(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-228478(P2015-228478A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】インダクター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20151120BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20151120BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F15/10 C
H01F41/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-162211(P2014-162211)
(22)【出願日】2014年8月8日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0066923
(32)【優先日】2014年6月2日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ウン・チョル
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ジン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ・ファン・スー
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062DD01
5E070AA01
5E070AB01
5E070CB06
5E070CB12
5E070CB13
5E070CB17
5E070CB18
5E070EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイルのパッド部を小型化し、且つビア電極用ホールのサイズを減少させて、コイル内側に形成されたコアの面積を大きくすることで、インダクターの性能を向上させる。
【解決手段】樹脂層41、及び樹脂層41の両面に形成された第1及び第2金属層42、43を有する支持体と、第1及び第2金属層42、43に形成され、互いに向かい合う一端部に、他の部分より拡張されて形成された第1及び第2パッド部23、33を有する第1及び第2コイルと、第1及び第2コイルのパッド部23、33を連結するように、支持体に上下に貫通されて形成されたビア電極60と、第1及び第2コイルが埋め込まれた本体と、を含む。第1及び第2金属層42,43は、第1及び第2パッド部23,33と対応する位置に第1及び第2溝部42a,43aを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層、及び前記樹脂層の両面に、前記樹脂層に比べて厚く形成された第1及び第2金属層を有する支持体と、
前記第1及び第2金属層に形成され、互いに向かい合う一端部に、他の部分より拡張されて形成された第1及び第2パッド部を有する第1及び第2コイルと、
前記第1及び第2コイルのパッド部を連結するように、前記支持体に上下に貫通されて形成されたビア電極と、
前記第1及び第2コイルが埋め込まれた本体と、を含み、
前記第1及び第2金属層は、前記第1及び第2パッド部と対応する位置に第1及び第2溝部を有することを特徴とするインダクター。
【請求項2】
前記第1及び第2コイルの引き出し部と連結されるように前記本体に形成された第1及び第2外部電極をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のインダクター。
【請求項3】
前記第1及び第2コイルは螺旋状であることを特徴とする、請求項1に記載のインダクター。
【請求項4】
前記支持体の両面に、前記第1及び第2コイルを覆うように形成された絶縁膜をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のインダクター。
【請求項5】
前記第1及び第2コイル上に形成された第1及び第2めっき層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のインダクター。
【請求項6】
樹脂層の両面に、前記樹脂層に比べて厚く第1及び第2金属層を積層して支持体を形成する段階と、
前記第1及び第2金属層が互いに向かい合う位置に、第1及び第2溝部をそれぞれ形成する段階と、
前記第1及び第2溝部が形成された位置に、前記支持体を貫通するようにビア電極を形成する段階と、
前記第1及び第2溝部に充填されて形成され、且つ他の部分より拡張されて形成されて、前記ビア電極の露出された両端部とそれぞれ接続される第1及び第2パッド部を一端部に有するように、前記第1及び第2金属層に第1及び第2コイルをそれぞれ形成する段階と、
前記第1及び第2コイルが埋め込まれるように本体を形成する段階と、を含むインダクターの製造方法。
【請求項7】
前記本体に、前記第1及び第2コイルの引き出し部と連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のインダクターの製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2コイルは螺旋状であることを特徴とする、請求項6に記載のインダクターの製造方法。
【請求項9】
前記第1及び第2金属層に前記第1及び第2コイルを形成した後に、前記第1及び第2コイルの周りを絶縁性材料で覆って絶縁膜を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のインダクターの製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2金属層に前記第1及び第2コイルを形成した後に、前記第1及び第2コイルをめっき処理する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のインダクターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクターは、抵抗及びキャパシターとともに電子回路をなす重要な受動素子の一つであり、低雑音増幅器、ミキサー、電圧制御発振器、及びマッチングコイル(matching coil)などの様々なシステム及び部品に用いられる。
