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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227765(P2015-227765A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】Y字状脆弱部を有する弾薬用容器
(51)【国際特許分類】
   F42B 39/20 20060101AFI20151120BHJP
【FI】
   F42B39/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-114395(P2014-114395)
(22)【出願日】2014年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593056082
【氏名又は名称】大川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 勇
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 恭一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 恒佑
(57)【要約】
【課題】通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられる弾薬用容器の提供。
【解決手段】有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、該容器本体の筒部に、軸方向に延びる所定長さの少なくとも1つの線状長孔部が所定隙間をもって内外貫通状に穿設されており、該線状長孔部の両端には、それぞれ、応力が集中する脆弱部が設けられ、該脆弱部は二股に分岐し、かつ、該脆弱部には線状脆弱部が設けられており、そして該線状長孔部及び該二股に分岐する線状脆弱部の内外貫通部の隙間に、封止手段を設けることで、該容器が封止されている、ことを特徴とする前記弾薬用容器。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、
該容器本体の筒部に、軸方向に延びる所定長さの少なくとも1つの線状長孔部が所定隙間をもって内外貫通状に穿設されており、
該線状長孔部の両端には、それぞれ、応力が集中する脆弱部が設けられ、該脆弱部は二股に分岐し、かつ、該脆弱部には、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該長孔部に対して20度〜160度の方向(切欠き方向)に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、脆弱部が設けられており、そして
該線状長孔部及び該二股に分岐する脆弱部の内外貫通部の隙間に、封止手段を設けることで、該容器が封止されている、
ことを特徴とする前記弾薬用容器。
【請求項2】
前記容器本体の筒部の長さ600〜1500mmであり、該筒部の厚みが略1mmであり、前記少なくとも1つの線状長孔部の長さが150mm以上であり、前記4つの内外貫通状の脆弱部の長さ(切欠き長さ)がそれぞれ略1mm以上であり、そして前記線状長孔部及び前記二股に分岐する脆弱部の内外貫通部の隙間が、ぞれぞれ、略0.1mmである、請求項1に記載の弾薬用容器。
【請求項3】
前記切欠き長さが略10mmであり、前記切欠き方向が90〜135度である、請求項2に記載の弾薬用容器。
【請求項4】
前記封止手段が熱により分解燃焼する接着剤又は塗装剤の前記隙間への充填である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾薬用容器。
【請求項5】
前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体が、該容器本体に溶接された蝶番部と、該容器内圧が0.3〜1.5MPaになったときに破断する破断ピンにより、該容器本体筒部に固定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾薬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器に関する。より詳しくは、本発明は、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられる前記弾薬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に記載されるように、りゅう弾砲用発射装薬等に使用される弾薬用容器とは、細かい粒状の発射薬を装填した複数個の発射装薬を梱包し、運搬し、弾薬庫に保管したりする際に一時的に使用する金属容器のことである。発射装薬をりゅう弾砲等の薬室に挿入する際には、弾薬用容器は発射装薬から取り除かれる。一般に、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬等に使用される梱包容器としての弾薬用容器は、運用面を配慮して一定以上の落下強度と気密性を有する構造となっている。
【0003】
