(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-228716(P2015-228716A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】電気自動車のバッテリー管理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20151120BHJP
H02J 7/02 20060101ALI20151120BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02J7/02 B
B60L11/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-112471(P2014-112471)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 宏
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB16
5G503DA04
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC24
5H125BE02
5H125CC06
5H125CC07
(57)【要約】
【課題】あらかじめ設定した出発日時以外の緊急時にも、バッテリーに十分な蓄電電力を確保して電気自動車の航続距離を確保し得るバッテリー管理装置を提供する。
【解決手段】電力料金情報と、バッテリー情報と、充電完了希望時刻に基づいて、通常充電スケジュールを設定する第一の演算部13と、通常充電スケジュールに基づいて電気自動車6のバッテリーを充電する充電スタンド2を備えた電気自動車のバッテリー管理装置において、1日毎の走行距離を格納する履歴管理部20と、1日毎の走行距離に基づいて1日毎の平均走行距離を算出し、該平均走行距離に基づいて充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために要する充電量を電力コストに関わらず直ちに充電する特別充電スケジュールを設定する第二の演算部13と、特別充電スケジュールの設定に基づいて、バッテリーを充電する充電スタンド2とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力料金情報を取得する電力料金情報取得部と、
電気自動車のバッテリー情報を取得するバッテリー情報取得部と、
充電完了希望時刻を設定する時刻設定部と、
前記電力料金情報と、前記バッテリー情報と、前記充電完了希望時刻に基づいて、電力コストを低減しながらバッテリーを充電する通常充電スケジュールを設定する第一の演算部と、
前記通常充電スケジュールに基づいて電気自動車のバッテリーを充電する充電スタンドと
を備えた電気自動車のバッテリー管理装置において、
1日毎の走行距離を格納する履歴管理部と、
1日毎の走行距離に基づいて1日毎の平均走行距離を算出し、該平均走行距離に基づいて前記充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために要する充電量を電力コストに関わらず直ちに充電する特別充電スケジュールを設定する第二の演算部と、
前記特別充電スケジュールの設定に基づいて、前記バッテリーを充電する前記充電スタンドと
を備えたことを特徴とする電気自動車のバッテリー管理装置。
【請求項2】
電力料金情報を取得する電力料金情報取得部と、
電気自動車のバッテリー情報を取得するバッテリー情報取得部と、
充電完了希望時刻を設定する時刻設定部と、
前記電力料金情報と、前記バッテリー情報と、前記充電完了希望時刻に基づいて、電力コストを低減しながらバッテリーを充電する通常充電スケジュールを設定する第一の演算部と、
前記通常充電スケジュールに基づいて電気自動車のバッテリーを充電する充電スタンドと、
前記バッテリーの充電電力を、家庭内の電気機器の電源として供給する放電スタンドとを備えた電気自動車のバッテリー管理装置において、
1日毎の走行距離を格納する履歴管理部と、
1日毎の走行距離に基づいて1日毎の平均走行距離を算出し、該平均走行距離に基づいて前記充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために要する充電量を算出する第二の演算部と、
前記第二の演算部で算出された充電量を残して前記バッテリーから前記電気機器に電力を供給する前記放電スタンドと
を備えたことを特徴とする電気自動車のバッテリー管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気自動車のバッテリー管理装置において、
前記第二の演算部は、曜日毎に1時間毎の平均走行距離を算出し、該平均走行距離に基づいて前記充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために必要な充電量を算出することを特徴とする電気自動車のバッテリー管理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気自動車のバッテリー管理装置において、
