特開2015-228328(P2015-228328A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-228328(P2015-228328A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20151120BHJP
【FI】
   H01R13/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-113699(P2014-113699)
(22)【出願日】2014年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 健志
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF13
5E087GG14
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】振動によるコネクタ間の相対移動を抑制する。
【解決手段】相手側端子と接続される端子と、前記端子を保持する絶縁材製のコネクタハウジング20と、前記コネクタハウジング20に装着され、前記相手側端子を収容する相手側コネクタ50と嵌合する金属筐体30とを備え、前記金属筐体30には前記相手側コネクタ50との嵌合部33に配されて前記相手側コネクタ50に弾性的に接触する弾性部37を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側端子と接続される端子と、
前記端子を保持する絶縁材製のコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに装着され、前記相手側端子を収容する相手側コネクタと嵌合する金属筐体とを備え、
前記金属筐体に前記相手側コネクタとの嵌合部に配されて前記相手側コネクタに弾性的に接触する弾性部を設けたコネクタ。
【請求項2】
前記金属筐体には、前記弾性部を対をなして設け、それらの前記弾性部の弾性変形方向が同一方向に揃うように配置されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記弾性部は、前記金属筐体の前端縁から突出した延長片を折り返すように曲げ加工して形成されている請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性部は、前記金属筐体の前端縁に連なる並行するスリット対の間に位置する片持ち片を折り返すように曲げて形成されている請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記弾性部は、前記金属筐体の一部を膨出成形してなる膨出部により形成されている請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記金属筐体は角筒状をなし、その角筒の各面に前記弾性部が設けられている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、著しい進歩を遂げているハイブリッド車や電気自動車などにおいて、機器間において大電流を流すことがある。このような大電流を流すワイヤハーネスを接続するためのコネクタでは、例えばノイズ対応策としてコネクタハウジングの外周にシールドシェル等金属筐体を配置することが一般的に行われている。
また、大電流用のコネクタでは、用いられる端子等も大きくなるため、コネクタが大型化しやすい。
【0003】
このような大型コネクタでは、寸法公差も大きいから、コネクタの雄雌嵌合時に、コネクタ間のクリアランスが大きくなる。しかし、振動が発生するエンジンルーム等でこのようなコネクタを用いると、コネクタ間のクリアランスが大きいために、振動による雄雌コネクタの間の相対移動量が大きくなる。そして、雄雌コネクタが相対移動すると、雄雌コネクタに保持される端子間の相対移動量も大きくなる。そのため、雄端子と雌端子の接触部が摺動を繰り返すことで、端子間の摩耗が発生しやすくなり、端子間抵抗が増加するという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するコネクタとして、特開2011−44407号公報(下記特許文献1)に開示されるコネクタが知られている。このコネクタは、オス端子とオス端子を収容する第1ターミナルハウジングとオス端子と接続されるメス端子とメス端子を収容する第2ターミナルハウジングとを備えている。そして、第1ターミナルハウジングに設けられたフランジ部に形成されたフランジ突出部と、第2ターミナルハウジングに形成された突起とを有し、フランジ突出部に設けられた樹脂製の固定材が突起と接触することで、第2ターミナルハウジングの開口部の動きを規制する。