近年、りゅう弾砲用発射装薬やその他火砲用の弾薬は、その貯蔵、運搬及び使用中における火災、被弾等を受けた際に、我の被害を最小限にする目的で、弾薬の不感化・低感度化(以下、IM(Insensitive Munition)化という)の開発、装備化が進められている。また、これらの弾薬のIM性や取り扱い評価方法として、米国のITOP(International Test Operations Procedure)やSTANAG(Standardization Agreement、NATO規格)などで試験方法が規格化されている。これらの規格の中で運用面での取り扱い性を評価する試験項目としては、落下試験、クックオフ試験、殉爆試験及び銃撃感度試験などが規定されている。このような規定は、弾薬単体だけではなく弾薬用容器を含めた状態でも満足する必要があるため、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬用の弾薬用容器にも高いIM性や強固な落下強度、高い気密性が要求されている。
【0004】
以下の特許文献2には、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、円筒部の外周面と内周面の少なくとも一方の面に接合部と干渉しない位置に切り込み部が設けられ、円筒部の肉厚に対する切り込み部の深さの比率が0.10〜0.95であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。
【0005】
また、以下の特許文献3にも、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、有底円筒状をなす容器本体の開口部には蓋体が接合され、容器本体の円筒部には螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、前記円筒部には接合部と干渉しない位置に複数の開口孔が設けられ、その開口孔を封止する封口板を有し、該封口板は円筒部の強度より低く設定されるとともに、円筒部の外周面の表面積に対する開口部の総面積の比率が0.02〜0.25であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。また、前記開口孔が設けられていない円筒状弾薬用容器の破壊強度に対する前記封口板の破壊強度の比率が0.1〜0.9である態様も開示されている。
【0006】
また、以下の特許文献4にも、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、円筒状をなす胴部に、筒部を有する円板状の底部と筒部を有する円板状の蓋部とが接合された円筒状弾薬用容器であって、前記底部と蓋部のうちいずれか低い方の破壊強度に対する胴部の破壊強度の比率が0.09〜0.50であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。また、前記蓋部と底部の各筒部間が補強部材で連結される態様も開示されている。
【0007】
また、以下の特許文献5には、衝撃や熱等を受けて収納された発射装薬が爆発したときにおいて、収納容器を所定の脆弱部において破壊させることにより、破壊による開口面積をできるだけ大きなものにして圧力を効果的に開放し、それ以上激しい反応が起きにくくするとともに、破片の飛散をできるだけ防止できる発射装薬の収納容器を提供することを目的として、螺旋状に巻かれた帯状金属板が溶接一体化されたものであるか又は予め筒状に形成されたものである筒体、筒体の両端部を閉塞する底部材と蓋部材を備えた発射装薬の収納容器であり、前記筒体が、内周面及び外周面の少なくとも一面において長さ方向に形成された螺旋状の脆弱部(前記溶接部であるか又は該溶接部を除く)を有している発射装薬の収納容器が開示されている。
【0008】
また、以下の特許文献6には、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和でき、周囲の被害を抑制できる円筒状弾薬用容器を提供することを目的として、有底円筒状をなす容器本体の開口部には蓋体が接合され、容器本体の円筒部には螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、前記円筒部には接合部と干渉する位置に少なくとも1個の貫通した開口孔が設けられ、その開口孔を封止する封口板を有し、前記円筒部の長さに対する開口孔の長さの和の比率が0.25〜3.0であることを特徴とする円筒状容器が開示されている。また、特許文献5には、前記円筒部の外径に対する開口孔の幅の比率が0.0001〜0.005である態様も開示されている。
【0009】
また、以下の特許文献7には、弾薬が燃焼する不所望の刺激を受けたときに、開放する弾薬収納容器であって、頂部、底部、及びその間の少なくとも1の側面を有する容器、ここで、該容器は、その内に爆薬を収納し、該爆薬はエネルギー材料を含み、その側面に接合部分と非接合部分を有する少なくとも1つの繋ぎ目を有し;並びに該繋ぎ目の非接合部分をシールするための接着剤等からなるシール、ここで該シールは、該容器の残部が破壊される前に、内圧が外圧よりも少なくとも3psi高いとき、破壊されるよう作用する;を含み、それにより該容器を開放し、収納されたエネルギー材料の燃焼速度を制御して、激しい反応を回避する前記弾薬収納容器が開示されている。
【0010】
さらに、以下の特許文献8には、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられ、周囲の被害を抑制できる弾薬用容器を提供することを目的として、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、前記容器本体の筒部は、金属長板が螺旋状に巻回されてその両側縁同士を接合することで、螺旋状に延在する接合部を有する円筒状に形成されており、前記筒部には、軸方向に延びる長孔が内外貫通状に穿設されており、前記長孔は、封止材によって封止され、該長孔及び該封止材の外面は金属製のカバー部材によって覆われていることを特徴とする弾薬用容器が開示されている。
