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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-229249(P2015-229249A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/02 20060101AFI20151124BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   B41J11/02
   B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-115034(P2014-115034)
(22)【出願日】2014年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】小宮 英和
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EC35
2C056FA10
2C056HA27
2C058AB15
2C058AC07
2C058AE07
2C058AF31
2C058DA11
2C058DA24
2C058DA30
(57)【要約】
【課題】水平調整を十分に行うと共にプラテンのがたつきを低減し、印刷品質を確保する印刷装置を提供する。
【解決手段】プリンタは、プラテン5、プラテン支持台14、及び水平調整機構51を備えている。プラテン5は、印刷媒体を支持可能である。プラテン支持台14は、プラテン5に対向して配置されている。水平調整機構51は、ネジ部材52、第一皿バネ55、調整ネジ56、及びナット61を備えている。ネジ部材52は、プラテン支持台14に支持される。調整ネジ56は、ネジ部材52に設けられたネジ穴521に係合する。調整ネジ56は、プラテン5に回転可能に取り付けられる。第一皿バネ55は、調整ネジ56に配置される。ナット61は、調整ネジ56の周囲に配置され、ネジ部材52との間で第一皿バネ55を挟んで圧縮する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部に対向して配置され、印刷媒体を支持可能なプラテンと、
前記プラテンに設けられた孔部であるプラテン孔部と、
前記プラテンに対して前記吐出部側とは反対側に配置され、前記プラテンに対向する支持部と、
前記支持部に配置され、ネジ穴を有する雌ネジと、
前記プラテン孔部に挿通され、前記プラテンに回転可能に取り付けられ、前記雌ネジの前記ネジ穴に係合するネジ山を備えた調整ネジと、
前記調整ネジの周囲、且つ前記雌ネジに対して前記プラテン側に配置され、圧縮された場合に復元力を生じるバネと、
前記調整ネジの前記ネジ山に係合し、且つ前記バネの前記プラテン側に配置され、前記雌ネジとの間で前記バネを挟んで前記バネを圧縮するナットと
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記支持部に支持され、前記ナットの回転を係止する係止部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記バネの表面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記バネと前記ナットとの間に配置された第一部材を備え、
前記第一部材と前記バネとの間に生じる摩擦力、及び前記第一部材と前記ナットとの間に生じる摩擦力は、前記バネと前記ナットとの間に生じる摩擦力より大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記バネと前記雌ネジとの間に配置された第二部材を備え、
前記第二部材と前記バネとの間に生じる摩擦力、及び前記第二部材と前記雌ネジとの間に生じる摩擦力は、前記バネと前記雌ネジとの間に生じる摩擦力より大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記調整ネジにおける前記プラテンから前記支持部に向かう一方向側の端部は、前記雌ネジにおける前記一方向側の端部より、前記プラテン側に位置することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体を支持するプラテンを有する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体を支持するプラテンを有する印刷装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、プラテン、プラテン取付板、支持部材、ねじ、及びナットを備えている。