該シェルが、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位とを有するポリマーからなり、かつカチオン化ガラクトマンナンによって被覆されている修飾マイクロカプセルである。
前記ポリマーが有する構成単位のうち、(メタ)アクリル酸由来の構成単位が30質量%以上、60質量%以下であり、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位が20質量%以上、50質量%以下であり、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位が5質量%以上、30質量%以下である、請求項1に記載の修飾マイクロカプセル。
前記カチオン化ガラクトマンナンの含有量が、修飾マイクロカプセル中のシェル100質量部に対して、1質量部以上、20質量部以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
前記カチオン化ガラクトマンナンが、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、及びカチオン化ローカストビンガムから選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[修飾マイクロカプセル]
本発明の修飾マイクロカプセルは、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上を含有するコアと、該コアを被覆するシェルとを有するマイクロカプセルであって、該シェルが、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位とを有するポリマーからなり、かつカチオン化ガラクトマンナンによって被覆されている修飾マイクロカプセルである。
【0009】
本発明の修飾マイクロカプセルが、香料吸着性に優れる理由は明らかではないが、次のように考えられる。
本発明の修飾マイクロカプセルは、香料等をコアに含有し、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、(メタ)アクリロイル基を有する架橋性モノマー由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位とを有するポリマーをシェルとし、更にカチオン化ガラクトマンナンによって被覆されている。
シェルを被覆するカチオン化ガラクトマンナンは、カチオン性基を有しており、分子量が大きく、分岐構造を有するため、繊維や毛髪、皮膚等のアニオン部とイオン結合を形成し、吸着し易いと考えられる。このため、本発明の修飾マイクロカプセルは、濯ぎ等の処理を行っても修飾マイクロカプセルそのものが繊維等から離脱し難いものと考えられる。
また、カチオン化ガラクトマンナンのカチオン部と、(メタ)アクリル酸由来の構成単位中のアニオン部とが、多点的にイオン結合を形成できるため、活性剤が大量に含まれた組成物中などであっても、修飾マイクロカプセルの表面からカチオン化ガラクトマンナンが剥がれることなく、吸着性が保たれるものと考えられる。
更に、本発明の修飾マイクロカプセルを構成するシェルは、重合性が良好な(メタ)アクリル酸系モノマーからなるため、強固であると考えられる。したがって、製品保存時、又は濯ぎ等の刺激を与えた場合であっても、シェルが容易に破壊されることなく、香料をカプセル内に保持することができ、香料保持性に優れるものと考えられる。
このように、本発明の修飾マイクロカプセルは、強固なシェルを有するため香料保持性に優れ、更にその表面が高分子量の分岐鎖を有するカチオン化ガラクトマンナンによって被覆されているため繊維等の表面に吸着し易く、濯ぎ等の処理後でも高い香料吸着性を有するものと考えられる。
【0010】
<コア>
本発明の修飾マイクロカプセルを構成するコアは、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上を含有する。
【0011】
(香料)
香料としては、天然香料、合成香料のいずれも使用可能であり、常温常圧下で固体でも液体でもよい。
香料としては、炭化水素系香料、アルコール系香料、アルデヒド系香料、ケトン系香料、エステル系香料、フェノール系香料、エーテル系香料、アミン系香料、ラクトン系香料、アセタール系香料、ニトリル系香料等が挙げられる。これらの香料は、その用途に応じて適宜選択することができ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
主な例を下記に示すが、これらの香料に限定されるものではない。なお、本発明で用いた香料素材の名称は、印藤元一著、「合成香料 化学と商品知識」(化学工業日報社、1996年3月6日発行)の記載にしたがった。
【0012】
炭化水素系香料としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、ジテルペン、テルピノーレン、ミルセン等が挙げられる。
アルコール系香料としては、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、リナロール、サンダルマイソールコア、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、テトラヒドロリナロール、フェニルエチルアルコール、シトロネロール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、テルピネロール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、エチルリナロール、テトラヒドロムゴール、cis−3−ヘキセノール、ネロール、l−メントール、3−フェニルプロピルアルコール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、アセチルイソオイゲノール、エストラゴール、トリメチルヘキサノール等が挙げられる。
【0013】
アルデヒド系香料としては、アルデヒドC−111、シトラール、シトロネラール、ヘキシルシンナミルアルデヒド、リリアール、アミルシンアミックアルデヒド、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド(リラール)、ヘリオトロピン、バニリン、エチルバニリン、アニスアルデヒド、マイラックアルデヒド、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド(トリプラール)、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、n−ヘキサナール、n−オクタナール、n−ノナナール、cis−4−デセナール、ヘリオナール、ベンズアルデヒド、10−ウンデセナール等が挙げられる。
ケトン系香料としては、α−イオノン、β−イオノン、γ−イオノン、メチルイオノンG、イソ・イー・スーパー、アセチルセドレン、ラズベリーケトン、α−ヨノン、β−ヨノン、メチル−β−ナフチルケトン、ヘプチルシクロペンタノン、ベンジルアセトン、メチレンテトラメチルヘプタノン、ヘリオトピルアセトン、cis−ジャスモン、エチルマルトール、シクロヘキサデセノン、ムスコン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、ダマセノン、イソダマスコン等が挙げられる。
【0014】
エステル系香料としては、酢酸フェニルエチル、アリルアミルグリコレート、酢酸ヘキシル、酢酸スチラリル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、アセチルオイゲノール、酢酸シンナミル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、エチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカルボネート、酢酸ベンジル、エチルトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン−2−カルボキシレート、サリチル酸ベンジル、酢酸テルピニル、プロピオン酸トリシクトデセニル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、サリチル酸アミル、ヘプタン酸アリル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、酢酸セドリル(セドレニル)、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アリルシクロヘキサン、酢酸ネリル、マンザネート、ヘキサン酸アリル(カプロン酸アリル)、2−メチル酪酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸イソボニル、酢酸cis−3−ヘキセニル、2,2−ジメチルプロピオン酸−3−メチル−3−ブテニル、2−エチルカプロン酸エチル、ジヒドロジャスモン酸メチル等が挙げられる。
