【解決手段】エアクリーナエレメント42を介して未浄化室44と浄化室46とに内部が区画されるエアクリーナケース40と、未浄化室44に連通するようにエアクリーナケース40に取り付けられると共に、前方に指向する空気導入口52が形成される吸気ダクト50と、エアクリーナケース40との間で吸気通路62を形成し、且つ、空気導入口52を覆うカバー部材60と、を備える鞍乗型車両のエアクリーナ装置30において、カバー部材60は、上下方向寸法よりも前後方向寸法が長くなるように車両前後方向に延び、空気導入口52は、エアクリーナケース40の前後方向中央よりも前方に位置し、エアクリーナケース40の前後方向中央よりも後方であって、且つ、カバー部材60の後部には、吸気通路62への空気入口70が形成される。
エアクリーナエレメント(42)を介して未浄化室(44)と浄化室(46)とに内部が区画されるエアクリーナケース(40)と、前記未浄化室(44)に連通するように前記エアクリーナケース(40)に取り付けられると共に、前方に指向する空気導入口(52)が形成される吸気ダクト(50)と、前記エアクリーナケース(40)の車幅方向外側面に取り付けられると共に、前記エアクリーナケース(40)との間で吸気通路(62)を形成し、且つ、前記空気導入口(52)を覆うカバー部材(60)と、を備える鞍乗型車両(1)のエアクリーナ装置(30)において、
前記カバー部材(60)は、上下方向寸法よりも前後方向寸法が長くなるように車両前後方向に延び、
前記空気導入口(52)は、前記エアクリーナケース(40)の前後方向中央よりも前方に位置し、
前記エアクリーナケース(40)の前後方向中央よりも後方であって、且つ、前記カバー部材(60)の後部には、前記吸気通路(62)への空気入口(70)が形成されることを特徴とする鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記カバー部材(60)は、側面視で前記エアクリーナケース(40)の外郭(34a)よりも内側に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記エアクリーナケース(40)は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部(31a)を形成する第一フランジ部(33)を有するケース本体(31)と、前記外側開口縁部(31a)と側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部(32a)を形成する第二フランジ部(34)を有すると共に、前記ケース本体(31)の車幅方向外側に配置されるケースカバー(32)と、を備え、
前記第二フランジ部(34)の輪郭を前記外郭(34a)としたことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記空気導入口(52)の上端(52a)は、前記空気入口(70)の上端(70a)よりも下方に位置し、且つ、前記空気導入口(52)の下端(52b)は、前記空気入口(70)の下端(70b)よりも上方に位置することを特徴とする請求項1から4までの何れか一項に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記空気入口(70)の後上方には、前記エアクリーナケース(40)から車幅方向外側に突出する突出部(36)が配置されることを特徴とする請求項6に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記通路形成部(80)の前記下部(82)には、少なくとも前記吸気通路(62)の上流側端部に臨む位置に、ドレン孔(84)が形成されることを特徴とする請求項8に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記吸気通路(62)は、前記空気入口(70)に連なる第一吸気通路(62a)と、前記第一吸気通路(62a)に連なると共に、前記空気導入口(52)に連なる第二吸気通路(62b)と、を有し、
前記通路形成部(80)の前記下部(82)には、前記第一吸気通路(62a)及び前記第二吸気通路(62b)の少なくとも一方の上流側端部に臨む位置に、ドレン孔(84)が形成されることを特徴とする請求項8又は9に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記エアクリーナケース(40)及び前記カバー部材(60)の少なくとも一方の前記空気入口(70)に臨む部分には、車両前後方向に延びるリブ(38)が形成されることを特徴とする請求項1から9までの何れか一項に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記エアクリーナケース(40)は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部(31a)を有するケース本体(31)と、前記外側開口縁部(31a)と側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部(32a)を有すると共に、前記ケース本体(31)の車幅方向外側に配置されるケースカバー(32)と、を備え、
前記カバー部材(60)は、前記ケースカバー(32)の車幅方向内側から締結する締結部材(90)により、前記ケースカバー(32)に取り付けられることを特徴とする請求項1から12までの何れか一項に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記締結部材(90)は、側面視で前記カバー部材(60)から露出しないように、前記カバー部材(60)によって覆われることを特徴とする請求項13に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記嵌合部(64)は、側面視で前記カバー部材(60)及び前記エアクリーナケース(40)から外部に露出しないように、前記カバー部材(60)及び前記エアクリーナケース(40)の少なくとも一方によって覆われることを特徴とする請求項15に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
前記エアクリーナケース(40)は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部(31a)を有するケース本体(31)と、前記外側開口縁部(31a)と側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部(32a)を有すると共に、前記ケース本体(31)の車幅方向外側に配置されるケースカバー(32)と、を備え、
前記カバー部材(60)は、前記ケースカバー(32)の車幅方向内側から締結する締結部材(90)により、前記ケースカバー(32)に取り付けられ、
前記嵌合部(64)は、前記締結部材(90)の締結軸線方向に沿う前記カバー部材(60)の移動を規制する軸方向規制部(66)を有することを特徴とする請求項15又は16に記載の鞍乗型車両のエアクリーナ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1では、側面視において、カバーがエアクリーナケースの外郭よりも前下方にはみ出るため、カバーとエアクリーナケースとの一体感が薄れ、外観性が低下してしまうという課題があった。そのため、水や異物等が上流側気室に入り込むことを抑制すると共に、外観性を向上することができる構造が求められていた。
【0005】
そこで本発明は、鞍乗型車両のエアクリーナ装置において、水や異物等が未浄化室に入り込むことを抑制すると共に、外観性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、エアクリーナエレメント(42)を介して未浄化室(44)と浄化室(46)とに内部が区画されるエアクリーナケース(40)と、前記未浄化室(44)に連通するように前記エアクリーナケース(40)に取り付けられると共に、前方に指向する空気導入口(52)が形成される吸気ダクト(50)と、前記エアクリーナケース(40)の車幅方向外側面に取り付けられると共に、前記エアクリーナケース(40)との間で吸気通路(62)を形成し、且つ、前記空気導入口(52)を覆うカバー部材(60)と、を備える鞍乗型車両(1)のエアクリーナ装置(30)において、前記カバー部材(60)は、上下方向寸法よりも前後方向寸法が長くなるように車両前後方向に延び、前記空気導入口(52)は、前記エアクリーナケース(40)の前後方向中央よりも前方に位置し、前記エアクリーナケース(40)の前後方向中央よりも後方であって、且つ、前記カバー部材(60)の後部には、前記吸気通路(62)への空気入口(70)が形成されることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記鞍乗型車両(1)は、車体フレーム(10)に揺動可能に支持されるパワーユニット(20)を備え、前記パワーユニット(20)は、エンジン(22)のクランクケース(24)に連設されて前記クランクケース(24)から後方に延びる伝動ケース(26)を備え、前記エアクリーナケース(40)は、前記伝動ケース(26)の上部に配置されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記カバー部材(60)は、側面視で前記エアクリーナケース(40)の外郭(34a