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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-229742(P2015-229742A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】脱硫器
(51)【国際特許分類】
   C10L 3/10 20060101AFI20151124BHJP
   C10G 25/00 20060101ALI20151124BHJP
   H01M 8/06 20060101ALI20151124BHJP
   H01M 8/12 20060101ALI20151124BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20151124BHJP
   C01B 3/38 20060101ALN20151124BHJP
【FI】
   C10L3/00 B
   C10G25/00
   H01M8/06 G
   H01M8/12
   B01D53/26 101C
   C01B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-117442(P2014-117442)
(22)【出願日】2014年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】杠 暁人
【テーマコード(参考)】
4D052
4G140
4H129
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
4D052AA04
4D052CE00
4D052GA03
4D052GB03
4D052HA01
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB01
4G140EB46
4H129AA02
4H129CA02
4H129DA07
4H129LA17
4H129NA02
5H026AA06
5H026CV10
5H127AA07
5H127AB02
5H127AB04
5H127AC02
5H127AC07
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA18
5H127BA44
5H127BA45
5H127BA47
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB24
5H127BB25
5H127BB27
5H127BB37
5H127DB75
5H127EE12
(57)【要約】
【課題】簡単且つコンパクトな構成で、内筒部材が外筒部材の端面に当接して原燃料流通通路が閉塞されることを確実に抑制することを可能にする。
【解決手段】脱硫器10は、脱硫剤66が充填される充填室68を設ける内筒部材44と、前記内筒部材44を着脱自在に収容する外筒部材42を備える。外筒部材42の一端には、第1蓋状部材72が設けられ、前記外筒部材42の他端には、第2蓋状部材74が設けられる。第1蓋状部材72には、内筒部材44の充填室68の入口側の一端に当接し、前記内筒部材44の前記一端と前記第1蓋状部材72の内面との間に隙間81を形成する支持部80が設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料に含まれる硫黄成分を除去する脱硫器であって、
前記脱硫器は、脱硫剤が充填される充填室を設ける内筒部材と、
前記充填室の入口側に配置される第1網目状部材及び前記充填室の出口側に配置される第2網目状部材と、
前記内筒部材を立位姿勢で着脱自在に収容するとともに、前記充填室の前記入口側である下部に第1蓋状部材が設けられ、且つ、前記充填室の前記出口側である上部に第2蓋状部材が設けられる外筒部材と、
前記外筒部材に設けられ、脱硫前の前記原燃料を供給する原燃料供給口と、
前記内筒部材と前記外筒部材との間に設けられ、入口側が前記原燃料供給口に連通するとともに、出口側が前記第1網目状部材を介して前記充填室の前記入口側に連通する原燃料流通通路と、
前記第2蓋状部材に設けられ、前記第2網目状部材を介して前記充填室の前記出口側に連通する原燃料排出口と、
を備え、
前記第1蓋状部材には、前記内筒部材の下部に当接し、前記内筒部材の前記下部と前記第1蓋状部材の内面との間に間隙を形成する支持部材が設けられることを特徴とする脱硫器。
【請求項2】
請求項1記載の脱硫器において、前記第1蓋状部材には、前記原燃料に含まれる水分を除去する除湿剤を有する除湿部が設けられることを特徴とする脱硫器。
【請求項3】
請求項2記載の脱硫器において、前記除湿部は、前記支持部材に設けられることを特徴とする脱硫器。
【請求項4】
