【解決手段】本発明の拡散反射構造体41は、入射した光源からの直接光を内側面で少なくとも1回拡散反射して、間接光を出射する複数の光通過孔41aと、光源の光軸上に配置され、光源からの直接光を拡散反射することにより拡散する散乱部43とを備え、散乱部43が、光源側へ突出して配置される。
前記散乱部と該散乱部に隣接する前記枠状拡散反射部、並びに、互いに隣接する前記枠状拡散反射部同士を連結する連結部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の拡散反射構造体。
前記光軸方向から見たときの、前記散乱部と該散乱部に隣接する前記枠状拡散反射部との間隔をW1、互いに隣接する前記枠状拡散反射部同士の間隔を前記光軸に近い側からW2、W3・・・Wnとし、前記枠状拡散反射部の厚みを前記光軸に近い側からT1、T2、T3・・・Tnと定義した場合(nは枠状拡散反射部の数)、Wn>Tnの関係式が少なくとも1つ以上成立することを特徴とする請求項2または3に記載の拡散反射構造体。
前記枠状拡散反射部が、前記光軸に対して回転対称、または、前記光軸の垂線に対して線対称となるように配置されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の拡散反射構造体。
前記光源からの直接光、または前記光源からの直接光のうち前記光通過孔に入射せずに前記拡散反射構造体によって前記光源側へ反射された戻り光を、前記拡散反射構造体側へ向けて反射する反射部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の面発光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術では、光出射面の輝度の均一性の制御に限界がある。すなわち、光源131から出射された光のうち光量が最も多い垂直方向(光源131の光軸方向)の成分は、光源131の光軸上に位置するフェースシート141の下面でランバート反射する。そのため、フェースシート141の端部側に位置する開口部141aへ到達する光量が相対的に少なくなり、光出射面の端部の輝度が中心部の輝度に比べて低下するという課題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、輝度の均一性を向上させた面発光を可能にする拡散反射構造体および面発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡散反射構造体は、光源の光軸に対して略直交する方向に配設され、前記光源からの直接光を拡散反射して、間接光を取り出す拡散反射構造体であって、入射した前記光源からの直接光を内側面で少なくとも1回拡散反射して、前記内側面で拡散反射した光を含む前記間接光を出射する複数の光通過孔と、前記光軸上に配置され、前記光源からの直接光を拡散反射することにより散乱する散乱部とを備え、前記散乱部が、前記光源側へ突出して配置されていることを特徴としている。
【0009】
上記の構成では、光源の光軸上に、光源からの直接光を散乱する散乱部が、光源側へ突出して配置されている。そのため、光源からの直接光のうち光量が最も多い垂直方向(光源の光軸方向)の成分を、光源側へ突出した散乱部によって散乱することによって、各光通過孔へ効率的に導くことが可能となる。
【0010】
例えば、光源の光軸から離れた光通過孔へより多くの光が導かれるように散乱部の配置位置および形状などを設定することによって、光源の光軸から離れた光通過孔へ入射する光量を増加させることが可能となる。これにより、光源の光軸に近い側の光通過孔から出射される間接光の輝度と、光源の光軸に遠い側の光通過孔から出射される間接光の輝度とを均一化することができる。
【0011】
したがって、上記の構成によれば、輝度の均一性を向上させた面発光を可能にする拡散反射構造体を実現することができる。
【0012】
また、本発明に係る拡散反射構造体では、互いに寸法の異なる複数の枠状拡散反射部を備え、前記光軸方向から見たとき、前記散乱部に対して同心状に各枠状拡散反射部が間隔をあけて配置されることにより前記光通過孔が形成されており、前記散乱部の一部または全部が、前記枠状拡散反射部のうち、少なくとも該散乱部に隣接する前記枠状拡散反射部の前記光源側の端部よりも、前記光源側に位置している構成であってもよい。
【0013】
上記の構成では、拡散反射構造体は、散乱部と、該散乱部に対して同心状に配置された複数の枠状拡散反射部とを備える。このような構成の拡散反射構造体であっても、散乱部の一部または全部が、枠状拡散反射部のうち、少なくとも該散乱部に隣接する枠状拡散反射部の光源側の端部よりも光源側に位置するように突出させることによって、光源からの直接光のうち光量が最も多い垂直方向(光源の光軸方向)の成分を散乱部によって散乱して、各光通過孔へ効率的に導くことが可能となる。
