【課題】充填時の容器材料が限定されず、適用箇所に噴霧して使用され、経時的な乳化安定性に優れた噴霧用組成物および該噴霧用組成物を含む日焼け防止用噴霧製品を提供する。
【解決手段】紫外線吸収剤と、乳化剤と、水とを含み、前記乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含み、前記乳化剤により、前記水を含む水相中に、前記紫外線吸収剤を含む油相が形成された、噴霧用組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の乳化組成物は、粒子径を小さくするために高圧で乳化を行う必要があり、生産効率が悪い。また、特許文献1に記載の乳化組成物は、粒子径をナノオーダーまで小さくするという物理的手法により水相と油相との分離が抑制されているに過ぎず、材料の選択に着目して乳化安定性を向上させたものではない。さらに、特許文献2に記載の乳化組成物は、ハンドクリーム等として使用されることが開示されているが、噴霧用組成物として使用されることについては想定されていない。また、特許文献2に記載の乳化組成物は、適用箇所における撥水性は考慮されているものの、経時的な乳化安定性については考慮されていない。さらに、特許文献2に記載の乳化組成物は、イオン性界面活性剤を含んでおり、たとえば金属製の容器に充填されると、容器を腐食させる虞がある。そのため、特許文献2に記載の乳化組成物は、充填される際の材料が限定される。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、充填時の容器材料が限定されず、適用箇所に噴霧して使用され、経時的な乳化安定性に優れた噴霧用組成物および該噴霧用組成物を含む日焼け防止用噴霧製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の噴霧用組成物および日焼け防止用噴霧製品は、以下の構成を主に含む。
【0008】
(1)紫外線吸収剤と、乳化剤と、水とを含み、前記乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含み、前記乳化剤により、前記水を含む水相中に、前記紫外線吸収剤を含む油相が形成された、噴霧用組成物。
【0009】
このような構成によれば、本発明の噴霧用組成物は、乳化剤を含む。このような乳化剤は、水を含む水相中に、紫外線吸収剤を含む油相を形成する。また、本発明の噴霧用組成物は、乳化剤がショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含む。このような乳化剤は、噴霧用組成物の乳化安定性を高めることができる。また、油相の分離が抑制される。したがって、たとえばこのような噴霧用組成物を充填した噴霧製品を作製する場合において、作製された噴霧用製品は、使用前に上下に振とうする等により油相を水相中に再分散させる必要がない。また、乳化剤に含まれる脂肪酸水添ヒマシ油は、金属を腐食しない。そのため、噴霧用組成物は、充填時の材料が限定されず、種々の材料を使用することができる。
【0010】
(2)前記ショ糖脂肪酸エステルと前記脂肪酸水添ヒマシ油との含有量の合計が、噴霧用組成物中0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜5質量%である、(1)記載の噴霧用組成物。
【0011】
このような構成によれば、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油との含有量の合計は、噴霧用組成物中0.1〜10質量%である。噴霧用組成物は、このような含有量のショ糖脂肪酸エステルおよび脂肪酸水添ヒマシ油を含む場合、油相の分離が抑制されつつ、使用時のべたつきも抑えられる。
【0012】
(3)前記噴霧用組成物が、油性溶剤をさらに含む、(1)または(2)記載の噴霧用組成物。
【0013】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、油性溶剤をさらに含む。油性溶剤は、油相を構成する紫外線吸収剤を適宜溶解することができる。そのため、夏場の店舗や消費者の持ち運びなどの保管状況により急激に温度変化しても、噴霧用組成物は、紫外線吸収剤の分離が防止され、乳化安定性が高められる。
【0014】
(4)前記油性溶剤が、脂肪酸と2価アルコールとのジエステルである、(3)記載の噴霧用組成物。
【0015】
このような構成によれば、油性溶剤は、脂肪酸と2価アルコールとのジエステルである。噴霧用組成物は、このような油性溶剤が使用される場合、油相中の紫外線吸収剤が析出しにくく、紫外線吸収剤によるべたつきが抑えられる。
【0016】
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の噴霧用組成物と、圧縮ガスと、前記噴霧用組成物および前記圧縮ガスが充填される噴霧容器と、を備える日焼け防止用噴霧製品。
【0017】
