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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230116(P2015-230116A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 13/02 20060101AFI20151124BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   F24D13/02 C
   F24D13/02 B
   F24C7/04 301D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-115945(P2014-115945)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長尾 光久
(72)【発明者】
【氏名】神山 亜矢子
【テーマコード(参考)】
3L072
3L087
【Fターム(参考)】
3L072AA01
3L072AB02
3L072AC02
3L072AE01
3L072AF06
3L072AG03
3L072AG07
3L087AA11
3L087BC07
3L087DA14
(57)【要約】
【課題】暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に電源の供給が絶たれても、ユーザに不快感を与えるおそれを低減することができる暖房装置の提供。
【解決手段】電気ストーブ10は、暖房レベルの設定を受け付けるレベル受付部29bと、運転モードを受け付けるモード受付部29aと、出力が可変なヒータ21と、ヒータ21の周囲温度を検出する温度センサと、制御部と、を備える。運転モードには、通常暖房モードと、急速暖房モードと、が含まれる。急速暖房モードは、暖房開始時に、周囲温度を急速に上げる運転モードである。制御部は、モード受付部29aが受け付けた運転モードに応じて、ヒータ21の出力を制御する。そして、制御部は、急速暖房モードにおいて、温度センサによって検出される周囲温度値が暖房レベル毎に決定されている温度閾値に達したときに、運転モードを急速暖房モードから通常暖房モードに移行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力の可変なヒータ(21)と、
暖房レベルの設定を受け付けるレベル受付部(29b)と、
通常暖房モードと、暖房開始時に前記ヒータの周囲温度を急速に上げる急速暖房モードとを含む運転モード、を受け付けるモード受付部(29a)と、
前記周囲温度を検出する温度センサ(90)と、
前記モード受付部が受け付けた前記運転モードに応じて、前記ヒータの出力を制御する制御部(60)と、
を備え、
前記制御部は、前記急速暖房モードにおいて、前記温度センサによって検出される周囲温度値が前記暖房レベル毎に決定されている温度閾値に達したときに、前記運転モードを前記急速暖房モードから前記通常暖房モードに移行する、
暖房装置(10)。
【請求項2】
前記急速暖房モードでは、前記急速暖房モードを実行する時間の基準となる急速暖房基準時間が、前記暖房レベル毎に予め決定されており、
前記制御部は、前記急速暖房モードにおいて、前記温度センサによって検出される周囲温度値と前記急速暖房基準時間とに基づいて、前記急速暖房モードを終了するタイミングを決定する、
請求項1に記載の暖房装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記急速暖房モードを開始してから前記急速暖房基準時間が経過する前に、前記温度センサによって検出される周囲温度値が前記温度閾値に達した場合には、前記急速暖房モードを終了する、
請求項2に記載の暖房装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記急速暖房モードを開始してから前記急速暖房基準時間が経過した後であっても、前記温度センサによって検出される周囲温度値が前記温度閾値に達していない場合には、前記急速暖房モードを継続する、
請求項2又は3に記載の暖房装置。
【請求項5】
前記ヒータを内部に収納するケーシング(24)、を備え、
前記温度センサは、前記ケーシング内の温度を検出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の暖房装置。
【請求項6】
前記レベル受付部及び前記モード受付部を前記ヒータの熱から保護するための遮蔽板(28)、
を更に備え、
前記遮蔽板は、第1遮蔽板(28a)と、前記第1遮蔽板よりも前記ヒータ側に配置される第2遮蔽板(28b)と、を含み、
前記温度センサは、前記第1遮蔽板と前記第2遮蔽板との間に配置されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータを備える暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の暖房装置には、運転モードとして、暖房開始時に温度を急速に上昇させる急速暖房モードを有するものがある。このような暖房装置において、急速暖房モードの実行時間が一定の時間で固定されている場合、ヒータの発停状況によっては、ユーザが設定した暖房レベルに応じた目標温度を過剰に超えてしまうことがあり、ユーザに不快感を与えるという問題がある。
【0003】
