(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230356(P2015-230356A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】交換レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 21/36 20060101AFI20151124BHJP
G02B 15/10 20060101ALI20151124BHJP
G03B 17/14 20060101ALI20151124BHJP
G03B 17/56 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
G02B21/36
G02B15/10
G03B17/14
G03B17/56 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-115676(P2014-115676)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】511018125
【氏名又は名称】株式会社コプティック
(74)【代理人】
【識別番号】100087446
【弁理士】
【氏名又は名称】川久保 新一
(72)【発明者】
【氏名】清原 元輔
(72)【発明者】
【氏名】清原 耕輔
【テーマコード(参考)】
2H052
2H087
2H101
2H105
【Fターム(参考)】
2H052AA14
2H052AB29
2H052AD37
2H052AF11
2H052AF14
2H087KA01
2H087LA27
2H087LA30
2H087PA03
2H087PA19
2H087PB05
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA46
2H087SA87
2H101EE08
2H105CC04
2H105CC24
2H105CC25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】携帯電話に装着する交換レンズであって、川、湖等の水に生息する微生物等を拡大して撮影する作業が容易である交換レンズを提供する。
【解決手段】接眼レンズ31と、対物レンズ32と、接眼レンズと対物レンズとを互いに固定する鏡筒34と、鏡筒と携帯電話10とを、間接的にまたは直接的に係合する係合手段22と、透明板50と、鏡筒と透明板との間の間隔を保持する間隔保持具40とを有し、間隔保持具と透明板との間が防水処理されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接眼レンズと;
対物レンズと;
上記接眼レンズと上記対物レンズとを互いに固定する鏡筒と;
上記鏡筒と携帯電話またはカメラ付き電子機器端末とを、間接的にまたは直接的に係合する係合手段と;
透明板と;
上記鏡筒と上記透明板との間の間隔を保持する間隔保持具と;
を有することを特徴とする交換レンズ。
【請求項2】
請求項1において、
上記間隔保持具と上記透明板との間が防水処理され、
上記間隔保持具は、浸水しないように防水処理されていることを特徴とする交換レンズ。
【請求項3】
請求項1において、
上記交換レンズの固定の合焦位置は、上記透明板から見て上記間隔保持具の反対側の位置であり、上記透明板の近傍の位置であることを特徴とする交換レンズ。
【請求項4】
請求項1において、
上記間隔保持具に固定されている透明板と平行に設けられている第2の透明板であって、上記間隔保持具に固定されている透明板から見て、上記間隔保持具と反対側に設けられている第2の透明板を有し、上記間隔保持具に固定されている透明板と上記第2の透明板とが所定間隔で互いに固定されていることを特徴とする交換レンズ。
【請求項5】
請求項4において、
上記間隔保持具に固定されている透明板と上記第2の透明板との間隔は、0.1mm〜2.0mmであることを特徴とする交換レンズ。
【請求項6】
請求項4において、
上記交換レンズの固定の合焦位置は、上記間隔保持具に固定されている透明板と上記第2の透明板との間のいずれかの位置であることを特徴とする交換レンズ。
【請求項7】
請求項4において、
上記間隔保持具の部位であって、上記交換レンズの光軸と直交する方向の部位が空間であることを特徴とする交換レンズ。
【請求項8】
接眼レンズと;
対物レンズと;
上記接眼レンズと上記対物レンズとを互いに固定する鏡筒と;
上記鏡筒と携帯電話またはカメラ付き電子機器端末とを、間接的にまたは直接的に係合する係合手段と;
起立壁を具備する水保持具と;
上記鏡筒と上記水保持具との間の間隔を保持する間隔保持具と;
を有することを特徴とする交換レンズ。
【請求項9】
請求項8において、
上記交換レンズの固定の合焦位置は、上記水保持具から見て上記間隔保持具側の位置であり、上記水保持具の近傍の位置であることを特徴とする交換レンズ。
【請求項10】
請求項8において、
上記水保持具は、透明、不透明、半透明のいずれかであることを特徴とする交換レンズ。
【請求項11】
請求項1において、
