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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230120(P2015-230120A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/12 20060101AFI20151124BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20151124BHJP
   F23R 3/36 20060101ALI20151124BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20151124BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20151124BHJP
   F02C 3/30 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   F23R3/12
   F23R3/28 D
   F23R3/28 F
   F23R3/36
   F02C7/22 A
   F02C3/22
   F02C3/30 D
   F02C7/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-116071(P2014-116071)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 浩美
(72)【発明者】
【氏名】関口 達也
(72)【発明者】
【氏名】林 明典
(57)【要約】
【課題】発熱量の異なる2種類のガス燃料を同一バーナで安定燃焼可能とするガスタービン燃焼器を提供することにある。
【解決手段】燃料と空気を混合して燃焼するための燃焼室と、前記燃焼室の上流に配置され、前記燃焼室内に前記燃料と前記空気を噴射し火炎を保持するためのバーナを備えるガスタービン燃焼器において、前記バーナは、燃料噴孔と空気噴孔とを周方向に交互に複数個設けた第1スワラと、燃料または空気の噴射が可能な複数の噴孔を設けた第2スワラとを有し、前記第2スワラは前記第1スワラの外周に配置し、前記第2スワラの噴孔の幅は、前記第1スワラの空気噴孔の幅より大きく形成した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と空気を混合して燃焼するための燃焼室と、前記燃焼室の上流に配置され、前記燃焼室内に前記燃料と前記空気を噴射し火炎を保持するためのバーナを備えるガスタービン燃焼器において、
前記バーナは、燃料噴孔と空気噴孔とを周方向に交互に複数個設けた第1スワラと、燃料または空気の噴射が可能な複数の噴孔を設けた第2スワラとを有し、
前記第2スワラは前記第1スワラの外周に配置し、
前記第2スワラの噴孔の幅は、前記第1スワラの空気噴孔の幅より大きく形成した
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービン燃焼器において、
発熱量の異なる2種類の燃料ガスのうち、低い発熱量の燃料ガスを前記第2スワラの噴孔に供給可能な一の燃料系統と、
ガスタービンの抽気空気を前記第2スワラの噴孔に供給可能な抽気空気系統を備えた、
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項3】
請求項2に記載のガスタービン燃焼器において、
発熱量の異なる2種類の燃料ガスのうち、高い発熱量の燃料ガスを前記第1スワラの燃料噴孔に供給可能な他の燃料系統を備え、
前記低い発熱量の燃料ガスを燃焼するときは、前記第1スワラの燃料噴孔と前記第2スワラの噴孔とから前記低い発熱量の燃料ガスを噴射し、
前記高い発熱量の燃料ガスを燃焼するときは、前記第1スワラの燃料噴孔から前記高い発熱量の燃料ガスを噴射し、前記第2スワラの噴孔から前記ガスタービンの抽気空気を噴射する
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項4】
請求項3に記載のガスタービン燃焼器において、
供給される燃料ガスの発熱量の違いに応じて、前記第2スワラの噴孔から噴射する流体を前記低い発熱量の燃料ガス、又は前記ガスタービンの抽気空気のいずれかに使い分ける
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のガスタービン燃焼器において、
前記低い発熱量の燃料ガスは高炉ガスであり、前記高い発熱量の燃料ガスはコークス炉ガスである
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガスタービン燃焼器において、
前記燃焼室へ前記第1スワラの空気噴孔を介して圧縮空気を導入する空気流路を更に備え、
前記第1スワラの燃料噴孔を前記第1スワラの前記空気流路内に設け、
前記第1スワラの半径方向内側に、起動用の油ノズルまたはガスノズルを配置した