このような構成によれば、日焼け防止用噴霧製品は、上記した噴霧用組成物と、圧縮ガスと、噴霧用組成物および圧縮ガスが充填される噴霧容器と、を備える。噴霧用組成物は、乳化安定性が高く、油相が分離しにくい。そのため、使用者は、使用前に日焼け防止用噴霧製品を上下に振とうさせる等の操作を行わずに、そのまま使用することができる。その結果、日焼け防止用噴霧製品は、利便性がよい。また、上下に振とうする必要がないため、噴霧容器内に充填された圧縮ガス(主に気相部分に存在)は、噴霧用組成物に分散されにくい。そのため、圧縮ガスは、噴霧のたびに外部に漏出しにくい。その結果、日焼け防止用噴霧製品は、噴射容器内の圧力が低下しにくく、噴霧用組成物を安定して噴霧することができる。さらに、日焼け防止用噴霧製品は、圧縮ガスを使用して噴霧用組成物を噴霧する。この場合、噴霧された噴霧用組成物は、たとえば液化ガスを用いて噴霧する場合と比較して、大きな粒子を形成しやすい。そのため、使用者は、噴霧された噴霧用組成物を吸引しにくい。その結果、日焼け防止用噴霧製品は、顔などにも好適に使用することができる。
【0018】
(6)前記噴霧容器が、金属製である、(5)記載の日焼け防止用噴霧製品。
【0019】
このような構成によれば、噴霧容器は、金属製である。しかしながら、噴霧用組成物は、脂肪酸水添ヒマシ油を含む。脂肪酸水添ヒマシ油は、金属を腐食しない。そのため、日焼け防止用噴霧製品は、樹脂が劣化しやすい高温環境でも好適に使用される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、充填時の容器材料が限定されず、適用箇所に噴霧して使用され、経時的な乳化安定性に優れた噴霧用組成物および該噴霧用組成物を含む日焼け防止用噴霧製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<噴霧用組成物>
本発明の一実施形態の噴霧用組成物について、詳細に説明する。本実施形態の噴霧用組成物は、噴霧される箇所に日焼け防止効果を付与するための組成物である。噴霧される箇所(適用箇所)としては、紫外線による日焼けを防止することが求められる箇所であれば特に限定されない。このような適用箇所としては、皮膚や頭髪等が例示される。噴霧用組成物は、紫外線吸収剤と、乳化剤と、水とを含む。また、噴霧用組成物は、好適には油性溶剤をさらに含む。乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含む。乳化剤は、水を含む水相中に、紫外線吸収剤を含む油相が形成された、水中油型エマルションを形成する。本実施形態の噴霧用組成物は、乳化安定性が優れており、油相が分離しにくい。以下、それぞれの構成について説明する。
【0022】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、適用箇所に付着して、紫外線による損傷を防止するために配合される。紫外線吸収剤は、噴霧用組成物の油相を構成し得るものであれば特に限定されない。また、紫外線吸収剤の性状は特に限定されない。すなわち、紫外線吸収剤は、固体状であってもよく液体状であってもよい。液体状の紫外線吸収剤は、そのものが油相を構成することができるため、利便性がよい。一方、固体状の紫外線吸収剤は、固体状のままでは水相中に均一に乳化させることが困難な場合がある。そのため、固体状の紫外線吸収剤は、液体状の紫外線吸収剤に溶解してから使用されてもよく、後述する好適に使用される油性溶剤に溶解してから使用されてもよい。
【0023】
紫外線吸収剤としては、アミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンズイミダゾール誘導体、ベンザルマロネート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体等が例示される。より具体的には、アミノ安息香酸誘導体として、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等が例示される。ケイ皮酸誘導体として、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジイソプロピオンケイ皮酸メチル、ジメトキシケイ皮酸エチルヘキシルグリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸ナトリウム、パラメトキシケイ皮酸カリウム、パラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等が例示される。サリチル酸誘導体として、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル等が例示される。ジフェニルアクリレート誘導体として、オクトクリレン、エトクリレン等が例示される。ベンゾフェノン誘導体として、オキシベンゾン−1、オキシベンゾン−2、オキシベンゾン−3、オキシベンゾン−4、オキシベンゾン−5、オキシベンゾン−6、オキシベンゾン−9等が例示される。ベンジリデンショウノウ誘導体として、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル等が例示される。