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特開2015-229269立体造形システム、造形データの提供装置及び提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-229269(P2015-229269A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】立体造形システム、造形データの提供装置及び提供方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/00 20060101AFI20151124BHJP
   G06F 21/10 20130101ALI20151124BHJP
【FI】
   B29C67/00
   G06F21/22 110L
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-115808(P2014-115808)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】八木田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 由衣
(72)【発明者】
【氏名】石川 博章
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 潤
(72)【発明者】
【氏名】江刺 弘之
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL67
4F213WL85
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制可能な立体造形システムを提供することである。
【解決手段】造形データ提供装置及び立体造形装置からなる立体造形システムであって、造形データ提供装置は、造形データをn個の送信データに分割する分割手段と、n個の送信データを立体造形装置に順次送信するデータ送信手段と、を備え、データ送信手段は、n個の送信データのうちi番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、n個の送信データのうちi+1番目の送信データを立体造形装置に送信するよう構成されたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置と、前記立体造形装置に造形データを提供する造形データ提供装置と、からなる立体造形システムであって、
前記造形データ提供装置は、
前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割手段と、
前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信手段と、
前記データ送信手段によって送信された前記送信データの各々が前記立体造形装置において削除される毎に、前記立体造形装置から前記送信データが削除されたことを示す削除信号を受信する削除信号受信手段と、
を備え、
前記立体造形装置は、
前記データ送信手段から送信された前記送信データの各々を受信するためのデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信した前記送信データの各々に基づいて造形処理を行う造形手段と、
前記造形手段によって前記送信データの各々に基づいて造形処理を行う毎に、前記送信データの各々を削除するデータ削除手段と、
前記データ削除手段によって前記送信データの各々を削除する毎に、前記送信データの各々が削除されたことを示す前記削除信号を前記削除信号受信手段に送信する削除信号送信手段と、
を備え、
前記データ送信手段は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データが削除されたことを示す削除信号を前記削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信するよう構成されたことを特徴とする立体造形システム。
【請求項2】
前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の1層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の立体造形システム。
【請求項3】
前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の複数層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の立体造形システム。
【請求項4】
前記分割手段は、前記造形データを、前記立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の立体造形システム。
【請求項5】
前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の単一層内であっても、前記分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする請求項4に記載の立体造形システム。
【請求項6】
前記分割手段は、積層される造形材の単一層内で前記造形データを分割する場合に、当該層の長手方向に沿って分割の境界面を設定するよう構成されたことを特徴とする請求項5に記載の立体造形システム。
【請求項7】
積層される造形材の単一層内で前記分割手段が前記造形データを分割する場合に、前記造形手段の主走査方向は、当該層の長手方向に沿って設定されることを特徴とする請求項5又は6に記載の立体造形システム。
【請求項8】
造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置に対する造形データの提供装置であって、
前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割手段と、
前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信手段と、
前記データ送信手段によって送信された前記送信データの各々が前記立体造形装置において削除される毎に、前記立体造形装置から前記送信データの各々が削除されたことを示す削除信号を受信する削除信号受信手段と、
を備え、
前記データ送信手段は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データが削除されたことを示す削除信号を前記受信手段によって受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信するよう構成されたことを特徴とする造形データの提供装置。
【請求項9】
造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置に対する造形データの提供方法であって、
前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割工程と、
前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信工程と、
を備え、
前記データ送信工程は、
前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データを前記立体造形装置に送信する第i送信工程と、
前記立体造形装置から前記i番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信する第i+1送信工程と、