これに対する方策として、例えば、特許文献1(特開2011−80681号公報)に開示されている暖房装置では、暖房の停止後から暖房を再開するまでの時間をタイマーで計測し、この計測値に応じて急速暖房モードの実行時間を調整している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タイマーに時間を計測させるためには、タイマーに電源が供給されている必要がある。このため、特許文献1に開示されている暖房装置のように急速暖房モードの実行時間の調整にタイマーが使用されている場合には、暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に停電又はコンセントが抜かれる等の理由で暖房装置への電源の供給が絶たれると、タイマーの作動が停止したり、タイマーの計測値がリセットされてしまったりする。そうすると、急速暖房モードの実行時間の調整を行うことができなくなるため、ユーザに不快感を与えるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に電源の供給が絶たれても、ユーザに不快感を与えるおそれを低減することができる暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る暖房装置は、レベル受付部と、モード受付部と、ヒータと、温度センサと、制御部と、を備える。レベル受付部は、暖房レベルの設定を受け付ける。モード受付部は、運転モードを受け付ける。運転モードには、通常暖房モードと、急速暖房モードと、が含まれる。急速暖房モードは、暖房開始時に、ヒータの周囲温度を急速に上げる運転モードである。ヒータは、出力が可変である。温度センサは、ヒータの周囲温度を検出する。制御部は、モード受付部が受け付けた運転モードに応じて、ヒータの出力を制御する。そして、制御部は、急速暖房モードにおいて、温度センサによって検出される周囲温度値が暖房レベル毎に決定されている温度閾値に達したときに、運転モードを急速暖房モードから通常暖房モードに移行する。
【0007】
本発明の第1観点に係る暖房装置では、温度センサによって検出される周囲温度値が暖房レベルに応じた温度閾値に達したときに、運転モードが急速暖房モードから通常暖房モードに移行される。このため、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度を過剰に超えることなく、急速暖房モードを終了することができる。また、この暖房装置では、温度センサによって検出される周囲温度値に基づいて急速暖房モードから通常暖房モードに運転モードが移行されるため、急速暖房モードを終了するタイミングを決定するにあたり、暖房停止中の電源の供給の有無は関係しない。
【0008】
これによって、暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に電源の供給が絶たれても、ユーザに不快感を与えるおそれを低減することができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る暖房装置は、第1観点の暖房装置において、急速暖房モードでは、急速暖房基準時間が、暖房レベル毎に予め決定されている。急速暖房基準時間とは、急速暖房モードを実行する時間の基準となる時間である。そして、制御部は、急速暖房モードにおいて、温度センサによって検出される周囲温度値と急速暖房基準時間とに基づいて、急速暖房モードを終了するタイミングを決定する。
【0010】
ところで、ヒータの周囲温度を温度センサによって検出する場合、気流状況等によっては周囲温度が安定せず、温度センサによって検出される周囲温度値と実際の周囲温度値との間に差が生じてしまうことがある。このような場合に、温度センサによって検出される周囲温度値のみに基づいて急速暖房モードを終了するタイミングが決定される場合には、急速暖房モードが適切なタイミングで終了できないおそれがある。
【0011】
本発明の第2観点に係る暖房装置では、温度センサによって検出される周囲温度値と急速暖房基準時間とに基づいて急速暖房モードを終了するタイミングが決定されるため、温度センサによって検出される周囲温度値のみに基づいて急速暖房モードを終了するタイミングが決定されるよりも、急速暖房モードが適切なタイミングで終了できないおそれを低減することができる。
【0012】
本発明の第3観点に係る暖房装置は、第2観点の暖房装置において、制御部は、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過する前に、温度センサによって検出される周囲温度値が前記温度閾値に達した場合には、急速暖房モードを終了する。
【0013】
ここで、急速暖房基準時間が経過するまで急速暖房モードが実行される場合、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度に達しているにも拘わらず、急速暖房モードが終了しないことがある。そうすると、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度を過剰に超えてしまうおそれがある。
【0014】
本発明の第3観点に係る暖房装置では、急速暖房基準時間が経過する前に、温度センサによって検出される周囲温度値が暖房レベルに応じた温度閾値に達した場合には、急速暖房モードが終了される。このため、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度に達した場合には、急速暖房モードが終了することになる。したがって、この暖房装置では、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度を過剰に超えることを防止することができる。
【0015】
本発明の第4観点に係る暖房装置は、第2観点又は第3観点の暖房装置において、制御部は、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過した後であって、温度センサによって検出される周囲温度値が前記温度閾値に達していない場合には、急速暖房モードを継続する。
【0016】