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン燃焼器に係り、さらに詳しくは、発熱量の異なる2種類の燃料ガスを同一バーナで安定燃焼させ得るガスタービン燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電コストの低減、資源の有効利用、及び地球温暖化防止の観点から、製鉄所で副生する高炉ガスやコークス炉ガスの有効利用が検討されている。高炉ガスは、製鉄プロセスで発生し、一酸化炭素や水素を主要可燃成分とした難燃性のガスであって、発熱量が約1000kcal/m3Nのいわゆる低カロリーガスである。このため、ガスタービンの着火から定格負荷範囲を高炉ガス専焼で運転することは難しく、着火から燃焼温度の低い部分負荷範囲を安定に運転(燃焼)するには、水素を含むコークス炉ガスなどを高炉ガスに混合し発熱量を高くして運転(増熱)するか、液体燃料などの起動用燃料を別に設ける必要がある。
【0003】
一方、コークス炉ガスは、高炉の原料であるコークスを製造する際に発生する副生ガスで、水素とメタンを主成分とした発熱量が4000kcal/m3N〜5000kcal/m3Nの中カロリーガスである。水素を含み発熱量が高炉ガスよりも高いため、高炉ガス焚きガスタービンの増熱用のガスや、コークス炉ガス焚きガスタービンの主要燃料などに用いられる。
【0004】
高炉ガスなどの低カロリーガスを安定して燃焼させることを目的として、バーナの半径方向の中心部に設けた起動用の油ノズルと、その外周にガス噴孔を配置した内周スワラと、さらにその外周にガス噴孔と空気噴孔を交互に配置した外周スワラとを備えたガスタービン燃焼器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一般に、旋回噴流によって保炎するバーナにおいて、火炎を保持するためにはバーナの半径方向中心部近傍に、燃焼ガスが循環しバーナより噴出する燃料と空気に熱を与えるための循環ガス領域を形成する必要がある。
特許文献1に記載のガスタービン燃焼器によれば、内周スワラにガス噴孔のみを配置し大部分の燃料を供給することで大量の低カロリーガスの運動量を利用して強い旋回流を形成する。このことにより、保炎を強化することを特徴とする。また、内周スワラから噴出した燃料は、外周スワラから噴出する空気と混合しながら循環ガス領域内に取り込まれるため、その領域内の酸素が不足することもなく、低カロリーガスの安定燃焼が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−86902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高炉ガスを主要燃料とするガスタービン発電設備は、従来、高炉設備のメンテナンスの際には、長期間の発電停止を余儀なくされていた。しかし、近年では、高炉設備のメンテナンスの間にも、例えば、コークス炉ガスを代替燃料として発電したいというニーズが高まっている。このようなニーズを実現するためには、ガスタービン発電設備において、発熱量の異なる2種類のガスを同一バーナで安定的に燃焼できる燃焼器を備える必要がある。
【0008】
発熱量の異なる2種類のガスを同一バーナで燃焼させることには、以下の課題があった。
例えば、低カロリーガスを主要燃料とするガスタービン発電設備において、高炉設備のメンテナンスの際に主要燃料を高炉ガスからコークス炉ガスに変更する場合、コークス炉ガスは高炉ガスなどの低カロリーガスに比べて発熱量が約4倍高いために、燃焼器に供給する燃料流量は発熱量の増加に見合って少なくなり、低カロリーガスの4分の1程度になる。このため、低カロリーガス焚きバーナのガス噴孔を利用してコークス炉ガスを燃焼しようとすると、コークス炉ガス燃料の噴出流速が極端に遅くなるために、燃焼ガスの旋回流が弱くなり保炎性能が著しく低下するという課題があった。
【0009】
一方、コークス炉ガスの仕様に設計したバーナに高炉ガスを供給した場合を想定すると、燃焼器に供給する燃料流量は、コークス炉ガスの約4倍多くなる。このため、燃料ノズルにおける圧力比(燃料供給圧力/燃焼器内圧力)が高くなり、燃料の供給圧力を通常よりも高圧条件にせざるを得なくなる。この結果、コストアップが生じることの他に、燃料噴出流速が極端に速くなり難燃性ガスの保炎ができなくなるという課題があった。
【0010】
また、低カロリーガス仕様のバーナの場合、ガス噴孔の面積が大きくなるために、ガス噴孔を燃焼室に面するように開口せざるを得ない。この場合、起動用燃料で運転する際に、燃焼器間の圧力のアンバランスが生じたときにガス噴孔を介して燃焼ガスが他缶に逆流しやすくなるという課題があった。
【0011】
本発明は上述した事柄に基づいてなされたものであって、その目的は、発熱量の異なる2種類のガス燃料を同一バーナで安定燃焼可能とするガスタービン燃焼器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、燃料と空気を混合して燃焼するための燃焼室と、前記燃焼室の上流に配置され、前記燃焼室内に前記燃料と前記空気を噴射し火炎を保持するためのバーナを備えるガスタービン燃焼器において、前記バーナは、燃料噴孔と空気噴孔とを周方向に交互に複数個設けた第1スワラと、燃料または空気の噴射が可能な複数の噴孔を設けた第2スワラとを有し、前記第2スワラは前記第1スワラの外周に配置し、前記第2スワラの噴孔の幅は、前記第1スワラの空気噴孔の幅より大きく形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高炉ガスなどのN2やCO2含有量の多い難燃性ガスと、コークス炉ガスなど高炉ガスに比べて発熱量の高いガスを同一バーナで安定に燃焼することが可能となる。この結果、高炉設備のメンテナンスの間にも、例えば、コークス炉ガスなどを主要燃料として安定燃焼できるガスタービン燃焼器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態の要部の側断面図をガスタービンプラント全体の模式図と併せて表した概略構成図である。
