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特開2015-228448レーザープラグ用絶縁基体およびレーザープラグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-228448(P2015-228448A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】レーザープラグ用絶縁基体およびレーザープラグ
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/02 20060101AFI20151120BHJP
   F02P 23/04 20060101ALI20151120BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   H01S3/02
   F02P23/04 A
   H01S3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-114120(P2014-114120)
(22)【出願日】2014年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武井 裕介
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AE03
5F172AE08
5F172AE09
5F172EE13
5F172ZZ20
(57)【要約】
【課題】耐振性に優れたレーザープラグ用絶縁基体およびレーザープラグを提供すること。
【解決手段】レーザープラグ用絶縁基体1は、内部に光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4を保持するための空間を有する筒状の絶縁基体11であって、絶縁基体11の内壁は溝1aを有している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に光学素子およびレンズおよび光ファイバーを保持するための空間を有する筒状の絶縁基体であって、
該絶縁基体の内壁は溝を有していることを特徴とするレーザープラグ用絶縁基体。
【請求項2】
前記内壁の前記溝は前記内壁の長手方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のレーザープラグ用絶縁基体。
【請求項3】
前記内壁の前記溝は長手方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1に記載のレーザープラグ用絶縁基体。
【請求項4】
請求項1に記載されたレーザープラグ用絶縁基体と、
該レーザープラグ用絶縁基体に収納された前記光学素子および前記レンズおよび前記光ファイバーとを備えていることを特徴とするレーザープラグ。
【請求項5】
前記絶縁基体の前記内壁の前記溝は第1の溝であり、
前記光学素子は柱状となっており、前記第1の溝と交差する第2の溝を有していることを特徴とする請求項4に記載のレーザープラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばYAG等の光学素子が保持されるレーザープラグ用絶縁基体およびレーザープラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車エンジン等の内燃機関の混合気の点火を行うために、光学素子とレンズと光ファイバーを収納するための筒状の基体を有するレーザープラグ用基体およびレーザープラグが知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-021284公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基体の筒状の空間に光学素子を収納したレーザープラグでは、振動等により光学素子において位置がズレてしまうと、光学素子から発するパルス光において、位置等のズレが発生し、自動車エンジン等の内燃機関の混合気に良好に点火することが難しいものとなってしまうことがあった。そのため、基体の筒状の空間の幅寸法と光学素子の幅寸法との寸法を同様なものにして、光学素子の基体内での位置ズレを発生させないようにしていた。
【0005】
しかしながら、レーザープラグを使用すると、光学素子等から発生する熱により光学素子、基体が膨張して、光学素子と基体の熱膨張差による応力が光学素子に加わり、光学素子の特性が低下してしまう可能性があった。その結果、自動車エンジン等の内燃機関の混合気に良好に点火することが難しいものとなってしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、レーザープラグ用絶縁基体は、内部に光学素子およびレンズおよび光ファイバーを保持するための空間を有する筒状の絶縁基体であって、該絶縁基体の内壁は溝を有している。
【0007】
本発明の他の態様によれば、レーザープラグは、上記構成のレーザープラグ用絶縁基体と、該レーザープラグ用絶縁基体に収納された前記光学素子および前記レンズおよび前記光ファイバーとを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によるレーザープラグ用絶縁基体は、内部に光学素子およびレンズおよび光ファイバーを保持するための空間を有する筒状の絶縁基体であって、絶縁基体の内壁は溝を有していることから、光学素子に接する絶縁基体の内壁が有している溝によって、光学素子と絶縁基体の熱膨張差による応力が光学素子に加わるのを緩和することが可能となり、光学素子の特性を良好なものとすることが可能となる。この結果、自動車エンジン等の内燃機関の混合気に良好に点火すること可能となる。
【0009】
本発明の他の態様によるレーザープラグは、上記構成のレーザープラグ用絶縁基体と、レーザープラグ用絶縁基体に保持された光学素子およびレンズおよび光ファイバーとを有していることによって、自動車エンジン等の内燃機関の混合気の点火に関して良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態におけるレーザープラグを示す断面図である。
図2図1のA部におけるレーザープラグ用絶縁基体を拡大した要部拡大断面斜視図である。
図3】本発明の実施形態におけるレーザープラグの他の例を示す要部拡大断面斜視図である。
図4】本発明の実施形態におけるレーザープラグの他の例を示す要部拡大斜透視図である。
図5】本発明の実施形態におけるレーザープラグの他の例を示す要部拡大断面斜視図である。
図6】本発明の実施形態におけるレーザープラグの他の例を示す要部拡大断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の例示的な実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0012】