ユーザー端末に、前記電力料金情報取得部と、出発予定時刻設定部を備え、前記ユーザー端末とローカルエリアネットワークを介して接続される前記充電スタンドに前記バッテリー情報取得部と、前記第一及び第二の演算部を備えたことを特徴とする電気自動車のバッテリー管理装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気自動車のバッテリー管理装置において、
ユーザー端末に、前記電力料金情報取得部と、出発予定時刻設定部と、前記第一及び第二の演算部を備え、前記ユーザー端末とローカルエリアネットワークを介して接続される前記充電スタンドに前記バッテリー情報取得部を備えたことを特徴とする電気自動車のバッテリー管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に搭載されるバッテリーの蓄電電力を管理するバッテリー管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリーから供給される電力で動作するモータを動力源として走行する民生用の電気自動車が実用化されている。このような電気自動車では、十分な航続距離を確保するためには、バッテリーの充電量を最適に維持する必要がある。
【0003】
バッテリーは、所定の充電スタンドあるいは各家庭に設置された充電スタンドで充電される。家庭に設置される充電スタンドでは、料金の安い夜間電力を使用して充電することにより、充電コストを低減するようにした充電制御装置を備えたものがある。
【0004】
特許文献1には、あらかじめ設定した出発日時までに、電力単価の低い電力供給源を使用してバッテリーを充電する電気自動車充電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−157201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された電気自動車充電装置では、使用者が予め設定した出発日時までの間に、できる限り夜間電力を使用してバッテリーを充電する。従って、あらかじめ設定した出発日時より前に、緊急の所用により電気自動車を走行させる必要が生じた場合に、十分な充電量が確保されていない場合がある。
【0007】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的はあらかじめ設定した出発日時以外の緊急時にも、バッテリーに十分な蓄電電力を確保して電気自動車の航続距離を確保し得るバッテリー管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する電気自動車のバッテリー管理装置は、電力料金情報を取得する電力料金情報取得部と、電気自動車のバッテリー情報を取得するバッテリー情報取得部と、充電完了希望時刻を設定する時刻設定部と、前記電力料金情報と、前記バッテリー情報と、前記充電完了希望時刻に基づいて、電力コストを低減しながらバッテリーを充電する通常充電スケジュールを設定する第一の演算部と、前記通常充電スケジュールに基づいて電気自動車のバッテリーを充電する充電スタンドとを備えた電気自動車のバッテリー管理装置において、1日毎の走行距離を格納する履歴管理部と、1日毎の走行距離に基づいて1日毎の平均走行距離を算出し、該平均走行距離に基づいて前記充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために要する充電量を電力コストに関わらず直ちに充電する特別充電スケジュールを設定する第二の演算部と、前記特別充電スケジュールの設定に基づいて、前記バッテリーを充電する前記充電スタンドとを備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、電気自動車のバッテリーは、充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために要する充電量まで電力コストに関わらず直ちに充電される。
また、上記課題を解決する電気自動車のバッテリー管理装置は、電力料金情報を取得する電力料金情報取得部と、電気自動車のバッテリー情報を取得するバッテリー情報取得部と、充電完了希望時刻を設定する時刻設定部と、前記電力料金情報と、前記バッテリー情報と、前記充電完了希望時刻に基づいて、電力コストを低減しながらバッテリーを充電する通常充電スケジュールを設定する第一の演算部と、前記通常充電スケジュールに基づいて電気自動車のバッテリーを充電する充電スタンドと、前記バッテリーの充電電力を、家庭内の電気機器の電源として供給する放電スタンドとを備えた電気自動車のバッテリー管理装置において、1日毎の走行距離を格納する履歴管理部と、1日毎の走行距離に基づいて1日毎の平均走行距離を算出し、該平均走行距離に基づいて前記充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために要する充電量を算出する第二の演算部と、前記第二の演算部で算出された充電量を残して前記バッテリーから前記電気機器に電力を供給する前記放電スタンドとを備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために要する充電量を残して電気自動車のバッテリーから家庭内の電気機器に電力が供給される。
