【解決手段】像保持体と、像保持体表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、転写手段に給電する給電部材と、転写手段を像保持体に向かって押圧する第1の押圧手段と、給電部材を第1の押圧手段の押圧方向と交差して転写手段に向かって押圧する第2の押圧手段と、を備え、第1の押圧手段と第2の押圧手段が、転写手段及び給電部材の軸線方向において重なって配置されている。
前記第2の押圧手段が、前記給電部材を前記転写手段が接触する位置における前記像保持体の曲率中心と前記転写手段の回転中心を結んで仮想される線を含んで前記記録媒体の搬送方向における上流側で押圧する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、スペースの増加を抑制しつつ、転写手段に対して給電部材を確実に従動させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1記載の画像形成装置は、
像保持体と、
前記像保持体表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段に給電する給電部材と、
前記転写手段を前記像保持体に向かって押圧する第1の押圧手段と、
前記給電部材を前記第1の押圧手段の押圧方向と交差して前記転写手段に向かって押圧する第2の押圧手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第1の押圧手段と前記第2の押圧手段が、前記転写手段及び前記給電部材の軸線方向において重なって配置されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記第1の押圧手段が、前記転写手段を前記記録媒体の搬送方向上流側において前記記録媒体の搬送方向を含んだ前記記録媒体の搬送方向下流側へ押圧する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第2の押圧手段が、前記給電部材を前記転写手段が接触する位置における前記像保持体の曲率中心と前記転写手段の回転中心を結んで仮想される線を含んで前記記録媒体の搬送方向における上流側で押圧する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記転写手段を、前記第1の押圧手段の押圧方向に沿って前記像保持体から前記像保持体に接触しない退避位置へ移動させる移動手段を更に備え、
前記移動手段で前記転写手段を退避位置に移動させ、前記給電部材の前記転写手段への押圧を解除する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記給電部材が、前記転写手段に接触して回転する円柱状の給電ロールである、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び2に記載の発明によれば、給電部材を第1の押圧手段の押圧方向と交差して転写手段に向かって押圧する第2の押圧手段を有しない場合に比して、スペースの増加を抑制しつつ、転写手段に対して給電部材を確実に従動させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、転写手段を記録媒体の搬送方向上流側において記録媒体の搬送方向を含んだ記録媒体の搬送方向下流側へ押圧しない場合に比して、転写ニップ領域において記録媒体を安定してニップすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、像保持体の回転軸心と転写手段の回転軸心を結んで仮想される線に対して記録媒体の搬送方向において上流側で給電部材を押圧しない場合に比して、転写手段を確実に像保持体に向かって押圧することができる。
請求項5に記載の発明によれば、移動手段で転写手段を退避位置に移動させ、給電部材の転写手段への押圧を解除しない場合に比して、長期保管時の転写手段の変形を抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、転写手段に安定して給電することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0015】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0016】
画像形成装置1は、制御装置10、給紙装置20、感光体ユニット30、現像装置40、転写装置50、定着装置60、を備えて構成されている。画像形成装置1の上面(Z方向)には、画像が記録された用紙が排出・収容される排出トレイ1aが形成されている。
【0017】
