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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-228631(P2015-228631A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】分散型制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20151120BHJP
【FI】
   H04L12/28 200Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-114494(P2014-114494)
(22)【出願日】2014年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】船津 輝宣
(72)【発明者】
【氏名】関根 英則
(72)【発明者】
【氏名】吉川 敏文
(72)【発明者】
【氏名】井上 真輔
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA01
5K033AA05
5K033CB03
(57)【要約】
【課題】
複数の通信経路で制御ユニット間を接続する制御装置において、リアルタイムな制御情報をやり取りする場合でも、通信パケットの増加を回避する手段を提供する。
【解決手段】
各制御ユニットは、エレベーターの各種機器を分散制御するプロセッサ部と、他の制御ユニットのプロセッサ部とやり取りする制御情報を格納する制御情報格納メモリと、制御情報を他の制御ユニットとやり取りするネットワーク制御部と、制御情報の伝送周期を管理する周期管理部と、を備え、制御情報は周期管理部の管理する周期フラグに基づく1ビットの周期フラグを有し、ネットワーク制御部は、制御情報毎の周期フラグを管理し、他の制御ユニットから受信した通信パケットに含まれる周期フラグが、管理する周期フラグと一致する場合は、その制御情報を破棄し、他の制御ユニットに転送することを特徴とするエレベーター制御装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御ユニットと、前記複数の制御ユニット間を複数の通信経路で接続するエレベーター制御装置であって、前記制御ユニットは、
各種機器を分散制御するプロセッサ部と、
他の制御ユニットのプロセッサ部とやり取りする制御情報を格納する制御情報格納メモリと、
前記制御情報を他の制御ユニットとやり取りするネットワーク制御部と、
制御情報の伝送周期を管理する周期管理部と、
を備え、
前記制御情報は前記周期管理部の管理する周期フラグに基づく1ビットの周期フラグを有し、
前記ネットワーク制御部は、制御情報毎の周期フラグを管理し、他の制御ユニットから受信した通信パケットに含まれる周期フラグが、管理する周期フラグと一致する場合は、その制御情報を破棄し、一致しない場合は制御情報格納メモリに格納するとともに、他の制御ユニットに転送することを特徴とするに分散型制御装置。
【請求項2】
前記ネットワーク制御部は
前記制御情報格納メモリに格納された制御情報200に周期が変わる毎に偶数周期を示す0と奇数周期を示す1とを交互に変えた周期フラグを付加してパケットとし、これを他の制御ユニットに送信することを特徴とする分散型制御装置。
【請求項3】
さらに周波数制御部を備え、
前記周波数制御部は分散型制御装置全体の通信量を監視し、通信量が制御ユニット間の通信経路の通信性能以下となるように周波数を管理することを特徴とする請求項2記載の分散型制御装置。
【請求項4】
前記複数の制御ユニットの前記周波数制御部はそれぞれ複数の制御周波数備え、前記複数の制御ユニットの通信量が前記通信経路の通信性能以下となるように周期を変更することを特徴とする請求項3記載の分散型制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは他の制御ユニットから受信した受信制御情報を元に制御処理を実行し他の制御ユニットへ送信する送信制御情報を生成するプロセッサであって、
前記送信制御情報に1ビットの周期フラグを付加して一定の周期でパケットを生成するパケット生成手段と、
他の制御ユニットから送信される受信パケットを受信する複数の受信ポートと、
前記生成パケットおよび受信パケットを一時格納する複数のFIFOバッファと、
前記FIFOバッファに格納された生成パケットもしくは受信パケットから次に送信するパケットを選択し選択パケットとする調停手段と、
選択パケットに含まれる1ビットの周期フラグを元にパケットの送信履歴を管理するパケット管理手段と、
前記パケット管理手段の情報を元に、すでに送信した種類および周期の選択パケットであれば破棄し、そうでなければ有効パケットとして送信する有効パケット判定手段、及び前記制御情報格納メモリには前記有効パケットを受信制御情報として格納され、前記有効パケットを他の制御ユニットに送信する複数の送信ポート
