特開2015-230797(P2015-230797A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-230797(P2015-230797A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】車載電池の温調装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/635 20140101AFI20151124BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20151124BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20151124BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20151124BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20151124BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20151124BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20151124BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20151124BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20151124BHJP
【FI】
   H01M10/635
   B60K11/02
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/633
   H01M10/658
   H01M10/6568
   H01M10/647
   H01M10/615
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-115896(P2014-115896)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】福島 一
【テーマコード(参考)】
3D038
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
5H031AA09
5H031CC09
5H031HH06
5H031KK03
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】熱交換状態及び保温状態の切換えを適切に行って、電池ユニットを適温にする。
【解決手段】車両に搭載された電池パック2内に冷却水を循環させて電池を冷却する車載電池の温調装置であって、各バルブ21〜24及びウォータポンプ20の作動により、電池4の周囲に冷却水を循環させて冷却水を介して外気と電池4とを熱交換させる熱交換状態と、電池4の周囲から冷却水を抜いて冷却水を介する外気と電池4との熱交換を抑制する保温状態とに切換え可能であって、電池4の温度と外気温度とに基づいて当該バルブ21〜24及びウォータポンプ20を作動制御して、熱交換状態と保温状態との切換えを行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電池の周囲に熱媒体を通過させる熱媒体路と、熱媒体路を通過した熱媒体と外気とを熱交換する熱交換機を備えた車載電池の温調装置であって、
前記熱媒体路と前記熱交換機との間で前記熱媒体を循環させて前記熱媒体を介して外気と前記電池とを熱交換させる熱交換状態と、前記熱媒体路から前記熱媒体を排出して前記熱媒体を介する外気と前記電池との熱交換を抑制する保温状態とに切換える切換装置と、
前記電池の温度と外気温度とに基づいて前記切換装置を作動制御して、前記熱交換状態と前記保温状態との切換えを設定する制御装置と、
を備えたことを特徴とする車載電池の温調装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電池の温度が前記外気温度に基づいて設定された閾値以上である場合に前記切換装置を前記熱交換状態に設定し、前記電池の温度が前記閾値未満である場合に前記切換装置を前記保温状態に設定し、
前記閾値は、前記外気温度が低下するに伴って高く設定されることを特徴とする請求項1に記載の車載電池の温調装置。
【請求項3】
前記電池は前記車両の始動時における電力供給源であり、
前記閾値は、前記車両の始動時に停車時よりも低く設定されることを特徴とする請求項2に記載の車載電池の温調装置。
【請求項4】
前記車両の走行中では、前記外気温度に拘わらず前記閾値が一定値に設定されることを特徴とする請求項2または3に記載の車載電池の温調装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記電池の特性に応じて設定された適正温度範囲より外気温度が高い場合に前記保温状態に設定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車載電池の温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された電池に熱媒体を循環させて温調する温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等のように高容量高出力の電池を搭載した車両において、当該電池を温調する電池温調装置を備えたものがある。電池温調装置としては、例えば空冷式や冷却水等の熱媒体を用いて電池を冷却する液冷式(水冷式)等の冷却装置が開発されている。