を少なくとも有することを特徴とする造形データの提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置及び造形データの提供装置からなる立体造形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置が注目を集めている。特許文献1には、顧客による商品の注文のみならず商品の受領も商品販売者の地理的位置に依存しないで済むようにすることを目的とした商品製造支援方法が記載されている。
特許文献1に記載の商品製造支援方法では、顧客のクライアント・コンピュータと、製造データに基づいて商品を製造する製造装置を制御する製造用コンピュータと、その製造装置により商品を製造して販売する商品販売者のサーバ・コンピュータとが互いに接続された通信システムにおいて、サーバ・コンピュータが、クライアント・コンピュータからの顧客の注文に応じた商品を製造するための製造データを製造用コンピュータに送信する。この製造用コンピュータは、商品の製造装置およびクライアント・コンピュータと共に、顧客にとって身近な場所、例えば、自宅に設置されている。製造データを受信した製造用コンピュータは、顧客からの注文に応じた商品を製造装置に製造させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4617573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のように造形データ(製造データ)を立体造形装置(製造装置)に送信する場合、従来は、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置に一度に送信し、送信された造形データに基づいて立体造形装置が立体造形物の造形を行っていた。
しかしながら、この場合、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置が保持する状態が生じるため、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製される恐れがある。
本発明の少なくとも一実施形態に係る目的は、立体造形物に対応する造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することを可能とする立体造形システム、造形データ提供装置及び造形データ提供方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の幾つかの実施形態に係る立体造形システムは、
造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置と、前記立体造形装置に造形データを提供する造形データ提供装置と、からなる立体造形システムであって、
前記造形データ提供装置は、
前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割手段と、
前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信手段と、
前記送信手段によって送信された前記送信データの各々が前記立体造形装置において削除される毎に、前記立体造形装置から前記送信データが削除されたことを示す削除信号を受信する削除信号受信手段と、
を備え、
前記立体造形装置は、
前記データ送信手段から送信された前記送信データの各々を受信するためのデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信した前記送信データの各々に基づいて造形処理を行う造形手段と、
前記造形手段によって前記送信データの各々に基づいて造形処理を行う毎に、前記送信データの各々を削除するデータ削除手段と、
前記データ削除手段によって前記送信データの各々を削除する毎に、前記送信データの各々が削除されたことを示す削除信号を前記削除信号受信手段に送信する削除信号送信手段と、
を備え、
前記データ送信手段は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データが削除されたことを示す削除信号を前記削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信するよう構成されたことを特徴とする。
【0006】
上記(1)に記載の立体造形システムにおいては、データ送信手段は、n個の送信データのうちi番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、i+1番目の送信データを立体造形装置に送信するよう構成されている。したがって、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置が同時に保持する状態を回避することができる。これにより、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することができる。
【0007】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の1層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0008】
上記(2)に記載の立体造形システムによれば、送信装置の分割手段が、積層される造形材の1層単位に造形データを分割するため、造形データが細分化され、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制することができる。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の複数層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0010】
上記(3)に記載の立体造形システムによれば、送信装置の分割手段が、積層される造形材の複数層単位に造形データを分割するため、上記(2)に記載の立体造形システムに比して、立体造形物1個当たりの送信データの送信回数を低減することができる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、前記立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
造形データを送信装置側でどのように分割して立体造形装置へ送信するかによって、造形された立体造形物中に生じる応力の位置や大きさ、立体造形物の変形量等は変化する。したがって、上記(4)に記載の立体造形システムのように、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割手段が造形データを分割することにより、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0013】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の単一層内であっても、前記分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
上記(5)に記載の立体造形システムによれば、積層される造形材の単一層内であっても造形データを分割制約条件に従って分割することにより、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制するとともに、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0014】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、積層される造形材の単一層内で前記造形データを分割する場合に、当該層の長手方向に沿って分割の境界面を設定するよう構成されたことを特徴とする。
