特開2015-230202(P2015-230202A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2015230202-シート荷重検出装置 図000003
  • 特開2015230202-シート荷重検出装置 図000004
  • 特開2015230202-シート荷重検出装置 図000005
  • 特開2015230202-シート荷重検出装置 図000006
  • 特開2015230202-シート荷重検出装置 図000007
  • 特開2015230202-シート荷重検出装置 図000008
  • 特開2015230202-シート荷重検出装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230202(P2015-230202A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】シート荷重検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/37 20060101AFI20151124BHJP
   G01G 19/12 20060101ALI20151124BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20151124BHJP
   G01G 3/147 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   G01G23/37 B
   G01G19/12 A
   G01G19/52 F
   G01G3/147
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-115678(P2014-115678)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】山口 壮樹
(72)【発明者】
【氏名】倉知 秀哉
(57)【要約】
【課題】複数の荷重検出部のオフセット調整を迅速に処理することが可能なシート荷重検出装置の調整方法を提供する。
【解決手段】車両用シートの複数の荷重測定箇所の各々において、車用シートに着座する乗員の分担荷重を測定する荷重検出部を備え、荷重検出部と、アナログ増幅器と、送受信器とを有する荷重センサモジュールを荷重測定箇所毎に設け、各荷重センサモジュールは、上位制御装置の指令により、乗員が前記車両用シートに着座していない状態で、アナログ増幅器で出力する電圧を荷重検出部のオフセット値としてデジタル信号に変換するとともに、オフセット値が0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内にあるように、アナログ増幅器の調整端子に印加するオフセット調整値を演算して記憶するオフセット調整値演算記憶部と、オフセット調整値をアナログ信号に変換してアナログ増幅器の調整端子に出力するD/A変換器と、を有する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートの複数の荷重測定箇所の各々において、前記車両用シートを固定するシート側固定部材と該シート側固定部材を車両のフロアに固定するフロア側固定部材との間に介在されて前記車両用シートに着座する乗員の前記各荷重測定箇所における分担荷重を測定する荷重検出部を備え、
前記荷重検出部と、該荷重検出部に接続され前記荷重検出部が出力する前記分担荷重に応じた電圧を増幅するアナログ増幅器とを有し、前記アナログ増幅器が出力する電圧をデジタル信号に変換して上位制御装置に送受信器を介して送信する荷重センサモジュールを前記荷重測定箇所毎に設け、
前記各荷重センサモジュールは、
前記上位制御装置の指令により、乗員が前記車両用シートに着座していない状態で、前記アナログ増幅器で出力する電圧を前記荷重検出部のオフセット値としてデジタル信号に変換するとともに、前記オフセット値が0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内にあるように、前記アナログ増幅器の調整端子に印加するオフセット調整値を演算して記憶するオフセット調整値演算記憶部と、
前記オフセット調整値をアナログ信号に変換して前記アナログ増幅器の調整端子に出力するD/A変換器と、を有するシート荷重検出装置。
【請求項2】
前記各荷重センサモジュールにおいて、
前記オフセット調整値演算記憶部は、
当該荷重センサモジュールの前記アナログ増幅器の調整端子に前記オフセット調整値を印加した後の前記オフセット値が、前記オフセット調整範囲にあるか否かを判定する判定部を設け、
前記判定部が、前記オフセット値が前記オフセット調整範囲にあると判定した場合に、前記オフセット調整値を記憶する請求項1記載のシート荷重検出装置。
