特開2015-229564(P2015-229564A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-229564(P2015-229564A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20151124BHJP
【FI】
   B66B1/14 L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-116672(P2014-116672)
(22)【出願日】2014年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光央
【テーマコード(参考)】
3F002
【Fターム(参考)】
3F002AA05
3F002BA04
3F002FA01
3F002FA03
3F002FA08
3F002GB01
(57)【要約】
【課題】 既存のエレベータ設備を利用して、簡易な構成で、エレベータ利用者の制限やその解除を行うことが可能なエレベータ制御装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータ制御装置は、特殊スイッチと、メインマイコン部とを備える。特殊スイッチは、予め設定された特定階の乗場呼び登録の禁止/許可の設定を切り替える。メインマイコン部は、特殊スイッチにより、特定階の乗場呼び登録を禁止するよう設定されているときに、特定階の乗場呼びボタンにおいて所定の禁止解除操作が行われると、特定階の呼び登録の禁止を所定時間解除する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の複数階床のうち、予め設定された特定階の乗場呼び登録の禁止/許可の設定を切り替える特殊スイッチと、
前記特殊スイッチにより、前記特定階の乗場呼び登録を禁止するよう設定されているときに、前記特定階の乗場呼びボタンにおいて所定の禁止解除操作が行われると、前記特定階の呼び登録の禁止を所定時間解除するメインマイコン部と、
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記所定の禁止解除操作は、前記特定階の乗場呼びボタンを所定時間以上の長押し操作である
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記メインマイコン部は、前記特殊スイッチにより、前記特定階の乗場呼び登録を禁止するよう設定されているときに、前記特定階の乗場呼びボタンにおいて所定の禁止解除操作が行われると、当該禁止解除操作に基づく操作信号を受け付けたことを通知するために、前記特定階の乗場ボタンを少なくとも1回点滅させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内のセキュリティ強化のために、エレベータの利用を制限する場合がある。
【0003】
例えば、特別養護老人施設において、各階のエレベータ乗場にカードリーダやテンキー装置を設置しておき、施設の職員等、エレベータの利用を許可された人のみが所持するカードの情報をカードリーダで読み取らせたとき、または、テンキー装置で特定の操作を行ったときにのみ、エレベータの乗場呼び登録を可能にするものがある。
【0004】
このようにエレベータの利用を制限することにより、外出を許可されていない利用者がエレベータを利用して建物から出ることを防止したり、建物内への入場が許可されていない利用者がエレベータを利用して侵入することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−27281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上述したようにエレベータの利用を制限する場合、エレベータ乗場にカードリーダやテンキー装置を設置する必要があり、設備コストがかかるとともに、既設の建物に新たに設置することは困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、既存のエレベータ設備を利用して、簡易な構成で、エレベータ利用者の制限やその解除を行うことが可能なエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータ制御装置は、特殊スイッチと、メインマイコン部とを備える。特殊スイッチは、予め設定された特定階の乗場呼び登録の禁止/許可の設定を切り替える。メインマイコン部は、特殊スイッチにより、特定階の乗場呼び登録を禁止するよう設定されているときに、特定階の乗場呼びボタンにおいて所定の禁止解除操作が行われると、特定階の呼び登録の禁止を所定時間解除する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータの構成を示す全体図。
図2】一実施形態によるエレベータ制御装置の構成を示すブロック図。
図3】一実施形態によるエレベータ制御装置において、特殊スイッチが操作されたときに実行される処理を示すフローチャート。
図4】一実施形態によるエレベータ制御装置において、特定階の乗場呼びボタンで禁止解除操作が行われたときに実行される処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈一実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の一実施形態によるエレベータの構成について、図1を参照して説明する。
【0011】