【0014】
したがって、上記の構成によれば、同心状に配置された複数の枠状拡散反射部を備える拡散反射構造体における輝度の均一性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係る拡散反射構造体では、前記散乱部と該散乱部に隣接する前記枠状拡散反射部、並びに、互いに隣接する前記枠状拡散反射部同士を連結する連結部をさらに備える構成であってもよい。
【0016】
上記の構成によれば、散乱部と各枠状拡散反射部とを一体的に形成することができると共に、拡散反射構造体の強度を高めることができる。
【0017】
また、本発明に係る拡散反射構造体では、前記光軸方向から見たときの、前記散乱部と該散乱部に隣接する前記枠状拡散反射部との間隔をW1、互いに隣接する前記枠状拡散反射部同士の間隔を前記光軸に近い側からW2、W3・・・Wnとし、前記枠状拡散反射部の厚みを前記光軸に近い側からT1、T2、T3・・・Tnと定義した場合(nは枠状拡散反射部の数)、Wn>Tnの関係式が少なくとも1つ以上成立する構成であってもよい。
【0018】
上記の構成では、Wn>Tnの関係式が少なくとも1つ以上成立するように設計することにより、拡散反射構造体における光通過孔の開口面積の割合を増加させることができる。
【0019】
したがって、上記の構成によれば、拡散反射構造体の光取り出し効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る拡散反射構造体では、前記枠状拡散反射部が、前記光軸に対して回転対称、または、前記光軸の垂線に対して線対称となるように配置されている構成であってもよい。
【0021】
上記の構成によれば、輝度の均一性を向上させた拡散反射構造体を容易に設計および製造することができる。
【0022】
また、本発明に係る拡散反射構造体では、前記散乱部が、前記光源側に尖端部を有する形状である構成であってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、散乱部が、光源側に尖端部を有する形状、例えば円錐形状または多角錐形状などであることにより、光源からの直接光を拡散反射して、光源の光軸から離れた光通過孔へより効率的に導くことができる。
【0024】
上記の課題を解決するために、本発明に係る面発光装置は、光源と、前記光源の光軸に対して略直交する方向に配設され、前記光源からの直接光を拡散反射して、間接光を取り出す本発明に係る拡散反射構造体と、前記拡散反射構造体の前記光通過孔から出射した前記間接光を光入射面から入射させ、前記光入射面と対向する光出射面から拡散させた前記間接光を出射する拡散板と、を備えることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、輝度の均一性を向上させた間接光を拡散反射構造体から拡散板の光入射面へ入射させることができるため、拡散板の光出射面の輝度の均一性を向上させた面発光装置を実現することができる。
【0026】
また、本発明に係る面発光装置では、前記光源からの直接光、または前記光源からの直接光のうち前記光通過孔に入射せずに前記拡散反射構造体によって前記光源側へ反射された戻り光を、前記拡散反射構造体側へ向けて反射する反射部をさらに備える構成であってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、光源からの直接光または戻り光を、反射部によって効率的に拡散反射構造体へ向かわせることができるため、面発光装置における光の利用効率を向上させることができる。
【0028】
また、本発明に係る面発光装置では、前記反射部が、光を正反射する鏡面反射部である場合、前記拡散反射構造体は、前記鏡面反射部によって反射された光を前記光通過孔の内側面で少なくとも1回拡散反射して、前記拡散板側へ出射する構成であってもよい。
【0029】
上記の構成によれば、鏡面反射部によって正反射された正反射光成分が直接拡散板へ入射することを防ぐことができるので、拡散板の光出射面における色ムラおよび局所的な輝度ムラの発生を抑制することができる。
【0030】
また、本発明に係る面発光装置では、前記反射部の一部または全部が、前記拡散反射構造体と一体的に構成されていてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、反射部の一部または全部が、拡散反射構造体と一体的に構成されることにより、面発光装置の部品数を減少させて、面発光装置の製造コストを低減することができる。
【0032】
また、本発明に係る面発光装置では、前記光源の光束の50%以上の前記間接光を、前記光通過孔から出射する構成であってもよい。