このように振動が発生した際の第2ターミナルハウジングの動きを規制することで、振動に起因した端子の摩耗を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−44407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2011−44407号公報(上記特許文献1)の構成では、樹脂製の固定材を用いて振動を抑制する場合、樹脂のクリープ変形によって振動抑制機能が失われる可能性がある。特にエンジンルームなどの高温環境下では、樹脂の変形が大きく、振動抑制機能が大幅に低下するという問題があった。また、固定材をゴムにした場合であっても、別部材であるためコスト上昇という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示されるコネクタは、相手側端子と接続される端子と、前記端子を保持する絶縁材製のコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに装着され、前記相手側端子を収容する相手側コネクタと嵌合する金属筐体とを備え、前記金属筐体に前記相手側コネクタとの嵌合部に配されて前記相手側コネクタに弾性的に接触する弾性部を設けた。
【0008】
このような構成によると、弾性部を金属製としているから、エンジンルームなどの高温環境下においても弾性部のクリープ変形による変形量の増加を抑制できる。また、金属筐体に一体に弾性部を設けているから、部品点数を増加させることなく雄雌コネクタの間の相対移動を抑制することができる。
【0009】
本明細書に開示されるコネクタの実施の態様として、以下の構成としてもよい。
前記金属筐体には、前記弾性部を対をなして設け、それらの弾性部の弾性変形方向が同一方向に揃うように配置する構成としても良い。
このような構成によると、特定の振動方向に対して2つの弾性部によって振動抑制を図ることができるから、振動抑制効果が大きくなる。
【0010】
前記弾性部は、前記金属筐体の前端縁から突出した延長片を折り返すように曲げ加工して形成されている構成としても良い。
このような構成によると、金属筐体自体に切れ込みなどを設けなくてよいため、金属筐体の構造に与える影響が少なくてすむ。
【0011】
前記弾性部は、前記金属筐体の前端縁に連なる並行するスリット対の間に位置する片持ち片を折り返すように曲げて形成されている構成としても良い。
このような構成によると、金属筐体の一部を弾性部としていることで、金属筐体を形成するための金属を余分に必要とせず、材料取りが良くなる。
【0012】
前記弾性部は、前記金属筐体の一部を膨出成形してなる膨出部により形成されている構成としても良い。
このような構成によると、金属筐体の一部を弾性部としていることで、金属筐体を形成するための金属を余分に必要とせず、材料取りが良くなる。
【0013】
前記金属筐体は角筒状をなし、その角筒の各面に前記弾性部が設けられている構成としても良い。
このような構成によると、上下左右方向など異なる振動の方向に対しても振動による相対移動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示されるコネクタによれば、振動によるコネクタ間の相対移動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1におけるコネクタの嵌合前の斜視図
図2】嵌合状態におけるコネクタの断面図
図3】実施形態2におけるコネクタの斜視図
図4】実施形態3におけるコネクタの斜視図
図5】実施形態4におけるコネクタの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1を図1及び図2によって説明する。
本実施形態のコネクタ10は、例えばEVやHEV等の電動機駆動型車両のパワー回路に使用されるもので、複数本の電線13を一本の編組線チューブ(図示せず)によってシールドしたいわゆる一括シールドタイプのワイヤハーネスW1の端末に設けられ、相手側コネクタ50と嵌合される。コネクタ10のコネクタハウジング20内には3本の端子15が収容されている。
【0017】
端子15は、角筒状をなす端子接続部17と、電線13の芯線端末をカシメ接続するための電線接続部19とを備えた雌型端子である。端子接続部17は、内側に弾性接触片を有しており、相手側コネクタ50の相手側端子55と接続可能である。電線接続部19には一対のバレル片が設けられ、両バレル片によって電線13の芯線をカシメ付けることにより、端子15が電線13に導通接続されている。
【0018】
コネクタハウジング20は、図1に示すように横長の直方体状をなしており、内部には図2に示すように前後方向に貫通するキャビティ21が形成されている。キャビティ21には、端子15を後方から挿入可能である。キャビティ21の内部には、片持ち状をなして端子15を固定するランス23が形成されている。コネクタハウジング20には、図1に示すように、後述する相手側コネクタ50のレバー70のカム溝と係合可能なカムピン25が左右の側面の外側に突出している。
