特開2015-230031(P2015-230031A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230031(P2015-230031A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】電磁弁用省エネ回路
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20151124BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20151124BHJP
   H01F 7/18 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   F16K31/06 315
   F16K37/00 M
   H01F7/18 P
   H01F7/18 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-115905(P2014-115905)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
【テーマコード(参考)】
3H065
3H106
【Fターム(参考)】
3H065BA01
3H065BC10
3H106EE13
3H106EE22
3H106EE28
3H106FB42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ソレノイドコイルに印加する電源電圧が駆動電圧から保持電圧に正常に切り替えられたことを目視できる電磁弁用省エネ回路を提供すること。
【解決手段】第1スイッチング素子31がオン状態の場合には、プランジャの吸引に必要な駆動電圧に電源電圧を制御する一方、第1スイッチング素子31がオフ状態の場合には、プランジャを吸着保持するのに必要であって駆動電圧より低圧の保持電圧に電源電圧を制御する電磁弁用省エネ回路20に、ソレノイドコイル10と第1スイッチング素子31との間で第1スイッチング素子31に対して並列に接続するものであって、第1スイッチング素子31がオン状態の場合には、ソレノイドコイル10からの電流を供給されず、第1スイッチング素子31がオフ状態の場合には、ソレノイドコイル10からの電流を供給されて表示を行う第1表示回路40を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャを吸引するソレノイドコイルと、前記ソレノイドコイルに電源電圧を印加する電源と、前記ソレノイドコイルに対して直列に接続する第1スイッチング素子とを有し、前記第1スイッチング素子が前記電源から前記ソレノイドコイルに前記電源電圧を印加し始めてから電圧切替時間が経過するまでオン状態となる場合には、前記プランジャの吸引に必要な駆動電圧に前記電源電圧を制御する駆動状態となり、前記電圧切替時間が経過して前記第1スイッチング素子がオフ状態になった場合には、前記プランジャを吸着保持するのに必要であって前記駆動電圧より低圧の保持電圧に前記電源電圧を制御する保持状態となる電磁弁用省エネ回路において、
前記ソレノイドコイルと前記第1スイッチング素子との間で前記第1スイッチング素子に対して並列に接続するものであって、前記駆動状態の場合には、電流が流れず、前記保持状態の場合には、電流が流れて、前記保持状態であることを表示する第1表示回路を有する
ことを特徴とする電磁弁用省エネ回路。
【請求項2】
請求項1に記載する電磁弁用省エネ回路において、
前記ソレノイドコイルに対して並列に接続するものであって、前記駆動状態が前記電圧切替時間を超えて継続する場合に、電流が流れて、前記第1表示回路と異なる表示を行う第2表示回路を有する
ことを特徴とする電磁弁用省エネ回路。
【請求項3】
請求項2に記載する電磁弁用省エネ回路において、
前記第2表示回路は、
前記ソレノイドコイルに対して並列に接続する第2スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子に対して直接に接続し、前記第2スイッチング素子を流れる電流により表示を行う表示部材と、
前記電圧切替時間を超えて前記駆動電圧を印加される場合に、前記第2スイッチング素子をオフ状態からオン状態にする遅延回路を有する
ことを特徴とする電磁弁用省エネ回路。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載する電磁弁用省エネ回路において、