また、上記の電気自動車のバッテリー管理装置では、前記第二の演算部は、曜日毎に1時間毎の平均走行距離を算出し、該平均走行距離に基づいて前記充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために必要な充電量を算出することが好ましい。
【0011】
この構成により、曜日毎に1時間毎の平均走行距離が算出され、その平均走行距離に基づいて前記充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために必要な充電量が充電される。
【0012】
また、上記の電気自動車のバッテリー管理装置では、ユーザー端末に、前記電力料金情報取得部と、前記出発予定時刻設定部を備え、前記ユーザー端末とローカルエリアネットワークを介して接続される前記充電スタンドに前記バッテリー情報取得部と、前記第一及び第二の演算部を備えることが好ましい。
【0013】
この構成により、通常充電スケジュール及び特別充電スケジュールが充電スタンドの第一及び第二の演算部で設定される。
また、上記の電気自動車のバッテリー管理装置では、ユーザー端末に、前記電力料金情報取得部と、前記出発予定時刻設定部と、前記第一及び第二の演算部を備え、前記ユーザー端末とローカルエリアネットワークを介して接続される前記充電スタンドに前記バッテリー情報取得部を備えることが好ましい。
【0014】
この構成により、通常充電スケジュール及び特別充電スケジュールがユーザー端末の第一及び第二の演算部で設定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電気自動車のバッテリー管理装置によれば、あらかじめ設定した出発日時以外の緊急時にも、バッテリーに十分な蓄電電力を確保して電気自動車の航続距離を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】バッテリー管理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図2】電気自動車と充放電スタンドの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】バッテリー管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】バッテリー管理装置の動作を示す説明図である。
【
図5】バッテリー管理装置の動作を示す説明図である。
【
図6】バッテリー管理装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電気自動車のバッテリー管理装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す電気自動車のバッテリー管理装置は、一般家庭内で使用されるパソコン、タブレット等のユーザー端末1と、駐車スペース等に設置される充放電スタンド2とで構成され、ユーザー端末1と充放電スタンド2はローカルエリアネットワーク3を介して接続される。
【0018】
また、充放電スタンド2は充放電ケーブル4及び通信ケーブル5を介して電気自動車6に接続可能である。通信ケーブル5は充放電ケーブル4に併設され、充放電ケーブル4を電気自動車6に接続すると通信ケーブル5も自動的に接続され、充放電スタンド2あるいはユーザー端末1と電気自動車6の制御ECU7とが互いに通信可能となる。
【0019】
前記ユーザー端末1は、外部インターネットあるいは前記ローカルエリアネットワーク3を介して送受信する送受信部8と、キーボードあるいはタッチパネル等の入力部9と、液晶ディスプレイ等の表示部10と、演算部11と、履歴管理部20等を備えている。
【0020】
前記充放電スタンド2は、前記ローカルエリアネットワーク3を介してユーザー端末1と送受信する送受信部12と、演算部13と、制御部14を備えている。そして、制御部14は前記通信ケーブル5を介して電気自動車6の制御ECU7と通信可能となっている。
【0021】
図2に示すように、前記電気自動車6には充放電ケーブル4及び通信ケーブル5を接続するインレット15が備えられ、前記充放電スタンド2は充放電ケーブル4及び通信ケーブル5とインレット15を介して前記制御ECU7に接続される。
【0022】
前記制御ECU7は、電気自動車に搭載される各電子装備を制御するボディECU16と、インストルメントパネルに搭載された各種表示部の動作を制御するメーターECU17に接続される。
【0023】
そして、ボディECU16は例えば積算計から走行距離を読み出し、バッテリーセンサーからバッテリー19の電池残量を読み出して前記制御ECU7に出力する。
前記ユーザー端末1は、インターネットを介して電力供給元としての電力会社18に接続され、電力会社18にアクセスして当該ユーザーの契約条件における電力料金情報、例えば時間帯毎の電力料金情報等を取得可能である。
【0024】
次に、前記ユーザー端末1、充放電スタンド2及び電気自動車6の制御ECU7の機能について説明する。
