特開2015-230479(P2015-230479A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230479(P2015-230479A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】ドラム
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/00 20060101AFI20151124BHJP
   G10D 13/02 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   G10D13/00 512C
   G10D13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-118186(P2014-118186)
(22)【出願日】2014年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆二
(57)【要約】
【課題】 余韻の少ないドラム本来のミュート音を実現することができるドラムを提供する。
【解決手段】 回転ノブ150を回転させると、ウォーム140が同方向に回転し、ねじ歯車部141の各々の凹凸がウォーム140の回転軸に沿った方向にシフトする。ねじ歯車部141には、回転伝達部材130の歯車131がかみ合わされており、ねじ歯車部141の各々の凹凸のシフトにより、回転伝達部材130が円周方向に回転する。回転伝達部材130の回転により、上ミュート用ロッド110および上ミュート部材80がバターサイドヘッド20に近づく方向に移動するとともに、下ミュート用ロッド120および下ミュート部材90がレゾナンスヘッド60に近づく方向に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシェルの一端に張設される第1のドラムヘッドをミュートする第1のミュート部材と、
前記シェルの他端に張設される第2のドラムヘッドをミュートする第2のミュート部材と、
前記第1のミュート部材と前記第2のミュート部材とを連動させる動作伝達手段と、
を有することを特徴とするドラム。
【請求項2】
前記動作伝達手段には、前記第1のミュート部材および前記第2のミュート部材の各々に連結される操作子が設けられており、
前記操作子の操作に応じて前記第1のミュート部材と前記第2のミュート部材とが連動することを特徴とする請求項1に記載のドラム。
【請求項3】
前記第1のミュート部材と前記第2のミュート部材のうちの一方のミュート部材がミュートするのに合わせて他方のミュート部材がミュートすることを特徴とする請求項1または2に記載のドラム。
【請求項4】
前記第1のミュート部材の移動量と前記第2のミュート部材の移動量とを異なる移動量にしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1の請求項に記載のドラム。
【請求項5】
前記第1のミュート部材と前記第1のドラムヘッドとの間の距離に対する前記第1のミュート部材の移動量の比と、前記第2のミュート部材と前記第2のドラムヘッドとの間の距離に対する前記第2のミュート部材の移動量の比とを同じにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1の請求項に記載のドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
打楽器の1つにドラムがある。ドラムは、一般に、円筒状のシェルを備えている。シェルの一端には、打面側のドラムヘッドであるバターサイドヘッドが張設されている。シェルの他端には、反響面側のドラムヘッドであるレゾナンスヘッドが張設されている。ドラムは、ユーザによってバターサイドヘッドに打撃を与えられることにより音を発する。この種のドラムは、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−292808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラムを演奏する際、曲のジャンルや曲調によっては、バターサイドヘッドに打撃が与えられて発音した後の音の余韻(すなわちサステイン)を少なくしたいことがある。このような場合、ユーザは、ドラムをミュートさせる。具体的には、ユーザは、例えば、バターサイドヘッドの外側の面上にリング状のフィルムを乗せた状態で演奏を行う。このようにすると、バターサイドヘッドに打撃が与えられたときの当該バターサイドヘッドの振動が当該リング状のフィルムによって早く減衰するため、バターサイドヘッドの振動に起因する音の余韻が少なくなる。しかし、ドラムをミュートさせても、発音後の音の余韻が完全に少なくならず、自然なミュート音になっていなかった。それは、次のような理由による。バターサイドヘッドに打撃が与えられて当該バターサイドヘッドが振動すると、シェル内の空間を介してレゾナンスヘッドも振動する。そして、レゾナンスヘッドは、バターサイドヘッドの振動が減衰した後も継続して振動する。このため、バターサイドヘッドの振動に起因する音が減衰しても、レゾナンスヘッドの振動に起因する音が発音され続ける。このレゾナンスヘッドに起因する音が、自然なミュート音にならない原因である。
【0005】
この発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、余韻の少ない自然なミュート音を実現することができるドラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、筒状のシェルの一端に張設される第1のドラムヘッドをミュートする第1のミュート部材と、前記シェルの他端に張設される第2のドラムヘッドをミュートする第2のミュート部材と、前記第1のミュート部材と前記第2のミュート部材とを連動させる動作伝達手段と、を有することを特徴とするドラムを提供する。
【0007】
この発明によれば、第1のドラムヘッドをミュートする第1のミュート部材と第2のドラムヘッドをミュートする第2のミュート部材とが連動するため、第1のドラムヘッドと第2のドラムヘッドの両方がミュートされる。このため、第1のドラムヘッドおよび第2のドラムヘッドのうちの一方のドラムヘッドの振動が減衰しても他方のドラムヘッドの振動が減衰しないといった事態の発生を回避することができる。従って、本発明のドラムを用いれば、余韻の少ない自然なミュート音を実現することができる。
【0008】
好ましい態様において、前記第1のミュート部材の移動量と前記第2のミュート部材の移動量とを異なる移動量にしたことを特徴とする。この態様では、原則として、第1のミュート部材によるミュートのタイミングと第2のミュート部材によるミュートのタイミングとが互いにずれる。これにより、第1のドラムヘッドと第2のドラムヘッドのうちの一方のドラムヘッドの振動の減衰に少し遅れて他方のドラムヘッドの振動が減衰する。この態様においても第1のドラムヘッドと第2のドラムヘッドの両方がミュートされるため、一方のドラムヘッドのみをミュートする態様に比べ余韻を短くすることができる。また、この態様では、第1のミュート部材による第1のドラムヘッドへの押し付け具合と第2のミュート部材による第2のドラムヘッドへの押し付け具合とに差を付けることができる。このため、第1のドラムヘッドの張力と第2のドラムヘッドの張力が異なる場合であっても、第1のドラムヘッドおよび第2のドラムヘッドの各々に対して適切なミュートを行うことができる。
【0009】
好ましい態様において、前記第1のミュート部材と前記第1のドラムヘッドとの間の距離に対する前記第1のミュート部材の移動量の比と、前記第2のミュート部材と前記第2のドラムヘッドとの間の距離に対する前記第2のミュート部材の移動量の比とを同じにしたことを特徴とする。この態様では、第1のミュート部材によるミュートのタイミングと第2のミュート部材によるミュートのタイミングとが同じになる。第1のドラムヘッドと第2のドラムヘッドの両方が同時にミュートされるため、余韻を最も短くすることができる。また、第1のドラムヘッドの振動の抑制と第2のドラムヘッドの振動の抑制を同時に行うため、第1のドラムヘッドの振動と第2のドラムヘッドの振動とが同じ傾向を持ったより自然なミュート音を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の第1実施形態であるドラム1Aの構成を示す平面図および透視図である。
図2】この発明の第2実施形態であるドラム1Bの構成を示す平面図および透視図である。
図3】この発明の第3実施形態であるドラム1Cの構成の一部を示す透視図である。
図4】この発明の第4実施形態であるドラム1Dの構成の一部を示す透視図である。
図5図4のA方向からドラム1Dを見たときのドラム1Dの構成の一部を示す透視図である。
図6図4のB方向からドラム1Dを見たときのドラム1Dの構成の一部を示す平面図である。
図7】この発明の第5実施形態であるドラム1Eの構成の一部を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1(A)は、この発明の第1実施形態によるドラム1Aの構成を示す平面図であり、図1(B)は、同ドラム1Aの側面側から同ドラム1Aを見たときの同ドラム1Aの構成を示す透視図である。ドラム1Aは、シェル10、バターサイドヘッド20、レゾナンスヘッド60、フープ30、ラグ40、チューニングピン50、上ミュート部材80、下ミュート部材90および動作伝達機構100を有している。
【0012】
シェル10は、両端が開口している円筒状の部材である。シェル10は、例えば、木材を成形してなるものである。シェル10の内径は、当該シェル10の回転軸に沿ってほぼ同じになっている。なお、本明細書において軸とは、中心となる線のことを言い、軸に沿った方向とは、同一形状の断面の連続する方向のことを言い、特に、円形断面を有する円筒や円柱における軸のことを回転軸と言い、その円筒や円柱における軸に沿った方向のことを回転軸に沿った方向と言うこととする。
【0013】
バターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60は、各々、合成樹脂製フィルムや皮などを円形に成形してなるものである。バターサイドヘッド20の直径およびレゾナンスヘッド60の直径は、各々、シェル10の外径よりも大きくなっている。バターサイドヘッド20は、シェル10の一端を覆うように配置され、レゾナンスヘッド60は、シェル10の他端を覆うように配置される。なお、本明細書では、レゾナンスヘッド60からバターサイドヘッド20へ向かう方向を上方と呼び、バターサイドヘッド20からレゾナンスヘッド60へ向かう方向を下方と呼ぶ。バターサイドヘッド20は、当該バターサイドヘッド20の周縁部にリング状のバターサイドヘッド固定部22を有し、レゾナンスヘッド60は、当該レゾナンスヘッド60の周縁部にリング状のレゾナンスヘッド固定部62を有する。
【0014】