請求項1記載の脱硫器において、前記第1蓋状部材には、前記脱硫器内に滞留した水分を外部に排出するドレインが設けられることを特徴とする脱硫器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱硫器において、前記原燃料流通通路には、前記原燃料の湿度を計測する湿度計が設けられることを特徴とする脱硫器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱硫器において、前記原燃料供給口と前記原燃料排出口とは、互いに同一方向に向かって開口する開口部を設けることを特徴とする脱硫器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱硫器において、前記内筒部材及び前記外筒部材には、前記脱硫器外部から前記脱硫剤を視認するための透明部材が設けられることを特徴とする脱硫器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱硫器において、前記脱硫器は、固体酸化物形燃料電池用脱硫器であることを特徴とする脱硫器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原燃料に含まれる硫黄成分を除去する脱硫器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、固体電解質に酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いている。固体電解質の両側にアノード電極及びカソード電極を配設した電解質・電極接合体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されている。この燃料電池は、通常、電解質・電極接合体とセパレータとが所定数だけ積層された燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
上記の燃料電池に供給される燃料ガスは、通常、改質装置によって炭化水素系の原燃料から生成される水素ガスが使用されている。一般的に、原燃料として使用される都市ガス、LNG、ガソリン、灯油等の化石燃料等には、硫黄成分や硫黄化合物等が混在している。このため、原燃料を改質処理する前に、前記原燃料に含まれる硫黄成分を脱硫器により除去する必要がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料ガス供給装置が知られている。図7に示すように、燃料ガス供給装置を構成する脱硫器1aは、本体部2aと、この本体部2aに対して着脱自在に収納される脱硫剤カートリッジ3aとから構成されている。脱硫剤カートリッジ3aは、脱硫剤4aをカートリッジ缶5aに封装している。
【0005】
本体部2aは、ヘッド部材6a、ケース部材7a、及び前記ヘッド部材6aと前記ケース部材7aとを一体化する結合リング部材8aとから構成されている。カートリッジ缶5aの外周面とヘッド部材6a及びケース部材7aの内周面との間には、燃料ガスを流通させる燃料ガス供給通路9aが形成されている。
【0006】
また、特許文献2に開示されている脱硫剤カートリッジが知られている。図8に示すように、脱硫器1bは、脱硫剤カートリッジ2bと、この脱硫剤カートリッジ2bを着脱自在に収納する脱硫器本体3bとから構成されている。脱硫器本体3bは、ヘッド部材4bと、前記ヘッド部材4bに対して着脱されるケース部材5bとから構成され、これらがロックリング部材6bによって一体化されている。
【0007】
脱硫剤カートリッジ2bは、カートリッジ缶7bを備えており、前記カートリッジ缶7b内には、フィルタ8bを介して脱硫剤9bが封装されている。カートリッジ缶7bには、好ましくは、アルミ材に深絞り加工を施したアルミ缶が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−310027号公報
【特許文献2】特開2007−084621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1では、ヘッド部材6aに保持されている脱硫剤カートリッジ3aが落下した際、前記脱硫剤カートリッジ3aがケース部材7aの底面に当接するおそれがある。このため、燃料ガス供給通路9aの下部が閉塞され、脱硫剤カートリッジ3aの内部に燃料ガスが供給されないという問題がある。
【0010】
また、上記の特許文献2では、上記の特許文献1と同様に、ケース部材5bの上部に保持されている脱硫剤カートリッジ2bが落下した際、前記脱硫剤カートリッジ2bが前記ケース部材5bの底面に当接するおそれがある。従って、脱硫剤カートリッジ2bの内部に燃料ガスが供給されないという問題がある。