前記第1表示回路と前記第1スイッチング素子との間に接続し、前記第1スイッチング素子がオン状態の場合には電流が流れず、前記第1スイッチング素子がオフ状態の場合には電流が流れ、前記電源電圧を前記駆動電圧から前記保持電圧に低下させる抵抗回路を有すること、
前記第2表示回路は、前記第1表示回路と前記第1スイッチング素子との間に接続すること、
前記第1スイッチング素子がオフ状態になった後、前記第2表示回路が前記電圧切替時間を超えて前記駆動電圧を印加された場合に、前記第1表示回路と前記第2表示回路に電流が流れ、前記第1表示回路と第2表示回路が表示を行う
ことを特徴とする電磁弁用省エネ回路。
【請求項5】
請求項4に記載する電磁弁用省エネ回路において、
前記第1表示回路と前記第2表示回路による表示を、2色で点灯する発光ダイオードにより行う
ことを特徴とする電磁弁用省エネ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁のソレノイドコイルに印加する電源電圧を制御する電磁弁用省エネ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁弁は、一般的に、ソレノイドコイルが通電されると磁界を発生し、プランジャを吸引することで、駆動する。このような電磁弁を、例えば、医療分析装置の流体制御に用いる場合、コイル温度の上昇も分析結果に影響するような精度が要求される場合がある。その一方で、医療分析装置の小型化に伴い、電磁弁の小型化も要求されるが、ソレノイドコイルに供給する電力を性能上増加させることが必要になってきている。
【0003】
この対策として、電磁弁は、一般的に、ソレノイドコイルに印加する電源電圧を、プランジャ吸引時にはプランジャの吸引に必要な駆動電圧に制御する一方、プランジャを吸着保持する吸着保持時には、プランジャの吸着保持に最低限必要であって駆動電圧より低圧の保持電圧に制御する電磁弁用省エネ回路を用いている。この電磁弁用省エネ回路によれば、電磁弁を小型にしつつ、コイルに供給する電力を増加させる一方で、プランジャを吸着保持した後にソレノイドコイルに印加する電圧を抑え、コイルの温度上昇を抑制することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−187520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電磁弁は、ソレノイドコイルに印加する電圧が駆動電圧から保持電圧に切り替えられたことを確認する手段がなかった。電磁弁は、駆動電圧をソレノイドコイルに印加し続けると、コイルが発熱する。ソレノイドコイルの発熱は、コイル抵抗値を変動させ、電磁弁の流量制御精度を低下させる恐れがある。更にコイルの発熱を放置すると、コイル断線が生じる可能性がある。よって、現場からは、ソレノイドコイルに印加する電圧を駆動電圧から保持電圧に正常に切り替えられたことを確認できる何らかの手段を設けることが要求されていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ソレノイドコイルに印加する電源電圧が駆動電圧から保持電圧に正常に切り替えられたことを目視できる電磁弁用省エネ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、次のような構成を有している。
(1)プランジャを吸引するソレノイドコイルと、前記ソレノイドコイルに電源電圧を印加する電源と、前記ソレノイドコイルに対して直列に接続する第1スイッチング素子とを有し、前記第1スイッチング素子が前記電源から前記ソレノイドコイルに前記電源電圧を印加し始めてから電圧切替時間が経過するまでオン状態となる場合には、前記プランジャの吸引に必要な駆動電圧に前記電源電圧を制御する駆動状態となり、前記電圧切替時間が経過して前記第1スイッチング素子がオフ状態になった場合には、前記プランジャを吸着保持するのに必要であって前記駆動電圧より低圧の保持電圧に前記電源電圧を制御する保持状態となる電磁弁用省エネ回路において、前記ソレノイドコイルと前記第1スイッチング素子との間で前記第1スイッチング素子に対して並列に接続するものであって、前記駆動状態の場合には、電流が流れず、前記保持状態の場合には、電流が流れて、前記保持状態であることを表示する第1表示回路を有することを特徴とする。
【0008】
(2)(1)に記載の構成において、好ましくは、前記ソレノイドコイルに対して並列に接続するものであって、前記駆動状態が前記電圧切替時間を超えて継続する場合に、電流が流れて、前記第1表示回路と異なる表示を行う第2表示回路を有する。
【0009】