プラテンとプラテン取付板とには、夫々を重ね合わせた場合に位置が一致する貫通孔が形成されている。プラテンとプラテン取付板との間には、支持部材が配置される。支持部材は、弾性を有するゴムで形成された円筒状である。ネジは、プラテンとプラテン取付板とが有する貫通孔と支持部材とに挿入され、ナットで固定される。ねじとナットとの締め具合を調整することにより、弾性を有する支持部材の厚みが変化する。支持部材の厚みが変化すると、プラテンとプラテン取付板との間の距離が変化する。これによって、プラテンの水平調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−240107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のインクジェット記録装置では、弾性を有する支持部材の厚みが変化する範囲でのみプラテンの水平調整が可能であるので、水平調整可能な範囲が小さく、水平調整が不十分になる可能性がある。また、プラテンを水平調整した場合にがたつきが生じる可能性がある。プラテンの水平調整が不十分であったり、プラテンにがたつきが生じたりすると、ヘッドから吐出したインクの着弾位置がずれるなど印刷品質に影響が生じる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、水平調整を十分に行うと共にプラテンのがたつきを低減し、印刷品質を確保する印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、液体を吐出する吐出部と、前記吐出部に対向して配置され、印刷媒体を支持可能なプラテンと、前記プラテンに設けられた孔部であるプラテン孔部と、前記プラテンに対して前記吐出部側とは反対側に配置され、前記プラテンに対向する支持部と、前記支持部に配置され、ネジ穴を有する雌ネジと、前記プラテン孔部に挿通され、前記プラテンに回転可能に取り付けられ、前記雌ネジの前記ネジ穴に係合するネジ山を備えた調整ネジと、前記調整ネジの周囲、且つ前記雌ネジに対して前記プラテン側に配置され、圧縮された場合に復元力を生じるバネと、前記調整ネジの前記ネジ山に係合し、且つ前記バネの前記プラテン側に配置され、前記雌ネジとの間で前記バネを挟んで前記バネを圧縮するナットとを備えている。
【0007】
この場合、調整ネジを回して雌ネジに対する位置を調整することで、調整ネジと共にプラテンが移動し、プラテンと支持部との間の距離が変化する。このため、作業者は、調整ネジを回すことで、プラテンの水平調整をすることができる。バネがナットと雌ネジとの間に圧縮された状態で配置されているため、調整ネジの周囲において、ナットと雌ネジとが互いに離れる方向に押されて調整ネジのネジ山に押し付けられた状態になる。このため、バネが設けられていない場合に比べて、調整ネジがナットと雌ネジとに対してがたつく可能性を低減できる。よって、調整ネジに固定されたプラテンにがたつきが生じる可能性を低減して、印刷品質を確保することができる。また、調整ネジのネジ山が、雌ネジのネジ穴に係合する範囲で、プラテンの水平調整が可能である。このため、従来のように弾性を有する支持部材の厚みが変化する範囲でのみプラテンの水平調整が可能な場合に比べて、水平調整可能な範囲が大きくなる。よって、水平調整を十分に行うことができ、印刷品質を確保することができる。
【0008】
前記印刷装置は、前記支持部に支持され、前記ナットの回転を係止する係止部を備えてもよい。この場合、係止部が設けられていない場合に比べてナットが回転し難いので、調整ネジの回転に伴ってナットが回転し難い。よって、ナットと雌ネジとの間の距離が変化し難くなり、バネの復元力が維持される。バネの復元力が維持されるので、調整ネジに固定されたプラテンにがたつきが生じる可能性を低減できる。
【0009】
前記印刷装置において、前記バネの表面に凹凸が形成されてもよい。この場合、バネの表面に凹凸が形成されていない場合に比べて、ナット又は雌ネジと、バネとの間の摩擦力が大きくなる。バネとの摩擦力が大きくなるので、調整ネジを回転させたときに、ナット又は雌ネジが回転し難くなる。このため、ナットと雌ネジとの間の距離が変化し難くなり、バネの復元力が維持される。バネの復元力が維持されるので、調整ネジに固定されたプラテンにがたつきが生じる可能性を低減できる。
【0010】