【0011】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単且つコンパクトな構成で、例えば、外筒部材に対する内筒部材の保持が開放された際、前記内筒部材が前記外筒部材の端面に当接して原燃料流通通路が閉塞されることを確実に抑制することが可能な脱硫器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、原燃料に含まれる硫黄成分を除去する脱硫器に関するものである。この脱硫器は、脱硫剤が充填される充填室を設ける内筒部材と、前記充填室の入口側に配置される第1網目状部材及び前記充填室の出口側に配置される第2網目状部材とを備えている。脱硫器は、内筒部材を立位姿勢で着脱自在に収容するとともに、充填室の入口側である下部に第1蓋状部材が設けられ、且つ、前記充填室の出口側である上部に第2蓋状部材が設けられる外筒部材を備えている。外筒部材には、脱硫前の原燃料を供給する原燃料供給口が設けられている。
【0013】
内筒部材と外筒部材との間には、入口側が原燃料供給口に連通するとともに、出口側が第1網目状部材を介して充填室の前記入口側に連通する原燃料流通通路が設けられている。第2蓋状部材には、第2網目状部材を介して充填室の出口側に連通する原燃料排出口が設けられている。
【0014】
そして、第1蓋状部材には、内筒部材の下部に当接し、前記内筒部材の前記下部と前記第1蓋状部材の内面との間に間隙を形成する支持部材が設けられている。
【0015】
また、この脱硫器では、第1蓋状部材には、原燃料に含まれる水分を除去する除湿剤を有する除湿部が設けられることが好ましい。このため、脱硫前に原燃料に含まれる水分を除去することができ、脱硫剤の劣化を有効に抑制することが可能になる。しかも、第1蓋状部材を着脱させることにより、除湿剤を容易に交換することができる。
【0016】
さらに、この脱硫器では、除湿部は、支持部材に設けられることが好ましい。従って、原燃料流通通路が閉塞されることを確実に抑制することが可能になるとともに、脱硫前に原燃料に含まれる水分により脱硫剤が劣化することを有効に抑制することができる。
【0017】
さらにまた、この脱硫器では、第1蓋状部材には、脱硫器内に滞留した水分を外部に排出するドレインが設けられることが好ましい。これにより、脱硫器内に滞留した水分を迅速に排出させることが可能になり、前記水分による脱硫剤の劣化を良好に抑制することができる。
【0018】
また、この脱硫器では、原燃料流通通路には、原燃料の湿度を計測する湿度計が設けられることが好ましい。このため、脱硫前に原燃料に含まれる水分の量及び割合を検出することが可能になる。従って、脱硫性能や脱硫寿命を予測して脱硫剤のメンテナンス周期を算出することができ、又は、脱硫性能の低下によってシステムに影響を及ぼす前にシステム停止を遂行することが可能になる。
【0019】
さらに、この脱硫器では、原燃料供給口と原燃料排出口とは、互いに同一方向に向かって開口する開口部を設けることが好ましい。これにより、メンテナンス時に、原燃料供給口の配管着脱作業と原燃料排出口の配管着脱作業とは、同一方向に行うことができる。このため、メンテナンス作業が効率的且つ容易に遂行可能になる。
【0020】
さらにまた、この脱硫器では、内筒部材及び外筒部材には、前記脱硫器外部から脱硫剤を視認するための透明部材が設けられることが好ましい。従って、脱硫剤の劣化状態を目視で確認することができ、前記脱硫剤の交換時期を容易且つ確実に把握することが可能になる。
【0021】
また、この脱硫器は、固体酸化物形燃料電池用脱硫器であることが好ましい。これにより、特に耐久性、メンテナンス性及び脱硫性能の向上を図ることができ、最適である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1網目状部材及び第2網目状部材は、経時劣化により微細化した脱硫剤が脱硫器の外部に流出することを抑制することができ、耐久性の向上が図られる。しかも、脱硫剤が劣化した際には、内筒部材のみを交換するだけで対応することが可能になり、メンテナンス性が有効に向上する。
【0023】
さらに、原燃料は、原燃料流通通路を流通するため、前記原燃料に含まれる水分が結露しても、脱硫剤が前記水分に直接晒されることがない。このため、脱硫器は、脱硫性能及び脱硫寿命を有効に向上させることができる。その上、原燃料流通通路は、バッファ部(調圧室)として機能することができ、原燃料の脈動を抑制することが可能になる。
【0024】
また、外筒部材の下部に設けられている第1蓋状部材を着脱することにより、脱硫器内に滞留する経時劣化で微細化した脱硫剤や原燃料に含まれる水分を、取り除くことができる。
【0025】
さらにまた、原燃料は、原燃料供給口、原燃料流通通路、第1網目状部材、充填室、第2網目状部材及び原燃料排出口の順に流通されている。従って、脱硫反応時の発熱は、原燃料流通通路を流通する原燃料により熱回収することが可能になる。