ここで、急速暖房基準時間が経過するまで急速暖房モードが実行される場合、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度に達していなくても、急速暖房モードが終了してしまうことがある。そうすると、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度に達するまでに必要な時間が長くなることがある。
【0017】
本発明の第4観点に係る暖房装置では、急速暖房基準時間が経過しても、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度に達していない場合には、急速暖房モードが継続されるため、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度に達するまでの時間を縮めることができる。
【0018】
本発明の第5観点に係る暖房装置は、第1観点から第4観点のいずれかの暖房装置において、ヒータを内部に収納するケーシングを備える。そして、温度センサは、ケーシング内の温度を検出する。この暖房装置では、ケーシング内の温度に基づいて、運転モードを急速暖房モードから通常暖房モードに移行するタイミングが決定される。
【0019】
本発明の第6観点に係る暖房装置は、第1観点から第5観点のいずれかの暖房装置において、レベル受付部及びモード受付部をヒータの熱から保護するための遮蔽板を備える。遮蔽板は、第1遮蔽板と、第1遮蔽板よりもヒータ側に配置される第2遮蔽板とを含む。そして、温度センサは、第1遮蔽板と第2遮蔽板との間に配置されている。この暖房装置では、温度センサが第1遮蔽板と第2遮蔽板との間に配置されているため、温度センサが高温になり過ぎるおそれを低減することができる。
【0020】
これによって、温度センサの寿命が短くなるおそれを低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1観点に係る暖房装置では、暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に電源の供給が絶たれても、ユーザに不快感を与えるおそれを低減することができる。
【0022】
本発明の第2観点に係る暖房装置では、急速暖房モードが適切なタイミングで終了できないおそれを低減することができる。
【0023】
本発明の第3観点に係る暖房装置では、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度を過剰に超えることを防止することができる。
【0024】
本発明の第4観点に係る暖房装置では、ヒータの周囲温度が暖房レベルに応じた目標温度に達するまでの時間を縮めることができる。
【0025】
本発明の第5観点に係る暖房装置では、ケーシング内の温度に基づいて、運転モードを急速暖房モードから通常暖房モードに移行するタイミングが決定される。
【0026】
本発明の第6観点に係る暖房装置では、温度センサの寿命が短くなるおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る電気ストーブの斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る電気ストーブの正面図。
図3】本発明の一実施形態に係る電気ストーブの正面図。
図4】本発明の一実施形態に係る電気ストーブの側面図。
図5】本発明の一実施形態に係る電気ストーブの背面図。
図6】本体部の概念図。
図7】第1遮蔽板が取り除かれた状態の本体部の斜視図。
図8】反射板が取り除かれた状態の本体部の斜視図。
図9】電気ストーブの備える制御部の制御ブロック図。
図10】急速暖房モード実行時の制御部による制御動作を示すフローチャート。
図11】通常暖房モード又は急速暖房モードを実行したときに、暖房を開始してから所定の暖房レベルに応じた目標温度閾値に達するまでの検出温度値の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る暖房装置としての電気ストーブ10について図を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
(1)全体構成
図1は、電気ストーブ10を正面側から見た斜視図である。図2及び図3は、電気ストーブ10の正面図である。図4は、電気ストーブ10の側面図である。図5は、電気ストーブ10の背面図である。電気ストーブ10は、本体部20と、本体部20とは別体に設けられているベース部30と、を備える。本体部20は、ヒータ21を有する。ベース部30は、床面Fに設置される。また、電気ストーブ10は首振り機能を備えており、本体部20はベース部30に対して回動可能に支持されている。さらに、本体部20は、図2及び図3に示すように、後述する支柱32の上部を回動軸として本体部20を回転させることで、本体部20の延びる方向を変更することができるように構成されている。
【0030】
(2)詳細構成
(2−1)ベース部30
ベース部30は、台座31と支柱32とを備えている。台座31は、床面Fに設置される部分であり、箱形の形状を有している。また、台座31の背面側には電源コード33が取り付けられている。
【0031】
支柱32は、台座31の上面31aから上方に延びる柱状の部材である。支柱32の下部は、台座31に回動可能に取り付けられている。支柱32の上部の前面側には、本体部20の背面側に設けられたブラケット23が取り付けられている(図4参照)。また、支柱32は、図4に示されているように、側面視において、上部の前面側が下部に比べて背面側に後退した形状を持っている。そして、支柱32の前面側に本体部20が取り付けられることで、支柱32と本体部20とを合わせた部材の重心が台座31に位置するように構成されている。このような構成によって、電気ストーブ10が安定して直立することが可能になっている。
【0032】