フェニルベンズイミダゾール誘導体として、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸Na、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸2Na等が例示される。ベンザルマロネート誘導体として、ポリシリコン−15等が例示される。ジベンゾイルメタン誘導体として、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン等が例示される。これらの中でも、紫外線吸収剤は、後述する乳化剤により安定な乳化物を形成しやすい観点から、アミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体が好ましい。これらは1種が配合されてもよく、2種以上が配合されてもよい。
【0024】
紫外線吸収剤の含有量は、適用箇所ごとに日焼けを防止するために必要とされる量が異なったり、噴霧用組成物の噴霧量等にも依るため一概には決定されない。一例を挙げると、紫外線吸収剤は、噴霧用組成物中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、紫外線吸収剤は、噴霧用組成物中、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が1質量%未満の場合、紫外線吸収剤による効果が得られにくくなる。一方、紫外線吸収剤の含有量が15質量%を超える場合、噴霧用組成物は、高温条件下で長期間放置されると、油相が分離しやすくなり、乳化安定性が低下しやすい。また、紫外線吸収剤の含有量が15質量%を超える場合、噴霧用組成物は、ベタつきやすく、使用感が低下しやすくなる。
【0025】
(油性溶剤)
油性溶剤は、紫外線吸収剤(特に固体状の紫外線吸収剤)を溶解させ、紫外線吸収剤の分離を抑制して乳化安定性を高くする、紫外線吸収剤によるべたつきを抑制する等のために適宜配合される任意成分である。油性溶剤は、噴霧用組成物の油相を構成する。なお、油性溶剤は、使用される紫外線吸収剤が液体状である場合には必須ではない。この場合、紫外線吸収剤そのものが油相を形成する。一方、使用される紫外線吸収剤が固体状である場合には、このような固体状の紫外線吸収剤が油相を形成するように、固体状の紫外線吸収剤を溶解させるための成分が必要となる。このような成分としては、液体状の紫外線吸収剤や、油性溶剤が挙げられる。このように、油性溶剤は、固体状の紫外線吸収剤を溶解させるために適宜配合される。なお、油性溶剤は、固体状の紫外線吸収剤が使用される場合以外にも、液体状の紫外線吸収剤が使用される場合に配合されてもよい。すなわち、たとえば液体状の紫外線吸収剤のみにより油相を形成する場合、べたつき等を防ぐ観点から、このような液体状の紫外線吸収剤の配合量が制限される場合がある。一方、このような紫外線吸収剤の配合量では、油相の割合が水相に対して小さくなる場合があり、乳化安定性に影響を及ぼす可能性がある。そこで、油性溶剤は、固体状の紫外線吸収剤が使用されず液体状の紫外線吸収剤のみが使用される場合であっても、水相に対する油相の割合を調整しつつ、かつ、紫外線吸収剤によるべたつき等を防ぐために配合されてもよい。
【0026】
油性溶剤は、固体状の紫外線吸収剤を溶解させることができるか、液体状の紫外線吸収剤ととともに油相を形成できるものであれば、特に限定されない。このような油性溶剤としては、エステル油、シリコーンオイル、炭化水素油等が例示される。エステル油としては、脂肪酸と2価アルコールのジエステル、脂肪酸と2価アルコールのモノエステル、脂肪酸と3価アルコールのトリエステル、分岐脂肪酸と分岐アルコールのエステル、脂肪酸とアルコールのモノエステルが例示される。より具体的には、脂肪酸と2価アルコールのジエステルとして、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ−2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール等が例示される。脂肪酸と2価アルコールのモノエステルとして、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール等が例示される。脂肪酸と3価アルコールのトリエステルとして、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等が例示される。分岐脂肪酸と分岐アルコールのエステルとして、イソノナン酸イソノニル等が例示される。脂肪酸とアルコールのモノエステルとして、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ヒドロシキシステアリン酸オクチル、ヒドロシキシステアリン酸エチルヘキシルキシル等が例示される。シリコーンオイルとして、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が例示される。炭化水素油として、流動パラフィン等が例示される。油性溶剤は、これらの中でも、固体状の紫外線吸収剤の析出を抑制し、紫外線吸収剤によるべたつきを抑制する効果を奏しやすい観点から、エステル油がより好ましく、脂肪酸と2価アルコールのジエステルがさらに好ましい。これらは1種が配合されてもよく、2種以上が配合されてもよい。