【0015】
上記(6)に記載の立体造形システムによれば、分割する層における長手方向に沿って分割境界面を設定することで、当該層の短手方向に沿って分割の境界面を設定する場合と比較して、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。
【0016】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)又は(6)に記載の立体造形システムにおいて、積層される造形材の単一層内で前記分割手段が前記造形データを分割する場合に、前記造形手段の主走査方向は、当該層の長手方向に沿って設定されることを特徴とする。
【0017】
上記(7)に記載の立体造形システムによれば、造形手段の主走査方向が分割する層の長手方向に沿って設定されることで、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。
【0018】
(8)本発明の幾つかの実施形態に係る造形データの提供装置は、造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置に対する造形データの提供装置であって、前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割手段と、前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信手段と、前記データ送信手段によって送信された前記送信データの各々が前記立体造形装置において削除される毎に、前記立体造形装置から前記送信データの各々が削除されたことを示す削除信号を受信する削除信号受信手段と、を備え、前記データ送信手段は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データが削除されたことを示す削除信号を前記削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信するよう構成されたことを特徴とする。
【0019】
上記(8)に記載の造形データの提供装置においては、データ送信手段は、n個の送信データのうちi番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、i+1番目の送信データを立体造形装置に送信するよう構成されている。したがって、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置が同時に保持する状態を回避することができる。これにより、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することができる。
【0020】
(9)本発明の幾つかの実施形態に係る造形データの提供方法は、造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置に対する造形データの提供方法であって、前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割工程と、前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信工程と、を備え、前記データ送信工程は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データを前記立体造形装置に送信する第i送信工程と、前記立体造形装置から前記i番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信する第i+1送信工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
【0021】
上記(9)に記載の造形データの提供方法においては、データ送信工程において、n個の送信データのうちi番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を受信したことを確認してから、i+1番目の送信データを立体造形装置に送信する。したがって、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置が同時に保持する状態を回避することができる。これにより、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することができる。
【0022】
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の1層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0023】
上記(10)に記載の造形データの提供装置によれば、積層される造形材の1層単位に造形データが分割されるため、造形データが細分化され、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制することができる。
【0024】
(11)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の複数層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0025】
上記(11)に記載の造形データの提供装置によれば、積層される造形材の複数層単位に造形データが分割されるため、上記(10)に記載の造形データの提供装置に比して、立体造形物当たりの送信データの送信回数を低減することができる。
【0026】
(12)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、前記立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0027】
造形データをどのように分割して送信するかによって、立体造形物中に生じる応力の位置や大きさ、立体造形物の変形量等は変化する。したがって、上記(12)に記載の造形データの提供装置のように、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って造形データを分割してから送信することにより、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0028】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の単一層内であっても、前記分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0029】
上記(13)に記載の造形データの送信装置によれば、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制するとともに、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0030】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、積層される造形材の単一層内で前記造形データを分割する場合に、当該層の長手方向に沿って分割の境界面を設定するよう構成されたことを特徴とする。
【0031】
上記(14)に記載の立体造形システムによれば、分割する層における長手方向に沿って分割境界面を設定することで、当該層の短手方向に沿って分割の境界面を設定する場合と比較して、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。