図2】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナを燃焼室側から見た正面図である。
図3図2に示すバーナをA−A矢視から見た断面図である。
図4】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナにおいて、燃料の種類に対する各噴孔の噴射流体を示す表図である。
図5】従来のガスタービン燃焼器を構成するバーナを燃焼室側から見た正面図である。
図6A】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの要部の側断面図と燃料系統とを併せて表した一の概略構成図である。
図6B】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの要部の側断面図と燃料系統とを併せて表した他の概略構成図である。
図7A】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの正面図とコークス炉ガス燃焼時の燃料系統とを併せて表した概略構成図である。
図7B】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態において、コークス炉ガス燃焼時のコークス炉ガスの流量と抽気空気の流量の特性を示す特性図である。
図8A】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの正面図と高炉ガス燃焼時の燃料系統とを併せて表した概略構成図である。
図8B】本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態において、高炉ガス燃焼時の第1スワラと第2スワラの噴出流体の流量特性を示す特性図である。
図9】本発明のガスタービン燃焼器の第2の実施の形態を構成するバーナを燃焼室側から見た正面図である。
図10図9に示すバーナをB−B矢視から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のガスタービン燃焼器の実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態の要部の側断面図をガスタービンプラント全体の模式図と併せて表した概略構成図である。本実施の形態においては、ガスタービンの低カロリーガス燃料として高炉ガス90を用い、中カロリーガス燃料としてコークス炉ガス380を用いた。
【0017】
ガスタービン5は、圧縮機2、燃焼器3、タービン4、発電機6、及び起動用モータ8等で構成されている。ガスタービン5では、圧縮機2が大気より吸込んだ空気101を圧縮し、燃焼空気102を燃焼器3へと供給する。燃焼器3では、圧縮機2による燃焼空気102とガスタービンの起動用燃料(ここでは、高炉ガス90にコークス炉ガス380を混合した増熱ガス938)で着火し、燃焼ガス140を発生させタービン4に供給する。タービン4は燃焼ガス140の供給により回転動力が与えられ、タービン4の回転動力が圧縮機2及び発電機6に伝達される。圧縮機2に伝えられた回転動力は圧縮動力に用いられ、発電機6に伝えられた回転動力は電気エネルギーに変換される。
【0018】
燃焼器3は、圧力容器である外筒10と、外筒10の内部に設けた燃焼室12と、燃焼室12の外周に設けた燃焼室冷却用のフロースリーブ11とを備えている。また、燃焼室9の上流側には燃焼室12に燃料と空気を噴出し火炎を保持するためのバーナ300が配置されている。
【0019】
燃焼器3に供給された燃焼空気102は、フロースリーブ11と燃焼室12との空間内を流れ、燃焼室12を冷却しながら燃焼室12の側壁に設けた空気孔13、及びバーナ300に設けた空気噴孔201を介して燃焼室12内に供給される。
【0020】
バーナ300は、第1スワラ401と第2スワラ402で構成する2重旋回構造である。第1スワラ401は、高炉ガス90またはコークス炉ガス380を燃焼室12内に噴射するためのガス噴孔202と、燃焼空気102を噴射するための空気噴孔201を備えている。第2スワラ402は、噴孔203を備えている。
【0021】
第1スワラ401と第2スワラ402は、バーナボディ310に固定されている。バーナボディ310には、第1スワラ401に燃料を供給するための第1燃料系統501と、第2スワラ402に燃料又は抽気空気701aを供給するための第2燃料系統502とが接続されている。第1燃料系統501には第1燃料系統流量調節弁501aが設けられ、第2燃料系統502には第2燃料系統流量調節弁502aが設けられていて、制御装置30によりそれぞれの開度が制御される。
【0022】
第1燃料系統501と第2燃料系統502の上流には、ガス混合装置938Aが配置されていて、ガス混合装置938Aの出力側から各燃料系統流量調節弁501a、502aの上流側に燃料ガスが供給される。ガス混合装置938Aの入力側には、高炉ガス90を供給する高炉ガス系統601とコークス炉ガス380を供給するコークス炉ガス系統602とが接続されている。高炉ガス系統601には高炉ガス系統流量調節弁601aが設けられ、コークス炉ガス系統602にはコークス炉ガス系統流量調節弁602aが設けられていて、制御装置30によりそれぞれの開度が制御される。
