【解決手段】警報音検出器50a,50b,50cが警報音(特定音)を検出した場合、制御部57は警報音の検出結果に基づいて、警報音を出力している緊急車両(音源)の報知装置20に対する相対位置を表す相対位置情報を算出する。そして、報知装置20,20,20夫々の通信部53は、相対位置情報を示す相対位置信号をサーバ3の通信部70に送信する。サーバ3の制御部73は、通信部70が受信した複数の相対位置信号が示す相対位置情報から緊急車両の絶対位置を算出する。算出された絶対位置を示す絶対位置信号は通信部70によって報知装置20の通信部53に送信する。表示部55は、通信部53が受信した絶対位置信号が示す緊急車両の絶対位置を報知する。
特定音を検出する音検出手段と、該音検出手段の検出結果に基づいて、前記特定音を出力している音源の自装置に対する相対位置を表す相対位置情報を算出する情報算出手段とを有し、前記音検出手段が前記特定音を検出した場合に報知を行う複数の報知装置を備える報知システムであって、
該複数の報知装置夫々は、
前記相対位置情報を示す相対位置信号を送信する第1送信手段と、
前記音源の絶対位置を示す絶対位置信号を受信する第1受信手段と、
該受信手段が受信した絶対位置信号が示す絶対位置を報知する報知手段と
を有し、
前記複数の報知装置夫々の第1送信手段から複数の前記相対位置信号を受信する第2受信手段と、
該第2受信手段が受信した複数の相対位置信号夫々が示す相対位置情報から前記音源の絶対位置を算出する位置算出手段と、
該位置算出手段が算出した絶対位置を示す絶対位置信号を前記報知装置の前記第1受信手段に送信する第2送信手段と
を備えることを特徴とする報知システム。
前記複数の報知装置夫々の前記情報算出手段は、前記音検出手段が検出した特定音の強度値に基づいて、前記音源及び自装置間の距離を、前記相対位置情報として算出するように構成してあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の報知システム。
特定音を検出する音検出手段と、該音検出手段の検出結果に基づいて、前記特定音を出力している音源の自装置に対する相対位置を表す相対位置情報を算出する情報算出手段とを備え、前記音検出手段が前記特定音を検出した場合に報知を行う報知装置において、
前記相対位置情報を示す相対位置信号を送信する送信手段と、
信号を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した信号が示す前記音源の絶対位置を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする報知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の報知システムでは、緊急車両が走行する場所を一般車両の運転者に正確に報知するので、運転者は、適切に、一般車両を、緊急車両の走行を妨害しない位置に移動させることができる。しかしながら、特許文献1に記載の報知システムを構築するためには、インフラ整備を行わなければならず、システムの構築に費用が嵩むという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の報知装置については、インフラ整備が不要であるため、製造費用が安価である。しかしながら、特許文献2に記載の報知装置では、警報音を検出した場合に、一般車両の運転者は、正確な緊急車両の位置を把握することができないので、運転者は、一般車両を、緊急車両の走行を妨害しない位置に適切に移動させることができないという問題がある。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特定音(警報音)を出力している音源(緊急車両)の位置を正確に報知することができる安価な報知システム、及び、該報知システムが備える報知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る報知システムは、特定音を検出する音検出手段と、該音検出手段の検出結果に基づいて、前記特定音を出力している音源の自装置に対する相対位置を表す相対位置情報を算出する情報算出手段とを有し、前記音検出手段が前記特定音を検出した場合に報知を行う複数の報知装置を備える報知システムであって、該複数の報知装置夫々は、前記相対位置情報を示す相対位置信号を送信する第1送信手段と、前記音源の絶対位置を示す絶対位置信号を受信する第1受信手段と、該受信手段が受信した絶対位置信号が示す絶対位置を報知する報知手段とを有し、前記複数の報知装置夫々の第1送信手段から複数の前記相対位置信号を受信する第2受信手段と、該第2受信手段が受信した複数の相対位置信号夫々が示す相対位置情報から前記音源の絶対位置を算出する位置算出手段と、該位置算出手段が算出した絶対位置を示す絶対位置信号を前記報知装置の前記第1受信手段に送信する第2送信手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては複数の報知装置を備える。複数の報知装置夫々は、特定音、例えば警報音を検出する。複数の報知装置夫々は、特定音を検出した場合、特定音の検出結果に基づいて、特定音を出力している音源、例えば緊急車両の自装置に対する相対位置を表す方向又は距離等の相対位置情報を算出する。複数の報知装置夫々は、相対位置情報を示す相対位置信号を、所定の装置、例えばサーバに送信する。