【0027】
油性溶剤の含有量は、紫外線吸収剤を溶解または紫外線吸収剤と相溶でき、かつ、油相が分離しにくいような量であればよく、特に限定されない。一例を挙げると、油性溶剤は、噴霧用組成物中0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、油性溶剤は、噴霧用組成物中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。油性溶剤の含有量が0.1質量%未満の場合、噴霧用組成物は、紫外線吸収剤を充分に溶解または相溶させることができず、特に低温条件下では溶解していた紫外線吸収剤が析出しやすい。また、噴霧用組成物は、油相が分離しやすい。一方、油性溶剤の含有量が10質量%を超える場合、噴霧用組成物は、高温条件下で長期間放置されると、油相が分離しやすくなり、乳化安定性が低下しやすい。
【0028】
(乳化剤)
乳化剤は、紫外線吸収剤および必要に応じて配合される油性溶剤を含む油相と、水を含む水相とを乳化させて、水中油型エマルションを形成するために配合される。本実施形態において使用される乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含む。
【0029】
ショ糖脂肪酸エステルとしては特に限定されない。ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖(スクロース)と、炭素数10〜24である脂肪酸とのエステルが例示される。より具体的には、脂肪酸ジステアリン酸スクロース、ペンタエルカ酸スクロース、トリベヘン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース等が例示される。
【0030】
脂肪酸水添ヒマシ油としては、イソステアリン酸PEG水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG水添ヒマシ油、ラウリン酸PEG水添ヒマシ油等が例示される。
【0031】
ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油との含有量は、特に限定されず、油相と水相とを安定に乳化させるために必要な量であればよい。一例を挙げると、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油との含有量は、噴霧用組成物中0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上である。また、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油との含有量は、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下である。ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油との含有量が0.1質量%未満の場合、噴霧用組成物は乳化粒子が大きくなりやすく、高温条件下で長期間放置されると、油相が分離しやすくなり、乳化安定性が低下しやすい。一方、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油との含有量が10質量%を超える場合、噴霧用組成物は、ベタつきやすく、使用感が低下しやすくなる。
【0032】
乳化剤におけるショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油との含有比は、ショ糖脂肪酸エステルまたは脂肪族水添ヒマシ油の種類により適切な含有比が変化し得るため、一概には決定されない。一例を挙げると、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪族水添ヒマシ油との含有比は、1:0.5〜1:5であることが好ましい。このような含有比の場合、噴霧用組成物は、乳化粒子が小さい状態で保持されやすく、より安定な水中油型エマルションを形成しやすい。
【0033】
なお、本実施形態において、噴霧用組成物は、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含んでいればよく、これらに加えて、乳化作用を阻害しない範囲において他の乳化剤(界面活性剤)を含んでいてもよい。一例を挙げると、噴霧用組成物は、得られる水中油型エマルションの乳化安定性を向上させる等の目的で、ノニオン性界面活性剤や、シリコーン系界面活性剤を含んでもよい。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル等が例示される。シリコーン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等が例示される。
