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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230756(P2015-230756A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20151124BHJP
   H01M 2/36 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M2/36 101A
   H01M2/36 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-115006(P2014-115006)
(22)【出願日】2014年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴洋
【テーマコード(参考)】
5H023
5H028
【Fターム(参考)】
5H023AS01
5H023CC11
5H023CC22
5H028AA01
5H028BB03
(57)【要約】
【課題】簡単な構造によって熱暴走を確実に阻止するとともに、普段の充放電効率に影響のない二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池1は、コア2と電池容器3とタンク41と注入孔32と弁体51と熱膨張部材52と流路42とを備える。コア2は、セパレータ20をはさんで正極21及び負極22を積層したものである。電池容器3は、コア2を電解液Lとともに収納する。タンク41は、電池容器3の上方に配置され、常温で液状の熱硬化性の合成樹脂Rを貯留する。注入孔32は、電池容器3の外周壁31a〜31fにそれぞれ設けられる。弁体51は、注入孔32を封止する箔状である。熱膨張部材52は、弁体51に対峙し、所定の温度以上で膨張して弁体51を破壊する。流路42は、弁体51が破壊された場合に、タンク41から電池容器3内へ注入孔32を通して合成樹脂Rを供給する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータをはさんで正極及び負極を積層したコアと、
前記コアを電解液とともに収納する電池容器と、
前記電池容器の上方に配置され常温で液状の熱硬化性の合成樹脂を貯留するタンクと、
前記電池容器の外周壁に設けられ、前記合成樹脂を注入する注入孔と、
前記注入孔を封止する箔状の弁体と、
前記弁体に対峙し所定の温度以上で膨張して前記弁体を破壊する熱膨張部材と、
前記弁体が破壊された場合に前記タンクから前記電池容器内へ前記注入孔を通して前記合成樹脂を供給する流路と、
を備えることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記弁体と対峙する端部とは反対側の前記熱膨張部材の端部を支持するストッパをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載された二次電池。
【請求項3】
前記熱膨張部材は、前記弁体に対峙する端部に前記弁体を開封する尖端部材を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された二次電池。
【請求項4】
前記注入孔は、前記正極及び前記負極の外周縁に面した前記電池容器の前記外周壁に複数設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された二次電池。
【請求項5】
前記タンク及び前記流路は、前記電池容器内よりも高い圧力に加圧されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された二次電池。
【請求項6】
前記熱膨張部材は、前記弁体に対して前記流路側に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された二次電池。
【請求項7】
前記熱膨張部材は、前記弁体に対して前記電池容器側に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された二次電池。
【請求項8】
前記熱膨張部材は、前記弁体が開封された前記注入孔を通して前記流路から前記電池容器の内部へ前記前記合成樹脂を流通させる貫通孔を有する
ことを特徴とする請求項7に記載された二次電池。
【請求項9】
前記コアは、前記正極及び前記負極が積層される方向に連続する導入孔を有し、
前記注入孔は、前記導入孔に挿入される導入管を有し、
前記弁体は、前記外周壁よりも外側の位置に配置され、