前記印刷装置は、前記バネと前記ナットとの間に配置された第一部材を備え、前記第一部材と前記バネとの間に生じる摩擦力、及び前記第一部材と前記ナットとの間に生じる摩擦力は、前記バネと前記ナットとの間に生じる摩擦力より大きくてもよい。この場合、摩擦力が大きくなるので、第一部材が設けられていない場合に比べて、調整ネジを回転させたときに、ナットが回転し難くなる。このため、ナットと雌ネジとの間の距離が変化し難くなり、バネの復元力が維持される。バネの復元力が維持されるので、調整ネジに固定されたプラテンにがたつきが生じる可能性を低減できる。
【0011】
前記印刷装置は、前記バネと前記雌ネジとの間に配置された第二部材を備え、前記第二部材と前記バネとの間に生じる摩擦力、及び前記第二部材と前記雌ネジとの間に生じる摩擦力は、前記バネと前記雌ネジとの間に生じる摩擦力より大きくてもよい。この場合、摩擦力が大きくなるので、第二部材が設けられていない場合に比べて、調整ネジを回転させたときに、雌ネジが回転し難くなる。このため、ナットと雌ネジとの間の距離が変化し難くなり、バネの復元力が維持される。バネの復元力が維持されるので、調整ネジに固定されたプラテンにがたつきが生じる可能性を低減できる。
【0012】
前記印刷装置において、前記調整ネジにおける前記プラテンから前記支持部に向かう一方向側の端部は、前記雌ネジにおける前記一方向側の端部より、前記プラテン側に位置してもよい。この場合、調整ネジが雌ネジより一方向側に突出する場合に比べて、印刷媒体がプラテンに配置されるときに印刷媒体が調整ネジに引っ掛かりにくい。このため、印刷媒体をプラテンに配置し易い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】プリンタ1の斜視図である。
図2】プリンタ1の平面図である。
図3】プラテン5、プラテン支持台14、及び水平調整機構51の分解斜視図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5図2のA−A線矢視方向断面図である。
図6図5に示す調整ネジ56が回され、プラテン5が上方に移動した状態の断面図である。
図7】変形例に係る水平調整機構51Aの断面図である。
図8】変形例に係る水平調整機構51Bの断面図である。
図9】変形例に係る水平調整機構51Cの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1から図6を参照して、プリンタ1の構成について説明する。なお、図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、および左上方が、各々、プリンタ1の上方、下方、前方、後方、右方、および左方である。
【0015】
図1に示すように、プリンタ1は、印刷媒体であるTシャツ等の布帛(図示外)に対して、液体のインクを吐出することで印刷を行うインクジェットプリンタである。プリンタ1は、紙等を印刷媒体としてもよい。本実施形態においては、プリンタ1は、互いに異なる5種のインク(ホワイト(W)、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、およびマゼンタ(M))を下方へ向けて吐出することで、印刷媒体にカラー画像の印刷を行うことができる。以下の説明では、5種のインクのうち、ホワイトのインクを白インクといい、ブラック、シアン、イエロー、およびマゼンタの4色のインクを総称する場合はカラーインクという。プリンタ1が印刷媒体を搬送する副走査方向は前後方向であり、走査方向は左右方向である。
【0016】
プリンタ1は、筐体2、プラテン駆動機構6、一対のガイドレール3,3(図2参照)、プラテン5、トレイ4、枠体10、ガイドシャフト9、レール7、キャリッジ20、支持部21L,21R(図2参照)、ヘッドユニット100,200、駆動ベルト101、及び駆動モータ19を備える。
【0017】
筐体2は、左右方向を長手方向とする略直方体状である。筐体2の右側手前の位置には、プリンタ1の操作を行うための操作部(図示せず)が設けられている。操作部は、ディスプレイおよび操作ボタンを備える。ディスプレイは、各種情報を表示する。操作ボタンは、作業者がプリンタ1の各種動作に関する指示を入力する際に操作される。
【0018】
枠体10は、平面視略長方形状の枠状であり、筐体2の上部に設置される。枠体10は、前方側にガイドシャフト9を、後方側にレール7をそれぞれ支持する。ガイドシャフト9は、枠体10内側において左右方向に延びる軸状部を備える軸部材である。レール7は、ガイドシャフト9に対向して配置され、左右方向に延びる棒状部材である。
【0019】