【0015】
フェノール系香料としては、オイゲノール、イソオイゲノール、モスシンス、チモール、バニトロープ等が挙げられる。
エーテル系香料としては、アンブロキサン、アネトール、メチルイソオイゲノール、ネロリンヤラヤラ、ガラクソライド、β−ナフトールエチルエーテル、エトキシメチルシクロドデシルエーテル、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、アントキサン等が挙げられる。
【0016】
アミン系香料としては、N−メチルアントラニル酸メチル、アントラニル酸メチル、イソブチルキノリン等が挙げられる。
ラクトン系香料としては、オキサシクロヘキサデセン−2−オン、シクロペンタデカノリド、γ−ウンデカラクトン、クマリン、エチレンブラシレート、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ノナラクトン等が挙げられる。
アセタール系香料としては、カラナール、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン等が挙げられる。
ニトリル系香料としては、ペオニル、シトロネリルニトリル等が挙げられる。
【0017】
前記香料のClogP値は、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。香料のClogP値を上記範囲内とすることにより、カプセル内への香料のカプセル化率を向上させることができる。
ここで、ClogP値は.A.Leo Comprehensive Medicinal Chemistry,Vol.4 C.Hansch、P.G.Sammens,J.B Taylor and C.A.Ramsden,Eds.,P.295,Pergamon Press,1990に記載の方法で計算した"計算logP(ClogP)"であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値である。複数の香料を含む香料組成物である場合、その香料組成物のCLogP値は、各香料のCLogP値に香料組成物中の体積比を乗じ、それらの和とすることで求めることができる。
【0018】
(香料前駆体)
香料前駆体としては、例えば、前記アルコール系香料及びフェノール系香料から選ばれる1種以上等と、アルコキシシラン、好ましくはテトラアルコキシシランとをエステル交換反応させることにより得られるケイ酸エステルを含有する組成物、前記アルコール系香料及びフェノール系香料から選ばれる1種以上と、炭素数6〜24の脂肪酸とを結合させたエステル化合物等が挙げられる。
【0019】
(コア中の香料及び香料前駆体の含有量)
本発明の修飾マイクロカプセルを構成するコア中の、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上の含有量は、その用途に応じて適宜決定することができるが、香料保持性の観点からは、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
【0020】
(その他の有機化合物)
本発明の修飾マイクロカプセルを構成するコアは、更に、好ましくは油剤、酸化防止剤、冷感剤、染料、色素、シリコーン、溶媒、及び油溶性ポリマーから選ばれる1種以上、より好ましくは油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上を含有していてもよい。
油剤としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー等で用いられるものであれば特に制限はない。具体的には、高級アルコール、シリコーン、エーテル油、エステル油、炭化水素類、グリセリド類、植物油、動物油、ラノリン誘導体、高級脂肪酸エステル類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
溶媒としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧料、トイレタリー等で用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、アルコール等が挙げられる。
【0021】
(油水界面張力)
コアの25℃における油水界面張力は、カプセル内への香料のカプセル化率を向上させる観点から、好ましくは10mN/m以上、より好ましくは11mN/m以上、更に好ましくは12mN/m以上、より更に好ましくは13mN/m以上であり、そして、好ましくは50mN/m以下、より好ましくは40mN/m以下、更に好ましくは30mN/m以下、より更に好ましくは25mN/m以下である。
【0022】
<シェル>
本発明の修飾マイクロカプセルを構成するシェルは、(メタ)アクリル酸由来の構成単位(以下、「構成単位(A)」ともいう)と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位(以下、「構成単位(B)」ともいう)と、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位(以下、「構成単位(C)」ともいう)とを有するポリマーからなる。
本発明の修飾マイクロカプセルを構成するシェルは、重合性が良好な(メタ)アクリル酸系モノマーからなるため、強固であると考えられる。これによって、製品保存時に、又は濯ぎ等の刺激を与えた場合であっても、シェルが容易に破壊されることなく、香料を保持することができるものと考えられる。
さらに、(メタ)アクリル酸由来の構成単位中のアニオン部が、後述するカチオン化ガラクトマンナンのカチオン部と多点的にイオン結合を形成できるため、活性剤が大量に含まれた組成物中などであっても、修飾マイクロカプセル表面からカチオン化ガラクトマンナンが剥がれることなく、繊維等への吸着性が優れるものと考えられる。
【0023】
((メタ)アクリル酸由来の構成単位(A))
(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられるが、シェルの強度を高めると共に、カチオン化ガラクトマンナンとの結合性を高め、吸着性及び香料保持性を向上させる観点から、好ましくはメタクリル酸である。
(メタ)アクリル酸は、単独で又は2種を組み合わせて使用することができる。
前記ポリマー中の(メタ)アクリル酸由来の構成単位(A)の含有量は、同様の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは34質量%以上、更に好ましくは37質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは56質量%以下、更に好ましくは53質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。
【0024】
((メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位(B))
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
これらの中でも、汎用性、及びシェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、好ましくは1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、より好ましくは1,4−ブタンジオールジアクリレートである。
これらの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマーは、シェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、好ましくは水不溶性である。
なお、本明細書において「水不溶性」とは、20℃のイオン交換水1Lに溶解する量が1g以下の性質をいう。
前記ポリマー中の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位(B)の含有量は、シェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは47質量%以下、更に好ましくは44質量%以下、より更に好ましくは42質量%以下である。
【0025】
((メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位(C))