【0023】
これらの系統流量調節弁601a、602aの開度を制御することで、ガス混合装置938Aを介して、ガスタービン5に高炉ガス90あるいはコークス炉ガス380の単体ガスや、ガスタービン5の起動・昇速から部分負荷条件を安定燃焼するために必要な増熱ガス938(高炉ガス90にコークス炉ガス380を混合して生成する)を供給することが可能になる。
【0024】
また、第2スワラ402に通じる第2燃料系統502において、第2燃料系統流量調節弁502aより下流側の位置に、ガスタービン5の抽気空気701aを供給できる抽気系統701が接続されている。抽気系統701の上流側はガスタービン5の車室に接続されている。抽気系統701には、上流側から、抽気空気701の流量を調節する抽気調節弁702と燃焼室12からの燃焼ガスの逆流を防止する逆止弁702Aとが設けられている。抽気調節弁702の開度は、制御装置30により制御される。
【0025】
制御装置30には、詳細後述する燃料発熱量制御部と第1スワラ流量制御部と第2スワラ流量制御部とを備えている。燃料発熱量制御部は、所定の発熱量の燃料ガスが形成されるように、高炉ガス系統流量調節弁601aの開度とコークス炉ガス系統流量調節弁602aの開度を制御する。
【0026】
第1スワラ流量制御部は、所定のガス燃料の流量を確保するために第1の燃料系統501の流量調節弁501aの開度を制御する。第2スワラ流量制御部は、所定のガス燃料の流量を確保するために第2の燃料系統502の流量調節弁502aの開度を制御すると共に、抽気空気の流量を確保するために抽気空気流量調節弁702の開度を制御する。
【0027】
次に、バーナ構造について図2乃至図5を用いて説明する。図2は本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナを燃焼室側から見た正面図、図3図2に示すバーナをA−A矢視から見た断面図、図4は本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナにおいて、燃料の種類に対する各噴孔の噴射流体を示す表図である。図2乃至図4において、図1に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0028】
図2に示すように、本実施の形態のバーナ300は、軸中心部に第1スワラ401を配置し、その外周側に第2スワラ402を配置する2重旋回構造を採用している。第1スワラ401には、空気噴孔201とガス噴孔202とが、周方向に互い違いに複数個配置されている。ガス噴孔202には、図3に示すように、旋回角αが設けられている。また、空気噴孔201にも図示しない旋回角を設けている。このことにより、ガス噴孔202から噴出するガスと空気噴孔201から噴出する空気とに旋回成分を与えられるので、バーナ300の半径方向中心部に負圧を生じさせ、燃焼ガスの循環ガス領域を形成できる。
【0029】
循環ガス領域は、燃焼ガスの循環によってバーナから供給されるガスと空気に熱エネルギーを連続的に与える役割を担っており、これによりガスタービン燃焼器のような高流速条件でも火炎を保持することが可能となる。この保炎方式は、特に、発熱量の低い難燃性ガスの燃焼において有効である。
【0030】
第2スワラ402には、周方向に複数個、ガス噴孔203のみを配置している。本実施の形態においては、ガスタービン5に供給するガス燃料の種類(発熱量)に応じて、ガス噴孔203からの噴射流体を変更することを特徴としている。具体的には、図4に示すように、高炉ガス焚き運転の場合には第2スワラ402のガス噴孔203から高炉ガス90を供給し、コークス炉ガス焚き運転の場合には、ガスタービン5の抽気空気701aを供給する。
【0031】
また、詳細は後述するが、第2スワラ402のガス噴孔203の幅W2と第1スワラ401の空気孔201の幅W1とを、W2>W1の関係となるように形成したことを特徴とする。
【0032】
高炉ガス90は、ガス中の不活性ガスの含有量が全体の約70%を占める反応性の低い燃料である。本実施の形態は、第1スワラ401と第2スワラ402とに内周火炎と外周火炎とを形成するので、内外周火炎の熱の授受(相互作用)がなされ保炎性を高められる。
【0033】
一方、コークス炉ガス380は、ガス中の可燃成分が全体の約90%を占め、水素も50%以上含むため反応性が良く火炎温度の高い燃料である。コークス炉ガス燃焼では、高炉ガス90に比べてコークス炉ガス380の発熱量が高いので、ガスタービン燃焼器3に供給される燃料流量が少なくなる。このため、本実施の形態では、コークス炉ガス380は第1スワラ401のみに供給する。また、燃焼器間の圧力のアンバランスが生じた場合、第2スワラ402のガス噴孔203を介して燃焼ガスが他缶に逆流しやすくなる。この燃焼ガスの逆流を防止するために、ガスタービン車室からの抽気空気701aを第2スワラ402のガス噴孔203に供給する。
【0034】
すなわち、ガスタービン5に供給する2種類の燃料のうち、発熱量が高いコークス炉ガス380を供給する場合には、第2スワラ402のガス噴孔203に抽気空気701aを供給する。このことにより、第2スワラ402のガス噴孔203から燃焼室12内に抽気空気701aが供給されるので、ガス噴孔203を介して燃焼ガス140が他缶に逆流することを防止できる。この結果、信頼性が向上する。