キャリッジ20は、ガイドシャフト9に沿って左右方向に搬送可能に支持されている。図2に示すように、支持部21L,21Rは、キャリッジ20の前端部に設けられている。支持部21L,21Rは、ガイドシャフト9を挿通して、ガイドシャフト9に沿ってキャリッジ20を摺動可能に支持する。ヘッドユニット100,200は、前後方向に並べられてキャリッジ20に搭載されている。ヘッドユニット100は、ヘッドユニット200よりも前方に位置する。ヘッドユニット100,200それぞれの底面には、図示しないヘッド部が設けられている。ヘッド部の底面には、水平面と平行な平面状の吐出面が形成されている。吐出面には、白インク及びカラーインクの何れかを下方へ向けて吐出可能な微細な吐出口が複数設けられる。
【0020】
駆動ベルト101は、枠体10内側において、左右方向に沿って架け渡される帯状である。駆動ベルト101は、可撓性を有する樹脂製である。駆動モータ19は、枠体10内側の前方右側に設けられる。駆動モータ19は、正逆回転可能であり、駆動ベルト101を介して、キャリッジ20と連結されている。駆動モータ19が駆動ベルト101を駆動することにより、ガイドシャフト9に沿ってキャリッジ20が左右方向に往復移動される。これによって、ヘッドユニット100,200は左右方向に往復移動され、ヘッドユニット100,200の下側においてヘッドユニット100,200に対向して配置されたプラテン5に向けてインクを吐出する。これによって、プラテン5に支持された印刷媒体への印刷が行われる。このとき、プラテン駆動機構6によって、プラテン5が前後方向に搬送される。
【0021】
プラテン駆動機構6は、一対のガイドレール3,3(図2参照)およびプラテン支持台14(図3参照)を備える。プラテン駆動機構6は、後端部に設けられたモータ(図示外)を駆動源として、プラテン支持台14を、一対のガイドレール3,3に沿って筐体2の前後方向に移動する。一対のガイドレール3,3は、プラテン支持台14を前後方向に搬送可能に支持する。図3に示すように、プラテン支持台14は、プラテン5を支持する部材である。プラテン支持台14は、プラテン5に対してヘッドユニット100,200側とは反対側である下側に設けられ、プラテン5に対向している(図3及び図5参照)。
【0022】
プラテン支持台14は、支柱部141と、プレート部142とを備えている。支柱部141は上下方向に延びる円柱状である。トレイ4は、平面視矩形状であり、プラテン5の下方に設けられている。トレイ4は、作業者がTシャツ等をプラテン5に載置する際に、Tシャツのそで等を受けることで、当該そで等が筐体2内部の他の部品に接触しないように保護する。
【0023】
支柱部141の上端には、プレート部142の中央部が固定されている。図3に示すように、プレート部142は、平面視矩形状の金属製の板状である。プレート部142における中心部と4つの角部145との間の夫々には、略矩形状に上下方向に開口する開口部143が設けられている。4つの角部145の近傍には、夫々、平面視円形の孔部であるプレート孔部146が設けられている。なお、図3及び図4においては、右前の角部145に設けられたプレート孔部146を図示している。また、左後側の角部145と開口部143とは、プラテン5に隠れているので、図示を省略している。プレート孔部146は、対向する一対の平面部147を備えている。図4においては、プレート孔部146の左部を形成する前後方向に延びる平面部147のみを図示しているが、プレート孔部146の右部にも、前後方向に延びる平面部147が形成されている。
【0024】
4つのプレート孔部146の夫々には、水平調整機構51が配置される。水平調整機構51の上端には、プラテン5が取り付けられる。例えばプラテン5の撓みなどによって、プラテン5の上面が水平面に対して傾く場合があるが、作業者は水平調整機構51を使用してプラテン5の水平調整を行い、プラテン5の上面が水平面と平行になるように調整することができる。水平調整機構51の詳細については後述する。
【0025】
図2及び図3に示すように、プラテン5は、板状部501と布支持部502とを備えている。板状部501は、筐体2の前後方向を長手方向とする平面視略長方形状である。平面視における板状部501の大きさは、プラテン支持台14のプレート部142より大きい。布支持部502は、屈曲した棒状部材によって形成され、板状部501から前方に突出するように、板状部501の左前部と右前部との間に架け渡されている。布支持部502は、複数のネジ503によって板状部501に固定されている。例えば、印刷媒体がTシャツである場合、作業者は、Tシャツをプラテン5に被せてセットするときに、Tシャツにおける首及び肩の部分を布支持部502に沿って配置する。
【0026】