(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基の炭素数は、シェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、モル平均で、好ましくは1以上であり、そして、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは1である。
(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ又はtert−)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル等が挙げられる。
これらの中でも、シェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、より好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、更に好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、より更に好ましくはメタクリル酸メチルである。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記ポリマー中の(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位(C)の含有量は、シェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは12質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは17質量%以下である。
【0026】
(構成単位(A)〜(C)の総量)
前記ポリマー中の構成単位(A)〜(C)の総量は、シェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である。
【0027】
(シェルの含有量)
本発明の修飾マイクロカプセル中におけるシェルの含有量は、シェルの強度を高め、香料保持性を向上させる観点から、修飾マイクロカプセル中のコア100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、より更に好ましくは40質量部以上であり、そして、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下である。
【0028】
<カチオン化ガラクトマンナン>
本発明の修飾マイクロカプセルは、シェルが、カチオン化ガラクトマンナンによって被覆されている。
カチオン化ガラクトマンナンは、カチオン性基を有し、分子量が高く、分岐構造を有するため、繊維や毛髪、皮膚等のアニオン部とイオン結合を形成し、吸着し易いと考えられる。したがって、該カチオン化ガラクトマンナンにより被覆されている本発明の修飾マイクロカプセルは、濯ぎ等の処理を行っても修飾マイクロカプセルそのものが繊維等から離脱し難いものと考えられる。
また、上述のとおり、カチオン化ガラクトマンナンのカチオン部と、(メタ)アクリル酸由来の構成単位中のアニオン部とが、多点的にイオン結合を形成することができるため、活性剤が大量に含まれた組成物中などであっても、修飾マイクロカプセル表面からカチオン化ガラクトマンナンが剥がれることなく、吸着性が保たれるものと考えられる。
【0029】
カチオン化ガラクトマンナンは、マンノースを構成単位とする主鎖と、ガラクトースを構成単位とする側鎖とを有するガラクトマンナンに、第4級窒素含有基を導入した水溶性カチオン化ポリマーである。ガラクトマンナンは、例えば、マメ科植物の種子の胚乳から得ることができる。
前記ガラクトース構成単位と前記マンノース構成単位との比が、1:1のものがフェヌグリークガム、1:2のものがグアーガム、1:3のものがタラガム、1:4のものがローカストビーンガムである。
カチオン化ガラクトマンナンの市販品として、カチオン化フェヌグリークガムとしてはカチナール(登録商標)CF−100(東邦化学工業株式会社製)が挙げられる。カチオン化グアーガムの市販品としては、ジャガーC−13S、ジャガーC−14S、ジャガーC−17K等のジャガーシリーズ(Solvay社製)等が挙げられる。また、カチオン化タラガムの市販品としては、カチナール(登録商標)CTR−100、カチナール(登録商標)CTR−200(東邦化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、カチオン化ローカストビーンガムの市販品としては、カチナール(登録商標)CLB−100(東邦化学工業株式会社製)等が挙げられる。
これらの中でも、修飾マイクロカプセルを構成するシェルとの結合性、及び繊維等への吸着性を高める観点から、好ましくはカチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化ローカストビンガム、より好ましくはカチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、更に好ましくはカチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、より更に好ましくはカチオン化グアーガムである。
これらのカチオン化ガラクトマンナンは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
カチオン化ガラクトマンナン中の窒素含有量は、吸着性を高める観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは1.8質量%以上であり、そして、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、より更に好ましくは2.2質量%以下である。
なお、カチオン化ガラクトマンナン中の窒素含有量は、ケルダール法によって測定することができる。
【0031】
(カチオン化ガラクトマンナンの含有量)
カチオン化ガラクトマンナンの含有量は、吸着性を高める観点から、修飾マイクロカプセル中のシェル100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上、更に好ましくは1.6質量部以上、より更に好ましくは1.8質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。
【0032】
<ゼータ電位>
本発明の修飾マイクロカプセルは、吸着性を高める観点から、pH4におけるゼータ電位が、好ましくは0mVを超え、より好ましくは1.0mV以上、更に好ましくは2.0mV以上、より更に好ましくは3.0mV以上であり、そして、好ましくは12mV以下、より好ましくは10mV以下、更に好ましくは8mV以下、より更に好ましくは6mV以下である。
また、吸着性を高め、特に高濃度で界面活性剤を含む組成物中での分散安定性を高める観点から、pH7におけるゼータ電位が、好ましくは−50mV以上、より好ましくは−47mV以上、更に好ましくは−43mV以上、より更に好ましくは−40mV以上であり、そして、好ましくは0mV未満、より好ましくは−10mV以下、更に好ましくは−20mV以下、より更に好ましくは−30mV以下である。
なお、本明細書中のゼータ電位とは、修飾マイクロカプセルを0.2質量%含有する水分散液中におけるゼータ電位を意味し、実施例に記載の方法によって求められる。
【0033】
<平均粒径>
本発明の修飾マイクロカプセルの平均粒径は、生産性、並びに修飾マイクロカプセルの吸着性及び香料保持性を高める観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは5μm以上、より更に好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは20μm以下、より更に好ましくは15μm以下である。
なお、本明細書中、平均粒径とは、体積基準のメジアン径(D
50)を意味し、実施例に記載の方法によって求められる。
【0034】
[修飾マイクロカプセルの製造方法]
本発明の修飾マイクロカプセルの製造方法は、下記工程(1)〜(4)を有する。