シェル10の外側面には、ラグ40が固定されている。ラグ40は、丸みを帯びたブロック状の部材である。ラグ40は、上下で対になるようにバターサイドヘッド20寄りとレゾナンスヘッド60寄りとに設けられる。上下一組のラグ40は、シェル10の円周方向に複数組設けられている。その複数組のラグ40は、シェル10の円周方向に一定の間隔をあけて設けられている。ラグ40には、内側面にねじ溝が形成された円筒状のねじ受け部42が設けられている。
【0015】
チューニングピン50は、外側面にねじ山が形成された円柱状のねじ部52と、ねじ部52の一端に設けられた角柱状の頭部54とを有する。ねじ部52のねじ山は、ねじ受け部42のねじ溝に螺合する形状になっている。ねじ部52には、平らなリング状の座金部56が挿通されている。座金部56の内径は、チューニングピン50の回転軸に垂直な面で頭部54を切断したときの断面における対角線の長さよりも小さくなっている。
【0016】
フープ30は、略リング状の部材である。フープ30の内径は、その回転軸に沿った方向の当該フープ30の中央近傍において階段状に変化している。フープ30の内径の小さい部分における当該フープ30の内径は、シェル10の外径よりも大きくなっている。フープ30は、当該フープ30の回転軸がシェル10の回転軸に重なるようにシェル10の各々の端の近傍に配置される。フープ30は、フープ30とシェル10との間にバターサイドヘッド20またはレゾナンスヘッド60を挟むように配置される。また、フープ30は、ツバ部32を複数有している。ツバ部32は、フープ30の回転軸に垂直な板状の部分であり、フープ30の回転軸から遠ざかる方向にフープ30の外側面から張り出した部分である。ツバ部32は、フープ30の円周方向に一定の間隔をあけて設けられている。ツバ部32の個数は、ラグ40の組数と同じであり、ツバ部32の間隔は、ラグ40の間隔と同じである。ツバ部32には、貫通孔が設けられている(図示略)。
【0017】
ツバ部32の貫通孔にはチューニングピン50のねじ部52が挿通され、その挿通されたねじ部52は、ラグ40のねじ受け部42に螺合される。チューニングピン50の頭部54を時計回り方向に回転させると、チューニングピン50は、ラグ40へ向かう方向に移動する。バターサイドヘッド20側のフープ30のツバ部32は、チューニングピン50が移動すると、チューニングピン50の頭部54および座金部56によってシェル10のバターサイドヘッド20側端からラグ40方向へ移動する。ツバ部32が移動すると、バターサイドヘッド固定部22は、フープ30における内径が階段状に変化している部分によってシェル10のバターサイドヘッド20側端からラグ40方向へ押し付けられる。これによりバターサイドヘッド20は、シェル10の一端に張設される。バターサイドヘッド20と同様、レゾナンスヘッド固定部62は、フープ30およびチューニングピン50により、シェル10のレゾナンスヘッド60側端からラグ40方向へ押し付けられる。すなわち、レゾナンスヘッド60は、シェル10の他端に張設される。バターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60は、各々の面(打面および反響面)がシェル10の回転軸に垂直になるように張設される。また、チューニングピン50の頭部54の回転量を変えることにより、バターサイドヘッド固定部22の押し付け量を変えて、バターサイドヘッド20の張力を変えることができる。レゾナンスヘッド60についても同様である。
【0018】
上ミュート部材80および下ミュート部材90は、各々、円盤状の部材である。上ミュート部材80および下ミュート部材90は、例えば、フェルトを成形してなるものである。上ミュート部材80は、その盤面がバターサイドヘッド20の内側の面と平行になるような姿勢で、バターサイドヘッド20の内側の面の近傍でありシェル10の内側面の近傍に動作伝達機構100によって支持される。上ミュート部材80は、バターサイドヘッド20をミュートするための部材である。同様に、下ミュート部材90は、その盤面がレゾナンスヘッド60の内側の面に平行となるような姿勢で、レゾナンスヘッド60の内側の面の近傍でありシェル10の内側面の近傍に動作伝達機構100によって支持される。下ミュート部材90は、レゾナンスヘッド60をミュートするための部材である。以後、上ミュート部材80におけるバターサイドヘッド20に対向する面および下ミュート部材90におけるレゾナンスヘッド60に対向する面を、それぞれミュート面と呼ぶこととする。
【0019】
動作伝達機構100は、上ミュート部材80および下ミュート部材90を上下方向(シェル10の回転軸に沿った方向)に移動させるための手段である。本実施形態によるドラム1Aの特徴は、上ミュート部材80、下ミュート部材90および動作伝達機構100にある。以下、動作伝達機構100の構成について詳述する。動作伝達機構100は、上ミュート用ロッド110、下ミュート用ロッド120、回転伝達部材130、ウォーム140、回転ノブ150、上リニアガイド160、下リニアガイド170および回転ガイド180を有している。
【0020】
回転ガイド180は、シェル10の内外の空間を連通させる円筒状の部材である。回転ガイド180は、シェル10の側壁に設けられている。回転ガイド180は、例えば、シェル10の両端からの距離が同程度となる位置に設けられる。
【0021】
ウォーム140は、回転ガイド180に挿通されている丸棒状の部材である。ウォーム140の一端は、回転ガイド180からシェル10の外側空間に突出しており、他端は、回転ガイド180からシェル10の内側空間に突出している。外側空間側のウォーム140の先端は、円盤状の回転ノブ150の一方の盤面に固定されている。回転ノブ150は、バターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60をミュートさせる際の操作子としての役割を担う。内側空間側のウォーム140には、ねじ歯車部141が設けられている。ねじ歯車部141は、ウォーム140の側面にらせん状の凹凸(例えば、左ねじのねじ山またはねじ溝)を形成した部分である。回転ノブ150がその円周方向に回転すると、ねじ歯車部141を有するウォーム140も同方向に回転する。
【0022】
回転伝達部材130は、円筒状の部材である。回転伝達部材130は、回転伝達部材130の回転軸がウォーム140の回転軸に垂直であり、かつ、回転伝達部材130の回転軸がシェル10の回転軸に平行になる姿勢で、シェル10の内側面の近傍に配置される。回転伝達部材130の外側面には、回転伝達部材130の円周方向に凹凸が交互に繰り返される歯車131が形成されている。回転伝達部材130は、歯車131がウォーム140のねじ歯車部141にかみ合うように配置される。ウォーム140がその円周方向に回転すると、ねじ歯車部141における各々の凹凸は、見かけ上、ウォーム140の回転軸に沿った方向にシフトする。ねじ歯車部141には回転伝達部材130の歯車131がかみ合っているため、ねじ歯車部141における各々の凹凸がウォーム140の回転軸に沿った方向にシフトすると、歯車131の各歯は回転伝達部材130の円周方向にシフトする。これにより、回転伝達部材130がその円周方向に回転する。すなわち、回転伝達部材130およびウォーム140は、ウォームギアとして機能する。また、回転伝達部材130の内側面には、ねじ溝が形成されている。なお、回転伝達部材130は、当該回転伝達部材130の回転を妨げることなくシェル10の側壁に支持されていても良い(図示略)。
【0023】
上ミュート用ロッド110は、棒状の部材である。上ミュート用ロッド110の一端側の当該上ミュート用ロッド110の側面には、ねじ山111が形成されている。具体的には、右ねじのねじ山が形成されている。上ミュート用ロッド110のねじ山111は、回転伝達部材130のねじ溝にバターサイドヘッド20側から螺合している。上ミュート用ロッド110の他端には、上ミュート部材80が固定されている。
【0024】
下ミュート用ロッド120は、棒状の部材である。下ミュート用ロッド120の一端側の当該下ミュート用ロッド120の側面には、ねじ山121が形成されている。ねじ山121は、ねじ山111に対して逆方向のねじ山である。具体的には、ねじ山121は、左ねじのねじ山である。また、ねじ山121のピッチは、ねじ山111のピッチと同じになっている。下ミュート用ロッド120のねじ山121は、回転伝達部材130のねじ溝にレゾナンスヘッド60側から螺合している。下ミュート用ロッド120の他端には、下ミュート部材90が固定されている。
【0025】
シェル10の内側面には、上リニアガイド160および下リニアガイド170が設けられている。上リニアガイド160は、回転ガイド180の上方に設けられており、下リニアガイド170は、回転ガイド180の下方に設けられている。上リニアガイド160は、上ミュート用ロッド110の回転軸がシェル10の回転軸に平行になるように上ミュート用ロッド110を支持している。また、上リニアガイド160は、上ミュート用ロッド110をその円周方向に回転させないように上ミュート用ロッド110を支持している。下リニアガイド170は、下ミュート用ロッド120の回転軸がシェル10の回転軸に平行になるように下ミュート用ロッド120を支持している。また、下リニアガイド170は、下ミュート用ロッド120をその円周方向に回転させないように下ミュート用ロッド120を支持している。
【0026】
回転伝達部材130がその円周方向に回転すると、上ミュート用ロッド110は、上リニアガイド160によって回転が妨げられるから、上ミュート用ロッド110の回転軸に沿った方向(すなわち、シェル10の回転軸に沿った方向)に移動する。それと同時に、下ミュート用ロッド120は、下リニアガイド170によって回転が妨げられるから、下ミュート用ロッド120の回転軸に沿った方向(すなわち、シェル10の回転軸に沿った方向)に移動する。その結果、上ミュート部材80がシェル10の回転軸に沿った方向(換言すると、バターサイドヘッド20の面に垂直な方向)に移動するとともに、下ミュート部材90がシェル10の回転軸に沿った方向(換言すると、レゾナンスヘッド60の面に垂直な方向)に移動する。すなわち、本実施形態によるドラム1Aでは、上ミュート部材80と下ミュート部材90とが連動するようになっている。このとき、上ミュート部材80は、そのミュート面とバターサイドヘッド20の内側の面との平行状態を維持しつつ移動し、下ミュート部材90は、そのミュート面とレゾナンスヘッド60の内側の面との平行状態を維持しつつ移動する。
【0027】