【0003】
このようなインダクターは、その構造に応じて、巻線型インダクター、積層型インダクター、及び薄膜型インダクターなどに分類することができる。
【0004】
巻線型インダクターは、フェライト(ferrite)コアなどにコイルを巻回して形成することができる。
【0005】
上記巻線型インダクターは、コイルの間に浮遊容量が発生し得るため、高容量のインダクタンスを得るためには、コイルの巻線数を増加させなければならない。しかし、コイルの巻線数が増加すると、高周波特性が劣化するという問題点があった。
【0006】
積層型インダクターは、複数のセラミックシートを積層して形成することができる。
【0007】
上記積層型インダクターは、それぞれのセラミックシート上にコイル形態の金属パターンが形成されており、この金属パターンが、上記それぞれのセラミックシートに備えられた複数の導電性ビアを介して順に接続されて、全体的に一つの電気的連結構造を有する。
【0008】
また、上記積層型インダクターは、上記のような構造により、大量生産に適するだけでなく、上記巻線型インダクターに比べ優れた高周波特性を有する。
【0009】
しかし、上記積層型インダクターは、金属パターンを構成する材料の飽和磁化値が低く、小型に製作される場合、金属パターンの積層数に限界がある。そのため、DC重畳特性が低下して、十分な電流が得られなくなるという問題点があった。
【0010】
薄膜型インダクターは、コイル支持層上に薄膜の導電コイルを形成して製作することができる。
【0011】
上記薄膜型インダクターは、上記積層型インダクターに比べ高い飽和磁化値を有する材料を用いることができるだけでなく、小型に製作される場合にも高さに限界がほとんどなく、内部回路パターンを容易に形成することができる。そのため、近年、上記薄膜型インダクターに対する研究が活発に行われている。
【0012】
特に、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯機器の高性能化に伴い、ディスプレイ画面が大型化してAPUの速度が速くなっており、デュアルコアまたはクワッドコアが用いられるなど、電力消費が増加している。したがって、DC-DCコンバーター(converter)やノイズフィルター(noise filter)などに主に用いられる薄膜型インダクターにおいても、高インダクタンス及び低直流抵抗の実現が要求されている。
【0013】
尚、IT技術の発展に伴い、各種電子装置の小型化及び薄膜化が加速化しているため、このような電子装置に用いられる薄膜型インダクターにおいても、小型化及び薄膜化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国登録特許第0167392号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2006-0102493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
当技術分野では、コイルのパッド部を小型化し、且つビア電極用ホールのサイズを減少させて、コイル内側に形成されたコアの面積を大きくすることで、インダクターの性能を向上させることができる新しい方法が要求されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によると、樹脂層、及び上記樹脂層の両面に、上記樹脂層に比べて厚く形成された第1及び第2金属層を有する支持体と、上記第1及び第2金属層に形成され、互いに向かい合う一端部に、他の部分より拡張されて形成された第1及び第2パッド部を有する第1及び第2コイルと、上記第1及び第2コイルのパッド部を連結するように、上記支持体に、上下に貫通されて形成されたビア電極と、上記第1及び第2コイルが埋め込こまれた本体と、を含み、上記第1及び第2金属層は、上記第1及び第2パッド部と対応する位置に第1及び第2溝部を有する、インダクターが提供される。
【0017】
本発明の一実施形態におけるインダクターは、上記第1及び第2コイルの引き出し部と連結されるように、上記本体に形成された第1及び第2外部電極をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態における上記第1及び第2コイルは、螺旋状であることができる。
【0019】
本発明の一実施形態におけるインダクターは、上記支持体の両面に、上記第1及び第2コイルを覆うように形成された絶縁膜をさらに含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態におけるインダクターは、上記第1及び第2コイル上に形成された第1及び第2めっき層をさらに含むことができる。
【0021】
本発明の他の実施形態によると、樹脂層の両面に、上記樹脂層に比べて厚く第1及び第2金属層を積層して支持体を形成する段階と、上記第1及び第2金属層が互いに向かい合う位置に、第1及び第2溝部をそれぞれ形成する段階と、上記第1及び第2溝部が形成された位置に、上記支持体を貫通するようにビア電極を形成する段階と、上記第1及び第2溝部に充填されて形成され、且つ他の部分より拡張されて形成されて、上記ビア電極の露出された両端部とそれぞれ接続される第1及び第2パッド部を一端部に有するように、上記第1及び第2金属層に第1及び第2コイルをそれぞれ形成する段階と、上記第1及び第2コイルが埋め込まれるように本体を形成する段階と、を含むインダクターの製造方法が提供される。
【0022】
本発明の他の実施形態におけるインダクターの製造方法は、上記本体に、上記第1及び第2コイルの引き出し部と連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階をさらに含むことができる。
【0023】
本発明の他の実施形態におけるインダクターの製造方法は、上記第1及び第2金属層に上記第1及び第2コイルを形成した後に、上記第1及び第2コイルの周りを絶縁性材料で覆って絶縁膜を形成する段階をさらに含むことができる。