)よりも内側に配置されることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記エアクリーナケース(40)は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部(31a)を形成する第一フランジ部(33)を有するケース本体(31)と、前記外側開口縁部(31a)と側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部(32a)を形成する第二フランジ部(34)を有すると共に、前記ケース本体(31)の車幅方向外側に配置されるケースカバー(32)と、を備え、前記第二フランジ部(34)の輪郭を前記外郭(34a)としたことを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記空気導入口(52)の上端(52a)は、前記空気入口(70)の上端(70a)よりも下方に位置し、且つ、前記空気導入口(52)の下端(52b)は、前記空気入口(70)の下端(70b)よりも上方に位置することを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記空気入口(70)は、車両後方へ向けて開口することを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、前記空気入口(70)の後上方には、前記エアクリーナケース(40)から車幅方向外側に突出する突出部(36)が配置されることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、前記吸気通路(62)を囲むように前記エアクリーナケース(40)と前記カバー部材(60)とによって通路形成部(80)が形成され、前記通路形成部(80)の下部(82)は、後側ほど下方に位置するように傾斜することを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、前記通路形成部(80)の前記下部(82)には、少なくとも前記吸気通路(62)の上流側端部に臨む位置に、ドレン孔(84)が形成されることを特徴とする。
請求項10に記載した発明は、前記吸気通路(62)は、前記空気入口(70)に連なる第一吸気通路(62a)と、前記第一吸気通路(62a)に連なると共に、前記空気導入口(52)に連なる第二吸気通路(62b)と、を有し、前記通路形成部(80)の前記下部(82)には、前記第一吸気通路(62a)及び前記第二吸気通路(62b)の少なくとも一方の上流側端部に臨む位置に、ドレン孔(84)が形成されることを特徴とする。
請求項11に記載した発明は、前記エアクリーナケース(40)及び前記カバー部材(60)の少なくとも一方の前記空気入口(70)に臨む部分には、車両前後方向に延びるリブ(38)が形成されることを特徴とする。
請求項12に記載した発明は、前記リブ(38)は、側面視で前記カバー部材(60)よりも後方まで延出して形成されることを特徴とする。
請求項13に記載した発明は、前記エアクリーナケース(40)は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部(31a)を有するケース本体(31)と、前記外側開口縁部(31a)と側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部(32a)を有すると共に、前記ケース本体(31)の車幅方向外側に配置されるケースカバー(32)と、を備え、前記カバー部材(60)は、前記ケースカバー(32)の車幅方向内側から締結する締結部材(90)により、前記ケースカバー(32)に取り付けられることを特徴とする。
請求項14に記載した発明は、前記締結部材(90)は、側面視で前記カバー部材(60)から露出しないように、前記カバー部材(60)によって覆われることを特徴とする。
請求項15に記載した発明は、前記カバー部材(60)は、少なくとも前記カバー部材(60)の前部及び後部で、前記エアクリーナケース(40)に締結され、前記カバー部材(60)の前部に設けられる前側締結部(65c,65d)と前記カバー部材(60)の後部に設けられる後側締結部(65a,65b)との間には、前記カバー部材(60)と前記エアクリーナケース(40)とを嵌め合わせる嵌合部(64)が形成されることを特徴とする。
請求項16に記載した発明は、前記嵌合部(64)は、側面視で前記カバー部材(60)及び前記エアクリーナケース(40)から外部に露出しないように、前記カバー部材(60)及び前記エアクリーナケース(40)の少なくとも一方によって覆われることを特徴とする。
請求項17に記載した発明は、前記エアクリーナケース(40)は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部(31a)を有するケース本体(31)と、前記外側開口縁部(31a)と側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部(32a)を有すると共に、前記ケース本体(31)の車幅方向外側に配置されるケースカバー(32)と、を備え、前記カバー部材(60)は、前記ケースカバー(32)の車幅方向内側から締結する締結部材(90)により、前記ケースカバー(32)に取り付けられ、前記嵌合部(64)は、前記締結部材(90)の締結軸線方向に沿う前記カバー部材(60)の移動を規制する軸方向規制部(66)を有することを特徴とする。
請求項18に記載した発明は、前記吸気ダクト(50)は、後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜し、前記エアクリーナケース(40)の車幅方向内側面における前記吸気ダクト(50)の後部に臨む部分には、前記吸気ダクト(50)の後部を避ける凹部(32d)が形成されることを特徴とする。
請求項19に記載した発明は、前記エアクリーナケース(40)の車幅方向外側面には、前記凹部(32d)に対応する位置に、車幅方向外側に向けて突出する凸部(32t)が形成され、前記凸部(32t)は、前記カバー部材(60)によって覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、空気導入口がエアクリーナケースの前後方向中央よりも前方に位置し、空気入口がエアクリーナケースの前後方向中央よりも後方であって且つカバー部材の後部に形成されるので、空気入口からの吸入空気は、吸気通路内を前方へ案内された後、折り返して空気導入口へ向かう。これにより、エアクリーナケースの前後に長い吸気通路を利用したラビリンス構造を形成することができ、水や異物等が未浄化室に入り込むことを抑制することができる。又、カバー部材が上下方向寸法よりも前後方向寸法が長くなるように車両前後方向に延びるため、エアクリーナケースに対して上下方向へのカバー部材の突出量を低減することができ、外観性を向上できる。従って、水や異物等が未浄化室に入り込むことを抑制すると共に、外観性を向上することができる。
ところで、エアクリーナケースが伝動ケースの上部に配置されると、空気入口が外部に露出するため、エアクリーナケースが車両内部に配置される場合に比べて、水や異物等が未浄化室に入り込む可能性が高くなる。そのため、請求項2に記載した発明によれば、エアクリーナケースが伝動ケースの上部に配置されることで、前記ラビリンス構造による、未浄化室への水や異物等の浸入の抑制を効果的に実現することができる。又、カバー部材を伝動ケースの上部に配置する場合であっても、前後方向に長いカバー部材の形状となるので、伝動ケースとカバー部材のクリアランスが確保しやすくなり、パワーユニットの揺動量も十分確保することができる。
請求項3に記載した発明によれば、カバー部材が側面視でエアクリーナケースの外郭からはみ出ないように、カバー部材をエアクリーナケースにコンパクトに設けることができる。これにより、カバー部材を側面視でエアクリーナケースの外郭よりも外側にはみ出るように配置した場合に比べて、カバー部材とエアクリーナケースとの一体感が高まるため、外観性が一層向上する。
請求項4に記載した発明によれば、第二フランジ部の輪郭を外郭としたので、カバー部材の小型化と、カバー部材とエアクリーナケースとの一体感を一層向上させることができる。又、カバー部材をケースカバーの外側に配置する場合であっても、ケースカバーの外郭形状を簡素化したものにすることができる。
請求項5に記載した発明によれば、空気導入口の上下高さと空気入口の上下高さとが車両前後方向で重なるような位置関係となるので、カバー部材の上下寸法を一層小さくすることができる。又、空気入口を車両後方へ向けて開口する場合であっても、円滑な吸気を行うことができる。
請求項6に記載した発明によれば、走行風が空気入口から直接入り込むことを抑制できるため、安定した吸気が可能となる。又、空気入口を車両側方又は上下に向けて開口した場合に比べて、水や異物等が未浄化室に入り込みにくくなる。又、エアクリーナケースを伝動ケースの上部に近接して配置した場合であっても、伝動ケースが吸気の邪魔になることなく、円滑な吸気を行うことができる。そのため、エアクリーナケースを伝動ケースに近接して配置することができ、エアクリーナ装置が車両上方へ突出することを一層抑制できる。
請求項7に記載した発明によれば、突出部を空気入口の庇として機能させることができ、車両上方からの水や異物等が空気入口に入り込むことを抑制できる。又、突出部の下部を吸入空気のガイドとして機能させることができ、円滑な吸気を行うことができる。