【0032】
(15)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、積層される造形材の1層単位に分割されることを特徴とする。
【0033】
上記(15)に記載の造形データの提供方法によれば、積層される造形材の1層単位に造形データが分割されるため、造形データが細分化され、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制することができる。
【0034】
(16)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、積層される造形材の複数層単位に分割されることを特徴とする。
【0035】
上記(16)に記載の造形データの提供方法によれば、積層される造形材の複数層単位に造形データが分割されるため、上記(15)に記載の造形データの提供方法に比して、一つの立体造形物当たりの送信データの送信回数を低減することができる。
【0036】
(17)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、前記立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割されることを特徴とする。
【0037】
造形データをどのように分割して送信するかによって、立体造形物中に生じる応力の位置や大きさ、立体造形物の変形量等は変化する。したがって、上記(17)に記載の造形データの提供方法のように、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って造形データを分割することにより、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0038】
(18)幾つかの実施形態では、上記(17)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、積層される造形材の単一層内であっても、前記分割制約条件に従って分割されることを特徴とする。
【0039】
上記(18)に記載の造形データの提供方法によれば、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制するとともに、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0040】
(19)幾つかの実施形態では、上記(18)に記載の造形データの提供方法であって、前記分割工程において、積層される造形材の単一層内で前記造形データを分割する際に、当該層の長手方向に沿って分割の境界面が設定されることを特徴とする。
【0041】
上記(19)に記載の造形データの提供方法によれば、分割する層における長手方向に沿って分割境界面を設定することにより、当該層の短手方向に沿って分割の境界面を設定する場合と比較して、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、立体造形物に対応する造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】幾つかの実施形態に係る立体造形システムを示す全体模式図である。
図2図1に示した立体造形システムにおける、立体造形装置及び造形データ提供装置の動作シーケンスの一例を示す図である。
図3】幾つかの実施形態に係る造形データの分割手法を説明するための図である。
図4】幾つかの実施形態に係る造形データの分割手法を説明するための図である。
図5】幾つかの実施形態に係る造形データの分割手法を説明するための図である。
図6】(a)は、幾つかの実施形態に係る造形データにおける単一層内での分割手法を説明するための図である。(b)は、幾つかの実施形態に係る造形データにおける単一層内での分割手法を説明するための図である。(c)は、幾つかの実施形態に係る造形データにおける単一層内での当該層の長手方向と造形手段の主走査方向との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0045】
図1は、幾つかの実施形態に係る立体造形システム1を示す全体模式図である。立体造形システム1は、造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置2と、立体造形装置2に造形データを提供する造形データ提供装置4とを有しており、立体造形装置2と造形データ提供装置4とがネットワーク6を介して通信可能に構成されている。
【0046】
立体造形装置2は、造形材を積層する所謂積層造形法によって造形処理を行う造形手段8を有している。積層造形法について更に詳述すれば、液化した合成樹脂等を噴射して積層するインクジェット方式、光硬化性樹脂を紫外線等により硬化させて積層する光造形方式、ABS樹脂やPLA樹脂等の熱可塑性樹脂を高温で溶かして積層する熱溶解積層方式、素材粉末を層状に敷き詰めて高出力のレーザービームなどで焼結する粉末焼結積層方式、シートを積層させるシート積層法等を好適に用いることができる。
【0047】
造形データ提供装置4は、立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割手段10と、n個の送信データを立体造形装置2に順次送信するデータ送信手段12と、立体造形装置2から後述の削除信号を受信する削除信号受信手段14と、を備えている。
【0048】
立体造形装置2は、データ送信手段12から送信された送信データの各々を受信するためのデータ受信手段16を備えており、造形手段8は、データ受信手段16によって受信した送信データの各々に基づいて造形処理を行うよう構成されている。
【0049】
立体造形装置2は、データ削除手段18及び削除信号送信手段20を更に備えている。データ削除手段18は、造形手段8によって送信データの各々に基づいて造形処理を行う毎に、送信データの各々を削除するよう構成されている。削除信号送信手段20は、データ削除手段18によって送信データの各々を削除する毎に、送信データの各々が削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段14に送信するよう構成されている。
【0050】
図2は、図1に示した立体造形システム1における、立体造形装置2及び造形データ提供装置4の動作シーケンスの一例を示す図である。
【0051】
図2に示す立体造形装置2及び造形データ提供装置4は、以下のように動作する。まずS101では、分割手段10が、立体造形物に対応する造形データをn個の送信データに分割する。S102では、データ送信手段12が、n個の送信データのうち第1送信データを立体造形装置2のデータ受信手段16に送信する。S103では、造形手段8が第1送信データに基づく造形処理(造形材の積層)を実行する。S104では、データ削除手段18が第1送信データを削除する。S105では、第1送信データが削除されたことを示す削除信号を、削除信号送信手段20が削除信号受信手段14に送信する。S106では、データ送信手段12が、第1送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段14によって受信したことを確認する。S107では、S106において削除信号の受信が確認されたことを条件として、データ送信手段12が第2送信データをデータ受信手段16に送信する。以下、同様の動作を繰り返し、第n送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段14が確認して、立体造形システム1における造形動作が完了する。