【0026】
さらに、脱硫器内での内筒部材が脱落した際にも、前記内筒部材は、支持部材に保持されて、前記内筒部材の下部と第1蓋状部材の内面との間に間隙が形成されている。これにより、簡単且つコンパクトな構成で、原燃料流通通路が閉塞されることを確実に抑制することができ、運転の継続が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係る脱硫器を組み込む燃料電池システムの概略構成説明図である。
図2】前記脱硫器の斜視説明図である。
図3】前記脱硫器の断面説明図である。
図4】前記脱硫器の分解斜視説明図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る脱硫器の断面説明図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る脱硫器の断面説明図である。
図7】特許文献1に開示されている燃料ガス供給装置の断面説明図である。
図8】特許文献2に開示されている脱硫剤カートリッジの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に概略的に示すように、本発明の第1の実施形態に係る脱硫器10を組み込む燃料電池システム12は、定置用の他、車載用等の種々の用途に用いられている。
【0029】
燃料電池システム12は、燃料ガス(水素ガス)と酸化剤ガス(空気)との電気化学反応により発電する燃料電池モジュール14を備える。燃料電池モジュール14には、燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置16と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置18と、水を供給する水供給装置20とが接続される。
【0030】
燃料電池モジュール14は、固体酸化物形の燃料電池スタック22を備える。燃料電池スタック22は、固体酸化物形の燃料電池(SOFC)24を設け、複数の前記燃料電池24は、鉛直方向又は水平方向に積層される。各燃料電池24は、図示しないが、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体の固体電解質(固体酸化物)を、アノード電極とカソード電極とで挟んだ電解質・電極接合体26を有する。電解質・電極接合体26は、一対のセパレータ28により挟持される。
【0031】
燃料電池モジュール14は、さらに、熱交換器30、蒸発器32及び予備改質器34を備える。熱交換器30は、燃料電池スタック22から排出される使用済み反応ガス(以下、排ガス又は燃焼排ガスともいう)と、被加熱流体である空気とを、互いに対向流に流して熱交換を行う。熱交換後の空気は、酸化剤ガスとして燃料電池スタック22に供給される。蒸発器32は、炭化水素を主体とする原燃料(例えば、都市ガス)と水蒸気との混合燃料(混合ガス)を生成するために、水を蒸発させる。
【0032】
予備改質器34は、混合燃料を改質して改質ガスを生成する。具体的には、予備改質器34は、脱硫された都市ガス(燃料ガス)中に含まれるエタン(C26)、プロパン(C38)及びブタン(C410)等の高級炭化水素(C2+)を、主としてメタン(CH4)を含む燃料ガスに水蒸気改質するための予備改質器であり、数百℃の作動温度に設定される。
【0033】
燃料電池24は、作動温度が数百℃と高温であり、電解質・電極接合体26では、燃料ガス中のメタンが改質されて水素が得られ、この水素がアノード電極に供給される。
【0034】
燃料ガス供給装置16は、炭化水素を主体とする原燃料(例えば、都市ガス)に含まれる硫黄成分を除去して燃料ガス、具体的には、脱硫された原燃料(以下、脱硫原燃料ともいう)を生成する第1の実施形態に係る脱硫器10を備える。脱硫器10の下流には、燃料ポンプ36が配置され、脱硫原燃料を蒸発器32に供給する。
【0035】
酸化剤ガス供給装置18は、エアポンプ(エアブロア)38を備え、酸化剤ガス(空気)を熱交換器30に供給する。水供給装置20は、水ポンプ40を備え、水を蒸発器32に供給する。
【0036】
蒸発器32の入口には、水ポンプ40と燃料ポンプ36とが接続されるとともに、前記蒸発器32の出口は、予備改質器34の入口に連結される。予備改質器34の出口は、燃料電池スタック22の燃料ガス供給連通孔(図示せず)に連通する。
【0037】
図2図4に示すように、脱硫器10は、立位姿勢に配置される外筒部材42と、前記外筒部材42内に立位姿勢で着脱自在(交換自在)に収容される内筒部材44とを備える。外筒部材42は、矢印A1方向(鉛直下方向)の一端(下部)が開口され、前記一端の外周面には、ねじ部(雄ねじ部)46が形成される。
【0038】