本発明の第1の実施形態におけるレーザープラグは、図1図5に示されているように、レーザープラグ用絶縁基体1と、レーザープラグ用絶縁基体1に保持された光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4とを含んでいる。レーザープラグは、例えば自動車エンジン等の内燃機関に搭載される。
【0013】
レーザープラグ用絶縁基体1は、内部に空間を有する筒状の形状を有している。レーザープラグ用絶縁基体1は、内部に光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4を保持するための保持体として機能し、レーザープラグ用絶縁基体1の空間に光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4とが収納および保持される。
【0014】
レーザープラグ用絶縁基体1は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,窒化,等のセラミックスとなるフェルールを用いることができる。
【0015】
レーザープラグ用絶縁基体1(フェルール)が、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム等の原料粉末を混合および粉砕した後、これらの混合粉末に有機バインダーを添加混合して成形材料が準備され、空間(貫通孔)を成形するための構造を有する金型に成形材料を充填する。なお、空間を形成するための構造としては、例えば、空間に対応する凸部が挙げられる。すなわち、空間に対応する凸部を有する金型が用いられる。充填された成形材料に対して所定の圧力でプレス成形、射出成形、鋳込成形、押出成形を行なうことによって成形体を得て、得られた成形体を高温(約1600℃)で焼成することによって作製される。
【0016】
レーザープラグ用絶縁基体1は、貫通孔の幅が0.5〜2mm程度となっており、光学素
子2、レンズ3、光ファイバー4をレーザープラグ用絶縁基体1の貫通孔に押入して、良好に保持できるものとなっている。
【0017】
レーザープラグ用絶縁基体1の内壁は、溝1a(第1の溝1aともいう)を有している。このような構成とすることによって、レーザープラグを使用して、光学素子2等から発生する熱により光学素子2、レーザープラグ用絶縁基体1が膨張することがあっても、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁が有する溝1aによって、光学素子2とレーザープラグ用絶縁基体1の熱膨張差による応力が光学素子2に加わるのを緩和することが可能となり
、光学素子2の特性を良好なものとすることが可能となる。
【0018】
レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の溝1aは、例えばレーザープラグ用絶縁基体1の内壁に位置する箇所に筋状の凹凸を設けた金型を用いて成形したり、焼結体の貫通孔の内周面に対して研磨加工などを施すことによって作製することができる。
【0019】
なお、図2に示される例のように、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の溝1aがレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向に延びていると、光学素子2をレーザープラグ用絶縁基体1の空間内に配設する時に、光学素子2を押入しやすいものとなり、好ましいものとなる。
【0020】
また、図3に示される例のように、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の溝1aがレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向に対して傾いていると、振動等が発生しても、光学素子2がレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向へ位置ズレするのを抑制されたものとすることができ、その結果、内燃機関の混合気に良好に点火すること可能となり、好ましいものとなる。この場合、溝1aをレーザープラグ用絶縁基体1の内壁に螺旋状に形成してもよい。
【0021】
なお、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向に対して傾いている角度θが、5〜20°であると、光学素子2がレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向へ位置ズレするのを抑制されたものとすることができるとともに、光学素子2をレーザープラグ用絶縁基体1の空間内に配設する時に、光学素子2を押入しやすいものとなり、好ましいものとなる。
【0022】
また、図4に示される例のように、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の溝1aがレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向に対して略垂直の螺旋状に形成されていると、振動等が発生しても、光学素子2がレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向へ位置ズレするのを効果的に抑制されたものとすることができ、その結果、内燃機関の混合気に良好に点火すること可能となり、好ましいものとなる。
【0023】
なお、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の溝1aは、深さが0.1〜2μm、幅が0.1〜2μm、各溝1aの間隔が20μm以下であると、光学素子2等から発生する熱により光学素子2、レーザープラグ用絶縁基体1が膨張することがあっても、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁が有する溝1aによって、光学素子2、レーザープラグ用絶縁基体1の膨張による光学素子2への応力を効果的に緩和することが可能となり、好ましい。
【0024】
また、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の溝1aは、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の全面に形成されていてもよいし、光学素子2と接する箇所のみに形成されていてもよい。また、溝1aは、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁に連続して形成されていなくてもよい。
【0025】
本実施形態では、図1に示される例のように、下端側から上端側に向かって、集光レンズ3b、上端側に第1の共振ミラー14aを設け、下端側に第2の共振ミラー14bを設けた光学素子2、結合レンズ3a、光ファイバー4がレーザープラグ用絶縁基体1の内部に保持され、レーザープラグ用絶縁基体1を保持するようにハウジング12を設け、レーザープラグ用絶縁基体1の上端側にキャップ13を用いて固定するようにして、レーザープラグとなる。
【0026】