制御装置10は、画像形成装置1の動作を制御する画像形成装置制御部11と、印刷処理要求に応じた画像データを準備するコントローラ部12、露光ヘッドLHの点灯を制御する露光制御部13、電源装置14等を有する。電源装置14は、後述する帯電ローラ32、現像ローラ42、一次転写ローラ52、給電部材の一例としての給電ローラ54等に電圧を印加するとともに、露光ヘッドLH、給紙装置20、定着装置60及び備えられた各センサ等に電力を供給する。
【0018】
コントローラ部12は、外部の情報送信装置(例えばパーソナルコンピュータ等)から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定されたタイミングで、駆動信号を露光ヘッドLHに出力する。本実施形態の露光ヘッドLHは、複数の発光素子(LED:Light Emitting Diode)が主走査方向に沿って線状に配列されたLEDヘッドにより構成されている。
【0019】
画像形成装置1の底部には、給紙装置20が設けられている。給紙装置20は、用紙積載板21を備え、用紙積載板21の上面には多数の記録媒体としての用紙Pが積載される。用紙積載板21に積載され、規制板(不図示)で幅方向位置が決められた用紙Pは、上側から1枚ずつ用紙引き出し部22により前方(−X方向)に引き出された後、レジストローラ対23のニップ部まで搬送される。
【0020】
感光体ユニット30は、給紙装置20の上方(Z方向)に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する像保持体としての感光体ドラム31を備えている。感光体ドラム31の回転方向にそって、帯電ローラ32、露光ヘッドLH、現像装置40、一次転写ローラ52、クリーニングブレード34が配置されている。帯電ローラ32には、帯電ローラ32の表面をクリーニングするクリーニングローラ33が対向、接触して配置されている。
【0021】
現像装置40は、内部に現像剤が収容される現像ハウジング41を有する。現像ハウジング41内には、感光体ドラム31に対向して配置された現像ローラ42と、この現像ローラ42の背面側斜め下方には現像剤を現像ローラ42側へ撹拌搬送する一対のオーガ44、45が配設されている。現像ローラ42には、現像剤の層厚を規制する層規制部材46が近接配置されている。
現像装置40各々は、現像ハウジング41に収容される現像剤を除いて同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0022】
回転する感光体ドラム31の表面は、帯電ローラ32により帯電され、露光ヘッドLHから出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム31上に形成された静電潜像は現像ローラ42によりトナー像として現像される。
【0023】
転写装置50は、各感光体ユニット30の感光体ドラム31にて形成された各色トナー像が多重転写される像保持体の一例としての中間転写ベルト51、各感光体ユニット30にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト51に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ52を備えている。さらに、中間転写ベルト51上に重畳して転写された各色トナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)する転写手段の一例としての二次転写ローラ53、二次転写ローラ53に二次転写バイアスを給電する給電部材の一例としての給電ローラ54とから構成されている。
【0024】
各感光体ユニット30の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、画像形成装置制御部11により制御される電源装置14等から所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ52により中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
【0025】
中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、中間転写ベルト51の移動に伴って二次転写ローラ53が配置された領域(二次転写部T)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部Tに搬送されると、そのタイミングに合わせて給紙装置20から用紙Pが二次転写部Tに供給される。そして、給電ローラ54には、画像形成装置制御部11により制御される電源装置14等から所定の転写電圧が印加され、レジストローラ対23から送り出され、搬送ガイドにより案内された用紙Pに中間転写ベルト51上の多重トナー像が一括転写される。