請求項8に記載した発明によれば、通路形成部の下部が後側ほど下方に位置するように傾斜することで、通路形成部の下部を前側ほど下方に位置するように傾斜させた場合や、通路形成部の下部を前後水平に配置した場合に比べて、水や異物等が空気入口から入り込みにくくなる。
請求項9に記載した発明によれば、通路形成部の下部における吸気通路の上流側端部に臨む位置、即ち、吸気通路の最下端近傍にドレン孔が形成されるので、仮に水等が空気入口から入り込んだとしても、吸気通路に水等が溜まることを抑制できる。
請求項10に記載した発明によれば、通路形成部の下部における第一吸気通路及び第二吸気通路の少なくとも一方の上流側端部に臨む位置にドレン孔が形成されるので、仮に水等が空気入口から入り込んだとしても、吸気通路に水等が溜まることを抑制できる。又、通路形成部が前後に長い場合であっても、通路形成部の下部における第一吸気通路及び第二吸気通路の少なくとも一方の上流側端部に臨む位置にドレン孔が形成されることで、吸気通路の途中に水等が溜まることを抑制できる。
請求項11に記載した発明によれば、空気入口に導入される吸入空気をリブによって整流することができる。又、空気入口がリブによって仕切られるので、空気入口に大きな異物が入り込むことを抑制できる。又、空気入口に臨む部分にリブが形成されるので、車両上方から空気入口を見たときに、吸気通路の内部をリブによって見えにくくすることができ、外観性を向上できる。
請求項12に記載した発明によれば、側面視でカバー部材からリブを露出させるように設けることができ、一層効果的に外観から吸気通路の内部を視認されにくくすることができる。
請求項13に記載した発明によれば、カバー部材の締結作業を容易に行うことができる。
請求項14に記載した発明によれば、車両外観に締結部材が露出しないので、外観性を向上できる。
請求項15に記載した発明によれば、締結部を増やさなくても隙間や浮き等が生じることを抑制できる。カバー部材を前後方向に長く形成した場合には、カバー部材の前後端部間の間隔が大きくなるため、カバー部材の前後端部間では、カバー部材とエアクリーナケースとの間で隙間が生じたりカバー部材の浮き等が生じたりする可能性がある。しかしこの構成によれば、カバー部材の前後締結部の間に嵌合部が形成されるため、締結部を増やさなくても前記隙間や浮き等が生じることを抑制できる。
請求項16に記載した発明によれば、嵌合部が車両外観に露出しないため、外観性を向上できる。
請求項17に記載した発明によれば、カバー部材とエアクリーナケースとの締結作業時に、カバー部材をエアクリーナケースに仮止めすることができ、作業性を向上できる。
請求項18に記載した発明によれば、吸気ダクトが後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜した場合でも、吸気ダクトの車幅方向外方への突出量が凹部で吸収されるので、エアクリーナ装置の車幅方向外側への突出量を低減することができる。
請求項19に記載した発明によれば、凸部が車両外観に露出しないため、外観性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPがそれぞれ示されている。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態における自動二輪車1(鞍乗型車両)の左側面図である。以下、自動二輪車1を「車両」ということがある。
図1では、本発明の一実施形態が適用されたスクータ型の自動二輪車1を示している。この自動二輪車1は、車体フレーム10に揺動可能に支持されるパワーユニット20を備える。パワーユニット20は、エンジン22のクランクケース24に連設されて、クランクケース24から後輪3の左側で後方に延びる伝動ケース26を備える。伝動ケース26の後端部には、後輪3が回動可能に支持される。
尚、
図1においては、便宜上、左リアサイドボディーカバー9f及び左アンダーサイドカバー9gを一部破断して、パワーユニット20に含まれるエンジン22等を実線で示している。
【0011】
パワーユニット20の前方には、前輪2が配置される。前輪2は、左右一対のフロントフォーク4の下部に回動可能に支持される。左右フロントフォーク4の上部には、ブリッジ5が架設される。ブリッジ5の車幅方向中央には、操舵軸であるステアリングシャフト6が立設される。
【0012】
ステアリングシャフト6の上方には、バーハンドル7が設けられる。バーハンドル7は、車幅方向に延在する単一のパイプ材から構成される。自動二輪車1の操舵系は、主に、前輪2やフロントフォーク4、ステアリングシャフト6、バーハンドル7等で構成される。
【0013】
ステアリングシャフト6は、車体フレーム10の前端に設けられたヘッドパイプ8に回動可能に支持される。車体フレーム10は、複数のフレーム部材が溶接等で一体に結合されることにより形成される。車体フレーム10は、前端にヘッドパイプ8が結合されるメインフレーム11と、前後端にメインフレーム11が結合される左右一対のセンターフレーム12と、前端に左右センターフレーム12が結合される左右一対のシートフレーム13と、を備える。
【0014】
メインフレーム11は、ダウンフレーム部11aと、左右一対のロアフレーム部11bと、を有する。ダウンフレーム部11aは、鉛直方向に対してやや傾斜し、ヘッドパイプ8から後下方に延びる。左右ロアフレーム部11bは、ダウンフレーム部11aの後端からそれぞれ左右に分岐して略水平に後方に延びた後、後上方に延びる。
【0015】
尚、メインフレーム11は、ダウンフレーム部11aの後端からそれぞれ左右に分岐して後方に延びる左右ロアフレーム部11bを有する構成に限らない。例えば、メインフレーム11は、左右一対のダウンフレーム部11aの後端からそれぞれ後方に延びる左右ロアフレーム部11bを有する構成であってもよい。又、メインフレーム11は、ダウンフレーム部11aの後端に直交して車幅方向に延びるクロスパイプを結合し、このクロスパイプの左右端部に左右ロアフレーム部11bの前端をそれぞれ結合した構成であってもよい。
【0016】
左右センターフレーム12は、フロントフレーム部12aと、リアフレーム部12bと、を有する。左右フロントフレーム部12aは、メインフレーム11のダウンフレーム部11aの上下中央部から後下方に延びる。左右リアフレーム部12bは、左右フロントフレーム部12aの後端から、左右フロントフレーム部12aよりも急傾斜で後下方に延びて、メインフレーム11の左右ロアフレーム部11bの前後中央部に至る。
【0017】
左右シートフレーム13は、左右センターフレーム12の左右リアフレーム部12bの上部から後上方に延びる。左右シートフレーム13の前後中央部には、メインフレーム11の左右ロアフレーム部11bの後端部が結合される。
【0018】
クランクケース24の前下部は、メインフレーム11の左右ロアフレーム部11bの前後中央部に、リンク部材14を介して支持される。これにより、ユニットスイング式のパワーユニット20は、リンク部材14を介して上下方向に揺動可能とされる。パワーユニット20の伝動ケース26の後端部と、車体フレーム10の左右シートフレーム13の後端部との間には、クッションユニット15が介装される。
【0019】
伝動ケース26の上部には、エアクリーナケース40を含むエアクリーナ装置30が設けられる。エアクリーナケース40の前後下部には、支持部材46a,46bがそれぞれ配置される。エアクリーナケース40は、支持部材46a,46bを介して、ボルト93により伝動ケース26の上部に締結固定される。
【0020】
エアクリーナケース40は、側面視で、伝動ケース26の上端縁と、左シートフレーム13の後部下端縁と、クッションユニット15の軸線と、によって囲まれる領域に配置される。エアクリーナケース40は、伝動ケース26よりも小さい。具体的に、エアクリーナケース40の前後最大長さは、伝動ケース26の前後最大長さよりも短い。エアクリーナケース40の上下最大長さは、伝動ケース26の上下最大長さよりも短い。
【0021】
エアクリーナケース40は、側面視(車両側面視と同義)で、左シートフレーム13の後部下端縁から所定間隔離間して配置され、伝動ケース26の上端縁寄りに配置される。これにより、エアクリーナケース40を、側面視で、伝動ケース26の上端縁から所定間隔離間して配置し、左シートフレーム13の後部下端縁寄りに配置した場合に比べて、エアクリーナケース40と伝動ケース26との一体感が高まる。
【0022】
エアクリーナケース40の後部は、側面視で、クッションユニット15の前下部と重なる。これにより、エアクリーナケース40の後部を、側面視で、クッションユニット15から所定間隔離間して配置した場合に比べて、エアクリーナケース40とクッションユニット15との一体感が高まる。
【0023】
パワーユニット20の上方には、乗員が着座するシート17が配置される。シート17は、前後方向に延在する。シート17は、運転者が着座する前部シート17aと、同乗者が着座する後部シート17bと、が一体に形成される。
【0024】
自動二輪車1は、樹脂材料からなる複数の外装カバーで構成される車体カバー9によって覆われる。前輪2の上方、且つ、ヘッドパイプ8の前方には、フロントカバー9aが配置される。フロントカバー9aの上部には、バイザー9bが設けられる。バイザー9bは、側面視で、フロントカバー9aの上部から後上方に立ち上がっており、バイザー9bによって前方からの走行風が後上方に流れるようになっている。フロントカバー9aは、フロントライト9c及び左右ウインカ(図示略)を一体に有する。