(3)(2)に記載の構成において、好ましくは、前記第2表示回路は、前記ソレノイドコイルに対して並列に接続する第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子に対して直接に接続し、前記第2スイッチング素子を流れる電流により表示を行う表示部材と、前記電圧切替時間を超えて前記駆動電圧を印加される場合に、前記第2スイッチング素子をオフ状態からオン状態にする遅延回路を有する。
【0010】
(4)(2)又は(3)に記載の構成において、好ましくは、前記第1表示回路と前記第1スイッチング素子との間に接続し、前記第1スイッチング素子がオン状態の場合には電流が流れず、前記第1スイッチング素子がオフ状態の場合には電流が流れ、前記電源電圧を前記駆動電圧から前記保持電圧に低下させる抵抗回路を有すること、前記第2表示回路は、前記第1表示回路と前記第1スイッチング素子との間に接続すること、前記第1スイッチング素子がオフ状態になった後、前記第2表示回路が前記電圧切替時間を超えて前記駆動電圧を印加された場合に、前記第1表示回路と前記第2表示回路に電流が流れ、前記第1表示回路と第2表示回路が表示を行う。
【0011】
(5)(4)に記載の構成において、好ましくは、前記第1表示回路と前記第2表示回路による表示を、2色で点灯する発光ダイオードにより行う。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の電磁弁用省エネ回路は、電源からソレノイドコイルに電源電圧を印加し始めてから電圧切替時間が経過するまでは、第1スイッチング素子がオン状態となる。この場合、電磁弁用省エネ回路は、ソレノイドコイルがプランジャを吸引するのに必要な駆動電圧に、電源電圧を制御する駆動状態となる。その後、電磁弁用省エネ回路は、駆動電圧を印加し始めてから電圧切替時間が経過すると、第1スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替える。この場合、電磁弁用省エネ回路は、ソレノイドコイルがプランジャを吸着保持するのに必要であって駆動電圧より低圧の保持電圧に、電源電圧を制御する保持状態となる。
【0013】
第1表示回路は、ソレノイドコイルと第1スイッチング素子との間で第1スイッチング素子に対して並列に設けられている。この第1表示回路は、電磁弁用省エネ回路が駆動状態の場合には、電流が供給されず、表示を行わない。しかし、第1表示回路は、電磁弁用省エネ回路が保持状態の場合には、電流が流れ、保持状態であることを表示する。すなわち、電磁弁用省エネ回路は、電源電圧が駆動電圧から保持電圧に切り替えられると、第1表示回路が表示を行う。そのため、ユーザは、第1表示回路の表示を見て、電源電圧が駆動電圧から保持電圧に正常に切り替えられ、コイルの発熱が抑制されており、流量制御精度が安定していることや、コイルが断線する可能性が低いことを確認することが可能である。
【0014】
従って、上記構成の電磁弁用省エネ回路によれば、ソレノイドコイルに印加する電源電圧が駆動電圧から保持電圧に正常に切り替えられたことを目視できる。
【0015】
上記構成の電磁弁用省エネ回路は、例えば、第1スイッチング素子が故障した場合、電圧切替時間が経過しても、第1スイッチング素子がオン状態を継続するため、駆動状態を維持する。この場合、第1表示回路は、電流が流れず、表示を行わない。一方、ソレノイドコイルに対して並列に接続する第2表示回路は、駆動状態が電圧切替時間を超えて継続すると、電流が流れて、第1表示回路と異なる表示を行う。そのため、ユーザは、第2表示回路の表示より、電源電圧が電圧切替時間内に駆動電圧から保持電圧に切り替えられていないことを知り、電磁弁用省エネ回路を点検して故障した部品を交換するなど、適切な対応するすることが可能である。これによって、電磁弁は、流量制御性能を低下させる時間が短くなり、しかも、コイル断線が未然に防止されるようになる。
【0016】
よって、上記構成の電磁弁用省エネ回路によれば、第1スイッチング素子の故障等により、電圧切替時間を超えて駆動状態を維持する場合には、第2表示回路のみが表示を行うので、電源電圧が駆動電圧から保持電圧に正常に切り替えられていないことを第2表示回路の表示により目視できる。
【0017】
上記構成の電磁弁用省エネ回路は、遅延回路が電圧切替時間を超えて駆動電圧を印加される場合に、ソレノイドコイルに対して並列に接続する第2スイッチング素子をオフ状態からオン状態にする。すると、第2スイッチング素子に電流が流れ、表示部材が表示を行う。よって、上記構成の電磁弁用省エネ回路によれば、簡単な回路構成で、第2スイッチング素子のオン/オフ状態を切り替えるタイミングを、第1スイッチング素子より遅らせ、電源電圧が駆動電圧から保持電圧に正常に切り替えられていないことを表示できる。