前記熱膨張部材は、前記導入管内に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載された二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発熱を起こした時に反応停止させる機構を備える二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液を充填された二次電池は、過充電によるジュール熱で加熱された負極が電解液と反応しさらに発熱すると、正極も熱分解されて熱逸走(熱暴走)に至ることが懸念されている。このような異常発熱を起こすと、電解液が熱分解されてガスを発生するため、内圧が高まって電池容器を破損し電解液が漏れ出るかもしれない。
【0003】
特許文献1に記載された電池では、電池の温度が設計温度よりも高い、電池容器の内圧が設計圧力よりも高い、あるいは温度や圧力の上昇速度、持続時間、累積発熱量が閾値を超えた場合に「電池異常」と判断し、電解液を容器の外部へ抜き取る機構を備える。電解液を抜き取った結果、電池異常が解消されると、電池を再利用するために電解液を充填しなおす。また特許文献1に記載された電池は、電池異常が解消されない場合に電池容器内に消火剤を注入して化学反応を停止させる機構をさらに備えている。
【0004】
特許文献2に記載された二次電池によれば、内部で短絡するなどによって異常発熱を起こし熱暴走しないように、吸熱物質収容構造体を容器の中に備えている。この吸熱物質収容構造体は、所定の温度よりも高くなった場合に破壊されて中の吸熱物質を放出することで二次電池の容器内部の異常発熱を抑制する。吸熱物質は、吸熱反応を起こす粉末状又はゲル状の物質や、混合されることによって吸熱反応を生じる複数の物質からなる。後者のように複数の物質を混合させて用いる場合、吸熱物質収容構造体の中ではそれぞれ分けて収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−123736号公報
【特許文献2】特開2010−287492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の場合、電池異常を解消するために電解液を抜き取ると、その電解液を回収するための場所が必要であるとともに、抜き取られた電解液が高温になっていると、発火するなどの恐れも生じる。また、電池異常が解消された場合に再度電解液を充填し直す機構や、電池異常が解消されなかった場合に消火剤を投入する機構など、周囲に付随装置を配置しなければならない。
【0007】
また、特許文献2の場合、二次電池の容器内部に吸熱物質収容構造体を備えているため、熱暴走によって温度が上がった場合に吸熱物質収容構造体が破壊されて直ちに吸熱反応が開始される点においては、特別な装置を設けることなく作動するのでよい。しかしながら、二次電池は、通常に使用している限りでは熱暴走を起こすものではないので、吸熱物質収容構造体を容器内に保有しておく必要はない。また、吸熱物質収容構造体を電極の間に内蔵していることによって電解液の移動を妨げ、二次電池の充放電効率を低下させる要因となる。さらに、吸熱物質収容構造体が受けた熱履歴によって劣化の度合いが異なってくるため、二次電池の耐用年数にも個体差が生じてしまう。また、異常発熱は二次電池の中のどこで発生するかは分からないため、混合型の吸熱物質を収納する場合、混合される物質が格納されている部分がそれぞれ同時に破壊されればよいが、吸熱物質収容構造体が熱でどこから破壊されるかわからないため、異常発熱に対してすぐに吸熱物質を生成できるとは限らない。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構造によって熱暴走を確実に阻止するとともに、普段の充放電効率に影響のない二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一実施形態の二次電池は、コアと電池容器とタンクと注入孔と弁体と熱膨張部材と流路とを備える。コアは、セパレータをはさんで正極及び負極を積層したものである。電池容器は、コアを電解液とともに収納する。タンクは、電池容器の上方に配置され、常温で液状の熱硬化性の合成樹脂を貯留する。注入孔は、電池容器の外周壁に設けられ、合成樹脂を注入する。弁体は、注入孔を封止する箔状のものである。熱膨張部材は、弁体に対峙しており、所定の温度以上で膨張して弁体を破壊する。流路は、弁体が破壊された場合に、タンクから電池容器内へ注入孔を通して合成樹脂を供給する。
【0010】
このとき、二次電池は、さらに弁体と対峙する端部とは反対側の熱膨張部材の端部を支持するストッパを備えてもよい。また、熱膨張部材は、弁体に対峙する端部に弁体を開封する尖端部材を有するとよい。
【0011】