【0033】
上記の構成によれば、光の利用効率に優れた面発光装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
このように、本発明に係る拡散反射構造体は、光源の光軸に対して略直交する方向に配設され、前記光源からの直接光を拡散反射して、間接光を取り出す拡散反射構造体であって、入射した前記光源からの直接光を内側面で少なくとも1回拡散反射して、前記内側面で拡散反射した光を含む前記間接光を出射する複数の光通過孔と、前記光軸上に配置され、前記光源からの直接光を拡散反射することにより散乱する散乱部とを備え、前記散乱部が、前記光源側へ突出して配置された構成である。
【0035】
また、本発明に係る面発光装置は、光源と、前記光源の光軸に対して略直交する方向に配設され、前記光源からの直接光を拡散反射して、間接光を取り出す本発明に係る拡散反射構造体と、前記拡散反射構造体の前記光通過孔から出射した前記間接光を光入射面から入射させ、前記光入射面と対向する光出射面から拡散させた前記間接光を出射する拡散板と、を備える構成である。
【0036】
それゆえ、本発明によれば、輝度の均一性を向上させた面発光を可能にする拡散反射構造体および面発光装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の一実施形態について
図1〜
図9を参照して説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、本発明に係る拡散反射構造体を備えた照光式押しボタンスイッチ(面発光装置)の一例について説明する。
【0039】
<照光式押しボタンスイッチ1の構成>
図1は、本実施形態の照光式押しボタンスイッチ1の外観を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示される照光式押しボタンスイッチ1のA−A’断面図であり、
図3は、
図1に示される照光式押しボタンスイッチ1の分解図である。
【0040】
この照光式押しボタンスイッチ1は、例えば、エレベータの乗り場の壁面に取り付けられたエレベータ用の操作パネルに設けられる上方向あるいは下方向などの指示スイッチ、エレベータ内に取り付けられる扉の開閉スイッチ、および階番号スイッチなどに利用されるものである。
【0041】
図1〜
図3に示すように、照光式押しボタンスイッチ1は、ベース2、プリント基板3、プランジャ4、拡散板5、カバー6および操作ボタン7を備えている。
【0042】
(ベース2)
ベース2は、プリント基板3、プランジャ4および拡散板5などの各種部材を収容するものである。ベース2は、遮光性の材料からなり、本実施形態では一端が開口した矩形の筐体部材として構成されている。ベース2の内部には、底部側から、プリント基板3、プランジャ4および拡散板5がこの順で収容されている。
【0043】
ベース2の内部には、各種部材を係止する多数の係止爪21が形成されている。また、ベース2の外部には、互いに対向する2つの外側面に、カバー6の係合穴62と係合する係合突起22が形成されている。
【0044】
(プリント基板3)
プリント基板3は、配線パターンが形成された、各種電子機器を実装する基板である。プリント基板2は、ベース2の底部に係止爪21によって固定されている。
【0045】
プリント基板3の上面側には、照光用の光源であるLED(光源)31、および外部電源に接続するためのコネクタ32が実装されている。また、プリント基板3の下面側には、利用者による操作ボタン7の操作(押圧)に応じてLED(光源)31を点灯させるなどのスイッチ動作を実行するスイッチ本体33が実装されている。
【0046】
(プランジャ4)
プランジャ4は、操作ボタン7の押圧方向を規制するものである。プランジャ4は、利用者が指などで操作ボタン7を押圧する動作に伴ってベース2内を上下方向に移動可能なように設けられている。
【0047】
本実施形態では、プランジャ4は、LED31からの直接光を拡散反射して、拡散板5の光入射面5a全体に間接光を照射する機能を果たす。そのため、プランジャ4には、その中心に、拡散反射構造体41が設けられている。
【0048】
拡散反射構造体41は、LED31からの直接光を拡散反射して、拡散板5の光入射面5a全体に間接光を照射するものである。拡散反射構造体41は、LED31の光軸に対して略直交する方向に配設されており、LED31からの光を取り出すための複数の光通過孔41aが形成されている。
【0049】
光通過孔41aは、LED31からの直接光が拡散板5側へ出射することを抑制し、且つ、拡散板5の光入射面5a全体に均一な輝度の光が照射されるように形成されている。具体的には、各光通過孔41aは、入射したLED31からの直接光を少なくとも1回その内側面で拡散反射して、間接光を拡散板5側へ出射するように形成されている。