図3に示すように、板状部501の中央部は、雄ネジ508によって、プラテン支持台14の支柱部141の上端に係合されている。板状部501の中央部と4つの角部504との間には、夫々、プラテン凹部505が設けられている。4つのプラテン凹部505は平面視円形状に、板状部501の上面から下方に凹む。図4及び図5に示すように、4つのプラテン凹部505の平面視中央の夫々には、板状部501を上下方向に貫通する孔部であるプラテン孔部506が設けられている。プラテン孔部506には、水平調整機構51が挿通される。
【0027】
水平調整機構51について説明する。図3に示すように、水平調整機構51は、4つのプラテン凹部505とプラテン孔部506とに対応して4つ設けられている。4つの水平調整機構51は、夫々がプラテン5の上下位置を調整することによって、プラテン5の上面が水平になるように調整する。水平調整機構51に含まれる各部品について説明する。図4及び図5に示すように、水平調整機構51は、ネジ部材52、ナット54、第一皿バネ55、ナット61、調整ネジ56、止め輪60、第二皿バネ62、及び回転係止部材63を備えている。
【0028】
ネジ部材52は、ネジ部材52を上下方向に貫通するネジ穴521を有する雌ネジである。ネジ部材52は、円筒部522と、鍔部523とを備えている。円筒部522は、上下方向に延びる円筒状である。鍔部523は、円筒部522の上端に接続され、径方向外側に突出する。鍔部523は、第一部位523A、第二部位523B、及び側面524,525を備えている。第一部位523Aは、鍔部523の上端をなす部位である。第二部位523Bは、第一部位523Aの下側に接続されている部位であり、径方向外側に突出する長さが第一部位523Aより小さい。このため、第一部位523Aと第二部位523Bとによって段差が形成されている。側面524,525は、ネジ穴521を挟んで対向する上下方向に平行な平面であり、上下方向において第一部位523Aと第二部位523Bとに亘って設けられている。
【0029】
円筒部522の上端には、径方向内側に凹む溝部527が形成されている。円筒部522における溝部527の下側の部位の周囲には、ネジ山526が形成されている。ナット54は、ネジ山526に係合するネジ穴541を有する六角ナットである。
【0030】
第一皿バネ55は、平面視円形状であり、中央部に孔部551を有する。孔部551の径は、後述する第二ネジ58の軸部582の径より大きい。第一皿バネ55は、中央部から径方向外側に向かうほど下方に位置するように傾斜しており、上下方向から圧力が加えられた場合に圧縮する。第一皿バネ55は、圧縮された場合に復元力を生じる。
【0031】
調整ネジ56は、第一ネジ57と第二ネジ58とが締結されて形成される(図5参照)。第一ネジ57は、周囲にネジ山572が形成された軸部571と、頭部573とを有する雄ネジである。第二ネジ58は、上下方向に延びる略円筒状の外観を有する。第二ネジ58は、先端部581、軸部582、溝部584、底面部585、及びネジ穴587を備える。先端部581は、第二ネジ58の上端部を形成する部位である。先端部581の下方には、軸部582が設けられている。軸部582の周囲には、ネジ山583が形成されている。ネジ山583は、ネジ部材52のネジ穴521に係合する。溝部584は、先端部581と軸部582との間に設けられ、径方向内側に凹む部位である。底面部585は、軸部582の下端の面である。底面部585には、底面視直線状に上方に切り欠かれた切欠き部586が設けられている。ネジ穴587は、先端部581の上端から下方に延びる。図5では第二ネジ58の下端は底面部585によって封止されているが、第二ネジ58のネジ穴587が下方に貫通してもよい。
【0032】
止め輪60は、公知のE型止め輪であり、溝部584の周囲に配置される。ナット61は、第二ネジ58のネジ山583に係合するネジ穴611を有する。ナット61は、周囲に6個の角部612(図4参照)を有する六角ナットである。第二皿バネ62は、平面視円形状であり、中央部に孔部621を有する。孔部621の径は、第一ネジ57の軸部571の径より大きい。第二皿バネ62は、中央部から径方向外側に向かうほど下方に位置するように傾斜しており、上下方向から圧力が加えられた場合に上下方向に圧縮する。第二皿バネ62は、上下方向に圧縮された場合に復元力を生じる。
【0033】
回転係止部材63は、1枚の金属板が折り曲げられて形成されている。回転係止部材63は、上下方向に対向する一対の壁部631,632と、一対の壁部631,632の左端部同士を接続する接続部633とを備えている。一対の壁部631,632のうち、下側の壁部631には、平面視円形状の孔部635が設けられている。上側の壁部632には、孔部636が形成されている。孔部636は、平面視で周囲にナット61に係合する凹凸を有する円形状である。孔部636において、内側に突出する部位を凸部637という。凸部637は、平面視における孔部636の周囲において30度毎に合計12個設けられている。壁部631の左端部における前後方向中央部には、下方に突出する板状の突起部638が設けられている。