【0052】
以上のように、データ送信手段12は、n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データ(第i送信データ)が削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段14によって受信したことを確認してから、n個の送信データのうちi+1番目の送信データ(第i+1送信データ)を立体造形装置2のデータ受信手段16に送信するよう構成されている。これにより、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置2が同時に保持する状態を回避することができる。したがって、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することができる。
【0053】
次に、図1に示した分割手段10における造形データの分割手法について、図3図5を用いて幾つかの実施形態を説明する。
図3は、幾つかの実施形態に係る造形データの分割手法を説明するための図である。幾つかの実施形態に係る分割手段10は、図3に示すように、立体造形物に対応する造形データを、積層される造形材の1層単位に分割するよう構成される。すなわち、分割手段10は、n個の送信データの各々が立体造形物を構成する各層に対応するように(第i送信データが立体造形物のi層目に対応するように)造形データを分割する。この場合、データ送信手段12は、立体造形物のi層目に対応する第i送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段14によって受信したことを確認してから、立体造形物のi+1層目に対応する第i+1送信データを立体造形装置2のデータ受信手段16に送信するよう構成される。これにより、造形データが細分化され、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制することができる。
【0054】
図4は、幾つかの実施形態に係る造形データの分割手法を説明するための図である。幾つかの実施形態に係る分割手段10は、図4に示すように、立体造形物に対応する造形データを、積層される造形材の複数層単位(図4においては2層単位)に分割するよう構成される。すなわち、分割手段10は、n個の送信データの各々が立体造形物の複数層に対応するように(図4においては第i送信データが立体造形物のp層目とp+1層目とに対応するように)造形データを分割する。なお、ここでのpは自然数であり、2i−1に等しい。また、図4における最上層であるm層目は、2n層目に等しい。図4に示す分割手法の例では、データ送信手段12は、立体造形物のp層目とp+1層目に対応する第i送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段14によって受信したことを確認してから、立体造形物のp+2層目とp+3層目とに対応する第i+1送信データを立体造形装置2のデータ受信手段16に送信するよう構成される。
このように、立体造形物に対応する造形データを、積層される造形材の複数層単位に分割することにより、1層単位に造形データを分割する場合に比して、立体造形物一個当たりの送信データの送信回数を低減することができる。
【0055】
また、立体造形物に対応する造形データが、積層される造形材の1層に対応する造形データと、複数層に対応する造形データとから構成されていてもよい。
【0056】
図5は、幾つかの実施形態に係る造形データの分割手法を説明するための図である。幾つかの実施形態に係る分割手段10は、立体造形物に対応する造形データを、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する制約条件に従って分割するよう構成される。例えば、各送信データに基づいて造形手段8が造形処理を行う際の、各送信データ当たりの造形処理に伴う入熱量(上述した造形処理の各方式に応じて造形材に付与される熱量)について、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因して制約条件が設けられる。図5に示す分割手法においては、各送信データ当たりの造形処理に伴う入熱量が所定範囲内に収まるように、積層される造形材の単一層内であっても、上記制約条件に従って造形データを分割するよう分割手段10が構成される。図5に示す例では、分割手段10は、1層当たりに2つの送信データが割り当てられるよう造形データを分割する。この場合、データ送信手段12は、立体造形物のq層目の一部に対応する第i送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段14によって受信したことを確認してから、q層目の残部に対応する第i+1送信データを立体造形装置2のデータ受信手段16に送信するよう構成される。
【0057】
また、入熱量を所定範囲内に収まるように、1層当たりに2つの送信データが割り当てられるよう造形データを分割する際は、立体造形物の当該層における長手方向に沿って分割の境界面を設定するよう構成される。すなわち、分割手段10は、積層される造形材の単一層内で造形データを分割する場合に、図6(a)に示すように、当該層の長手方向に沿って分割の境界面(1層当たりに割り当てられる第i送信データと第i+1送信データとの境界に相当する面)を設定するよう構成されている。また、分割手段10によって単一層内で造形データを分割する場合に、造形手段8(典型的にはプリンタヘッド)の主走査方向は、図6(c)に示すように、当該層の長手方向に沿って設定される。
【0058】
上述の立体造形システム1において、複数の送信データの各々に基づいて造形材を積層して立体造形を行う場合、立体造形物に対応する造形データを造形データ提供装置4側でどのように分割して立体造形装置2へ送信するかによって、製造された立体造形物中に生じる応力の位置や大きさ、立体造形物の変形量等は変化する。したがって、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する制約条件に従って分割手段10が造形データを分割することにより、立体造形物の破損を抑制することができる。また、上述のように、積層される造形材の単一層内であっても上記制約条件に従って造形データを分割するよう分割手段10を構成することにより、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制するとともに、立体造形物の破損を抑制することができる。また、立体造形物の当該層における長手方向に沿って分割境界面を設定することで、当該層の短手方向に沿って分割の境界面を設定する場合(図6(b)参照)と比較して、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。また、造形手段8の主走査方向が当該層の長手方向に沿って設定されることで、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下をさらに抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 立体造形システム
2 立体造形装置
4 造形データ提供装置
6 ネットワーク
8 造形手段
10 分割手段
12 データ送信手段
14 削除信号受信手段
16 データ受信手段
18 データ削除手段
20 削除信号送信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6