【請求項3】
前記オフセット調整値演算記憶部は、前記オフセット調整値を印加した後の調整値が0となるように微調整演算をさらに行う、請求項1又は2に記載のシート荷重検出装置。
【請求項4】
前記荷重検出部は、
前記複数の荷重測定箇所の各々における前記フロア側固定部材及び前記シート側固定部材の前記一方に形成された取付け面に、該取付け面から所定の隙間を置いて車両の前後方向に延在して両端部で固定される起歪体と、
該起歪体の中央部に垂直方向に固定され、前記フロア側固定部材及び前記シート側固定部材の他方に固定される連結部材と、
前記起歪体の圧縮歪及び引張歪を生じる表面に貼着され前記起歪体に生じる圧縮歪及び引張歪それぞれ検出する少なくとも2個の歪検出素子と、
該歪検出素子がブリッジ回路の少なくとも2辺に配置されたホイートストンブリッジと、
を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート荷重検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに着座する乗員を検出する荷重検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に装備されたシートベルトやエアバッグ等の各種安全装置の性能を向上させるため、車両用シートに着座している乗員による荷重に合わせてこれらの安全装置の動作をコントロールする技術がある。例えば、乗員がシートに着座してシートベルトを装着しないときには、着座検出後に「シートベルト未装着」の警告灯を表示することが、一般的に行なわれている。また、着座しているのが、子供なのか小柄な大人の女性なのか判定して、大人が着座している場合には事故時にエアバッグを展開するように定められている。このように、乗員による荷重を検出して正しく判定することは、安全性の面で極めて重要である。
【0003】
また、乗員による荷重を検出する方法として、シート底部の四隅に荷重検出部(歪ゲージ)を配置して、検出される電圧から各隅にかかる荷重を求め、これらを合計することにより、シート重量を含む乗員による荷重を求め、乗員が着座していないときに検出されるシート重量を差し引くことで乗員による荷重を検出する方法が知られている。
しかし、荷重検出部は、乗員が着座していないときは、本来、検出される乗員の荷重が0であるべき状態で、何某かの荷重があるように検出するオフセット電圧を生じる場合がある。このオフセット電圧のため、車両用シートに着座する乗員による荷重が正確に検出できないという問題があった。
【0004】
従来の技術としての特許文献1には、シート上に物体が無いときの増幅器の出力を目標値に調整するオフセット調整部と、増幅器に加えたオフセット調整量を記憶するオフセット調整量記憶部とを有するシート荷重計測装置が記載されている。これによると、シート上に物体が無いときの増幅器の出力を目標値(例えば0)とし、荷重検出部のオフセット電圧が大きいときにも、オフセット調整部で増幅器の出力を目標値に調整する。これによりシートに通常の荷重が負荷された場合でも、増幅器の出力値が飽和することなく、正確な荷重測定が可能となる。また、オフセット調整量記憶部によって、増幅器に加えられた補正入力(オフセット調整量)は、記憶されているので、オフセット調整が終わった後でもその補正入力値を増幅器に加えることができるとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3384753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のシート荷重計測装置は、複数個の荷重検出部に対してオフセット調整を行うとき、荷重検出部より入力された複数の増幅器の出力信号をマルチプレクサ(アナログ)で切換えながら、該出力信号のデータを1つの演算部(LOGIC)で演算してオフセット調整の調整処理を行っているため、調整に時間がかかってしまうという問題があった。
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の荷重検出部のオフセット調整を迅速に処理することが可能なシート荷重検出装置の調整方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車両用シートの複数の荷重測定箇所の各々において、前記車両用シートを固定するシート側固定部材と該シート側固定部材を車両のフロアに固定するフロア側固定部材との間に介在されて前記車両用シートに着座する乗員の前記各荷重測定箇所における分担荷重を測定する荷重検出部を備え、前記荷重検出部と、該荷重検出部に接続され前記荷重検出部が出力する前記分担荷重に応じた電圧を増幅するアナログ増幅器とを有し、前記アナログ増幅器が出力する電圧をデジタル信号に変換して上位制御装置に送受信器を介して送信する荷重センサモジュールを前記荷重測定箇所毎に設け、前記各荷重センサモジュールは、前記上位制御装置の指令により、乗員が前記車両用シートに着座していない状態で、前記アナログ増幅器で出力する電圧を前記荷重検出部のオフセット値としてデジタル信号に変換するとともに、前記オフセット値が0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内にあるように、前記アナログ増幅器の調整端子に印加するオフセット調整値を演算して記憶するオフセット調整値演算記憶部と、前記オフセット調整値をアナログ信号に変換して前記アナログ増幅器の調整端子に出力するD/A変換器と、を有することである。