【0034】
界面活性剤を含有する場合の含有量は、噴霧用組成物中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、噴霧用組成物中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.1質量%未満の場合、得られる噴霧用組成物の乳化安定性をより向上させる効果が充分に得られにくくなる。一方、界面活性剤の含有量が10質量%を超える場合、噴霧された噴霧用組成物中の界面活性剤は、皮膚や頭髪等の適用箇所に残りやすく、使用感が低下しやすい。
【0035】
(水)
水は、噴霧用組成物の主溶媒であり、水相を構成する。水としては、精製水、イオン交換水等が例示される。
【0036】
水の含有量は、乳化剤により、乳化安定性に優れた噴霧用組成物を調製することのできる量であればよく、特に限定されない。一例を挙げると、水は、噴霧用組成物中70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。また、水は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が70質量%未満の場合、噴霧用組成物は、高温条件下で長期間放置されると、油相が分離しやすくなり、乳化安定性が低下しやすい。一方、水の含有量が95質量%を超える場合、紫外線吸収剤、乳化剤の含有量が少なくなり、所望の効果(日焼け防止、使用感、乳化安定性等)が得られにくくなる。
【0037】
(任意成分)
本実施形態の噴霧用組成物は、上記した紫外線吸収剤、乳化剤および水に加えて、乳化安定性を阻害しない範囲において油性溶剤以外にも任意成分を含んでもよい。任意成分としては、アルコール、紫外線吸収剤以外の他の有効成分が例示される。
【0038】
アルコールは、適用箇所に噴霧された噴霧用組成物の乾燥性を調整したり、水に溶解しにくい他の有効成分を溶解するための溶媒として適宜配合される。アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン等の炭素数が3〜5個の多価アルコール等が例示される。
【0039】
アルコールを含有する場合の含有量は、アルコールの種類により好適な含有量が異なるため一概には決定されない。一例をあげると、アルコールを含有する場合の含有量は、噴霧用組成物中1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールを含有する場合の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が1質量%未満の場合、噴霧用組成物の乾燥性を調整する効果や、水に溶解しにくい他の有効成分を溶解する効果が得られにくくなる。一方、アルコールの含有量が10質量%を超える場合、噴霧用組成物は、乳化安定性が低下しやすい。
【0040】
他の有効成分は、紫外線吸収剤の匂いをマスキングしたり、皮膚や頭髪等の適用箇所に潤いを付与したり、清涼感を付与したり、紫外線を反射させる等の効果を付与する目的で適宜配合される。他の有効成分としては、たとえば、天然香料、合成香料等の各種香料、l−メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼化剤、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、レシチン、尿素、ホホバエステル等の保湿剤、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール等のビタミン類、アラントインヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、ミョウバン等の収斂剤、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸リドカイン、リドカイン等の局所麻酔剤、ジフェンヒドラミン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛等の制汗成分、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤等が例示される。
【0041】
他の有効成分を含有する場合の含有量は、有効成分の種類により好適な含有量が異なるため一概には決定されない。一例をあげると、他の有効成分を含有する場合の含有量は、噴霧用組成物中0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、他の有効成分を含有する場合の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%であることがより好ましい。他の有効成分の含有量が0.01質量%未満の場合、紫外線吸収剤の匂いをマスキングしたり、皮膚や頭髪等の適用箇所に潤いを付与したり、清涼感を付与したり、紫外線を反射させる等の効果が得られにくくなる。一方、他の有効成分の含有量が5質量%を超える場合、紫外線吸収剤が析出しやすく、水中油型エマルションの乳化安定性が低下しやすい。