【0012】
所定の装置は、複数の報知装置夫々から相対位置信号を受信し、受信した複数の相対位置信号夫々が示す相対位置情報から音源の絶対位置を算出し、算出した絶対位置を示す絶対位置信号を報知装置に送信する。報知装置は、絶対位置信号を受信し、受信した絶対位置信号が示す音源の絶対位置を、例えば、地図と共に表示部に表示することによって、報知する。
このため、複数の相対位置情報から算出された正確な音源の位置が報知され、更に、インフラ整備が不要であるため、システムが安価に構築される。
【0013】
本発明に係る報知システムは、前記複数の報知装置夫々は複数の前記音検出手段を有し、前記複数の報知装置夫々の前記情報算出手段は、前記複数の音検出手段が前記特定音を検出したタイミングに基づいて、自装置に対する前記音源の方角を前記相対位置情報として算出するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、複数の報知装置夫々は、特定音を検出する複数の音検出手段を有する。複数の報知装置夫々は、複数の音検出手段が特定音を検出したタイミングに基づいて、自装置に対する音源の方角を相対位置情報として算出する。
これにより、複数の報知装置夫々は、自装置に対する音源の方角を容易に算出することが可能となる。
【0015】
本発明に係る報知システムは、前記複数の報知装置夫々の前記情報算出手段は、前記音検出手段が検出した特定音の強度値に基づいて、前記音源及び自装置間の距離を、前記相対位置情報として算出するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、複数の報知装置夫々は、検出した特定音の強度値に基づいて、音源及び自装置間の距離を相対位置情報として算出する。このため、音源及び自装置間の距離が容易に算出される。
【0017】
本発明に係る報知システムは、前記複数の報知装置夫々は、開閉可能な窓を有する車両に搭載されており、前記複数の報知装置夫々は、前記音検出手段が前記特定音を検出した場合に前記窓を開放する開放手段を有することを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては複数の報知装置夫々は車両に搭載されている。複数の報知装置夫々は、特定音を検出した場合、車両の開閉可能な窓を開放する。これにより、車両の運転者に特定音を直接に聞かせることが可能となる。
【0019】
本発明に係る報知システムは、前記複数の報知装置夫々は、オーディオ装置を有する車両に搭載されており、前記複数の報知装置夫々は、前記音検出手段が前記特定音を検出した場合に前記オーディオ装置の出力音量を低減する低減手段を有することを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては複数の報知装置夫々は車両に搭載されている。複数の報知装置夫々は、特定音を検出した場合、車両が有するオーディオ装置の出力音量を低減する。これにより、車両の運転者に特定音を直接に聞かせることが可能となる。
【0021】
本発明に係る報知装置は、特定音を検出する音検出手段と、該音検出手段の検出結果に基づいて、前記特定音を出力している音源の自装置に対する相対位置を表す相対位置情報を算出する情報算出手段とを備え、前記音検出手段が前記特定音を検出した場合に報知を行う報知装置において、前記相対位置情報を示す相対位置信号を送信する送信手段と、信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した信号が示す前記音源の絶対位置を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、特定音、例えば警報音を検出し、特定音の検出結果に基づいて、特定音を出力している音源、例えば緊急車両の自装置に対する相対位置を表す方向又は距離等の相対位置情報を算出する。特定音を検出した場合、算出した相対位置情報を示す相対位置信号を外部に送信する。そして、外部から受信した信号が示す音源の絶対位置を報知する。
【0023】