【0050】
また、拡散反射構造体41では、拡散板5の光入射面5a全体に均一な光が照射されるように、各光通過孔41aへ入射する光量が制御されている。
【0051】
拡散反射構造体41は、表面において光を拡散反射するものであればよく、光の拡散反射率が高い白色系の樹脂などによって好適に構成することができる。例えば、拡散反射構造体41は、白色のポリカーボネートによって好適に構成することができる。これにより、拡散反射構造体41の拡散反射率および全反射率を高めることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、プランジャ4と拡散反射構造体41とが同一の材料を用いて一体的に構成されている。このようにプランジャ4と拡散反射構造体41とを一体的に構成することによって、照光式押しボタンスイッチ1を構成する部品数を減少させて、製造コストを低減することができる。ただし、プランジャ4と拡散反射構造体41とは、それぞれ独立した部材であってもよい。なお、プランジャ4の詳細については後述する。
【0053】
(拡散板5)
拡散板5は、拡散反射構造体41から出射された光を拡散するものである。拡散板5は、拡散反射構造体41と操作ボタン7との間に、プランジャ4によって支持されている。
【0054】
拡散板5は、拡散反射構造体41と対向する光入射面5aと、操作ボタン7と対向する光出射面5bとを有している。拡散板5は、光入射面5aから入射した拡散反射構造体41からの光(間接光)を内部で導光し、光出射面5bから操作ボタン7へ拡散した光を出射する。このように、拡散反射構造体41からの光を、拡散板5を介して操作ボタン7へ照射することによって、操作ボタン7を照光する光量の均一性を向上させることができる。
【0055】
この拡散板5は、ポリカーボネート、ガラスまたはアクリルなどの光透過性を有する材料から構成される。例えば、拡散板5は、光入射面5aおよび光出射面5bの少なくとも一方に微小な凹凸を形成する、または、内部に散乱粒子を分散させることで実現することができる。
【0056】
なお、拡散板5は板状のものに限られず、例えばシート状の拡散シートであってもよい。また、複数の拡散板5を重ね合わせて配置してもよい。これにより、操作ボタン7を照光する光量の均一性をさらに向上させることができる。
【0057】
(カバー6)
カバー6は、ベース2の開口部に取り付けられるものである。カバー6は、遮光性の材料からなり、中央部に矩形の開口部61を有している。この開口部61内には、上面7b側を突出させた状態で、操作ボタン7が配置される。
【0058】
また、カバー6の互いに対向する2つの側面には、ベース2の係合突起22と係合する係合穴62が形成されている。この係合穴62に係合突起22を係合させることよって、ベース2とカバー6とが固定される。
【0059】
(操作ボタン7)
操作ボタン7は、透光性を有する板状部材である。操作ボタン7は、下面7aと拡散板5の光出射面5bとが対向するようにプランジャ4によって支持されている。この操作ボタン7の上面7bは、利用者によって操作される操作面として機能する。
【0060】
操作ボタン7は、カバー6の内側から開口部61に挿入され、操作ボタン7の上面7b側がカバー6の開口部61から突出した状態で配置されている。また、操作ボタン7の側面の下端部にはフランジ71が形成されており、このフランジ71がカバー6の内面に当接することによって、操作ボタン7の上方向への移動が規制される。
【0061】
照光式押しボタンスイッチ1には、コネクタ32を介して、プリント基板2の実装部品に外部から電力が供給される。利用者が指などで操作ボタン7の上面7bを押圧すると、この押圧動作に伴ってプランジャ4が下方に移動する。プランジャ4が下方へ移動することにより、バネ板34などを介してスイッチ本体33がオン状態になり、LED31が発光する。このとき、LED31からの光は、プランジャ4の拡散反射構造体41および拡散板5を通過して、操作ボタン7を照光する。
【0062】
<プランジャ4の詳細>
図4は、本実施形態のプランジャ4を示す下面図であり、
図5は、
図4に示されるプランジャ4のB−B’断面図である。
【0063】
図4および
図5に示すように、プランジャ4の中心には、LED31の光軸に対して略直交する方向に拡散反射構造体41が配設さられている。また、プランジャ4には、拡散反射構造体41に側方側に側方反射部(反射部)45が配設されており、拡散反射構造体41の外縁下方側に下方反射部(反射部)46が配設されている。
【0064】
(拡散反射構造体41)
拡散反射構造体41は、LED31から光を面状に拡散させて、拡散板に照射するものである。拡散反射構造体41は、枠状拡散反射ルーバ(枠状拡散反射部)42、散乱部43、および連結部44を備えている。