【0008】
これによると、各荷重センサモジュールは、荷重検出部、アナログ増幅器、送受信器を有し、さらにオフセット調整値演算記憶部とD/A変換器とを夫々有している。そして、送受信器が受信した上位制御装置の指令により、各荷重センサモジュールは、乗員が前記車両用シートに着座していない状態で、アナログ増幅器で出力する電圧を荷重検出部のオフセット値としてデジタル信号に変換する。オフセット調整値演算記憶部は、オフセット値が0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内にあるように、アナログ増幅器の調整端子に印加するオフセット調整値を演算して記憶する。D/A変換器は、演算されたオフセット調整値を、アナログ信号に変換してアナログ増幅器の調整端子に出力する。
このように、各荷重センサモジュールにおいてオフセット調整を行うことができるため、従来のように増幅器の出力をマルチプレクサで切替えて一つの演算部で調整処理する場合と比較して、オフセット調整のための演算時間を短縮することができる。
【0009】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、前記各荷重センサモジュールにおいて、前記オフセット調整値演算記憶部は、当該荷重センサモジュールの前記アナログ増幅器の調整端子に前記オフセット調整値を印加した後の前記オフセット値が、前記オフセット調整範囲にあるか否かを判定する判定部を設け、前記判定部が、前記オフセット値が前記オフセット調整範囲にあると判定した場合に、前記オフセット調整値を記憶する請求項1記載のシート荷重検出装置とすることである。
【0010】
これによると、オフセット調整値を印加した後のオフセット値が、オフセット調整範囲にあるか否かを判定部により判定することで、各荷重センサモジュールにおいてオフセット調整が正常に行われたことを確認する。このように、オフセット調整値を印加して調整された後のオフセット値が、正確な荷重検出ができない可能性のあるオフセット調整範囲外にないことを判定することで、迅速にオフセット調整が正常に行われたことを確認することができる。
【0011】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、前記オフセット調整値演算記憶部は、前記オフセット調整値を印加した後のオフセット値が0となるように微調整演算をさらに行う請求項1又は2に記載のシート荷重検出装置とすることである。
【0012】
これによると、オフセット調整値演算記憶部によって、オフセット調整値を印加した後のオフセット値が0となるように微調整演算をおこなうことで、より高精度なオフセット調整ができるので、乗員の荷重をより正確に検出することができる。
【0013】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、前記荷重検出部は、前記複数の荷重測定箇所の各々における前記フロア側固定部材及び前記シート側固定部材の前記一方に形成された取付け面に、該取付け面から所定の隙間を置いて車両の前後方向に延在して両端部で固定される起歪体と、該起歪体の中央部に垂直方向に固定され、前記フロア側固定部材及び前記シート側固定部材の他方に固定される連結部材と、前記起歪体の圧縮歪及び引張歪を生じる表面に貼着され前記起歪体に生じる圧縮歪及び引張歪それぞれ検出する少なくとも2個の歪検出素子と、該歪検出素子がブリッジ回路の少なくとも2辺に配置されたホイートストンブリッジと、を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート荷重検出装置とすることである。
【0014】
これによると、フロア側固定部材及びシート側固定部材の一方に両端部が固定された起歪体が、フロア側固定部材及びシート側固定部材の他方に固定され起歪体の中央部に固定された連結部材から受ける荷重によって圧縮歪及び引張歪を生じる。生じた圧縮歪及び引張歪は起歪体に貼着された歪検出素子により可変抵抗として検出される。そして、可変抵抗がブリッジ回路の少なくとも2辺に組み込まれたホイートストンブリッジにより、可変抵抗の抵抗差によって生じる電圧によって乗員の荷重を検出する。このような構造の荷重検出部において、乗員が着座していない時に生じる荷重をオフセット荷重として、オフセット調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るシート荷重検出装置をシートクッションに配置した実施形態を示す図である。