例えば、複数の相対位置信号を受信し、受信した複数の相対位置信号が示す相対位置情報から音源の絶対位置を算出し、算出した絶対位置を示す絶対位置信号を送信するサーバが外部に設けられている場合、正確な音源の絶対位置が報知される。更に、インフラ整備が不要であるため、装置とサーバとによって構成されるシステムの構築費用は安価である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、特定音を出力している音源の位置を正確に報知することができる安価な報知システム、及び、該報知システムが備える報知装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本実施の形態における報知システム1の要部構成を示すブロック図である。報知システム1は3つの報知装置20,20,20とサーバ3とを備える。3つの報知装置20,20,20夫々は、窓開閉装置21及びオーディオ装置22に各別に接続されている。3つの車両2,2,2夫々には、1つの報知装置20と、該報知装置20に接続されている窓開閉装置21及びオーディオ装置22とが搭載されている。3つの報知装置20,20,20夫々はサーバ3と図示しないネットワークを介して通信する。
【0027】
図2は報知システム1が適用される状況の説明図である。報知システム1は、警報音を出力している緊急車両4が事故現場又は病院等の目的地に短時間で到着することができるように支援する。本実施の形態においては、緊急車両4として日本の救急車が想定されている。日本の救急車が出力する警報音は、所定の高周波数帯域、例えば950Hzから990Hzに属する周波数成分と、所定の低周波数帯域、例えば750Hzから770Hzに属する周波数成分とによって構成される。具体的には、救急車は、高周波数帯域の周波数成分からなる音波、及び、低周波数帯域の周波数成分からなる音波夫々を所定時間、例えば約0.65秒間ずつ交互に出力する。
警報音は特許請求の範囲における特定音に相当し、緊急車両4は音源として機能する。
【0028】
報知装置20は、緊急車両4が出力している警報音を検出し、警報音の検出結果に基づいて、緊急車両4の自装置に対する相対位置を表す相対位置情報を算出する。報知装置20は、算出した相対位置情報が示す相対位置信号をサーバ3に送信する。また、報知装置20は、自装置の絶対位置を検出し、検出した絶対位置を示す装置位置信号を、相対位置信号と共にサーバ3に送信する。
【0029】
サーバ3は、3つの報知装置20,20,20夫々から相対位置信号及び装置位置信号を受信し、受信した複数の相対位置信号夫々が示す相対位置情報と、受信した複数の装置位置信号夫々が示す報知装置20の絶対位置とから緊急車両4の絶対位置を算出し、算出した緊急車両4の絶対位置を示す絶対位置信号を報知装置20に送信する。3つの報知装置20,20,20夫々はサーバ3から絶対位置信号を受信する。3つの報知装置20,20,20夫々は、サーバ3から絶対位置信号を受信した場合、受信した絶対位置信号が示す緊急車両4の絶対位置を報知する。
3つの報知装置20,20,20夫々の構成及び作用は同様である。
【0030】
3つの車両2,2,2夫々は、開閉可能な4つの窓23a,23b,23c,23d(
図8参照)を有する。窓23bは車両2の運転席側に設けられている。窓開閉装置21は、例えば、自装置が搭載されている車両2の乗員によって行われる図示しない操作部の操作に基づいて、4つの窓23a,23b,23c,23d夫々を開閉する。更に、窓開閉装置21は、報知装置20から出力された窓23bの開放指示に従って、自装置が搭載されている車両2の窓23bを開放する。3つの窓開閉装置21,21,21夫々の構成及び作用は同様である。
【0031】
オーディオ装置22は、例えば、ラジオ、音楽プレーヤー又はテレビジョン受信機等のスピーカであり、音声を出力する。オーディオ装置22は、自装置に接続されている報知装置20から出力された出力音量の低減指示に従って、出力音量を低減する。3つのオーディオ装置22,22,22夫々の構成及び作用は同様である。
【0032】
図3は報知装置20及びサーバ3夫々の要部構成を示すブロック図である。報知装置20は、3つの警報音検出器50a,50b,50c、距離算出部51、位置検出部52、通信部53、記憶部54、表示部55、出力部56及び制御部57を有する。これらはバス58に接続されている。警報音検出器50a,50b,50c夫々は、バス58の他に距離算出部51に各別に接続されている。また、出力部56は、バス58の他に、窓開閉装置21及びオーディオ装置22に各別に接続されている。
【0033】
警報音検出器50aは、車両2外の音を集音し、警報音を検出する。警報音検出器50aは、警報音の検出結果として、警報音を検出したか否かの判定結果と、警報音の強度値とを出力する。警報音検出器50aは、判定結果を制御部57に出力し、強度値を距離算出部51に出力する。警報音検出器50aは音検出手段として機能する。
【0034】
図4は警報音検出器50aの要部構成を示すブロック図である。警報音検出器50aは、集音部60a、BPF(Band Pass Filter)61a,62a、A/D変換部63a,64a、2値化処理部65a,66a及び判定部67aを有する。集音部60aの出力端はBPF61a,62a夫々の入力端に接続されている。BPF61a,62a夫々の出力端はA/D変換部63a,64a夫々の入力端に接続されている。A/D変換部63aの出力端は距離算出部51と2値化処理部65aの入力端とに接続され、A/D変換部64aは距離算出部51と2値化処理部66aの入力端とに接続されている。2値化処理部65a,66a夫々の出力端は判定部67aに各別に接続されている。判定部67aは更にバス58に接続されている。