【0026】
感光体ドラム31表面の残留トナーは、クリーニングブレード34により除去され、廃現像剤収容部に回収される。感光体ドラム31の表面は、帯電ローラ32により再帯電される。尚、クリーニングブレード34で除去しきれず帯電ローラ32に付着した残留物は、帯電ローラ32に接触して回転するクリーニングローラ33表面に捕捉され、蓄積される。
【0027】
定着装置60は、定着ユニット600、搬送ローラ対68、排出ローラ対69を備えて構成されている。定着ユニット600は、加熱モジュール61と加圧モジュール62を有し、加熱モジュール61と加圧モジュール62の圧接領域によって定着ニップ部N(定着領域)が形成される。
【0028】
転写装置50においてトナー像が転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で搬送ガイドを経由して定着装置60に搬送される。定着装置60に搬送された用紙Pは、一対の加熱モジュール61と加圧モジュール62により、圧着と加熱の作用でトナー像が定着される。
定着トナー像が形成された用紙Pは、搬送ローラ対68を介して排出ローラ対69から画像形成装置1上面の排出トレイ1aに排出される。
【0029】
(2)転写装置の構成及び動作
図2は二次転写ローラ53及びを給電ローラ54含む転写装置50の内部構成を示す断面模式図、
図3は二次転写ローラ53、給電ローラ54及び押圧機構を示す要部断面模式図、
図4(a)は二次転写ローラ53、給電ローラ54及び押圧機構の斜視図、(b)は軸線方向の概略図である。
以下、図面を参照しながら転写装置50の構成と動作について説明する。
【0030】
(2.1)転写装置の構成
図2に示すように、転写装置50は、像保持体の一例としての中間転写ベルト51が駆動ローラDR、支持ローラSRで循環移動可能に張架された状態で、裏面51b側から一次転写ローラ52に支持されて、表面51a側がそれぞれの感光体ドラム31に接触して配置されている。
また、転写装置50は、中間転写ベルト51上に存在する残留トナー等を除去する中間転写ベルトクリーナ58を備えている。
【0031】
中間転写ベルト51は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたものが用いられ、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるように形成されており、その厚みは例えば、0.1mm程度のフィルム状の無端ベルトで構成されている。
【0032】
一次転写部は、中間転写ベルト51を挟んで、各感光体ドラム31に対向して設けられる一次転写ローラ52で構成され、各一次転写ローラ52には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム31上のトナー像が中間転写ベルト51に順次、静電吸引され、中間転写ベルト51上に重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
一次転写ローラ52としては、例えば、外径8mmの円筒形で、SUS、鉄、アルミなど従来公知の金属を用いることができるが、特に金属表面にニッケル、銅、クロム等のメッキ処理を施したものが好適に用いられる。
【0033】
二次転写部は、中間転写ベルト51を挟んで駆動ローラDRに対向して配置された二次転写ローラ53と、二次転写ローラ53に回転可能に接触して配置された給電部材の一例としての金属製の給電ローラ54で構成されている。
そして、給電ローラ54には、二次転写バイアスを供給するように電源装置14の転写バイアス電源140が接続され、転写バイアス電源140は二次転写バイアスを生成し、生成した二次転写バイアスを、給電ローラ54を介して二次転写ローラ53に安定的に印加する。
【0034】
二次転写ローラ53は、シャフト53aと、シャフト53aの周囲に固着された弾性体層53bとで構成されている。シャフト53aは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。弾性体層53bは例えば体積抵抗率が10
6〜10
10Ω・cmの半導電性ゴムからなり、中間転写ベルト51を介して駆動ローラDRに対向して配置される。
二次転写ローラ53は、給紙装置20から搬送される用紙Pに対して、駆動ローラDRとともに中間転写ベルト51が保持するトナー像を二次転写する二次転写部Tを形成する。
【0035】
駆動ローラDRは、中間転写ベルト51の内面に接触して中間転写ベルト51を循環駆動させるための摩擦力を発揮できる、例えばカーボンを分散したEPDMゴムからなり、ローラ径が28mmとなるように形成され、硬度は例えば70度(アスカーC)に設定されている。そして、駆動ローラDRは接地して配置され、二次転写ローラ53の対向電極をなしている。