【0019】
コネクタハウジング20の外周には、図1に示すように、導電性を有する金属製の金属筐体30が装着されている。金属筐体30は、コネクタハウジング20の外周に嵌合する角筒状の筐体本体部31と、フランジ部35と、2本の弾性片37とを一体に備えている。筐体本体部31の前端部は、コネクタハウジング20よりも前方に突出して相手側コネクタ50と嵌合するフード部33とされている。また、筐体本体部31は、コネクタハウジング20の外周を覆っており、コネクタハウジング20に周知の方法で固定されている。なお、筐体本体部31には、カムピン25を外側に突出させるためのスリットが形成され、フランジ部35にはコネクタ10を機器などに取り付けるための取付孔が形成されている(いずれも図示せず)。
【0020】
各弾性片37は、共に筐体本体部31(フード部33)の上面及び下面の各前端縁の略中央の同じ位置に形成されている。これらは、筐体本体部31の前端縁から真っ直ぐに突出した延長片(図示せず)をその根元に近い部分からU字型に折り返した部分を筐体本体部31の上下面に沿わせるように曲げて形成したものである。
【0021】
一方、相手側コネクタ50は、コネクタ10と同様の一括シールドタイプの相手側ワイヤハーネスW2の端末部に設けられたものであって、相手側ワイヤハーネスW2の電線63に接続された相手側端子55と、相手側端子55を収容する相手側コネクタハウジング61と、相手側コネクタハウジング61の外周に装着される相手側金属筐体65と、レバー70とを備えている。
【0022】
相手側端子55は、タブ状の雄端子であって、端子15の端子接続部17に挿入可能である。相手側端子55と端子15とは、いずれも大電流用であって挿入抵抗が大きいため、その抵抗に打ち勝って両端子15、55を接続するため、相手側コネクタ50にレバー70が設けられている。レバー70のカム溝をコネクタ10のカムピン25に係合させて、レバー70を回動させると、カム作用によってコネクタ10と相手側コネクタ50との嵌合操作を比較的小さな力で行うことができる。
【0023】
相手側コネクタハウジング61は、合成樹脂製であって、図2に示すように、内部に相手側端子55を収容すると共に、コネクタ10側となる面にコネクタ10のフード部33内に密着して嵌合可能な直方体状の突出部63を有する。
【0024】
相手側コネクタハウジング61の外周には、導電性を有する金属製の相手側金属筐体65が周知の方法で装着され、両コネクタ10,50が嵌合されると、相手側金属筐体65の前端部に設けられている金属フード部67が隙間Sを隔ててフード部33の外側を包囲するように位置する。この嵌合状態で、金属フード部67の上下の内面に弾性片37が弾性的に変形しながら接触する。
【0025】
上記構成において、両コネクタ10、50の金属部分、すなわち、フード部33又は金属フード部67において設計値に対して寸法誤差があるとする。例えば、フード部33が金属フード部67に対して相対的に小さく製造されてしまっている場合には、隙間Sは設計値に比べて大きくなるが、弾性片37がその分設計値よりも外側に膨らむことで、弾性片37が金属フード部67に確実に接触して、両者間に隙間が生ずることはない。逆に、フード部33が金属フード部67に対して相対的に大きく製造されている場合には、隙間Sは設計値よりも小さくなるが、弾性片37の変形可能な範囲内であれば、弾性片37が設計値よりも余分に押し潰されることで、寸法上の誤差が吸収されつつ両コネクタ10,50が確実に嵌合する。このように、寸法公差の存在によって隙間Sの大きさは変化するが、隙間Sの変化量が弾性片37の変形可能な範囲内であれば、コネクタ10と相手側コネクタ50とはガタつきなく嵌合する。
【0026】
また、コネクタ10と相手側コネクタ50とが嵌合している状態で、例えば相手側コネクタ50がワイヤハーネスW2を介して振動を受けた場合、相手側コネクタ50はコネクタ10に対して振動を受けた方向に相対移動しようとするが、両コネクタ10,50は弾性片37を介して一体化された状態にあるから、相手側コネクタ50とコネクタ10との間の相対的な変位は抑制され、端子15と相手側端子55との間のずれ動きに起因する端子摩耗を抑制できる。
【0027】
また、本実施形態によれば、弾性片37を金属製としているから、クリープ変形が起こりにくく長期にわたり振動抑制を図ることができる。しかも、高温環境下においても金属製の弾性片37は劣化しにくいから、エンジンルーム内に設置されるコネクタにも応用することができる。しかも、シールドのために設けられている金属筐体30を利用して、これに一体に弾性片37を設けたから、部品点数を増加させることなく、雄雌コネクタの振動抑制を図ることができる。
【0028】