また、上ミュート用ロッド110と下ミュート用ロッド120とは、互いに逆向きのねじ山111および121が形成されているため、互いに逆方向に移動する。また、上ミュート用ロッド110のねじ山111のピッチと下ミュート用ロッド120のねじ山121のピッチが同じになっているため、上ミュート用ロッド110の移動量と下ミュート用ロッド120の移動量は同じである。すなわち、上ミュート部材80の移動量と下ミュート部材90の移動量は同じである。さらに、バターサイドヘッド20の内側の面と上ミュート部材80のミュート面との間隔と、レゾナンスヘッド60の内側の面と下ミュート部材60のミュート面との間隔とが同じになっている。このため、上ミュート部材80のミュート面がバターサイドヘッド20の内側の面に接するのに合わせて下ミュート部材90のミュート面がレゾナンスヘッド60の内側の面に接し、上ミュート部材80のミュート面がバターサイドヘッド20の内側の面から離れるのに合わせて下ミュート部材90のミュート面がレゾナンスヘッド60の内側の面から離れる。すなわち、動作伝達機構100は、上ミュート部材80と下ミュート部材90のうちの一方のミュート部材がミュートするのに合わせて他方のミュート部材がミュートするように上ミュート部材80と下ミュート部材90とを連動させる。本実施形態では、上ミュート部材80の移動量と下ミュート部材90の移動量を同じにし、かつ、上ミュート部材80とバターサイドヘッド20との間の距離と下ミュート部材90とレゾナンスヘッド60との間の距離を同じにすることで、上ミュート部材80とバターサイドヘッド20との間の距離に対する上ミュート部材80の移動量の比と下ミュート部材90とレゾナンスヘッド60との間の距離に対する下ミュート部材90の移動量の比を同じにしている。これにより、上ミュート部材80によるバターサイドヘッド20のミュートのタイミングと下ミュート部材90によるレゾナンスヘッド60のミュートのタイミングとが同じになり、バターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60とが同時にミュートされる。
以上が、ドラム1Aの構成である。
【0028】
次に、本実施形態によるドラム1Aの動作および使用態様を説明する。
本実施形態においてユーザは、回転ノブ150を回転させることによりドラム1Aに対してミュートの有無およびミュート量を調整する。以下、具体的に説明する。以下に説明する動作の開始時点では、ドラム1Aの状態は、上ミュート部材80とバターサイドヘッド20とが接しておらず、下ミュート部材90とレゾナンスヘッド60とが接していない状態であるとする。この状態では、ドラム1Aはミュートされていない。
【0029】
ドラム1Aをミュートさせる場合、ユーザは、自分から見て時計回り方向に回転ノブ150を回転させる。回転ノブ150が時計回り方向に回転すると、ウォーム140も回転ノブ150と同方向に回転する。ウォーム140が当該時計回り方向に回転すると、ウォーム140のねじ歯車部141の各々の凹凸は、シェル10の回転軸に近づく方向にシフトする。その凹凸がシェル10の回転軸に近づく方向にシフトすると、回転伝達部材130は、バターサイドヘッド20側から回転伝達部材130を見たときの時計回り方向に回転する。回転伝達部材130が当該時計回り方向に回転すると、上ミュート用ロッド110および上ミュート部材80が回転伝達部材130からバターサイドヘッド20へ近づく方向に移動するとともに、下ミュート用ロッド120および下ミュート部材90が回転伝達部材130からレゾナンスヘッド60へ近づく方向に移動する。そして、上ミュート部材80のミュート面がバターサイドヘッド20の内側の面に接するのと同時に、下ミュート部材90のミュート面がレゾナンスヘッド60の内側の面に接する。これにより、バターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60の両方がミュートされる。すなわち、ドラム1Aはミュートされる。
【0030】
バターサイドヘッド20に打撃が与えられると、バターサイドヘッド20は振動する。ドラム1Aをミュートさせた状態では、バターサイドヘッド20に上ミュート部材80が接しているため、バターサイドヘッド20の振動は急速に減衰する。このため、バターサイドヘッド20の振動に起因する音の音量が急速に小さくなる。すなわち、バターサイドヘッド20に打撃が与えられた後のバターサイドヘッド20に起因する音は、余韻の少ない音になる。また、バターサイドヘッド20の振動は、ドラム1A内の空間を振動させ、ドラム1A内の空間の振動は、レゾナンスヘッド60を振動させる。ドラム1Aをミュートさせた状態では、レゾナンスヘッド60に下ミュート部材90が接しているため、レゾナンスヘッド60の振動もバターサイドヘッド20と同様に急速に減衰する。このため、レゾナンスヘッド60の振動に起因する音の音量も急速に小さくなる。すなわち、バターサイドヘッド20に打撃が与えられた後のレゾナンスヘッド60に起因する音も余韻の少ない音になる。
【0031】
ドラム1Aがミュートされた状態からドラム1Aのミュートを解除する場合、ユーザは、自分から見て反時計回り方向に回転ノブ150を回転させる。回転ノブ150が反時計回り方向に回転すると、ウォーム140も同方向に回転する。ウォーム140が反時計回り方向に回転すると、ウォーム140のねじ歯車部141の各々の凹凸は、シェル10の回転軸から遠ざかる方向にシフトする。その凹凸がシェル10の回転軸から遠ざかる方向にシフトすると、回転伝達部材130は、バターサイドヘッド20側から回転伝達部材130を見たときの反時計回り方向に回転する。回転伝達部材130が反時計回り方向に回転すると、上ミュート用ロッド110がバターサイドヘッド20から回転伝達部材130に向かう方向に移動するとともに、下ミュート用ロッド120がレゾナンスヘッド60から回転伝達部材130に向かう方向に移動する。そして、バターサイドヘッド20の内側の面に接している上ミュート部材80のミュート面がバターサイドヘッド20の内側の面から離れるのと同時に、レゾナンスヘッド60の内側の面に接している下ミュート部材90のミュート面がレゾナンスヘッド60の内側の面から離れる。これにより、バターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60の両方のミュートが解除される。すなわち、ドラム1Aのミュートが解除される。ドラム1Aのミュートを解除させた状態でバターサイドヘッド20へ打撃が与えられた場合、バターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60の各々の振動が急速に減衰しないため、ドラム1Aの音は、ドラム1A本来の余韻のある音となる。
【0032】
また、ユーザは、回転ノブ150の回転量を調整することにより、上ミュート部材80の移動量および下ミュート部材90の移動量を調整することができる。より詳細に説明すると、ユーザが回転ノブ150を時計回り方向に多く回転させると、上ミュート部材80がバターサイドヘッド20に強く押し付けられるとともに下ミュート部材90がレゾナンスヘッド60に強く押し付けられる。この場合、バターサイドヘッド20の振動およびレゾナンスヘッド60の振動を抑制する力が大きくなる。このため、この場合、余韻がより少ないミュート音となる。一方、ユーザが回転ノブ150を時計回り方向に少なく回転させると、上ミュート部材80がバターサイドヘッド20に弱く押し付けられるとともに下ミュート部材90がレゾナンスヘッド60に弱く押し付けられる。この場合、バターサイドヘッド20の振動およびレゾナンスヘッド60の振動を抑制する力が小さくなる。このため、この場合、ミュートさせないときに比べ余韻が少ないが、回転ノブ150を時計回り方向に多く回転させたときに比べ余韻の多いミュート音となる。
以上が、ドラム1Aの動作および使用態様である。
【0033】
このように、本実施形態によるドラム1Aは、バターサイドヘッド20をミュートする上ミュート部材80と、レゾナンスヘッド60をミュートする下ミュート部材90と、上ミュート部材80と下ミュート部材90とを連動させる動作伝達手段(ドラム1Aでは、ウォーム140、回転伝達部材130、上ミュート用ロッド110および下ミュート用ロッド120)とを有している。そして、動作伝達手段は、回転ノブ150の一の方向の回転操作に応じて、上ミュート部材80をバターサイドヘッド20の内側の面に近づけつつ下ミュート部材90をレゾナンスヘッド60の内側の面に近づける一方、回転ノブ150の一の方向に対して反対方向の回転操作に応じて、上ミュート部材80をバターサイドヘッド20の内側の面から遠ざけつつ下ミュート部材90をレゾナンスヘッド60の内側の面から遠ざけるように、上ミュート部材80と下ミュート部材90とを連動させている。これにより、バターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60の両方をミュートさせることができる。このため、バターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60のうちの一方のドラムヘッドの振動が減衰しても他方のドラムヘッドの振動が減衰しないといった事態の発生を回避することができる。従って、ドラム1Aのミュート音は、余韻の少ない自然なミュート音となる。ドラム1Aを使用すれば、ユーザは、メリハリのある演奏を行うことができる。
【0034】
また、ドラム1Aでは、バターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60とを同時にミュートするようにしている。このため、余韻を最も少なくすることができる。また、第1のドラムヘッドの振動の抑制と第2のドラムヘッドの振動の抑制を同時に行うため、ミュートされたときのレゾナンスヘッド60は、ミュートされたときのバターサイドヘッド20の振動と同じ傾向の振動を行うことになる。このため、ドラム1Aでは、バターサイドヘッド20の振動とレゾナンスヘッド60の振動とが同じ傾向を持ったより自然なミュート音を実現することができる。
【0035】
また、ユーザは、操作子の一の方向の操作によりバターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60をミュートさせることができる。このため、ユーザは、簡易に効率よくミュートさせることができる。また、ユーザは、回転ノブ150の回転量を調整することにより、上ミュート部材80の移動量および下ミュート部材90の移動量を連続的に調整することができる。このため、ユーザは、ミュート音を連続的および詳細に調整することができる。さらに、上ミュート部材80の移動量と下ミュート部材90の移動量が同じであるため、ユーザは、ミュート音をより自然な音色にしつつミュート音を連続的および詳細に調整することができる。
【0036】
ドラム1Aでは、回転伝達部材130とウォーム140とが互いに垂直にかみ合っているため、ウォーム140に連結されている回転ノブ150を回転させない限り、回転伝達部材130が自然と回転することはない。すなわち、上ミュート部材80および下ミュート部材90は、回転伝達部材130とウォーム140とによりそれらの位置がロックされる。このため、例えば、バターサイドヘッド20に打撃が与えられるなどしても、上ミュート部材80はバターサイドヘッド20のミュートを維持することが可能であり、下ミュート部材90はレゾナンスヘッド60のミュートを維持することが可能である。従って、ドラム1Aでは、バターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60の各々のミュートを維持する別個の機構を設ける必要がない。さらに、それらミュートを維持させる別個の機構を設ける必要がないため、ユーザは、それらミュートを維持させるための別個の操作を行う必要がない。また、ユーザは、ミュートの有無やミュート量の調整のための操作子の操作を演奏前に行っても良いし、演奏中に行っても良い。そして、ユーザは、ミュートの有無やミュート量を調整することで、演奏曲の印象を効果的に変えることができる。