図2】収納ケースと荷重検出部との組み付けを示す斜視図である。
図3】収納ケースに収納されたアナログ増幅器等と荷重検出部との組み付け状態を下方から示す概要図である。
図4】シートフレームとアッパレールとの間に組付けられた荷重検出部の概要図である。
図5】シート荷重検出装置の概要図である。
図6】荷重センサモジュールのブロック図である。
図7】オフセット調整の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例)
以下、本発明に係るシート荷重検出装置を車両用シート100に実施した実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書中において使用する「前後、左右、上下」の方向は車両用シート100に着座した乗員から見た車両の各方向を基準として記述している。また、本実施の形態においては、車両は左ハンドル車とし、助手席に着座する乗員の有無を判定するものとする。
【0017】
図1に示すように、助手席用の車両用シート100は、乗員が着座するシートクッション11と、シートクッション11の後端部において前後方向に回動可能に取付けられ、乗員の背もたれとなるシートバック12とを備えている。また、シートバック12の上端には、乗員の頭部を支持するヘッドレスト13が取付けられている。
【0018】
シートクッション11は、シートフレーム(シート側固定部材)17、シートフレーム17の上方に配置されたパッド部材112、およびパッド部材112の表面を覆う表皮113により形成されている。シートフレーム17の下面には、左右一対のアッパレール(フロア側固定部材)14R、14Lが取付けられている。シートフレーム17は左側アッパレール14Lの前端上面及び後端上面に設けられた取付け面18(図4参照)に設けられた後述する荷重検出部を介して取り付けられている。アッパレール14R、14Lは、車両のフロア8上に固定された一対のロアレール15R、15L上に、それぞれ前後方向に移動可能に係合している。これにより、車両用シート100は、車両フロア8上を前後方向に移動可能で、乗員の所望する位置に固定できるようになっている。
【0019】
次に、シート荷重検出装置10について説明する。シート荷重検出装置10は、図3に示すように、荷重検出部22、アナログ増幅器26、A/D変換器(ADC)28、オフセット調整値演算記憶部としてのLOGIC29、送受信器としてのシリアル通信用送受信器(Serial Communications Interface)32、D/A変換器(DAC)34を備える荷重センサモジュール40と、上位制御装置42(図1参照)とを有している。
【0020】
荷重検出部22において、図1に示すように、左側のアッパレール14Lの前後に取付けられた荷重検出部22Lf,22Lbと、右側のアッパレール14Rの前後に取付けられた荷重検出部22Rf,22Rbとは、同様なので、左側のアッパレール14Lに取付けられた荷重検出部22Lbを代表として説明する。
【0021】
荷重検出部22Lbは、図4に示すように、略長方形をなす板状の起歪体20と、起歪体20の裏面に貼付された第1乃至第4歪検出素子SG1〜SG4と、起歪体20が前後方向に延在するように起歪体20の両端部をアッパレール14Lの取付け面18に所定の隙間tを設けて固定する第1及び第2ロアブラケット21a,21bと、起歪体20の中央部に垂直方向に固定され、かつシートフレーム17に固定される連結部材23と、起歪体20の上面に両端部で係合されるアッパブラケット24(図2及び図4参照)とを有している。
アッパブラケット24は、図2に示すように、略コ字形に形成され、略コ字形の開口部を形成する両端部が起歪体20とともにアッパレール14Lに固定される。アッパブラケット24の中央部下面には例えば樹脂製の収納ケース38がネジ等によって取り付けられている。収納ケース38には、図3に示すように、第1乃至第4歪検出素子G1,G2,G3,G4からの信号を増幅するアナログ増幅器26、A/D変換器28、D/A変換器34、オフセット調整値演算記憶部31及びシリアル通信用送受信器32が一括して収納されている。収納ケース38のシリアル通信用送受信器32が配置された端部には、シリアル通信用送受信器32からの出力を上位制御装置42(図1及び図5)に送信するための通信線を接続するコネクタ39が設けられている。
【0022】