を備えることを特徴とする分散型制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5いずれかに記載の分散型制御装置と、
エレベーターを備えるエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベーターに用いられる制御システムに関わり、主に複数のユニットで全体を制御する分散型制御装置における、ユニット間通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の産業機械に用いられる制御装置は、機器と制御装置間の配線量の低減や、制御装置の装置サイズ低減を目的として、制御機器対象に応じて複数の制御ユニットに分割し、これらをネットワーク通信で接続して全体を制御する分散型制御装置の形態をとることがある。産業機械の一つであるエレベーターを例にとると、乗りかごの運行を制御する運行制御ユニット、巻き上げモータを制御するモータ制御ユニット、かごを制御するかご制御ユニット、ドア開閉を制御するドア制御ユニット、乗り場の操作盤を制御する乗場操作盤制御ユニットに分割する等である。
【0003】
しかし、このような分散型制御装置では、それぞれの制御ユニット間を接続するネットワーク線の不具合、もしくはいずれかの制御ユニットの故障が発生した場合、一連の制御を継続することができず、例えばエレベーターの制御装置である場合は、安全装置によりエレベーターの運行を停止させる必要があった。
【0004】
このような課題を解決する手段として、ネットワークの分野では、特許文献1記載のようにユニット間通信を冗長化するために、複数の通信経路でユニット間を接続することで、一部の通信経路が途絶した場合でも、ユニット間通信を継続させる方法が提供されている。また、複数の通信経路でユニット間を接続したときに課題となる、同一通信パケットの増加による、通信性能の低下を回避する手段として、すでに同様の通信パケットを受信したことを示す新たな制御パケットを設けて、これを受信した制御ユニットが、送信制御ユニットに送信して重複するパケット送信を抑制する方法や、タイムスタンプ等の情報を通信パケットに追加して、同一の通信パケットが存在する場合に、受信制御ユニットにおいて、これを破棄する方式をとっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許公開公報2012−156837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、エレベーター制御装置等の、リアルタイムに制御情報をやり取りする必要がある場合には、限られた通信帯域のなかで、あらかじめ設定される制御周期内で通信を行う必要がある。従来技術のように、いわゆるインターネット通信等の比較的サイズの大きい通信パケットに対してタイムスタンプ等の情報を追加する場合には、データ量増加の比率が小さく問題ないが、制御情報等の元のサイズが小さい通信パケットに対してタイムスタンプ等の情報を追加する場合には、追加によるデータ量のオーバヘッドが大きく、これによる通信性能の低下が無視できなくなる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、エレベーター制御装置等の複数の通信経路で制御ユニット間を接続する分散型制御装置において、リアルタイムな制御情報をやり取りする場合でも、通信パケットの増加を回避する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
各制御ユニットは、エレベーターの各種機器を分散制御するプロセッサ部と、他の制御ユニットのプロセッサ部とやり取りする制御情報を格納する制御情報格納メモリと、制御情報を他の制御ユニットとやり取りするネットワーク制御部と、制御情報の伝送周期を管理する周期管理部と、を備え、制御情報は周期管理部の管理する周期フラグに基づく1ビットの周期フラグを有し、ネットワーク制御部は、制御情報毎の周期フラグを管理し、他の制御ユニットから受信した通信パケットに含まれる周期フラグが、管理する周期フラグと一致する場合は、その制御情報を破棄し、一致しない場合は制御情報格納メモリに格納するとともに、他の制御ユニットに転送することを特徴とする分散型装置。
【発明の効果】
【0009】
分散型エレベーター制御装置において、複数の制御ユニットを複数の通信経路で接続することで発生する重複パケットを、データ量を大幅に増加させずに破棄することができ、通信性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係わるエレベーター制御装置の基本構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係わる制御ユニットの構成例を示した図である。
図3】本発明の実施形態に係わる通信パケットの構成例を示した図である。
図4】本発明の実施形態に係わるネットワークの接続例を示した図である。