【0025】
フロントカバー9aの後部には、ヘッドパイプ8及びステアリングシャフト6周りを後方から覆うインナーカバー9dと、ダウンフレーム部11a及び左右フロントフレーム部12a周りを上方から覆うセンターカバー9eと、が設けられる。センターカバー9eは、インナーカバー9dの下端に連なって後方に延び、センターカバー9eの後端はシート17の前端下方に至る。
【0026】
センターカバー9eの後部には、左右シートフレーム13を側方から覆う左右一対のリアサイドボディーカバー9fが設けられる。左右リアサイドボディーカバー9fは、センターカバー9eの後端に連なって後方に延びる。左右リアサイドボディーカバー9fは、シート17の下方に配置されて車両前後方向に沿うように長尺に延び、センターカバー9eの後端から後輪3の上方まで至る。
【0027】
センターカバー9eの下部には、左右ロアフレーム部11b周りを側方から覆う左右一対のアンダーサイドカバー9gが設けられる。左右アンダーサイドカバー9gは、車両前後方向に沿って延びる。
【0028】
左右アンダーサイドカバー9gの上縁部間には、左右ロアフレーム部11b周りを上方から覆う左右のステップフロア16が設けられる。左右ステップフロア16は、車幅方向中央から左右に離間して配置される。左右ステップフロア16は、車幅方向に一定の幅を有し、左右ステップフロア16の上面に乗員が足を載せられるようになっている。
【0029】
センターカバー9eの上方であって、バーハンドル7とシート17との間には、乗員が乗車のために足を通す跨ぎ空間18が形成される。運転者(乗員)は、跨ぎ空間18に足を通し、シート17(前部シート17a)に着座して車両前後方向の中央下部に設けられた左右ステップフロア16に足を載せることで自動二輪車1に乗車することが可能である。
【0030】
パワーユニット20のエンジン22は、クランク軸(図示略)を収容するクランクケース24と、内部に燃焼室(図示略)が設けられるシリンダ部21と、を備える。シリンダ部21は、シリンダブロックやシリンダヘッド、ヘッドカバー等を備える。シリンダ部21の前端部上面側には、吸気管23が接続される。シリンダ部21の前端部下面側には、排気管25が接続される。
【0031】
シリンダ部21は、クランクケース24の前端部から前上方に向かって突出する。具体的に、シリンダ部21は、パワーユニット20が車体フレーム10に取り付けられた状態において、左右ロアフレーム部11bの後傾斜部の間から前方に突出する。
【0032】
クランクケース24の内部のクランク軸は、後輪3の車軸と平行に車幅方向に沿って延びる。クランク軸の左端部には、ベルト式無段変速機の入力側の機構部(図示略)が接続される。クランク軸の右端部には、発電機や冷却ファン(何れも図示略)が接続される。
【0033】
伝動ケース26は、クランク軸を収容するクランクケース24の本体部の左側部から後方に延びる。伝動ケース26には、ベルト式無段変速機が収容される。ベルト式無段変速機の後部には、減速機構(図示略)を介して後輪3の車軸が支持される。クランク軸に出力されたエンジン22の動力は、ベルト式無段変速機と減速機構とを介して後輪3の車軸に伝達される。
【0034】
エンジン22の吸気管23は、スロットルボディ27とコネクティングチューブ28とを介してエアクリーナ装置30に接続される。エンジン22の吸気部には、エアクリーナ装置30で濾過された外気が、コネクティングチューブ28、スロットルボディ27及び吸気管23を通して導入される。
エンジン22の排気管25は、エンジン22の下方から車両右側に引き出され、後輪3の右側方に配置されるサイレンサ(図示略)に接続される。
【0035】
図2は、
図1のI−I断面図である。尚、
図2においては、便宜上、後輪3を二点鎖線で示す。又、車両前後方向に延びる車体中心軸線CLを一点鎖線で示す。
図2に示すように、エアクリーナ装置30は、エアクリーナケース40と、吸気ダクト50と、カバー部材60と、を備える。
エアクリーナケース40は、例えば樹脂等により形成され、車幅方向に奥行きを持つ。エアクリーナケース40は、エアクリーナエレメント42を介して、外気に導通する未浄化室44と、エンジン22の吸気部に導通する浄化室46とに内部が区画される。
【0036】
エアクリーナケース40は、後輪3の側方に配置されるケース本体31と、ケース本体31の車幅方向外側に配置されるケースカバー32と、を備える。
ケース本体31は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部31aを有する。
ケースカバー32は、外側開口縁部31aと側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部32aを有する。
【0037】
ケース本体31及びケースカバー32は、例えば型成形によって形成される。ケース本体31の開口の周縁部である外側開口縁部31aには、側面視で外周側に突出する第一フランジ部33が形成される。ケースカバー32の開口の周縁部である内側開口縁部32aには、側面視で外周側に突出する第二フランジ部34が形成される。ケース本体31とケースカバー32とは、第一フランジ部33と第二フランジ部34とが当接した状態で、複数(例えば本実施形態では七つ)のボルト等の締結部材91(
図1参照)を外から締結することによって結合される。
【0038】
エアクリーナエレメント42は、ろ紙を蛇腹状に折り畳んで形成され、全体として左右と直交する厚板状に形成される。エアクリーナエレメント42の外側縁部は、エレメント保持板41によって保持される。エレメント保持板41は、例えば樹脂等により形成される。エレメント保持板41の外周縁部には、車幅方向両側(厚み方向両側)に突出する挟持枠41aが一体に形成される。挟持枠41aは、シール部材43を介して、第一フランジ部33及び第二フランジ部34によって挟持固定される。
【0039】
エレメント保持板41は、エアクリーナエレメント42を保持固定する保持枠41bを一体に有する。保持枠41bは、エレメント保持板41の前後中央から後部にわたって形成される。保持枠41bの車幅方向の厚さは、挟持枠41aの車幅方向の厚さよりも大きい。
【0040】
ケース本体31は、後輪3の外形に沿うように、
図2の断面視でL字状に形成される。具体的に、ケース本体31の前壁部31fは、
図2の断面視で、ケース本体31前側の第一フランジ部33から車幅方向内側に向けて後輪3の前端部と重なるように膨出する。ケース本体31の前後中央壁部31mは、
図2の断面視で、前壁部31fの後端から後方に直線状に延びる。ケース本体31の後壁部31rは、
図2の断面視で、前後中央壁部31mの後端を起点として車幅方向外側に延びた後、円弧状に湾曲して後方に延びてケース本体31後側の第一フランジ部33に至る。
【0041】
ケース本体31の前壁部31fの車幅方向での中央には、コネクティングチューブ28の前後中央部を接続するチューブ接続部31hが形成される。コネクティングチューブ28の前部28aは、ケース本体31の外部に配置され、チューブ接続部31hから前方に直線状に延びる。コネクティングチューブ28の後部28bは、ケース本体31の内部に配置され、後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜して湾曲しつつ延びる。コネクティングチューブ28の後端の開口28hは、浄化室46の前後中央前部寄りの部分に臨む。
【0042】
ケース本体31の前後中央壁部31mの車幅方向外側面(ケース内面)には、凸部31dや複数(例えば本実施形態では五つ)のリブ31c等が車幅方向外側に突出して形成される。これら凸部31dやリブ31c等は、ケース本体31の前後中央壁部31mの内面に沿って延びる。これにより、ケース本体31の剛性が確保される。
【0043】
ケースカバー32は、ケース本体31の外形に沿って形成される。具体的に、ケースカバー32の前壁部32fは、
図2の断面視で、ケースカバー32前側の第二フランジ部34から後方に延びた後、車幅方向内側に傾斜して延び、その後、車幅方向外側に湾曲しつつ延びて傾斜部32cを形成する。ケースカバー32の前後中央壁部32mは、
図2の断面視で、前壁部32fの後端(傾斜部32cの後端)を起点として後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜して延びた後、車幅方向外側に突出する湾曲形状をなして凸部32tを形成し、その後、車幅方向内側に屈曲して湾曲しつつ後方に延びて凹部32eを形成して後縁70kに至り、その後、後側ほど車幅方向内方に位置するように傾斜して延びる。ケースカバー32の後壁部32rは、
図2の断面視で、前後中央壁部32mの後端から車幅方向内側に湾曲してケースカバー32後側の第二フランジ部34に至る。
【0044】
ケースカバー32の前壁部32f後部(傾斜部32c)の車幅方向中央には、未浄化室44に外気を導入する吸気ダクト50の前部を接続するダクト接続部32hが形成される。ダクト接続部32hは、吸気ダクト50の前部の外壁面に形成される溝に嵌合し、吸気ダクト50の前部を保持する。吸気ダクト50は、未浄化室44に連通するように前記エアクリーナケース(40)に取り付けられると共に、前方に指向する空気導入口52が形成される。空気導入口52は、エアクリーナケース40の前後方向中央よりも前方に位置する。