【0024】
本発明の他の実施形態におけるインダクターの製造方法は、上記第1及び第2金属層に上記第1及び第2コイルを形成した後に、上記第1及び第2コイルをめっき処理する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態によれば、コイルのパッド部を小型化し、且つビア電極用ホールのサイズを減少させて、コイル内側に形成されたコアの面積を大きくすることで、インダクターの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態によるインダクターの幅-厚さ方向の断面を概略的に図示した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体及び第1コイルを図示した平面図である。
【
図3】
図1のA部分を拡大して図示した断面図である。
【
図4a】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4b】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4c】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4d】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4e】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4f】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4g】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4h】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【
図4i】本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0028】
インダクター
図1は本発明の一実施形態によるインダクターの幅-厚さ方向の断面を概略的に図示した断面図であり、
図2は本発明の一実施形態によるインダクターの支持体及び第1コイルを図示した平面図であり、
図3は
図1のA部分を拡大して図示した断面図である。
【0029】
図1から
図3を参照すると、本実施形態によるインダクター10は、支持体40と、第1及び第2コイル20、30と、ビア電極60と、本体11と、を含む。
【0030】
本体11は、略直方体であってもよく、第1及び第2コイル20、30の引き出し部22、32を除いた構成要素が内部に埋め込まれるように形成されることができる。
【0031】
本体11の一側面には第1及び第2外部電極51、52が形成されており、第1及び第2外部電極51、52は、第1及び第2コイル20、30の第1及び第2引き出し部22、32の露出された部分とそれぞれ接続されることができる。
【0032】
また、第1及び第2外部電極51、52は、電気伝導性を付与することができる金属、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、及びこれらの合金からなる群から選択される一つ以上の金属を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0033】
この際、第1及び第2外部電極51、52の表面には、必要に応じて、ニッケルめっき層(不図示)またはスズめっき層(不図示)の少なくとも一つまたは二つが順に形成されることができる。
【0034】
支持体40は、樹脂層41と、樹脂層41の両面に形成された第1及び第2金属層42、43と、を含む。
【0035】
樹脂層41は、例えば、BT樹脂や感光性ポリマーなどの絶縁材料からなる基板で構成されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
上記基板としては、ガラス基板、セラミック基板、半導体基板、または樹脂基板など、例えば、FR4基板またはポリイミド基板などを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
第1及び第2金属層42、43は、銅などの金属物質からなることができるが、本発明はこれに限定されない。また、第1及び第2金属層42、43は、後述する第1及び第2コイル20、30の第1及び第2パッド部と対応する位置に、上下に向かい合うように形成された第1及び第2溝部42a、43aを有する。
【0038】
第1及び第2コイル20、30は、支持体40の第1及び第2金属層42、43上に電気めっき法やスクリーン印刷法などの様々な方法により形成されることができる。
【0039】
この第1及び第2コイル20、30は、略螺旋状の構造を有することが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、四角形、五角形、六角形などの多角形、円形、楕円形などの形状であってもよく、必要に応じて、不規則な形状であってもよい。
【0040】
但し、本実施形態のように、本体11が直方体である場合には、第1及び第2コイル20、30が螺旋状であることが、第1及び第2コイル20、30の面積が最小化されて誘導される磁場の強度を最大化させるのに好ましい。
【0041】
第1及び第2コイル20、30は、支持体40の両面に螺旋状に形成された第1及び第2本体部21、31と、第1及び第2本体部21、31の一端から本体11の一側面を介して引き出されて第1及び第2外部電極51、52とそれぞれ電気的に接続された第1及び第2引き出し部22、32と、第1及び第2本体部21、31の他端に他の部分より拡張されて形成された第1及び第2パッド部23、33と、を含む。
【0042】
第1及び第2パッド部23、33は、支持体40の第1及び第2金属層42、43の溝部42a、43aにそれぞれ形成され、支持体40を挟んで互いに向かい合うように配置される。また、第1及び第2パッド部23、33は、四角形、楕円形など、必要に応じて様々な形状を有することができる。
【0043】