【0035】
また、コークス炉ガス380は、燃焼させると火炎温度が高くなるため、第1スワラ401に形成した火炎により燃焼室12の壁面温度が上昇しやすくなる。本実施の形態においては、抽気空気701aを供給することにより、第1スワラ401に形成する火炎を空気によって包み込むことが可能となるため、燃焼室12の壁面温度の上昇を防止できる。
【0036】
次に、本実施の形態と比較するために、従来バーナについて図5を用いて説明する。図5は従来のガスタービン燃焼器を構成するバーナを燃焼室側から見た正面図である。図5において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図5に示す従来のバーナは、第2スワラ402のガス噴孔203の幅W2と第1スワラ401の空気孔201の幅W1とを大略同じ大きさに形成した点が図2に示す本実施の形態のバーナ300と異なり、それ以外は同じ構成である。なお、ガス噴孔203の噴孔面積は、従来例と本実施の形態とにおいて、同一に形成している。
【0038】
従来のバーナにおいては、第2スワラ402のガス噴孔203の幅が小さいので、aで示す第2スワラ402のガス噴孔203とbで示す隣接するガス噴孔203との間隙が本実施の形態の間隙よりも大きい。このため、cで示す第1スワラ401のガス噴孔202から噴出するコークス炉ガス380の火炎が、第2スワラ402のガス噴孔203であるaとbとから噴出される空気流をすり抜けて、燃焼室壁面の近傍まで到達しやすくなるという問題があった。
【0039】
本実施の形態においては、上述したように第1スワラ401の空気孔201の幅W1よりも第2スワラ402のガス噴孔203の幅W2を大きく形成したことを特徴としている。このことにより、第2スワラ402から噴出する抽気空気701aで第1スワラ401に形成する火炎を包み込むことができる。この結果、燃焼室の壁面の温度上昇を防止できる。また、火炎の温度が低下するため、拡散燃焼であっても低NOx燃焼が可能になる。
【0040】
次に、高炉ガス焚きの場合とコークス炉ガス焚きの場合の燃料系統とバーナの動作について図6A図6Bとを用いて説明する。図6Aは本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの要部の側断面図と燃料系統とを併せて表した一の概略構成図、図6Bは本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの要部の側断面図と燃料系統とを併せて表した他の概略構成図である。図6A及び図6Bにおいて、図1乃至図5に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
図6Aは、高炉ガス焚き運転時の燃料系統とバーナの断面を示す。図6Aにおいては、高炉ガス系統601から供給された高炉ガス90が、ガス混合装置938Aを介して第1燃料系統501と第2燃料系統502とに供給される。第1燃料系統501からは第1スワラ401へ高炉ガス90が供給され、第2燃料系統502からは第2スワラ402へ高炉ガス90が供給される。
【0042】
第1スワラ401においては、高炉ガス90および燃焼空気102に旋回が付与されることでバーナ300の半径方向中心部に負圧が生じ循環ガス領域50が形成され、内周火炎450が保持される。また、第2スワラ402より高炉ガス90を燃焼室12内に噴射することで外周火炎451が形成され、内周火炎450と外周火炎451の相互作用(熱の授受)により高炉ガス90の安定燃焼が可能となる。
【0043】
図6Bは、コークス炉ガス焚き運転時の燃料系統とバーナの断面を示す。図6Bにおいては、コークス炉ガス系統602から供給されたコークス炉ガス380が、ガス混合装置938Aを介して第1燃料系統501に供給される。また、抽気系統701から供給されたガスタービン5の抽気空気701aが、第2燃料系統502に供給される。第1燃料系統501からは第1スワラ401へコークス炉ガス380が供給され、第2燃料系統502からは第2スワラ402へ抽気空気701aが供給される。
【0044】
第1スワラ401において、コークス炉ガス380と燃焼空気102に旋回を与えることで循環ガス領域50が形成され、それにより火炎452が保持される。コークス炉ガス燃焼では、第1スワラ401のみに燃料を供給するために、第2スワラ402のガス噴孔203には抽気空気701aを供給する。燃焼室12内に噴射された抽気空気701aは旋回噴流のため火炎452を包み込み、それにより火炎452の温度は低くなるため、拡散燃焼方式であっても低NOx燃焼が可能となる。また、従来、燃焼室12のA部で示す部位の近傍のメタル温度が上昇傾向にあったが、本実施の形態においては、火炎452の外周を抽気空気701aで覆うため、燃焼室12の壁面のメタル温度を低減できるという効果が得られる。
【0045】