また、本実施例にように、一対の弾性片37を、それらの弾性変形方向が同一方向に揃うように配置すると、特定の振動方向に対し2つの弾性片37によって振動抑制を図ることができるから、振動抑制効果が大きくなる。
【0029】
また、各弾性片37を、金属筐体30(フード部33)の前端縁から突出した延長片を折り返すように曲げ加工して形成すると、金属筐体30自体に切れ込みなどを設けなくてよいため、金属筐体30の構造に与える影響が少なくてすむ。
【0030】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図3によって説明する。
本実施形態のコネクタ110では、弾性部である弾性片137の形状が、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同一機能を有する部材、部位については、同一の符号を付すことで、説明を省略しまたは簡略化する。
【0031】
本実施形態におけるコネクタ110は、ワイヤハーネスW1の電線13に接続された端子15と、端子15を収容するコネクタハウジング20と、コネクタハウジング20に装着される金属筐体130とを備えている。コネクタ110は、相手側コネクタ50と嵌合可能とされている。
【0032】
コネクタハウジング20の外周には、導電性を有する金属製の金属筐体130が装着されている。金属筐体130は、コネクタハウジング20の外周に嵌合する角筒状の筐体本体部131と、フランジ部35と、2つの弾性片137とを一体に備えている。筐体本体部131の前端部は、コネクタハウジング20よりも前方に突出して相手側コネクタ50と嵌合するフード部133とされている。
【0033】
各弾性片137は、共に筐体本体部131(フード部133)の上面および下面の略中央の同じ位置に形成されている。これらは、筐体本体部131の前端縁に連なる平行するスリット対132の間に位置する片持ち片をそのスリット132の終端に近い部分からU字型に折り返した部分を筐体本体部131の上下面に沿わせるように曲げて形成したものである。スリット対132は、フード部33の前端縁からコネクタハウジング20を覆う筐体本体部131の途中まで平行に2本切り込まれている。
【0034】
以上のように本実施形態では、弾性片37は、金属筐体130(フード部133)の前端縁に連なる並行するスリット対132の間に位置する片持ち片139を折り返すように曲げて形成されている。
このような構成によると、金属筐体130の一部を弾性片37としていることで、金属筐体130を形成するための金属を余分に必要とせず、材料取りが良くなる。
【0035】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図4によって説明する。
本実施形態のコネクタ210では、弾性部が膨出部237とされている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同一機能を有する部材、部位については、同一の符号を付すことで、説明を省略しまたは簡略化する。
【0036】
本実施形態におけるコネクタ210は、ワイヤハーネスW1の電線13に接続された端子15と、端子15を収容するコネクタハウジング20と、コネクタハウジング20に装着される金属筐体130とを備えている。コネクタ210は、相手側コネクタ50と嵌合可能とされている。
【0037】
コネクタハウジング20の外周には、導電性を有する金属製の金属筐体230が装着されている。金属筐体230は、コネクタハウジング20の外周に嵌合する角筒状の筐体本体部231と、フランジ部35と、2つの膨出部237とを一体に備えている。筐体本体部231の前端部は、コネクタハウジング20よりも前方に突出して相手側コネクタ50と嵌合するフード部233とされている。
【0038】
各膨出部237は、筐体本体部231の上面および下面のそれぞれに設けられた平行するスリット対232の間を外側に向かって山型に叩き出すことで形成されたものである。
【0039】
以上のように本実施形態では、弾性部は、金属筐体230の一部を膨出成形してなる膨出部237により形成されている。
このような構成によると、金属筐体230の一部を膨出部237としていることで、金属筐体230を形成するための金属を余分に必要とせず、材料取りが良くなる。
【0040】
<実施形態4>
次に、実施形態4を図5によって説明する。
本実施形態のコネクタ310では、弾性片37が複数対設けられている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同一機能を有する部材、部位については、同一の符号を付すことで、説明を省略しまたは簡略化する。
【0041】
本実施形態におけるコネクタ310は、ワイヤハーネスW1の電線13に接続された端子15と、端子15を収容するコネクタハウジング20と、コネクタハウジング20に装着される金属筐体330とを備えている。コネクタ310は、相手側コネクタ50と嵌合可能とされている。
