特開2015-229801(P2015-229801A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-229801(P2015-229801A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】メッキ装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/08 20060101AFI20151124BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   C25D17/08 S
   C25D17/08 G
   C25D7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-143871(P2014-143871)
(22)【出願日】2014年7月14日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0068275
(32)【優先日】2014年6月5日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ−ジュン ロー
(72)【発明者】
【氏名】チュル−キュ キム
【テーマコード(参考)】
4K024
【Fターム(参考)】
4K024BB11
4K024CB21
4K024GA16
(57)【要約】
【課題】メッキ装置を提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係るメッキ装置は、被メッキ体を収容するメッキ槽と、被メッキ体を支持するためにメッキ槽に設けられる支持フレームと、自重により被メッキ体に張力を加えるように支持フレームに結合される重量部と、を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被メッキ体を収容するメッキ槽と、
前記被メッキ体を支持するために前記メッキ槽に設けられる支持フレームと、
自重により前記被メッキ体に張力を加えるように前記支持フレームに結合される重量部と、
を含むメッキ装置。
【請求項2】
前記支持フレームが、
前記被メッキ体の上部を支持するために前記被メッキ体の上部に結合される上部クランプと、
前記重量部に結合され、前記被メッキ体の下部に結合される下部クランプと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のメッキ装置。
【請求項3】
前記支持フレームが、
前記被メッキ体の外郭に沿って前記上部クランプと前記下部クランプとの間に介在され、長さが可変可能である支持バーをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のメッキ装置。
【請求項4】
前記支持バーが、
互いに分離された上部バーと、下部バーと、前記上部バーと前記下部バーとを連結し、伸縮可能である伸縮体と、を含むことを特徴とする請求項3に記載のメッキ装置。
【請求項5】
前記支持フレーム及び前記重量部が載置可能に前記メッキ槽に設けられる支持台をさらに含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のメッキ装置。
【請求項6】
前記重量部が、自重の大きさを調整できることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のメッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷回路基板が携帯電話、半導体、情報通信などにおいて核心部品として使用されることになり、その技術力がますます重要となっている。特に、半導体ICなどの移動通信部品の小型化、高速化、高密度化、高性能化、電磁波遮蔽などの信頼性の向上とともに印刷回路基板の均一なメッキに対する必要性が強調されている。
【0003】
このような印刷回路基板における均一なメッキは、微細回路のメッキ膜を薄くし、均一化することにより高性能化できるとともに配線のプロファイルを低めて電子機器の雑音も低減することができる。また、メッキ厚さの均一化は、過メッキを防止することにより製造原価を低減する効果をもたらすことができる。
【0004】
しかし、回路の複雑な形態、電解槽及び電極の形態などの幾何学的要素や、溶液及び添加物の特性、電気化学反応の速度に関連した分極と電圧、反応イオンの濃度分布などメッキの際に複合的に作用する各種因子のために均一な電流分布を得にくく、これにより、メッキ厚さの偏差を効果的に改善することが困難であった。
【0005】
特に、メッキの際に代表的な不良事例のうちの一つである印刷回路基板の反り現象は、メッキの均一性に大きな影響を与えることがある。印刷回路基板に反りが発生すると、印刷回路基板の表裏面と陽極までの距離が変わり、陽極に近い面のメッキ厚さは増加し、陽極から遠い面のメッキ厚さは低減するなど、印刷回路基板における表裏面間のメッキ分布の差は勿論同一面においてもメッキの偏差をもたらすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10−1998−081740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、被メッキ体が反ることを防止してメッキ厚さの均一度を向上させることができるメッキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、被メッキ体を収容するメッキ槽と、被メッキ体を支持するためにメッキ槽に設けられる支持フレームと、自重により被メッキ体に張力を加えるように支持フレームに設けられる重量部と、を含むメッキ装置が提供される。
【0009】
ここで、支持フレームは、被メッキ体の上部を支持するために被メッキ体の上部に結合される上部クランプと、重量部に結合され、被メッキ体の下部に結合される下部クランプとを含むことができる。