【0011】
以上、従来技術として、爆薬用容器の円筒体に種々の形状の脆弱部や開口部を設けることが提案されているが、特許文献6〜8のみが、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することを教示している。
脆弱部とは、未加工箇所よりも引張強度(破断強度)が低い部分全体をいう。
具体的脆弱部としては、内外貫通加工、貫通しない切り欠き溝加工、内外貫通加工と
非加工部が線状に連続するスティッチ状の加工された箇所などが挙げられる。
長孔部とは、円筒体の軸方向に延びる線状の脆弱部の内、両端の2股に分岐する
線状の脆弱部は含まない部分をいう。
Y字部とは、長孔部の両端に設けられた2股に分岐した線状の脆弱部をいう。
長孔とは、内外貫通の加工を行った細長の孔をいう。
しかしながら、特許文献6〜8のいずれにも、該直線状の長孔部の両端に、それぞれ、二股に分岐する線状脆弱部が、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該長孔部に対して20度〜160度の方向に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、設けるか、又は、該内外貫通状の直線状の長孔に代えて、所定長さの長孔部が所定隙間をもって内外貫通状に長孔が穿設され、所定長さの非加工部と長孔が交互に並び点線状に軸方向に延びており、該軸方向に延びた点線状部分の両端では、それぞれ、同所定長さのスリット部が同所定隙間をもって内外貫通状に穿設され、該スリット部は、同所定長さの非スリット部と交互に点線状に、該軸方向に延びる点線状部分に対して20度〜160度の方向に、二股に分岐するように延びたものとすることは、教示も示唆もされていない。すなわち、特許文献6〜8はいずれも、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することに加えて、該直線状の長孔の両端を二股状又はY字状の脆弱部をさらに設けることは一切教示も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−226031号公報
【特許文献2】特開2011−145007号公報
【特許文献3】特開2011−252645号公報
【特許文献4】特開2012−2381号公報
【特許文献5】特開2012−17935号公報
【特許文献6】特開2012−117741号公報
【特許文献7】米国特許第7624888号明細書
【特許文献8】特開2013−44454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記したように、従来技術の弾薬用容器では、容器内部に収容された弾薬や発射装薬を構成する火薬類が発火した場合、高い気密性を有する弾薬用容器内において火薬類の燃焼反応が生じて圧力上昇するため、最終的には容器が爆発してしまい、周囲の人員や機材などに多大な被害や損失を与える事態が発生する。その問題を解決するための手段として、弾薬用容器の円筒体に種々の形状の脆弱部や開口部を設けて、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発を避けられ、周囲の被害を抑制できる弾薬用容器を提供することを目的とするものである。
また、前記したように、引用文献6と7は、かかる脆弱部又は開口部として、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することを教示しているものの、内装する火薬の種類や形状よっては、その脆弱化効果は未だ充分なものではない。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には長孔の穿設のみよりも低い圧力でより大きく開口し、爆発圧を低下させることによって、より確実に、周囲の被害を抑制することができる弾薬用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することに加えて、該直線状の長孔の両端にY字部をさらに設けること、及び前記内外貫通状の直線状の長孔の隙間に、封止手段を設けることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、
該容器本体の筒部に、軸方向に延びる所定長さの少なくとも1つの線状長孔部が所定隙間をもって内外貫通状に穿設されており、
該線状長孔部の両端には、それぞれ、応力が集中する脆弱部が設けられ、該脆弱部は二股に分岐し、かつ、該脆弱部には、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該長孔部に対して20度〜160度の方向(切欠き方向)に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、加工部が設けられており、そして
該線状長孔部及び該二股に分岐する脆弱部の内外貫通部の隙間に、封止手段を設けることで、該容器が封止されている、
ことを特徴とする前記弾薬用容器。
【0016】
[2]前記容器本体の筒部の長さ600〜1500mmであり、該筒部の厚みが略1mmであり、前記少なくとも1つの長孔部の長さが150mm以上であり、前記4つの内外貫通状のY字部の切欠き長さがそれぞれ略1mm以上であり、そして前記線状長孔部及び前記二股に分岐するY字部の内外貫通部の隙間が、ぞれぞれ、略0.1mmである、前記[1]に記載の弾薬用容器。
【0017】
[3]前記切欠き長さが略10mmであり、前記切欠き方向が90〜135度である、前記[2]に記載の弾薬用容器。