工程(1):香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上、(a)(メタ)アクリル酸、(b)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー、(c)(メタ)アクリル酸アルキル、及び油溶性重合開始剤を混合し、油性溶液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた油性溶液と、水溶性ポリマーを含む水溶液とを混合し、乳化液を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた乳化液を、前記油溶性重合開始剤の10時間半減期より、5℃以上20℃以下高い温度に加熱して、前記(a)〜(c)成分を重合させることにより、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上を含有するコアの周囲に、ポリマーからなるシェルを形成させ、マイクロカプセルの分散体を得る工程
工程(4):工程(3)で得られたマイクロカプセルの分散体と、カチオン化ガラクトマンナンを含有する水溶液とを混合して、カチオン化ガラクトマンナンによって被覆された修飾マイクロカプセルを得る工程
【0035】
<工程(1)>
工程(1)は、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上、(a)(メタ)アクリル酸、(b)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー、(c)(メタ)アクリル酸アルキル、及び油溶性重合開始剤を混合し、油性溶液を得る工程である。
【0036】
本工程で用いられる、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー、及び(メタ)アクリル酸アルキルは、本発明の修飾マイクロカプセルのシェルを構成するポリマーの構成単位の原料として挙げられたモノマーと同様であり、好適な態様も同様である。
前記(a)〜(c)成分の総量中における、(a)(メタ)アクリル酸の含有量は、前記ポリマー中における、構成単位(A)の含有量と同様であり、好ましい態様も同様である。
前記(a)〜(c)成分の総量中における、(b)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマーの含有量は、前記ポリマー中における、構成単位(B)の含有量と同様であり、好ましい態様も同様である。
前記(a)〜(c)成分の総量中における、(c)(メタ)アクリル酸アルキルの含有量は、前記ポリマー中における、構成単位(C)の含有量と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0037】
本工程で用いられる香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上と、(a)〜(c)成分の総量との質量比〔香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上/(a)〜(c)成分の総量〕は、修飾マイクロカプセルの生産性、及び修飾マイクロカプセルの香料保持性を高める観点から、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.8以上、より更に好ましくは2.0以上であり、そして、好ましくは6.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、より更に好ましくは2.3以下である。
【0038】
(油溶性重合開始剤)
油溶性重合開始剤としては、特に限定されず、公知の油溶性重合開始剤を使用することができる。具体的には、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等の油溶性アゾ化合物が挙げられる。
これらの中でも、汎用性及び反応性の観点から、好ましくは過酸化ラウロイル、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルである。
油溶性重合開始剤の使用量は、生産性の観点から、(a)〜(c)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは0.9質量部以上であり、そして、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1.3質量部以下である。
【0039】
本工程では、必要に応じて、その他の有機化合物を添加してもよい。その他の有機化合物としては、本発明の修飾マイクロカプセルを構成するコアが含有することができるその他の有機化合物と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0040】
本工程に用いる混合機としては、従来公知の混合機を用いることができ、例えば、ホモミキサー、ホモディスパー、ウエーブローター、ホモジナイザー、ディスパーサー、ペイントコンディショナー、ボールミル、マグネチックスターラー、メカニカルスターラー等が挙げられる。
本工程において、各成分を混合する温度は、通常は5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上であり、そして、通常は50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0041】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた油性溶液と、水溶性ポリマーを含む水溶液とを混合し、乳化液を得る工程である。
【0042】
(水溶性ポリマーを含む水溶液)
水溶性ポリマーを含む水溶液中の水溶性ポリマーの含有量は、均一な修飾マイクロカプセルを形成すると共に、生産性を向上させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上、より更に好ましくは0.30質量%以上であり、そして、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、より更に好ましくは0.7質量%以下である。
水溶性ポリマーを溶解させる水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水を用いることができる。
【0043】
〔水溶性ポリマー〕
水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの中でも、均一な修飾マイクロカプセルを形成すると共に、生産性を向上させる観点から、好ましくはポリビニルアルコールである。
前記ポリビニルアルコールの分子量は、同様の観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、更に好ましくは8万以上、より更に好ましくは11万以上であり、そして、好ましくは50万以下、より好ましくは30万以下、更に好ましくは20万以下、より更に好ましくは15万以下である。
前記ポリビニルアルコールの加水分解度は、同様の観点から、好ましくは60%/mol以上、より好ましくは70%/mol以上、更に好ましくは80%/mol以上、より更に好ましくは85%/mol以上であり、そして、好ましくは100%/mol以下、より好ましくは96%/mol以下、更に好ましくは93%/mol以下、より更に好ましくは90%/mol以下である。
水溶性ポリマーの使用量は、同様の観点から、工程(1)で得られた油性溶液100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上、より更に好ましくは2.0質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下、より更に好ましくは2.3質量部以下である。
【0044】
(メタクリル酸以外のアニオン性モノマー)
また、本工程では、均一な乳化液を得る観点から、メタクリル酸以外のアニオン性モノマーを添加することが好ましい。このメタクリル酸以外のアニオン性モノマーは、水溶性ポリマーを含む水溶液に添加して用いることができる。
メタクリル酸以外のアニオン性モノマーとしては、分散性に優れる乳化液を得る観点から、好ましくはアクリロイル基を有するスルホン酸塩、より好ましくは2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸ナトリウムである。
メタクリル酸以外のアニオン性モノマーの使用量は、分散性に優れる乳化液を得る観点から、工程(1)で得られた油性溶液100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、更に好ましくは1.0質量部以下、より更に好ましくは0.7質量部以下である。
【0045】
(質量比〔水/油性溶液〕)
本工程における、水と油性溶液との質量比〔水/油性溶液〕は、分散性に優れる乳化液を得る観点から、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは3.0以上、より更に好ましくは4.0以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8.0以下、更に好ましくは6.0以下、より更に好ましくは4.5以下である。