【0037】
なお、ドラム1Aでは、ユーザから見て時計回り方向に回転ノブ150を回転させたときに、上ミュート部材80がバターサイドヘッド20に近づき、下ミュート部材90がレゾナンスヘッド60に近づくようにしていた。しかし、ユーザから見て反時計回り方向に回転ノブ150を回転させたときに、上ミュート部材80がバターサイドヘッド20に近づき、下ミュート部材90がレゾナンスヘッド60に近づくようにしても良い。これは、例えば、上ミュート用ロッド110のねじ山111を右ねじに代えて左ねじにし、下ミュート用ロッド120のねじ山121を左ねじに代えて右ねじにすることにより実現することができる。他の例として、ウォーム140のねじ歯車部141を左ねじに代えて右ねじにすることによっても実現することができる。この態様においても同様の効果が得られる。
【0038】
<第2実施形態>
図2(A)は、この発明の第2実施形態によるドラム1Bの構成を示す平面図であり、図2(B)は、同ドラム1Bの側面側から同ドラム1Bを見たときの同ドラム1Bの構成を示す透視図である。ドラム1Bは、上ミュート部材80に代えて上ミュート部材80Bを有し、下ミュート部材90に代えて下ミュート部材90Bを有し、動作伝達機構100に代えて動作伝達機構100Bを有する点において第1実施形態によるドラム1Aと異なる。なお、第1実施形態と同様の部材には、同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
上ミュート部材80Bおよび下ミュート部材90Bは、それらの形状が上ミュート部材80および下ミュート部材90と各々異なる。上ミュート部材80Bおよび下ミュート部材90Bの形状は、各々、シェル10の内径よりも少し小さい外径を有する円盤リング状になっている。上ミュート部材80Bは、上ミュート部材80Bの回転軸とシェル10の回転軸とが重なるような姿勢で、バターサイドヘッド20の内側の面の近傍に動作伝達機構100Bによって支持される。下ミュート部材90Bは、下ミュート部材90Bの回転軸とシェル10の回転軸とが重なるような姿勢で、レゾナンスヘッド60の内側の面の近傍に動作伝達機構100Bによって支持される。
【0040】
動作伝達機構100Bは、回転ノブ150、回転ガイド180および240、回転ロッド260、回転伝達部材271および272、上リンク部材281および282、下リンク部材291および292、上ミュート土台210および下ミュート土台220を有する。以下、動作伝達機構100Bの各部について詳述する。
【0041】
回転ガイド240は、回転ガイド180に対向する位置のシェル10の内側面に設けられた穴である。回転ロッド260は、シェル10内に収容される丸棒状の部材である。回転ロッド260の一端は、回転ガイド240に収容されている。回転ロッド260の他端側は、回転ガイド180内に挿通されてシェル10外に突出している。回転ロッド260は、回転ガイド180および回転ガイド240によって回転ロッド260の円周方向に回動自在に支持されている。シェル10外に突出した回転ロッド260の先端には、円盤状の回転ノブ150が固定されている。回転ロッド260の側面には、ねじ山261とねじ山262とが形成されている。ねじ山261は、回転ノブ150側でありシェル10の内側面近傍に形成されている。ねじ山262は、回転ガイド240側でありシェル10の内側面近傍に形成されている。ねじ山261とねじ山262とは、互いに逆方向のねじ山となっている。例えば、ねじ山261は左ねじのねじ山であり、ねじ山262は右ねじのねじ山である、という具合である。また、ねじ山261のピッチとねじ山262のピッチは、同一となっている。
【0042】
回転伝達部材271および272は、各々、内側面の全体にねじ溝が形成された円筒状の部材である。回転伝達部材271の回転軸に沿った方向の長さは、ねじ山261の形成されている部分の回転ロッド260の回転軸に沿った方向の長さよりも小さくなっている。回転伝達部材271と同様に、回転伝達部材272の回転軸に沿った方向の長さは、ねじ山262の形成されている部分の回転ロッド260の回転軸に沿った方向の長さよりも小さくなっている。回転ロッド260は、回転伝達部材271と272とを貫通している。回転伝達部材271のねじ溝は、ねじ山261に螺合しており、回転伝達部材272のねじ溝は、ねじ山262に螺合している。
【0043】
上リンク部材281および282は、各々、棒状の部材である。上リンク部材281の一端は、回転伝達部材271の外側面に回動自在に連結されている。上リンク部材281の他端は、回転伝達部材272の上方の位置において板状の上ミュート土台210の下側の面に回動自在に連結されている。また、上リンク部材282の一端は、回転伝達部材272の外側面に回動自在に連結されている。上リンク部材282の他端は、回転伝達部材271の上方の位置において上ミュート土台210の下側の面に回動自在に連結されている。そして、上リンク部材281と上リンク部材282とは、上リンク連結部285において互いに交差しながら回動自在に連結されている。
【0044】
下リンク部材291および292は、上リンク部材281および282を回転ロッド260に対して上下反転させた構成となっている。より詳細に説明する。下リンク部材291および292は、各々、棒状の部材である。下リンク部材291の一端は、回転伝達部材271の外側面に回動自在に連結されている。下リンク部材291の他端は、回転伝達部材272の下方の位置において板状の下ミュート土台220の上側の面に回動自在に連結されている。また、下リンク部材292の一端は、回転伝達部材272の外側面に回動自在に連結されている。下リンク部材292の他端は、回転伝達部材271の下方の位置において下ミュート土台220の上側の面に回動自在に連結されている。そして、下リンク部材291と下リンク部材292とは、下リンク連結部295において互いに交差しながら回動自在に連結されている。
【0045】
上ミュート土台210の上側の面には、上ミュート部材80Bが固定されている。また、上ミュート土台210と上リンク部材281との連結部283および上ミュート土台210と上リンク部材282との連結部284は、各々、上ミュート土台210の下側の面上をシェル10の径方向(換言すると、回転ロッド260の回転軸に沿った方向)に摺動可能である。下ミュート土台220の下側の面には、下ミュート部材90Bが固定されている。また、下ミュート土台220と下リンク部材291との連結部293および下ミュート土台220と下リンク部材292との連結部294は、各々、下ミュート土台220の上側の面上をシェル10の径方向(換言すると、回転ロッド260の回転軸に沿った方向)に摺動可能である。上ミュート土台210および下ミュート土台220は、各々、バターサイドヘッド20の振動がシェル10内の空気を介してレゾナンスヘッド60に伝わるのを極力妨げないような形状になっている。例えば、上ミュート土台210は、上ミュート部材80Bの固定されている部分と連結部283および284の摺動部分とを除いた部分に表裏を貫通する孔が設けられている、という具合である。下ミュート土台220も同様である。
【0046】
回転伝達部材271および272は、上リンク部材281および282および下リンク部材291および292に連結されており、円周方向の回転が妨げられる。このため、回転伝達部材271および272に対して回転ロッド260が円周方向に回転することにより、回転伝達部材271および272は、回転ロッド260の回転軸に沿った方向に移動する。このとき、回転伝達部材271および272は、ねじ山261と262とが逆方向のねじ山であるため、互いに逆方向に移動する。また、上リンク連結部285における回転伝達部材271および272により成す角をθ1と呼び、上リンク連結部285における連結部283および284により成す角をθ2と呼ぶ。同様に、下リンク連結部295における回転伝達部材271および272により成す角をθ3と呼び、下リンク連結部295における連結部293および294により成す角をθ4と呼ぶ。
以上が、ドラム1Bの構成である。
【0047】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、ユーザは、回転ノブ150を回転させることによりドラム1Bに対してミュートの有無およびミュート量を調整する。ドラム1Bをミュートさせる場合、ユーザは、自分から見て時計回り方向に回転ノブ150を回転させる。回転ノブ150が時計回り方向に回転すると、回転ロッド260も同方向に回転する。回転ロッド260が回転すると、回転伝達部材271および272は、回転ロッド260の回転軸に沿ってシェル10の回転軸に近づく方向に共に移動する。これに伴って、上リンク部材281および282は、各々、上リンク連結部285を回転の中心として角θ1およびθ2が小さくなるように回転する。このとき、連結部283および284は、回転伝達部材271および272と同様に、シェル10の回転軸に近づく方向に摺動する。これにより、上ミュート部材80Bが上ミュート土台210とともにバターサイドヘッド20へ近づく方向に移動する。また、回転伝達部材271および272の移動に伴って、下リンク部材291および292も上リンク部材281および282と同時に動作する。より詳細には、下リンク部材291および292は、各々、下リンク連結部295を回転の中心として、角θ3およびθ4が小さくなるように回転する。このとき、連結部293および294は、回転伝達部材271および272と同様に、シェル10の回転軸に近づく方向に摺動する。これにより、下ミュート部材90Bが下ミュート土台220とともにレゾナンスヘッド60へ近づく方向に移動する。すなわち、上ミュート部材80Bと下ミュート部材90Bとは、回転伝達部材271および272の移動に応じて連動する。このとき、上ミュート部材80Bは、そのミュート面とバターサイドヘッド20の内側の面との平行状態を維持しつつ移動し、下ミュート部材90Bは、そのミュート面とレゾナンスヘッド60の内側の面との平行状態を維持しつつ移動する。そして、上ミュート部材80Bのミュート面がバターサイドヘッド20の内側の面に接するのと同時に、下ミュート部材90Bのミュート面がレゾナンスヘッド60の内側の面に接する。
【0048】