図5】本発明の実施形態に係わる通信のタイミングを示した図である。
図6】本発明の実施形態に係わる通信のタイミングを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
図1は本実施例におけるエレベーター制御装置を例にとって示す基本構成を示す図である。なお、本分散型制御装置はエレベーター制御装置に限られるものではなく、制御ユニット間のリアルタイム通信性が要求され、通信帯域が限られるもの一般に有効である。例えば、鉄道、自動車、建設機器などである。また、障害が発生しても、一定期間動作を続ける事が期待されるものに特に有効である。本実施例では、エレベーター制御装置における制御ユニットとして、乗りかごの運行を制御する運行制御ユニット501、巻き上げモータを制御するモータ制御ユニット502、かごを制御するかご制御ユニット503、ドア開閉を制御するドア制御ユニット504、乗り場の操作盤を制御する複数の乗場操作盤制御ユニット505a、505b、505cを備える。運行制御ユニット501は、通信経路401、402、403を介して、乗場操作盤制御ユニット505c、かご制御ユニット503、モータ制御ユニット502と接続される。モータ制御ユニット502はさらに、通信経路404、405を介して、乗場操作盤制御ユニット505a、ドア制御ユニット504と接続される。かご制御ユニット503は、通信経路407を介してドア制御ユニット504と接続される。乗場操作盤制御ユニット505aは通信経路408を介して、乗場操作盤制御ユニット505bと接続される。乗場操作盤制御ユニット505bは通信経路406を介して、乗場操作盤制御ユニット505cと接続される。制御ユニットの種類はこれに限ったものでなく、その他の機器を接続する別の制御ユニットを搭載してもよい。また、図1には、乗場操作盤制御ユニット505は3つのみ図示しているが、この数はこれに限ったものではない。これらエレベーター制御装置を構成する各制御ユニットはエレベーター本体に搭載又は接続される。また、エレベーター制御装置とエレベーター本体を合わせたものをエレベーターシステムと呼称する。
【0012】
図2は各制御ユニットの詳細を示す図である。制御ユニット100は、プロセッサ101、制御情報格納メモリ102、周期管理部103、パケット生成部105、FIFO(First In First Out)バッファ106a、106b、106c、106d、受信ポート107a、107b、107c、送信ポート108a、108b、108c、調停部109、有効パケット判定部110、パケット管理部111、通信量監視部112、通信量調整部113、制御周波数設定部114を備える。本実施例では、受信ポートおよび送信ポートは3つずつ搭載する構成を示しているが、1つ以上であればいくつ搭載してもよい。FIFOバッファも受信ポートの数に応じて搭載される。いずれかの2つの制御ユニット100の受信ポート107、送信ポート108を通信経路で接続することでネットワークを形成し、制御ユニット100間の通信を行う。受信ポート107と送信ポート108と設けて、それぞれ個別に通信経路で接続するいわゆる全2重通信の形態を例に示しているが、これが受信ポート107と送信ポート108とで共通の通信経路400を用いて通信するいわゆる半2重通信の形態をとっていてもよい。
【0013】
プロセッサ101は、他の制御ユニットから送信される制御情報200を元に、入出力115を介して制御ユニットに接続される図示しない機器の制御を行う。例えばドア制御ユニット504であれば、かご内操作盤が接続されるかご制御ユニット503からのドア開閉を指示する制御情報200を元に、ドアの開閉制御を行う等である。制御装置内に搭載される複数の制御ユニットは、それぞれ異なる機器が接続されてもよく、またプロセッサ101は異なる制御を行ってもよい。プロセッサ101はいわゆるCPUであっても、LSIなどの論理回路であっても、機器の制御を行えるものであれば何で構成されてもよい。プロセッサ101は、制御ユニット毎に、入出力115を介して接続される機器の制御を行うとともに、他の制御ユニット100に送信すべき制御情報200を制御情報格納メモリ102に格納する。
【0014】
ここで制御情報200について図3を用いて説明する。図3は通信パケット300の一例を示す図である。なおここでは通信パケット300を用いて説明するが、生成パケット301、選択パケット302、有効パケット303、受信パケット304も、位置づけにより呼称が異なるだけで同様の構成である。通信パケットは周期フラグ203と制御情報200を含む。制御情報200は、制御装置全体で制御に必要な数だけ複数定義され、その種類毎に制御情報識別子201に制御装置全体で一意の値があらかじめ割り当てられる。状態データ202は、例えば、ドア制御ユニットであれば、ドアの開閉状態を示す値などである。また、制御情報200はプロセッサ101毎にいくつあってもよく、制御ユニットに接続される機器を制御するのに足りる数の制御情報200が定義されればよい。本例では状態データ202を16ビット、制御情報識別子201を15ビットとした例である。本例では制御情報200は、制御装置全体で、32768種類の制御情報200を取り扱うことができる。制御装置で取り扱う制御情報200の種類、数によって、状態データ202および制御情報識別子201のビット数を決定すればよい。周期フラグ203は、同一周期の通信パケットを判定するために用いるフラグであり、周期が変化したことがわかればよく、1ビットの情報のみで判断することができる。例えば、周期フラグ203は、制御周期をカウントするカウンタの最下位ビットの値を用いて生成することができる。