【0046】
本工程に用いる分散機としては、従来公知の分散機を用いることができ、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、高圧分散機、超音波分散機等が挙げられる。これらの中でも、生産性、及び分散性に優れる乳化液を得る観点から、好ましくはホモミキサーである。分散時間は用いる分散機により適宜設定すればよい。
また、乳化時の温度としては、特に制限はないが、通常は5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上であり、そして、通常は50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0047】
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得られた乳化液を、前記油溶性重合開始剤の10時間半減期温度より、5℃以上、20℃以下高い温度に加熱して、前記(a)〜(c)成分を重合させることにより、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上を含有するコアの周囲に、ポリマーからなるシェルを形成させ、マイクロカプセルの分散体を得る工程である。
なお、10時間半減期温度は、分解してフリーラジカルを発生する基の濃度が、10時間で元の半分の濃度となる温度である。
【0048】
(加熱温度)
本工程において乳化液を加熱する温度は、使用する油溶性重合開始剤によって適宜決定することができるが、生産性、及びカプセル内への香料のカプセル化率を向上させる観点から、前記油溶性重合開始剤の10時間半減期温度より、5℃以上、20℃以下高い温度であり、好ましくは7℃高い温度以上、より好ましくは9℃高い温度以上、更に好ましくは11℃高い温度以上であり、そして、好ましくは18℃高い温度以下、より好ましくは16℃高い温度以下、更に好ましくは14℃高い温度以下である。
具体的には、生産性、及びカプセル内への香料のカプセル化率を向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
【0049】
(固形分量)
本工程で得られるマイクロカプセルの分散体中のマイクロカプセルの含有量は、均一な修飾マイクロカプセルを得る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である。
【0050】
<工程(4)>
工程(4)は、工程(3)で得られたマイクロカプセルの分散体と、カチオン化ガラクトマンナンを含有する水溶液とを混合して、カチオン化ガラクトマンナンによって被覆された修飾マイクロカプセルを得る工程である。
【0051】
(カチオン化ガラクトマンナンを含有する水溶液)
カチオン化ガラクトマンナンを含有する水溶液中のカチオン化ガラクトマンナンの含有量は、生産性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上、より更に好ましくは0.8質量%以上であり、そして、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、より更に好ましくは1.2質量%以下である。
【0052】
〔カチオン化ガラクトマンナン〕
なお、本工程で用いるカチオン化ガラクトマンナンは、上記修飾マイクロカプセルの項で挙げられたものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0053】
〔カチオン化ガラクトマンナン水溶液の粘度〕
カチオン化ガラクトマンナンを含有する水溶液の粘度は、生産性の観点から、好ましくは200mPa・s以上、より好ましくは600mPa・s以上、更に好ましくは1200mPa・s以上、より更に好ましくは1,600mPa・s以上であり、そして、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは4,000mPa・s以下、更に好ましくは3,500mPa・s以下、より更に好ましくは3,200mPa・s以下である。
【0054】
(カチオン化ガラクトマンナンの使用量)
本工程におけるカチオン化ガラクトマンナンの使用量は、修飾マイクロカプセルの吸着性を高める観点から、マイクロカプセルを構成するシェル100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上、更に好ましくは1.6質量部以上、より更に好ましくは1.8質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。
【0055】
本工程に使用できる混合機は、工程(1)で使用できる混合機と同様である。
また、混合時の温度としては、特に制限はないが、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上、より更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下、より更に好ましくは30℃以下である。
【0056】
(修飾マイクロカプセルの含有量)
工程(4)で得られる修飾マイクロカプセルの分散体中、修飾マイクロカプセルの含有量は、生産性の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下である。
【0057】
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の修飾マイクロカプセルを含有する。
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の修飾マイクロカプセルを含有するため、濯ぎ等の処理後であっても、修飾マイクロカプセル及び該修飾マイクロカプセル中の香料成分を繊維等に高い効率で吸着及び保持させることができ、優れた香りの持続性を得ることができる。
洗浄剤組成物中の修飾マイクロカプセルの含有量は、高い香りの持続性を得る観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上、より更に好ましくは0.20質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。
また、洗浄剤組成物中のカチオン化ガラクトマンナンの含有量は、その用途に応じて適宜決定することができるが、高い香りの持続性を得る観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上、より更に好ましくは0.01質量%以上であり、そして、洗浄性を維持する観点から、好ましくは0.10質量%未満、より好ましくは0.08質量%以下、更に好ましくは0.07質量%以下、より更に好ましくは0.06質量%以下である。
【0058】
また、本発明の洗浄剤組成物は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等、一般的に洗浄剤に用いられる公知の界面活性剤を使用することができる。
洗浄剤組成物中の界面活性剤の含有量は、高い洗浄性を発揮させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。
更に、本発明の洗浄剤組成物においては、通常の洗浄剤に用いることができるその他の成分を配合することができる。例えば、水、アルコール等の溶媒、pH調整剤、アルカリ剤、カルシウム塩や蟻酸等の酵素安定化剤、香料、防菌剤、防黴剤、及び色素等を挙げることができる。
【0059】
[化粧料]
本発明の修飾マイクロカプセルは、化粧料に好ましく用いることができる。
本発明の修飾マイクロカプセルを含有する化粧料は、修飾マイクロカプセル及び該修飾マイクロカプセル中の香料成分を皮膚等に高い効率で吸着及び保持させることができ、優れた香りの持続性を得ることができる。
本発明の修飾マイクロカプセルを化粧料に用いる場合、化粧料中の修飾マイクロカプセルの含有量は、用途に応じて適宜決定することができるが、高い香りの持続性を得る観点から、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、より更に好ましくは0.15質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。
化粧料には、本発明の目的を損なわない範囲において、本発明の修飾マイクロカプセルの他に、通常、化粧品に用いられる各種の成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような任意成分としては、例えば精製水、エタノール、界面活性剤、油剤、ビタミン類、シリコーン類、フッ素系油剤、紫外線防御剤、酸化防止剤、保湿剤、粉体、油ゲル化剤、被膜形成剤、柔軟剤、pH調整剤、粘度調整剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0060】