【0036】
(2.2)二次転写ローラ53及び給電ローラ54の押圧機構
図3に示すように、二次転写ローラ53は、シャフト53aの両端部を第1の軸受部材BR1で回転自在に支持され、第1の軸受部材BR1は、二次転写部Tにおいて、用紙Pの搬送方向と交差する第1の方向に移動可能に支持されている。
そして、二次転写ローラ53は、第1の軸受部材BR1が、第1の押圧手段の一例としての加圧スプリングS1で第1の方向(R1)に押圧されて、中間転写ベルト51を挟んで駆動ローラDRに圧接配置され、二次転写部Tにおいて転写ニップ域を形成している。
【0037】
図3に示すように、給電ローラ54は、両端部を第2の軸受部材BR2で回転自在に支持され、第2の軸受部材BR2は、二次転写ローラ53に対して、二次転写ローラ53の押圧方向である第1の方向と交差する第2の方向(R2)に移動可能に支持されている。
そして、給電ローラ54は、第2の軸受部材BR2が、第2の押圧手段の一例としての加圧スプリングS2で第2の方向に押圧され、二次転写ローラ53に回転可能に接触して配置されている。
【0038】
加圧スプリングS2は、二次転写ローラ53の弾性体層53bの硬度と外径公差に基づいて、二次転写ローラ53に従動回転できるように決定された荷重(定荷重)で押圧されている。そのために、二次転写ローラ53と給電ローラ54の軸線間を固定して給電ローラ54を接触配置する定変位方式に比して、給電ローラ54は、給電ローラ54の二次転写ローラ53の弾性体層53bへの食い込み量を過大にすることなく安定して従動回転することができる。
【0039】
図4は、二次転写ローラ53及び給電ローラ54の軸線方向(用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向)における押圧機構の配置を示している。
図4に示すように、二次転写ローラ53は、シャフト53aの両端部を第1の軸受部材BR1で回転自在に支持され、第1の軸受部材BR1が、加圧スプリングS1で第1の方向(
図3に図示:R1)に押圧され、中間転写ベルト51を挟んで駆動ローラDRに圧接配置されている。
【0040】
給電ローラ54は、両端部を第2の軸受部材BR2で回転自在に支持され、第2の軸受部材BR2が、加圧スプリングS2で第2の方向(
図3に図示:R2)に押圧され、二次転写ローラ53に回転可能に接触して配置されている。
【0041】
二次転写ローラ53の加圧スプリングS1の押圧方向である第1の方向(R1)と給電ローラ54の加圧スプリングS2の押圧方向である第2の方向(R2)とが交差して配置され、
図4に示すように、加圧スプリングS1及び加圧スプリングS2は、二次転写ローラ53及び給電ローラ54の軸線方向(用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向)において、重なって配置されている。
【0042】
その結果、二次転写ローラ53のシャフト53aの両端部を、給電ローラ54の両端部を押圧する加圧スプリングS2の外側に延長することなく、給電ローラ54の第2の軸受部材BR2と軸線方向において重なって支持することで、転写装置50の軸方向のスペースの増加を抑制することができる。
また、シャフト53aの両端部を、給電ローラ54の両端部を押圧する加圧スプリングS2の外側に延長する構成に比して、二次転写ローラ53の押圧による撓みに起因する転写不良の発生を抑制することができる。
【0043】
給電ローラ54の押圧方向である第2の方向(R2)は、
図3に示すように、二次転写ローラ53が接触する二次転写部Tにおける中間転写ベルト51の曲率中心(駆動ローラDRの回転中心c1)と二次転写ローラ53の回転軸心(c2)を結んで仮想される線L1を含んで用紙Pの搬送方向における上流側で二次転写ローラ53の押圧方向である第1の方向と交差して設定されている。
その結果、給電ローラ54の加圧スプリングS2による押圧方向である第2の方向(R2)が、転写ニップにおいて、二次転写ローラ53の加圧スプリングS1による第1の方向(R1)に対しても加圧成分を有して、転写ニップを安定させている。
【0044】
図3に示すように、二次転写ローラ53の加圧スプリングS1による押圧方向である第1の方向(R1)は、二次転写ローラ53を用紙Pの搬送方向上流側において用紙Pの搬送方向を含んだ用紙Pの搬送方向下流側へ押圧する方向に設定されている。
そのために、転写ニップにおいて、例えば、用紙Pが定着装置60の搬送力によって用紙搬送方向下流側へ引っ張り方向の力を受けた場合にも、用紙搬送方向と直交する方向の押圧力の減少が抑制され、転写ニップが安定して形成される。
【0045】
(2.3)二次転写ローラ53の離接機構