【0018】
上記構成の電磁弁用省エネ回路は、コイル断線が発生した場合、第1スイッチング素子がオン状態からオフ状態に切り替えられても、ソレノイドコイルから抵抗回路へ電流が流れない。そのため、第2表示回路は、電圧切替時間を超えて駆動電圧を印加される。この場合、第1スイッチング素子がオフ状態であり、第2表示回路がオン状態になるため、電流が、第2表示回路から抵抗回路と第1表示回路に供給され、第1表示回路と第2表示回路が表示を行う。そのため、ユーザは、第1及び第2表示回路の表示からコイル断線を知り、電磁弁の交換等の適切な対応をすることが可能である。よって、上記構成の電磁弁用省エネ回路によれば、第1及び第2表示回路が表示する状態から、コイル断線が発生したことをユーザに確認させることができる。
【0019】
上記構成の電磁弁用省エネ回路によれば、第1表示回路と第2表示回路による表示を、2色で発光する発光ダイオードにより行うので、例えば、正常時には発光ダイオードを緑色に点灯させ、故障等の異常発生時には発光ダイオードを赤色に点灯させ、コイル断線が発生した場合には発光ダイオードを青色と赤色の混合色で点灯させることにより、正常時と異常時とコイル断線時の表示を少ない部品点数で簡単に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る電磁弁用省エネ回路の概略構成図である。
図2】電磁弁の作動波形の一例を示す図である。
図3図1に示す電磁弁用省エネ回路において、図2に示すプランジャ吸引動作中における電気の流れを説明する図である。
図4図1に示す電磁弁用省エネ回路において、図2に示すプランジャ吸着保持動作中における電気の流れを説明する図である。
図5図1に示す電磁弁用省エネ回路において、図2に示す異常時における電気の流れを説明する図である。
図6図1に示す電磁弁用省エネ回路において、断線時における電気の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る電磁弁用省エネ回路の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る電磁弁用省エネ回路20の電気回路図である。電磁弁用省エネ回路20は、電源21から電磁弁のソレノイドコイル10に印加する電源電圧を制御するものである。電磁弁用省エネ回路20は、正常時と異常時とコイル断線時とで第1発光ダイオード42と第2発光ダイオード57の点灯状態を変え、動作状態を目視できるように構成されている。
【0023】
電磁弁用省エネ回路20は、電力を供給する電源21と、基準電圧を設定するグラウンド22を備える。グラウンド22の上流側には、ダイオード25が配置され、逆電流を防止している。電磁弁用省エネ回路20は、第1及び第2接続端子23,24を介してソレノイドコイル10が接続されている。ソレノイドコイル10は、第1接続端子23を介して電源21に接続され、第2接続端子24を介してグラウンド22に接続されている。
【0024】
電磁弁用省エネ回路20は、主として、電圧切替回路30と、抵抗回路46と、第1表示回路40と、第2表示回路50を備える。
【0025】
電圧切替回路30は、電源21からソレノイドコイル10に印加する電源電圧を、プランジャの吸引に必要な駆動電圧V1から、プランジャの吸着保持に必要であって駆動電圧V1より低圧の保持電圧V2に切り替えるタイミングを制御するものである。電圧切替回路30は、第1MOSFET31(第1スイッチング素子の一例)と、遅延回路32を備える。
【0026】
第1MOSFET31は、ソレノイドコイル10に対して直列に接続している。第1MOSFET31は、電源21からソレノイドコイル10に電源電圧を印加し始めてから電圧切替時間t1(本実施形態では0.1秒間とする。)が経過するまではオン状態となり、電圧切替時間t1が経過した後にオフ状態になる。遅延回路32は、電圧切替時間t1を計測し、第1MOSFET31のオン状態を維持する時間を制御する。
【0027】
第1MOSFET31は、ゲート31Gが遅延回路32に接続され、ドレイン31Dがソレノイドコイル10に接続され、ソース31Sがグラウンド22に接続されている。第1MOSFET31は、ゲート31Gにゲート電圧が印加されない場合には、ドレイン31Dとソース31Sが接続して電流を流すオン状態になり、ソレノイドコイル10からグラウンド22へ電流を流す。一方、第1MOSFET31は、ゲート31Gにゲート電圧が印加される場合には、ドレイン31Dとソース31Sが遮断されて電流を流さないオフ状態にになり、グラウンド22へ電流を流さない。遅延回路32は、抵抗器33と、コンデンサ34により構成されている。コンデンサ34は、駆動電圧V1を電圧切替時間t1(本実施形態では0.1秒間とする。)印加される分だけ蓄電できる静電容量を有する。