また、注入孔は、正極及び負極の外周縁に面した電池容器の外周壁に複数設けられる。また、タンク及び流路は、電池容器内よりも高い圧力に加圧される。また、熱膨張部材は、弁体に対して流路側または電池容器側に配置される。さらに、熱膨張部材が電池容器側に配置される場合、弁体が開封された注入孔を通して流路から電池容器の内部へ合成樹脂を流通させる貫通孔を熱膨張部材が有する。
【0012】
また、正極及び負極が積層される方向に連続する導入孔をコアが有し、注入孔は、導入孔に挿入される導入管を有し、弁体は外周壁よりも電池容器の外側の位置に配置され、熱膨張部材が導入管内に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る二次電池によれば、電池容器の外周壁に設けられた注入孔を封止する弁体と、これに対峙した熱膨張部材を有しており、電池容器の上方に配置されたタンクに熱硬化性の合成樹脂が貯留されている。二次電池の内部で正極と負極とが短絡して異常発熱した場合、その熱によって熱膨張部材が所定の温度以上に熱せられて膨張すると、弁体を破壊し、合成樹脂が流路を通って注入孔から電池容器の中に流れ込む。合成樹脂は、熱硬化性であるので、電池容器内に流入すると内部の熱で硬化する。電池容器内に流入した合成樹脂が硬化することによって、コアを構成している正極及び負極の周りの電解液も固まり、反応を停止または抑制する。異常発熱していた部分の反応が停止または抑制されることによって、その後の発熱が止まるので、熱暴走に至ることはない。
【0014】
また、弁体と対峙する端部とは反対側の熱膨張部材の端部を支持するストッパを備える発明の二次電池によれば、熱膨張部材が熱によって伸びた場合に確実に弁体に向かって伸びる。また、弁体に対峙する熱膨張部材の端部に弁体を開封する尖端部材を有する発明の二次電池によれば、熱膨張部材が熱によって延びた時に弁体を確実に破壊することができる。
【0015】
正極及び負極の外周縁に面した電池容器の外周部に注入孔が複数設けられる発明の二次電池によれば、異常発熱が生じた位置に近い注入孔に設置された弁体を破壊して合成樹脂を注入することができるので、迅速に異常発熱を抑制することができる。
【0016】
電池容器内よりも高い圧力にタンク及び流路内が加圧される発明の二次電池によれば、異常発熱が生じて電池容器内にガスが発生していても液状の合成樹脂を確実に送り込むことができる。
【0017】
弁体に対して流路側に熱膨張部材が配置される発明の二次電池によれば、電池容器の内部に向かって熱膨張材が伸びて弁体を破壊するとともにそのまま合成樹脂を流し込むことができる。また、弁体に対して電池容器側に熱膨張部材が配置される発明の二次電池によれば、異常発熱による電池内部の温度が熱膨張部材に伝わりやすく、早い段階で異常発熱に対応して合成樹脂を注入することができる。このとき、弁体が開封された注入孔を通して流路から電池容器の内側へ合成樹脂を流通させる貫通孔を熱膨張部材が有している発明の二次電池によれば、熱膨張部材を電池容器の中に排出しなくても合成樹脂を注入することができる。
【0018】
正極及び負極が積層される方向に連続する導入孔をコアに有し、導入孔に挿入される導入管を注入孔が有し、弁体は外周壁よりも電池容器の外側の位置に配置され、熱膨張部材が導入管の中に配置されている発明の二次電池によれば、積層されたコアの中心部において発熱異常が生じた場合にも、迅速にその部分に合成樹脂を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る第1の実施形態の二次電池を示す斜視図。
図2図1の二次電池の弁装置を拡大した断面斜視図。
図3図2の弁装置の分解断面図。
図4図2の弁装置が作動する状態を示し、(A)は通常状態の弁装置の断面図、(B)は弁体を開封した直後の弁装置の断面図、(C)は合成樹脂を注入中の弁装置の断面図。
図5】本発明に係る第2の実施形態の二次電池が備える弁装置の断面斜視図。
図6図5の弁装置の分解断面図。
図7図5の弁装置が作動する状態を示し、(A)は通常状態の弁装置の断面図、(B)は弁体を開封した直後の弁装置の断面図、(C)は合成樹脂を注入中の弁装置の断面図。
図8】本発明に係る第3の実施系他の二次電池の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る第1の実施形態の二次電池1について、図1から図4を参照して説明する。図1に示す二次電池1は、電解液として非水系溶液を使用する、例えばリチウムイオン二次電池である。二次電池1は、内部で短絡などにより異常発熱を起こした際に発熱反応を停止させるために、その熱を利用して反応停止剤を注入する構造を有している。本実施形態の二次電池1では、反応停止材として、常温で液状の熱硬化性の合成樹脂Rが利用される。熱硬化性の合成樹脂Rとして、例えば1液型熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を採用する。二次電池1が異常発熱を起こした時にこの合成樹脂Rを注入し、発熱した部位を固める。これによって、二次電池1内の電解液Lを介するリチウムイオンの移動を抑制もしくは阻止することで、電池反応を抑制又は収束させ、熱暴走に至ることを防止する。