図5(a)は二次転写ローラ53を第1の方向(R1)に沿って二次転写部Tから離間させる移動手段の一例としての離接機構を示す概略図、(b)は二次転写ローラ53が第1の方向(R1)に沿って二次転写部Tから離間して、二次転写ローラ53の圧接が解除された状態を示す概略図(解除レバー55は省略して描いている)である。
離接機構は、例えば、一端側55aが回転可能に支持され、他端側に形成された長穴55bに二次転写ローラ53のシャフト53aの両端部を支持する第1の軸受部材BR1が嵌挿された解除レバー55で構成されている。
【0046】
図5(a)に示すように、解除レバー55を、第1の軸受部材BR1が加圧スプリングS1で押圧された第1の方向(R1)において、押圧方向に抗して退避位置へ回転させる(R)ことで、二次転写ローラ53が第1の方向(R1)に沿って二次転写部Tから離間して、二次転写ローラ53の圧接が解除される。
そして、二次転写ローラ53に加圧スプリングS2で第2の方向(R2)に押圧されている給電ローラ54は、接触する対向部材としての二次転写ローラ53が退避位置へ移動するために、二次転写部T側へ突出するように移動して二次転写ローラ53との接触が解除された予め設定されている位置で停止する(
図5(b)参照)。
【0047】
解除レバー55を、画像形成装置1が出荷されて設置されるまでの流通保管時に退避位置に固定しておくことで、二次転写ローラ53の転写ニップ部での変形及び給電ローラ54の接触による二次転写ローラ53の弾性体層53bの変形を防止することができる。
【0048】
尚、解除レバー55は、画像形成装置1の初期設置時に実行される設置モードにおいて、固定が解除させることで、二次転写ローラ53は加圧スプリングS1で第1の方向に押圧されて中間転写ベルト51を挟んで駆動ローラDRに圧接配置される。そして、給電ローラ54は加圧スプリングS2で第2の方向に押圧され、二次転写ローラ53に回転可能に接触して配置される。
【0049】
(3)作用・効果
本実施形態における転写装置50のいては、二次転写ローラ53の加圧スプリングS1の押圧方向である第1の方向と給電ローラ54の加圧スプリングS2の押圧方向である第2の方向とが交差して配置され、加圧スプリングS1及び加圧スプリングS2は、二次転写ローラ53及び給電ローラ54の軸線方向において、重なって配置されている。
【0050】
そのために、給電ローラ54は、二次転写ローラ53に従動回転できるように決定された荷重(定荷重)で押圧され、給電ローラ54の二次転写ローラ53の弾性体層53bへの食い込み量を過大にすることなく安定して従動回転することができる。そして、二次転写ローラ53のシャフト53aの両端部を、給電ローラ54の両端部を押圧する加圧スプリングS2の外側まで延長することなく支持して、転写装置50の軸方向のスペースの増加を抑制することができる。
【0051】
給電ローラ54は、二次転写ローラ53が接触する二次転写部Tにおける中間転写ベルト51の曲率中心(駆動ローラDRの回転中心c1)と二次転写ローラ53の回転軸心(c2)を結んで仮想される線L1を含んで用紙Pの搬送方向における上流側で二次転写ローラ53の押圧方向である第1の方向と交差して設定されている。
そのために、転写ニップにおいて、給電ローラ54の加圧スプリングS2による押圧力が、二次転写ローラ53の加圧スプリングS1による第1の方向(R1)に対しても加圧成分を有して、転写ニップを安定させている。
【0052】
さらに、二次転写ローラ53の加圧スプリングS1による押圧方向である第1の方向(R1)は、二次転写ローラ53を用紙Pの搬送方向上流側において用紙Pの搬送方向を含んだ用紙Pの搬送方向下流側へ押圧する方向に設定されている。
そのために、転写ニップにおいて、用紙Pが用紙搬送方向下流側へ引っ張り方向の力を受けた場合にも、用紙搬送方向と直交する方向の押圧力の減少が抑制され、転写ニップが安定して形成される。
【0053】
画像形成装置1が出荷されて設置されるまでの流通保管時には、二次転写ローラ53を第1の方向(R1)に沿って二次転写部Tから離間させて、二次転写ローラ53の圧接が解除された退避位置に固定しておくことで、二次転写ローラ53の転写ニップ部での変形及び給電ローラ54の接触による二次転写ローラ53の弾性体層53bの変形を防止することができる。
【0054】
以上、本発明に係る実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で種々の変更を行うことが可能である。
例えば、本実施形態では像保持体の一例として中間転写ベルトを備えた中間転写方式のカラー画像形成装置について説明したが、像保持体の一例としての感光体ドラム上に保持されたトナー像を転写手段としての転写ローラによって記録媒体に転写するモノクロ画像形成装置であっても適用することができる。