ドラム1Bのミュートを解除する場合、ユーザは、自分から見て反時計回り方向に回転ノブ150を回転させる。回転ノブ150が反時計回り方向に回転すると、回転ロッド260も同方向に回転し、回転伝達部材271と回転伝達部材272とがともにシェル10の回転軸から遠ざかる方向に移動する。これに伴って、上リンク部材281および282は、各々、上リンク連結部285を回転の中心として角θ1およびθ2が大きくなるように回転する。このとき、連結部283および284は、回転伝達部材271および272と同様に、シェル10の回転軸から遠ざかる方向に摺動する。これにより、上ミュート部材80Bが上ミュート土台210とともにバターサイドヘッド20から遠ざかる方向に移動する。それと同時に、下リンク部材291および292は、各々、下リンク連結部295を回転の中心として、角θ3およびθ4が大きくなるように回転する。このとき、連結部293および294は、回転伝達部材271および272と同様に、シェル10の回転軸から遠ざかる方向に摺動する。これにより、下ミュート部材90Bが下ミュート土台220とともにレゾナンスヘッド60から遠ざかる方向に移動する。そして、上ミュート部材80Bのミュート面がバターサイドヘッド20の内側の面から離れると同時に、下ミュート部材90Bのミュート面がレゾナンスヘッド60の内側の面から離れる。
【0049】
このように、ドラム1Bは、回転ノブ150を回転させることにより上ミュート部材80Bおよび下ミュート部材90Bを連動させてバターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60の両方をミュートさせる点において第1実施形態によるドラム1Aと同様であるから、本実施形態においても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、ドラム1Bでは、上ミュート部材80Bのミュート面の面積が第1実施形態の上ミュート部材80のミュート面の面積よりも大きくなっており、下ミュート部材90Bのミュート面の面積が第1実施形態の下ミュート部材90のミュート面の面積よりも大きくなっている。このため、
上ミュート部材80Bの移動量を第1実施形態のそれに比べて少なくしても、第1実施形態と同様にバターサイドヘッド20の振動を減衰させることができる。下ミュート部材90Bにおいても同様である。すなわち、ドラム1Bでは、回転ノブ150の操作量が第1実施形態のドラム1Aに比べ少なくても第1実施形態のドラム1Aと同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、ドラム1Bでは、上ミュート部材80Bのミュート面をバターサイドヘッド20の内側の面に接触させる際に、バターサイドヘッド20における円周方向に亙って均一に接触させるようにしている。ミュートされていない場合、バターサイドヘッド20は、シェル10に張設される形状、すなわち、円形、に起因する振動を行う。バターサイドヘッド20をミュートさせた場合、バターサイドヘッド20において上ミュート部材80Bの接していない部分は、ミュートされていない場合の当該円形と同心の相似の円形となる。このため、ミュートされた場合、バターサイドヘッド20は、当該同心の相似の円形に起因する振動を行う。バターサイドヘッド20は、ミュートの前後においてほぼ同様な形状に起因する振動を行うため、バターサイドヘッド20からの音もミュートの前後において特徴の似た音色となる。レゾナンスヘッド60においても同様である。従って、ドラム1Bでは、より自然な音色のミュート音を実現することができる。
【0051】
なお、ドラム1Bにおいても、ドラム1Aと同様に、ユーザから見て反時計回り方向に回転ノブ150を回転させたときに、上ミュート部材80Bがバターサイドヘッド20に近づき、下ミュート部材90Bがレゾナンスヘッド60に近づくようにしても良い。これは、例えば、回転ロッド260のねじ山261を左ねじに代えて右ねじにし、ねじ山262を右ねじに代えて左ねじにすることにより実現することができる。この態様においても同様の効果が得られる。
【0052】
また、連結部283、284、293および294を摺動可能にしなくても良い。この場合、上リンク部材281と上リンク部材282とを上リンク連結部285で連結せず、下リンク部材291と下リンク部材292とを下リンク連結部295で連結しないようにすれば良い。
【0053】
<第3実施形態>
第1実施形態によるドラム1Aでは、バターサイドヘッド20の内側の面に上ミュート部材80を接触させるとともに、レゾナンスヘッド60の内側の面に下ミュート部材90を接触させてドラム1Aをミュートさせていた。これに対し、この発明の第3実施形態によるドラム1Cは、ドラム1Cの外側からバターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60の各々をミュートさせるようにしたものである。図3は、本実施形態によるドラム1Cの構成の一部を示す透視図である。ドラム1Cは、上ミュート部材80に代えて上ミュート部材80Cを有し、下ミュート部材90に代えて下ミュート部材90Cを有し、動作伝達機構100に代えて動作伝達機構100Cを有する点において第1実施形態によるドラム1Aと異なる。なお、第1実施形態と同様の部材には、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
上ミュート部材80Cは、上ミュート部材80と同様に、円盤状の部材である。上ミュート部材80Cは、配置される位置および姿勢が上ミュート部材80と異なる。上ミュート部材80Cは、その盤面がバターサイドヘッド20の外側の面に平行となるような姿勢で、バターサイドヘッド20の外側の面の近傍でありシェル10の側壁近傍に動作伝達機構100Cによって支持される。同様に、下ミュート部材90Cは、下ミュート部材90と同様に、円盤状の部材である。下ミュート部材90Cは、配置される位置および姿勢が下ミュート部材90と異なる。下ミュート部材90Cは、その盤面がレゾナンスヘッド60の外側の面に平行となるような姿勢で、レゾナンスヘッド60の外側の面の近傍でありシェル10の側壁近傍に動作伝達機構100Cによって支持される。また、バターサイドヘッド20の外側の面と上ミュート部材80Cのミュート面との間の距離と、レゾナンスヘッド60の外側の面と下ミュート部材90Cのミュート面との間の距離とは、同じになっている。
【0055】
動作伝達機構100Cは、上伝達部材310、下伝達部材320、上腕部330aおよび330b、下腕部340aおよび340b、上ミュート用ロッド350、下ミュート用ロッド360、上支点部370、下支点部380、カム400、カム支持部410および回転ノブ420を有する。以下、動作伝達機構100Cの各部について詳述する。
【0056】
カム支持部410は、内部にカム400を収容した箱状の部材である。カム支持部410は、シェル10の外側面に固定されている。カム支持部410は、シェル10の両端からの距離が同程度となる位置に固定される。カム400は、長方形の短辺を円弧状にした形状の断面が連続する柱状の部材である。本実施形態では、カム400における当該断面(長方形の短辺を円弧状にした形状の断面)の中心を当該断面の連続する方向に結んだ線をカム400の軸と呼ぶこととする。カム400は、カム400の軸を中心として回転自在となるようにカム支持部410によって支持されている。カム400は、カム400の軸がシェル10の回転軸に直交するような姿勢でカム支持部410に支持されている。カム400には、カム支持部410の外部に配置された円盤状の回転ノブ420が固定されている。回転ノブ420は、当該回転ノブ420の回転軸の延長線上にカム400の軸が重なるようにカム400に固定されている。
【0057】
上伝達部材310は、棒状の部材であり、シェル10の回転軸に平行な姿勢で配置されている。上伝達部材310の一端は、カム支持部410内に収容されてバターサイドヘッド20側からカム400の側面に接している。より詳細には、上伝達部材310の一端は、カム400の断面における一方の長辺部分401に対応するカム400の側面に接している。また、上伝達部材310の一端は、カム400の側面から離れずに(カム400の側面に接触した状態を維持しつつ)、カム400の側面に沿って移動可能となっている。例えば、上伝達部材310の先端は、T字型になっており、カム400の側面には、当該T字部分を引っ掛けるレールがカム400の周方向に設けられる、という具合である。なお、上伝達部材310の一端とカム400の側面の構成はこれに限られない。上伝達部材310の他端側は、カム支持部410内からカム支持部410外に出ている。上伝達部材310の他端側には、棒状の上腕部330aの一端と棒状の上腕部330bの一端とが各々回動自在に連結されている。上腕部330aの長さと上腕部330bの長さは同じである。上腕部330aの他端および上腕部330bの他端は、上腕部330aと上腕部330bとが平行になるようにして、各々、棒状の上ミュート用ロッド350の一端側に回動自在に連結されている。上ミュート用ロッド350の他端には、上ミュート部材80Cが固定されている。また、上腕部330aは、上腕部330aの中心よりも上伝達部材310側の上腕部330aの1の部分において板状の上支点部370に回動自在に連結されている。上腕部330bも、上腕部330aと同様に、上腕部330bの中心よりも上伝達部材310側の上腕部330bの1の部分において板状の上支点部370に回動自在に連結されている。ここで、上腕部330aにおける上伝達部材310との連結部331と上支点部370との連結部333との間の距離と、上腕部330bにおける上伝達部材310との連結部334と上支点部370との連結部336との間の距離とが同じになっており、上腕部330aにおける上ミュート用ロッド350との連結部332と上支点部370との連結部333との間の距離と、上腕部330bにおける上ミュート用ロッド350との連結部335と上支点部370との連結部336との間の距離とが同じになっている。上支点部370は、バターサイドヘッド20側のフープ30に固定されている。
【0058】
