【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の幾つかの実施形態に係る立体造形システムは、
造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置と、前記立体造形装置に造形データを提供する造形データ提供装置と、からなる立体造形システムであって、
前記造形データ提供装置は、
前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割手段と、
前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信手段と、
前記送信手段によって送信された前記送信データの各々が前記立体造形装置において削除される毎に、前記立体造形装置から前記送信データが削除されたことを示す削除信号を受信する削除信号受信手段と、
を備え、
前記立体造形装置は、
前記データ送信手段から送信された前記送信データの各々を受信するためのデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信した前記送信データの各々に基づいて造形処理を行う造形手段と、
前記造形手段によって前記送信データの各々に基づいて造形処理を行う毎に、前記送信データの各々を削除するデータ削除手段と、
前記データ削除手段によって前記送信データの各々を削除する毎に、前記送信データの各々が削除されたことを示す削除信号を前記削除信号受信手段に送信する削除信号送信手段と、
を備え、
前記データ送信手段は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データが削除されたことを示す削除信号を前記削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信するよう構成されたことを特徴とする。
【0006】
上記(1)に記載の立体造形システムにおいては、データ送信手段は、n個の送信データのうちi番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、i+1番目の送信データを立体造形装置に送信するよう構成されている。したがって、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置が同時に保持する状態を回避することができる。これにより、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することができる。
【0007】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の1層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0008】
上記(2)に記載の立体造形システムによれば、送信装置の分割手段が、積層される造形材の1層単位に造形データを分割するため、造形データが細分化され、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制することができる。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の複数層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0010】
上記(3)に記載の立体造形システムによれば、送信装置の分割手段が、積層される造形材の複数層単位に造形データを分割するため、上記(2)に記載の立体造形システムに比して、立体造形物1個当たりの送信データの送信回数を低減することができる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、前記立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
造形データを送信装置側でどのように分割して立体造形装置へ送信するかによって、造形された立体造形物中に生じる応力の位置や大きさ、立体造形物の変形量等は変化する。したがって、上記(4)に記載の立体造形システムのように、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割手段が造形データを分割することにより、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0013】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の単一層内であっても、前記分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
上記(5)に記載の立体造形システムによれば、積層される造形材の単一層内であっても造形データを分割制約条件に従って分割することにより、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制するとともに、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0014】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、積層される造形材の単一層内で前記造形データを分割する場合に、当該層の長手方向に沿って分割の境界面を設定するよう構成されたことを特徴とする。
【0015】
上記(6)に記載の立体造形システムによれば、分割する層における長手方向に沿って分割境界面を設定することで、当該層の短手方向に沿って分割の境界面を設定する場合と比較して、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。
【0016】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)又は(6)に記載の立体造形システムにおいて、積層される造形材の単一層内で前記分割手段が前記造形データを分割する場合に、前記造形手段の主走査方向は、当該層の長手方向に沿って設定されることを特徴とする。
【0017】
上記(7)に記載の立体造形システムによれば、造形手段の主走査方向が分割する層の長手方向に沿って設定されることで、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。
【0018】
(8)本発明の幾つかの実施形態に係る造形データの提供装置は、造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置に対する造形データの提供装置であって、前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割手段と、前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信手段と、前記データ送信手段によって送信された前記送信データの各々が前記立体造形装置において削除される毎に、前記立体造形装置から前記送信データの各々が削除されたことを示す削除信号を受信する削除信号受信手段と、を備え、前記データ送信手段は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データが削除されたことを示す削除信号を前記削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信するよう構成されたことを特徴とする。
【0019】
上記(8)に記載の造形データの提供装置においては、データ送信手段は、n個の送信データのうちi番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を削除信号受信手段によって受信したことを確認してから、i+1番目の送信データを立体造形装置に送信するよう構成されている。したがって、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置が同時に保持する状態を回避することができる。これにより、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することができる。
