部を設けることで、開口孔の隙間を細く維持でき、封止剤を用いても所望の封止強度を達成することができる。よって、本発明は、弾薬用容器として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
A 脆弱部1長さ
B 脆弱部1−2間長さ
C 脆弱部2長さ
D 長孔の隙間
E 長孔1コ当りの長さ
F 長孔1コ当りの接合部長さ
G Y字部切欠き長さ
H Y字部切欠き方向
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図6
図8