起歪体20は、中央部が連結部材23を介してシートフレーム17に固定されるとともに、両端部がアッパレール14Lに固定されている。シートクッション11に着座する乗員の荷重が連結部材23を介して起歪体20に付加されると、図4に示すように、起歪体20は、その両端部を第1および第2ロアブラケット21a,21bに両端支持されて撓み、起歪体20の表面には、第1ロアブラケット21aと連結部材23との間、および第2ロアブラケット21bと連結部材23との間において、荷重に比例して第1および第2ロアブラケット21a,21b側に圧縮歪、連結部材23側に引張歪が生じるようになっている。
【0023】
また、上述のように、これら圧縮歪、引張歪を検出するために、起歪体20の両端部と中央部との各間、即ち第1ロアブラケット21aと連結部材23と間、および第2ロアブラケット21bと連結部材23との間には、図3及び図4に示すように、起歪体20の裏面に、第1〜第4歪検出素子SG1〜SG4が貼着されている。これらの第1〜第4歪検出素子SG1〜SG4は、起歪体20が延在する前後方向の引張変形および圧縮変形を、貼着された歪検出素子自体の伸び縮みとして検出できるとともに、伸び縮みに比例する電気抵抗を生じる。
【0024】
第1歪検出素子SG1〜第4歪検出素子SG4は、図5及び図6に示すように、ホイートストンブリッジ52の可変抵抗を構成するものであり、起歪体20の撓みとしてシートクッション11に着座する乗員の分担荷重を検出するように構成されている。そして、ホイートストンブリッジ52のab間は、アナログ増幅器26に接続される。乗員の分担荷重は、複数の荷重測定箇所の各々において、一つの荷重検出部22が検出する乗員の荷重値であり、本実施形態では、図1及び図5に示すように、車両用シート100の4つの荷重測定箇所に対応して4つの荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbが配置されているので、各荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbの検出した分担荷重値の合計値が、車両用シート100に着座する乗員による荷重として演算される。
【0025】
アナログ増幅器26は、オペアンプ(AMP)であり、図6に示すように、+極及び−極となる2つの入力端子26bと1つの出力端子26cと2つの調整端子26a(入力端子26bと兼用)とを有している。2つの入力端子26bは、上述のように、ホイートストンブリッジ52のa,b間に接続され、電位差としての信号を出力端子26cから増幅して出力する。調整端子26aは、D/A変換器34に接続されている。
A/D変換器28は、アナログ増幅器26の出力端子26cに接続され、アナログ増幅器26からのアナログ信号データをデジタル信号のデータに変換してLOGIC29に出力する。
LOGIC29は、図6に示すように、オフセット調整値演算記憶部31と判定部35とを有している。オフセット調整値演算記憶部31は、乗員が着座していない状態で電位差が生じている場合に、オフセット値が0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内となるようにアナログ増幅器26の調整端子26aに印加するオフセット調整値を演算するとともに、演算された該オフセット調整値を記憶する。本実施形態において、オフセット値は、乗員が着座していない状態で検出された電圧を、A/D変換器28によってデジタル変換した後のデジタル値(荷重値の単位)を使用する。また、0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内のオフセット値として、例えば検出される荷重が0.8kg以下の値とする。また、オフセット調整値については、例えば、荷重値の単位で示されるものでよく、電圧に対応する媒介変数値で示されるものでもよい。
判定部35は、荷重検出部22毎に定まる調整が可能なオフセット値の範囲を、夫々記憶し、乗員が着座していない状態で出力されるオフセット値が、記憶された調整が可能なオフセット値の範囲にあるか否かを判断する。そして、出力されるオフセット値が、記憶された調整が可能なオフセット値の範囲にある場合に、例えば、オフセット調整が正常に行われたことを示すフラッグを立てる。そして、オフセット調整値演算記憶部31は、フラッグが立ったオフセット調整値を記憶する。
【0026】
シリアル通信用送受信器(SCI)32は、LOGIC29に接続され、LOGIC29のオフセット調整値演算記憶部31によって記憶されたデータや検出された荷重値のデータを信号として、上位制御装置42に出力し、上位制御装置42からの例えばオフセット調整の開始・終了などの指令を受信する。
D/A変換器34は、LOGIC29に接続され、オフセット調整値演算記憶部31で記憶されたオフセット調整値をアナログデータに変換してアナログ増幅器26の調整端子26aに出力する。