外筒部材42は、矢印A2方向(鉛直上方向)の他端(上部)に内側に絞って肩部48が設けられ、前記肩部48には、鉛直方向に向って複数本、例えば、3本のねじ穴50が等角度間隔ずつ離間して設けられる。外筒部材42の他端には、内周面にねじ溝(雌ねじ部)52が形成される。
【0039】
外筒部材42の外周部には、下部近傍に湿度計接続口54が形成される一方、上部近傍には、前記湿度計接続口54と同一の方向に向かって原燃料供給口55が形成される。湿度計接続口54には、湿度計56が装着されるとともに、原燃料供給口55は、脱硫前の原燃料を供給する原燃料供給口を構成し、前記原燃料供給口55には、原燃料供給管58が装着される。
【0040】
外筒部材42の外周面には、例えば、湿度計接続口54及び原燃料供給口55とは反対側に、軸方向に延在して透明部材60が設けられる。透明部材60は、外方から外筒部材42の内部が視認可能であればよく、前記外筒部材42の上部側に所定の長さに亘って設けられる。
【0041】
内筒部材44は、円筒形状を有し、矢印A1方向(鉛直下方向)の一端(下部)に第1網目状部材62aが固着される。第1網目状部材62aは、例えば、50メッシュ〜100メッシュに設定される。内筒部材44の矢印A2方向(鉛直上方向)の他端(上部)には、ねじ部(雄ねじ部)64が形成され、前記ねじ部64は、外筒部材42のねじ溝52に螺合する。
【0042】
内筒部材44は、脱硫剤66が充填される充填室68を有する。脱硫剤66は、例えば、銀ゼオライトやセリア系化合物等の脱硫触媒であり、直径が1mm〜2mmに設定される。内筒部材44の外周面には、1以上の、例えば、3つの透明部材70が形成される。各透明部材70は、内筒部材44の上方側に配置されるとともに、外筒部材42の透明部材60の範囲内に設けられ、脱硫器10の外部から脱硫剤66を視認することができる。なお、透明部材70は、透明部材60と同様に、軸方向に長尺な単一の部材で構成してもよい。
【0043】
外筒部材42内に内筒部材44が収容された状態で、前記外筒部材42の下部に第1蓋状部材72が設けられるとともに、前記外筒部材42の上部に第2蓋状部材74が設けられる。第1蓋状部材72は、有底のリング形状を有し、開口部側の端部内周面には、ねじ溝76が形成される。ねじ溝76には、外筒部材42のねじ部46が螺合する。
【0044】
第1蓋状部材72には、円筒形状の支持部(支持部材)80が形成される。支持部80は、内筒部材44の径寸法と略同一の径寸法を有しており、軸方向に突出する凸部80aと凹部80bとを交互に設ける。各凸部80aの先端は、内筒部材44の下端面に当接自在であり、前記内筒部材44の前記下端面と第1蓋状部材72の内面との間には、隙間81が形成される。
【0045】
第2蓋状部材74は、外筒部材42の上部にシール部材82を介装して挿入されるリング状嵌合部84を備える。リング状嵌合部84の先端には、第2網目状部材62bが装着される一方、前記リング状嵌合部84の後端には、板状取り付け部86が設けられる。板状取り付け部86には、複数本、例えば、3本のねじ88が等角度間隔ずつ離間して設けられる。各ねじ88が各ねじ穴50に螺合することにより、第2蓋状部材74は、外筒部材42の上部に装着される。
【0046】
第2蓋状部材74には、ジョイント部材90が設けられるとともに、前記ジョイント部材90には、外筒部材42の径方向に突出して原燃料排出口90aが形成される。原燃料排出口90aと原燃料供給口55とは、互いに同一方向に向かって開口しており、前記原燃料排出口90aには、原燃料排出管92が接続される。
【0047】
内筒部材44と外筒部材42との間には、入口側が原燃料供給口55に連通するとともに、出口側が第1網目状部材62aを介して充填室68の入口側に連通する原燃料流通通路94が設けられる。原燃料流通通路94は、第1蓋状部材72の支持部80と内筒部材44の下部との間に形成された隙間81を介して前記内筒部材44内の充填室68に連通する。
【0048】
このように構成される燃料電池システム12の動作について、以下に説明する。
【0049】
図1に示すように、燃料ガス供給装置16では、燃料ポンプ36の駆動作用下に、例えば、都市ガス(CH4、C26、C38、C410を含む)等の原燃料が、原燃料供給管58から脱硫器10に供給される。図3に示すように、脱硫器10では、原燃料が原燃料供給管58から原燃料流通通路94に供給され、前記原燃料流通通路94に沿って矢印A1方向に移動する。原燃料は、原燃料流通通路94の下端位置で、隙間81に導入された後、第1網目状部材62aを通って内筒部材44内の充填室68に供給される(矢印A2方向)。
【0050】
充填室68には、脱硫剤66が充填されており、原燃料は、前記充填室68を矢印A2方向に移動するとともに、前記原燃料に脱硫処理が施される。充填室68の上部に移動した原燃料は、第2網目状部材62bを通って第2蓋状部材74に導入され、ジョイント部材90から原燃料排出口90aに排出される。このため、脱硫処理が行われた原燃料は、原燃料排出管92を通って蒸発器32に供給される。