【0018】
[4]前記封止手段が熱により分解燃焼する接着剤又は塗装剤の充填である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【0019】
[5]前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体が、該容器本体に溶接された蝶番部と、該容器内圧が0.3〜1.5MPaになったときに破断する破断ピンにより、該容器本体筒部に固定されている、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るY字部を有する弾薬用容器を用いれば、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には、従来より大きな開口を確保できることで爆発圧を低下させ、より確実に周囲の被害を抑制することができる。すなわち、本発明に係るY字部を有する弾薬用容器においては、内装する火薬の組成と形状に応じて、長孔部の長さ、接合部の長さ、Y字部の形状及び長さを変更することで、開放する圧力領域を変更することができる。また、開口孔の隙間をより細くすることで、前記封止剤による気密性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術の弾薬用容器の斜視図である。図中、容器本体の長孔貫通部の隙間を示す。
図2】本実施形態に係るY字部を有する長孔部及び開放蓋体を有する弾薬用容器の斜視図である。図中、脆弱部の長さ、Y字部切欠き方向20度、Y字部切欠き長さ、筒部中央部に設けられた任意的リブ、開放蓋体の蝶番部及び破断ピンを示す。
図3】本実施形態に係る中央リブを隔てて2つの、Y字部を有する長孔を有する弾薬用容器の斜視図である。図中、A:長孔1の長さ、B:長孔1−2間の長さ、C:長孔2の長さ、G:Y字部切欠き長さ、H:Y字部切欠き方向を示す。
図4】本実施形態に係るY字部を有する脆弱部及び開放蓋体を有する弾薬用容器の斜視図である。図中、A:脆弱部1の長さ、D:長孔の隙間、E:長孔1個当たりの長さ、F:長孔間の接合部長さ、G:Y字部切欠きの長さ、H:Y字部の切欠き方向(角度)、並びにY字部溝切り状切欠き(接合面積30%)及びY字部スティッチ状切欠きの(接合面積30%)の態様を示す。
図5】各種安全性評価とそれらを説明する概略図である。
図6】安全性試験セットアップ状態を説明する図である。
図7】各態様における安全性の試験結果の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
前記したように、本実施形態に係る弾薬用容器は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、
該容器本体の筒部に、軸方向に延びる所定長さの少なくとも1つの線状長孔部が所定隙間をもって内外貫通状に穿設されており、
該線状長孔部の両端には、それぞれ、応力が集中する脆弱部が設けられ、その脆弱部は、二股に分岐しかつ、該脆弱部には、所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該長孔部に対して20度〜160度の方向(切欠き方向)に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、加工部が設けられており、そして
該線状長孔部及び該二股に分岐する脆弱部の内外貫通部の隙間に、封止手段を設けることで、該容器が封止されている、
ことを特徴とする。
【0023】
本発明者は、容器に内装する火薬の組成及び燃焼反応速度、容器の内部圧力の上昇、容器素材の破断強度、容器の開口面積等をシミュレーションし、さらに実際に検証した結果、従来技術のスリット構造では、低圧力領域で圧力開放が不十分となり、容器の安全内圧を達成できないか又は容器の安全性が担保できない場合があることが分かった。そこで、従来のスリット構造に代えて、その両端にY字部を有するスリット構造を新たに提供するものである。
【0024】
また、内装する火薬が一気に燃焼した場合、従来技術の圧力開放機能では、圧力開放速度が追いつかず、火薬が爆燃し、蓋体を飛翔させ、周囲の者に怪我をさせる危険があることも判明した、そこで、従来技術の非開放式(ネジ式)の蓋体に代えて、図2、4に示す。開放式の蓋体を提供するものである。かかる開放式の蓋体の破断ピンの破断強度は、内装する火薬の組成と燃焼速度から決定することができる。本発明においては、好ましくは、容器本体の開口を塞ぐ蓋体が、該容器本体に溶接された蝶番部と、該容器内圧が0.3〜1.5MPaになったときに破断する破断ピンにより、該容器本体筒部に固定されたものであることができる。尚、特許文献4では、底部と蓋部のうちいずれか低い方の破壊強度に対する胴部の破壊強度の比率が0.09〜0.50である円筒状弾薬用容器が開示されている。すなわち、特許文献4では、胴部の破壊強度は蓋体の破壊強度よりも低いものとなっている。
【0025】
図1に、従来技術の弾薬用容器を示す。蓋体はネジ式の非開放型であり、スリットは、直線状の貫通した長孔であり、所定の隙間を有している。本発明における長孔の隙間も図示されるものと同様に規定されるが、図4にDとして規定する。弾薬用容器(単に容器ともいう。)は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有し、内部に複数個の弾薬(図示せず)が直列に並べて装填されるようになっている。弾薬(発射薬)としては、シングルベース発射薬、ダブルベース発射薬、トリプルベース発射薬、マルチベース発射薬等が用いられる。通常、容器本体の軸方向端部には容器本体の外面を囲むように設けられた、補強用のリムが設置され、図2、3に示すように、かかる補強用のリムは容器本体の中央部に追加的に設置されることもある。