更に、特許文献1には、内部に電池を搭載した電池パック(電池スタック)に熱媒体を循環させて電池を冷却可能にする熱交換状態と、電池パックから熱媒体を排出した保温状態とに切換え可能な構成とした冷却装置が提案されている。この冷却装置では、例えば寒冷時に車両を放置して電池温度が低下している場合での始動時に、電池パックから熱媒体を排出して電池の熱容量を低下させ、電池の自己発熱により電池温度をすぐに上昇させて電池性能を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4131110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、熱媒体を排出する時期を始動時に限定しており、また、熱媒体を循環させて電池を冷却している際に、周囲環境によってその冷却性能が変化するので、各種状況下において、電池の温度を適温に維持したり、適温により迅速に近づけるようにしたりして、電池性能を更に向上させることが望まれている。
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、各種状況下において熱交換状態及び保温状態の切換えを適切に行って、電池を適温にする車両搭載電池の温調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するべく、請求項1の車載電池の温調装置は、車両に搭載された電池の周囲に熱媒体を通過させる熱媒体路と、熱媒体路を通過した熱媒体と外気とを熱交換する熱交換機を備えた車載電池の温調装置であって、前記熱媒体路と前記熱交換機との間で前記熱媒体を循環させて前記熱媒体を介して外気と前記電池とを熱交換させる熱交換状態と、前記熱媒体路から前記熱媒体を排出して前記熱媒体を介する外気と前記電池との熱交換を抑制する保温状態とに切換える切換装置と、前記電池の温度と外気温度とに基づいて前記切換装置を作動制御して、前記熱交換状態と前記保温状態との切換えを設定する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の車載電池の温調装置は、請求項1において、前記制御装置は、前記電池の温度が前記外気温度に基づいて設定された閾値以上である場合に前記切換装置を前記熱交換状態に設定し、前記電池の温度が前記閾値未満である場合に前記切換装置を前記保温状態に設定し、前記閾値は、前記外気温度が低下するに伴って高く設定されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の車載電池の温調装置は、請求項2において、前記電池は前記車両の始動時における電力供給源であり、前記閾値は、前記車両の始動時に停車時よりも低く設定されることを特徴とする。
また、請求項4の車載電池の温調装置は、請求項2または3において、前記車両の走行中では、前記外気温度に拘わらず前記閾値が一定値に設定されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項5の車載電池の温調装置は、請求項1から4のいずれか1項において、前記制御装置は、前記電池の特性に応じて設定された適正温度範囲より外気温度が高い場合に前記保温状態に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の車載電池の温調装置によれば、電池の温度と外気温度とに基づいて、温調装置を熱交換状態と保温状態とに切換えるので、熱交換状態にした際に外気温度に伴って異なる電池の温調効果を利用して、熱交換状態と保温状態との切換えを適切なタイミングで行うことができる。これにより、各種状況下において電池温度を適温にすることが可能となり、電池性能を向上させることができる。
【0010】
請求項2の車載電池の温調装置によれば、電池温度が外気温度に基づいて設定された閾値以上である場合には熱交換状態に設定され、電池温度が閾値未満である場合には保温状態に設定されるとともに、外気温度が低下するに伴って閾値が高く設定されるので、外気温度が低下するに伴って電池温度が高い温度で熱交換状態と保温状態との切換えが行われて、外気温度が上昇するに伴って電池温度が低い温度で熱交換状態と保温状態との切換えが行われる。したがって、外気温度が低い場合には過度な冷却を抑制して電池温度を適温に維持することが可能となり、外気温度が高い場合には電池温度が低ければ電池温度を上昇させることができ、電池温度を適温に迅速に近づけることができる。
【0011】
請求項3の車載電池の温調装置によれば、始動時には停車時よりも閾値が低く設定されるので、始動時の方が停車時よりも低い電池温度で熱交換状態と保温状態との切換えが行われる。したがって、始動時における電力の使用による自己発熱によって電池温度が上昇することを考慮して熱交換状態と保温状態との切換えが行われ、始動時及び停車時の夫々において適切な切換えが可能となる。
【0012】
請求項4の車載電池の温調装置によれば、走行中では、外気温度と電池温度とが略一定の関係になるので、電池温度のみで熱交換状態と保温状態との切換判定を正確にかつ容易に行うことができる。