次に、コークス炉ガス焚き運転における燃料流量と抽気空気流量の挙動について図7A図7Bとを用いて説明する。図7Aは本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの正面図とコークス炉ガス燃焼時の燃料系統とを併せて表した概略構成図、図7Bは本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態において、コークス炉ガス燃焼時のコークス炉ガスの流量と抽気空気の流量の特性を示す特性図である。図7A及び図7Bにおいて、図1乃至図6Bに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図7Aに示すように、コークス炉ガス380は、第1スワラ401のみに供給するため、高炉ガス供給系統601の流量調節弁601aを閉止する。また、第2スワラ402にはガスタービン5の抽気空気701aを供給するため、第2スワラ402に通じる第2の燃料系統の流量調節弁502aを閉止する。ガスタービン5の車室より抽気した抽気空気701aのバーナ300への供給流量は、抽気空気流量調節弁702の開度を調節することで調整可能である。
【0047】
図7Bにおいて、横軸は時間を示し、縦軸はコークス炉ガスと抽気空気の流量を示す。実線で示す特性はコークス炉ガス380の流量を、破線で示す特性は抽気空気701aの流量をそれぞれ示す。図中tはガスタービン5の着火時刻を、tはガスタービン5の無負荷定格回転数到達時刻を、tは定格負荷到達時刻をそれぞれ示している。
の着火時刻の前に、第1スワラ401にコークス炉ガス380が供給され、燃焼器3にて着火が検知される(t)と、コークス炉ガス380の流量を徐々に増加することで、ガスタービン5の回転数は増加し、tの無負荷定格回転数到達時刻に至る。ここで、ガスタービン5の昇速過程において、第2スワラ402に抽気空気701aを供給開始する。このことにより、昇速過程で燃焼器3の圧力のアンバランスが生じた場合でも、第2スワラ402のガス噴孔203を介した燃焼ガス140の逆流を防止できる。
【0048】
その後、コークス炉ガス380の流量を徐々に増加することで、ガスタービン5の負荷は増加し、tの定格負荷到達時刻に至る。抽気空気701aは、燃料流量の増加に合わせ負荷の上昇とともに増加する。
【0049】
次に、高炉ガス焚き運転、あるいは高炉ガス90からコークス炉ガス380に燃料を切り替える際の燃料流量と抽気空気流量の挙動について図8A図8Bとを用いて説明する。図8Aは本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態を構成するバーナの正面図と高炉ガス燃焼時の燃料系統とを併せて表した概略構成図、図8Bは本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態において、高炉ガス燃焼時の第1スワラと第2スワラの噴出流体の流量特性を示す特性図である。図8A及び図8Bにおいて、図1乃至図7Bに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0050】
図8Aに示すように、高炉ガス90を供給する高炉ガス系統601に配置された高炉ガス系統流量調節弁601aと、コークス炉ガス380を供給するコークス炉ガス系統602に配置されたコークス炉ガス系統流量調節弁602aとを制御することで、ガス混合装置938Aを介して、ガスタービン5に高炉ガス90あるいはコークス炉ガス380の単体ガスや、ガスタービン5の起動・昇速から部分負荷条件を安定燃焼するために必要な増熱ガス938(高炉ガス90にコークス炉ガス380を混合して生成する)を供給することができる。
【0051】
図8Bにおいて、横軸は時間を示していて、縦軸の(a)〜(c)は上から順に燃料発熱量制御、第1スワラ流量制御、第2スワラ流量制御を示している。また、図中tはガスタービン5の着火時刻を、tはガスタービン5の無負荷定格回転数到達時刻を、tは中間負荷(50%負荷)到達時刻を、tは定格負荷到達時刻を、それぞれ示している。また、tは負荷降下開始時刻を、tは高炉ガス90からコークス炉ガス380への燃料切換開始時刻を、tは燃料切換完了時刻をそれぞれ示している。
【0052】
ここで、(a)の燃料発熱量制御とは、制御装置30の燃料発熱制御部が行うガス混合装置938Aに供給される高炉ガス90とコークス炉ガス380の流量制御であり、所定の発熱量の燃料ガスが形成されるように、高炉ガス系統流量調節弁601aの開度とコークス炉ガス系統流量調節弁602aの開度とを制御する。
【0053】
(b)の第1スワラ流量制御とは、制御装置30の第1スワラ流量制御部が行う第1スワラ401に供給される燃料ガスの流量制御であり、所定のガス燃料の流量が確保できるように、第1の燃料系統501の流量調節弁501aの開度を制御する。
【0054】
(c)の第2スワラ流量制御とは、制御装置30の第2スワラ流量制御部が行う第2スワラ402に供給される燃料ガスの流量制御又は抽気空気701aの流量制御であり、所定のガス燃料の流量又は抽気空気の流量が確保できるように、第2の燃料系統502の流量調節弁502aの開度と抽気空気流量調節弁702の開度とを制御する。
【0055】
の着火時刻の前に、ガス混合装置938Aにて高炉ガス90に所定のコークス炉ガス380を混合して形成した増熱ガス938をガスタービン5に供給し、燃焼器3にて着火が検知される(t)と、増熱ガス938の流量を徐々に増加することで、ガスタービン5の回転数は増加し、tの無負荷定格回転数到達時刻に至る。コークス炉ガス380よりも増熱ガス938の発熱量が低く同一の燃焼温度条件であっても燃料流量が多くなるため、本実施の形態においては、第1スワラ401および第2スワラ402のいずれのガス噴孔202、203にも燃料を供給することができる。これにより、増熱ガス938による運転時は、コークス炉ガス専焼運転のように第2スワラ402のガス噴孔203に抽気空気701aを供給する必要がなくなる。