【0026】
容器本体は、金属製であり、その筒部は長尺状の金属長板が螺旋状に巻回されてその両側縁同士が突き合わされ、シーム溶接などにより接合されることで円筒状に形成されているものであることができる。したがって、容器本体の筒部には、軸方向に延びる螺旋状の接合部を有する。接合部は、容器本体の底面に対して20〜40°程度の角度で螺旋状に延びている。金属板の材質は特に限定されず、従来からこの種の弾薬用容器に使用されている金属の全てが使用できる。中でも、剛性の高い鋼板が好ましい。
【0027】
従来技術の蓋体はカップ状であり、弾薬用容器内を密閉できるものであれば、その材料は特に制限されない。例えば、容器本体と同様の金属製とするほか、プラスチック製、繊維強化プラスチック製、樹脂含浸紙製、又はゴム製とすることも可能である。蓋体は、容器本体の開口へ圧入又は螺合により嵌合される。
【0028】
前記したように、リムも容器本体と同様の金属製であり、容器本体の外面へ溶接されている。リムの外周面形状は円形であり、直径は同一である。弾薬用容器を横倒し状態にしたとき、リムが地面に接して支点となり容器本体は直接地面に接しないことで、容器本体の破損防止に有利となっている。
【0029】
図1に示すように、従来技術の容器本体の筒部には、軸方向に延びる長孔が内外貫通状に穿設されている。当該長孔を有することにより、弾薬用容器内において弾薬が発火したときに長孔を介して燃焼ガスを弾薬用容器外へ放出することで内圧上昇を抑制でき、弾薬用容器の爆発を回避することができるとされてきた。
しかしながら、前記したように、本発明者は、容器に内装する火薬の組成及び燃焼反応速度、容器の内部圧力の上昇、容器素材の破断強度、容器の開口面積等をシミュレーションし、さらに実際に検証した結果、従来技術のスリット構造では、低圧力領域で圧力開放が不十分となり、容器の安全内圧を達成できないか又は容器の安全性が担保できない場合があることを見出し、かかる従来技術のスリット構造に代えて、Y字部を有するスリット構造を新たに提供するものである。
【0030】
図2に、本実施形態に係るY字部を有する長孔及び開放蓋体を有する弾薬用容器を示す。長孔の長さは図2図4に示すように規定される。Y字部切欠き方向とY字部切欠き長さも図2図4に示すように規定される。図2において蓋体は開放型である。
また、図3に、本実施形態に係る中央部リブを隔てて2つの、Y字部を有する長孔を有する弾薬用容器を示す。図3では、Y字部の切欠き方向が120度となっている。
従来技術のスリット構造と本実施形態に係るY字部を有する長孔とは、従来技術のスリット構造の両端に、Y字状の切欠き(Y字部切欠き)が存在するか否かの点で、相違する、但し、このY字部切欠きは、図4に示す、Y字部溝切り状切欠き(接合面積30%)や、Y字部スティッチ状切欠き(接合面積30%)の加工部であることができる。これが、「所定隙間をもって内外貫通状に又は貫通しない切り欠き溝状若しくはスティッチ状に且つ該長孔部に対して20度〜160度の方向(切欠き方向)に、該容器筒部の肉厚に対して0.0〜0.9倍の引張強度となるように、線状長孔部の両端に、それぞれ、設けられた、応力が集中する二股の分岐する脆弱部」である。かかる「二股に分岐する脆弱部(Y字部)」の存在により、本実施形態に係る弾薬用容器は、従来技術の弾薬用容器に比べて爆発圧が低下し、かつ、安全性が高められたたものとなっている。
【0031】
本実施形態に係る弾薬用容器では、長孔の穿設本数は1本でもよいが、容器強度が維持される限り、図3に示すように複数本(例えば、2〜15本程度)設けてもよい。長孔の長さも、穿設本数に応じて適宜設定すればよい。例えば、長孔の穿設本数が比較的少ない(例えば、1〜3本程度)場合は長寸にし、長孔の穿設本数が比較的多い(例えば、4本以上)場合は短寸にすることもできる。また、長孔を複数本穿設する場合は、容器本体の周方向に等間隔で設けることが好ましい。金属変形で開口孔を形成しやすく燃焼ガスを効率良く外部へ放出できるからである。また、長孔は基本的には線状、好ましくは直線状であるが、湾曲状や螺旋状に形成することもできる。また、長孔は容器本体の軸方向(中心軸)と平行に設けてもよいし、容器本体の軸方向(中心軸)に対し斜めに設けることもできる。本実施形態では、図2図3に示すように、容器本体の軸方向両端部に亘る長寸な直線状の長孔を、容器本体の軸方向(中心軸)と平行に形成して、筒部へ1、2本設けている。前記長孔部の少なくとも1本の長さが150mm以上であれば、燃焼ガスを効率良く外部へ放出できることができる。
【0032】
従来技術の弾薬用容器の筒部外周面には、長孔を外面から封止するように板状の封止材が接合される場合がある。封止材は、長孔の開口面積より大寸であり、長孔の外周部において容器本体へ接着ないし溶接等によって接合されている。封止材は、容器本体よりも強度が低い素材からなる。弾薬用容器内において弾薬が発火した際に、内圧上昇に伴って他の部位よりも優先的に破損されなければならないためである。すなわち、長孔及び封止材は、脆弱部と称すこともできる。例えば、鉄鋼製の容器本体に対して、封止材はアルミニウムや銅などの軟質金属製、又はポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製とする。封止材は、(アルミニウム)テープ状でもよいし、板状でもよい。
【0033】