その際、上述のアナログ増幅器26は、入力されたオフセット調整値(アナログ値)によって、アナログ増幅器26の「+」の入力端子26b及び「−」の入力端子26bの間で生じるオフセット電圧をキャンセルし、オフセット電圧に基づく誤差が生じていない乗員の分担荷重の検出値を出力端子26cより出力する。
【0027】
上位制御装置42は、図略の演算部、記憶部および制御部を有し、第1〜第4荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dからの検出値を合算して記憶するとともに、合算されたデータにより、例えば、「乗員あり」、「乗員なし」の状態を判定し、エアバッグ表示ランプ等を制御する。また、上位制御装置42は、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dで、オフセット調整が正常に行われた(例えば、すべての荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dで、オフセット調整が正常に行われたことを示すフラッグが立っている)か否かを確認する判定部44を有している。
【0028】
次に、以上のように構成されたシート荷重検出装置10を使ってオフセット調整を行う作動について、図7のフローチャートに基づいて以下に説明する。
【0029】
荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbのオフセット調整は、例えば工場における新車の組立の際に、新しい荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbが、車両用シート100に組み付けられたとき、また、車両の修理時に荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbを調整する際などに行われる。
【0030】
まず、車両用シート100に乗員の着座がされていない状態で、上位制御装置42は、オフセット調整要求を各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dに発信し、荷重センサモジュール40a,40b,40c,40d毎にオフセット調整プログラムを実行させる(ステップ100(以下、ステップを「S」と略記する。))。
【0031】
次に、上位制御装置42は、出力目標値の確認を行う(S101)。例えば、車両用シートの自重の検出値のうち各荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbが分担する荷重分を、乗員の着座がされていない状態で検出された分担荷重より差し引いて検出される荷重が0となる値が、目標値として設定される。
【0032】
上位制御装置42は、調整モードの確認を行う(S102)。この調整モードは、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40d内のLOGIC29のROMに記憶されている。通常、オフセット調整には、高精度モードが使用されるが、精度よりも調整時間を短くオフセット調整を実施したい場合には、低精度モードを選択することが可能となっている。本実施形態では、高精度モードで行うことを確認する。
【0033】
各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dにおけるLOGIC29は、オフセット調整を実施する(S103)。各LOGIC29は、車両用シートに乗員が着座していない状態で、夫々の荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbが出力する荷重の検出値を、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40d毎に検出する。乗員が着座していないため、検出された荷重値より車両用シートの自重における各荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbが分担する重量分を差し引くと、本来検出される荷重値は0であるが、例えば第1荷重センサモジュール40aにおいて、2.5kgが検出された場合、この2.5kgは、第1荷重センサモジュール40aにおけるオフセット電圧により生じるオフセット値(荷重値の単位)であると判断される。
【0034】
LOGIC29は、オフセット調整値演算記憶部31において、アナログ増幅器26の調整端子26aに印加すると、検出される荷重値(オフセット値)が、0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内(例えば、0.8kg以下)にあるようにオフセット調整値を演算する。オフセット調整値演算記憶部31は、例えば、オフセット電圧(或いはオフセット値)をキャンセルするため、オフセット値とオフセット調整値との対応関係データを記憶している。例えば2.5kgが調整前のオフセット値である場合、当該対応関係データよりオフセット調整値を求める。そして、求められたオフセット調整値をD/A変換器によってアナログデータに変換し、変換された調整値のアナログデータをアナログ増幅器26に入力することで、オフセット電圧をキャンセルする。