【0015】
周期管理部103は、前述したようにあらかじめ設定された制御周期もしくは、制御周波数設定部114で設定された制御周波数に基づき、制御周期毎にプロセッサ101またはパケット生成部105に所定の処理を実行させるためにトリガを与える。
【0016】
ネットワーク制御部104は、周期管理部103が生成するトリガをもとに、前記プロセッサ101が格納した制御情報格納メモリ102内の制御情報200に、周期が変わる毎に偶数周期を示す0と奇数周期を示す1とを交互に変えた周期フラグを付加して通信パケットとし、これを他の制御ユニットに送信する。例えば、ドア制御ユニット504である場合は、通信経路405、407を介してモータ制御ユニット502およびかご制御ユニット503に送信する。
【0017】
また、ネットワーク制御部104は、他の制御ユニットが送信した通信パケットを受信した場合、制御情報格納メモリ102に格納するとともに、接続される他の制御ユニットに受信した通信パケットを送信する。例えば、ドア制御ユニット504が通信経路407を介してかご制御ユニット503から通信パケットを受信した場合、通信経路405を介してそのまま通信パケットをモータ制御ユニット502に送信する。このとき、ネットワーク制御部104が制御ユニット毎および制御情報の種類毎に個別に通信パケットの受信状況を管理する。例えば、一度も受信していない場合は「00」を示し、偶数周期の制御情報を受信している場合は「10」を示し、奇数周期の制御情報を受信している場合は「11」を示す等である。
【0018】
ネットワーク制御部104が、他の制御ユニットから通信パケットを受信した場合、通信パケットの内の周期フラグと、受信状況とを比較し、すでに受信した周期であれば、前記の他の制御ユニットに送信する処理を行わずに通信パケットを破棄する。すなわち、受信状況が「10」であり、周期フラグが「0」である場合と、受信状況が「11」であり、周期フラグが「1」である場合は、通信パケットを破棄し、それ以外の組み合わせの場合は、前述の通りに他の制御ユニットに通信パケットを送信する。
【0019】
また、パケット生成部105は、周期管理部103で管理される制御周期毎に、プロセッサ101が生成するすべての制御情報200の生成パケット301を生成する。生成パケット301は、一時データ格納手段であるFIFOバッファ106aに格納される。
【0020】
受信ポート107a、107b、107cは、他の制御ユニットから送信されネットワーク上でやり取りされる通信パケット300を、受信パケット304としてFIFOバッファ106b、106c、106dに格納する。本実施例では、受信ポートを3つ搭載した例を示しているが、受信ポートはいくつであってもよい。
【0021】
ここで図4を用いて各制御ユニットの接続方法について説明する。図4は各制御ユニットの接続方法の一例を示す図である。図4に示すように、いずれかの2つの制御ユニット100の受信ポート107、送信ポート108を通信経路400で接続することでネットワークを形成し、制御ユニット100間の通信を行う。本実施例では受信ポート107と送信ポート108と設けて、それぞれ個別に通信経路400で接続するいわゆる全2重通信の形態を例に示しているが、これが受信ポート107と送信ポート108とで共通の通信経路400を用いて通信するいわゆる半2重通信の形態をとっていてもよい。
【0022】
調停部109は、FIFOバッファ106a、106b、106c、106dに生成パケット301もしくは、受信パケット304が格納されている場合、いずれかのFIFOバッファからパケットを取り出し、これを選択パケット302とする。このとき、調停部109は、FIFOバッファ106a、106b、106c、106dの内、複数のFIFOバッファにデータが格納されている場合、平均して順にパケットを取り出してもよいし、受信ポートに接続されるFIFOバッファ106b、106c、106dのパケットを優先して取り出す処理を行ってもよい。これは、1つの制御ユニット100が生成するパケットのみ格納されるFIFOバッファ106aに対して、FIFOバッファ106b、106c、106dは制御装置全体で生成されるパケットが格納されるため、より多くのパケットが格納され、場合によっては優先して取り出さないとFIFOバッファがフルになる可能性があるためである。
【0023】