[毛髪化粧料組成物]
本発明の修飾マイクロカプセルは、毛髪化粧料組成物に好ましく用いることができる。
本発明の修飾マイクロカプセルを含有する毛髪化粧料組成物は、修飾マイクロカプセル及び該修飾マイクロカプセル中の香料成分を毛髪に高い効率で吸着及び保持させることができ、優れた香りの持続性を得ることができる。
本発明の修飾マイクロカプセルを毛髪化粧料組成物に用いる場合、毛髪化粧料組成物中の修飾マイクロカプセルの含有量は、その用途に応じて適宜決定することができるが、高い香りの持続性を得る観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。
毛髪化粧料組成物には、本発明の修飾マイクロカプセルの他、更に、通常、毛髪化粧料に配合される水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール等のアルコール、グリセリン、保湿剤、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、色素、香料、噴射剤、エデト酢酸塩及びクエン酸塩等のキレート剤、pH調整剤、防腐剤、ジンクピリチオン及びピロクトンオラミン等の抗フケ剤、界面活性剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0061】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の修飾マイクロカプセル等を開示する。
<1> 香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上を含有するコアと、該コアを被覆するシェルとを有するマイクロカプセルであって、該シェルが、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位とを有するポリマーからなり、かつカチオン化ガラクトマンナンによって被覆されている修飾マイクロカプセル。
【0062】
<2> 前記ポリマーが有する構成単位のうち、(メタ)アクリル酸由来の構成単位が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは34質量%以上、更に好ましくは37質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは56質量%以下、更に好ましくは53質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下であり、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー由来の構成単位が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは47質量%以下、更に好ましくは44質量%以下、より更に好ましくは42質量%以下であり、(メタ)アクリル酸アルキルを由来の構成単位が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは12質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは17質量%以下である、前記<1>に記載の修飾マイクロカプセル。
<3> 前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマーが、水不溶性である、前記<1>又は<2>に記載の修飾マイクロカプセル。
<4> 前記(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基の炭素数が、モル平均で好ましくは1以上であり、そして、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは1である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<5> 前記カチオン化ガラクトマンナンの含有量が、修飾マイクロカプセル中のシェル100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上、更に好ましくは1.6質量部以上、より更に好ましくは1.8質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である、前記<1>〜<4>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<6> 前記シェルの含有量が、修飾マイクロカプセル中のコア100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは35質量部以上、より更に好ましくは40質量部以上であり、そして、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<7> ゼータ電位が、pH4においては、好ましくは0mVを超え、より好ましくは1.0mV以上、更に好ましくは2.0mV以上、より更に好ましくは3.0mV以上であり、そして、好ましくは12mV以下、より好ましくは10mV以下、更に好ましくは8mV以下、より更に好ましくは6mV以下であり、pH7においては、好ましくは−50mV以上、より好ましくは−47mV以上、更に好ましくは−43mV以上、より更に好ましくは−40mV以上であり、そして、好ましくは0mV未満、より好ましくは−10mV以下、更に好ましくは−20mV以下、より更に好ましくは−30mV以下である、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<8> 平均粒径が、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは5μm以上、より更に好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは20μm以下、より更に好ましくは15μm以下である、前記<1>〜<7>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<9> 前記コアが、更に、油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上を含有する、前記<1>〜<8>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<10> 前記カチオン化ガラクトマンナンが、好ましくはカチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、及びカチオン化ローカストビンガムから選ばれる1種以上、より好ましくはカチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、及びカチオン化フェヌグリークガムから選ばれる1種以上、更に好ましくはカチオン化グアーガム及びカチオン化タラガムから選ばれる1種以上、より更に好ましくはカチオン化グアーガムである、前記<1>〜<9>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<11> 前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマーが、好ましくは1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートから選ばれる1種以上、より好ましくは1,4−ブタンジオールジアクリレートである、前記<1>〜<10>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
<12> 前記コアの25℃における油水界面張力が、好ましくは10mN/m以上、より好ましくは11mN/m以上、更に好ましくは12mN/m以上、より更に好ましくは13mN/m以上であり、そして、好ましくは50mN/m以下、より好ましくは40mN/m以下、更に好ましくは30mN/m以下、より更に好ましくは25mN/m以下である、前記<1>〜<11>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセル。
【0063】
<13> 下記工程(1)〜(4)を有する、前記<1>〜<12>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセルの製造方法。