レーザープラグ用絶縁基体1に保持される光ファイバー4は、レーザープラグ用絶縁基体1の空間およびレーザープラグ用絶縁基体1の上端側にキャップ13を用いて保持され、
外部に設けた半導体レーザ(LD)等の励起光源から発振された励起光を伝送するものである。
【0027】
レーザープラグ用絶縁基体1に保持されるレンズ3は、結合レンズ3aと集光レンズ3bとを含んでいるものである。
【0028】
結合レンズ3aは、光ファイバー4から伝送された励起光を光学素子2に結合させるためのものであり、光ファイバ4から出光された励起光を光学素子2の上端側の中心に集光して入射させている。
【0029】
集光レンズ3bは、光学素子2から出射されたパルス光を燃焼室内の所定位置に集光させるためのものであり、エネルギ密度の高いプラズマを発生させ、燃焼室内の混合気を点火させる。
【0030】
レーザープラグ用絶縁基体1に保持される光学素子2は、固体レーザの媒体であって、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、YLF(イットリウム・リチウム・フルオライド)、YVO(イットリウム・バナデート)等からなり、光学素子2に入射された励起光を増幅およびパルス圧縮するものであり、光学素子2の上端側に設けられた第1の共振ミラー14aと光学素子2の下端側に設けられた第2の共振ミラー14bとの間で光学素子2に入射された励起光が共振するとともに増幅され、エネルギ密度の高いパルス光が出射される。
【0031】
光学素子2は柱状となっており、光学素子2の外形幅が0.5〜2mm程度となっており
、光学素子2をレーザープラグ用絶縁基体1の貫通孔に押入して、良好に保持できるものとなっている。
【0032】
なお、光学素子2は柱状となっており、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の第1の溝1aと交差する第2の溝2aを有していると、振動等が発生しても、光学素子2がレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向へ位置ズレするのを抑制されたものとすることができ、その結果、内燃機関の混合気に良好に点火すること可能となり、好ましいものとなる。
【0033】
なお、図5に示される例のように、光学素子2の外表面の第2の溝2aが柱状の長手方向に延びていると、光学素子2をレーザープラグ用絶縁基体1の空間内に配設する時に、光学素子2を押入しやすいものとなり、好ましいものとなる。
【0034】
また、光学素子2の外表面の第2の溝2aは、深さが0.1〜2μm、幅が0.1〜2μm、各第2の溝2aの間隔が20μm以下であると、光学素子2等から発生する熱により光学素子2、レーザープラグ用絶縁基体1が膨張することがあっても、光学素子2の第2の溝2aによって、光学素子2、レーザープラグ用絶縁基体1の膨張による光学素子2への応力を効果的に緩和することが可能となり、好ましい。
【0035】
また、図5および図6に示されるレーザープラグ用絶縁基体1は、図2に示される例のようにレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の溝1aがレーザープラグ用絶縁基体1の内壁の長手方向に延びており、図5に示される例のように、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の第1の溝1aと光学素子2の外表面の第2の溝2aとが対向していると、光学素子2とレーザープラグ用絶縁基体1の熱膨張差による応力を緩和する第1の溝1aと第2の溝2aとが重なっており、光学素子2とレーザープラグ用絶縁基体1の熱膨張差による応力を効果的に緩和することが可能となり、好ましい。
【0036】
また、図6に示される例のように、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の第1の溝1aと光学素子2の外表面の第2の溝2aとが対向しておらず、互い違いに配置されていると、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁の第1の溝1aおよび光学素子2の外表面の第2の溝2aに応力が集中しにくいものとなり、レーザープラグ用絶縁基体1および光学素子2にクラック等の発生が抑制されたものとなり、好ましい。
【0037】
ハウジング12は、レーザープラグ用絶縁基体1を保持するためのものであり、略筒状に形成されている。
【0038】
本発明は、上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、種々の変更は可能である。上述の例では、光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4を一体のレーザープラグ用絶縁基体1で保持した例を示しているが、複数のレーザープラグ用絶縁基体1で保持してもよく、例えば光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4をそれぞれ別個のレーザープラグ用絶縁基体1で保持し、ハウジング12により各レーザープラグ用絶縁基体1を保持するようにしてもよい。このような構成とすることにより、レーザープラグ用絶縁基体1における光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4の位置合わせを容易に行うことができ、好ましいものとなる。
【0039】
本実施形態のレーザープラグ用絶縁基体1によれば、内部に光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4を保持するための空間11aを有するレーザープラグ用絶縁基体1であって、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁は溝1aを有していることから、レーザープラグ用絶縁基体1の内壁が有する溝1aによって、光学素子2とレーザープラグ用絶縁基体1の熱膨張差による応力が光学素子2に加わるのを緩和することが可能となり、光学素子2の特性を良好なものとすることが可能となる。この結果、自動車エンジン等の内燃機関の混合気に良好に点火すること可能となる。
【0040】
本実施形態のレーザープラグによれば、上記構成のレーザープラグ用絶縁基体1と、レーザープラグ用絶縁基体1に保持された光学素子2およびレンズ3および光ファイバー4とを有していることによって、自動車エンジン等の内燃機関の混合気の点火に関して良好なものとすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・・レーザープラグ用絶縁基体
1a・・・(第1の)溝
12・・・・ハウジング
13・・・・キャップ
14a・・・第1の共振ミラー
14b・・・第2の共振ミラー
2・・・・光学素子
2a・・・第2の溝
3・・・・レンズ
3a・・・結合レンズ
3b・・・集光レンズ
4・・・・光ファイバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6