ユーザー端末1は、上記のように電力会社18から電力料金情報を取得して充放電スタンド2に送信する機能、入力部9で入力された充電完了希望時刻すなわち通常出発日時や、希望充電量、希望走行距離等を充放電スタンド2に送信する機能、現状の電池残量を電気自動車6から充放電スタンド2を経て読み出す機能を備える。
【0025】
また、あらかじめ設定した通常出発日時より前に、予定外に出かける必要がある施設、例えば最寄りの駅、病院、コンビニエンスストア、友人宅等の特別目的地が入力部9で設定されたとき、あらかじめ格納されている地図データに基づいて、各特別目的地までの往復距離を演算部11で算出して充放電スタンド2に送信する機能を備えている。
【0026】
電気自動車6の制御ECU7は、ボディECU16にアクセスして、前回充電時からの走行距離や電池残量を読み出し、充放電スタンド2に送信する機能、充放電スタンド2で設定された充電スケジュールあるいは放電スケジュールに従ってバッテリー19の充放電動作を制御する機能等を備えている。
【0027】
そして、ユーザー端末1は制御ECU7から1日毎の走行距離を読み出して履歴管理部20に格納する。そして、1日毎の平均走行距離を算出し、その平均走行距離を走行するために必要な充電量を確保するための充電スケジュール及び放電スケジュールを演算する機能を備えている。
【0028】
また、例えば曜日毎に1日の走行距離を1時間毎に分析し、充電開始時刻から充電完了希望時間までの走行距離を走行するために必要な充電量を確保するための充電スケジュール及び放電スケジュールを演算する機能を備えている。
【0029】
具体的には、
図4に示すように、例えば月曜日から金曜日までの平日の1時間毎の走行距離D1を算出する。例えば午前8時過ぎに充放電ケーブル4が電気自動車6のインレット15に接続されると、ユーザー端末1はあらかじめ設定されている充電完了希望時刻である午前0時までに走行すると予想される走行距離Dxを1時間毎の走行距離に基づいて算出する。そして、その走行距離Dxを走行するために必要な充電量を確保するための特別充電スケジュール及び特別放電スケジュールを演算する機能を備えている。
【0030】
また、
図5に示すように、土曜日の1時間毎の走行距離D2を算出する。例えば午後0時過ぎに充放電ケーブル4が電気自動車6のインレット15に接続されると、ユーザー端末1はあらかじめ設定されている充電完了希望時刻午前0時までに走行すると予想される走行距離Dxを1時間毎の走行距離に基づいて算出する。そして、その走行距離Dxを走行するために必要な充電量を確保するための特別充電スケジュール及び特別放電スケジュールを演算する機能を備えている。
【0031】
同様に、
図6に示すように、日曜日あるいは祝日の1時間毎の走行距離D3を算出する。例えば午後6時過ぎに充放電ケーブル4が電気自動車6のインレット15に接続されると、ユーザー端末1はあらかじめ設定されている充電完了希望時刻午前0時までに走行すると予想される走行距離Dxを1時間毎の走行距離に基づいて算出する。そして、その走行距離Dxを走行するために必要な充電量を確保するための特別充電スケジュール及び特別放電スケジュールを演算する機能を備えている。
【0032】
充放電スタンド2は、ユーザー端末1から送信された走行距離、電池残量、通常出発日時、希望充電量及び希望走行距離と電力料金情報に基づいて、通常出発日時までに希望充電量まで低電力コストで充電する通常充電スケジュールを演算する機能を備えている。そして、その通常充電スケジュールに基づいて電気自動車6のバッテリー19の充電動作を制御する機能を備えている。
【0033】
また、複数の特別目的地が設定されている場合には、当該目的地のいずれにも往復するために必要な充電量を、電力コストを考慮することなく確保するための特別充電スケジュールを演算する機能を備えている。そして、その特別充電スケジュールに基づいて電気自動車6のバッテリー19の充電動作を制御する機能を備えている。
【0034】
また、充放電スタンド2は電気自動車6のバッテリー19から家屋内の電気機器に電力を供給する電力供給機能を備えている。そして、特別目的地が設定されている場合には、当該目的地まで往復するために必要な特別充電量を確保する範囲で放電動作を行う機能を備えている。
【0035】
次に、上記のように構成されたバッテリー電源制御装置の作用を説明する。
図3に示すように、充放電スタンド2に充放電ケーブル4及び通信ケーブル5を介して電気自動車6が接続されると、充放電スタンド2の制御部14は電気自動車6の制御ECU7から走行距離及び電池残量を読み出し、ユーザー端末1に転送する。そして、ユーザー端末1で設定されている通常出発日時や、希望充電量、希望走行距離、特別目的地等の設定情報を取得する(ステップ1)。
【0036】
次いで、充電制御あるいは放電制御のいずれが設定されているかを検出する(ステップ2)。充電制御が設定されていると、ステップ3に移行してユーザー端末1から電力料金情報を取得し、次いで取得した設定情報及び電力料金情報に基づいて通常充電スケジュールを設定する。
【0037】
また、特別目的地が設定されている場合、あるいは1日毎若しくは曜日毎の走行履歴に基づいて必要な充電量を確保する場合には、特別充電スケジュール及び特別放電スケジュールを設定する(ステップ4)。
【0038】