【0045】
吸気ダクト50は、前後に長い円筒状を有し、後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜して直線状に延びる。吸気ダクト50の前部50aは、ケースカバー32の外部に配置される。吸気ダクト50の前後中央後部50bは、ケースカバー32の内部に配置される。吸気ダクト50の後端の開口53は、エアクリーナエレメント42の前部の車幅方向外側で未浄化室44に臨む。
【0046】
ケースカバー32の車幅方向内側面における吸気ダクト50の後部(後端の開口53)に臨む部分は、凸部32tの内側部分に相当し、この内側部分が凹部32dを形成する。即ち、ケースカバー32の車幅方向内側面における吸気ダクト50の後部(後端の開口53)に臨む部分には、吸気ダクト50の後部を避ける凹部32dが車幅方向外側に湾曲して形成される。ケースカバー32の車幅方向外側面には、凹部32dに対応する位置に、車幅方向外側に向けて突出する凸部32tが形成される。凸部32tは、車幅方向外方からカバー部材60によって覆われる。これにより、凸部32tは、側面視で、カバー部材60に隠れる。
【0047】
吸気ダクト50の前後中央後部50bの車幅方向内側部分には、エレメント保持板41の保持枠41bの車幅方向外側部分と当接する当接面54が形成される。吸気ダクト50の前後中央後部50bの車幅方向内側部分は、後述する支持凸部51(
図6参照)を介して、ケースカバー32に支持される。
【0048】
カバー部材60は、ケースカバー32の車幅方向外側面に取り付けられる。カバー部材60は、例えば樹脂等により形成される。カバー部材60は、車幅方向内側に開放する門形をなして、上下方向寸法よりも前後方向寸法が長くなるように車両前後方向に延びる。カバー部材60は、ケースカバー32との間で前後に延びる吸気通路62を形成する。カバー部材60は、車幅方向外方から吸気ダクト50の空気導入口52を覆う。カバー部材60の後端には、ケースカバー32の縁部70iと共に空気入口70を形成する門形縁部60hが形成される。
【0049】
カバー部材60の前壁部60fは、
図2の断面視で、ケースカバー32の前端部を起点として車幅方向外側に延びた後、後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜して延びる。カバー部材60の前後中央後壁部60mは、
図2の断面視で、前壁部60fの後端を起点として、後側ほど車幅方向外方に位置するように前壁部60fよりも緩やかに傾斜して延びた後、車幅方向内側に屈曲して門形縁部60hに至る。
【0050】
エアクリーナケース40の前後中央(車幅方向に延びるエアクリーナケース40の前後中心軸線ML)よりも後方であって、且つ、カバー部材60の後部には、吸気通路62へ外気(空気)を導入する空気入口70が形成される。空気入口70は、車両後方へ向けて開口する。空気入口70は、後方から外気を導入する。
尚、空気入口70は、吸気ダクト50の空気導入口52よりも後方に位置していればよく、車両側方や車両上方、車両下方等から外気を導入する構成であってもよい。
【0051】
ケースカバー32の車幅方向外側面の空気入口70に臨む部分には、車両前後方向に延びる複数(例えば本実施形態では三つ、
図1参照)のリブ38が形成される。具体的に、リブ38は、ケースカバー32の車幅方向外側面に形成される凸部32t中間とその後方の凹部32e後端との間にわたって形成される。リブ38の車幅方向外側縁は、
図2の断面視で、凸部32t中間から左後方に延びた後、後側ほど車幅方向内側に位置するように傾斜して延びてケースカバー32の車幅方向外側面に滑らかに連なる。リブ38は、
図2の断面視で、吸気通路62の上流端部内に張り出す。リブ38は、略水平に延び、空気入口70を後上方から見たとき、吸気通路62内を隠す。
【0052】
前後に延びる吸気通路62を囲むようにケースカバー32とカバー部材60とによって通路形成部80が形成される。通路形成部80は、吸気通路62に臨む内壁面として、ケースカバー32の車幅方向外側面と、カバー部材60の車幅方向内側面とを、有する。
【0053】
吸気通路62は、吸気通路62の上流側(後側)に位置する第一吸気通路62aと、吸気通路62の下流側(前側)に位置する第二吸気通路62bと、を有する。
第一吸気通路62aは、ケースカバー32の前後中央壁部32mとカバー部材60の前後中央後壁部60mとの間に形成され、空気入口70に連なる。第一吸気通路62aには、空気入口70から外気が導入される。
第二吸気通路62bは、ケースカバー32の前壁部32fとカバー部材60の前壁部60fとの間に形成され、第一吸気通路62aに連なると共に、空気導入口52に連なる。第二吸気通路62bには、第一吸気通路62aを経た外気が導入され、空気導入口52には、第二吸気通路62bを経た外気が導入される。
【0054】
吸気通路62及び空気入口70は、通路形成部80の後部(上流端部)によって囲まれる。具体的に、吸気通路62の一部(第一吸気通路62aの上流部)及び空気入口70は、通路形成部80のうち、ケースカバー32の車幅方向外側面に形成される凹部32eと、カバー部材60の車幅方向内側面とによって囲まれる。
【0055】
以上の構成により、自動二輪車1のエンジン22(
図1参照)が始動されると、外気が空気入口70から導入されて、吸気通路62を経て前方へ案内された後、折り返して空気導入口52へ向かい、その後、吸気ダクト50を通して未浄化室44に流入する。未浄化室44に流入した外気は、未浄化室44からエアクリーナエレメント42を通過して浄化室46に流入する。浄化室46に流入した外気は、コネクティングチューブ28、
図1に示すスロットルボディ27及び吸気管23を通してエンジン22の吸気部に導入される。
【0056】
図3は、上記自動二輪車1におけるエアクリーナ装置30の後面図であって、エアクリーナ装置30を車両後方から見た状態と一致する。
図3に示すように、空気入口70の後上方には、ケースカバー32から車幅方向外側に突出する突出部36が一体に形成される。
尚、突出部36は、ケースカバー32から車幅方向外側に突出していれば、別部材によりケースカバー32とは別体に配置されてもよい。
【0057】
突出部36の後面視形状は、ケースカバー32の上端から左下方に延びた後、下方に屈曲し、その後、車幅方向内側に屈曲して空気入口70に至る。突出部36の車幅方向の最大突出幅Waは、リブ38の車幅方向の最大幅Wbよりも大きく(Wa>Wb)、且つ、カバー部材60の車幅方向の最大幅W1よりも小さい(Wa<W1)。凸部32tの車幅方向の最大幅Wcは、リブ38の車幅方向の最大幅Wbよりも小さい(Wc<Wb)。
又、
図4の側面視では、突出部36は空気入口70の上方を覆うように前後方向に延出して形成される。
【0058】
空気入口70からは、三つのリブ38が露出する。三つのリブ38は、上下方向に略同じ間隔に並んで配置される。空気入口70は、三つのリブ38により、上下で略同じ間隔に仕切られる。尚、本実施形態では、リブ38を三つとしているが、これに限らず、リブ38を一つとしても良いし三つ以上としても良い。
【0059】
カバー部材60の後面視の車幅方向外側縁は、突出部36から下方に直線状に延びた後、下側ほど車幅方向内方に位置するように傾斜してケースカバー32の下部に至る。
カバー部材60の後面視の車幅方向外側縁は、伝動ケース26よりも車幅方向外側に配置される。即ち、カバー部材60の車幅方向の最大幅W1は、伝動ケース26の車幅方向の最大幅W2よりも大きい(W1>W2)。これは、バンク角への影響を少なくし、エアクリーナケース40の幅を極力広げたからである。
【0060】
尚、カバー部材60の後面視の車幅方向外側縁は、伝動ケース26よりも車幅方向内側に配置されてもよい。即ち、カバー部材60の車幅方向の最大幅W1が、伝動ケース26の車幅方向の最大幅W2よりも小さくもよい(W1<W2)。これにより、エアクリーナ装置30の車幅方向外側への突出量を低減して車体カバー9(
図1参照)とのクリアランスを確保することができる。
【0061】
伝動ケース26は、伝動ケース本体26aと、伝動ケースカバー26bと、を備える。
伝動ケース本体26aには、前記ベルト式無段変速機が収容される。
伝動ケースカバー26bは、伝動ケース本体26aの車幅方向外側に配置されて、前記ベルト式無段変速機の左側方を覆う。伝動ケースカバー26bの外周縁部は、ボルト等の締結部材92により、伝動ケース本体26aの外周縁部に締結固定される。伝動ケースカバー26bの車幅方向外側面は、左側方に突出する円弧状を有する。
【0062】
図4は、上記エアクリーナ装置30の左側面図である。尚、
図4においては、便宜上、空気入口70をドットハッチで示す。尚、
図4と後述する
図5、
図6とは、エアクリーナ装置30を車両に搭載して車両側面から見た状態と一致する。
図4に示すように、カバー部材60は、側面視で、エアクリーナケース40の外郭34a(外形状)よりも内側に配置される。カバー部材60は、ケースカバー32の前端部から前後中央部より後方部位にわたって配置される。
【0063】
エアクリーナケース40の外郭34aは、ケースカバー32の第二フランジ部34の輪郭を含む。本実施形態では、第二フランジ部34の輪郭を外郭34aとする。外郭34aのうち前後方向でエアクリーナケース40の前端部からカバー部材60の後端近傍にわたる第一外郭34a1は、側面視で、前側ほど上下間隔が小さくなるように突出する先細り形状を有する。一方、第一外郭34a1よりも後方のエアクリーナケース40の後部における第二外郭34a2は、側面視で、後側ほど上下間隔が小さくなるようにエアクリーナケース40の前部よりも緩やかに突出する湾曲形状を有する。