【0065】
(枠状拡散反射ルーバ42)
枠状拡散反射ルーバ42は、矩形の枠状に形成された拡散反射部材である。枠状拡散反射ルーバ42は、LED31の光軸に対して同心状に複数配置されている。各枠状拡散反射ルーバ42は、互いに寸法が異なっており、LED31の光軸に近い側から寸法が小さい順に配置されている。
【0066】
(散乱部43)
散乱部43は、LED31からの直接光を拡散反射することにより散乱するものである。散乱部43は、LED31の光軸上に配置されており、枠状拡散反射ルーバ42に対して、LED31側へ突出して配置されている。すなわち、散乱部43は、枠状拡散反射ルーバ42よりもLED31に近い位置に配置されている。
【0067】
本実施形態では、散乱部43は、断面がV字型である四角錐を中抜きした形状を有しており、四角錐の頂点(尖端部)43aがLED31と対向するように配置されている。
【0068】
ただし、散乱部43は、このような形状のものに限定されない。例えば、散乱部43の形状は、円錐または四角錐以外の多角錐であってもよく、それらの一部若しくは全部を曲面化したものであってもよい。また、これらの形状を中抜きしたものであってもよい。
【0069】
このように、散乱部43が、LED側に頂点43aを有する形状であることにより、後述するように、LED31からの直接光を拡散反射して、LED31の光軸から離れた光通過孔41aへより効率的に導くことができる。
【0070】
枠状拡散反射ルーバ42および散乱部43は、LED31の光軸方向から見たとき、散乱部43に対して同心状に各枠状拡散反射ルーバ42が間隔をあけて配置されている。したがって、互いに隣接する散乱部43と枠状拡散反射ルーバ42との隙間、および、互いに隣接する枠状拡散反射ルーバ42同士の隙間が光通過孔41aとして機能する。
【0071】
(連結部44)
連結部44は、互いに隣接する散乱部43と枠状拡散反射ルーバ42、並びに、互いに隣接する枠状拡散反射ルーバ42同士を連結するものである。本実施形態では、連結部44は、散乱部43を中心に放射状に8つ設けられており、枠状拡散反射ルーバ42および散乱部43の4角、並びに、枠状拡散反射ルーバ42および散乱部43の4辺の中心をそれぞれ連結している。このような連結部44を設けることにより、枠状拡散反射ルーバ42と散乱部43とを一体的に形成することができると共に、拡散反射構造体41の強度を高めることができる。
【0072】
(側方反射部45)
側方反射部45は、LED31からの直接光、およびLED31からの直接光のうち拡散反射構造体41によってLED31側へ反射された戻り光を、拡散反射構造体41側へ向けて反射するものである。
【0073】
本実施形態では、拡散反射構造体41の四方を囲むように4つの側方反射部45が設けられている。各側方反射部45は、拡散反射構造体41側へ傾斜して配置されている。これにより、LED31からの直接光、および拡散反射構造体41によってLED31側へ反射された戻り光を、拡散反射構造体41へ向けて効率的に反射することができる。
【0074】
(下方反射部46)
側方反射部45は、LED31からの直接光のうち拡散反射構造体41によってLED31側へ反射された戻り光を、拡散反射構造体41側へ向けて反射するものである。
【0075】
本実施形態では、拡散反射構造体41の4辺に沿って、拡散反射構造体41の下方側に4つの下方反射部46が設けられている。各下方反射部46は、拡散反射構造体41側へ傾斜して配置されている。これにより、拡散反射構造体41によってLED31側へ反射された戻り光を、拡散反射構造体41へ向けて効率的に反射することができる。
【0076】
本実施形態では、側方反射部45および下方反射部46は、プランジャ4(拡散反射構造体41)と一体的に構成されている。そのため、側方反射部45および下方反射部46は、LED31からの直接光、または拡散反射構造体41によってLED31側へ反射された戻り光を、拡散反射構造体41へ向けて拡散反射する。
【0077】
ただし、側方反射部45および下方反射部46は、プランジャ4(拡散反射構造体41)と、独立した部材であってもよい。
【0078】
また、側方反射部45および下方反射部46は、光を正反射する鏡面反射部であってもよい。ただし、この場合、拡散反射構造体41は、鏡面反射部によって反射された光を光通過孔41aの内側面で少なくとも1回拡散反射して、拡散板5側へ出射することが好ましい。これにより、正反射された正反射光成分が直接拡散板5の光入射面5aへ入射することを防ぐことができるので、拡散板5の光出射面5bにおける色ムラおよび局所的な輝度ムラの発生を抑制することができる。
【0079】