本実施形態によるエレベータ1は、3階建ての建物に設置されており、昇降路2上部の機械室3に設置された巻上げ機4にメインロープ5が掛け渡され、メインロープ5の一端には乗りかご6が吊り下げられ、他端には釣り合い錘7が吊り下げられている。乗りかご6および釣り合い錘7は、巻上げ機4のモータ(図示せず)が駆動することにより昇降路2を昇降する。
【0012】
乗りかご6にはかご内操作盤61が設置されており、かご内操作盤61には、かご内ボタン群61aおよび、予め設定された特定階の乗場呼び登録の禁止/許可の設定を切り替える特殊スイッチ61bが設けられている。
【0013】
また、1階のエレベータ乗場には乗場操作盤8−1が設置され、乗場操作盤8−1には上方向乗場呼びボタン8−1aが設けられている。また、2階のエレベータ乗場には乗場操作盤8−2が設置され、乗場操作盤8−2には上方向乗場呼びボタン8−2aおよび下方向乗場呼びボタン8−2bが設けられている。また、3階のエレベータ乗場には乗場操作盤8−3が設置され、乗場操作盤8−3には下方向乗場呼びボタン8−3aが設置されている。
【0014】
かご内ボタン群61aのボタン、特殊スイッチ61b、および、乗場呼びボタン8−1a、8−2a、8−2b、8−3aは、利用者により操作されると当該ボタンの識別情報および操作内容(短押し、長押し等)を含む操作信号を生成し、機械室3に設置されたエレベータ制御盤9に送信する。
【0015】
エレベータ制御盤9は、乗りかご6とテールコード10で接続されるとともに、乗場操作盤8−1〜8−3に伝送信号線11で接続され、さらに、巻上げ機4に伝送信号線12で接続されている。
【0016】
エレベータ制御盤9の詳細な構成を、図2に示す。エレベータ制御盤9は、信号入出力部91と、メインマイコン部92と、モータ制御部93とを有する。
【0017】
信号入出力部91は、乗りかご6のかご内操作盤61に設置されたかご内ボタン群61aおよび特殊スイッチ61b、乗場操作盤8−1に設置された上方向乗場呼びボタン8−1a、乗場操作盤8−2に設置された上方向乗場呼びボタン8−2aおよび下方向乗場呼びボタン8−2b、乗場操作盤8−3に設置された下方向乗場呼びボタン8−3aの操作に基づいて送信された操作信号を入力する。
【0018】
また信号入出力部91は、後述するように、メインマイコン部92から送出されるボタンの点灯や点滅に関する信号を、該当する乗場操作盤8−1〜8−3、またはかご内操作盤61に送出する。
【0019】
メインマイコン部92は、呼び登録を行うために行われた、かご内ボタン群61a、上方向乗場呼びボタン8−1a、8−2a、または下方向乗場呼びボタン8−2b、8−3aの操作に基づく操作信号が信号入出力部91から入力されると、当該操作信号を受け付けたことを通知するためのボタン点灯信号を生成して信号入出力部91に送出するとともに、最新の乗りかご6の現在位置情報と、入力された操作信号とに基づいて、乗りかご6を上昇または下降させるための制御信号を生成し、モータ制御部93に送出する。
【0020】
またメインマイコン部92は、特殊スイッチ61bのON/OFF切替操作に基づく操作信号が信号入出力部91から入力されると、予め設定された特定階の乗場呼び登録の禁止/許可の設定を切り替える。
【0021】
またメインマイコン部92は、予め設定された特定階の乗場呼び登録を禁止するよう設定しているときに、当該特定階の乗場呼びボタンにおいて行われた所定の禁止解除操作の操作信号が信号入出力部91から入力されると、当該操作信号を受け付けたことを通知するためのボタン点滅信号を生成して信号入出力部91に送出するとともに、特定階の乗場呼び登録の禁止を所定時間解除する。
【0022】
モータ制御部93は、メインマイコン部92から取得した制御信号に基づいて、巻上げ機4のモータを駆動する。
【0023】
〈一実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1の動作について、図3および4のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
本実施形態において、エレベータ1の通常運転時(特殊スイッチ61bがOFF状態のとき)は、乗りかご6のかご内操作盤61に設置されたかご内ボタン群61a、乗場操作盤8−1に設置された上方向乗場呼びボタン8−1a、乗場操作盤8−2に設置された上方向乗場呼びボタン8−2a、下方向乗場呼びボタン8−2b、乗場操作盤8−3に設置された下方向乗場呼びボタン8−3aのいずれかが呼び登録のために操作されると、当該操作に基づいて操作信号が生成される。生成された操作信号は、エレベータ制御盤9の信号入出力部91から入力され、メインマイコン部92で取得される。
【0025】
メインマイコン部92では、信号入出力部91から入力された操作信号に基づいて、操作されたボタンを点灯させるためのボタン点灯信号が生成され、信号入出力部91に送出される。
【0026】
信号入出力部91では、メインマイコン部92から取得されたボタン点灯信号が該当する操作盤に送信される。ボタン点灯信号が受信された操作盤では、操作されたボタンが点灯され、これにより呼び登録操作がエレベータ制御盤9で受け付けられたことが利用者に通知される。
【0027】
またメインマイコン部92では、乗りかご6の現在位置情報を所定時間間隔で取得しており、最新の乗りかご6の現在位置情報と、信号入出力部91から入力された操作信号とに基づいて、乗りかご6を上昇または下降させるための制御信号が生成され、モータ制御部93に送出される。
【0028】
モータ制御部93では、メインマイコン部92から取得された制御信号に基づいて、巻上げ機4のモータが駆動される。モータの駆動により乗りかご6が昇降し、利用者の呼び登録操作への応答が行われる。
【0029】