焦点距離を調節する焦点距離調整手段を有することを特徴とする交換レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話またはカメラ付き電子機器端末に装着する交換レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話にカメラ機能が設けられ、このカメラのレンズに、像を拡大する光学系を装着することが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来例では、川、湖などの水中生物を顕微鏡で拡大して撮影する場合、川、湖からの水をスポイトで採取し、この採取した水をプレパラートの上に載せ、このプレパラートを光学系の合焦位置にセットし、拡大撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−160915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来は、川、湖の水をスポイトで採取する作業、採取された水をプレパラートの上に載せる作業、このプレパラートを光学系の所望の位置に載置する作業が必要であり、水中生物を顕微鏡で拡大して見る全体の作業が煩雑であるという問題がある。
【0006】
本発明は、携帯電話またはカメラ付き電子機器端末に装着する交換レンズであって、被写体を光学的に拡大する交換レンズを使用した場合、川、湖等の水に生息する微生物等を拡大して撮影する作業が容易である交換レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の交換レンズは、接眼レンズと、対物レンズと、上記接眼レンズと上記対物レンズとを互いに固定する鏡筒と、上記鏡筒と携帯電話とを、間接的にまたは直接的に係合する係合手段と、透明板と、上記鏡筒と上記透明板との間の間隔を保持する間隔保持具とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、携帯電話またはカメラ付き電子機器端末に装着する交換レンズであって、被写体を光学的に拡大する交換レンズを使用した場合、川、湖等の水に生息する微生物等を拡大して撮影する作業が容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1である交換レンズ100と携帯電話10との関係を示す図である。
【
図2】交換レンズ100における間隔保持具40と透明板50とを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例2である交換レンズ200と携帯電話10との関係を示す図である。
【
図4】交換レンズ200における間隔保持具40と透明板50、51とを示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例3である交換レンズ300と携帯電話10との関係を示す図である。
【
図6】交換レンズ300における間隔保持具60と水保持具70とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明を実施するための形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1である交換レンズ100と携帯電話10との関係を示す図である。
【0012】
図2は、交換レンズ100における間隔保持具40と透明板50とを示す斜視図である。
【0013】
携帯電話10は、カメラレンズ11を有し、携帯電話10のケースを挟むように挟持手段20が設けられている。
【0014】
挟持手段20には、穴21が設けられ、穴21には雌ネジが設けられ、この雌ネジは、挟持手段20と後述する鏡筒34とを接合する係合部22を形成している。なお、穴21は、カメラレンズ11の視界を確保するために設けられている開口である。
【0015】
交換レンズ100は、交換レンズ主要部30と、間隔保持具40と、透明板50とを有する。
【0016】
交換レンズ主要部30は、顕微鏡の光学系の主要部を構成し、接眼レンズ31と、対物レンズ32と、鏡筒34と、係合部35とを有する。
【0017】
鏡筒34は、接眼レンズ31と、対物レンズ32とを互いに固定している。
【0018】
係合部35は、鏡筒34の端部に設けられている雄ネジによって構成されている。
【0019】
つまり、係合部22、35と挟持手段20とが係合手段を形成し、この係合手段は、鏡筒34と携帯電話10とを、間接的に係合する手段である。すなわち、鏡筒34の雄ネジである係合部35と、挟持手段20の雌ネジである係合部22とが螺合することによって、挟持手段20を介して、鏡筒34と携帯電話10とを間接的に結合する。なお、挟持手段20を介さずに、鏡筒34と携帯電話10とを、直接的に係合するようにしてもよい。
【0020】
間隔保持具40は、鏡筒34と透明板50との間の間隔を所定の長さに保持するものである。そして、間隔保持具40の下端部42と透明板50とが固着され、間隔保持具40と透明板50との間が液密であり、間隔保持具40は、透孔41以外は、浸水しないようになっている。
【0021】
また、交換レンズ100の固定の合焦位置P1は、透明板50から見て間隔保持具40の反対側の位置であり、透明板50の近傍の位置である。
【0022】
次に、上記実施例1の動作について説明する。
【0023】
まず、携帯電話10に交換レンズ100が固定されている状態で、間隔保持具40の一部と、透明板50の全部とを、
図1に示すように、たとえば湖(川、池、海等でもよい)の水W1に浸す。
【0024】
そして、水W1の中に存在している興味ある被写体が、透明板50を通して、携帯電話10のディスプレイに写っていれば、シャッターを切る。これによって、水W1に生息している微生物等を拡大して撮影することができる。
【0025】
この場合、水W1に存在している被写体をスポイトで採取する作業、採取した被写体をプレパラート等に載置する作業、このプレパラートを携帯電話10のレンズの前に載置する作業等、拡大撮影時に従来実行していた作業を必要とせずに、携帯電話10のディスプレイに写っている被写体についてシャッターを切りさえすれば、被写体を拡大撮影することができる。したがって、携帯電話に装着する交換レンズであって、被写体を光学的に拡大する交換レンズにおいて、川、湖等の水に生息する微生物等を拡大して撮影する作業が容易である。