【0064】
通路形成部80(
図5に示すケースカバー32の凹部81)は、カバー部材60の前端からカバー部材60の後端より後方部位にわたって形成される。通路形成部80の下部82(エアクリーナケース40の下部)は、前後に延び、後側ほど下方に位置するように緩やかに傾斜する。通路形成部80の下部82には、下方に開口する複数のドレン孔84が形成される。具体的に、通路形成部80の下部82のうち、第一吸気通路62a(
図2参照)の上流側端部に臨む部分には第一ドレン孔84aが形成され、第二吸気通路62b(
図2参照)の上流側端部に臨む部分には第二ドレン孔84bが形成される。
【0065】
リブ38は、側面視でカバー部材60よりも後方まで延出して形成される。即ち、リブ38の後部は、側面視でカバー部材60(空気入口70)から露出する。空気入口70は、上側ほど後方に位置するように傾斜した後縁70kと、略水平な上下縁70j,70mと、を有する。空気入口70は、側面視で略平行四辺形をなす。空気入口70は、後方を向く平面(仮想面)に対し、下向き且つ車幅方向外向きに傾斜する平面に沿うように形成される。即ち、空気入口70は、後方に開口すると共に、下方及び車幅方向外側方にも開口する。各リブ38の後部の前後露出長さは、略同じであり、空気入口70の上下縁70j,70mと略平行に並ぶ。
【0066】
尚、第二フランジ部34には、ボルト等の締結部材91(
図1参照)が挿通される複数(例えば本実施形態では七つ)の挿通孔91hが車幅方向に開口して形成される。
エアクリーナケース40のケースカバー32の後下端部には、ドレンチューブ39が後下方に突出して一体に形成される。
【0067】
図5は、上記エアクリーナ装置30におけるエアクリーナケース40の左側面図である。即ち、
図5は、エアクリーナ装置30からカバー部材60を取り外した状態の左側面図である。尚、
図5においては、便宜上、空気入口70の外郭(外形状)を二点鎖線で示す。又、空気入口70と共に、通路形成部80の一部であるケースカバー32の凹部81をドットハッチで示す。
【0068】
図5に示すように、吸気ダクト50の空気導入口52の上端52aは、側面視で、空気入口70の上端70aよりも下方に位置する。一方、空気導入口52の下端52bは、側面視で、空気入口70の下端70bよりも上方に位置する。
即ち、空気導入口52は、側面視で、空気入口70の上下端70a,70bを通る仮想水平軸線の間に配置される。空気導入口52の上下端52a,52b間の距離である空気導入口52の上下高さH2は、空気入口70の上下端70a,70b間の距離である空気入口70の上下高さH1よりも小さい(H2<H1)。
尚、空気入口70の上下端70a,70bの上下位置は、カバー部材60(
図4参照)の門形縁部60hの上下端の上下位置と略一致する。
【0069】
エアクリーナケース40のケースカバー32の前部には、第一外郭34a1の内周側でこれに沿うようにリブ37が形成される。これにより、ケースカバー32の前部の剛性が確保されると共に、ケースカバー32とカバー部材60との隙間から空気導入口52へ外気が直接的に至り難くなる(
図11参照)。
リブ37は、側面視で、空気導入口52の上方から前下方に延びた後、後下方に屈曲し、その後、後方に延びて屈曲して空気導入口52の下方に至る。
【0070】
ケースカバー32には、カバー部材60取付用のボルト等の締結部材90(
図6参照)が挿通される複数(例えば本実施形態では四つ)の挿通孔(第一挿通孔90h1、第二挿通孔90h2、第三挿通孔90h3及び第四挿通孔90h4)が車幅方向に開口して形成される。
【0071】
第一挿通孔90h1は、上側リブ38の上方に位置する第一ボス受け部90aに形成される。第二挿通孔90h2は、下側リブ38の下方に位置する第二ボス受け部90bに形成される。第三挿通孔90h3は、空気導入口52の上方に位置する第三ボス受け部90cに形成される。第四挿通孔90h4は、空気導入口52の下方に位置する第四ボス受け部90dに形成される。第二挿通孔90h2の直径は、第二締結ボス65bの先端65t(
図9に示す車幅方向内側端)を挿通可能な程度に、第一挿通孔90h1等の直径よりも大きくなっている。これにより、カバー部材60をケースカバー32に締結する際、第二締結ボス65bと第二挿通孔90h2とで位置決めした後、第一挿通孔90h1等にボルト等の締結部材90を挿通することができる。
【0072】
ケースカバー32には、後述する嵌合部64(
図7参照)が嵌め合される複数(例えば本実施形態では二つ)の嵌合凹部32k1,32k2が形成される。
第一嵌合凹部32k1は、第一ボス受け部90aと第三ボス受け部90cとの間の前後中央に位置する。
第二嵌合凹部32k2は、第二ボス受け部90bと第四ボス受け部90dとの間の前後中央に位置する。
第一嵌合凹部32k1及び第二嵌合凹部32k2のそれぞれは、ケースカバー32の車幅方向外側面(ケース外面)から車幅方向内側に凹んで形成される(
図8参照)。
【0073】
図6は、上記エアクリーナ装置30におけるケースカバー32のケース本体31から取り外した状態の右側面図である。
図6に示すように、ケースカバー32の車幅方向内側から、ボルト等の締結部材90を前記各挿通孔90h1〜90h4にそれぞれ挿通し、カバー部材60に形成される後述の締結ボス65の締結部90j(
図7参照)に螺着し締め込む。カバー部材60は、ケースカバー32の車幅方向内側から締結するボルト等の締結部材90により、ケースカバー32に締結される。締結部材90は、側面視でカバー部材60から露出しないように、カバー部材60によって覆われる。即ち、全ての締結部材90が車幅方向内側から締結される。
【0074】
吸気ダクト50の前後中央後部50bの下側には、支持凸部51が下方に突出して一体に形成される。支持凸部51には、車幅方向に開口する挿通孔51hが形成される。吸気ダクト50は、例えばボルト等の締結部材を、支持凸部51の挿通孔51hに挿通し、ケースカバー32の締結部に螺着し締め込むことでケースカバー32に締結支持される。
【0075】
吸気ダクト50の前後中央後部50bには、側面視で、格子状のリブ55が一体に形成される。これにより、吸気ダクト50の前後中央後部50bの剛性が確保される。
尚、リブ55のうち支持凸部51の直上に位置する部分は、当接面54と交差する。
【0076】
図7は、上記エアクリーナ装置30におけるカバー部材60を右上後方から見た斜視図である。
図7に示すように、カバー部材60の前部及び後部には、複数の締結ボス65(例えば本実施形態では四つの締結ボス65a〜65d)が一体に形成される。カバー部材60は、各締結ボス65a〜65dで、ケースカバー32に締結される。
第一締結ボス65aは、カバー部材60の後上部で、且つ、門形縁部の上端の前上方に位置する。第二締結ボス65bは、カバー部材60の後下部で、且つ、門形縁部の下端の前方に位置する。第三締結ボス65cは、カバー部材60の前上部に位置する。第四締結ボス65dは、カバー部材60の前下部に位置する。カバー部材60の前下部で、且つ、第四締結ボス65dの前方には、第二ドレン孔84bが車幅方向外方に凹む切欠状に形成される。
【0077】
第一嵌合部64aは、カバー部材60の上部の前後締結部の間(第一締結ボス65aと第三締結ボス65cとの間)に形成される。
第一嵌合部64は、係合爪66と、嵌合凸部67と、を有する。
【0078】
係合爪66の先端部(車幅方向内側端部)は、カバー部材60の上端縁よりも上方に突出する。係合爪66は、ケースカバー32の第一嵌合凹部32k1の直上で上端縁部32pよりも車幅方向内側に形成されて上方に凹む係合凹部32jに係合する(
図8参照)。係合爪66は、締結部材90によるカバー部材60の締結前の状態、即ち、カバー部材60の仮保持状態で、締結部材90の締結軸線方向(車幅方向外側)へのカバー部材60の移動を規制する軸方向規制部として機能する(
図8参照)。
係合爪66の根本部60pは、カバー部材60の仮保持状態で、第一嵌合凹部32k1の上側の上端縁部32pの下面に当接し、締結部材90の締結軸線と直交する方向で上方へのカバー部材60の移動を規制する(
図8参照)。
【0079】
嵌合凸部67は、係合爪66の直下に配置される。嵌合凸部67は、カバー部材60の車幅方向内側面(内面)から車幅方向内方に突出する。
嵌合凸部67は、第一嵌合凹部32k1の凹形状に対応した先端形状を有する。嵌合凸部67は、カバー部材60の前後方向の位置決めを行う(
図8参照)。
【0080】
第二嵌合部64bは、カバー部材60の下部の前後締結部の間(第二締結ボス65bと第四締結ボス65dとの間)に形成される。
第二嵌合部64bは、カバー部材60の車幅方向内側面(内面)から上方に延びる上方延出部64cと、上方延出部64cから車幅方向内方(右方)に向けて突出する突出部64dと、を有する。第二嵌合部64bの突出部64dは、カバー部材60の仮保持状態で、第二嵌合凹部32k2の下側の下端縁部32qの上面に当接し、締結部材90の締結軸線と直交する方向で下方へのカバー部材60の移動を規制する交差方向規制部として機能する(
図8参照)。
【0081】