【0010】
支持フレームは、被メッキ体の外郭に沿って上部クランプと下部クランプとの間に介在され、長さが可変である支持バーをさらに含むことができる。
【0011】
支持バーは、互いに分離された上部バーと、下部バーと、上部バーと下部バーとを連結し、伸縮可能である伸縮体と、を含むことができる。
【0012】
メッキ装置は、支持フレーム及び重量部が載置可能に、メッキ槽に設けられる支持台をさらに含むことができる。
【0013】
ここで、重量部は、自重の大きさを調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施例によれば、重量部の自重により被メッキ体に張力が加えられるので、被メッキ体の反りを防止でき、メッキ厚さの均一度を向上できるメッキ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例に係るメッキ装置を概略的に示す図面である。
図2】本発明の一実施例に係るメッキ装置においての支持フレーム及び重量部をより詳細に示す図面である。
図3】本発明の一実施例に係るメッキ装置を用いた被メッキ体のメッキ厚さの実験結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るメッキ装置の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明し、添付図面に基づいて説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0017】
また、以下で使用する「第1」、「第2」などの用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が第1、第2などの用語により限定されるものではない。
【0018】
また、「結合」とは、各構成要素の間の接触関係において、各構成要素の間に物理的に直接接触される場合のみを意味することではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、該他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として使用する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例に係るメッキ装置を概略的に示す図面である。図2は、本発明の一実施例に係るメッキ装置においての支持フレーム及び重量部をより詳細に示す図面である。図3は、本発明の一実施例に係るメッキ装置を用いた被メッキ体のメッキ厚さの実験結果を示す図面である。
【0020】
図1から図3に示すように、本発明の一実施例に係るメッキ装置1000は、メッキ槽100と、支持フレーム200と、重量部300とを含み、支持台400をさらに含むことができる。
【0021】
メッキ槽100は、被メッキ体10を収容する容器であって、被メッキ体10をメッキするためのメッキ液を収容することができる。この場合、被メッキ体10は、電気分解の原理を利用してメッキが施される対象体であって、メッキ液の収容されたメッキ槽100内に被メッキ体10を陰極として設け、メッキ槽100内に別途に設けられた陽極部に電流を供給すれば、陰極である被メッキ体10の表面にメッキが施されることができる。
【0022】
支持フレーム200は、被メッキ体10を支持するためにメッキ槽100に設けられるものであって、メッキ槽100内で被メッキ体10をメッキする際に被メッキ体10が流動することを防止することができる。
【0023】
一方、メッキ槽100内で被メッキ体10をメッキする際にメッキ液の圧力及び循環するメッキ液の挙動などにより被メッキ体10に反りが発生することがある。このように、被メッキ体10に反りが発生すると被メッキ体10の表裏面から陽極部までの距離が変わって、陽極部に近い面のメッキ厚さは増加し、陽極部から遠い面のメッキ厚さは低減するなど、被メッキ体10の表裏面間のメッキ分布の差は勿論同一面においてもメッキの偏差をもたらすことができる。
【0024】
したがって、本実施例に係るメッキ装置1000は、重量部300により被メッキ体10の反りを防止することができる。
【0025】
具体的に、重量部300は、自重により被メッキ体10に張力を加えるために支持フレーム200に結合されるものであって、張力により被メッキ体10はメッキ槽100内で伸びた状態を維持することができる。
【0026】
このように、本実施例に係るメッキ装置1000は、重量部300の自重により被メッキ体10に張力が加えられるので、被メッキ体10の反りを防止し、メッキ厚さの均一度を向上させることができる。
【0027】
以下に、図3を参照して被メッキ体10のメッキ厚さの偏差について具体的に説明する。
【0028】
図3は、本実施例に係るメッキ装置1000を用いて被メッキ体10の反りを防止した場合の実施例と、従来の一般的なメッキ装置のみを用いて被メッキ体10の反りを防止しない場合の比較例との被メッキ体10のメッキ厚さを比較した実験結果を示すグラフである。
【0029】
図3に示すように、従来の一般的なメッキ装置のみを用いて被メッキ体10の反りを防止しない場合の比較例では、被メッキ体10の反りにより中央部分のメッキ厚さが増加し、上部及び下部のメッキ厚さは低減することが分かる。
【0030】
これに対して、本実施例に係るメッキ装置1000を用いて被メッキ体10の反りを防止した場合の実施例では、被メッキ体10の上部、下部及び中央部分のメッキ厚さが均一に形成されたことが分かる。
【0031】
本実施例に係るメッキ装置1000において、支持フレーム200は、上部クランプ210と下部クランプ220とを含むことができる。
【0032】
上部クランプ210は、図1及び図2に示すように、被メッキ体10の上部を支持するために被メッキ体10の上部に結合されるものであって、支持フレーム200において横方向に設けられるブスバーなどに設けられて、被メッキ体10の上部を支持することができる。