【0056】
その後、増熱ガス938の流量を徐々に増加することで、ガスタービン5の負荷は増加し、tの中間負荷到達時刻に至る。中間負荷条件に到達すると燃焼器3の出口ガス温度が高くなり高炉ガス90を安定に燃焼することが可能になる。このため、さらに負荷上昇運転する場合には、図8Bの(a)で示すように、ガス混合装置938Aにて混合するコークス炉ガス380を徐々に減少させて増熱ガス938を形成する。増熱ガス938の流量の増加によりガスタービン5の負荷は上昇し、tの定格負荷到達時刻に至る。定格負荷に到達すると(a)に示すようにコークス炉ガス380の供給は停止され、高炉ガス90の専燃運転状態になる。
【0057】
ところで、従来の高炉ガス焚きのガスタービンの場合、高炉ガス焚きで運転中に、高炉設備のメンテナンスにより製鉄設備を停止する際には、高炉ガス90の供給が停止するためガスタービン5を停止する必要があった。本実施の形態においては、同一のバーナ300で高炉ガス90とコークス炉ガス380のいずれの燃料も燃焼できるので、高炉ガス90の供給が停止する前に燃料をコークス炉ガス380に切り替えることが可能である。この燃料の切り替えについて説明する。
【0058】
まず、定格負荷運転状態から中間負荷状態にするために、tから負荷降下を開始し、増熱ガス938中間負荷に到達する。図8Bの(a)で示すように、時刻t3’から、ガス混合装置938Aにて混合するコークス炉ガス380を徐々に増加させて増熱ガス938を形成し、高炉ガス専焼から増熱ガス938での燃焼状態にして時刻tまで待機する。
【0059】
高炉ガス90からコークス炉ガス380への燃料切換開始時刻tから、ガス混合装置938Aにて混合するコークス炉ガス380の流量をさらに徐々に増加させると共に高炉ガス90の流量を徐々に減少させて増熱ガス938を形成する。このことにより、燃料切換完了時刻tにおいては、ガスタービン運転の燃料を増熱ガス938からコークス炉ガス380専焼状態に切り替わる。
【0060】
燃焼器3においては、時刻tから時刻tの間に、まず第1スワラ401が時刻tから時刻tまでと同じ燃料流量状態となるように燃料流量を保持しながら、ガスタービン燃料が高炉ガス90を含む増熱ガス938からコークス炉ガス380のみに切り替わる。
【0061】
また、第2スワラ402においては、時刻tから時刻tの間に、図8Bの(c)に示すように、第2燃料系統502からの燃料ガスの供給を第2の燃料系統の流量調節弁502aを制御して徐々に減少させると共に、抽気空気系統701からの抽気空気701aの供給を抽気空気流量調節弁702の制御により徐々に増加して、ガス噴孔203に供給する。これにより、燃焼器間の圧力のアンバランスが生じても、第2スワラ402のガス噴孔203を介して燃焼ガスが他缶に逆流することがなくなり、燃焼器3の信頼性が向上する。
【0062】
次に、本発明のガスタービン燃焼器の実施の形態の運転方法について図1を用いて説明する。
【0063】
始動時、ガスタービン5は起動用モータ8等の外部動力によって駆動される。ガスタービン5の回転数を燃焼器3の着火条件回転数に保持することで、燃焼器3には着火に必要な燃焼空気102が供給されて着火条件が成立する。
【0064】
ここで、例えば高炉ガス90にコークス炉ガス380を混合した増熱ガス938を燃焼器3に供給することで、燃焼器3内にて増熱ガス938による着火が可能となる。燃焼器3の着火後、燃焼ガス140がタービン4に供給され、増熱ガス938の流量増加とともにタービン4が昇速し、起動用モータ8の離脱によりガスタービン5は自立運転に入り、無負荷定格回転数に到達する。ガスタービン5が無負荷定格回転数に到達後は、発電機6の併入、さらには増熱ガス938の流量の増加によりタービン4の入口ガス温度が上昇し、負荷が上昇する。
【0065】
ガスタービン5が部分負荷条件(たとえば50%負荷)に到達すると燃焼器出口ガス温度が高くなるため、難燃性ガスの反応性も高くなり増熱ガス938から高炉ガス90への発熱量調整をすることで高炉ガス専焼運転が可能となる。
【0066】
増熱ガス938から高炉ガス90への発熱量調整は、ガス混合装置938Aに供給される高炉ガス90とコークス炉ガス380の流量制御であり、所定の発熱量の燃料ガスが形成されるように、高炉ガス系統流量調節弁601aの開度とコークス炉ガス系統流量調節弁602aの開度とを制御する。
【0067】
図8A及び図8Bで説明したように、本実施の形態において、増熱ガス938にてガスタービン5を起動する際には、バーナ300の第1スワラ401と第2スワラ402のいずれにも燃料を供給して運転することができる。一方、コークス炉ガス380で起動する場合には、図7A及び図7Bで説明したように、ガスタービン5の着火後、あるいは昇速開始時に抽気空気701aをバーナ300の第2スワラ402のガス噴孔203に供給する。これにより、ガスタービン5の昇速、負荷運転中にガス噴孔203を介して燃焼ガス140が他缶に逆流することが防止できるとともに、火炎温度の高かいコークス炉ガス380を燃焼する際に、燃焼室壁面温度の上昇を防止できる。
【0068】
さらに、バーナ300に形成される火炎と抽気空気701aが接するために燃焼反応が促進し、火炎が短くなるために燃焼室側壁より流入する燃焼空気が循環ガス領域50内に取り込みやすくなり、それらにより火炎温度が低下するため低NOx燃焼が可能となる。
【0069】