図6は、枠状拡散反射ルーバ42と散乱部43との配置関係を説明するための断面図である。
図6に示すように、互いに隣接する散乱部43と枠状拡散反射ルーバ42とのLED31の光軸と直交する方向における間隔をW1、および、互いに隣接する枠状拡散反射ルーバ42同士のLED31の光軸と直交する方向における間隔をLED31の光軸に近い側からW2、W3・・・Wnとし、枠状拡散反射ルーバ42のLED31の光軸と直交する方向における厚みをLED31の光軸に近い側からT1、T2、T3・・・Tnと定義した場合(nは枠状拡散反射ルーバ42の数)、Wn>Tnの関係式が少なくとも1つ以上成立するがことが好ましい。これにより、拡散反射構造体41における光通過孔41aの開口面積の割合を増加させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
【0080】
<拡散反射構造体41の作用>
上述のように、
図10に示す従来技術では、光源131から出射された光のうち光量が最も多い垂直方向(光軸方向)の成分が光源131の光軸上のフェースシート141の下面でランバート反射する。そのため、フェースシート141の端部側に位置する開口部141aへ到達する光量が相対的に少なくなる結果、フェースシート141の光出射面の端部の輝度が中心部の輝度に比べて低下するという課題があった。
【0081】
これに対して、拡散反射構造体41では、LED31の光軸C上に、LED31からの直接光を拡散反射することにより散乱する散乱部43がLED側へ突出して配置されている。そのため、LED31からの直接光のうち光量が最も多い垂直方向(LED31の光軸C方向)の成分を、LED31側へ突出して配置された散乱部43によって散乱することによって、各光通過孔41aへ効率的に導くことが可能となる。
【0082】
図7は、本実施形態の拡散反射構造体41の作用を説明するための断面図である。
図7に示すように、LED31の光軸Cから離れた光通過孔41aへより多くの光が導かれるように散乱部43の位置および形状などを設計することによって、LED31の光軸から離れた光通過孔41aへ入射する光量を増加させることが可能となる。
【0083】
これにより、LED31の光軸Cに近い側の光通過孔41aから出射される間接光の輝度と、LED31の光軸Cに遠い側の光通過孔41aから出射される間接光の輝度とを均一化することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、拡散反射構造体41が複数の枠状拡散反射ルーバ42を備える構成について説明したが、枠状拡散反射ルーバ42に代えて、入射したLED31からの直接光を内側面で少なくとも1回拡散反射するように形成された複数の光通過孔41aを有する板状またはシート状の拡散反射部材を備える構成であってもよい。この場合であっても、LED31の光軸上に、LED31からの直接光を散乱する散乱部43をLED31側へ突出して配置することにより、輝度の均一性を向上させた面発光を可能にする拡散反射構造体を実現することができる。
【0085】
また、照光式押しボタンスイッチ1に、複数のLED31を用いてもよい。複数のLED31を用いる場合、例えば、拡散反射構造体41の散乱部43と対応する位置に、複数のLED31を纏めて一箇所に配置してもよい。これにより、照光式押しボタンスイッチ1の高輝度化を図ることができる。一方、複数のLED31を、間隔をあけて配置する場合、LED31ごとに拡散反射構造体41を配置すればよい。これにより、照光式押しボタンスイッチ1の広面積化を図ることができる。
【0086】
また、散乱部43は、LED31反対側(拡散板5側)に頂点43aを有していてもよい。これにより、光通過孔41aから出射した光をさらに拡散反射して散乱することができるため、拡散反射構造体41からの光の均一化を図ることができる。
【0087】
また、散乱部43は、その一部または全部が、枠状拡散反射ルーバ42のうち、少なくとも散乱部43に隣接する枠状拡散反射ルーバ42(すなわち、LED31の光軸Cに最も近い枠状拡散反射ルーバ42)のLED31側の端部よりも、LED31側に位置していればよい。この場合であっても、拡散反射構造体41から出射される光の輝度の均一性を改善することが可能である。
【0088】
さらに、発光させたいエリアの形状などに応じて、矩形の拡散反射構造体41の一部を切り取って使用してもよい。これにより、所望の形状の拡散反射構造体41を容易に得ることができるので、多様な発光を実現する面光源装置を容易に実現することができる。
【0089】
<照光式押しボタンスイッチ1の効果>
以上のように、本実施形態の照光式押しボタンスイッチ1は、LED31の光軸に対して略直交する方向に配設され、LED31からの直接光を拡散反射して、間接光を取り出す拡散反射構造体41を備えている。