これに対し、本実施形態に係る弾薬用容器では、長孔部及びY字部切欠きの隙間を、好ましくは略0.1mmと狭くし、封止剤を充填することで、容器を封止してもよい。開口孔の隙間を細くした上で所定の封止剤を用いれば、所望の容器気密性と容器強度を達成することができ、また、上記アルミニウムテープ等の封止材を傷つける運搬上のリスクを低減することができる。
【0034】
本実施形態に係る弾薬用容器本体の筒部の長さは、好ましくは600〜1500mmであり、筒部の厚みは、好ましくは略1mmであり、線状長孔部の長さは、好ましくは略1000mmであり、長孔1個当りの長さは、好ましくは略1mm以上であり、そして脆弱部の内外貫通部の隙間は、この好ましくは略0.1mmである。
また、Y字部切欠き長さは、好ましくは略5mm〜10mmであり、切欠き方向は、好ましくは90〜135度であり、そして封止剤は、好ましくは熱により分解燃焼する接着剤又は塗装剤である。
【0035】
以下、本実施形態に係る弾薬用容器の作用について説明する。
弾薬用容器の運搬時や一時保管時等の取扱時において、衝撃や温度上昇等の原因により弾薬用容器内の弾薬が燃焼反応を引き起こした場合、発生する燃焼ガスによって弾薬用容器内の圧力が上昇する。すると、燃焼ガスにより長孔の隙間の封止手段が破壊され、さらに、Y字部切込みの先端に応力が集中することで、所望の大きさに開口し、燃焼ガスが、容器安全内圧以下で外部に放出される。これにより、弾薬用容器の内圧上昇が抑制されるので、弾薬用容器の爆発が回避され、安全性が高まる。
【0036】
さらに、本実施形態に係る弾薬用容器では、蓋体が、従来技術の非開放式(ネジ式)から、図2、4に示す開放式にすることができる。好ましい実施態様では、前記容器本体の開口を塞ぐ蓋体が、該容器本体に溶接された蝶番部と、該容器内圧が0.3〜1.5MPaになったときに破断する破断ピンにより、該容器本体筒部に固定されている開放式になっている。これにより、容器内に収容している火薬が一気に燃焼した場合、容器本体に設けた線状長孔等の圧力開放機構のみでは、圧力開放速度が追いつかず、蓋体が飛翔して、近くにいる人に怪我をさせる危険を低減することができる。
前記蝶番部の破断強度は、前記破断ピンの破断強度よりも高く、内装する火薬を構成する火薬の組成や燃焼速度を考慮し、破断ピンの素材、外径を適宜選択することで、破断ピンの破断強度を調整することができる。
また、開放式の蓋体であっても、容器本体を金属製としながら、容器本体の開口を該蓋体で塞いでいるので、従来と同様の落下強度及び気密性を有する。
【実施例】
【0037】
以下の実施例等により本発明を具体的に説明する。
実施例で使用した評価方法を以下に説明する。
【0038】
[安全性の評価]
(応答の型)
応答の型は以下に分類される。
I型の応答(爆轟):火薬事象の最も烈しい型。超音速分解反応(爆轟)がエネルギ物質中を伝播して周囲の媒体(例えば、空気、水)には強い衝撃を発生し、金属容器には超高速塑性変形とそれに伴う多くの破片生成を生じる。また、砲弾のあった地面または近くの地面には大きいクレータが見られ、隣接金属プレートの貫通孔、塑性変形、破片生成、近隣構造物の爆風過圧損傷、等の効果もある。
II型の応答(部分爆轟):火薬事象の2番目に烈しい型。エネルギ物質の全部ではないがその一部がI型の応答を起す。強い衝撃が起きて、容器の一部が壊れて小さい破片になり、地面にクレータができ得、隣接金属プレートにI型の応答と同じ損傷を生じ得、近隣構造物に爆風過圧損傷を生じる。II型の応答は、烈しい圧力破裂(脆性破壊)に似る、大きい容器破片を生じ得る。I型の応答と比較しての損傷の程度は、物質の爆轟した比律に依存する。
III型の応答(爆発):火薬事象の3番目に烈しい型。密閉されたエネルギ物質の発火と迅速燃焼が高い局部圧力上昇を発生して密閉構造に烈しい圧力破裂を誘起する。金属容器は大きい破片になり(脆性破壊)、遠くに飛ぶこともある。未反応エネルギ物質も飛散し、中には燃えながら飛ぶものもある。空気衝撃(air shock)が発生するので、これが近隣構造物を損傷することもある。火災と発煙の危害がある。爆風と高速破片が地面に小さいクレータを、隣接金属プレートに損傷(分割、裂け、溝状キズ)をつくり得る。爆風圧はI型やII型の応答よりも低い。
IV型の応答(爆燃):火薬事象の4番目に烈しい型。密閉されたエネルギ物質の発火と燃焼が、低強度容器や容器壁の通気口(差し込み口の隙間、点火カプセル、等々)に、弱い圧力放出を誘起する。容器は破裂するが、破片にはならない、オリフィス付き蓋が外れて未燃焼エネルギ物質が飛散して、中には燃えながら飛ぶものもある、火が広がる。圧力開放が固定されていない試験アイテムを推進させて二次危害を生じることもある。周囲に爆風効果や著しい破片損傷を生じることはなく、被害はエネルギ物質燃焼による熱と煙の被害だけである。
V型の応答(燃焼):火薬事象の最下位の烈しい型。エネルギ物質が発火して推進することなく燃える。容器は穏やかに裂けるが、熔融または弱化して燃焼ガスがゆっくり開放できるようになり、容器の蓋は内圧によって開く。殆どの残骸は火災現場に残る。残骸が兵員に致死的負傷を負わせることも、有害な破片が15m(49フィート)を超えて飛ぶことも考えられない。
反応なし。
【0039】
(スロークックオフ試験)
図5に示すように、実施例の安全性評価としては、装薬が高温状態で保持された場合の反応性評価であるスロークックオフ試験を使用した。かかるスロークックオフ試験は、STANAGに準拠した条件で実施した。
【0040】
(安全性評価の試験手順)
図6に示すように、金属容器に発射装薬を入れ、金属容器の側面に電熱線を取付け、金属容器の内部に熱電対を設置し、内部の温度上昇速度を3.3℃/hrに維持するように、電熱線に流す電圧及び電流値を変化させた。
【0041】
(安全性の評価)