カバー部材60の前端部には、車幅方向に延びる複数(例えば本実施形態では上下一対)のリブ68が略水平に形成される。リブ68の車幅方向内側端には、リブ37にケースカバー32の内周側から係合する切欠き68aが形成される。これにより、カバー部材60の前端部の位置決めが容易となる。又、リブ68が略水平に形成されることで、カバー部材60の前端部の剛性が確保される。又、前記第二吸気通路62b(
図2参照)に導入される外気をリブ68によって整流することができる。
【0082】
図8は、
図4のVIII−VIII断面図である。
図9は、
図4のIX−IX断面図である。
図10は、
図4のX−X断面図である。
図8に示すように、第一嵌合部64a及び第一嵌合凹部32k1並びに第二嵌合部64b及び第二嵌合凹部32k2のそれぞれは、吸気通路62の外側に位置する。
具体的に、第一嵌合部64a及び第一嵌合凹部32k1のそれぞれは、吸気通路62の上端62j、即ち、吸気通路62を形成する通路形成部80の上端(凹部81の上端81a)よりも上方にオフセットした位置に配置される。
一方、第二嵌合部64b及び第二嵌合凹部32k2のそれぞれは、通路形成部80の下部の車幅方向内側端(凹部81の車幅方向内側端81s)よりも車幅方向内方にオフセットした位置に配置される。
【0083】
第一嵌合部64aの係合爪66は、カバー部材60及びエアクリーナケース40から外部に露出しないように、上方からケースカバー32の上端縁部32pによって覆われる。
第一嵌合部64aの嵌合凸部67は、カバー部材60及びエアクリーナケース40から外部に露出しないように、車幅方向外方からカバー部材60によって覆われる。
第二嵌合部64bは、カバー部材60及びエアクリーナケース40から外部に露出しないように、下方からカバー部材60によって覆われる。
【0084】
カバー部材60の上部の車幅方向外側縁は、
図8の断面視で、吸気通路62の上端62jから右上方に延びてケースカバー32の上部の車幅方向外側縁に滑らかに連なる。
カバー部材60の下部の車幅方向外側縁は、
図8の断面視で、吸気通路62の下端62kから右下方に延びてケースカバー32の下部の下端縁に滑らかに連なる。
尚、
図9の断面視、
図10の断面図においても、
図8の断面視と同様、カバー部材60の上下部の車幅方向外側縁のそれぞれは、ケースカバー32の上部の車幅方向外側縁、下部の下端縁に滑らかに連なる。
【0085】
図9に示すように、第一締結ボス65a及び第一ボス受け部90a並びに第二締結ボス65b及び第二ボス受け部90bのそれぞれは、吸気通路62の外側に位置する。
具体的に、第一締結ボス65a及び第一ボス受け部90aのそれぞれは、吸気通路62の上端62j、即ち、吸気通路62を形成する通路形成部80の上端(凹部81の上端81a)よりも上方にオフセットした位置に配置される。
一方、第二締結ボス65b及び第二ボス受け部90bのそれぞれは、通路形成部80の下部の車幅方向内側端(凹部81の車幅方向内側端81s)よりも車幅方向内方にオフセットした位置に配置される。
【0086】
尚、図示はしないが、第三締結ボス65c及び第三ボス受け部90cのそれぞれも、吸気通路62の上端62j、即ち、吸気通路62を形成する通路形成部80の上端(凹部81の上端81a)よりも上方にオフセットした位置に配置される。
一方、第四締結ボス65d及び第四ボス受け部90dのそれぞれも、通路形成部80の下部の車幅方向内側端(凹部81の車幅方向内側端81s)よりも車幅方向内方にオフセットした位置に配置される。
【0087】
図11は、
図4のXI−XI断面図である。
図11に示すように、前記リブ37は、ケースカバー32の第二吸気通路62bに臨む部分で、前記内側開口縁部32aに対応する位置から車幅方向外方に突出する。ケースカバー32のリブ37は、車幅方向と交差する方向へのカバー部材60の外周縁部60pの移動を規制する。
カバー部材60の前部の外周縁は、
図11の断面視で、ケースカバー32の前端縁に滑らかに連なる。
【0088】
図12は、
図4のXII−XII断面図である。
図12に示すように、カバー部材60の下部のうち、第二吸気通路62bの上流側端部に臨む部分には、第二ドレン孔84bが、断面視で車幅方向外方に凹む切欠状に形成される。カバー部材60の下部のうち第二吸気通路62bの上流側端部に臨む部分は、
図12の断面視で、車幅方向内側ほど下方に位置するように傾斜して延びて第二ドレン孔84bに至る。
【0089】
前記リブ37は、ケースカバー32の下部のうち、第二吸気通路62bの上流側端部に臨む部分で、且つ、第二ドレン孔84の上方で前後方向に延びる。これにより、第二ドレン孔84bから第二吸気通路62b内への異物の浸入を抑止できる。
【0090】
図13は、
図4のXIII−XIII断面図である。
図13に示すように、ケースカバー32の下部のうち、第一吸気通路62aの上流側端部に臨む部分には、第一ドレン孔84aが、断面視で車幅方向内方に凹んで形成される。カバー部材60の下部のうち第一吸気通路62aの上流側端部に臨む部分の車幅方向内側縁は、断面視で、車幅方向内側ほど下方に位置するように傾斜して延びて第一ドレン孔84aに至る。
【0091】
以上説明したように、上記実施形態は、エアクリーナエレメント42を介して未浄化室44と浄化室46とに内部が区画されるエアクリーナケース40と、未浄化室44に連通するように前記エアクリーナケース40に取り付けられると共に、前方に指向する空気導入口52が形成される吸気ダクト50と、エアクリーナケース40の車幅方向外側面に取り付けられると共に、エアクリーナケース40との間で吸気通路62を形成し、且つ、空気導入口52を覆うカバー部材60と、を備える鞍乗型車両1のエアクリーナ装置30において、カバー部材60は、上下方向寸法よりも前後方向寸法が長くなるように車両前後方向に延び、空気導入口52は、エアクリーナケース40の前後方向中央よりも前方に位置し、エアクリーナケース40の前後方向中央よりも後方であって、且つ、カバー部材60の後部には、吸気通路62への空気入口70が形成される。
この構成によれば、空気導入口52がエアクリーナケース40の前後方向中央よりも前方に位置し、空気入口70がエアクリーナケース40の前後方向中央よりも後方であって且つカバー部材60の後部に形成されるので、空気入口70からの吸入空気は、吸気通路62内を前方へ案内された後、折り返して空気導入口52へ向かう。これにより、エアクリーナケース40の前後に長い吸気通路62を利用したラビリンス構造を形成することができ、水や異物等が未浄化室44に入り込むことを抑制することができる。
又、カバー部材60が上下方向寸法よりも前後方向寸法が長くなるように車両前後方向に延びるため、エアクリーナケース40に対して上下方向へのカバー部材60の突出量を低減することができ、外観性を向上できる。
従って、水や異物等が未浄化室44に入り込むことを抑制すると共に、外観性を向上することができる。
【0092】
又、上記実施形態では、鞍乗型車両1は、車体フレーム10に揺動可能に支持されるパワーユニット20を備え、パワーユニット20は、エンジン22のクランクケース24に連設されてクランクケース24から後方に延びる伝動ケース26を備え、エアクリーナケース40は、伝動ケース26の上部に配置される。ところで、エアクリーナケース40が伝動ケース26の上部に配置されると、空気入口70が外部に露出するため、エアクリーナケース40が車両内部に配置される場合に比べて、水や異物等が未浄化室44に入り込む可能性が高くなる。そのため、この構成によれば、エアクリーナケース40が伝動ケース26の上部に配置されることで、前記ラビリンス構造による、未浄化室44への水や異物等の浸入の抑制を効果的に実現することができる。又、カバー部材60を伝動ケース26の上部に配置する場合であっても、前後方向に長いカバー部材60の形状となるので、伝動ケース26とカバー部材60のクリアランスが確保しやすくなり、パワーユニット20の揺動量も十分確保することができる。
【0093】
又、上記実施形態では、カバー部材60が側面視でエアクリーナケース40の外郭34aよりも内側に配置されることで、カバー部材60が側面視でエアクリーナケース40の外郭34aからはみ出ないように、カバー部材60をエアクリーナケース40にコンパクトに設けることができる。これにより、カバー部材60を側面視でエアクリーナケース40の外郭34aよりも外側にはみ出るように配置した場合に比べて、カバー部材60とエアクリーナケース40との一体感が高まるため、外観性が一層向上する。
【0094】
又、上記実施形態では、エアクリーナケース40は、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部31aを形成する第一フランジ部33を有するケース本体31と、外側開口縁部31aと側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部32aを形成する第二フランジ部34を有すると共に、ケース本体31の車幅方向外側に配置されるケースカバー32と、を備え、第二フランジ部34の輪郭を外郭34aとしたことで、カバー部材60の小型化と、カバー部材60とエアクリーナケース40との一体感を一層向上させることができる。又、カバー部材60をケースカバー32の外側に配置する場合であっても、ケースカバー32の外郭形状を簡素化したものにすることができる。
【0095】
又、上記実施形態では、空気導入口52の上端52aが空気入口70の上端70aよりも下方に位置し、且つ、空気導入口52の下端52bが空気入口70の下端70bよりも上方に位置することで、空気導入口52の上下高さと空気入口70の上下高さとが車両前後方向で重なるような位置関係となるので、カバー部材60の上下寸法を一層小さくすることができる。又、空気入口70を車両後方へ向けて開口する場合であっても、円滑な吸気を行うことができる。