有効パケット判定部110は、選択パケット302に含まれる周期フラグ203と制御情報識別子201とを元に、パケット管理部111に選択パケット302の受信状況を問い合わせ、まだ受信していない周期の選択パケット302であれば、パケット管理部111に受信したことを示す情報を書き込むと共に、選択パケット302を有効パケット303とする。このときすでに受信した周期の選択パケット302であれば、選択パケット302を破棄する。例えば、制御情報識別子201の値をアドレスとしてパケット管理部111のメモリにアクセスし、メモリ内の値がまだパケットを一度も受信していないことを示す値「00」である場合、その周期のパケットはまだ受信していないことがわかり、選択パケット302の周期フラグ203の値が「0」であった場合、選択パケット302を有効パケット303とするとともに、パケット管理部111のメモリの制御情報識別子201が示すアドレスの値を「00」から「10」に書き換える。その後、制御情報識別子201の値が同じ選択パケット302を受信した場合、周期フラグ203の値が再度「0」であった場合は選択パケット302を破棄し、周期フラグ203の値が「1」の場合は、次の周期の有効なパケットが受信されたと判断して、新たに有効パケット303とするとともに、パケット管理部111のメモリの制御識別子201が示すアドレスの値を「10」から「11」に書き換える。以降、周期フラグが「0」、「1」、「0」、「1」と変化する毎に有効パケット303であると判断し、値が変わらない場合は重複パケットであると判断して破棄する。
【0024】
パケット管理部111は、2ビットのバス幅と、制御装置全体で使用される制御情報200を格納するのに足りるアドレス幅を持つメモリであり、制御情報識別子201の値をアドレス値として、周期フラグ203の値をデータ値として、格納する。パケット管理部111への書込みおよび参照は、有効パケット判定部110が行う。制御装置全体で使用される制御情報200の周期フラグ203を記憶できれば、メモリでなく、例えばレジスタの集合であってもよい。
【0025】
送信ポート108a、108b、108cは、有効パケット303をそれぞれ個別に、通信パケット300としてネットワーク上に送信し、他の制御ユニット100は、これを受信パケット304として受信する。
【0026】
制御情報格納メモリ102は、有効パケット303から、状態データ202を取り出し格納する。格納する際には、例えば、制御情報識別子201をメモリのアドレスとして格納すればよい。状態データ202は、制御情報200として、プロセッサ101が使用する。
【0027】
ここで、各制御ユニット100が送信する通信パケット300の数と制御周波数とから計算される通信量の合計が、通信経路400で通信可能な通信性能より小さくなるように、制御装置内で通信される通信量を後述する方法で制御する。このようにすることで、各制御ユニット100が送信する通信パケット300を、他のすべての制御ユニット100で、制御周期内に受信することができる。奇数周期又は偶数周期のいずれかの周期でパケットが送信され、周期内に通信パケットは制御周期内に受信されるため、前記周期フラグ203は周期が変化したことがわかればよく、1ビットの情報のみで判断することができる。例えば、周期フラグ203は、制御周期をカウントするカウンタの最下位ビットの値を用いて生成することができる。
【0028】
通信量監視部112は、有効パケット303の数をカウントすることで、ネットワーク上で通信されているすべての通信パケット300の数をカウントすることができる。これは、図4のようなネットワークにおいて、上記手順で通信した場合、各制御ユニット100から送信される通信パケット300は、必ずすべての制御ユニット100で受信される、いわゆるブロードキャスト通信となるためである。通信量監視部112は、カウントしたパケット数が、通信経路400で通信可能な通信性能以上となった場合、通信量が通信性能をオーバーしていると判断する。
【0029】
通信量調整部113は、通信量監視部112が、通信量が通信性能をオーバーしていると判断した場合、通信量を低減させる処理を行う。例えば、あらかじめ制御ユニット100毎に、プロセッサ101から制御周波数設定部114に異なる値の複数の制御周波数を設定しておく。これらは、制御装置として、制御周波数が高い方が好ましいが、低くても問題がない制御ユニット100である場合、許容できる範囲内で複数設定することができ、制御装置として、制御応答性の観点から制御周波数を変更することができない制御ユニット100である場合は、一つの制御周波数のみ設定する。ドア制御ユニット、かご制御ユニット、モータ制御ユニットは短い周波数であることが必要であることが多く、乗場操作盤制御ユニットは長い周波数である事が多い。
【0030】