【0028】
電磁弁用省エネ回路20は、抵抗器35、抵抗器36、ゲート保護ダイオード37により、第1MOSFET31を作動させるゲート電圧を制御し、第1MOSFET31の故障を防いでいる。また、電磁弁用省エネ回路20は、双方向性降伏ダイオード38とダイオード39が第1MOSFET31をサージ電圧から保護している。更に、電磁弁用省エネ回路20は、定電圧ダイオード43が第1MOSFET31及びソレノイドコイル10と並列に設けられ、プランジャ吸引時に第1MOSFET31及びソレノイドコイル10に一定の電圧が印加されるようにしている。
【0029】
抵抗回路46は、ソレノイドコイル10と第1MOSFET31を接続する系統71に、ソレノイドコイル10に対して並列に接続している。抵抗回路46は、電源21からソレノイドコイル10に印加される電源電圧を変化させるものである。
【0030】
具体的に説明すると、抵抗回路46は、第1MOSFET31がオン状態である場合には、ソレノイドコイル10と第1MOSFET31を接続する系統71と、第1MOSFET31とグラウンド22を接続する系統72との間に電圧差がないため、電流が流れない。この場合、電源21からソレノイドコイル10に印加される電源電圧は、駆動電圧V1(本実施形態では24V)に制御される。換言すると、電磁弁用省エネ回路20が駆動状態になる。
【0031】
一方、抵抗回路46は、系統71,72の間に電圧差が生じるため、電流が流れる。この場合、電源電圧は、駆動電圧V1から保持電圧V2(本実施形態では12V)に低下する。換言すると、電磁弁用省エネ回路20が保持状態になる。
【0032】
第1表示回路40は、ソレノイドコイル10と第1MOSFET31との間で第1MOSFET31に対して並列に接続している。第1表示回路40は、第1MOSFET31がオン状態の場合には、ソレノイドコイル10からの電流を供給されず、第1MOSFET31がオフ状態の場合には、ソレノイドコイル10からの電流を供給されて、保持状態であることを表示する。
【0033】
第1表示回路40は、抵抗器41と第1発光ダイオード42を備える。抵抗器41は、第1MOSFET31がオン状態の場合に、第1発光ダイオード42を表示させる電流が第1表示回路40へ流れ込まないようにしている。第1発光ダイオード42は、抵抗器41に対して直列に接続され、抵抗器41から供給される電流によって緑色に発光する。
【0034】
第2表示回路50は、ソレノイドコイル10に対して並列に接続されている。第2表示回路50は、電圧切替時間t1を超える故障検出時間t10(本実施形態では1秒間とする。)が経過するまで、駆動電圧V1を印加されると、駆動状態から保持状態に切り替わっていないことを表示するものである。第2表示回路50は、主に、第2MOSFET51(第2スイッチング素子の一例)と、遅延回路52と、第2発光ダイオード57を備える。
【0035】
第2MOSFET51は、ソレノイドコイル10に対して並列に接続している。第2MOSFET51は、ゲート51Gが遅延回路52に接続され、ドレイン51Dが電源21と電圧切替回路30を接続する系統73に接続し、ソース51Sが第2発光ダイオード57に接続されている。第2MOSFET51は、ゲート電圧が印加されない場合には、ドレイン51Dとソース51Sが遮断されて電流を流さないオフ状態になる一方、ゲート電圧が印加される場合には、ドレイン51Dとソース51Sが接続して電流を流すオン状態になる。第2発光ダイオード57は、第2MOSFET51がオン状態になった場合に、赤色に点灯する。第2MOSFET51と第2発光ダイオード57の間には、抵抗器56が配置され、第2発光ダイオード57に供給する電流を安定させている。
【0036】