また、台座31の内部には、電源用プリント配線基板を収納する電装品箱(図示せず)が配設されている。電源用プリント配線基板には電源コード33が接続されており、電源コード33から電源用プリント配線基板に商用電源が供給される。また、台座31の内部には、首振り用のモータ35(図9参照)が収納されており、このモータ35への電力の供給は電源用プリント配線基板から行われる。
【0033】
(2−2)本体部20
図6は、本体部20の備える各種機器の位置関係を説明するための概念図である。図7は、第1遮蔽板28aが取り除かれた状態の本体部20の斜視図である。図8は、反射板22が取り除かれた状態の本体部20の斜視図である。
【0034】
本体部20は、本体ケーシング24と、ガード25と、出力可変なヒータ21と、反射板22と、ブラケット23と、操作部26と、を備える。
【0035】
本体ケーシング24は、ヒータ21及び反射板22等を収納する。ガード25は、多数の細い金属棒を組み合わせてできており、本体ケーシング24の前面側に装着されている。また、本体ケーシング24の背面側には、本体ケーシング24内の熱を外部に放出するために多数の開口部24bが形成されている。そして、本体ケーシング24の前面側に装着されているガード25の金属棒の隙間を透して熱が前面側に向けて放射されて、電気ストーブ10による暖房が行なわれる。さらに、反射板22の方向を上に傾けたり下に傾けたりするために、本体部20はブラケット23を介して支柱32の延びる方向に対して角度を変更することができるように構成されている。
【0036】
操作部26は、本体ケーシング24の天板24aに配設されている。操作部26には、電気ストーブ10の操作に関する設定を受け付ける操作受付部29等が取り付けられている。なお、本実施形態の操作受付部29には、運転モードを受け付けるモード受付部29aと、暖房レベルの設定を受け付けるレベル受付部29bと、が含まれる。
【0037】
また、図6に示すように、操作部26の下部には、操作用プリント配線基板80及び遮蔽板28が配置されている。操作用プリント配線基板80には、LEDランプ等が実装されている表示用プリント配線基板81等が電気的に接続されている。そして、操作受付部29等によって操作用プリント配線基板80に対して指示された操作指令に応じた動作の一部は、直接操作部26で実行される。例えば、操作用プリント配線基板80から表示用プリント配線基板81に信号が伝達され、表示用プリント配線基板81がランプを点灯させることにより、表示部27に表示が行われる。
【0038】
また、遮蔽板28は、第1遮蔽板28aと第1遮蔽板28aよりもヒータ21側に配置される第2遮蔽板28bとを有する。そして、操作用プリント配線基板80及び表示用プリント配線基板81は、天板24aと第1遮蔽板28aとで囲まれた空間内に収納されている。さらに、第1遮蔽板28aよりもヒータ21側に第2遮蔽板28bがあることによって、操作用プリント配線基板80及び表示用プリント配線基板81に対するヒータ21に起因する熱の影響が防がれている。
【0039】
そして、本実施形態の本体部20は、本体ケーシング24内の温度(ヒータ21の周囲温度)を検出する温度センサ90と、室内温度を検出する室内温度センサ91と、を有する。温度センサ90は、第1温度センサ90aと第2温度センサ90bとを含む。第1温度センサ90aは、図6及び図7に示すように、第1遮蔽板28aと第2遮蔽板28bとの間の空間内に配設されている。第2温度センサ90bは、本体ケーシング24と反射板22との間の空間内に配設されている(図8参照)。室内温度センサ91は、図4及び図5に示すように、ヒータ21の熱の影響を受けにくいように、本体ケーシング24の背面に配設されている。
【0040】
(2−3)制御部60
図9は、電気ストーブ10の備える制御部60の制御ブロック図である。制御部60は、操作部26において受け付けた操作指示に応じて、ヒータ21の出力及び首振り用のモータ35の動作等を制御する。例えば、ユーザによってレベル受付部29bが操作されて暖房レベルが設定されることで、設定された暖房レベルに応じた電気信号が制御部60に送信される。これを受けて、制御部60は、送信された電気信号に応じて、ヒータ21の出力を制御する。なお、本実施形態の暖房レベルは10段階あり、各暖房レベルに応じた目標温度閾値が予め決定されている。また、暖房レベル毎に決定されている目標温度閾値は、記憶部(図示せず)に記憶されている。
【0041】
また、制御部60は、モード受付部29aが受け付けた運転モードに応じて、ヒータ21の出力を制御する。運転モードには、通常暖房モードと、急速暖房モードとが含まれる。
【0042】
通常暖房モードは、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出された温度値がレベル受付部29bで受け付けられることによって設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値となるように、ヒータ21に対して通電制御を行う。なお、通常暖房モードでは、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出される温度値が、設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値を超えないように、該目標温度閾値に応じてヒータ21の出力が制限される。例えば、暖房レベルが10段階中最小の1段階目に相当する「1」に設定されている場合にはヒータの出力が所定の第1出力を超えないように出力が制限され、暖房レベルが10段階中下から2つ目の段階に相当する「2」に設定されている場合には、ヒータの出力が所定の第1出力よりも大きい所定の第2出力を超えないように制限される。さらに、通常暖房モードでは、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出される温度値が、設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値を超えないように、ヒータ21の発停が繰り返される。