【0034】
水平調整機構51の取付方法の一例について説明する。なお、水平調整機構51は、4か所に取り付けられるが、取付方法は同じであるので、以下では、1か所の水平調整機構51の取付方法について説明する。
【0035】
図4及び図5に示すように、第二ネジ58が第一ネジ57と係合されていない状態で、ナット61が、第二ネジ58のネジ山583に係合される。ネジ部材52に対してプラテン側である上側に、第一皿バネ55が配置される。第一皿バネ55の孔部551を介して、第二ネジ58のネジ山583が、ネジ部材52のネジ穴521に係合される。故に、第一皿バネ55は、第二ネジ58の軸部582の周囲に配置される。このとき、ナット61は、第一皿バネ55に対してプラテン側である上側に位置する。ナット61が回され、下方に動かされる。ナット61は、ネジ部材52との間で第一皿バネ55を挟んで、第一皿バネ55を圧縮する。
【0036】
回転係止部材63の壁部631,632が互いに離れる方向に撓まされつつ、ネジ部材52の円筒部522が孔部635に挿通され、第二ネジ58及びナット61が孔部636に挿通される。さらにネジ部材52の円筒部522が、プレート部142の上側からプレート孔部146に挿通される。プレート部142の下側から、ナット54が円筒部522に係合される。図5に示すように、回転係止部材63の壁部631は、鍔部523の第二部位523Bの周囲に位置する。また、鍔部523の第一部位523Aの底面と、ナット54の上面との間に、回転係止部材63とプレート部142とが挟まれる。突起部638は、孔部148に挿通される。孔部148が突起部638の回転移動を規制することによって回転係止部材63の回転が防止される。側面524,525がプレート孔部146の左右方向における一対の平面部147に接するように配置されることによって、ネジ部材52の回転が防止される。これによって、ネジ部材52と回転係止部材63とが、プラテン支持台14に固定される。また、回転係止部材63の孔部636がナット61の周囲に配置される。回転係止部材63は、プラテン支持台14に支持された状態で、ナット61の回転を係止する。
【0037】
なお、回転係止部材63の孔部636に形成された凸部637(図4参照)は、30度毎に設けられている。作業者が、壁部632を下方に押すと、ナット61の外周部と第一皿バネ55との間に凸部637が位置する形となり、この状態でナット61を回すと、角部612が凸部637を通過する。これによって、ナット61が、30度の間隔で回転する。即ち、作業者は、30度間隔でナット61を回し、ナット61の締め付け量を任意に設定できる。
【0038】
図4及び図5に示すように、第二ネジ58の溝部584に止め輪60が配置される。第二ネジ58の先端部581がプラテン孔部506に挿通される。軸部571の周囲に第二皿バネ62が配置された状態で、第一ネジ57のネジ山572が、第二ネジ58のネジ穴587に係合される。このとき、作業者は、第一ネジ57の頭部573にプラスドライバーを配置し、第二ネジ58の切欠き部586にマイナスドライバーを配置し、第一ネジ57と第二ネジ58とを互いに締め付ける。これによって、第一ネジ57と第二ネジ58とが強固に係合され、一体的な調整ネジ56となる。このとき、第二皿バネ62は、頭部573とプラテン凹部505との間で圧縮される。また、頭部573の底面と止め輪60の上面との間で、第二皿バネ62とプラテン5とが挟まれ、調整ネジ56がプラテン5に対して回転可能に取り付けられた状態となる。
【0039】
以上によって、水平調整機構51が、プリンタ1に取り付けられた状態となる。なお、図5に示すように、調整ネジ56におけるプラテン5からプラテン支持台14に向かう下方向側の端部である底面部585は、ネジ部材52における下方向側の端部より、プラテン5側である上側に位置する。即ち、調整ネジ56の下端部は、ネジ部材52の下端部よりも下方に突出しない。水平調整機構51の各部品を組み立てる順番は、上記の場合に限定されず、上記の場合とは異なる順番で組み立てられてもよい。
【0040】
プラテン5の水平調整方法について説明する。作業者は、4か所の水平調整機構51を調整し、プラテン5の上下方向の位置を上下動させることで、プラテン5の水平調整をすることができる。図5に示すプラテン5の位置よりも、プラテン5が上側に移動した状態を図6に示す。