【0051】
一方、図1に示すように、水供給装置20では、水ポンプ40の駆動作用下に、水が蒸発器32に供給される。また、酸化剤ガス供給装置18では、エアブロア38の駆動作用下に、酸化剤ガスである、例えば、空気が熱交換器30に供給される。
【0052】
蒸発器32では、原燃料に水蒸気が混在されて混合燃料が得られ、この混合燃料は、予備改質器34の入口に供給される。混合燃料は、予備改質器34内で水蒸気改質され、C2+の炭化水素が除去(改質)されてメタンを主成分とする改質ガスが得られる。この改質ガスは、予備改質器34の出口から燃料電池スタック22に導入される。従って、改質ガス中のメタンが改質されて水素ガスが得られ、この水素ガスを主成分とする燃料ガスは、アノード電極(図示せず)に供給される。
【0053】
一方、熱交換器30に供給される空気は、この熱交換器30に沿って移動する際、後述する排ガスとの間で熱交換が行われ、所望の温度に予め加温されている。熱交換器30で加温された空気は、燃料電池スタック22に導入され、図示しないカソード電極に供給される。
【0054】
これにより、電解質・電極接合体26では、燃料ガスと空気との電気化学反応により発電が行われる。各電解質・電極接合体26の外周部に排出される高温(数百℃)の排ガスは、熱交換器30を通って空気と熱交換を行い、この空気を所望の温度に加温して温度低下が惹起される。この排ガスは、予備改質器34及び蒸発器32にも供給された後、外部に排出される。
【0055】
この場合、第1の実施形態では、図3に示すように、脱硫器10は、脱硫剤66が充填される充填室68を設ける内筒部材44と、前記充填室68の入口側に配置される第1網目状部材62a及び前記充填室68の出口側に配置される第2網目状部材62bとを備えている。脱硫器10は、内筒部材44を収容するとともに、充填室68の入口側の一端に第1蓋状部材72が設けられ、且つ、前記充填室68の出口側の他端に第2蓋状部材74が設けられる外筒部材42を備えている。そして、外筒部材42には、脱硫前の原燃料を供給する原燃料供給口55が設けられている。
【0056】
内筒部材44と外筒部材42との間には、入口側が原燃料供給口55に連通するとともに、出口側が第1網目状部材62aを介して充填室68の入口側に連通する原燃料流通通路94が設けられている。第2蓋状部材74には、第2網目状部材62bを介して充填室68の出口側に連通する原燃料排出口90aが設けられている。
【0057】
その際、第1蓋状部材72には、内筒部材44の下部(充填室68の入口側の一端)に当接し、前記内筒部材44の前記下部と前記第1蓋状部材72の内面との間に隙間81を形成する支持部80が設けられている。
【0058】
このため、第1の実施形態では、第1網目状部材62a及び第2網目状部材62bは、経時劣化により微細化した脱硫剤66が脱硫器10の外部に流出することを抑制することができ、耐久性の向上が図られる。しかも、脱硫剤66が劣化した際には、内筒部材44のみを交換するだけで対応することが可能になり、メンテナンス性が有効に向上する。
【0059】
具体的には、第1蓋状部材72を外筒部材42に対して螺回させ、ねじ部46とねじ溝76とを離脱させることにより、前記第1蓋状部材72が前記外筒部材42の下部から取り外される。次いで、内筒部材44を外筒部材42に対して螺回させ、ねじ部64とねじ溝52とを離脱させることにより、前記内筒部材44が前記外筒部材42から取り出される。さらに、新たな内筒部材44を外筒部材42に螺着するだけで、前記内筒部材44の交換作業が終了する。
【0060】
しかも、第2蓋状部材74を外筒部材42から取り外すことにより、脱硫剤66の補充や交換が容易に遂行される。すなわち、ねじ88をねじ穴50から離脱させ、第2蓋状部材74を外筒部材42から取り外すと、前記外筒部材42の上部が開放される。従って、内筒部材44の上部も開放され、脱硫剤66の補充、封入又は交換が容易に遂行される。
【0061】
また、原燃料は、原燃料流通通路94を流通するため、前記原燃料に含まれる水分が結露しても、脱硫剤66が前記水分に直接晒されることがない。このため、脱硫器10は、脱硫性能及び脱硫寿命を有効に向上させることができる。その上、原燃料流通通路94は、バッファ部(調圧室)として機能することができ、原燃料の脈動を抑制することが可能になる。
【0062】
さらに、外筒部材42の下部に設けられている第1蓋状部材72を着脱することにより、脱硫器10内に滞留する経時劣化で微細化した脱硫剤66や原燃料に含まれる水分を、容易に取り除くことができる。
【0063】
さらにまた、原燃料は、原燃料供給口55、原燃料流通通路94、第1網目状部材62a、充填室68、第2網目状部材62b及び原燃料排出口90aの順に流通されている。従って、脱硫反応時の発熱は、原燃料流通通路94を流通する原燃料により熱回収することが可能になる。