工程(1):香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上、(a)(メタ)アクリル酸、(b)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する架橋性モノマー、(c)(メタ)アクリル酸アルキル、及び油溶性重合開始剤を混合し、油性溶液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた油性溶液と、水溶性ポリマーを含む水溶液とを混合し、乳化液を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた乳化液を、前記油溶性重合開始剤の10時間半減期温度より、5℃以上、20℃以下高い温度に加熱して、前記(a)〜(c)成分を重合させることにより、香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上を含有するコアの周囲に、ポリマーからなるシェルを形成させ、マイクロカプセルの分散体を得る工程
工程(4):工程(3)で得られたマイクロカプセルの分散体と、カチオン化ガラクトマンナンを含有する水溶液とを混合して、カチオン化ガラクトマンナンによって被覆された修飾マイクロカプセルを得る工程
<14> 前記工程(3)を、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、更に好ましくは80℃以下で行う、前記<13>に記載の修飾マイクロカプセルの製造方法。
<15> 前記<1>〜<12>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセルを含有する、洗浄剤組成物。
<16> 界面活性剤を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下含有する、前記<15>に記載の洗浄剤組成物。
<17> カチオン化ガラクトマンナンの含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上、より更に好ましくは0.01質量%以上であり、そして、洗浄性を維持する観点から、好ましくは0.10質量%未満、より好ましくは0.08質量%以下、更に好ましくは0.07質量%以下、より更に好ましくは0.06質量%以下である、前記<15>又は<16>に記載の洗浄剤組成物。
<18> 前記<1>〜<12>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセルを含有する化粧料。
<19> 前記<1>〜<12>のいずれかに記載の修飾マイクロカプセルを含有する毛髪化粧料組成物。
【実施例】
【0064】
各種測定は、以下の方法により行った。
なお、以下の実施例において、マイクロカプセルを被覆するカチオン化ガラクトマンナン及びその他のポリマーを「処理ポリマー」と称することがある。
また、実施例1〜7、及び比較例2〜9で製造した修飾マイクロカプセル、及び比較例1で製造した未処理のマイクロカプセルを「試験用マイクロカプセル」と称することがある。
【0065】
(1)平均粒径(メジアン径)
後述する工程(2)で得られた乳化液、工程(3)で得られたマイクロカプセルの分散体、及び工程(4)で得られた試験用マイクロカプセルの分散体の平均粒径(メジアン径)はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名:LA−950)を用いて測定した。測定はフローセルを使用し、分散媒は水を使用した。屈折率は分散媒を1.333−i、分散質は1.48−0iに設定した。被測定粒子を含む分散液をフローセルに添加し、透過率が90%付近を示した濃度で測定を実施し、平均粒径(メジアン径)を求めた。
【0066】
(2)ゼータ電位
試験用マイクロカプセルを含む分散体を、分散体中の試験用マイクロカプセルの濃度が0.2質量%となるようイオン交換水で希釈した。次に、0.01〜0.1Nの塩酸水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液により、この希釈液のpHを表2に示す値に調整後、ゼータ電位分析装置(Malvern社製、商品名:ゼータサイザー(登録商標)ナノ)を使用し、水温25℃にてゼータ電位を測定した。
【0067】
(3)処理ポリマーの1質量%水溶液粘度
処理ポリマーをイオン交換水で溶解及び希釈することにより、処理ポリマーを1質量%含む水溶液を調製した。この水溶液をB型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて液温25℃で2回測定を行い、その平均値を処理ポリマーの1質量%水溶液粘度として用いた。
【0068】
(4)香料の油水界面張力
香料の油水界面張力をTensiometer K100(Kruss社製)を用い、イオン交換水と香料との界面張力をWilhermyプレート法によって測定した。測定は25℃付近で行い、測定開始後30分後の値を油水界面張力として用いた。
【0069】
(5)マイクロカプセル内への香料の内包率
後述の工程(2)で得られた乳化液0.05gを、内部標準としてドデカンを100μg/mlの濃度で含むアセトニトリル10mlに分散させた。次に、この溶液に超音波を60分照射し、メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、商品名:DISMIC(登録商標)、型番:13JP020AN)に通液させた。通液後の溶液に含まれる香料の量を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、工程(2)で得られた乳化液中に含まれる香料成分の量を測定した。
一方で、後述の工程(3)により得られたマイクロカプセルの分散体0.05gをメンブレンフィルター(MILLIPORE社製、商品名:OMNIPORE(登録商標)、型番:JAWP04700)に通液させることにより、メンブレンフィルター上にマイクロカプセルを回収した。
さらに、メンブレンフィルター上で、ヘキサン10mlによりマイクロカプセルを洗浄後、該マイクロカプセルを、内部標準としてドデカンを100μg/mlの濃度で含むアセトニトリル10mlに浸漬させた。次に、この溶液に超音波を60分照射し、さらにもう一度メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、商品名:DISMIC(登録商標)、型番:13JP020AN)に通液させた。通液後の溶液に含まれる香料の量を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、工程(3)により得られたマイクロカプセルに内包された香料成分の量を測定した。
上記により得られた香料成分の量から、下記式により香料の内包率を算出した。
香料の内包率(%)=[マイクロカプセルに内包された香料成分の量]/[乳化液中に含まれる香料成分の量]×100
【0070】
(6)香料吸着率
実施例1〜7及び比較例1〜9で製造した試験用マイクロカプセルを含む分散体0.24gを秤り取り、液体洗剤(花王株式会社製、商品名:ニュービーズ(登録商標)NEO)4.76gに加えてよく振とうさせ、試験用マイクロカプセルを液体洗剤中に分散させた。
一方、木綿メリヤスを6.5cm×6.5cmに切断した布を15枚用意し、それぞれ乾燥質量を測定した(各1g、総質量で約15g)。
乾燥布総質量の1質量%に相当する量(約0.15g)の前記液体洗剤を1Lビーカーに入れ、乾燥布総質量の30倍の水道水(約450.0g)を加えて、スターラーで1分間撹拌を行い、液体洗剤希釈液を得た。次に、撹拌しながら、この液体洗剤希釈液中に上記15枚の布を一枚ずつ投入し、10分間25℃で撹拌した。その後、布を取り出し、二層式洗濯機を用いて1分間脱水を行った。
脱水を行った布のうち、9枚を再びビーカーに戻し、9枚の乾燥布総質量の29倍に相当する水道水(約261g)を加えて、さらに5分間撹拌(濯ぎ)を行った。ビーカーから布を取り出し、二層式洗濯機を用いて3分間脱水を行った。これを濯ぎ処理布とした。
上記濯ぎ処理布をそれぞれ別のスクリュー管に移し、さらに内部標準として安息香酸メチルを10μg/mlの濃度で含むエタノール溶液7mlを加えた。これらの濯ぎ処理布を含むスクリュー管を50℃浴に20分間浸漬した後、超音波で60分間処理することによって、濯ぎ処理布中に吸着した試験用マイクロカプセルに含まれる香料を抽出した。この溶液から、PTFE製メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、商品名:DISMIC(登録商標)、型番:13JP020AN)によって不溶分を取り除き、濯ぎ処理布抽出液を得た。