【0035】
集音部60aは、例えば集音マイクであり、車両2の左側にあるウィンカー24に取り付けられている(
図8参照)。集音部60aは集音した音を電気信号に変換し、変換した電気信号をBPF61a,62a夫々に出力する。
【0036】
BPF61aは、集音部60aから入力された電気信号の中で前述した高周波数帯域に属する周波数成分を抽出し、高周波数帯域に属する周波数成分を抽出することによって得られた電気信号をA/D変換部63aに出力する。
【0037】
A/D変換部63aは、BPF61aから入力された電気信号を一定期間ごとにサンプリングを行い、サンプリングしたアナログの強度値をデジタルの強度値に変換する。A/D変換部63aは、前述した一定期間よりも長い所定期間にサンプリングした複数の強度値を平均し、平均した強度値を、距離算出部51及び2値化処理部65aに出力する。
【0038】
2値化処理部65aは、A/D変換部63aから入力された強度値が予め設定されている第1閾値以上である場合にハイレベルの電圧を出力し、A/D変換部63aから入力された強度値が第1閾値未満である場合にローレベルの電圧を出力する。このように、2値化処理部65aは、ハイレベル及びローレベルの電圧によって構成される高周波側2値信号を判定部67aに出力する。
【0039】
BPF62aは、集音部60aから入力された電気信号の中で前述した低周波数帯域に属する周波数成分を抽出し、低周波数帯域に属する周波数成分を抽出することによって得られた電気信号をA/D変換部64aに出力する。
A/D変換部64aの構成及び作用はA/D変換部63aと同様である。A/D変換部63aの構成及び作用の説明において、BPF61aはBPF62aに対応し、2値化処理部65aは2値化処理部66aに対応する。
【0040】
2値化処理部66aは、A/D変換部64aから入力された強度値が予め設定されている第2閾値以上である場合にハイレベルの電圧を出力し、A/D変換部64aから入力された強度値が第2閾値未満である場合にローレベルの電圧を出力する。このように、2値化処理部66aは、ハイレベル及びローレベルの電圧によって構成される低周波側2値信号を判定部67aに出力する。
【0041】
判定部67aは、2値化処理部65a,66a夫々から入力された高周波側2値信号及び低周波側2値信号に基づいて、警報音が検出されてか否かを判定し、判定結果を、バス58を介して制御部57に出力する。
【0042】
図5は高周波側2値信号及び低周波側2値信号の波形図である。
図5では、ハイレベルの電圧は「H」で示され、ローレベルの電圧は「L」で示されている。
高周波数帯域に属する周波数成分からなる音波を緊急車両4が出力している場合、高周波側2値信号がハイレベルの電圧を示し、低周波側2値信号がローレベルの電圧を示す。低周波数帯域に属する周波数成分からなる音波を緊急車両4が出力している場合、高周波側2値信号がローレベルの電圧を示し、低周波側2値信号がハイレベルの電圧を示す。
【0043】
判定部67aは、高周波側2値信号及び低周波側2値信号夫々がハイレベル及びローレベルの電圧を示している第1状態と、高周波側2値信号及び低周波側2値信号夫々がローレベル及びハイレベルの電圧を示す第2状態とが前述した所定時間間隔で交互に遷移している場合、警報音が検出されたと判定する。判定部67aは、第1状態及び第2状態が所定時間間隔で交互に遷移していない場合、警報音は検出されていないと判定する。判定部67aは、警報音を検出した場合、その旨を、バス58を介して制御部57に通知する。
【0044】
警報音検出器50b,50c夫々は、構成及び作用が警報音検出器50aの集音部60aと同様である集音部60b,60c(
図8参照)を有している。集音部60bは車両2の右側のウィンカー25に取り付けられており、集音部60cは車両2の後側に取り付けられている。このように、集音部60a,60b,60c夫々は、異なる位置に配置されている。このため、集音部60a,60b,60cが目立つことはなく、車両2のデザイン性が高い。
警報音検出器50b,50cの構成及び作用について、集音部60b,60cの配置を除く他の構成及び作用は警報音検出器50aと同様である。
【0045】
距離算出部51には、強度値が警報音検出器50a,50b,50c夫々から入力される。距離算出部51は、制御部57から、警報音検出器50a,50b,50c夫々から入力された強度値を平均する。記憶部54には、警報音の強度値と報知装置20及び緊急車両4間の距離との関係が記憶してある。
【0046】
図6は警報音の強度値と報知装置20及び緊急車両4間の距離との関係を示すグラフである。
図6に示すように、警報音の強度値が大きい程、報知装置20及び緊急車両4間の距離が短く、警報音の強度値が小さい程、報知装置20及び緊急車両4間の距離が長い。
図6に示す強度値及び距離の関係が記憶部54に記憶されている。