【0090】
この拡散反射構造体41は、入射したLED31からの直接光を内側面で少なくとも1回拡散反射して、内側面で拡散反射した光を含む間接光を出射する複数の光通過孔41aと、LED31の光軸上に配置され、LED31からの直接光を拡散反射することにより散乱する散乱部43とを備え、散乱部43が、LED31側へ突出して配置される。
【0091】
拡散反射構造体41では、LED31からの直接光のうち光量が最も多い垂直方向(LED31の光軸方向)の成分を、LED31側へ突出した散乱部43によって散乱することによって、各光通過孔41aへ効率的に導くことが可能となる。
【0092】
そのため、例えば、LED31の光軸から離れた光通過孔41aへより多くの光が導かれるように散乱部43の位置および形状などを設定することによって、LED31の光軸から離れた光通過孔41aへ入射する光量を増加させることができる。これにより、LED31の光軸に近い側の光通過孔41aから出射される間接光の輝度と、LED31の光軸に遠い側の光通過孔41aから出射される間接光の輝度とを均一化することができる。
【0093】
よって、輝度の均一性を向上させた光を拡散反射構造体41から拡散板5の光入射面5aへ入射させることができるため、拡散板5の光出射面5bの輝度の均一性を向上させることができる。
【0094】
したがって、本実施形態によれば、操作ボタン7を照光する光量の均一性を向上させた照光式押しボタンスイッチ1を実現することができる。
【0095】
<変形例>
(変形例1)
図8の(a)および(b)は、本実施形態の散乱部43の形状の変形例を示す図面であり、
図8の(a)は、プランジャ4の断面斜視図であり、
図8の(b)は、
図8の(a)に示される仮想平面Pでプランジャ4を切断したときの断面図である。
【0096】
図8の(a)および(b)に示すように、散乱部143は、頂点43aを有しない平坦な形状である。このような形状の散乱部143であっても、LED31側へ突出して配置することによって、LED31からの直接光のうち光量が最も多い垂直方向(LED31の光軸C方向)の成分を散乱部43の平坦部143aによって散乱して、各光通過孔41aへ導くことが可能である。
【0097】
(変形例2)
図9は、本実施形態の拡散反射構造体41の形状の変形例を説明するための斜視図である。
図9に示すように、拡散反射構造体241は、円形の枠状拡散反射ルーバ242および円板状の散乱部243を備えており、LED31の光軸方向から見たとき、枠状拡散反射ルーバ242および散乱部243は、散乱部243に対して同心状に各枠状拡散反射ルーバ242が間隔をあけて配置されている。
【0098】
このように、発光させたい領域の形状などに応じて、拡散反射構造体241の形状は適宜変更可能であり、これにより、多様な発光を実現することができる。
【0099】
<補足>
なお、本発明は以下のように表現することもできる。すなわち、本発明の態様1に係る面発光装置は、点状光源、拡散反射構造体、拡散板がこの順番で配列された面光源装置であって、前記拡散反射構造体は、光源からの直接光を完全に遮るものであり、前記光源直上の面構造体と、その外周部に一つもしくは複数の環状構造を備え、前記面構造体は、前記環状構造体のうち前記面構造体に最も近い環状構造体の底面よりも少なくても一部分が光源側に配置されていることを特徴としている。
【0100】
また、本発明の態様2に係る面発光装置では、上記態様1において、前記面構造体は、前記光源側に突起していることが好ましい。
【0101】
また、本発明の態様3に係る面発光装置では、上記態様1または2において、前記面構造体と各々の前記環状構造体とが連結されていることが好ましい。
【0102】
また、本発明の態様4に係る面発光装置では、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記環状構造体が光軸に対して対称であることが好ましい。
【0103】
また、本発明の態様5に係る面発光装置では、上記態様1から4のいずれかにおいて、下面または側面に反射構造体を具備していることが好ましく、反射構造体が鏡面を有する場合、鏡面反射成分は少なくても一回、拡散反射構造体に当たることが好ましい。
【0104】
また、本発明の態様6に係る面発光装置では、上記態様5において、前記光源の光束の50%以上が前記拡散反射構造体に表面に少なくとも一回当たることが好ましい。
【0105】
また、本発明の態様7に係る面発光装置では、上記態様5または6において、前記反射構造体の一部もしくは全部と前記拡散反射構造体とが一体化されていることが好ましい。
【0106】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。