下伝達部材320、下腕部340aおよび340b、下ミュート用ロッド360および下支点部380の各々は、上伝達部310、上腕部330aおよび330b、上ミュート用ロッド350および上支点部370の各々を、カム400の軸に対して上下反転させた構成となっている。より詳細に説明する。下伝達部材320の一端は、カム支持部410に収容されて、レゾナンスヘッド60側からカム400の側面に接している。より詳細には、下伝達部材320の一端は、カム400の断面における他方の長辺部分(上伝達部材310の接している側の長辺部分401に対して反対の長辺部分)403に対応するカム400の側面に接している。また、下伝達部材320の一端は、上伝達部材320と同様な構成により、カム400の側面から離れずに(カム400の側面に接触した状態を維持しつつ)、カム400の側面に沿って移動可能となっている。下伝達部材320の他端側は、カム支持部410内からカム支持部410外に出ている。下伝達部材320の他端側には、棒状の下腕部340aの一端と棒状の下腕部340bの一端とが各々回動自在に連結されている。下腕部340aの長さと下腕部340bの長さは同じである。下腕部340aの他端および下腕部340bの他端は、下腕部340aと下腕部340bとが平行になるようにして、各々、棒状の下ミュート用ロッド360の一端側に回動自在に連結されている。下ミュート用ロッド360の他端には、下ミュート部材90Cが固定されている。また、下腕部340aは、下腕部340の中心よりも下伝達部材320側の下腕部340の1の部分において板状の下支点部380に回動自在に連結されている。下腕部340bも、下腕部340aと同様に、下腕部340bの中心よりも下伝達部材320側の下腕部340bの1の部分において板状の下支点部380に回動自在に連結されている。ここで、下腕部340aにおける下伝達部材320との連結部341と下支点部380との連結部343との間の距離と、下腕部340bにおける下伝達部材320との連結部344と下支点部380との連結部346との間の距離とが同じになっており、下腕部340aにおける下ミュート用ロッド360との連結部342と下支点部380との連結部343との間の距離と、下腕部340bにおける下ミュート用ロッド360との連結部345と下支点部380との連結部346との間の距離とが同じになっている。下支点部380は、レゾナンスヘッド60側のフープ30に固定されている。また、上腕部330aおよび330bの長さと下腕部340aおよび340bの長さは、同じになっている。また、連結部331から連結部333までの距離と連結部332から連結部333までの距離との比率と、連結部341から連結部343までの距離と連結部342から連結部343までの距離との比率とは、同じになっている。上腕部330bと下腕部340bについても同様である。
【0059】
次に、本実施形態によるドラム1Cの動作および使用態様を説明する。
本実施形態においても第1実施形態と同様に、ユーザは、回転ノブ420を回転させることによりドラム1Cに対してミュートの有無およびミュート量を調整する。以下、具体的に説明する。以下に説明する動作の開始時点では、カム400は、当該カム400の長辺部分401および403がシェル10の回転軸に垂直となるような姿勢になっているとする。この場合、上伝達部材310のカム400側端は、長辺部分401における中央付近のカム400の側面に接しており、下伝達部材320のカム400側端は、長辺部分403における中央付近のカム400の側面に接している。この状態では、上ミュート部材80Cのミュート面がバターサイドヘッド20の外側の面から離れているとともに、下ミュート部材90Cのミュート面がレゾナンスヘッド60の外側の面から離れている。すなわち、ドラム1Cはミュートされていない。
【0060】
ドラム1Cをミュートさせる場合、ユーザは、自分から見て時計回り方向に回転ノブ420を回転させる。回転ノブ420が当該方向に回転すると、カム400の側面における上伝達部材310の接触位置が、長辺部分401の中央付近から当該長辺部分401における短辺部分402(すなわち、上伝達部材310に近づく短辺部分)側へ徐々に移動する。これにより、上伝達部材310は、当該上伝達部材310の回転軸に沿って、上方に移動する。これに伴って、連結部333を回転の中心として、上腕部330aの上伝達部材310側端が上方に傾き、上腕部330aの上ミュート用ロッド350側端が下方に傾く。上腕部330bも同様である。これにより、上ミュート部材80Cがバターサイドヘッド20に近づく方向に移動する。このとき、上伝達部材310および上ミュート用ロッド350は、2本の上腕部330aおよび330bによって連結されているため、シェル10の回転軸に平行な線上からずれることなく移動する。また、これらと同時に、回転ノブ420が当該方向に回転すると、カム400の側面における下伝達部材320の接触位置が、長辺部分403の中央付近から当該長辺部分403における短辺部分404(すなわち、下伝達部材320に近づく短辺部材)側へ徐々に移動する。これにより、下伝達部材320は、当該下伝達部材320の回転軸に沿って、下方に移動する。これに伴って、連結部343を回転の中心として、下腕部340aの下伝達部材320側端が下方に傾き、下腕部340aの下ミュート用ロッド360側端が上方に傾く。下腕部340bも同様である。これにより、下ミュート部材90Cがレゾナンスヘッド60に近づく方向に移動する。このとき、下伝達部材320および下ミュート用ロッド360は、2本の下腕部340aおよび340bによって連結されているため、シェル10の回転軸に平行な線上からずれることなく移動する。そして、上ミュート部材80Cのミュート面がバターサイドヘッド20の外側の面に接するのと同時に、下ミュート部材90Cのミュート面がレゾナンスヘッド60の外側の面に接する。
【0061】
ドラム1Cのミュートを解除する場合、ユーザは、自分から見て反時計回り方向に回転ノブ420を回転させる。回転ノブ420が当該方向に回転すると、カム400の側面における上伝達部材310の接触位置が、長辺部分401における短辺部分402側から当該長辺部分401の中央付近へ徐々に移動する。これにより、上伝達部材310は、当該上伝達部材310の回転軸に沿って、下方に移動する。これに伴って、連結部333を回転の中心として、上腕部330aの上伝達部材310側端が下方に傾き、上腕部330aの上ミュート用ロッド350側端が上方に傾く。上腕部330bも同様である。これにより、上ミュート部材80Cがバターサイドヘッド20から遠ざかる方向に移動する。また、これらと同時に、回転ノブ420が当該方向に回転すると、カム400の側面における下伝達部材320の接触位置が、長辺部分403における短辺部分404側から当該長辺部分403の中央付近へ徐々に移動する。これにより、下伝達部材320は、当該下伝達部材320の回転軸に沿って、上方に移動する。これに伴って、連結部343を回転の中心として、下腕部340aの下伝達部材320側端が上方に傾き、下腕部340aの下ミュート用ロッド360側端が下方に傾く。下腕部340bも同様である。これにより、下ミュート部材90Cがレゾナンスヘッド60から遠ざかる方向に移動する。そして、バターサイドヘッド20の外側の面に接していた上ミュート部材80Cのミュート面がバターサイドヘッド20の外側の面から離れるのと同時に、レゾナンスヘッド60の外側の面に接していた下ミュート部材90Cのミュート面がレゾナンスヘッド60の外側の面から離れる。
【0062】
このように、ドラム1Cは、回転ノブ420を回転させることにより上ミュート部材80Cおよび下ミュート部材90Cを連動させてバターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60の両方をミュートさせる点において第1実施形態によるドラム1Aと同様であるから、本実施形態においても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
なお、上記の動作の説明では、ドラム1Cをミュートさせる場合、ユーザは、長辺部分401および403がシェル10の回転軸に垂直となっている状態から、自分から見て時計回り方向に回転ノブ420を回転させていた。しかし、ユーザは、長辺部分401および403がシェル10の回転軸に垂直となっている状態から、自分から見て反時計回り方向に回転ノブ420を回転させることによってもドラム1Cをミュートさせることができる。この場合、カム400における短辺部分404が上伝達部材310に近づき、カム400の側面における上伝達部材310の接触位置が、長辺部分401における短辺部分404側へ徐々に移動する。そして、上伝達部材310は上方に移動する。それと同時に、カム400における短辺部分402が下伝達部材320に近づき、カム400の側面における下伝達部材320の接触位置が、長辺部分403における短辺部分402側へ徐々に移動する。そして、下伝達部材320は下方に移動する。すなわち、長辺部分401および403がシェル10の回転軸に垂直となっている状態を基準として、回転ノブ420の回転角度(すなわち、カム400の回転角度)の度合いによって、ミュートの有無およびミュート量を調整することができる。
【0064】
また、カム400の側面における上伝達部材310の接触位置が、長辺部分401を超えて短辺部分402に到達するまで回転ノブ420(すなわちカム400)を回転可能にしても良い。この場合、当該接触位置が短辺部分402に到達したときに、上ミュート部材80Cのミュート面がバターサイドヘッド20の外側の面に確実に接し、下ミュート部材90Cのミュート面がレゾナンスヘッド60の外側の面に確実に接するようになっていれば良い。カム400の側面における下伝達部材320の接触位置に関しても同様である。
【0065】
また、上ミュート部材80Cおよび下ミュート部材90Cの状態(位置)を保持する機構(すなわち、ミュート状態またはミュート解除状態を保持する機構)を動作伝達機構100Cに設けても良い。例えば、長辺部分401および403に対応するカム400の側面に、上伝達部材310および下伝達部材320の先端が収容される溝を設ける、といった具合である。この溝は、段階的に設けられても良い。この態様によれば、ミュート状態またはミュート解除状態をより確実に保持させることができる。
【0066】
<第4実施形態>
図4は、この発明の第4実施形態によるドラム1Dの構成の一部を示す透視図である。図5は、図4のA方向からドラム1Dを見たときのドラム1Dの構成の一部を示す透視図である。図6は、図4のB方向からドラム1Dを見たときのドラム1Dの構成の一部を示す平面図である。本実施形態によるドラム1Dは、レゾナンスヘッド60に代えてレゾナンスヘッド60Dを有し、動作伝達機構100Cに代えて動作伝達機構100Dを有し、さらに響線500、響線固定部510および520を有する点において第3実施形態によるドラム1Cと異なる。
【0067】
図4図6に示すように、響線固定部510は、シェル10の外側面に固定されている。響線固定部520は、響線固定部510の反対側のシェル10の外側面に固定されている。また、響線固定部510および520は、各々、動作伝達機構100Dの設けられている位置からシェル10の円周方向に90度ずらした位置に設けられている。響線500は、ばね状の部材である。響線500の一端は、響線固定部510に固定され、他端は、響線固定部520に固定されている。これにより、響線500は、レゾナンスヘッド60Dの外側の面に接触するようにしてシェル10のレゾナンスヘッド60D側端に張設されている。また、図6に示すように、響線500は、下ミュート部材90Cに重複しないように張設されている。なお、響線固定部510および520の位置は、響線500が下ミュート部材90Cに重複せずに張設可能な位置であれば良く、動作伝達機構100Dの位置に対して90度ずらした位置に限られない。なお、ドラム1Dは、響線500をレゾナンスヘッド60Dの外側の面に接触させる構成に代えて、響線500をレゾナンスヘッド60Dの内側の面に接触させる構成を有していても良い。
【0068】
レゾナンスヘッド60Dは、バターサイドヘッド20よりも薄い合成樹脂製フィルムや皮などを円形に成形してなるものである点においてレゾナンスヘッド60と異なる。響線500とレゾナンスヘッド60Dとが接触することによって適切な音を生じさせるために、レゾナンスヘッド60Dは、バターサイドヘッド20よりも薄くなっている。なお、響線500を設けないようにしても良い。