【0043】
急速暖房モードは暖房開始時に実行されるモードであって、ユーザは、モード受付部29aを操作することで急速暖房モードを実行させるか否かを設定することができる。急速暖房モードでは、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出される温度値が、設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値まで急速に上昇するように、ヒータ21に対して通電制御が行われる。具体的には、急速暖房モードでは、設定された暖房レベルに関係なく、ヒータ21が高出力で制御される。なお、本実施形態の急速暖房モードでは、ヒータ21の出力が最大出力(暖房レベルが10段階中最大の10段階目に相当する「10」に設定されている場合と同じヒータ21の出力)となるようにヒータ21に対して通電制御が行われる。例えば、暖房レベルが「1」に設定されている場合であっても、暖房レベルが「2」に設定されている場合であっても、ヒータの出力が最大出力となるように制御される。また、本実施形態では、急速暖房モードが実行されている間は、ヒータ21は停止されないものとする。
【0044】
さらに、急速暖房モードを実行する時間の基準となる急速暖房基準時間が暖房レベル毎に予め決定されており、急速暖房基準時間は記憶部(図示せず)に記憶されている。急速暖房基準時間は、暖房開始時からヒータ21を最大出力で制御した場合に、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達するまでに必要とされる時間であって、シミュレーションや机上計算、実験等によって決定されている。そして、制御部60は、急速暖房モードにおいて、温度センサ90によって検出される温度値、及び急速暖房基準時間に基づいて、急速暖房モードを終了するタイミングを決定する。具体的には、制御部60は、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過する前に、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた所定の目標温度閾値に達した場合には、急速暖房モードを終了する。また、本実施形態では、制御部60は、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過するまでに、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた所定の目標温度閾値に達していない場合には、急速暖房基準時間が経過したときに急速暖房モードを終了する。そして、制御部60は、急速暖房モードを終了すると、運転モードを急速暖房モードから通常暖房モードに移行する。
【0045】
なお、本実施形態では、所定時間毎(例えば、1分毎)に、検出された温度値が温度センサ90から制御部60に送信され、制御部60は、温度センサ90から温度値が送信される毎に、送信された温度値が所定の目標温度閾値以上であるか否かの判定を行うものとする。また、本実施形態の温度センサ90には第1温度センサ90a及び第2温度センサ90bが含まれるところ、急速暖房モードにおいては、第1温度センサ90a及び第2温度センサ90bのうち上方にある温度センサによって検出される温度値が採用される。すなわち、本体部20の長手方向が床面Fに対して交差する方向にある状態(図2に示す状態)で暖房が行われている場合には、急速暖房モードにおいて第1温度センサ90aによって検出される温度値が採用される。一方で、本体部20の長手方向が床面Fに対して平行な方向にある状態(図3に示す状態)で暖房が行われている場合には、急速暖房モードにおいて第2温度センサ90bによって検出される温度値が採用される。次に、具体的な急速暖房モードについて、フローチャートを参照しながら説明する。
【0046】
(3)急速暖房モード
図10は、急速暖房モード実行時の制御部60による制御動作を示すフローチャートである。制御部60は、電気ストーブ10の電源がオンされたときに、レベル受付部29b及びモード受付部29aから送信される電気信号を受信する。そして、ステップS1において、モード受付部29aから送信される電気信号が急速暖房モードに関する電気信号である場合には、制御部60は急速暖房モードの実行を開始するとともに、ステップS2に進む。一方で、ステップS1において、モード受付部29aから送信される電気信号が急速暖房モードに関する電気信号でない場合には、制御部60は通常暖房モードの実行を開始する。
【0047】
ステップS2において、制御部60は、レベル受付部29bから送信される電気信号に基づいて、暖房レベルの設定を判定する。そして、制御部60は、判定した暖房レベルに応じた目標温度閾値及び急速暖房基準時間を記憶部から取得するとともに、ステップS3へ進む。
【0048】
ステップS3において、制御部60は、ヒータ21の出力が最大出力となるように、ヒータ21に対して通電制御を行う。そして、ステップS4へ進む。
【0049】
ステップS4では、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出された温度値が、設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値以上であるか否かが判定される。そして、ステップS4において、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出された温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値以上であると判定された場合には、ステップS6に進む。一方で、ステップS4において、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出された温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値以上でないと判定された場合には、ステップS5に進む。