【0020】
(9)本発明の幾つかの実施形態に係る造形データの提供方法は、造形材を積層して立体造形物を製造する立体造形装置に対する造形データの提供方法であって、前記立体造形物に対応する造形データをn個(ただし、nは2以上の自然数)の送信データに分割する分割工程と、前記n個の送信データを前記立体造形装置に順次送信するデータ送信工程と、を備え、前記データ送信工程は、前記n個の送信データのうちi番目(ただし、iはn未満の自然数)の送信データを前記立体造形装置に送信する第i送信工程と、前記立体造形装置から前記i番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を受信したことを確認してから、前記n個の送信データのうちi+1番目の送信データを前記立体造形装置に送信する第i+1送信工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
【0021】
上記(9)に記載の造形データの提供方法においては、データ送信工程において、n個の送信データのうちi番目の送信データが削除されたことを示す削除信号を受信したことを確認してから、i+1番目の送信データを立体造形装置に送信する。したがって、立体造形物に対応する造形データ全体を立体造形装置が同時に保持する状態を回避することができる。これにより、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを抑制することができる。
【0022】
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の1層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0023】
上記(10)に記載の造形データの提供装置によれば、積層される造形材の1層単位に造形データが分割されるため、造形データが細分化され、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制することができる。
【0024】
(11)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の複数層単位に分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0025】
上記(11)に記載の造形データの提供装置によれば、積層される造形材の複数層単位に造形データが分割されるため、上記(10)に記載の造形データの提供装置に比して、立体造形物当たりの送信データの送信回数を低減することができる。
【0026】
(12)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、前記立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0027】
造形データをどのように分割して送信するかによって、立体造形物中に生じる応力の位置や大きさ、立体造形物の変形量等は変化する。したがって、上記(12)に記載の造形データの提供装置のように、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って造形データを分割してから送信することにより、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0028】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)に記載の造形データの提供装置において、前記分割手段は、前記造形データを、積層される造形材の単一層内であっても、前記分割制約条件に従って分割するよう構成されたことを特徴とする。
【0029】
上記(13)に記載の造形データの送信装置によれば、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制するとともに、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0030】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)に記載の立体造形システムにおいて、前記分割手段は、積層される造形材の単一層内で前記造形データを分割する場合に、当該層の長手方向に沿って分割の境界面を設定するよう構成されたことを特徴とする。
【0031】
上記(14)に記載の立体造形システムによれば、分割する層における長手方向に沿って分割境界面を設定することで、当該層の短手方向に沿って分割の境界面を設定する場合と比較して、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。
【0032】
(15)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、積層される造形材の1層単位に分割されることを特徴とする。
【0033】
上記(15)に記載の造形データの提供方法によれば、積層される造形材の1層単位に造形データが分割されるため、造形データが細分化され、造形データ全体が立体造形装置を介して造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制することができる。
【0034】
(16)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、積層される造形材の複数層単位に分割されることを特徴とする。
【0035】
上記(16)に記載の造形データの提供方法によれば、積層される造形材の複数層単位に造形データが分割されるため、上記(15)に記載の造形データの提供方法に比して、一つの立体造形物当たりの送信データの送信回数を低減することができる。
【0036】
(17)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、前記立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って分割されることを特徴とする。
【0037】
造形データをどのように分割して送信するかによって、立体造形物中に生じる応力の位置や大きさ、立体造形物の変形量等は変化する。したがって、上記(17)に記載の造形データの提供方法のように、立体造形物の形状、大きさ、材料のうち少なくとも一つに起因する分割制約条件に従って造形データを分割することにより、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0038】
(18)幾つかの実施形態では、上記(17)に記載の造形データの提供方法において、前記分割工程において、前記造形データは、積層される造形材の単一層内であっても、前記分割制約条件に従って分割されることを特徴とする。
【0039】
上記(18)に記載の造形データの提供方法によれば、造形データ全体が造形データ送信側の意に反して複製されることを一層抑制するとともに、立体造形物の破損を抑制することができる。
【0040】
(19)幾つかの実施形態では、上記(18)に記載の造形データの提供方法であって、前記分割工程において、積層される造形材の単一層内で前記造形データを分割する際に、当該層の長手方向に沿って分割の境界面が設定されることを特徴とする。
【0041】
上記(19)に記載の造形データの提供方法によれば、分割する層における長手方向に沿って分割境界面を設定することにより、当該層の短手方向に沿って分割の境界面を設定する場合と比較して、当該層を含む立体造形物の曲げ強度の低下を抑制することができる。