遅延回路52は、故障検出時間t10を計測し、第2MOSFET51をオフ状態からオン状態に切り替えるタイミングを制御するものである。より詳しくは、遅延回路52は、コンデンサ53と、抵抗器54,55で構成されている。コンデンサ53は、ソレノイドコイル10に対して並列に接続しており、駆動電圧V1を故障検出時間t10印加する分だけ蓄電可能な静電容量を有する。かかる遅延回路52は、ソレノイドコイル10が故障検出時間t10が経過するまで駆動電圧V1を印加される場合に、換言すると、ソレノイドコイル10が電圧切替時間t1を超えて駆動電圧V1を印加される場合に、ゲート電圧を第2MOSFET51に印加する。つまり、遅延回路52は、コンデンサ53の静電容量がコンデンサ34の静電容量より大きく、第2MOSFET51をオフ状態からオン状態に切り替える時間を、第1MOSFET31をオン状態からオフ状態に切り替える時間より、遅らせることにより、電磁弁用省エネ回路20が電圧切替時間t1内に駆動状態から保持状態に切り替えられないという異常を目視できるようにしている。
【0037】
電磁弁用省エネ回路20は、遅延回路52と並列にダイオード58が接続し、コンデンサ53から放電された電流が電源21へ逆流することを防いでいる。また、電磁弁用省エネ回路20は、コンデンサ53と並列にゲート保護用ダイオード59が接続し、ゲート電圧を安定させている。また、電磁弁用省エネ回路20は、第2MOSFET51と並列に双方向性降伏ダイオード60とダイオード61が設けられ、第2MOSFET51をサージ電圧から保護している。更に、電磁弁用省エネ回路20は、第2表示回路50と並列に定電圧ダイオード62が設けられ、コンデンサ34、53に印加される電圧を安定させている。
【0038】
次に、上記電磁弁用省エネ回路20の動作を説明する。電磁弁用省エネ回路20は、電圧切替時間t1内に、電源21からソレノイドコイル10に駆動電圧V1を印加する駆動状態を、電源21からソレノイドコイル10に保持電圧V2を印加する保持状態に切り替える正常時と、電圧切替時間t1を超えても第1MOSFET31がオフ状態にならない異常時と、ソレノイドコイル10に断線が生じたコイル断線時によって、異なる表示を行う。以下、各表示動作について説明する。
【0039】
<正常時>
図2は、電磁弁の作動波形の一例を示す図であって、縦軸は、ソレノイドコイル10に印加する電圧を示し、横軸は、時間を示す。図3は、図1に示す電磁弁用省エネ回路20において、図2のBに示すプランジャ吸引動作中における電気の流れを説明する図である。図4は、図1に示す電磁弁用省エネ回路20において、図2のCに示すプランジャ吸着保持動作中における電気の流れを説明する図である
【0040】
図2に示すように、電磁弁は、電源21からソレノイドコイル10に電圧を印加しない場合には(図中A参照)、ソレノイドコイル10がプランジャを吸引せず、駆動しない。(この状態を「初期状態」ともいう。)電磁弁を駆動する場合、プランジャの動き出しに力を要する。そのため、電磁弁用省エネ回路20は、プランジャ吸引時Bには、ソレノイドコイル10に駆動電圧V1を印加することが望ましい。
【0041】
この場合、図3に示すように、電磁弁用省エネ回路20は、電流が電源21からソレノイドコイル10を介して第1MOSFET31のドレイン31Dに供給される。このとき、電流は、ソレノイドコイル10に対して並列に設けられたコンデンサ26へも流れる。コンデンサ26は、駆動電圧V1を電圧切替時間t1印加された分だけ蓄電する静電容量を有する。そのため、第1MOSFET31は、電圧切替時間t1が経過するまでは、ゲート31Gにゲート電圧が印加されない。よって、第1MOSFET31は、オン状態となり、ソレノイドコイル10から供給された電流がグラウンド22へ流れる。
【0042】
この場合、電磁弁用省エネ回路20は、抵抗回路46に電流が流れず、電源電圧が駆動電圧V1に制御される。また、第1表示回路40にも、電流が流れず、第1発光ダイオード42が消灯している。
【0043】
一方、第2表示回路50は、ソレノイドコイル10に対して並列に接続するコンデンサ53に、駆動電圧V1が印加される。コンデンサ53は、駆動電圧V1を電圧切替時間t1を超えて印加される分だけ蓄電可能な静電容量を有する。そのため、第2MOSFET51は、遅延回路52からゲート電圧を印加されず、オフ状態になっている。よって、第2発光ダイオード57が消灯している。
【0044】
図4に示すように、電磁弁用省エネ回路20は、電源21からソレノイドコイル10に駆動電圧V1を印加し始めてから電圧切替時間t1が経過すると、コンデンサ34が放電を開始する。これにより、第1MOSFET31は、ゲート31Gにゲート電圧が印加され、オフ状態になる。すると、電磁弁用省エネ回路20は、抵抗回路46に電流が流れ、電源電圧が駆動電圧V1から保持電圧V2に低下する(図2のC参照)。
【0045】
第1表示回路40も、抵抗回路46と同様、ソレノイドコイル10と第1MOSFET31の間でソレノイドコイル10に対して並列に接続するため、第1MOSFET31がオフ状態になると、電流が流れる。そのため、第1表示回路40では、第1発光ダイオード42が抵抗器41を介して電流を供給され、緑色に点灯する。