【0021】
図1及び図2に示すように、二次電池1は、コア2と電池容器3とタンク41と注入孔32と弁体51と熱膨張部材52と流路42とを備える。コア2は、セパレータ20をはさんで正極21及び負極22を積層した構造を有する。電池容器3は、コア2を電解液Lとともに収納している。
【0022】
タンク41と流路42と弁装置5(弁体51、熱膨張部材52)とは、二次電池1の内部で異常発熱を生じた際に合成樹脂Rを電池容器3の内部に注入する供給装置4を構成する。図2及び図3に示すように、弁体51及び熱膨張部材52は、異常発熱の熱を利用して開封される弁装置5の一部を構成する。弁装置5は、図1に示すように各注入孔32に設置される。タンク41は、電池容器3の上方に配置され常温で液状の熱硬化性の合成樹脂Rを貯留している。注入孔32は、電池容器3の外周壁31a〜31fのそれぞれに複数ずつ設けられている。本実施形態の場合、注入孔32は、正極21及び負極22の外周縁に面した外周壁31a〜31d及び正極21及び負極22に沿う外周壁31e,31fのそれぞれに複数ずつ配置されている。流路42は、タンク41から注入孔32のそれぞれに設けられた弁装置5まで合成樹脂Rを供給する。
【0023】
図2及び図3に示すように、弁装置5は、弁体51と熱膨張部材52とのほかに、ケース53とスリーブ54と尖端部材55とガスケット56とを有する。ケース53は、電池容器3の外周壁31a〜31fにフレア加工された注入孔32に差し込まれ、シール溶接によって接合される。ケース53の外周部及び注入孔32の内周部にネジ加工を施し、シール材を挟んでねじ止めされてもよい。電池容器3の中に差し込まれたケース53の先端部には、穴が開いており、これを封止するように弁体51が装着される。
【0024】
弁体51は、注入孔32を封止するように配置された薄い箔状の金属板であり、注入孔32に差し込まれたケース53の先端部に形成された縮径部53Cに対して電池容器3の外側からケース53に差し込まれるスリーブ54によって押えられている。弁体51は、ケース53又はスリーブ54にロウ付けやレーザ溶接によって接合されるか、ケース53とスリーブ54との間に弁体51を挟んでこれらを一体的にロウ付けまたはレーザ溶接してもよい。また、熱膨張部材52への熱影響を考慮して、スリーブ54又はケース53を加締める、または、ネジで締め付けて固定してもよい。
【0025】
熱膨張部材52は、図2に示すように弁体51に対峙して配置され、スリーブ54の内面に接着剤52Aで固定される。本実施形態の場合、熱膨張部材52は、弁体51に対して流路42側に配置される。熱膨張部材52は、所定の温度以上になると急激に膨張して弁体51に向かって伸びる。接着剤52Aは、二次電池1が通常に使用されているときの温度において、熱膨張部材52を保持できる耐熱性を有していればよく、熱膨張部材52が膨張し始める所定の温度までの耐熱性を有している必要はない。
【0026】
熱膨張部材52は、弁体51に対峙する端部に尖端部材55を有している。本実施形態において、尖端部材55は、複数の針で構成されている。熱膨張部材52が所定の温度以上で膨張すると、この尖端部材55によって、弁体51を突き破り開封することで、弁体51によって封止されていた注入孔32を通して流路42を電池容器3の内部に連通する。熱膨張部材52が膨張する際の力で弁体51を破壊できれば、尖端部材55を設けなくてもよい。また、尖端部材55は、図2及び図3に示したように複数の針で構成される代わりに、例えば、流路の中心で十字に交わる山形の刃や、スリーブ54の内周面に沿って弁体51を切開する環状の刃であってもよい。
【0027】
弁装置5に接続される流路42は、図3に示すようにナット43が装着され、端部にフランジ42Aが形成されている。流路42は、ガスケット56を挟んで弁装置5のケース53に結合される。ガスケット56は、フランジ42Aとケース53の端面との間に挟まれる鍔部56Aと、スリーブ54の内径よりも内側に突出した肉厚部56Bとを有している。図2に示すように弁装置5のケース53の外周に形成されるネジにナット43が螺合されることで、ガスケット56は、流路42とケース53とを連通させた状態でシールする。また、ガスケット56は、弁体51の反対側の熱膨張部材52の端部を支持するストッパ57として機能する。ガスケット56は、ストッパ57となる肉厚部56Bによって熱膨張部材52が弁体51に向かって優先的に伸びるように熱膨張部材52を支持する。
【0028】