【0042】
<噴霧用組成物の調製方法>
本実施形態の噴霧用組成物を調製する方法としては特に限定されず、広く一般的な方法により調製することができる。一例を挙げると、噴霧用組成物は、紫外線吸収剤、乳化剤および必要に応じて油性溶剤を混合して油相を調製し、水、必要に応じて任意成分を混合して水相を調製し、次いで、油相と水相とを適宜混合して乳化させる方法により調製することができる。油相と水相とを混合して乳化させる方法としては特に限定されない。一例を挙げると、水相に油相を添加し乳化機で混合することにより水中油型エマルションを調製する方法により、油相と水相とを混合することができる。得られる乳化された噴霧用組成物中の乳化粒子(油相)の大きさとしては、0.1〜80μm程度である。本実施形態の噴霧用組成物は、このように、一般的かつ簡便な方法により、比較的小さな径の乳化粒子を含む水中油型エマルションが調製される。得られた噴霧用組成物は、適宜容器に充填されることにより、日焼け防止用噴霧製品として利用される。このような噴霧製品は、ポンプバルブを備えたディスペンサーであってもよく、エアゾールバルブを備え噴射剤の圧力により噴霧するエアゾール製品であってもよい。また、エアゾール製品の場合に使用される噴射剤としては、窒素ガスや炭酸ガス等の圧縮ガスが好ましい。
【0043】
<日焼け防止用噴霧製品>
次に、本発明の一実施形態の日焼け防止用噴霧製品について詳細に説明する。本実施形態の日焼け防止用噴霧製品は、上記した実施形態の噴霧用組成物と、圧縮ガスと、噴霧用組成物および圧縮ガスが充填される噴霧容器と、噴霧容器に取り付けられるバルブ機構と、バルブ機構に取り付けられる噴射ボタンとを備える。本実施形態の日焼け防止用噴霧製品によれば、紫外線吸収剤を含む噴霧用組成物を適用箇所に噴霧して、適用箇所の日焼けを防止することができる。以下、それぞれの構成について説明する。
【0044】
(圧縮ガス)
圧縮ガスは、噴霧用組成物とともに噴霧容器に加圧充填される噴射剤である。圧縮ガスは、噴霧時に、噴霧用組成物を加圧するとともに微細化し、ミスト状に噴霧するために充填される。圧縮ガスにより加圧されて噴霧された噴霧用組成物は、たとえば液化ガスを用いて噴霧する場合と比較して、大きな粒子を形成しやすい。そのため、使用者は、噴霧された噴霧用組成物を吸引しにくい。その結果、日焼け防止用噴霧製品は、顔などにも好適に使用することができる。圧縮ガスは、噴霧容器内において、噴霧用組成物にほとんど溶解せず、大部分が気相に存在する。圧縮ガスとしては、窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等が例示される。
【0045】
圧縮ガスの充填量としては、噴霧容器の内圧が噴霧用組成物を噴霧するために適切な内圧となる充填量であればよく、特に限定されない。一例を挙げると、噴霧用組成物を充填した噴霧容器の内圧は、25℃において0.3〜0.8MPaである。
【0046】
(噴霧容器)
噴霧容器は、上記した噴霧用組成物と、後述する圧縮ガスとを加圧状態で充填するための容器である。噴霧容器は、汎用の形状であってよい。本実施形態の噴霧容器は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、噴霧用組成物を充填するための充填口であり、後述するバルブ機構により閉止される。
【0047】
噴霧容器の材質としては特に限定されず、エアゾール製品とする場合は耐圧性を有するものであればよい。このような材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。ここで、本実施形態の日焼け防止用噴霧製品は、噴霧用組成物中に乳化剤として脂肪酸水添ヒマシ油を含む。脂肪酸水添ヒマシ油は、金属を腐食しない。そのため、日焼け防止用噴霧製品は、金属製であってもよい。金属製の噴霧容器を使用する場合、樹脂が劣化しやすい高温環境でも使用することができる。
【0048】
また、噴霧容器は、内部にポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂などの可撓性を有する合成樹脂製の内袋を備える二重構造容器が用いられてもよい。本実施形態の噴霧用組成物は、乳化安定性に優れ噴霧する前に振る必要がない。そのため、噴霧容器は、内袋内に噴霧用組成物を液密状態に充填し、その外部空間に噴射剤を充填することが可能になり、噴霧容器をどの向きにしても噴射剤が排出されることなく噴霧用組成物を噴霧することができる。
【0049】
(バルブ機構)
バルブ機構(エアゾールバルブ)は、噴霧容器の開口に取り付けられて噴霧容器内を密封するための部材である。バルブ機構は、噴霧容器内と外部との連通/遮断を切り替える弁を備えており、弁を解放することにより、圧縮ガスにより加圧された噴霧用組成物を取り込み、後述する噴射ボタンへ送る。また、バルブ機構は、弁から噴霧容器内に圧縮ガスを圧入することができる。
【0050】