【0050】
ステップS5において、制御部60は、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過したか否かを判定する。そして、ステップS5において、急速暖房基準時間が経過していると判定された場合には、ステップS6に進む。一方で、ステップS5において、急速暖房基準時間が経過していないと判定された場合には、ステップS4へ戻る。
【0051】
ステップS6において、制御部60は、急速暖房モードを終了し、運転モードを急速暖房モードから通常暖房モードに移行する。具体的には、制御部60は、最大出力となるように制御していたヒータ21の出力を、第1温度センサ90a又は第2温度センサ90bによって検出された温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値で維持されるように制限する制御を行う。
【0052】
(3)特徴
(3−1)
ここで、急速暖房モードの実行時間を調整する際にタイマー等の電源の供給が必要な部品が使用されている場合、暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に電気ストーブへの電源の供給が絶たれると、急速暖房モードの実行時間の調整を行うことができず、ユーザに不快感を与えるおそれがある。また、急速暖房モードの実行時間の調整ができないと、室内温度によっては、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた所定の目標温度を超えてしまう可能性が高くなる。
【0053】
本実施形態では、温度センサ90によって検出される温度値に基づいて運転モードが急速暖房モードから通常暖房モードに移行されるため、急速暖房モードを終了するタイミングを決定するにあたり、暖房停止中の電源の供給の有無は関係しない。
【0054】
これによって、暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に電源の供給が絶たれても、ユーザに不快感を与えるおそれを低減することができている。
【0055】
また、本実施形態では、急速暖房モードにおいて、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達したときに、運転モードが急速暖房モードから通常暖房モードに移行される。このため、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた所定の目標温度を過剰に超えることなく、急速暖房モードを終了することができる。
【0056】
(3−2)
ここで、温度センサ90によって検出される温度は、気流状況等によっては安定しない場合がある。この場合、温度センサ90によって検出される温度と実際の温度との間に差が生じてしまうことがある。そうすると、温度センサ90によって検出される温度値のみに基づいて急速暖房モードを終了するタイミングが決定されると、急速暖房モードが適切なタイミングで終了できないおそれがある。
【0057】
本実施形態では、温度センサ90によって検出される温度値、及び急速暖房基準時間に基づいて、急速暖房モードを終了するタイミングが決定される。このため、温度センサ90によって検出される温度値のみに基づいて急速暖房モードを終了するタイミングが決定されるよりも、急速暖房モードが適切なタイミングで終了できないおそれを低減することができている。
【0058】
(3−3)
ここで、急速暖房基準時間が経過するまで急速暖房モードが実行される場合、室内温度によっては、急速暖房基準時間が経過する前に、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達することがある。しかしながら、急速暖房基準時間が経過していないために急速暖房モードが終了せず、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度を過剰に超えてしまうおそれがある。
【0059】
本実施形態では、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過する前に、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達した場合には、急速暖房モードが終了される。このため、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度に達した場合には、急速暖房モードが終了することになる。したがって、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度を過剰に超えることを防止することができている。
【0060】
(3−4)
本実施形態の温度センサ90は、本体ケーシング24内の温度を検出する。このため、本体ケーシング24内の温度に基づいて、運転モードを急速暖房モードから通常暖房モードに移行するタイミングを決定することができる。
【0061】
ところで、急速暖房基準時間が経過するまで急速暖房モードが実行されるような場合には、暖房の停止後すぐに暖房が再開されると、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度を超えてしまう可能性が高くなる。
【0062】
本実施形態では、本体ケーシング24内の温度に基づいて急速暖房モードが終了されるため、暖房の停止後すぐに暖房が再開された場合であっても、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度を超えるおそれを低減することができている。