例えば、ある制御ユニット100の制御周波数設定部114に第一の制御周波数Ams、第二の制御周波数Bms、第三の制御周波数Cmsが設定されたとする。通常は最も高い第一の制御周波数で通信を行い、通信量監視部112が、通信性能がオーバーしていることを判断した場合、通信量調整部113は制御周波数設定部114に設定されている第二の制御周波数に制御周波数を設定し、これを元に周期管理部103は制御周波数を管理する。第二の制御周波数に設定しても、通信性能がオーバーしていると判断された場合は、さらに第三の制御周波数に設定する。このようにして、制御システム内で通信される通信量を、通信経路400で通信可能な通信性能以下とする制御を行うことができる。これによりパケットの転送が必ず制御周期内に完了するように設定される。
【0031】
このように、複数の制御ユニットの間を複数の通信経路で接続する構成とし、周期フラグにより受信状況を管理することで、一部の通信経路に不具合があった場合でも、通信を継続することができつつ、通信パケットの増加を回避することができる。例えば、通信経路401を介して運行制御ユニット501と乗場操作盤制御ユニット505cが通信していたとき、通信経路401に不具合があったとしても、通信経路403、404、408、406を介して通信を継続することができる。しかし、周期フラグによる通信パケットの破棄が実行されない場合、通信経路401、406、408、404、403を介して自制御ユニットに戻ってくるまでの通信と、通信経路403、404、408、406、401を介して自制御ユニットに戻ってくるまでの通信とで2重に通信が行われ通信パケット増加の要因となる。周期フラグによる通信パケットの破棄が行われれば、2つの経路で通信が行われる際に、通信経路途中のいずれかの制御ユニットで2つの通信パケットは破棄され、通信パケットの増加を回避することができる。
【0032】
図5図1の構成例において、通信が行われるときのタイムチャートを示す。ここでは、運行制御ユニット501からパケットが送信された時の例を示している。図では通信経路毎に通信が行われているタイミングと、送受信する制御ユニットの番号をハッチングした四角の中に示している。通信経路毎に上下2段に別れているのは、本例では通信経路が全2重方式である場合を示しており、2方向の通信経路をそれぞれ個別に示している。T1のタイミングで運行制御ユニット501は、通信経路401、402、403を介して、乗場操作盤制御ユニット505c、かご制御ユニット503、モータ制御ユニット502にパケットを送信する。次にT2のタイミングで、乗場操作盤制御ユニット505cは通信経路406を介して乗場操作盤制御ユニット505bにパケットを送信する。通信経路407、404、405のT2におけるパケット送信も同様に行われる。次にT3のタイミングで、乗場操作盤制御ユニット505bは通信経路408を介して乗場操作盤制御ユニット505aにパケットを送信する。このとき、乗場操作盤制御ユニット505aでは、T2のタイミングですでにパケットを受信しているため、前述の有効パケット判定手順でパケットは破棄される。同様の手順で、T3のタイミングで、すべての制御ユニットにパケットが行き渡るのと同時に、通信パケットはすべて破棄され、1周期分の通信が終了する。
【0033】
次に、図6を用いて一部の通信経路で通信できなくなった場合のタイムチャートを示す。図6では、通信経路401が通信できなくなった場合の例を示している。T1のタイミングで運行制御ユニット501は、通信経路402、403を介して、かご制御ユニット503、モータ制御ユニット502にパケットを送信する。次にT2のタイミングで、かご制御ユニット503は通信経路407を介してドア制御ユニット504にパケットを送信する。通信経路404、405のT2におけるパケット送信も同様に行われる。次にT3のタイミングで、ドア制御ユニット504は通信経路407、405を介してモータ制御ユニット502、かご制御ユニット503にパケットを送信する。このとき、モータ制御ユニット502、かご制御ユニット503ともに、T2のタイミングですでにパケットを受信しているため、前述の有効パケット判定手順でパケットは破棄される。乗場操作盤制御ユニット505aは、通信経路408を介して、乗場操作盤制御ユニット505bにパケットを送信する。次にT4のタイミングで、乗場操作盤制御ユニット505bは、通信経路406を介して、乗場操作盤制御ユニット505cにパケットを送信する。このとき、乗場操作盤制御ユニット505cは送信すべき通信ポートがないため、パケットを破棄する。このようにして、一部の通信経路が通信できなくなった場合でも、すべての制御ユニットにパケットが行き渡る。
【0034】
実施例では、制御ユニット間で2つの経路がある例について説明したが、複数の経路が同時に故障することが想定される場合は、3つ以上の経路ができるように接続してもよい。経路が増えても通信ポートが増えるだけで、基本構成は変わらない。
【符号の説明】
【0035】
100 制御ユニット
200 制御情報
400 通信経路
500 エレベーター制御装置
501 運行制御ユニット
502 モータ制御ユニット
503 かご制御ユニット
504 ドア制御ユニット
505 乗場操作盤制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6