図2に示すように、流路42が弁装置5に接続された状態で、熱膨張部材52のところまで、液状の合成樹脂Rで満たされている。したがって、弁体51が開封される前に弁装置5の中で合成樹脂Rが熱で硬化しないように、流路42に面した熱膨張部材52の端部は、電池容器3の外周壁31a〜31fよりも外側の位置にあることが望ましい。このとき、タンク41及び流路42の内圧は、電池容器3の内圧よりも高い圧力に設定される。タンク41及び流路42の内圧を加圧された状態に維持するために、小型のボンベやアキュムレータ、あるいはバネで付勢されるピストン等がタンク41や流路42に連通する位置に配置される。
【0029】
次に、以上のように構成された二次電池1において、異常発熱を起こした場合における弁装置5の動作について、図4を参照して説明する。異常発熱は、電池容器3の中で正極21及び負極22が短絡するなどによって発生するが、どの部位でいつ発生するかわからない。そこで、図4は、異常発熱が生じた部位の近傍にある弁装置5の動作を示す。図4(A)は、異常発熱が生じていない通常の状態の弁装置5の断面図を示す。図4(B)は、異常発熱によって熱膨張部材52が膨張し始める所定の温度を超えて、弁体51を開封した直後の状態の弁装置5の断面図を示す。図4(C)は、熱膨張部材が膨張して弁体51を完全に突き破って、電池容器3の中に押し出され、合成樹脂Rが電池容器3の中に注入される状態の弁装置5の断面図を示す。
【0030】
図4(A)では、スリーブ54内に接着剤52Aで固定された熱膨張部材52によって合成樹脂Rを堰き止めているとともに、電池容器3の中から電解液が流出することを弁体51によって封止している。異常発熱が生じて所定の温度以上に熱膨張部材52が加熱されると、図4(B)に示すように熱膨張部材52が弁体51に向かって伸びて、尖端部材55で弁体51を突き破る。熱膨張部材52が膨張したこと及び熱が加わったことによって接着剤52Aが剥れ、合成樹脂Rにかかっている圧力によって、スリーブ54からで電池容器3内へ排出される。
【0031】
これにより、合成樹脂Rは、異常発熱を起こした部分に近い注入孔32から注入され、内部の熱によって硬化する。合成樹脂Rが硬化することによって、電解液Lの移動が抑制又は阻止され、異常発熱を起こしていた反応が減衰又は停止される。
【0032】
本実施形態の二次電池1は、発熱反応によって弁装置5が開封され、注入された合成樹脂Rが硬化するので、発熱反応を直接的に減衰又は停止させることができる。この二次電池1は、簡単な構造で、異常発熱を早期に抑制し、熱暴走に至ることを確実に阻止することができる。また、合成樹脂Rを供給するための機構は、電池容器3の外に設けられるので、二次電池1の普段の性能に影響を及ぼすことはない。
【0033】
本発明に係る第2の実施形態の二次電池1について、図5から図7を参照して説明する。第2の実施形態の二次電池1において、第1の実施形態の二次電池1と同じ機能を有する構成は、以下の説明及び図面中において同じ符号を付し、その説明については第1の実施形態の対応する記載及び図面を参酌する。
【0034】
第2の実施形態の二次電池1は、図5及び図6を示すように弁装置5の構造が第1の実施形態の二次電池1の弁装置5の構造と異なっている。本実施形態の弁装置5において、熱膨張部材52は、弁体51に対して電池容器3側に配置されている。したがって、合成樹脂Rは、弁体51によって堰き止められている状態である。また、第2の実施形態において、弁装置5が作動した場合、熱膨張部材52は、電池容器3の内部へ排出されない。したがって、熱膨張部材52は、弁体51が開封された後、注入孔32を通して流路42から電池容器3の内部へ合成樹脂Rを流通させる貫通孔52Bを中心に有している。
【0035】
また、ケース53は、電池容器3に差し込まれた先端部に形成された縮径部53Cを有している。この縮径部53Cは、熱膨張部材52の貫通孔52Bよりもやや大きく形成される。熱膨張部材52は、縮径部53Cに係合されることによって、ケース53の中に保持される。縮径部53Cは、熱膨張部材52を保持することによって、熱膨張部材52が膨張して延びる際に、弁体51に向かうようにしている。この縮径部53Cは、弁体51の反対側の熱膨張部材52の端部を支持するストッパ57として機能する。熱膨張部材52は、ストッパ57となる縮径部53Cに支持されているので、弁体51が開封されて合成樹脂Rが電池容器3の中に流れ込んでも、その場に保持される。したがって、熱膨張部材52をケース53に固定する接着剤52Aは、あってもなくてもよい。弁装置5が電池容器3のどの外周壁31A〜31fの注入孔32に設けられてもよいように、接着剤52Aを塗布することが好ましい。
【0036】