また、第1及び第2コイル20、30は、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、及びこれらの合金からなる群から選択される一つ以上の金属を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0044】
また、必要に応じて、第1及び第2コイル20、30の表面にめっき層71、72がさらに形成されることができる。図面符号71a及び72aは、めっき処理時に、第1及び第2金属層42、43の第1及び第2溝部42a、43aによりめっき層71、72の表面に形成される溝部を意味する。
【0045】
ビア電極60は、第1及び第2金属層42、43の第1及び第2溝部42a、43aと対応する位置に、支持体40の樹脂層41及び第1及び第2金属層42、43を上下に貫通する貫通孔を形成した後、上記貫通孔に導電性ペーストを充填するなどの方法で形成されることができる。
【0046】
この際、ビア電極60の上下に露出された両端部は、第1及び第2コイル20、30の第1及び第2パッド部23、33とそれぞれ接続されて電気的に連結される。
【0047】
また、ビア電極60を構成する導電性ペーストは、上述の第1及び第2コイル20、30と類似して、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、及びこれらの合金からなる群から選択される一つ以上の金属を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
一方、本体11と第1及び第2コイル20、30との絶縁のために、支持体40の両面、より詳細には、第1及び第2金属層42、43に、第1及び第2コイル20、30を覆うように絶縁膜55がそれぞれ形成されることができる。
【0049】
絶縁膜55は、絶縁特性を有する材料からなることができる。例えば、フィラー(filler)やポリマー、アクリレート(acrylate)、エポキシなどを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
薄膜型インダクターの性能(Ls)を向上させるためには、コイル内側に形成される部分であるコアの面積を大きくしなければならない。そのためには、ビア電極及びビア電極のホールを形成するためのコイルのパッド部が相対的に小さくならなければならない。
【0051】
上記のようにビア電極用ホールのサイズを減少させるためには、コアの厚さを減少させることが有利である。しかし、従来は、そのために支持体の厚さを減少させると、ビア電極のホールを穿孔する過程で支持体が破損する問題が発生した。
【0052】
しかし、本実施形態によれば、ビアホールが形成される部分をエッチングして溝部に形成することで、コイルのパッド部を小型化し、且つビアホールのサイズを減少させて、コイル内側に形成されたコアの面積を大きくすることができるため、インダクターの性能を向上させることができる。
【0053】
また、上記のようにビアホールが小さくなることにより、アラインメント(alignment)によってコイルのパッド部の外側にビアホールが形成されるオープン不良の発生も低減させることができる。
【0054】
インダクターの製造方法
図4aから
図4iは本発明の一実施形態によるインダクターの支持体、コイル、及びビア電極を形成する過程を順に示した断面図である。
【0055】
以下、
図4aから
図4eを参照して、本発明の一実施形態によるインダクターの製造方法を説明する。
【0056】
図4aを参照すると、先ず、樹脂層41の両面に第1及び第2金属層42、43を積層して支持体40を形成する。
【0057】
この際、樹脂層41は、例えば、BT樹脂や感光性ポリマーなどの絶縁材料からなる基板で構成することができるが、本発明はこれに限定されない。また、第1及び第2金属層42、43は、銅などの金属物質からなることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0058】
次に、
図4b及び
図4cを参照すると、第1及び第2金属層42、43の表面に、溝部を形成する部分を除いて、PR(photo resist)81、82を付着する。その後、PR81、82をエッチングマスクとして、エッチング液を用いて露光しエッチングする。
【0059】
その後、エッチングされた第1及び第2金属層42、43の表面を均一にするストリッピングなどの工程を行って、上下に互いに向かい合う位置に第1及び第2溝部42a、43aを形成する。
【0060】
次に、
図4dを参照すると、第1及び第2溝部42a、43aが形成された位置に、レーザーまたは打ち抜き機などを用いて支持体40の樹脂層41及び第1及び第2金属層42、43を貫通するようにホールを形成し、このホールに導電性ペーストを充填してビア電極60を形成する。
【0061】
次に、第1及び第2金属層42、43上に電気めっき法やスクリーン印刷法などの様々な方法により、第1及び第2コイル20、30をそれぞれ螺旋状に形成する。
【0062】
図4eから
図4hを参照すると、先ず、第1及び第2金属層42、43上に導電層210、220をそれぞれ形成し、その上に、コイルが形成されない部分に螺旋状のPR91、92を形成する。その後、PR91、92をエッチングマスクとして、エッチング液を用いてエッチングする。
【0063】
その後、エッチングされた導電層210、220の表面を均一にするストリッピングなどの工程を行って、第1及び第2コイル20、30をそれぞれ螺旋状に形成することができる。
【0064】
この際、第1及び第2金属層42、43の第1及び第2溝部42a、43aに充填されて形成された導電層210、220は、第1及び第2パッド部23、33となる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0066】
10 インダクター
11 本体
20、30 第1及び第2コイル
21、31 第1及び第2本体部
22、32 第1及び第2引き出し部
23、33 第1及び第2パッド部
40 支持体
41 樹脂層
42、43 第1及び第2金属層
42a、43a 第1及び第2溝部
51、52 第1及び第2外部電極
55 絶縁膜
60 ビア電極
71、72 第1及び第2めっき層
210、220 導電層