【0064】
また、脱硫器10内で内筒部材44が脱落した際にも、前記内筒部材44は、支持部80に保持されており、前記内筒部材44の下部と第1蓋状部材72の内面との間に隙間81が形成されている。これにより、簡単且つコンパクトな構成で、原燃料流通通路94が閉塞されることを確実に抑制することができ、燃料電池システム12の運転の継続が可能になる。
【0065】
さらに、原燃料流通通路94には、原燃料の湿度を計測する湿度計56が設けられている。このため、脱硫前に原燃料に含まれる水分の量及び割合を検出することが可能になる。従って、脱硫性能や脱硫寿命を予測して脱硫剤66のメンテナンス周期を算出することができ、又は、脱硫性能の低下によって燃料電池システム12に影響を及ぼす前に前記燃料電池システム12の停止を遂行することが可能になる。
【0066】
さらにまた、脱硫器10では、原燃料供給口55と原燃料排出口90aとは、互いに同一方向に向かって開口している。これにより、メンテナンス時に、原燃料供給口55に対する原燃料供給管58の着脱作業と原燃料排出口90aに対する原燃料排出管92の着脱作業とは、同一方向に行うことができる。このため、メンテナンス作業が効率的且つ容易に遂行可能になる。
【0067】
また、内筒部材44及び外筒部材42には、脱硫器10の外部から脱硫剤66を視認するための透明部材70、60が設けられている。従って、脱硫剤66の劣化状態を目視で確認することができ、前記脱硫剤66の交換時期を容易且つ確実に把握することが可能になる。
【0068】
さらに、脱硫器10は、固体酸化物形燃料電池用脱硫器である。これにより、特に耐久性、メンテナンス性及び脱硫性能の向上を図ることができ、最適である。
【0069】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る脱硫器100の断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る脱硫器10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0070】
脱硫器100では、第1蓋状部材72には、原燃料に含まれる水分を除去する除湿剤(例えば、シリカゲル)を有する除湿部102が設けられる。除湿部102は、支持部80の外周面に沿ってリング状に配置することにより、前記支持部80に保持されている。
【0071】
このため、第2の実施形態では、除湿部102により脱硫前に原燃料に含まれる水分を除去することができ、脱硫剤66の劣化を有効に抑制することが可能になる。しかも、第1蓋状部材72を着脱させることにより、除湿剤を容易に交換することができる。
【0072】
さらに、除湿部102は、支持部80に設けられている。従って、原燃料流通通路94が閉塞されることを確実に抑制することが可能になる。しかも、脱硫前に原燃料に含まれる水分による脱硫剤66の劣化を有効に抑制することができる。
【0073】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る脱硫器110の断面説明図である。
【0074】
脱硫器110は、第1蓋状部材112を備えるとともに、前記第1蓋状部材112には、脱硫器110内に滞留した水分を外部に排出するドレイン通路114が設けられる。ドレイン通路114には、ドレイン配管116が接続される。
【0075】
このように、第3の実施形態では、第1蓋状部材112には、脱硫器110内に滞留した水分を外部に排出するドレイン通路114が設けられている。これにより、脱硫器110内に滞留した水分を迅速に排出させることができ、前記水分による脱硫剤66の劣化を良好に抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0076】
10、100、110…脱硫器 12…燃料電池システム
14…燃料電池モジュール 16…燃料ガス供給装置
18…酸化剤ガス供給装置 20…水供給装置
22…燃料電池スタック 24…燃料電池
30…熱交換器 32…蒸発器
34…予備改質器 36…燃料ポンプ
38…エアブロア 40…水ポンプ
42…外筒部材 44…内筒部材
46…ねじ部 50…ねじ穴
52、76…ねじ溝 54…湿度計接続口
55…原燃料供給口 56…湿度計
60、70…透明部材 62a、62b…網目状部材
64…ねじ部 66…脱硫剤
68…充填室 72、74、112…蓋状部材
80…支持部 81…隙間
90…ジョイント部材 90a…原燃料排出口
94…原燃料流通通路 102…除湿部
114…ドレイン通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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