【0069】
動作伝達機構100Dは、下腕部340aに代えて下腕部340aDを有し、下腕部340bに代えて下腕部340bDを有する点において第3実施形態による動作伝達機構100Cと異なる。下腕部340aDは、下ミュート用ロッド360との連結部342Dから下支点部380との連結部343までの長さが下腕部340aにおける当該長さよりも短くなっている点において下腕部340aと異なる。下腕部340bDも下腕部340aDと同様の点において下腕部340bと異なる。すなわち、下腕部340aDにおける連結部341と連結部343との間の距離と連結部342Dと連結部343との間の距離との比率が、下腕部340aにおける当該比率と異なる。下腕部340bDも同様である。このため、動作伝達機構100Dでは、上ミュート部材80Cのバターサイドヘッド20の面に垂直な方向の移動量と下ミュート部材90Cのレゾナンスヘッド60に垂直な方向の移動量が異なる。より詳細には、下ミュート部材90Cの移動量は、上ミュート部材80Cの移動量よりも少ない。例えば、上ミュート部材80Cの移動量と下ミュート部材90Cの移動量が2対1の比率になっている、という具合である。なお、上ミュート部材80Cと下ミュート部材90Cの移動量の比は、これに限られない。このように、下ミュート部材90Cの移動量を上ミュート部材80Cの移動量よりも少なくしたのは、レゾナンスヘッド60Dの厚さがバターサイドヘッド20の厚さよりも薄くなっているためである。また、本実施形態では、上ミュート部材80Cの移動量と下ミュート部材90Cの移動量とが異なるが、上ミュート部材80Cとバターサイドヘッド20との間の距離に対する上ミュート部材80Cの移動量の比と下ミュート部材90Cとレゾナンスヘッド60との間の距離に対する下ミュート部材90Cの移動量の比を同じにすることで、上ミュート部材80Cによるバターサイドヘッド20のミュートのタイミングと下ミュート部材90Cによるレゾナンスヘッド60のミュートのタイミングを同じにしている。例えば、上ミュート部材80Cの移動量が下ミュート部材90Cの移動量の2倍である場合、ミュート解除状態において、上ミュート部材80Cとバターサイドヘッド20との間の距離も下ミュート部材90Cとレゾナンスヘッド60との間の距離の2倍になっている、という具合である。
【0070】
このように、ドラム1Dは、上ミュート部材80Cの移動量と下ミュート部材90Cの移動量とを異なるようにした点を除いて、第3実施形態によるドラム1Cと同様であるため、本実施形態においても第3実施形態と同様の効果が得られる。また、ドラム1Dでは、上ミュート部材80Cの移動量と下ミュート部材90Cの移動量とが異なるため、上ミュート部材80Cのバターサイドヘッド20への押し付け具合と下ミュート部材90Cのレゾナンスヘッド60への押し付け具合とが異なる。このため、ドラム1Dでは、バターサイドヘッド20の厚さとレゾナンスヘッド60の厚さとが異なる場合であっても、バターサイドヘッド20を適切なミュート量でミュートすることができるとともにレゾナンスヘッド60を適切なミュート量でミュートすることができる。従って、より適切な音色のミュート音を得ることができる。なお、連結部343および346(あるいは連結部333および336)の位置を変えることによっても同様の効果が得られる。なお、上ミュート部材80Cの移動量を下ミュート部材90Cの移動量よりも小さくしても良い。
【0071】
<第5実施形態>
図7は、この発明の第5実施形態によるドラム1Eの構成の一部を示す透視図である。本実施形態によるドラム1Eは、動作伝達機構100Cに代えて動作伝達機構100Eを設けた点において第3実施形態によるドラム1Cと異なる。動作伝達機構100Eは、回転ノブ420を削除した点と、カム400と上伝達部材310との接触位置および各400と下伝達部材320との接触位置を工夫した点において動作伝達機構100Cと異なる。ドラム1Eは、上ミュート部材80Cと下ミュート部材90Cとが動作伝達機構100Eにより連結されて連動可能となっている点においてドラム1Cと同様である。
【0072】
上伝達部材310の先端および下伝達部材320の先端は、第3実施形態と同様に、カム400の側面から離れずにカム400の側面に沿って移動可能になっている。動作伝達機構100Eでは、上伝達部材310の先端は、長辺部分401および403がシェル10の回転軸に垂直となっている状態において、長辺部分401の中央よりも少し短辺402寄りのカム400の側面に接している。また、下伝達部材320の先端は、同状態において、長辺部分403の中央よりも少し短辺404寄りのカム400の側面に接している。すなわち、動作伝達機構100Eでは、上伝達部材310および下伝達部材320を中心から互いに逆方向に少しずらしてカム400の側面に接触させるようにした。このようにしたのは、長辺部分401および403がシェル10の回転軸に垂直となっている状態から上伝達部材310が上方に移動するとき、上伝達部材310によってカム400を引き上げてカム400を回動可能にするためである。
【0073】
ドラム1Eでは、ユーザは、例えば、上ミュート用ロッド350を手で当該上ミュート用ロッド350の上方から下方(バターサイドヘッド20方向)へ押し付ける。これにより、上ミュート部材80Cがバターサイドヘッド20方向へ移動してバターサイドヘッド20に接する。これと同時に、連結部333を回転の中心として、上腕部330aの上伝達部材310側端が上方に傾く。上腕部330bも同様である。これに伴って、上伝達部材310が上方に移動する。カム400は、上伝達部材310によって上方に引き上げられ、上伝達部材310の先端とカム400の側面との接触位置は、長辺部分401における短辺部分402方向に移動する。すなわち、第3実施形態における回転ノブ420を時計回り方向に回転させたときと同様にカム400が回転する。そして、第3実施形態と同様に、下伝達部材320が下方へ移動することによって下ミュート部材90Cがレゾナンスヘッド90C方向へ移動してレゾナンスヘッド60に接する。
【0074】
このように、ドラム1Eは、操作子(第3実施形態の回転ノブ420など)がなくても上ミュート部材80Cと下ミュート部材90Cとが連動してバターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60とを各々ミュートさせることができるものである。従って、本実施形態においても第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
なお、長辺部分401および403がシェル10の回転軸に垂直とならないようにカム400の回転に制動を与えるようにしても良い。このようにすれば、上伝達部材310の回転軸と下伝達部材320の回転軸とを同一直線上からずらすことなく、常に、上伝達部材310の先端を長辺部分401の中央よりも一方の短辺側(例えば短辺402側)のカム400の側面に接触させることができるとともに、下伝達部材320の先端を長辺部分403の中央よりも他方の短辺側(例えば短辺404側)のカム400の側面に接触させることができる。この態様においても、上伝達部材310が上方に移動するとき、上伝達部材310によってカム400を引き上げてカム400を回動可能にすることができるから、同様の効果が得られる。
【0076】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1から第5実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0077】
(1)上記第4実施形態は、上ミュート部材80Cの移動量と下ミュート部材90Cの移動量とを異なる移動量にした例である。第1および第2実施形態においても、第4実施形態と同様に、上ミュート部材80および80Bの移動量と、下ミュート部材90および90Bの移動量とを異なる移動量にすることができる。第1実施形態によるドラム1Aでは、例えば、上ミュート用ロッド110のねじ山111のピッチと、下ミュート用ロッド120のねじ山121のピッチとを異なるピッチにすることによって実現可能である。また、第2実施形態によるドラム1Bでは、例えば、上リンク部材281および282の長さと、下リンク部材291および292の長さとを異なる長さにする(あるいは、上リンク部材281および282の一端から上リンク連結部285までの距離と上リンク部材281および282の他端から上リンク連結部285までの距離との比率と、下リンク部材291および292の一端から下リンク連結部295までの距離と下リンク部材291および292の他端から下リンク連結部295までの距離との比率とを異なる比率にする)ことによって実現可能である。また、上ミュート部材の移動量および下ミュート部材の移動量は、ユーザによって適宜調整可能である。例えば、第1実施形態によるドラム1Aにおいて、ユーザは、回転ノブの回転角度を調整することによって上ミュート部材の移動量および下ミュート部材の移動量を調整することができる。これに加えて、ユーザは、上ミュート用ロッド110をねじ山111のピッチが異なる別個の上ミュート用ロッドに交換することにより上ミュート部材の移動量を調整することができ、下ミュート用ロッド120をねじ山121のピッチが異なる別個の下ミュート用ロッドに交換することにより下ミュート部材の移動量を調整することができる。また、第2実施形態によるドラム1Bでは、ユーザは、上リンク部材281、282、下リンク部材291および292を長さの異なる別個の上リンク部材および下リンク部材に交換することにより上ミュート部材の移動量および下ミュート部材の移動量を調整することができる。また、第3実施形態によるドラム1Cでは、ユーザは、カム400を形状の異なる別個のカムに交換することにより上ミュート部材の移動量および下ミュート部材の移動量を調整することができる。
【0078】
(2)上記各実施形態のドラム1A〜1Eでは、上ミュート部材80〜80Cとバターサイドヘッド20との間の距離に対する上ミュート部材80〜80Cの移動量の比と下ミュート部材90〜90Cとレゾナンスヘッド60との間の距離に対する下ミュート部材90〜90Cの移動量の比とを同じにすることにより、バターサイドヘッド20のミュートのタイミングとレゾナンスヘッド60のミュートのタイミングを同じにしたものであった。しかし、この発明のドラムは、バターサイドヘッド20のミュートのタイミングとレゾナンスヘッド60のミュートのタイミングを互いにずらした態様にしても良い。少なくともバターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60の両方をミュートする構成であれば良い。具体的には、上ミュート部材の移動量と下ミュート部材の移動量とを異なる移動量にすることにより実現することができる。この場合、上ミュート部材とバターサイドヘッドとの間の距離に対する上ミュート部材の移動量の比と下ミュート部材とレゾナンスヘッドとの間の距離に対する下ミュート部材の移動量の比を同じにしなければ、原則として、バターサイドヘッドのミュートのタイミングとレゾナンスヘッドのミュートのタイミングがずれるからである。より具体的には、第4実施形態のドラム1Dにおいて上ミュート用ロッドの長さあるいは下ミュート用ロッドの長さを第4実施形態のそれから変えることによって実現することができる。また、他の具体例として、上ミュート部材とバターサイドヘッドとの間の距離と下ミュート部材とレゾナンスヘッドとの間の距離とが異なる距離になるように上ミュート部材および下ミュート部材を配置し、かつ、上ミュート部材の移動量と下ミュート部材の移動量とを同じにすることにより実現することができる。より具体的には、第1実施形態のドラム1Aにおいて上ミュート用ロッドの長さと下ミュート用ロッドの長さを異なる長さにすることによって実現することができる。