【0046】
一方、第2表示回路50では、電圧切替時間t1内に電源電圧が駆動電圧V1から保持電圧V2に切り替えられると、コンデンサ53が蓄電しない。そのため、第2MOSFET51は、遅延回路52からゲート電圧を印加されず、オフ状態を維持する。よって、第2発光ダイオード57が点灯しない。
【0047】
電磁弁用省エネ回路20は、通電設定時間t2が経過すると、ソレノイドコイル10への通電を停止し、保持状態を解除する。これにより、電磁弁が、初期状態に復帰する。
【0048】
以上のように、電磁弁用省エネ回路20は、電圧切替時間t1内に、電源21からソレノイドコイル10に駆動電圧V1を印加する駆動状態から、電源21からソレノイドコイル10に保持電圧V2を印加する保持状態に正常に切り替えた場合には、第1発光ダイオード42のみが緑色に点灯する。そのため、ユーザは、緑色に発光する第1発光ダイオード42を見て、電源電圧が駆動電圧V1から保持電圧V2に正常に切り替えられ、ソレノイドコイル10の発熱が抑制されており、流量制御精度が安定していることや、ソレノイドコイル10が断線する可能性が低いことを確認することが可能である。
【0049】
よって、本実施形態の電磁弁用省エネ回路20によれば、ソレノイドコイル10に印加する電源電圧が駆動電圧V1から保持電圧V2に正常に切り替えられたことを目視できる。
【0050】
<異常時>
図2に示すように、例えば、第1MOSFET31が故障し、第1MOSFET31が電圧切替時間t1を経過してもオン状態からオフ状態に切り替えられない異常時Dには、電磁弁用省エネ回路20は、電圧切替時間t1を過ぎても駆動状態を維持する。この場合、電磁弁は、コイル温度が上昇して、流量制御精度を低下させ、最悪の場合には、コイル断線を生じる可能性がある。そこで、電磁弁用省エネ回路20は、第2発光ダイオード57のみに表示を行わせる。
【0051】
図5は、図1に示す電磁弁用省エネ回路20において、図2のDに示す異常時における電気の流れを説明する図である。上記異常時Dでは、第1MOSFET31が電圧切替時間t1を経過してもオン状態であり続けるため、第1表示回路40には電流が流れない。そのため、第1発光ダイオード42は消灯している。
【0052】
一方、第2表示回路50は、ソレノイドコイル10に対して並列に接続しているため、ソレノイドコイル10と同様に、駆動電圧V1がコンデンサ53に印加され続ける。電源21からソレノイドコイル10に駆動電圧V1を印加し始めてから電圧切替時間t1を超える故障検出時間t10が経過すると、コンデンサ53が放電を開始し、第2MOSFET51のゲート51Gにゲート電圧を印加する。すると、第2MOSFET51は、ドレイン51Dとソース51Sが接続して電流を流し、オフ状態からオン状態に切り替えられる。これにより、第2発光ダイオード57が赤色に点灯する。
【0053】
第2表示回路50を流れた電流は、オン状態の第1MOSFET31を介してグラウンド22へ流れる。そのため、第1表示回路40には、電流が流れず、第1発光ダイオード42は消灯し続ける。
【0054】
上記のように、第1MOSFET31が故障した場合には、第2発光ダイオード57のみが赤色に点灯する。つまり、第2発光ダイオード57が、第1発光ダイオード42と異なる色で点灯する。この場合、ユーザは、赤色の発光状態を見て、電磁弁用省エネ回路20に故障が発生したために、電源電圧が駆動電圧V1から保持電圧V2に切り替えられていないことを知り、電磁弁用省エネ回路20を点検して故障した部品を交換する等、適切な対応をすることが可能である。これによって、電磁弁は、流量制御性能を低下させる時間が短くなり、しかも、コイル断線が未然に防止されるようになる。
【0055】
従って、上記電磁弁用省エネ回路20によれば、第1MOSFET31の故障等により、電圧切替時間t1を超えて駆動状態を維持する場合には、第2表示回路50の第2発光ダイオード57のみが赤色に発光するので、電源電圧が駆動電圧V1から保持電圧V2に正常に切り替えられていないことを第2表示回路50の表示(第2発光ダイオード57の点灯状態)により目視できる。
【0056】
特に、電磁弁用省エネ回路20は、遅延回路52が電圧切替時間t1を超えて駆動電圧V1を印加される場合に、ソレノイドコイル10に対して並列に接続する第2MOSFET51をオフ状態からオン状態にする。すると、第2MOSFET51に電流が流れ、第2発光ダイオード57が点灯する。よって、電磁弁用省エネ回路20によれば、簡単な回路構成で第2MOSFET51のオン/オフ状態を切り替えるタイミングを、第1MOSFET31より遅らせ、電源電圧が駆動電圧V1から保持電圧V2に正常に切り替えられていないことを表示できる。