【0035】
また、オフセット調整値演算記憶部31は、オフセット調整値をアナログ増幅器26に印加した後のオフセット値が0となるよう、さらに微調整演算をおこなうことができる。具体的には、例えば、区間の中点を考えることにより解の存在する範囲を初めの半分に縮小することを繰り返す2分法のアルゴリズムを用いて0となるように調整する。このように、オフセット調整値を印加した後のオフセット値が0となるように微調整演算をおこなうことで、より高精度な2段階のオフセット調整ができるので、乗員の荷重をより正確に検出することができる。なお、オフセット調整値演算記憶部31により行われる前述の微調整演算は、必須のものではなく、前述の高精度モードにおいて必要に応じて適宜実施されるもので、前述の低精度モードでは実施されない。
【0036】
各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dにおいて、判定部35は、夫々の出力側から検出された調整値(本実施形態では、第1荷重センサモジュール40aの判定部35は、オフセット調整値印加後のオフセット電圧より生じるオフセット値)が、オフセット調整範囲にあるか否かを確認する(S104)。このように出力側から検出された調整値がオフセット調整範囲にあることを確認することで、オフセット調整が正常に終了するか否かを判定する。
【0037】
判定部35は、前記調整値がオフセット調整範囲にある場合には正常に完了したと判断して完了フラグをONする(S105)。上位制御装置42は、すべての荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dにおける完了フラグの有無を確認し、いずれかの荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dにおける前記調整値が、オフセット調整範囲にない(完了フラグが立っていない)場合には、オフセット調整が正常に行われなかったと判断し、例えば、異常報告をランプの点滅等によっておこなう(S107)。
【0038】
各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dにおけるLOGIC29は、調整が正常に完了した場合、オフセット調整を行ったオフセット調整値をオフセット調整値演算記憶部31に記憶する(S106)。
【0039】
以後、オフセット調整値演算記憶部31に記憶されたオフセット調整値を使用して、アナログ増幅器26のオフセット電圧をキャンセルする。これによって、オフセット調整後、乗員が着座したときに各荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbが検出する分担荷重は、アナログ増幅器26の出力端子26cから出力されるときには、既にオフセット調整された値となっている。
【0040】
上記のように構成されたシート荷重検出装置10によると、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dは、荷重検出部22、アナログ増幅器26、A/D変換器28、シリアル通信用送受信器32を夫々有し、さらにオフセット調整値演算記憶部31とD/A変換器34とを夫々有している。そして、シリアル通信用送受信器32が受信した上位制御装置42の指令により、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dは、乗員が車両用シート100に着座していない状態で、アナログ増幅器26で出力する電圧をA/D変換器28によりデジタル信号に変換して荷重検出部22のオフセット値とする。オフセット調整値演算記憶部31は、オフセット値が0近傍の予め定められたオフセット調整範囲内にあるように、アナログ増幅器26の調整端子26aに印加するオフセット調整値を演算して記憶する。D/A変換器34は、演算されたオフセット調整値を、アナログ信号に変換してアナログ増幅器26の調整端子26aに出力する。
このように、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dにおいてオフセット調整を行うことができるため、従来のように増幅器の出力をマルチプレクサで切替えて一つの演算部で調整処理する場合と比較して、オフセット調整のための演算時間を短縮することができる。
【0041】