【0079】
バターサイドヘッドのミュートのタイミングとレゾナンスヘッドのミュートのタイミングをずらすことによって、一方のドラムヘッドの振動の減衰に少し遅れて他方のドラムヘッドの振動が減衰する。この態様においても、バターサイドヘッドとレゾナンスヘッドの両方がミュートされる点において上記各実施形態と同様であるため、上記各実施形態と同様の効果を奏する。また、この態様では、一方のドラムヘッドのみをミュートする態様に比べ余韻を短くすることができ、両方のドラムヘッドを同時にミュートする態様に比べ余韻を長くすることができる。さらにこの態様では、上ミュート部材によるバターサイドヘッドへの押し付け具合と下ミュート部材によるレゾナンスヘッドへの押し付け具合とに差を付けることができる。すなわち、バターサイドヘッドの振動の抑制度合いとレゾナンスヘッドの振動の抑制度合いに差を付けることができる。このため、例えばバターサイドヘッドの張力とレゾナンスヘッドの張力とが異なる場合であっても、バターサイドヘッドおよびレゾナンスヘッドの各々に対して適切なミュートを行うことができる。例えば、張力の大きいドラムヘッドに対しては振動の抑制度合いを大きくし(ミュートのタイミングを早くし)、張力の小さいドラムヘッドに対しては振動の抑制度合いを小さくする(ミュートのタイミングを遅くする)という具合である。バターサイドヘッドのミュートのタイミングとレゾナンスヘッドのミュートのタイミングをずらした態様のドラムを使用することにより、ユーザは、表現の幅の広い演奏を行うことができる。
【0080】
また、バターサイドヘッドのミュートのタイミングとレゾナンスヘッドのミュートのタイミングのずれ具合を調整可能にしても良い。例えば、第4実施形態のドラム1Dにおいて、上ミュート用ロッドの先端にねじ山を設け、上ミュート部材にねじ溝を設け、上ミュート用ロッドの先端と上ミュート部材とを螺合させる構成にし、上ミュート部材の回転に応じて当該螺合部分の長さを可変にする、という具合である。このようにすることで、余韻の短さ(長さ)を調整することができる。また、バターサイドヘッドのミュートのタイミングとレゾナンスヘッドのミュートのタイミングとが同じになる態様と、同タイミングが異なる態様とを切り替え可能にしても良い。この態様も、余韻の短さを調整可能な構成と同様の構成により実現することができる。これらの態様のドラムを使用することにより、ユーザは、より表現の幅の広い演奏を行うことができる。
【0081】
(3)上記第1および第2実施形態によるドラム1Aおよび1Bでは、バターサイドヘッド20を内側からミュートさせるとともに、レゾナンスヘッド60を内側からミュートさせており、上記第3実施形態によるドラム1Cでは、バターサイドヘッド20を外側からミュートさせるとともに、レゾナンスヘッド60を外側からミュートさせていた。しかし、バターサイドヘッド20を内側からミュートさせるとともに、レゾナンスヘッド60を外側からミュートさせても良いし、バターサイドヘッド20を外側からミュートさせるとともに、レゾナンスヘッド60を内側からミュートさせても良い。バターサイドヘッド20とレゾナンスヘッド60の両方をミュートさせることに変わりはないからである。この態様は、例えば、第1実施形態と第3実施形態を組み合わせて、ウォーム140とカム400とを連結させる機構を設けることで実現することができる。その具体例として、ウォーム140に固定される回転ノブ150を削除し、シェル10外のウォーム140の側面にねじ歯車部141と同様のらせん状の凹凸を設け、カム400の軸を回転の中心として回転可能な歯車をカム400に設け、当該ウォーム140のらせん状の凹凸と当該カム400の歯車とをかみ合わせてウォームギアを形成させる、という具合である。
【0082】
(4)上記各実施形態によるドラム1A〜1Eでは、ドラムヘッド(バターサイドヘッド20およびレゾナンスヘッド60および60D)におけるシェル10の内側面近傍の位置において上ミュート部材80〜80Cおよび下ミュート部材90〜90Cを接触させていた。しかし、上ミュート部材80〜80Cおよび下ミュート部材90〜90Cの接触させる位置(すなわち、ミュート位置)は、ドラムヘッドにおけるシェル10の内側面近傍の位置に限られない。例えば、ドラムヘッドにおける中央近傍の位置において各ミュート部材を接触させるようにしても良い。この態様は、例えば、第1実施形態において、ウォーム140のねじ歯車部141がシェル10の回転軸近傍に位置する程度までウォーム140の長さを延長して、その状態のねじ歯車部141に回転伝達部材130の歯車部131がかみ合わされるように回転伝達部材130、上ミュート用ロッド110、上ミュート部材80、下ミュート用ロッド120および下ミュート部材90を配置することにより実現することができる。また、第1および第3実施形態によるドラム1Aおよび1Cにおいて、各ミュート部材のドラムヘッドへの接触位置を当該ドラムヘッドの円周方向にずらしても良い。また、上ミュート部材および下ミュート部材は、上ミュート部材の回転軸と下ミュート部材の回転軸とが同一直線上に重ならないようにずらして配置されても良い。
【0083】
(5)上記各実施形態によるドラム1A〜1Eでは、1個の上ミュート部材80〜80Cによりバターサイドヘッド20をミュートさせるとともに、1個の下ミュート部材90〜90Cによりレゾナンスヘッド60および60Dをミュートさせていた。しかし、複数の上ミュート部材によりバターサイドヘッドをミュートさせても良いし、複数の下ミュート部材によりレゾナンスヘッドをミュートさせても良い。また、上ミュート部材の個数と下ミュート部材の個数は同一であっても良いし異なっていても良い。また、一方のドラムヘッドを1個のミュート部材によりミュートさせるとともに、他方のドラムヘッドを複数のミュート部材によりミュートさせても良い。
【0084】
(6)上記第1、第3、第4および第5実施形態によるドラム1A、1C、1Dおよび1Eでは、上ミュート部材80および80Cのミュート面および下ミュート部材90および90Cのミュート面は、各々円形であった。しかし、上ミュート部材のミュート面および下ミュート部材のミュート面は、円形に限られない。例えば、それらのミュート面を各々四角形にしても良い。また、それらのミュート面の面積を変更しても良い。また、上ミュート部材のミュート面の形状および寸法と、下ミュート部材のミュート面の形状および寸法とを異なるものにしても良い。バターサイドヘッドとレゾナンスヘッドの両方をミュートする点において上記各実施形態と同様だからである。
【0085】
(7)上記第1〜第4実施形態によるドラム1A〜1Dでは、回転ノブ150および420の回転により上ミュート部材80〜80Cと下ミュート部材90〜90Cとを連動させていた。しかし、ユーザが操作する操作子は、回転ノブに限られない。例えば、レバーであっても良い。この態様では、レバーの傾倒方向を回転ノブの回転方向に対応させるようにすれば良い。また、操作子は、ユーザの手により操作させるものに限られない。例えば、ユーザの足により操作させるフットペダルであっても良い。この態様では、フットペダルの踏込方向を回転ノブの回転方向に対応させるようにすれば良い。これらの態様においても、操作子の1の方向の操作に応じて、各ミュート部材を各ドラムヘッドへ近づけることができ、操作子の1の方向に対して反対方向の操作に応じて、各ミュート部材を各ドラムヘッドから遠ざけることができる。また、上ミュート部材80〜80Cと下ミュート部材90〜90Cとを連動させるのは、手動に限られない。例えば、電動により上ミュート部材と下ミュート部材とを連動させても良い。具体的には、例えば、第1実施形態におけるウォーム140に電動機(ステッピングモータなど)の回転子を連結させて、ユーザによるスイッチボタンのオン/オフなどにより回転子を回動させるようにする、という具合である。また、操作子の操作量(例えば、レバーの傾倒量など)を上ミュート部材の移動量および下ミュート部材の移動量に対応付けるようにすれば良い。
【0086】
(8)上記各実施形態におけるシェル10は、円筒状の部材であった。しかし、シェル10は、筒状の部材であれば良く、円筒状の部材に限られない。例えば、シェルは、それらの軸(中心となる線)に垂直な切断面の形状が方形の筒状の部材であっても良いし、同切断面の形状が多角形の筒状の部材であっても良い。
【0087】
(9)バターサイドヘッドをミュートする上ミュート部材とレゾナンスヘッドをミュートする下ミュート部材とを連動させる構成は、上記各実施形態の構成に限られない。
【0088】
(10)上記各実施形態による技術的特徴は、例えば、スネアドラム、バスドラム、タム、マーチングドラムなど、各種のドラムに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1A,1B,1C,1D,1E…ドラム、10…シェル、20…バターサイドヘッド、22…バターサイドヘッド固定部、30…フープ、32…ツバ部、40…ラグ、42…ねじ受け部、50…チューニングピン、52…ねじ部、54…頭部、56…座金部、60,60D…レゾナンスヘッド、62…レゾナンスヘッド固定部、80、80B,80C…上ミュート部材、90,90B,90C…下ミュート部材、100,100B,100C,100D,100E…動作伝達機構、110,350…上ミュート用ロッド、111,121…ねじ山、120,360…下ミュート用ロッド、130,271,272…回転伝達部材、131…歯車部、140…ウォーム、141…ねじ歯車部、150,420…回転ノブ、160…上リニアガイド、170…下リニアガイド、180,240…回転ガイド、210…上ミュート土台、220…下ミュート土台、260…回転ロッド、281,282…上リンク部材、283,284,293,294,331,332,333,334,335,336,341,342,342D,343,344,345,345D,346…連結部、285…上リンク連結部、291,292…下リンク部材、295…下リンク連結部、310…上伝達部材、320…下伝達部材、330a,330b…上腕部、340a,340b,340aD,340bD…下腕部、370…上支点部、380…下支点部、400…カム、401,403…長辺部分、402,404…短辺部分、410…カム支持部、500…響線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7