最終反応後の破片数に応じて、以下の評価基準で安全性を評価した:
○:0個
△:1個
×:2個以上
(爆発圧の評価)
金属容器に発射装薬を入れ、底部にデジタル出力ができる圧力計を設置し、反応前後の最大圧力値を評価した。爆発圧は、比較例1を100%基準として、評価した。
図7に、試験結果の一例を示す。
火薬の燃焼速度は、組成(ニトログリセリン量等)や形状(表面積)で、使用用途に応じて調整されている。そのため、火薬の組成や形状を考慮して、燃焼速度シミュレーションを行い、容器内に発生する内圧を想定した。以下の実施例では、低い燃焼速度の発射装薬(以下、低燃薬)として、組成(トリプルベース)、形状(粒状)を、そして速い燃焼速度の発射装薬(以下、急燃薬)として、組成(ダブルベース)、形状(微粒子状)を用いた。
【0042】
[容器落下強度の評価]
(落下試験)
内容物の入った包装容器を規定の高さから自然落下させる試験を実施した。具体的には、包装容器の中に発射装薬を入れ、I-TOPによる既定の高さ(12m,2.1m,1.5m)と規定の角度(水平、垂直、斜め)になるように包装容器をセットして自然落下させ、落下後の状況を判断した。落下する地面はコンクリートに厚さ20mmの鉄板を敷いたものを使用した。落下後の装薬の運用性を判断した。例えば、長孔が長い包装容器は、変形し装薬が破壊され変形した箇所から内容物(火薬)が放出され危険である。弾薬用包装容器は、様々な条件下でも、安全に装薬を運搬できる構造でなければならない。落下試験は、運搬時の取扱い性の評価指標であり、以下の3つの基準がある:
12m落下によって、包装容器から内容物が飛散しないこと
2.1m落下後も、発射装薬を取りだすことができ、かつ安全に射撃ができること
1.5m落下後も、包装容器に所定の気密性(0.02MPaで空気リークなし)を有すること
(容器落下強度の評価)
以下の評価基準に従い、容器落下強度を評価した:
◎:上記3つの基準を十分に満足する
○:上記3つのいずれかの基準を満足するが、満足しない基準がある
×:基準を満足しないものがある
【0043】
[気密性の評価]
表1に示す予察試験では、気密性を強調評価するため、レーザー切削により隙間0.1mm〜3.0mmで、直線状に50mm長孔を加工し、該長孔部に各種封止剤を入れ、容器に蓋をし、内圧を加え、封止部分から空気が漏れないことを確認した。
表2に示す実施例では、レーザー切削により表2に示す脆弱部を加工し、該脆弱部に各種封止剤を入れ、容器に蓋をし、内圧を加え、封止部分から空気が漏れないことを確認した。以下の評価基準で気密性を評価した:
◎:0.3MPaでリークがないこと
○:0.02MPaでリークがないこと
△:0.02MPaで一部リークあり
×:常圧で剥れがある(常圧でも気密性がない)
【0044】
[運搬性の評価]
金属缶を車両に乗せる際、所定の治具を用いて積載し車両にて運搬する。更に車両から積み下ろし使用場所まで手動で運搬する。移動後金属缶から内容物を取り出す動作を実施し、既存品の運搬に対して違いがないか確認し評価した。
○:既存品と同様に運搬・運用が可能
△:既存品とは違う運搬治具が必要、又は運搬時接触等の注意が必要
【0045】
以下の各種封止剤を予め検討し、シリコン接着剤を以下の実施例で用いた。ウレタン(系接着剤)、セルロース(系接着剤)(セメダイン(登録商標))、エポキシ(系接着剤)、塗装剤でも実施した。
【表1】
【0046】
[比較例1]
容器本体の筒部に、中央部リムを隔てて長さ400mm隙間1mmの長孔を2つ設けアルミテープで封止し、低燃薬を装填し、更に、非開放式蓋で封止した容器の爆発圧、安全性、気密性、運搬性、落下強度、を、上記評価試験により評価した。結果を以下の表2に示す。また、比較例1における運搬性は、運搬時にアルミテープ部が容易に傷つくため△であった。E:長孔1個当りの長さが400mmと長いため、各長孔の中央が広がり、長孔の隙間が1mm以上となるため気密性は表1と同様○であった。また、比較例1における爆発圧を100%基準とした。安全性は○、落下強度は○であった。
【0047】
[比較例2]
急燃薬に代えたことを除き、比較例1と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は300%に上昇し、蓋体及び容器の一部が飛翔し、安全性は×であった。
【0048】
[比較例3]
蓋体を開放蓋に代えたことを除き、比較例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。蓋体は飛翔しなかったが、容器の一部が飛翔し、安全性は△であった。比較例2に比べて、爆発圧は300%のままであり、蓋体を変えても結果は十分な安全性は得られなかった。
【0049】
[実施例1]
隙間を0.1mmとし、Y字部切欠き長さ1mm、Y字部切欠き方向30度のY字部を設けたことを除き、比較例1と同様に、評価した。結果を以下の表2に示す。Y字部を設けたことにより、一部の長孔部が開口していないにも拘わらず、爆発圧は95%に低下した。
【0050】
[実施例2]
急燃薬を用いたことを除き、実施例1と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧120%に増加し、全部の長孔部が大きく開口したが、一部の蓋体が飛散したため、安全性は△であった。
【0051】
[実施例3]
蓋を非開放式に代えたことを除き、実施例2と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は120%のままであったが、安全性は〇であった。
【0052】
[実施例4]