【0047】
距離算出部51は、
図6に示されている関係を用いて、平均した強度値に対応する距離を算出する。距離算出部51は、算出した距離を、バス58を介して制御部57に通知する。
距離算出部51は、制御部57から、距離の算出を指示する算出指示が入力された場合、警報音検出器50a,50b,50c夫々から入力された強度値を平均して報知装置20及び緊急車両4間の距離を算出し、算出した距離を制御部57に通知する。
【0048】
位置検出部52は、GPS(Global Positioning System)を用いて、報知装置20の絶対位置を検出する。位置検出部52は、検出した絶対位置を、バス58を介して、制御部57に通知する。
通信部53は、制御部57の指示に従って、相対位置信号及び装置位置信号をサーバ3に送信する。更に、通信部53は、サーバ3から絶対位置信号を受信する。通信部53は、絶対位置信号をサーバ3から受信した場合、受信した絶対位置信号が示す絶対位置を制御部57に通知する。通信部53は第1送信手段、第1受信手段、送信手段及び受信手段として機能する。
【0049】
記憶部54には、前述したように、警報音の強度値と報知装置20及び緊急車両4間の距離との関係を記憶しており、記憶している内容は距離算出部51によって読み出される。
表示部55は例えばカーナビゲーションシステムの一部を構成している。表示部55は、制御部57の指示に従って、緊急車両4の絶対位置を、例えばカーナビゲーションシステムで用いられる地図と共に表示することによって、緊急車両4の絶対位置を報知する。
【0050】
出力部56は、制御部57の指示に従って、車両2の窓23bの開放を指示する開放指示を窓開閉装置21に出力する。更に、出力部56は、制御部57の指示に従って、オーディオ装置22に出力音量の低減指示を出力する。
【0051】
制御部57は、緊急車両4が位置する方角の検知、相対位置信号及び装置位置信号の送信、並びに、緊急車両4の絶対位置の報知等に関する処理を行う。制御部57は、これらの処理を行う中で、警報音検出器50a,50b,50c、距離算出部51、位置検出部52及び通信部53夫々からの通知の受付と、通信部53、表示部55及び出力部56夫々の動作の制御とを行う。
【0052】
サーバ3は、通信部70、記憶部71、時計部72及び制御部73を有し、これらはバス74に接続されている。
通信部70は、3つの報知装置20,20,20夫々の通信部53から相対位置信号及び装置位置信号を受信する。通信部70は、受信した相対位置信号が示す相対位置と、受信した装置位置信号が示す報知装置20の絶対位置とを制御部73に通知する。更に、通信部70は、制御部73の指示に従って、絶対位置信号を報知装置20の通信部53に送信する。通信部70は第2受信手段として機能する。
【0053】
記憶部71には、通信部70が受信した相対位置信号及び装置位置信号夫々が示す相対位置、及び、報知装置20の絶対位置と、通信部70が相対位置信号及び装置位置信号を受信した受信日時とが、通信部70が相対位置信号及び装置位置信号を受信する都度、制御部73によって書き込まれる。ここで、相対位置、報知装置20の絶対位置及び受信日時は対応付けられている。記憶部71に記憶してある内容は制御部73によって読み出される。
時計部72は、日時を計時しており、制御部73の指示に従って、計時している日時を制御部73に通知する。
【0054】
制御部73は、緊急車両4の絶対位置の算出、及び、絶対位置信号の送信等に関する処理を行う。制御部73、これらの処理を行う中で、通信部70が受信した相対位置信号及び装置位置信号夫々が示す相対位置、及び、報知装置20の絶対位置の通知の受付と、記憶部71への書込みと、記憶部71からの読出と、時計部72からの日時の読出とを行う。
【0055】
以下に、報知装置20の制御部57、及び、サーバ3の制御部73が実行する動作を詳細に説明する。
図7は報知装置20の制御部57が実行する動作の手順を示すフローチャートである。制御部57は、まず、警報音検出器50a,50b,50cによって出力される判定結果に基づいて、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出したか否かを判定する(ステップS1)。制御部57は警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出していないと判定した場合(S1:NO)、処理をステップS1に戻し、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出するまで待機する。
【0056】
制御部57は、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出したと判定した場合(S1:YES)、3つの警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出したタイミングに基づいて、緊急車両4が位置する方向を検知する(ステップS2)。
