【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1に係る半導体装置10を説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る半導体装置10の要部断面図である。
図2は、半導体装置10の概略断面図である。
図3は、半導体装置10腰部の接合前状態図である。
【0012】
まず、
図2に示すように、半導体装置10は、リードフレーム9上に半導体素子1を搭載し、ボンディングワイヤ11を接合している。さらにモールド樹脂31で覆っている。これは、一般的に構成される樹脂封止型半導体装置の構造である。
【0013】
リードフレーム9の材質は、銅合金である。銅合金の板材からスタンピングプレスによって製造されている。
【0014】
半導体素子1は、リードフレーム9の上面に導電性接着剤で搭載されている。例えば、接着剤は、はんだを用いて240℃で溶融接合させことができる。ICやトランジスタが用いられる。
【0015】
ボンディングワイヤ11の材質は、金(Au)である。その線径はΦ35〜38μmである。一般的によく使用され、ワイヤボンディング装置により、210℃で熱圧着接合をおこなう。
【0016】
モールド樹脂31の材質は、エポキシ樹脂である。モールド樹脂31の熱膨張係数は、1.9〜2.5×10−5/℃である。フレーム9の一部を突出させ、トランスファーモールド装置により樹脂成形している。このモールド樹脂31は、一般的に安価な樹脂を使用する。高価な低応力樹脂よりも樹脂応力では不利である。
【0017】
次に、半導体素子1とボンディングワイヤ11の接合前の状態について説明する。
【0018】
まず、
図3に示すように、半導体素子1は、電極2と、絶縁層3と、ゲート層4を備えている。電極2の材質は、アルミ(Al)から成っている。その厚さは4μm程度であり、一般的に容易に製造可能な薄厚電極である。
【0019】
ボンディングワイヤ11は、ワイヤ部12と、ボール部13を備えている。ボール部13は、熱圧着のためにつくられ、ボンディングワイヤ11が溶融し球形状である。このボール部13が電極2に押し付けられる。
【0020】
次に、半導体装置10の要部であり、半導体素子1とボンディングワイヤ11の接合後の状態について説明する。
【0021】
図1に示すように、ボール部13は、押し潰されたバンプ部33となっている。同時に電極2も押し潰された電極層32が形成される。さらに、バンプ部33と電極層32の界面に合金層34形成される。
【0022】
この時、バンプ部33と電極層32との界面において、バンプ部33の接合面が接合部外周に間隔をあけている構造になっている。バンプ部33が反った形状をしている。例えば、ワイヤボンディング装置のスクラブ機能を使って製造することができる。
【0023】
ワイヤ12側から、バンプ部33、合金層34、電極層32、絶縁層3と、ゲート層4の順に積層された構造になっている。ここでは、半導体素子1のゲート層4の下部を省略している。さらに電極層32はアルミであり、合金層34はアルミ金合金であり、バンプ部33は金から成っている。この時、電極層32は、アルミの層が十分に残っている状態を保つ。例えば、1μmである。
【0024】
次に、上述の実施例1に係る半導体装置10の効果を説明する。
【0025】
樹脂封止型の半導体装置の場合、パッケージの中央部に樹脂応力が発生する。この時、ボンディングワイヤ接合部のバンプ部に樹脂応力が加わり、バンプ部が押され、半導体素子表面に傷を付け、素子割れを発生させ、製品不良となる。
【0026】
本発明の実施例1に係る半導体装置では、一般的な安価な樹脂を使用するので、モールド樹脂の熱膨張によりワイヤ接合部に樹脂応力がかかる。しかし、接合部の下に電極のアルミ層を1μm残しているので、樹脂応力を吸収することができる。これにより、バンプ部が樹脂応力に動かされてもチップに損傷を与えることがない。
【0027】
薄厚アルミ電極と金線細ワイヤとエポキシ樹脂は、一般的な材料で構成されているので、特別な工程が必要なく、安価に半導体装置を製造することができる。
【0028】
さらに、金バンプ部の接合部外周に間隔があいているのでアルミ溜りができ、合金層面積が大きく取ることができる。これにより、ワイヤボンディングを強固に接続することができる。
【0029】
上述のように、本発明を実施するための形態を記載したが、この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が可能であることが明らかになるはずである。
【0030】
また、変形例としては、モジュール構造で、複数の半導体素子が搭載される場合が考えられる。樹脂パッケージの中央部に樹脂応力が強く発生するので、この領域に限った接合構成としてもよい。これにより、これ以外の領域に関しては、制限の無い自由なワイヤボンディングを施して、ボンディング条件幅を持たせることができる。