【0042】
コネクタハウジング20の外周には、導電性を有する金属製の金属筐体330が装着される。金属筐体330は、コネクタハウジング20の外周に嵌合する角筒状の筐体本体部331と、フランジ部35と、3対の弾性片337とを一体に備えている。筐体本体部331の前端部は、コネクタハウジング20よりも前方に突出してフード部333とされている。
【0043】
各弾性片337は、筐体本体部331(フード部333)の上面と下面では、その前端縁の幅方向の寸法を均等割りした同じ位置に2対形成されている。各弾性片337は、筐体本体部331(フード部333)の側面では、その前端縁の略中央の同じ位置に形成されている。これらの、各弾性片337は、筐体本体部331の前端縁から真っ直ぐに突出した延長片をその根元に近い部分からU字型に折り返した部分を筐体本体部331の各面に沿わせるように曲げて形成したものである。
【0044】
このように構成すると、一方向の振動だけでなく、他の方向の振動に対しても、振動によるコネクタ310と相手側コネクタ50との相対移動を抑制することができる。また、上下方向について2対とすることで、振動抑制効果が大きくなる。なお、弾性片337が複数対とされることで、弾性片337によるコネクタ嵌合を妨げる力も増えることになるが、レバー70による嵌合のため、弾性片337による反発力を加味してレバー70による力を調整することで、コネクタ310と相手側コネクタ50との嵌合操作を比較的小さな力で行うことができる。
【0045】
以上のように本実施形態では、金属筐体330は角筒状をなし、その角筒の各面に前記弾性片337が設けられている。
このような構成によると、上下左右方向など異なる振動の方向に対しても振動による相対移動を抑制することができる。
【0046】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、金属筐体30、130、230、330は全体として角筒状をなしていたが、コネクタハウジングの形状に合わせて円筒状など他の形状であっても良い。
(2)上記実施形態では、弾性片37、137、337及び膨出部237は、コネクタ嵌合時に内側に入り込むコネクタの外面に突出するように形成されていたが、外側にかぶさってくる側のコネクタに形成し、内側に弾性片を折り曲げて、内面に突出するように形成しても良い。
【0047】
(3)上記実施形態では、フランジ部35が形成されていたが、フランジ部35はなくても良い。
(4)上記実施形態では、弾性片37、137、337及び膨出部237は、対向する面のそれぞれに形成されていたが、片側だけに形成しても良い。
【0048】
(5)上記実施形態では、コネクタ10には、雌側の端子15が用いられていたが、雄側の端子であっても良い。また、端子15には電線13が接続されていたが、電線用の端子でなく、バスバーなどで機器側の端子台にボルトで締結されていても良い。
(6)上記実施形態では、ワイヤハーネスW1及び相手側ワイヤハーネスW2は、一括シールドとされていたが、個別シールドであっても良い。
【0049】
(7)上記実施形態では、相手側コネクタ50の相手側コネクタハウジング61の外周には、金属製の相手側金属筐体65が装着されていたが、金属製でなくても良い。
(8)上記実施形態では、相手側コネクタ50の相手側コネクタハウジング61から突出部63を突出させることで、相手側コネクタハウジング61をフード部33に内嵌可能としていたが、相手側金属筐体の金属フード部以降の内寸が小さくなるようにしても良い。
【0050】
(9)上記実施形態1では、延長片39は等幅の片とされていたが、途中で幅が変化する片としても良い。
(10)上記実施形態2では、スリット対132は平行とされていたが、先端部が幅広もしくは幅狭になるように相対するスリットとされていても良い。
【0051】
(11)上記実施形態3では、スリット対232を入れた上で叩き出しを行っていたが、スリットなしで叩き出して膨出部を形成しても良い。
(12)上記実施形態4では、弾性片337は延長片39により形成されていたが、実施形態2や実施形態3等の方法で弾性部を形成しても良いし、これらを組み合わせて形成しても良い。
【符号の説明】
【0052】
10、110、210、310…コネクタ
15…端子
20…コネクタハウジング
30、130、230、330…金属筐体
31、131、231、331…筐体本体部
132、232…スリット対
33、133、233、333…フード部(嵌合部)
35…フランジ部
37、137、337…弾性片(弾性部)
237…膨出部(弾性部)
39…延長片
139…片持ち片
50…相手側コネクタ
55…相手側端子
61…相手側コネクタハウジング
65…相手側金属筐体
67…金属フード部
70…レバー
S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5