【0057】
図8は緊急車両4が位置する方向の検知の説明図であり、
図9は警報音の検出状況と緊急車両4が位置する方向との対応関係を示す図表である。前述したように、警報音検出器50a,50b,50c夫々が有する集音部60a,60b,60cは、車両2の異なる位置に配置されている。2つの集音部60a,60bは車両2の左右方向に並置されている。集音部60a,60bは車両2の前側に配置されており、集音部60cは車両2の後側に配置されている。
【0058】
車両2の前方から車両2に向けて警報音が伝播した場合、警報音は集音部60a,60bに同時的に到達した後、集音部60cに到達する。このため、制御部57は、警報音検出器50a,50bが警報音を同時的に検出した後、警報音検出器50cが警報音を検出した場合、緊急車両4が車両2の前方に位置することを検知する。
【0059】
車両2の左前方から車両2に向けて警報音が伝播した場合、警報音は集音部60aに到達した後、集音部60b,60cに到達する。このため、制御部57は、警報音検出器50aが警報音を検出した後、警報音検出器50b,50cが警報音を検出した場合、緊急車両4が車両2の左前方に位置することを検知する。
【0060】
車両2の右前方から車両2に向けて警報音が伝播した場合、警報音は集音部60bに到達した後、集音部60a,60cに到達する。このため、制御部57は、警報音検出器50bが警報音を検出した後、警報音検出器50a,50cが警報音を検出した場合、緊急車両4が車両2の右前方に位置することを検知する。
【0061】
車両2の左後方から車両2に向けて警報音が伝播した場合、警報音は集音部60a,60cに同時的に到達した後、集音部60bに到達する。このため、制御部57は、警報音検出器50a,50cが警報音を同時的に検出した後、警報音検出器50bが警報音を検出した場合、緊急車両4が車両2の左後方に位置することを検知する。
【0062】
車両2の右後方から車両2に向けて警報音が伝播した場合、警報音は集音部60b,60cに同時的に到達した後、集音部60aに到達する。このため、制御部57は、警報音検出器50b,50cが警報音を同時的に検出した後、警報音検出器50aが警報音を検出した場合、緊急車両4が車両2の右後方に位置することを検知する。
【0063】
車両2の後方から車両2に向けて警報音が伝播した場合、警報音は集音部60cに到達した後、集音部60a,60bに到達する。このため、制御部57は、警報音検出器50cが警報音を検出した後、警報音検出器50a,50bが警報音を検出した場合、緊急車両4が車両2の後方に位置することを検知する。
【0064】
制御部57は、ステップS2を実行した後、位置検出部52が連続して検出した複数の位置から、車両2が進行している方角を検知する(ステップS3)。その後、制御部57は、ステップS2で検知した方向と、ステップS3で検知した方角とから、報知装置20を基準として、緊急車両4が位置する方角を算出する(ステップS4)。例えば、車両2が東に向かって進行している状態で緊急車両4が車両2の左前方に位置する場合、制御部57は、緊急車両4が位置する方角として北東を算出する。
【0065】
以上のように、制御部57は、3つの警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出したタイミングと、位置検出部52が検出した位置とに基づいて、報知装置20に対する緊急車両4の方角を相対位置情報の1つとして算出する。
これにより、3つの報知装置20,20,20夫々は、自装置に対する緊急車両4の方角を容易に算出することができる。
【0066】
次に、制御部57は、ステップS4で算出した方角、及び、距離算出部51が算出した距離を示す相対位置信号と、位置検出部52が検出した報知装置20の絶対位置を示す装置位置信号とを、通信部53に指示して、サーバ3の通信部70に送信させる(ステップS5)。
【0067】
制御部57がステップS1で警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出したと判定した場合において、警報音検出器50a,50b,50c夫々は、検出した警報音の強度値を距離算出部51に出力している。このとき、距離算出部51は、警報音検出器50a,50b,50cが検出した警報音の強度値に基づいて、緊急車両4及び報知装置20間の距離を、相対位置情報の1つとして算出する。ステップS5で、通信部53がサーバ3の通信部70に送信する相対位置信号が示す距離は、距離算出部51が警報音の強度値に基づいて算出した距離である。緊急車両4及び報知装置20間の距離の算出は、警報音検出器50a,50b,50cが検出した警報音の強度に基づいて行われるため、容易である。
【0068】
以上のように、制御部57は、相対位置情報の1つとして、報知装置20に対する緊急車両4の方角を算出し、距離算出部51は、相対位置情報の1つとして緊急車両4及び報知装置20間の距離を算出している。制御部57及び距離算出部51は情報算出手段として機能する。