請求項5の車載電池の温調装置によれば、電池の適正温度範囲より外気温度が高い場合には、保温状態にすることで、外気と電池との熱交換を抑制して、電池の適正温度範囲を越える温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車載電池の温調装置の構成図である。
図2】本実施形態の車載電池の温調装置において、熱交換状態での冷却水の位置を示す説明図である。
図3】本実施形態の車載電池の温調装置において、保温状態での冷却水の位置を示す説明図である。
図4】熱交換状態から保温状態への切換える際の各バルブ及びウォータポンプの作動要領を示すフローチャートである。
図5】保温状態から熱交換状態への切換える際の各バルブ及びウォータポンプの作動要領を示すフローチャートである。
図6】熱交換状態・保温状態の切換判定用マップの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車載電池の温調装置の構成図である。
本実施形態の車載電池の温調装置1は、例えば電気自動車やプラグインハイブリッド車のように、走行駆動用モータへ電力を出力する車載電池を搭載した車両に適用される。
本実施形態では、車載電池として電池パック2が車両に搭載されている。
【0015】
図1に示すように、電池パック2は、ケース3内に複数の電池4を搭載して構成されている。電池パック2の内部には、各電池4の周囲に冷却水(熱媒体)の通路である内部冷却水路5(熱媒体路)が形成されている。内部冷却水路5は、電池パック2の上部に設けられた流入口6から冷却水を導入され、電池パック2の下部、詳しくは内部冷却水路5の最下方の位置に設けられた排出口7から冷却水を排出可能になっており、内部冷却水路5を流通する冷却水と電池4との間で熱交換可能となっている。
【0016】
電池パック2内には、電池4の下部に冷却水を貯留可能な空間である下部冷却水タンク8が備えられている。下部冷却水タンク8は、その最下方の位置に設けられた下部タンク流出入口9から冷却水を流入及び排出が可能となっている。下部冷却水タンク8の上部は、内部冷却水路5の上部と上部連通路10を介して連通している。
流入口6と排出口7とは電池パック2の外部に設けられた外部冷却水路15によって連通されており、当該外部冷却水路15には熱交換機16が介装されている。熱交換機16は外部冷却水路15を通過する冷却水と外気との間で熱交換する機能を有している。
【0017】
排出口7と熱交換機16との間の外部冷却水路15と、下部タンク流出入口9とは、下部連通路17を介して連通している。
外部冷却水路15には、下部連通路17との接続部18と熱交換機16との間に、ウォータポンプ20(WP)が設けられている。ウォータポンプ20は、排出口7側から流入口6側へ向かって外部冷却水路15内の冷却水を吐出する機能を有している。
【0018】
外部冷却水路15の熱交換機16と流入口6との間には、外部冷却水路15を開閉する第1開閉バルブ21(V1)が設けられている。また、外部冷却水路15の排出口7と接続部18との間には、外部冷却水路15を開閉する第2開閉バルブ22(V2)が設けられている。
下部連通路17には、下部連通路17を開閉する第3開閉バルブ23(V3)が設けられている。
【0019】
上部連通路10と下部冷却水タンク8との接続部には、上部連通路10を開閉する第4開閉バルブ24(V4)が設けられている。
なお、ウォータポンプ20、第1開閉バルブ21、第2開閉バルブ22、第3開閉バルブ23及び第4開閉バルブ24が本発明の切換装置に該当する。
電池パック2には、電池4の温度を検出する電池温度センサ30が設けられている。
また、車両には、外気温度を検出する外気温度センサ31が設けられている。
【0020】
ウォータポンプ20、第1開閉バルブ21、第2開閉バルブ22、第3開閉バルブ23、第4開閉バルブ24は、コントロールユニット40(制御装置)により作動制御される。
コントロールユニット40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成され、図示しない車両コントロールユニットから車両状態(走行中、停車時、始動時)を入力するとともに、電池温度センサ30及び外気温度センサ31から電池温度及び外気温度を入力して、ウォータポンプ20、第1開閉バルブ21、第2開閉バルブ22、第3開閉バルブ23、第4開閉バルブ24の作動制御を行う。
【0021】
本実施形態では、ウォータポンプ20及び各バルブ21〜24を作動制御して、温調装置1内の冷却水を移動させ、内部冷却水路5及び外部冷却水路15に冷却水を満たして循環させる熱交換状態と、内部冷却水路5から冷却水を下部冷却水タンク8に排出する保温状態とに切換え可能になっている。
図2は、熱交換状態での冷却水の位置を示す説明図である。図3は、保温状態での冷却水の位置を示す説明図である。なお、図2及び3において、水平方向のハッチング部が冷却水の位置を示している。
【0022】
熱交換状態では、第1開閉バルブ21及び第2開閉バルブ22は開弁しており、第3開閉バルブ23及び第4開閉バルブ24は閉弁している。
そして、図2に示すように、内部冷却水路5及び外部冷却水路15に冷却水が充填されており、この状態でウォータポンプ20を作動させることで、図2中の矢印で示すように、内部冷却水路5及び外部冷却水路15を冷却水が循環する。このとき、電池4が高温状態である場合には、内部冷却水路5を通過する冷却水によって電池4と熱交換して電池4が冷却され、高温となった冷却水は熱交換機16によって冷却され、内部冷却水路5に戻る。