なお、圧縮ガスは、噴霧用組成物にほとんど溶解しない。ここで、従来の噴霧製品は、容器に充填された噴霧用組成物が分離しやすい。そのため、使用者は、使用前に噴霧製品を上下に振とうし、噴霧用組成物の油相と水相とを再分散させる必要があった。この場合、圧縮ガスも噴霧用組成物中に分散され、噴霧用組成物とともに外部に噴霧されてしまい、噴霧製品中の圧縮ガスの量が減りやすいという問題があった。しかしながら、本実施形態の日焼け防止用噴霧製品は、噴霧容器に充填される噴霧用組成物がショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含む乳化剤により安定に乳化されている。そのため、使用者は、使用前に上下に振とうする必要がない。その結果、圧縮ガスは、噴霧用組成物中に分散されにくく、噴霧製品は、繰り返し使用されても圧縮ガスが外部に漏出されにくい。
【0051】
なお、バルブ機構の構造は特に限定されず、汎用のバルブ機構が適宜用いられる。また、噴霧容器に噴霧用組成物を充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、噴霧容器の開口から噴霧用組成物を充填し、バルブ機構により開口を閉止し、バルブ機構の弁から圧縮ガスを圧入する方法が採用される。ほかにも、バルブ機構を固着する前に圧縮ガスを充填するアンダーカップ充填が採用されてもよい。
【0052】
(噴射ボタン)
噴射ボタンは、バルブ機構により取り込まれる噴霧用組成物を噴霧するための部材である。噴射ボタンは、噴霧用組成物を噴霧するための噴射孔が形成されている。本実施形態の日焼け防止用噴霧製品は、噴射ボタンの先端(噴射孔の近傍)に、メカニカルブレークアップ機構を備えたノズルチップが装着されたものが好ましい。なお、本実施形態において、メカニカルブレークアップ機構は、噴霧用組成物が噴霧される際に、噴霧用組成物を旋回させながら噴射孔に導入するための機構であり、外周から中心にある噴射孔に向かって噴霧用組成物を流入させるための複数の溝を有する。噴霧用組成物は、これらの溝を通過する際に旋回され、噴射孔から広範囲に拡がるように噴射される。
【0053】
噴射孔の大きさ(直径)としては特に限定されず、所望の噴射パターン、噴射力、噴射量等を得るために適宜調整される。
【0054】
以上、本実施形態の日焼け防止用噴霧製品は、上記実施形態において詳述した噴霧用組成物と圧縮ガスとが充填され、これらを噴霧することができる。噴霧用組成物は、上記のとおり、乳化安定性が高く、油相が分離しにくい。そのため、使用者は、使用前に日焼け防止用噴霧製品を上下に振とうさせる等の操作を行わずに、そのまま使用することができる。その結果、日焼け防止用噴霧製品は、利便性がよい。また、上下に振とうする必要がないため、噴霧容器内に充填された圧縮ガスは、噴霧用組成物中に分散されにくい。そのため、圧縮ガスは、噴霧製品が繰り返し使用されても外部に漏出しにくい。その結果、日焼け防止用噴霧製品は、噴射容器内の圧力が低下しにくく、噴霧用組成物を安定して噴霧することができる。さらに、日焼け防止用噴霧製品は、圧縮ガスを使用して噴霧用組成物を噴霧する。この場合、噴霧された噴霧用組成物は、たとえば液化ガスを用いて噴霧する場合と比較して、大きな粒子を形成しやすい。そのため、使用者は、噴霧された噴霧用組成物を吸引しにくい。その結果、日焼け防止用噴霧製品は、顔などにも好適に使用することができる。
【0055】
<日焼け防止用噴霧製品の変形実施形態>
本発明の一実施形態について説明したが、本発明の日焼け防止用噴霧製品は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0056】
すなわち、上記実施形態では、噴霧用組成物と圧縮ガスと噴霧容器に充填し、噴霧時にバルブ機構(エアゾールバルブ)の弁を開放することにより、圧縮ガスによる加圧力を利用して噴霧用組成物を噴霧する態様について例示した。本発明は、これに代えて、噴霧用組成物を充填した噴霧容器の開口をバルブ機構(ポンプバルブ)により閉止し、ポンプバルブにより噴霧用組成物を加圧して噴霧する態様を採用してもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
【0058】
(噴霧用組成物1〜3の調製)
以下の表1に示される処方にしたがい、噴霧用組成物1〜3を調製した。
【0059】
【表1】
*1:紫外線吸収剤 Uvinul A plus B、BASFジャパン(株)製
*2:油性溶剤 Neosolue MP、日本精化(株)製
*3:ショ糖脂肪酸エステル コスメライクS−70、HLB8、第一工業製薬(株)製
*4:脂肪酸水添ヒマシ油 EMALEX RWIS−140、HLB11、日本エマルジョン(株)製
【0060】
(実施例1)
透明なガラス製耐圧容器(噴霧容器の一例)に噴霧用組成物1を60g充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブ(バルブ機構の一例)を固着した。エアゾールバルブから窒素ガスを充填して耐圧容器内の圧力を0.7MPaに調整し、日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0061】
(実施例2)