また、ステップS5で、通信部53がサーバ3の通信部70に送信する装置位置信号が示す報知装置20の絶対位置は、制御部57がステップS1で警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出した場合において、位置検出部52が検出した報知装置20の絶対位置である。
【0069】
制御部57は、ステップS5を実行した後、通信部53がサーバ3の通信部70から絶対位置信号を受信したか否かを判定する(ステップS6)。制御部57は、通信部53が通信部70から絶対位置信号を受信していないと判定した場合(S6:NO)、処理をステップS6に戻し、通信部53が通信部70から絶対位置信号を受信するまで待機する。
【0070】
制御部57は、通信部53が通信部70から絶対位置信号を受信したと判定した場合(S6:YES)、表示部55に指示して、通信部53が受信した絶対位置信号が示す緊急車両4の絶対位置を報知装置20周辺の地図と共に表示することによって、緊急車両4の絶対位置を報知させる(ステップS7)。表示部55は報知手段として機能する。
なお、ステップ7において、制御部57は、警報音の検出の報知を強調するため、緊急車両4の絶対位置の報知と共に、図示しないブザーの吹鳴、又は、図示しないランプの点灯を行ってもよい。当然のことながら、制御部57は緊急車両4の絶対位置の報知と共に、ブザーの吹鳴及びランプの点灯を行ってもよい。
【0071】
その後、制御部57は、出力部56に指示して、窓23bの開放指示を窓開閉装置21に出力させ(ステップS8)、更に、出力部56に指示して、出力音量の低減指示をオーディオ装置22に出力する(ステップS9)。これにより、窓開閉装置21は窓23bを開放し、オーディオ装置22は出力音量を低減する。
このように、制御部57は、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出した場合に窓23bを開放し、オーディオ装置22の出力音量を低減する。これにより、車両2の運転者に警報音を直接に聞かせることができる。制御部57は開放手段及び低減手段としても機能する。
【0072】
制御部57は、ステップS9を実行した後、動作を終了する。その後、制御部57は、再びステップS1を実行し、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を再び検出するまで待機する。
【0073】
以上のように、報知装置20では、距離算出部51及び制御部57は、警報音検出器50a,50b,50cの検出結果、具体的には、警報音の強度値と、警報音が検出されたか否かの判定結果とに基づいて、相対位置情報を算出する。そして、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出した場合に表示部55は報知を行う。
【0074】
図10は、サーバ3の制御部73が実行する動作の手順を示すフローチャートである。制御部73は、通信部70が3つの報知装置20,20,20中のいずれか1つの通信部53から相対位置信号及び装置位置信号を受信したか否かを判定する(ステップS11)。制御部73は、通信部70が通信部53から相対位置信号及び装置位置信号を受信していないと判定した場合(S11:NO)、処理をステップS11に戻し、通信部70が3つの報知装置20,20,20中のいずれか1つの通信部53から相対位置信号及び装置位置信号を受信するまで待機する。
【0075】
制御部73は、通信部70が通信部53から相対位置信号及び装置位置信号を受信したと判定した場合(S11:YES)、通信部70が通信部53から受信した相対位置信号及び装置位置信号夫々が示す相対位置情報、及び、報知装置20の絶対位置を記憶部71に記憶する(ステップS12)。そして、制御部73は、通信部70が相対位置信号及び装置位置信号を受信した場合に時計部72が計時している受信日時を記憶部71に記憶する(ステップS13)。
【0076】
制御部73は、ステップS12で記憶された相対位置情報、及び、報知装置20の絶対位置と、ステップS13で記憶された受信日時とを対応付けて記憶部71に記憶する。通信部70は、前述したように、3つの報知装置20,20,20の通信部53から複数の相対位置信号及び複数の装置位置信号を受信する。そして、制御部73は、通信部70が3つの報知装置20,20,20中のいずれか1つの通信部53から相対位置信号及び装置位置信号を受信したと判定する都度、ステップS12,S13を実行し、複数の相対位置情報、複数の絶対位置及び複数の受信日時を記憶部71に蓄積する。
【0077】
制御部73は、ステップS13を実行した後、記憶部71に記憶してある複数の相対位置情報、及び、複数の絶対位置から緊急車両4の絶対位置を算出する(ステップS14)。具体的には、制御部73は、記憶部71に記憶してある複数の受信日時に基づいて、過去の所定期間に亘って記憶部71に記憶されている複数の相対位置情報を抽出する。そして、制御部73は、抽出した複数の相対位置情報の中で、記憶部71に記憶してある複数の絶対位置に基づいて、通信部70が直近に受信した装置位置信号が示す報知装置20の絶対位置から所定距離の範囲内にある絶対位置に対応する複数の相対位置情報を抽出する。制御部73は、抽出した複数の相対位置情報と、この複数の相対位置情報夫々に対応する複数の絶対位置とから緊急車両4の絶対位置を算出する。