上述した本発明のガスタービン燃焼器の第1の実施の形態によれば、高炉ガス90などのN2やCO2含有量の多い難燃性ガスと、コークス炉ガス380など高炉ガス90に比べて発熱量の高いガスを同一バーナ300で安定に燃焼することが可能となる。この結果、高炉設備のメンテナンスの間にも、例えば、コークス炉ガス380などを主要燃料として安定燃焼できるガスタービン燃焼器を提供できる。
【実施例2】
【0070】
以下、本発明のガスタービン燃焼器の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。図9は本発明のガスタービン燃焼器の第2の実施の形態を構成するバーナを燃焼室側から見た正面図、図10図9に示すバーナをB−B矢視から見た断面図である。図9及び図10において、図1乃至図8Bに示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0071】
図9及び図10に示す本発明のガスタービン燃焼器の第2の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。本実施の形態においては、バーナ300の半径方向中心部に液体燃料用の起動用ノズル800を備えた点と、第1スワラ401のガス噴孔202の出口を第1スワラ401の空気流路201a内に設けた点が異なっている。
【0072】
起動用ノズル800は、ガスタービン5の着火起動、昇速から部分負荷範囲(例えば、50%負荷)の安定燃焼を賄うことを目的に、部分負荷条件にて起動用燃料から高炉ガス90(コークス炉ガス焚きでも起動用燃料を備えることもある)へ燃料を切り替え、高炉ガス専焼までスムーズな運転を可能とする。
【0073】
ここで、図2に示す第1の実施の形態のバーナ300に起動用ノズル800を備えて起動用燃料で運転する場合を想定すると、第1スワラ401のガス噴孔202は燃焼室12に直接面して開口しているため、燃焼器間の圧力に差が生じた場合には、起動用燃料で発生する高温の燃焼ガスが圧力の高い燃焼器から圧力の低い燃焼器にガス噴孔202を介して逆流し、バーナ300およびボディーを焼損する恐れがある。
【0074】
これを防ぐためには、例えば、第2スワラ402に設けた抽気空気系統701を第1スワラ401にも備える必要が出てくる。しかし、第1スワラ401と第2スワラ402の両方に抽気空気系統701を備えることは、系統および制御が複雑化するのみではなく、コストアップにつながるという問題が生じる。
【0075】
本実施の形態においては、図10で示すように、第1スワラ401のガス噴孔202の出口を第1スワラ401の空気流路201a内に設けたことを特徴とする。このように配置することで、ガス噴孔202の出口は、燃焼室12内よりも圧力の高い燃焼空気102に常に覆われるため、起動用燃料で運転中も燃焼ガス140が他缶に逆流する恐れがなくなる。
また、ガス噴孔202の出口は、空気噴孔201のごく近傍に配置するため、特に、水素を多く含むコークス炉ガス380を燃焼する場合において、バーナ300の空気流路201a内に火炎が逆流(逆火)する恐れもなくなる。
【0076】
上述した本発明のガスタービン燃焼器の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、上述した本発明のガスタービン燃焼器の第2の実施の形態によれば、第1スワラ401のガス噴孔202の出口を第1スワラ401の空気流路201a内に設けたので、起動用燃料で運転中も燃焼ガス140が他缶に逆流することを抑制できる。
【0078】
なお、本発明のガスタービン燃焼器の第2の実施の形態において、起動用燃料として液体燃料を用いた場合を例に説明したが、LNGやLPGなどを噴射する起動用ガスノズルを配置した場合も同様の効果が得られる。その場合、起動用ガスノズルは、第1スワラ401の半径方向内側に配置し、複数の噴孔を備えることを特徴とする。
【0079】
また、本発明は上述した第1及び第2の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タービン
5 ガスタービン
6 発電機
8 起動用モータ
10 外筒
11 フロースリーブ
12 燃焼室
13 燃焼空気孔
30 制御装置
50 循環ガス領域
90 高炉ガス
101 空気
102 圧縮空気(燃焼空気)
140 燃焼ガス
201 第1スワラの空気噴孔
201a 第1スワラ内の空気流路
202 第1スワラのガス噴孔
203 第2スワラのガス噴孔
300 バーナ
310 燃料ノズルボディー
380 コークス炉ガス
401 第1スワラ(内周スワラ)
402 第2スワラ(外周スワラ)
450 高炉ガスによる内周火炎
451 高炉ガスによる外周火炎
452 コークス炉ガスによる火炎
501 第1の燃料系統(第1スワラ)
501a 第1の燃料系統の流量調節弁
502 第2の燃料系統(第2スワラ)
502a 第2の燃料系統の流量調節弁
601 高炉ガスの供給系統
601a 高炉ガスの供給系統の流量調節弁
602 コークス炉ガスの供給系統
602a コークス炉ガスの供給系統の流量調節弁
701 抽気空気系統
701a ガスタービン車室からの抽気空気
702 抽気空気流量調節弁
800 軽油やA重油などの起動用液体燃料ノズル
938 増熱ガス(高炉ガスにコークス炉ガスを混合)
938A ガス混合装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10