【0041】
作業者が頭部573にプラスドライバーを配置し、調整ネジ56を回転させると、図5及び図6に示すように、調整ネジ56がネジ部材52に対して上下に移動する。調整ネジ56の移動に伴って、プラテン5が上下に移動する。このため、プラテン5とプラテン支持台14との間の距離が変化する。よって、作業者は、4か所の水平調整機構51の調整ネジ56を回すことで、プラテン5の上下方向の位置を上下動させ、プラテン5の水平調整をすることができる。なお、調整ネジ56は下方に切欠き部586がある為、下方から切欠き部586にマイナスドライバーを配置し、調整ネジ56を回転してプラテン5の水平調整をしてもよい。
【0042】
以上のように、プラテン5の水平調整が行われる。図5に示すように、本実施形態では、第一皿バネ55がナット61とネジ部材52との間に圧縮された状態で配置されている。このため、調整ネジ56の周囲において、ナット61とネジ部材52とが互いに離れる方向(即ち、上下方向)に押され、調整ネジ56のネジ山583に押し付けられた状態になる。よって、第一皿バネ55が設けられていない場合に比べて、調整ネジ56がナット61とネジ部材52とに対してがたつく可能性を低減できる。故に、調整ネジ56に取り付けられたプラテン5にがたつきが生じる可能性を低減して、印刷品質を確保することができる。また、調整ネジ56のネジ山583が、ネジ部材52のネジ穴521に係合する上下方向の範囲で、プラテン5の水平調整が可能である。このため、従来のように弾性を有する支持部材の厚みが変化する範囲でのみプラテンの水平調整が可能な場合に比べて、水平調整可能な範囲が大きくなる。よって、水平調整を十分に行うことができ、印刷品質を確保することができる。
【0043】
また、仮に第一皿バネ55が設けられていない場合、調整ネジ56及びナット61ががたつき易くなる。少しでもがたつきを抑えるために、ネジ部材52の下から配置するナット54を締め付けると、ガタの分だけプラテン5の高さがずれる。このため、水平調整時に、ナット54を緩めて再度プラテン5の高さの調整をするなど、水平調整に手間がかかる場合がある。本実施形態では、第一皿バネ55が設けられていることによって、調整ネジ56及びナット61がたつき難いので、プラテン5の高さがずれ難い。また、調整ネジ56を回転させて水平調整をする場合に、がたつきを抑えるためにナット54を締める必要が無い。よって、作業者は、第一皿バネ55が設けられていない場合に比べて、容易に、プラテン5の水平調整をすることができる。
【0044】
また、ナット61の回転を係止する回転係止部材63が設けられている。このため、回転係止部材63が設けられていない場合に比べてナット61が回転し難く、調整ネジ56の回転に伴ってナット61が回転し難い。よって、ナット61とネジ部材52との間の距離が変化し難くなり、第一皿バネ55の復元力が維持される。よって、調整ネジ56に取り付けられたプラテン5にがたつきが生じる可能性を低減できる。
【0045】
また、調整ネジ56の下端部は、ネジ部材52の下端部よりも下方に突出しない。このため、調整ネジ56がネジ部材52より下方に突出する場合に比べて、印刷媒体がプラテン5に配置される場合に、印刷媒体が調整ネジ56に引っ掛かりにくい。このため、印刷媒体をプラテン5に配置し易い。また、調整ネジ56がネジ部材52より下方に突出する場合に比べて、水平調整機構51の外観が良好になる。
【0046】
また、前述したように、回転係止部材63の孔部636に形成された凸部637(図4参照)は、30度毎に設けられているので、作業者は、30度間隔でナット61を回し、ナット61の締め付け量を任意に設定できる。締め付け量を変えると、第一皿バネ55の圧縮量が変化し、復元力が変化する。第一皿バネ55の復元力が変化すれば、第一皿バネ55ががたつきを抑える力が変化する。また、第一皿バネ55の復元力が変化すれば、調整ネジ56とナット61との間の摩擦力、及び、調整ネジ56とネジ部材52との間の摩擦力が変化するので、調整ネジ56を回すのに必要な力が変化する。このため、作業者は、ナット61を30度ずつ任意の締め付け量に設定することで、第一皿バネ55がたつきを抑える力を容易に変えることができ、さらに、調整ネジ56を回して水平調整するために調整ネジ56を回すのに必要な力を容易に変えることができる。
【0047】
上記実施形態において、ヘッドユニット100,200は本発明の「吐出部」の一例である。プラテン支持台14は本発明の「支持部」の一例である。ネジ部材52は本発明の「雌ネジ」の一例である。第一皿バネ55は本発明の「バネ」の一例である。ナット61は本発明の「ナット」の一例である。回転係止部材63は本発明の「係止部」の一例である。シート65は本発明の「第一部材」の一例である。シート66は本発明の「第二部材」の一例である。