さらに、この弁装置5は、図5及び図6に示すように、熱膨張部材52の貫通孔52Bに装着される内筒52Cを有している。内筒52Cは、熱膨張部材52が膨張することで貫通孔52Bを閉塞させないために装着される。また、内筒52Cは、弁体51に面した端部に、熱膨張部材52の端面に沿って形成されたサポートリング52Dを有している。尖端部材55は、このサポートリング52Dに取り付けられている。サポートリング52Dが内筒52Cと一体に設けられていることにより、熱膨張部材52が膨張する際に偏りが生じても、熱膨張部材52の端面が傾くことなく、尖端部材55に均等に力が加わる。したがって、弁装置5の動作が安定し、確実に弁体51を開封して合成樹脂Rを電池容器3の内部へ注入することができる。
【0037】
また、図5及び図6に示すように、第2の実施形態における弁装置5の熱膨張部材52は、電池容器3の内部に連通した部分に配置される。電解液Lを介して熱が伝わるので、異常発熱による熱が伝わりやすく、早い段階で弁装置5を作動させることで、より安全に異常発熱の原因となっている反応を減衰及び停止させることができる。また、第2の実施形態では、熱膨張部材52をケース53の中に保持するので、合成樹脂Rを注入する際に合成樹脂Rが電池容器3の中に拡散されやすい。
【0038】
本発明に係る第3の実施形態の二次電池1について、図8を参照して説明する。第3の実施形態の二次電池1において、第1の実施形態の二次電池1と同じ機能を有する構成は、以下の説明及び図中において同じ符号を付し、その説明については第1の実施形態の対応する記載及び図面を参酌する。
【0039】
本実施形態の二次電池1は、図8に示すように、正極21及び負極22の積層される方向に連続する導入孔2Aをコア2に有している。この導入孔2Aは、正極21及び負極22を積層した厚み方向にほぼコア2の中央部分まで開けられている。注入孔32は、導入孔2Aに挿入される導入管531を有している。本実施形態の場合、導入管531は、弁装置5のケース53の差込側の先端を延長して形成されている。
【0040】
弁体51は、電池容器3の外周壁31a〜31fがある位置よりも外側に配置される。本実施形態では、導入孔2Aに差し込まれる導入管531とケース53とを別体に設ける。弁体51をケース53に固定する部分の形状及び構造は、第2の実施形態の弁装置5とほぼ同じである。熱膨張部材52は、電池容器3の内側に延びた導入管531の中に配置される。本実施形態において導入管531は、弁体51の反対側の熱膨張部材52の端部を保持する係止部533を有している。係止部533は、導入管531の内壁に、別部品として取り付けられてもよいし、突出したリング状に一体に形成されていてもよい。
【0041】
熱膨張部材52は、第2の実施形態の場合と同様に、中心部に貫通孔52Bを有している。膨張した時に貫通孔52Bを閉塞しないように、熱膨張部材52は、貫通孔52Bの内面に沿う内筒52Cを装着する。尖端部材55は、中心部で十字に交差された山形の刃で形成されており、弁体51を切り裂くように開封する。流路42側の圧力が高いので、弁体51は、電池容器3側に向かって花弁のように折り曲げられ、導入孔2Aへ排出されることはない。
【0042】
以上のように構成された二次電池1は、コア2の内部で発生する異常発熱によっていち早く熱膨張部材52が膨張され、弁体51を切り裂くように開封する。合成樹脂Rは、十字に組まれた尖端部材55の間から貫通孔52Bを通って、導入管531の端部からコア2の内部に供給される。合成樹脂Rが正極21及び負極22の間に浸透しやすく、早い段階で、異常発熱の原因となる反応を減衰及び停止させることができる。
【0043】
以上のように本発明のいくつかの実施形態を説明した。ただし、上述の実施形態は、一例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。すなわち発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部の構成要素の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらによって生じる実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0044】
例えば、第1及び第2の実施形態において、弁体を開封するための複数の針は、第3の実施形態における切開片であってもよい。また、これら針や切開片を設ける代わりに、熱膨張部材が体積膨張することによって、第1から第3の実施形態の弁体や第3の実施形態の導入管を破壊し合成樹脂を注入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…二次電池、2…コア、2A…導入孔、20…セパレータ、21…正極、22…負極、3…電池容器、31a〜31f…外周壁、32…注入孔、41…タンク、42…流路、51…弁体、52…熱膨張部材、52B…貫通孔、531…導入管、55…尖端部材、57…ストッパ、R…合成樹脂、L…電解液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8