【0063】
(3−5)
本実施形態の電気ストーブ10は、操作受付部29等をヒータ21の熱から保護するための遮蔽板28を備えている。そして、第1温度センサ90aが、第1遮蔽板28aと第1遮蔽板28aよりもヒータ21側に配置される第2遮蔽板28bとの間の空間内に配設されている。このため、第1温度センサ90aが高温になり過ぎるおそれを低減することができる。
【0064】
これによって、第1温度センサ90aの寿命が短くなるおそれを防止できている。
【0065】
(3−6)
図11は、通常暖房モード又は急速暖房モードを実行したときに、暖房を開始してから暖房レベル「2」に応じた目標温度閾値に達するまでの検出温度値の変化、及び暖房を開始してから暖房レベル「8」に応じた目標温度閾値に達するまでの検出温度値の変化を示す図である。なお、図11において、実線は、急速暖房モードにおける検出温度値を示しており、破線は、通常暖房モードにおける検出温度値を示している。
【0066】
本実施形態の通常暖房モードでは、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値を超えないように、各目標温度閾値に応じてヒータ21の出力が制限される。一方で、急速暖房モードでは、ヒータ21の出力が最大出力となるように、ヒータ21に対して通電制御が行われる。このため、電気ストーブ10において暖房が開始される際に、通常暖房モードが実行される場合と急速暖房モードが実行される場合とで、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達するまでにかかる時間が異なってくる。具体的には、暖房レベルが「2」に設定されている場合には、図11に示すように、急速暖房モードが実行された場合に温度センサ90によって検出される温度値が暖房レベル「2」に応じた目標温度閾値に達するまでにかかる時間tF1は、通常暖房モードが実行された場合に温度センサ90によって検出される温度値が暖房レベル「2」に応じた目標温度閾値に達するまでにかかる時間tN1よりも短くなる。また、暖房レベルが「8」に設定されている場合には、図11に示すように、急速暖房モードが実行された場合に温度センサ90によって検出される温度値が暖房レベル「8」に応じた目標温度閾値に達するまでにかかる時間tF2は、通常暖房モードが実行された場合に温度センサ90によって検出される温度値が暖房レベル「8」に応じた目標温度閾値に達するまでにかかる時間tN2よりも短くなる。言い換えると、暖房を開始する際に、通常暖房モードが実行される場合には、急速暖房モードが実行される場合よりも、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達するまでにかかる時間が長くなる。特に、暖房レベルが低いレベルに設定されている場合に通常暖房モードが実行されると、ヒータ21の出力が低いため、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達するまでに要する時間が長くなる。このため、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達するまでの時間を短縮するための急速暖房モードは、暖房レベルが低いレベルに設定されている場合に特に有効である。
【0067】
(4)変形例
(4−1)変形例A
上記実施形態では、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過するまでに、温度センサ90によって検出される温度値が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達していない場合には、急速暖房基準時間が経過したときに急速暖房モードが終了されている。
【0068】
ここで、急速暖房基準時間が経過するまで急速暖房モードが実行されるような場合、室内温度によっては、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達しないことがある。しかしながら、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度閾値に達していなくても急速暖房モードが終了してしまうため、結果として、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度に達するまでに必要な時間が長くなることがある。
【0069】
そこで、上記実施形態に加えて、急速暖房モードを開始してから急速暖房基準時間が経過した後であっても、温度センサ90によって検出される温度値が暖房レベルに応じた目標温度閾値に達していない場合には、急速暖房モードが終了されずに継続されてもよい。これにより、温度センサ90によって検出される温度が設定された暖房レベルに応じた目標温度に達するまでの時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、暖房の停止後から暖房を再開するまでの間に電源の供給が絶たれてもユーザに不快感を与えるおそれを低減することができる暖房装置に係るものであり、ヒータを備える暖房装置への適用が有効である。
【符号の説明】
【0071】
10 電気ストーブ(暖房装置)
21 ヒータ
24 本体ケーシング(ケーシング)
28 遮蔽板
28a 第1遮蔽板
28b 第2遮蔽板
29a モード受付部
29b レベル受付部
60 制御部
90 温度センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2011−80681号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11