【0048】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、プリンタ1において吐出される液体はインクに限定されず、布帛が染められた色を脱色する抜染材等、種々の液体であってもよい。また、第一皿バネ55の代わりに、圧縮された場合に復元力を生じるスプリングワッシャが使用されてもよい。また、ネジ部材52は、円筒部522の周囲にネジ山526を備え、ナット54が係合されてプレート部142に取り付けられていたが、例えば、プレート部142に圧入されてプレート部142に取り付けられてもよい。
【0049】
また、調整ネジ56の下端部が、ネジ部材52の下端部よりも下方に突出してもよい。また、回転係止部材63の凸部637は、30度の間隔で12個設けられていたが、凸部637の数は限定されない。例えば、凸部637の数を15度の間隔で24個にすれば、ナット61の回転を15度毎に設定することができる。また、回転係止部材63は、ナット61が全く回転しないように係止してもよい。また、回転係止部材63は、ナット61の回転を係止できればよく、その形状は限定されない。また、回転係止部材63が設けられなくてもよい。
【0050】
また、図7に示す変形例に係る水平調整機構51Aのように、第一皿バネ55の表面に凹凸部552が形成されていてもよい。この場合、第一皿バネ55の表面に凹凸部552が形成されていない場合に比べて、ナット61と第一皿バネ55との間の摩擦力と、ネジ部材52と第一皿バネ55との間の摩擦力とが大きくなる。第一皿バネ55との摩擦力が大きくなるので、作業者が調整ネジ56を回転させたときに、ナット61及びネジ部材52が回転し難くなる。このため、ナット61とネジ部材52との間の距離が変化し難くなり、第一皿バネ55の復元力が維持される。よって、調整ネジ56に取り付けられたプラテン5にがたつきが生じる可能性を低減できる。なお、凹凸部552は、第一皿バネ55の表面のうち、上側の面及び下側の面の一方のみに設けられてもよい。
【0051】
また、図8に示す変形例に係る水平調整機構51Bのように、第一皿バネ55とナット61との間にシート65が配置されてもよい。シート65は、中央部に孔部を有する平面視円形状であり、調整ネジ56の軸部582の周囲に配置されている。シート65は、例えば、合成樹脂である。シート65と第一皿バネ55との間に生じる摩擦力、及びシート65とナット61との間に生じる摩擦力は、図6に示す第一皿バネ55とナット61との間に生じる摩擦力より大きい。この場合、摩擦力が大きくなるので、シート65が設けられていない場合に比べて、調整ネジ56を回転させたときに、ナット61が回転し難くなる。このため、ナット61とネジ部材52との間の距離が変化し難くなり、第一皿バネ55の復元力が維持される。このため、調整ネジ56に取り付けられたプラテン5にがたつきが生じる可能性を低減できる。
【0052】
また、図9に示すよう変形例に係る水平調整機構51Cのように、第一皿バネ55とネジ部材52との間にシート66が配置されてもよい。シート66は、中央部に孔部を有する平面視円形状であり、調整ネジ56の軸部582の周囲に配置されている。シート66は、例えば、合成樹脂である。シート66と第一皿バネ55との間に生じる摩擦力、及びシート66とネジ部材52との間に生じる摩擦力は、図9に示す第一皿バネ55とネジ部材52との間に生じる摩擦力より大きい。この場合、摩擦力が大きくなるので、シート66が設けられていない場合に比べて、調整ネジ56を回転させたときに、ネジ部材52が回転し難くなる。このため、ナット61とネジ部材52との間の距離が変化し難くなり、第一皿バネ55の復元力が維持される。このため、調整ネジ56に取り付けられたプラテン5にがたつきが生じる可能性を低減できる。なお、水平調整機構51は、シート65(図8参照)とシート66(図9参照)との両方を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 プリンタ
5 プラテン
14 プラテン支持台
51,51A,51B,51C 水平調整機構
52 ネジ部材
54 ナット
55 第一皿バネ
56 調整ネジ
57 第一ネジ
58 第二ネジ
61 ナット
63 回転係止部材
65 シート
66 シート
100,200 ヘッドユニット
146 プレート孔部
506 プラテン孔部
552 凹凸部
583 ネジ山
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9