この吸着率試験とは別に、上記試験用マイクロカプセルを分散させた液体洗剤の乾燥布総質量の1質量%に相当する量(約0.15g)をイオン交換水300gで希釈して分散させた液を用意し、内部標準として安息香酸メチルを10μg/ml濃度で含むエタノール溶液100mlを加え、50℃浴に20分間浸漬した後、超音波で60分間処理することによって、液体洗剤中に含まれる試験用マイクロカプセル内の香料を抽出した。
この溶液からPTFE製メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、商品名:DISMIC(登録商標)、型番:13JP020AN)によって不溶分を取り除き、液体洗剤抽出液を得た。
濯ぎ処理布抽出液、及び液体洗剤抽出液を下記装置による液体クロマトグラフィーによって、内部標準を基準として、濯ぎ処理布抽出液に含有される香料量(α−イオノンとヘキシルシンナミックアルデヒド)を液体洗剤抽出液の15分の1の香料量で除したものを、吸着率とした。この測定を3枚の布について行い、その平均値を香料吸着率とし、百分率で示した。値が大きいものほど香料吸着率に優れる。
高速液体クロマトグラフ装置:Chromaster(登録商標)(日立製作所株式会社製)
カラム:L−column ODS(カタログNo、622070、化学物質評価研究機構製)
溶離液:蒸留水、アセトニトリル
【0071】
(7)凝集性
(6)香料吸着率と同一条件、すなわち実施例1〜7及び比較例1〜9で製造した試験用マイクロカプセルを含む分散体0.24gを秤り取り、液体洗剤(花王株式会社製、商品名:ニュービーズ(登録商標)NEO)4.76gに加えてよく振とうさせ、試験用マイクロカプセルを液体洗剤中に分散させた。この際、試験用マイクロカプセルの凝集の有無を目視で確認した。明らかに凝集物が存在し、液体洗剤の外観を損なうものを凝集「有」とし、凝集が見られるものの、外観に問題がないものを「わずかに有」とし、それ以外を「無」とした。
【0072】
<カチオン化ガラクトマンナン被覆マイクロカプセルの製造>
実施例1
工程(1)
表1に示す組成のモデル香料Aを20g、メタクリル酸4.2g、メタクリル酸メチル1.4g、1,4−ブタンジオールジアクリレート3.7g、及び過酸化ラウロイル0.1gを、マグネチックスターラーを用いて、25℃にて混合し、油相溶液を調製した。
工程(2)
ポリビニルアルコール(クラレアメリカ社製、商品名:Mowiol(登録商標)18−88)の0.5質量%水溶液125.5gに、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸ナトリウム0.17gを溶解させて、水溶性ポリマーを含む水溶液を調製した。
工程(1)で得た油相溶液及び上記水溶性ポリマーを含む水溶液を、ホモミキサー(HSIANGTAI MACHINERY社製、形式:HM−310)を用いて、5,000rpmで5分間乳化を行い、メジアン径が10μmである乳化液を調製した。
工程(3)
この乳化液を、ジムロート冷却器を有する300mlの4つ口フラスコに移し、窒素雰囲気下で75℃にて7時間加熱して重合反応を行った。反応後、冷却して、モデル香料Aを内包したマイクロカプセルを26質量%で含むマイクロカプセルの分散体を得た。このマイクロカプセルの分散体中のマイクロカプセルのメジアン径は12μmであった。マイクロカプセル内への香料の内包率は、α−イオノンが83%、ヘキシルシンナミックアルデヒドが91%であった。
工程(4)
カチオン化フェヌグリークガム(東邦化学工業株式会社製、商品名:カチナール(登録商標)CF−100)0.1gをイオン交換水に溶解して10gとして、有効分1質量%のカチオン化フェヌグリークガムを含有する水溶液を調製した。
この水溶液1gを、工程(3)で製造したマイクロカプセルの分散体4gに加えて、25℃で15分、マグネチックスターラーを用いて、撹拌させて、カチオン化ガラクトマンナン被覆マイクロカプセルを含む分散体を得た。このカプセルのメジアン径は13μmであった。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例2
実施例1において、工程(4)で用いるカチオン化フェヌグリークガムを含有する水溶液を、カチオン化グアーガム(Solvay社製、商品名:ジャガーC17K)0.1gをイオン交換水に溶解して20gとして得た有効分0.5質量%の水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、カチオン化ガラクトマンナン被覆マイクロカプセルを得た。このカプセルのメジアン径は13μmであった。
【0075】
実施例3〜5、7
実施例1において、カチオン化フェヌグリークガム(東邦化学工業株式会社製、商品名:カチナールCF−100)を、それぞれ、カチオン化グアーガム(Solvay社製、商品名:ジャガーC17K)、カチオン化グアーガム(Solvay社製、商品名:ジャガーC13S)、カチオン化タラガム(東邦化学工業株式会社製、商品名:カチナールCTR−100)、カチオン化ローカストビンガム(東邦化学工業株式会社製、商品名:カチナールCLB−100)に変更した以外は、実施例1と同様にして、カチオン化ガラクトマンナン被覆マイクロカプセルを得た。これらのカプセルのメジアン径は12〜13μmであった。
【0076】
実施例6
実施例2のカチオン化グアーガム(Solvay社製、商品名:ジャガーC17K)を、カチオン化タラガム(東邦化学工業株式会社製、商品名:カチナールCTR−100)に変更した以外は、実施例2と同様にして、カチオン化ガラクトマンナン被覆マイクロカプセルを得た。このカプセルのメジアン径は13μmであった。
【0077】
<未処理、又はその他のポリマーで被覆されたマイクロカプセルの製造>
比較例1
実施例1において、工程(4)を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、未処理のマイクロカプセルを得た。
【0078】
比較例2
実施例1において、工程(4)で用いるカチオン化フェヌグリークガムを含有する水溶液を、アラビアゴム(キシダ化学株式会社製)0.3gをイオン交換水に溶解して10gとして得た有効分3質量%の水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、その他のポリマーで被覆されたマイクロカプセルを得た。このカプセルのメジアン径は13μmであった。
【0079】
比較例3〜7
比較例2において、アラビアゴムを、それぞれ、ゼラチン(シグマアルドリッチジャパン製)、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム−10)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(Lubrizol Advanced Materials社製、有効分42質量%、商品名:マーコート100)、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸ナトリウム−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(Lubrizol Advanced Materials社製、有効分10質量%、商品名:マーコート3330PR)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−コ−アクリルアミド)(Lubrizol Advanced Materials社製、有効分58質量%、商品名:マーコート740)に変更した以外は、比較例2と同様にして、その他のポリマーで被覆されたマイクロカプセルを得た。これらのカプセルのメジアン径は12〜14μmであった。
ただし、マーコート100、マーコート3330PR、及びマーコート740は、有効分で除した量を用い、イオン交換水の量を減らすことにより、有効分3質量%とした。
【0080】
比較例8、9
実施例1において、カチオン化フェヌグリークガム(東邦化学工業株式会社製、商品名:カチナールCF−100)を、それぞれ、ポリエチレンイミン(分子量600、和光純薬工業株式会社製)、ポリエチレンイミン(分子量1万、和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、その他のポリマーで被覆されたマイクロカプセルを得た。これらのカプセルのメジアン径は12〜13μmであった。
【0081】
実施例1〜7、比較例1〜9の評価結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
表2から明らかなように、本発明の修飾マイクロカプセルは、香料吸着性に優れることがわかる。以上のことから、本発明の修飾マイクロカプセルは、香料等を配合する各種製品に好適に用いられる。