【0023】
保温状態では、第3開閉バルブ23は開弁しており、第1開閉バルブ21、第2開閉バルブ22及び第4開閉バルブ24は閉弁している。
図3に示すように、保温状態は、内部冷却水路5から冷却水を排出して、下部冷却水タンク8に流入させた状態である。
図4は、熱交換状態から保温状態へ切換える際の各バルブ21〜24及びウォータポンプ20の作動要領を示すフローチャートである。
【0024】
本制御は、後述する切換判定制御により、図2に示すような熱交換状態から図3に示すような保温状態へ切換えるように判定された際に実行される。
始めに、ステップS10では、ウォータポンプ20の作動を停止する。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、第3開閉バルブ23及び第4開閉バルブ24を開弁させる。なお、第1開閉バルブ21及び第2開閉バルブ22は熱交換状態で開弁しているので、開弁状態のままとする。これにより、内部冷却水路5内の冷却水は、下部連通路17を介して、下部冷却水タンク8に流入する。そして、ステップS30に進む。
【0025】
ステップS30では、下部冷却水タンク8へ冷却水が移動完了するまで待機する。具体的には、ステップS20において、第3開閉バルブ23及び第4開閉バルブ24を開弁してから所定時間経過するまで待機する。当該所定時間は、内部冷却水路5から下部冷却水タンク8へ冷却水が移動完了するまでに要する時間以上に設定すればよい。なお、この際、上部連通路10は空気抜き通路として機能する。そして、ステップS40に進む。
【0026】
ステップS40では、第1開閉バルブ21、第2開閉バルブ22及び第4開閉バルブ24を閉弁させる。そして、本ルーチンを終了する。
図5は、図3に示すような保温状態から図2に示すような熱交換状態へ切換える際の各バルブ21〜24及びウォータポンプ20の作動要領を示すフローチャートである。
本制御は、後述する切換判定制御により、保温状態から熱交換状態へ切換えるように判定された際に実行される。
【0027】
始めに、ステップS100では、第2開閉バルブ22を閉弁させる。なお、保温状態では第2開閉バルブ22を閉弁しているが、確実に閉弁状態にするために本ステップで閉弁作動させる。そして、ステップS110に進む。
ステップS110では、第1開閉バルブ21、第3開閉バルブ23及び第4開閉バルブ24を開弁させる。そして、ステップS120に進む。
【0028】
ステップS120では、ウォータポンプ20を作動させる。これにより、下部連通路17を介して、下部冷却水タンク8内の冷却水が流入口6から内部冷却水路5内に流入する。そして、ステップS130に進む。
ステップS130では、内部冷却水路5へ冷却水が移動完了するまで待機する。具体的には、ステップS120において、ウォータポンプ20を作動開始してから所定時間経過するまで待機する。当該所定時間は、下部冷却水タンク8から内部冷却水路5へ冷却水が全量移動完了するまでに要する時間以上に設定すればよい。そして、ステップS140に進む。
【0029】
ステップS140では、ウォータポンプ20を停止させる。そして、ステップS150に進む。
ステップS150では、第3開閉バルブ23及び第4開閉バルブ24を閉弁させる。そして、ステップS160に進む。
ステップS160では、第2開閉バルブ22を開弁させる。そして、ステップS170に進む。
【0030】
ステップS170では、ウォータポンプ20を作動開始させる。これにより、熱交換状態に移行完了する。そして、本ルーチンを終了する。
次に、図6を用いてコントロールユニット40における熱交換状態及び保温状態の切換判定制御について説明する。
図6は、熱交換状態・保温状態との切換判定用マップの一例である。
【0031】
コントロールユニット40は、車両状態、電池温度センサ30から入力した電池温度及び外気温度センサ31から入力した外気温度に基づいて、熱交換状態及び保温状態を切換判定する。なお、図1に示す本実施形態では、電池温度センサ30が1つであるが、各電池4に夫々電池温度センサ30を設け、検出した各電池温度のうち最高値を電池温度としてもよいし、平均温度を電池温度としてもよい。
【0032】
熱交換状態及び保温状態の切換判定は、図6に示すようなマップを用いて行われる。
図6に示すように、各車両状態、詳しくは停車時、走行中、始動時において設定される閾値(図6中において、線A:停車時、線B:始動時、線C:走行中)よりも、電池温度あるいは外気温度が高い場合(図6中の各線A〜Cより右側あるいは上側の領域)では熱交換状態と判定され、電池温度あるいは外気温度が低い場合(図6中の各線A〜Cより左側あるいは下側の領域)には保温状態と判別する。即ち、各車両状態で電池温度が外気温度に基づいて設定された閾値(図6中の各線A〜C)以上であると熱交換状態であると判定され、電池温度が閾値未満であると熱交換状態であると判定される。
【0033】
また、始動時の閾値(線A)及び停車時の閾値(線B)は、外気温度が高くなるに伴って電池温度が低く、外気温度が低くなるに伴って電池温度が高くなるように設定されている。
更に、停車時よりも始動時の方が、外気温度に基づく閾値が低く設定される。
詳しくは、始動時では、電池温度が適正温度範囲より低い温度で熱交換状態と保温状態とに切り換わり、停車時では、電池温度が適正温度範囲内でも外気温度が適正温度範囲より低い温度では熱交換状態と保温状態とに切り換わる。