このように、呼び登録操作に応答してエレベータ制御盤9が動作している状態(通常運転状態;S1)で、当該建物の管理人等により、特定階への一般利用者の入場を制限するために特殊スイッチ61bがOFF状態からON状態に切り替えられると、当該操作に基づく操作信号が生成され、エレベータ制御盤9に送信される。本実施形態においてエレベータ制御盤9には、特定階として「3階」が予め設定されているものとする。
【0030】
エレベータ制御盤9では、取得された操作信号が信号入出力部91から入力され、さらにメインマイコン部92で取得される。
【0031】
メインマイコン部92では、特殊スイッチ61bがON状態に切り替えられたことを示す操作信号が取得されると(S2の「YES」)、特定階「3階」の乗場呼びボタン8−3aによる乗場呼び登録を禁止するよう設定される(S3)。このように設定されることにより、以降の「3階」の乗場ボタン8−3aによる乗場呼び登録が禁止される。
【0032】
特定階「3階」の乗場呼びボタン8−3aによる乗場呼び登録を禁止するよう設定されているときの、エレベータ制御盤9の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
特定階の乗場呼び登録を禁止する設定が行われた状態で、特定階「3階」の乗場呼びボタン8−3aにおいて所定の禁止解除操作が行われると、当該操作に基づく操作信号がエレベータ制御盤9に送信される。この「所定の禁止解除操作」とは禁止解除操作として認識するために予め設定された操作であり、例えば、乗場呼びボタンを3秒以上長押しする操作等である。
【0034】
エレベータ制御盤9では、取得された操作信号が信号入出力部91から入力され、さらにメインマイコン部92で取得される。
【0035】
メインマイコン部92では、禁止解除操作が行われたことを示す操作信号が取得されると(S11の「YES」)、当該操作信号を受け付けたことを通知するためのボタン点滅信号が生成され、信号入出力部91に送出される。
【0036】
信号入出力部91では、メインマイコン部92から取得されたボタン点滅信号が該同する操作盤に送信される(S12)。ボタン点滅信号が受信された操作盤では、操作されたボタンが少なくとも1回点滅し、禁止解除操作がエレベータ制御盤9で受け付けられたことが利用者に通知される。
【0037】
またメインマイコン部92では、禁止解除操作が行われたことを示す操作信号が取得されると、特定階の乗場呼び登録を禁止する設定が解除される(S13)。
【0038】
その後、禁止の設定が解除されてから一定時間が経過したか否かが監視され(S14)、一定時間が経過する前に特定階「3階」の乗場呼びボタン8−3aで乗場呼び登録操作が行われると(S14の「YES」、S15の「YES」)、通常運転時と同様に、当該乗場呼び登録操作への応答が行われ(S16)、乗りかご6が昇降する。
【0039】
またステップS14において、禁止の設定が解除されてから一定時間が経過したと判断されると(S14の「NO」)、特定階「3階」の乗場呼び登録を禁止するよう、再度設定される(S17)。
【0040】
このステップS11〜S17の処理は、特殊スイッチがON状態の間、継続して実行される。
【0041】
その後、特殊スイッチ61bがON状態からOFF状態に切り替えられると、当該操作に基づく操作信号が生成され、エレベータ制御盤9に送信される。
【0042】
エレベータ制御盤9では、取得された操作信号が信号入出力部91から入力され、さらにメインマイコン部92で取得される。
【0043】
メインマイコン部92では、特殊スイッチ61bがOFF状態に切り替えられたことを示す操作信号が取得されると(S4の「YES」)、特定階「3階」の乗場呼びボタン8−3aによる乗場呼び登録を許可するように設定が切り替えられ、通常運転に戻る。
【0044】
以上の本実施形態によれば、管理人等により特定階の乗場呼び登録を禁止するように設定されているときにも、既存のエレベータ設備を利用した簡易な構成を利用して、一時的にエレベータの利用制限を解除することができ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0045】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…エレベータ、2…昇降路、3…機械室、4…巻上げ機、5…メインロープ、7…釣り合い錘、8−1〜8−3…乗場操作盤、8−1a、8−2a、8−2b、8−3a…乗場呼びボタン、9…エレベータ制御盤、10…テールコード、11、12…伝送信号線、61…かご内操作盤、61a…かご内ボタン群、61b…特殊スイッチ、91…信号入出力部、92…メインマイコン部、93…モータ制御部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2015年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
建物内の複数階床のうち、予め設定された特定階の乗場呼び登録の禁止/許可の設定を切り替える特殊スイッチと、
前記特殊スイッチにより、前記特定階の乗場呼び登録を禁止するよう設定されているときに、前記特定階の乗場呼びボタンにおいて、予め設定された所定の禁止解除操作が行われると、前記特定階の呼び登録の禁止を所定時間解除するメインマイコン部と、
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータ制御装置は、特殊スイッチと、メインマイコン部とを備える。特殊スイッチは、予め設定された特定階の乗場呼び登録の禁止/許可の設定を切り替える。メインマイコン部は、特殊スイッチにより、特定階の乗場呼び登録を禁止するよう設定されているときに、特定階の乗場呼びボタンにおいて、予め設定された所定の禁止解除操作が行われると、特定階の呼び登録の禁止を所定時間解除する。