噴霧用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0062】
(実施例3)
噴霧用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0063】
(噴霧用組成物4〜6の調製)
以下の表2に示される処方にしたがい、噴霧用組成物4〜6を調製した。
【0064】
【表2】
*5:ショ糖脂肪酸エステル コスメライクS−110、HLB11、第一工業製薬(株)製
*6:脂肪酸水添ヒマシ油 EMALEX RWIS−120、HLB8、日本エマルジョン(株)製
*7:脂肪酸水添ヒマシ油 EMALEX RWIS−360、HLB10、日本エマルジョン(株)製
*8:脂肪酸水添ヒマシ油 EMALEX RWL−130、HLB10、日本エマルジョン(株)製
【0065】
(実施例4)
噴霧用組成物4を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0066】
(実施例5)
噴霧用組成物5を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0067】
(実施例6)
噴霧用組成物6を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0068】
(噴霧用組成物7〜9)
以下の表3に示される処方にしたがい、噴霧用組成物7〜9を調製した。
【0069】
【表3】
*9:水添ヒマシ油 EMALEX HC−40、HLB12、日本エマルジョン(株)製
【0070】
(比較例1)
噴霧用組成物7を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0071】
(比較例2)
噴霧用組成物8を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0072】
(比較例3)
噴霧用組成物9を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0073】
(噴霧用組成物10〜12)
以下の表4に示される処方にしたがい、噴霧用組成物10〜12を調製した。
【0074】
【表4】
*10:NIKKOL Decaglyn 1−L、HLB15.5、日光ケミカルズ(株)製
*11:NIKKOL TO−10V、HLB15、日光ケミカルズ(株)製
【0075】
(実施例7)
噴霧用組成物10を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0076】
(比較例4)
噴霧用組成物11を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0077】
(比較例5)
噴霧用組成物12を用いた以外は、実施例1と同様の方法により日焼け防止用噴霧製品を作製した。
【0078】
実施例1〜7および比較例1〜5において作製された日焼け防止用噴霧製品について、以下の方法により、乳化安定性および噴霧特性を評価した。結果を表5に示す。
【0079】
(乳化安定性)
それぞれの日焼け防止用噴霧製品について、45℃の恒温室に保管する45℃保存と、12時間毎に45℃と5℃とに温度変化するサイクル室に保管するサイクル保存とを行い、所定期間経過後の噴霧用組成物の状態を目視で観察し、以下の評価基準に沿って評価した。
(評価基準)
◎:45℃保存およびサイクル保存共に、3ヵ月経過しても紫外線吸収剤を含む油相の分離が確認されなかった。
○:45℃保存は3ヵ月経過しても紫外線吸収剤を含む油相の分離が確認されなかったが、サイクル保存は3ヵ月経過するとわずかに分離が確認された。
×:45℃保存およびサイクル保存共に、1日後に紫外線吸収剤を含む油相の分離が確認された。
【0080】
(噴霧特性)
それぞれの日焼け防止用噴霧製品を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬し、その後、上下に振とうせずに、噴射孔から20cmの距離に設置したガラス板に噴霧したときの付着物の状態を目視で観察し、以下の評価基準に沿って評価した。
(評価基準)
○:乳白色の液滴が均等に付着した。
×:部分的に半透明になっている液滴が付着した。
【0081】
【表5】
【0082】
表5に示されるように、ショ糖脂肪酸エステルと脂肪酸水添ヒマシ油とを含む乳化剤により油相と水相とを乳化させた噴霧用組成物1〜6および10をそれぞれ充填した実施例1〜7の日焼け防止用噴霧製品は、いずれも乳化安定性が良好であり、45℃の高温環境下で3ヵ月保管しても油相の分離が確認されなかった。一方、上記以外の乳化剤により油相と水相とを乳化させた噴霧組成物7〜9、11および12をそれぞれ充填した比較例1〜5の日焼け防止用噴霧製品は、いずれも乳化安定性が高いとは言えず、1日後には油相の分離が確認された。また、実施例1〜7の日焼け防止用噴霧製品は、噴霧すると、いずれも分離のない乳白色の噴霧用組成物が均等に付着した。一方、比較例1〜5の日焼け防止用噴霧製品は、噴霧すると、一部が分離して半透明になった噴霧用組成物が、まだらに付着した。