【0034】
また、始動時及び停車時のいずれにおいても、電池温度及び外気温度が適正温度範囲、あるいは適正温度範囲より高い温度であるならば、熱交換状態であると判定される。例えば適正温度範囲の上限温度(高温側)は、鉛電池やニッケル水素電池が略摂氏50度であり、ニッケルカドミウム電池やリチウムイオン電池が略摂氏60度である。また、適正温度範囲の下限温度(低温側)は、鉛電池、ニッケルカドミウム電池及びリチウムイオン電池が略摂氏−15度〜−20度であり、ニッケル水素電池が摂氏−5度である。
【0035】
また、走行中においては、外気温度に拘わらず、電池温度が適正温度範囲の下限値より若干低い温度に設定された閾値(一定値)よりも高い場合には熱交換状態であると判定し、閾値未満である場合には保温状態であると判定する。
更に、外気温度が極度に高温である場合(電池温度の適正温度範囲よりも大幅に高い温度)では、電池温度の適正温度範囲内において始動時及び停車時には、保温状態に判定する(図6中の線Dより上部の領域)。
【0036】
そして、電池温度が、車両状態及び外気温度に基づいて設定された閾値を越えて、熱交換状態から保温状態に変更したときに上記図4に示す切換制御を実行し、保温状態から熱交換状態に変更したときに上記図5に示す切換制御を実行する。
以上のように、本実施形態では、停車時や始動時では、電池温度及び外気温度に基づいて、車載電池の温調装置1を熱交換状態と保温状態とで切換える。
【0037】
例えば寒冷地において走行から停車した直後のように、電池温度が暖まって適正温度範囲内であるものの外気温度が低い場合には、特許文献1に示す従来技術では熱交換状態に維持される。これに対し、本実施形態では、電池温度が適正温度範囲内にあるものの外気温度が適正温度範囲より低下した状態である場合には、保温状態に設定されるので、電池温度の低下を抑えることができる。
【0038】
また、停車時において電池温度が適正温度範囲より低く外気温度が高い場合には、本実施形態では熱交換状態に設定されるので、外気の熱によって電池温度を上昇させて電池温度を適正温度範囲に少しでも近づけておくことができる。
このように、電池温度だけでなく外気温度にも基づいて熱交換状態と保温状態とに切換えるので、停車時において電池温度を適正温度に維持することができる。
【0039】
また、始動時では、停車時と同様に電池温度及び外気温度に基づいて熱交換状態と保温状態とで切換え、更に停車時よりも電池温度が低温で保温状態に切換える。これは、始動時では通電により電池温度が上昇するためであって、その分電池温度が低温で熱交換状態にしても電池温度を適正温度範囲内に維持することができる。
また、始動時では、電池温度が適正温度範囲より低く外気温度が高い場合には、特許文献1に示す従来技術では保温状態になるが、本実施形態では、熱交換状態に設定されるので、外気の熱によって電池温度を上昇させて適正温度範囲に迅速に近づけることができる。
【0040】
また、停車時及び始動時において、外気温度が電池温度の適正温度範囲よりも大幅に高い場合には、電池温度が適正温度範囲内であるときに、保温状態に切り替わるので、外気の熱によって電池の温度が適正温度範囲よりも上昇することを抑えることができる。
このように、本実施形態では、電池温度及び外気温度に基づいて、車載電池の温調装置1を熱交換状態と保温状態とで切換えることで、停車時や始動時の夫々で適切に切換えが行われ、電池を適温にすることができ、電池性能を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、走行中では外気温度に拘わらず電池温度によって車載電池の温調装置1の切換えが行われる。これは、走行中では、走行風により熱交換機における熱交換率が高いため、電池温度と外気温度とが略一致する。したがって、電池温度のみで熱交換状態及び保温状態を正確かつ容易に判定することができる。
また、本実施形態では、下部冷却水タンク8が内部冷却水路5の下方に位置するので、熱交換状態から保温状態に切換える際に、ウォータポンプ20を作動せずにバルブを開弁させるだけで冷却水を自重によって移動させることができる。これにより電力消費を抑制することができる。
【0042】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、熱交換状態と保温状態との切換判定用のマップについては、図6以外でも電池温度と外気温度に基づいて判定する領域があればよく、温調装置の性能や電池の容量等に応じて適宜変更してもよい。
また、下部冷却水タンク8を電池パック2の外側に配置したり、内部冷却水路5の下方以外に配置したりするように、温調装置の構成についても適宜変更してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、電池パック2は走行駆動モータへの電力供給用の電池であるが、熱媒体を介して外気と熱交換する車載電池に対して本願発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 温調装置
2 電池パック
4 電池
5 内部冷却水路(熱媒体路)
20 ウォータポンプ(切換装置)
21 第1開閉バルブ(切換装置)
22 第2開閉バルブ(切換装置)
23 第3開閉バルブ(切換装置)
24 第4開閉バルブ(切換装置)
40 コントロールユニット(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6