オフセット調整後、乗員が着座したときに各荷重検出部22Lf,22Lb,22Rf,22Rbが検出する分担荷重は、アナログ増幅器26から出力されるときには、既にオフセット調整された値となっているので、アナログ増幅器26で出力後にオフセット電圧修正のための演算を行うことなく、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dから迅速に上位制御装置42に出力することができる。
【0042】
また、オフセット調整値を印加した後のオフセット値が、オフセット調整範囲にあるか否かを判定部により判定することで、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dにおいてオフセット調整が正常に行われたことを確認する。このように、オフセット電圧が0になったことを確認するのではなく、オフセット調整値を印加して調整された後のオフセット値が、正確な荷重検出ができない可能性のあるオフセット調整範囲外にないことを判定することで、迅速にオフセット調整が正常に行われたことを確認することができる。
【0043】
また、オフセット調整値演算記憶部31によって、オフセット調整値を印加した後のオフセット値が0となるように微調整演算をおこなうことで、より高精度なオフセット調整ができるので、乗員の荷重をより正確に検出することができる。
【0044】
また、アッパレール16に両端部が固定された起歪体20が、シートフレーム17に固定され起歪体20の中央部に固定された連結部材23から受ける荷重によって圧縮歪及び引張歪を生じる。生じた圧縮歪及び引張歪は起歪体20に貼着された歪検出素子SG1〜SG4により可変抵抗として検出される。そして、可変抵抗がブリッジ回路の4辺に組み込まれたホイートストンブリッジ52により、可変抵抗の抵抗差によって生じる電圧によって乗員の荷重を検出する。このような構造の荷重検出部22において、乗員が着座していない時に生じる荷重をオフセット荷重として、オフセット調整を行うことができる。
【0045】
また、アッパレール16及びシートフレーム17の一方に固定された収納ケース38によりアナログ増幅器26、オフセット調整値演算記憶部31、D/A変換器34及びシリアル通信用送受信器32を一括して収納し、収納ケース38が固定されたアッパレール16及びシートフレーム17の一方に、ホイートストンブリッジ52の可変抵抗を構成する4個の歪検出素子SG1,SG2,SG3,SG4が貼着された起歪体20を固定するよう配置する。
そのため、各荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dは、アナログ増幅器26等が一括して収納された収納ケース38と、荷重検出部22とを、簡素な2つの部品として取り扱うことができ、車両用シート100への取り付け作業及び保守作業などを容易に行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態において、荷重検出部22を構成するホイートストンブリッジ52を、回路の辺に配置される抵抗を、すべて歪ゲージ(歪検出素子SG1〜SG4)で置き換えたフルブリッジ構成のものとしたが、これに限定されず、例えば2つの固定抵抗と2つの歪検出素子で構成するハーフブリッジ構成のものでもよい。
また、送受信器を、シリアル通信用送受信器32としたが、これに限定されず、例えば、パラレル通信用送受信器でもよい。
【0047】
また、本実施形態の荷重検出部は、1つの車両用シート100に、4つの荷重センサモジュール40a,40b,40c,40dを使用したが、これに限定されず、例えば、車両の内側のアッパレールと車両用シートフレームとの間において、その前端部及び後端部の場所に設けられる2つの荷重センサモジュールでもよい。
また、オフセット値は、A/D変換器によりデジタル変換された後のデジタルデータによる値としたが、これに限定されず、例えばデジタル変換される前のアナログデータによる値でもよい。
【0048】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。
【符号の説明】
【0049】
10…シート荷重検出装置、16…フロア側固定部材(アッパレール)、17…シート側固定部材(シートフレーム)、18…取付け面、20…起歪体、22…荷重検出部、23…連結部材、26…アナログ増幅器、26a…調整端子、28…A/D変換器、29…LOGIC、31…オフセット調整値演算記憶部、32…シリアル通信用送受信器、34…D/A変換器、35…判定部、38…収納ケース、40…荷重センサモジュール、40a…第1荷重センサモジュール、40b…第2荷重センサモジュール、40c…第3荷重センサモジュール、40d…第4荷重センサモジュール、42…上位制御装置、52…ホイートストンブリッジ、100…車両用シート、SG1,SG2,SG3、SG4…歪検出素子、t…所定の隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7