Y字部切欠き長さを10mmに代えたことを除き、実施例1と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は80%であり、安全性は○であった。
【0053】
[実施例5]
急燃薬を用いたことを除き、実施例4と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧120%に増加し、全部の長孔部が大きく開口したが、一部の蓋体が飛散したため、安全性は△であった。
【0054】
[実施例6]
Y字部切欠き方向を120度に代えたことを除き、実施例4と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は70%に低下した。
【0055】
[実施例7]
急燃薬を用いたことを除き、実施例6と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧105%に増加し、全部の長孔部が大きく開口し、安全性は○であった。
【0056】
[実施例8]
封止剤をアルミテープからシリコン接着剤に代えたことを除き、実施例6と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は70%と変わらなかったが、運搬性は○となった。
【0057】
[実施例9]
急燃薬を用いたことを除き、実施例8と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧105%に増加し、全部の長孔が大きく開口し、安全性は○であった。
【0058】
[実施例10]
長孔に接合箇所を設け、長孔1個当たりの長さを50mm、長孔間の接合物長さを1mmとスティッチ状にしたことを除き、実施例8と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は70%と変わらなかったが、気密性は◎、落下強度は◎となった。
【0059】
[実施例11]
長孔部1の長さを900mmに延長するとともに、長孔部2と中央部リムをなくしたことを除き、実施例10と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧が60%と低下し、落下強度は○となった。
【0060】
[実施例12]
中央部リムを設けたことを除き、実施例11と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。落下強度は◎となり、爆発圧は70%に増加した。
【0061】
[実施例13]
胴体脆弱部と同様に中央リム部に脆弱部を設けたことを除き、実施例12と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。リム部も破断し、爆発圧は65%と低下した。
【0062】
[実施例14]
急燃薬を用いたことを除き、実施例10と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧105%に増加し、全部の長孔部が大きく開口し、安全性は○であった。
【0063】
[実施例15]
Y字部切欠きを薄肉加工(接合面積30%溝切り)としたことを除き、実施例10と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は75%に僅かに上昇したが、安全性は○であった。
【0064】
[実施例16]
急燃薬を用いたことを除き、実施例15と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧112%に増加し、全部の長孔部が大きく開口し、安全性は○であった。
【0065】
[実施例17]
Y字部切欠きを断続貫通(接合面積30%スティッチ状)としたことを除き、実施例10と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧は75%に僅かに上昇したが、安全性は○であった。
【0066】
[実施例18]
急燃薬を用いたことを除き、実施例17と同様に試験した。結果を以下の表2に示す。爆発圧112%に増加し、全部の長孔部が大きく開口し、安全性は○であった。
【0067】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るY字部を有する弾薬用容器を用いれば、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には低い圧力で開口し、容器内に発生する最大圧力低下させることができる。それによって、容器が爆発するリスクをより確実に低減でき、結果、周囲の被害をより低減することができる。すなわち、本発明に係るY字部を有する弾薬用容器においては、内装する火薬の組成と形状に応じて、長孔部の長さ、長孔間の接合部長さ、Y字部の形状及び切欠き長さを変更することで、開放する圧力領域を変更することができる。また、開口孔の隙間を細くすることで、封止剤を用いても所望の封止強度を達成することができる。さらに、当該弾薬用容器の蓋体を非開放式から開放方式にすることにより、過剰外部刺激で非常な圧力上昇が生じた場合でも、蓋体を飛翔させることがなく、周辺の被害をより軽減できる。よって、本発明は、弾薬用容器として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
A 脆弱部1長さ
B 脆弱部1−2間長さ
C 脆弱部2長さ
D 長孔の隙間
E 長孔1個当たりの長さ
F 長孔間の接合部長さ
G Y字部切欠きの長さ
H Y字部切欠き方向(角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7