次いで、電力料金情報に基づいて、安い電力料金での充電制御が可能な時間帯であるか否かを判定し(ステップ5)、電力料金の安い時間帯であれば、設定された通常充電スケジュール若しくは特別充電スケジュールに基づいて充電制御を行う(ステップ6)。
【0039】
そして、設定された希望充電量に達したか否かを判定し(ステップ7)、希望充電量に達するまでステップ3〜7を繰り返した後、充電制御を終了する。
ステップ5において、安い電力料金での充電制御が可能な時間帯ではない場合には、ステップ8に移行して、走行履歴に基づいて必要な充電量を算出し、特別充電スケジュールに基づく充電制御を行う。
【0040】
すなわち、充電完了希望時刻までに走行すると予想される走行距離を走行するために必要な充電量と、設定されている特別目的地まで往復するに足る電池残量が確保されているか否かを判定し、十分な電池残量が確保されていない場合には充電制御を行う(ステップ10,7,3,4,5,8,9)。
【0041】
ステップ9において、十分な電池残量が確保されている場合には、充電制御を終了する(ステップ11,7)。
ステップ2において、放電制御が設定されている場合には、ステップ11に移行して、走行履歴に基づいて必要な充電量を算出し、特別放電スケジュールに基づく放電制御を行う。
【0042】
すなわち、充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために必要な充電量と、設定されている特別目的地まで往復するに足る電池残量が確保されているか否かを判定し、余剰電力が確保されている場合には、余剰電力が尽きるまで放電制御を行う(ステップ12,13,14,16)。
【0043】
ステップ13において、余剰電力が確保されていない場合には、放電制御を停止する(ステップ15)。
上記のような電気自動車のバッテリー管理装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)通常充電スケジュールに基づいて動作するとき、電力コストを低減しながら、電気自動車のバッテリー19をあらかじめ設定された出発予定時刻までに希望充電量まで充電することができる。
(2)充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために必要な充電量を確保するための特別充電スケジュールが設定されている場合には、走行履歴に基づいて必要な充電量を算出することができる。そして、充放電ケーブル4の接続に基づいて直ちにバッテリー19の充電動作を開始し、算出された充電量に達するまで充電することができる。従って、ユーザーによる特別目的地の設定操作等を必要とすることなく、充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために必要な充電量を自動的に確保することができる。
(3)曜日毎の走行履歴に基づいて必要な充電量を算出し、その充電量に達するまで、直ちにバッテリー19を充電することができる。
(4)特別目的地があらかじめ設定されている場合には、特別充電スケジュールに基づいて動作して、電力コストに関わらず、特別目的地まで往復するために要する電池残量までバッテリー19を自動的に充電することができる。従って、あらかじめ設定した出発日時以外の予定外のタイミングで特別目的地まで出かける必要が生じた場合にも、電気自動車を運転して直ちに出かけることができる。
(5)電力コストの高い時間帯で、家庭内の電気機器を電気自動車のバッテリー19の電力を使用して動作させることにより電力コストを低減しようとするとき、走行履歴に基づいて充電完了希望時刻までに予想される走行距離を走行するために必要な電池残量を確実に残すことができる。従って、あらかじめ設定した出発日時以外の予定外のタイミングで出かける必要が生じた場合にも、電気自動車を運転して直ちに出かけることができる。
(6)電力コストの高い時間帯で、家庭内の電気機器を電気自動車のバッテリー19の電力を使用して動作させることにより電力コストを低減しようとするとき、特別目的地があらかじめ設定されている場合には、特別目的地まで往復するために要する電池残量を確実に残すことができる。従って、あらかじめ設定した出発日時以外の予定外のタイミングで特別目的地まで出かける必要が生じた場合にも、電気自動車を運転して直ちに出かけることができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・通常充電スケジュールあるいは特別充電スケジュールをユーザー端末1の演算部11で演算して設定し、ユーザー端末1により各充電スケジュールを制御してもよい。
・走行履歴に基づいて算出した走行距離に一定の距離を加算し、その走行距離に基づいて必要な充電量を算出するようにしてもよい。必要な充電量に対するマージンを確保することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…電力料金情報取得部(バッテリー情報取得部、時刻設定部、ユーザー端末)、2…充電スタンド(放電スタンド、充放電スタンド)、3…ローカルエリアネットワーク、6…電気自動車、13…第一の演算部(第二の演算部、演算部)、14…バッテリー情報取得部(制御部)、18…電力会社、19…バッテリー、20…履歴管理部。