【0078】
以上のように、制御部73は、通信部70が受信した複数の相対位置信号夫々が示す相対位置情報と、通信部70が受信した複数の装置位置信号が示す報知装置20の位置とから緊急車両4の絶対位置を算出する。制御部73は位置算出手段として機能する。
【0079】
次に、制御部73は、通信部70に指示して、ステップS14で算出した緊急車両4の絶対位置を示す絶対位置信号を、直近にサーバ3の通信部70に相対位置情報及び装置位置信号を送信した報知装置20の通信部53に送信する(ステップS15)。サーバ3の通信部70は、3つの報知装置20,20,20夫々の通信部53から相対位置信号及び装置位置信号を受信するので、通信部70は3つの報知装置20,20,20夫々の通信部53に絶対位置信号を送信する。通信部70は第2送信手段としても機能する。
【0080】
サーバ3の制御部73がステップS15を実行することによって、報知装置20の表示部55に、サーバ3の制御部73が複数の相対位置情報から算出した正確な緊急車両4の位置が報知される。更に、報知システム1を構築するためにインフラ整備を行う必要がないため、報知システム1を安価に構築することができる。
【0081】
なお、緊急車両4は、救急車に限定されず、警察車両又は消防車等であってもよい。警報音検出器50a,50b,50cの構成は緊急車両4の種類に応じて変更される。例えば、緊急車両4が警察車両である場合、緊急車両4は、1つの所定の周波数帯域に属する周波数成分からなる音波を出力し続ける。この場合、警報音検出器50aのBPF62a、A/D変換部64a及び2値化処理部66aは不要であり、BPF61aは、集音部60aが出力した電気信号から、前述した所定の周波数帯域に属する周波数成分を抽出する。判定部67aは、例えば、2値化処理部65aから出力される2値信号が一定時間以上ハイレベルの電圧を示した場合に警報音を検出したと判定する。
【0082】
また、距離算出部51が、報知装置20及び車両4間の距離を、警報音検出器50a,50b,50c夫々が出力した強度値を平均した強度値でなくてもよく、例えば、警報音検出器50a,50b,50cの1つが出力した強度値を用いてもよい。更に、制御部53は、3つの警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出した場合に緊急車両4が位置する方向を検知しなくてもよい。2つ以上の警報音検出器が警報音を検出すれば、検出したタイミングから緊急車両4が位置する方向を検知することができるので、例えば、制御部53は、3つの警報音検出器50a,50b,50c中の2つ以上が警報音を検出した場合に、緊急車両4が位置する方向を検知してもよい。
【0083】
相対位置情報は、緊急車両4及び報知装置20間の距離と、報知装置20に対する緊急車両4の方角とに限定されず、距離及び方角のいずれか一方であってもよい。相対位置情報が緊急車両4及び報知装置20間の距離のみである場合、警報音検出器の数は1つであってもよい。また、相対位置情報は、距離及び方角に限定されず、緊急車両4の報知装置20に対する相対位置を示す情報であればよい。
【0084】
また、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出した場合に開放させる車両2の窓の数は1つに限定されず、2つ以上であってもよい。更に、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出した場合において、警報音を直接に車両2の運転者に聞かせるために、必ずしも車両2の窓の開放、及び、オーディオ装置22の出力音量の低減の両方を行う必要はなく、窓の開放、及び、出力音量の低減のいずれか一方を行ってもよい。更に、警報音検出器50a,50b,50cが警報音を検出した場合に、窓の開放、及び、出力音量の低減の両方を行わなくてもよい。
【0085】
また、報知システム1が備える報知装置20の数は3つに限定されず、2つ又は4つ以上であってもよい。更に、緊急車両4の絶対位置を報知する構成は、絶対位置の表示によって絶対位置を報知する構成に限定されず、例えば、音声によって絶対位置を報知する構成であってもよい。また、緊急車両4の絶対位置を報知する構成は、表示及び音声によって絶対位置を報知してもよい。
【0086】
以上のような場合であっても、報知装置20の表示部55によって正確な緊急車両4の位置が報知され、報知システム1を構築するためにインフラ整備を行う必要がなく、報知システム1が安価に構築される。
【0087】
開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。