【0096】
又、上記実施形態では、空気入口70が車両後方へ向けて開口することで、走行風が空気入口70から直接入り込むことを抑制できるため、安定した吸気が可能となる。又、空気入口70を車両側方又は上下に向けて開口した場合に比べて、水や異物等が未浄化室44に入り込みにくくなる。
又、エアクリーナケース40を伝動ケース26の上部に近接して配置した場合であっても、伝動ケース26が吸気の邪魔になることなく、円滑な吸気を行うことができる。そのため、エアクリーナケース40を伝動ケース26に近接して配置することができ、エアクリーナ装置30が車両上方へ突出することを一層抑制できる。
【0097】
又、上記実施形態では、空気入口70の後上方にはエアクリーナケース40から車幅方向外側に突出する突出部36が配置されることで、突出部36を空気入口70の庇として機能させることができ、車両上方からの水や異物等が空気入口70に入り込むことを抑制できる。又、突出部36の下部を吸入空気のガイドとして機能させることができ、円滑な吸気を行うことができる。
【0098】
又、上記実施形態では、吸気通路62を囲むようにエアクリーナケース40とカバー部材60とによって通路形成部80が形成され、通路形成部80の下部82が後側ほど下方に位置するように傾斜することで、通路形成部80の下部を前側ほど下方に位置するように傾斜させた場合や、通路形成部80の下部を前後水平に配置した場合に比べて、水や異物等が空気入口70から入り込みにくくなる。
【0099】
又、上記実施形態では、通路形成部80の下部82には、吸気通路62の上流側端部に臨む位置に、ドレン孔84が形成されることで、吸気通路62の最下端近傍にドレン孔84が形成されるので、仮に水等が空気入口70から入り込んだとしても、吸気通路62に水等が溜まることを抑制できる。
【0100】
又、上記実施形態では、吸気通路62が、空気入口70に連なる第一吸気通路62aと、第一吸気通路62aに連なると共に、空気導入口52に連なる第二吸気通路62bと、を有し、通路形成部80の下部82には、第一吸気通路62a及び第二吸気通路62bのそれぞれの上流側端部に臨む位置に、ドレン孔84a,84bが形成されることで、仮に水等が空気入口70から入り込んだとしても、吸気通路62に水等が溜まることを抑制できる。又、通路形成部80が前後に長い場合であっても、通路形成部80の下部82における第一吸気通路62a及び第二吸気通路62bのそれぞれの上流側端部に臨む位置に、ドレン孔84a,84bが形成されることで、吸気通路62の途中に水等が溜まることを抑制できる。
【0101】
又、上記実施形態では、エアクリーナケース40の空気入口70に臨む部分に車両前後方向に延びるリブ38が形成されることで、空気入口70に導入される吸入空気をリブ38によって整流することができる。又、空気入口70がリブ38によって仕切られるので、空気入口70に大きな異物が入り込むことを抑制できる。又、空気入口70に臨む部分にリブ38が形成されるので、車両上方から空気入口70を見たときに、吸気通路62の内部をリブ38によって見えにくくすることができ、外観性を向上できる。
【0102】
又、上記実施形態では、リブ38は、側面視でカバー部材60よりも後方まで延出して形成されることで、側面視でカバー部材60からリブ38を露出させるように設けることができ、一層効果的に外観から吸気通路62の内部を視認されにくくすることができる。
【0103】
又、上記実施形態では、エアクリーナケース40が、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部31aを有するケース本体31と、外側開口縁部31aと側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部32aを有すると共に、ケース本体31の車幅方向外側に配置されるケースカバー32と、を備え、カバー部材60が、ケースカバー32の車幅方向内側から締結する締結部材90により、ケースカバー32に取り付けられることで、カバー部材60の締結作業を容易に行うことができる。
【0104】
又、上記実施形態では、締結部材90が側面視でカバー部材60から露出しないようにカバー部材60によって覆われることで、車両外観に締結部材90が露出しないので、外観性を向上できる。
【0105】
又、上記実施形態では、カバー部材60がカバー部材60の前部及び後部でエアクリーナケース40に締結され、カバー部材60の前部に設けられる前側締結部65c,65dとカバー部材60の後部に設けられる後側締結部65a,65bとの間には、カバー部材60とエアクリーナケース40とを嵌め合わせる嵌合部64が形成される。カバー部材60を前後方向に長く形成した場合には、カバー部材60の前後端部間の間隔が大きくなるため、カバー部材60の前後端部間では、カバー部材60とエアクリーナケース40との間で隙間が生じたりカバー部材60の浮き等が生じたりする可能性がある。しかしこの構成によれば、カバー部材60の前後締結部の間に嵌合部64が形成されるため、締結部を増やさなくても前記隙間や浮き等が生じることを抑制できる。
【0106】
又、上記実施形態では、嵌合部64が、側面視でカバー部材60及びエアクリーナケース40から外部に露出しないように、カバー部材60及びエアクリーナケース40の少なくとも一方によって覆われることで、嵌合部64が車両外観に露出しないため、外観性を向上できる。
【0107】
又、上記実施形態では、エアクリーナケース40が、車幅方向外側に向けて開口する外側開口縁部31aを有するケース本体31と、外側開口縁部31aと側面視で重なり合うように車幅方向内側に向けて開口する内側開口縁部32aを有すると共に、ケース本体31の車幅方向外側に配置されるケースカバー32と、を備え、カバー部材60が、ケースカバー32の車幅方向内側から締結する締結部材90により、ケースカバー32に取り付けられ、嵌合部64が、締結部材90の締結軸線方向に沿うカバー部材60の移動を規制する係合爪66を有することで、カバー部材60とエアクリーナケース40との締結作業時に、カバー部材60をエアクリーナケース40に仮止めすることができ、作業性を向上できる。
【0108】
又、上記実施形態では、吸気ダクト50が後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜し、エアクリーナケース40の車幅方向内側面における吸気ダクト50の後部に臨む部分には、吸気ダクト50の後部を避ける凹部32dが形成されることで、吸気ダクト50が後側ほど車幅方向外方に位置するように傾斜した場合でも、吸気ダクト50の車幅方向外方への突出量が凹部32dで吸収されるので、エアクリーナ装置30の車幅方向外側への突出量を低減することができる。
【0109】
又、上記実施形態では、エアクリーナケース40の車幅方向外側面には、凹部32dに対応する位置に、車幅方向外側に向けて突出する凸部32tが形成され、凸部32tがカバー部材60によって覆われることで、凸部32tが車両外観に露出しないため、外観性を向上できる。
【0110】
又、上記実施形態では、吸気通路62及び空気入口70が、エアクリーナケース40の車幅方向外側面に形成される凹部32eと、カバー部材60の車幅方向内側面とによって形成される通路形成部80に囲まれることで、吸気通路62や空気入口70を形成する際に、エアクリーナケース40の車幅方向外側面を利用することができ、吸気通路62や空気入口70を形成するために別途部品を設ける必要がない。そのため、部品点数を削減できると共に、エアクリーナ装置30の車幅方向外側への突出量を低減できる。
【0111】
又、上記実施形態では、吸気通路62の外側に締結ボス65が位置することで、締結ボス65が吸気通路62に配置されないため、吸気抵抗を低減できる。
又、吸気通路62の外側に上下嵌合部64が位置することで、嵌合部64が吸気通路62に配置されないため、吸気抵抗を低減できる。
【0112】
又、上記実施形態では、上側の嵌合部64aは、締結部材90の締結軸線方向(車幅方向)へのカバー部材60の移動を規制する軸方向規制部として係合爪66を有し、且つ、下側の嵌合部64bは、締結軸線と直交する方向(車両上下方向)へのカバー部材60の移動を規制する交差方向規制部として機能することで、カバー部材60の開き方向への浮きを抑制できる。
【0113】
又、上記実施形態では、カバー部材60の車幅方向外側縁が、ケースカバー32の車幅方向外側縁に滑らかに連なることで、カバー部材60とケースカバー32を含むエアクリーナケース40との一体感が高まるため、外観性が一層向上する。
【0114】
尚、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、前記鞍乗型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪且つ後二輪の他に、前二輪且つ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
又、前記鞍乗型車両は、スイングユニット式車両に限らず、エンジン及びエアクリーナ装置が車体フレームに固定的に支持された車両でもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。