【0033】
この場合、上部クランプ210は、通電可能な金属材質からなり、電源に接続可能な構成であることができる。これにより、上部クランプ210を介して直接的に支持フレーム200に通電可能となる。
【0034】
下部クランプ220は、図1及び図2に示すように、重量部300に結合され、被メッキ体10の下部に結合されるものであって、重量部300の自重により被メッキ体10の下部が下方向に引張られる張力を加えることができる。
【0035】
すなわち、被メッキ体10は、上部が上部クランプ210に支持され、下部が重量部300に結合された下部クランプ220により下方向に引張られて伸びた状態を維持することができる。
【0036】
この場合も、下部クランプ220は、上部クランプ210と類似に通電可能な金属材質からなり、電源に接続可能な構成であることができる。
【0037】
このように、本実施例に係るメッキ装置1000において、支持フレーム200は、上部クランプ210と下部クランプ220とを含むことで、より容易かつ効果的に被メッキ体10に張力を加えることができる。
【0038】
本実施例に係るメッキ装置1000において、支持フレーム200は、被メッキ体10の外郭に沿って上部クランプ210と下部クランプ220との間に介在され、長さが可変である支持バー230をさらに含むことができる。
【0039】
すなわち、図1及び図2に示すように、被メッキ体10は、縦方向に形成された支持バー230に、外郭の一部が結合されることにより支持されることができる。この場合、支持バー230は、被メッキ体10の両側面に対称するように一対に設けられ、被メッキ体10に均一な張力を加えることができる。
【0040】
ここで、被メッキ体10を縦方向に支持する支持バー230の長さが固定されていると、上述したような下部クランプ220に結合されている重量部300の自重が被メッキ体10に加えられることが遮断されるため、支持バー230は、重量部300の自重が相殺されないように長さを可変可能にすることができる。
【0041】
本実施例に係るメッキ装置1000において、支持フレーム200は、支持バー230をさらに含み、被メッキ体10の反りをより効果的に防止することができる。
【0042】
ここで、支持バー230は、上部バー231と、下部バー233と、伸縮体235とを含むことができる。
【0043】
上部バー231及び下部バー233は、それぞれ上部クランプ210及び下部クランプ220から互いに向かって延長され、互いに分離されており、一定の剛性を有するように構成されて被メッキ体10を縦方向に支持することができる。
【0044】
伸縮体235は、上部バー231と下部バー233とを連結し、伸縮可能なものであり、上部バー231及び下部バー233は伸縮体235を介して互いに連結されていながらも、上述したように支持バー230の全体的な長さが可変可能となる。
【0045】
この場合、伸縮体235は、材質の弾性により長さが可変であるスプリング構造、圧力の調整により長さが可変であるシリンダー構造、部材間の相対的な変位差により長さが可変であるスライド構造、引張力には対抗し、圧縮力には対抗しないようにして長さが可変である連結紐の構造などのように、長さを可変できる構造を含むことができ、必要によって多様に変形することができる。
【0046】
このように、本実施例に係るメッキ装置1000において支持バー230は、上部バー231、下部バー233及び伸縮体235を含むことにより、被メッキ体10の支持及び反りの防止機能を効果的に実現することができる。
【0047】
支持台400は、支持フレーム200及び重量部300が載置可能に、メッキ槽100に設けられるものであって、メッキ槽100に被メッキ体10を設置するステップで支持フレーム200及び重量部300を支持台400に載置することができる。
【0048】
そして、実際にメッキを施すステップでは、支持台400を落下するなどの方法により支持フレーム200及び重量部300から分離し、重量部300による張力が被メッキ体10に加えられるようにすることができる。
【0049】
上述したように、被メッキ体10においての反りは、メッキが施される際に陽極部と被メッキ体10の各部分との間に距離差が発生することによる問題であるため、メッキを施す前の被メッキ体10の初期設置ステップから重量部300による張力を加える必要はない。
【0050】
仮に、メッキを施す前の被メッキ体10の初期設置ステップから重量部300による張力が加えられると、被メッキ体10の設置が困難となったり、被メッキ体10に損傷を与えたりすることもある。
【0051】
したがって、本実施例に係るメッキ装置1000は、支持台400をさらに含み、重量部300による張力を被メッキ体10に加えるか否かを適宜制御することができる。
【0052】
一方、本実施例に係るメッキ装置1000において重量部300は、自重の大きさを調整可能である。例えば、重量部300を複数の重量体から構成し、状況によって、用いられる重量体の個数を変えたり、重量部300の内部に重量流体を収容できるように構成し、収容される重量流体の量を変えたりするなど多様な方法により自重の大きさを調整することができる。
【0053】
これにより、被メッキ体10の種類及びメッキの精密度に合わせて適宜重量部300の自重を調整することができ、より多様な状況及び環境に適するように本実施例に係るメッキ装置1000を制御することができる。
【0054】
以上、本発明の実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加することによって本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえよう。
【符号の説明】
【0055】
10 被メッキ体
100 メッキ槽
200 支持フレーム
210 上部クランプ
220 下部クランプ
230 支持バー
231 上部バー
233 下部バー
235 伸縮体
300 重量部
400 支持台
1000 メッキ装置
図1
図2
図3