【0057】
<コイル断線時>
図6は、図1に示す電磁弁用省エネ回路20において、コイル断線時における電気の流れを説明する図である。電磁弁は、コイル断線が生じると、交換を要する。つまり、コイル断線の対応策は、電磁弁用省エネ回路20の故障と相違する。そこで、電磁弁用省エネ回路20は、第1及び第2表示回路40,50に同時に表示を行わせることで、コイル断線を表示する。
【0058】
図6に示すように、電磁弁用省エネ回路20は、電源21からソレノイドコイル10に駆動電圧V1を印加し始めた場合、第1MOSFET31がオン状態になっている。この場合に、例えばソレノイドコイル10が断線により電流を流さないと、ソレノイドコイル10から第1MOSFET31へ電流が流れない。また、第2表示回路50は、コンデンサ53が蓄電するため、第2MOSFET51がオフ状態であり、第1MOSFET31へ電流を流さない。よって、この時点では、第1及び第2発光ダイオード42,57が何れも点灯していない。
【0059】
電圧切替回路30のコンデンサ34は、駆動電圧V1を印加されてから電圧切替時間t1が経過すると、放電を開始する。すると、第1MOSFET31がオン状態からオフ状態に切り替えられる。
【0060】
しかし、ソレノイドコイル10に電流が流れないため、ソレノイドコイル10から第1表示回路40へ電流が流れない。よって、第1発光ダイオード42は消灯している。また、抵抗回路46も、電流を供給されない。そのため、第2表示回路50は、電圧切替時間t1を超えてコンデンサ53に駆動電圧V1を印加され続ける。
【0061】
コンデンサ53は、駆動電圧V1を印加され始めてから故障検出時間t10が経過すると(駆動状態が電圧切替時間t1を超えて維持されると)、放電を開始し、第2MOSFET51をオフ状態からオン状態に切り替える。すると、第2発光ダイオード57は、第2MOSFET51から電流を供給され、赤色に点灯する。第2発光ダイオード57に流れた電流は、系統71へ流れる。
【0062】
第1MOSFET31は、電圧切替時間t1が経過したときにオフ状態にされている。また、第1表示回路40は、抵抗回路46より電流が流れやすいので、第2発光ダイオード57に流れた電流が流れ、第1発光ダイオード42が緑色に点灯する。
【0063】
上記のように、ソレノイドコイル10に電流が流れない場合には、第1及び第2発光ダイオード42,57が点灯する。ユーザは、第1及び第2発光ダイオード42,57の混合色(橙色)を見て、ソレノイドコイル10が断線や接触不良等により電流を流していないことを確認し、電磁弁の交換等の適切な対応をとることが可能である。
【0064】
従って、上記電磁弁用省エネ回路20によれば、第1及び第2発光ダイオード42,57が発光する色(橙色)から、コイル断線が発生したことをユーザに確認させることができる。
【0065】
上記実施形態では、第1表示回路40と第2表示回路50による表示を、2色で発光する発光ダイオード42,57により行うので、正常時には第1発光ダイオード42を緑色に発光させ、異常時には第2ダイオード57を赤色に発光させ、コイル断線時には第1及び第2発光ダイオード42,57を同時に点灯して混合色で発光させることにより、正常時と異常時とコイル断線時の表示を少ない部品点数で簡単に変えることができる。
【0066】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、第1MOSFET31を第1スイッチング素子の一例に挙げたが、トランジスタやリミットスイッチ等のスイッチング機能を有するものを第1MOSFET31に置き換えて使用しても良い。
例えば、第2MOSFET51は、トランジスタやリミットスイッチ等のスイッチング機能を有するものに置き換えても良い。
例えば、2色で発光する第1及び第2発光ダイオード42,57により表示を行ったが、表示方法はこれに限定されず、LED以外のランプや、液晶画面等により、表示を行っても良い。
【符号の説明】
【0067】
10 ソレノイドコイル
20 電磁弁用省エネ回路
21 電源
31 第1MOSFET(第1スイッチング素子の一例)
40 第1表示回路
42 第1発光ダイオード(発光ダイオードの一例)
50 第2表示回路
57 第2発光ダイオード(発光ダイオードの一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6