【0026】
なお、間隔保持具40と透明板50とを一体的に成形するようにしてもよい。この場合、透明板50が間隔保持部40から突出している部分(
図2中、前後、左右に突出している部分)を削除してもよく、つまり、間隔保持具40と透明板50との一体成形品は、立方体または直方体であってもよい。
【実施例2】
【0027】
図3は、本発明の実施例2である交換レンズ200と携帯電話10との関係を示す図である。
【0028】
図4は、交換レンズ200における間隔保持具40と透明板50、51とを示す斜視図である。
【0029】
交換レンズ200は、交換レンズ100において、透明板50の
図4中、下に、スペーサ52を介して透明板51を設けたものである。透明板50の
図4中、下面と、透明板51の
図4中、上面との間隔d2は、たとえば0.1mm〜2.0mmである。また、交換レンズ200の固定の合焦位置P2は、透明板50と透明板51との間のいずれかの位置である。
【0030】
なお、透明板50を第1の透明板とすれば、透明板51は、第2の透明板である。
【0031】
次に、交換レンズ200の動作について説明する。
【0032】
まず、携帯電話10に交換レンズ200が固定されている状態で、間隔保持具40の一部と、透明板50、51の全部とを、
図3に示すように、たとえば湖(川、池、海等でもよい)の水W2に浸す。
【0033】
そして、水W2の中に存在している興味ある被写体が、透明板50を通して、携帯電話10のディスプレイに写っていれば、シャッターを切る。これによって、水W2に生息している被写体S2、たとえば水中のプランクトン、みじんこ、藻などの微生物等であって、間隔d2に進入した被写体S2を拡大して撮影することができる。
【0034】
この場合、水W2に存在している被写体をスポイトで採取する作業、採取した被写体をプレパラート等に載置する作業、このプレパラートを携帯電話10のレンズの前に載置する作業等、拡大撮影時に従来実行していた作業を必要とせずに、携帯電話10のディスプレイに写っている被写体についてシャッターを切りさえすれば、被写体を拡大撮影することができる。したがって、携帯電話に装着する交換レンズであって、被写体を光学的に拡大する交換レンズにおいて、川、湖等の水に生息する微生物等を拡大して撮影する作業が容易である。
【実施例3】
【0035】
図5は、本発明の実施例3である交換レンズ300と携帯電話10との関係を示す図である。
【0036】
図6は、交換レンズ300における間隔保持具60と水保持具70とを示す斜視図である。
【0037】
間隔保持具60は、全体がほぼコ字状であり、
図5中、上部に透孔61が設けられ、下部に下端部62を有する。
【0038】
水保持具70は、底部71と、起立壁72とを有する。底部71に間隔保持具60の下端部62が固着され、起立壁72の高さh3は、たとえば0.1mm〜2.0mmである。
【0039】
次に、交換レンズ300の動作について説明する。
【0040】
まず、携帯電話10に交換レンズ300が固定されている状態で、間隔保持具60の一部と、水保持具70の全部とを、たとえば湖(川、池、海等でもよい)の水に浸し、水保持具70に入っている水をゆっくりと掬い上げる。これによって、水保持具70には、高さh3に相当する水W3が溜められる。ただ、表面張力によって、水W3の高さは、高さh3よりも高くなる。そして、水保持具70に溜められた水W3の中に存在している興味ある被写体が、携帯電話10のディスプレイに写っていれば、シャッターを切る。
【0041】
これによって、水W3に生息している被写体S3、たとえば水中のプランクトン、みじんこ、藻などの微生物等であって、水保持具70に溜められ水W3に存在している被写体S3を拡大して撮影することができる。
【0042】
興味ある被写体が、携帯電話10のディスプレイに写っていなければ、水保持部70に保持されている水を捨て、間隔保持部60に固定されている水保持具70を、水W3の別の位置に入れ、再びゆっくりと水を掬い上げ、携帯電話10のディスプレイを覗き込み、興味ある被写体が、携帯電話10のディスプレイに写っていれば、シャッターを切る。携帯電話10のディスプレイに写っていなければ、上記動作を繰り返す。
【0043】
交換レンズ300によれば、水中の被写体をスポイトで採取する作業、採取した被写体をプレパラート等に載置する作業、このプレパラートを携帯電話10の拡大レンズの下に載置する作業等、拡大撮影時に従来実行していた作業を必要とせずに、携帯電話10のディスプレイに写っている被写体についてシャッターを切りさえすれば、被写体を拡大撮影することができる。したがって、携帯電話に装着する交換レンズであって、被写体を光学的に拡大する交換レンズにおいて、川、湖等の水に生息する微生物等を拡大して撮影する作業が容易である。また、何回も水を掬うことが容易であるので、シャッターチャンスが増える。
【0044】
上記各実施例は、固定焦点であるが、焦点距離を調節することができる構造を採用するようにしてもよい。つまり、上記各実施例において、焦点距離を調節する焦点距離調整手段を有するようにしてもよい。
【0045】
上記各実施例は、携帯電話に装着する交換レンズである。しかし、携帯電話以外にも、タブレット、タブレット型コンピュータ、ノートパソコン、iPad(登録商標)、iPod(登録商標)等の電子端末機器にカメラが設けられているカメラ付電気端末機器に上記各実施例の交換レンズを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
100、200、300…交換レンズ、
40…間隔保持具、
50…透明板、
51…透明板、
60…間隔保持具、
70…水保持具。