【解決手段】電線モジュール10は、コネクタ付電線12と誤嵌合防止部材30と、を備える。コネクタ付電線12は、複数のキャビティ22が形成されたコネクタハウジング20と、前記キャビティ22に挿入される少なくとも1本の端子付電線14とを含む。誤嵌合防止部材30は、前記キャビティ22のうち前記端子付電線14が挿入されていない空キャビティ26の少なくとも1つに、誤嵌合の際に相手側端子64が挿入される領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コネクタごとに突起部の位置を変えると共に、相手側コネクタの嵌合穴の位置を変える場合、コネクタごとに金型が必要になり、この分のコストがかかる恐れがある。また、特許文献1に記載のコネクタ付モジュールの場合、両方のコネクタにアタッチメントを設けることが必要となり、この分のコスト及び工数等がかかる恐れがある。また、特許文献2に記載のコネクタの場合、破断可能部が破断された際に、切りくずが生じる恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、コネクタの誤嵌合をより容易に抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る電線モジュールは、複数のキャビティが形成されたコネクタハウジングと、前記キャビティに挿入される少なくとも1本の端子付電線とを含むコネクタ付電線と、前記キャビティのうち前記端子付電線が挿入されていない空キャビティの少なくとも1つに、誤嵌合の際に相手側端子が挿入される領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられた誤嵌合防止部材と、を備える。
【0009】
第2の態様に係る電線モジュールは、第1の態様に係る電線モジュールであって、前記誤嵌合防止部材は、前記相手側端子が挿入される側の開口から前記キャビティの内部に圧入されてはまり込むように形成された圧入部を含む。
【0010】
第3の態様に係る電線モジュールは、第2の態様に係る電線モジュールであって、前記誤嵌合防止部材は、前記圧入部に連なるとともに、前記キャビティの前記相手側端子側の開口が形成された面のうち前記開口以外の部分を覆う面接触部を含む。
【0011】
第4の態様に係る電線モジュールは、第3の態様に係る電線モジュールであって、前記誤嵌合防止部材は、前記キャビティの前記相手側端子が挿入される側の開口を塞ぐように形成された開口塞ぎ部を含む。
【0012】
第5の態様に係る電線モジュールは、第1の態様に係る電線モジュールであって、前記誤嵌合防止部材は、前記端子付電線が挿入される側の開口から前記キャビティの内部にはまり込むように形成されているとともに、その先端面が塞がれているダミー栓部を含む。
【0013】
第6の態様に係る電線モジュールは、第5の態様に係る電線モジュールであって、前記誤嵌合防止部材は、前記ダミー栓部に連なると共に、前記端子付電線が挿入される側の開口から外部に延出する延出部を含む。
【発明の効果】
【0014】
第1〜第6の態様に係る電線モジュールによると、キャビティのうち端子付電線が挿入されていない空キャビティの少なくとも1つに、誤嵌合の際に相手側端子が挿入される領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられた誤嵌合防止部材を備えるため、誤嵌合の際に、相手側端子が誤嵌合防止部材と接触することで、誤嵌合を認識可能となる。これにより、コネクタの誤嵌合をより容易に抑制することができる。
【0015】
特に、第2の態様に係る電線モジュールによると、相手側端子が挿入される側の開口からキャビティの内部に圧入されてはまり込むように形成された圧入部を含むため、圧入部でコネクタハウジングへの固定と相手側端子の挿入の抑制とを行うことができる。
【0016】
特に、第3の態様に係る電線モジュールによると、誤嵌合防止部材は、圧入部に連なるとともに、キャビティの相手側端子側の開口が形成された面のうち開口以外の部分を覆う面接触部を含むため、コネクタハウジングが相手側コネクタハウジングに嵌った際にがたつくことを抑制することができる。
【0017】
特に、第4の態様に係る電線モジュールによると、誤嵌合防止部材がキャビティの相手側コネクタハウジング側の開口を塞ぐように形成された開口塞ぎ部を含むため、圧入部が挿入されたキャビティ以外のキャビティでも相手側端子の挿入を抑制することができる。これにより、相互に誤嵌合を抑制できる電線モジュールの数を増やすことができる。
【0018】
特に、第5の態様に係る電線モジュールによると、誤嵌合防止部材は、端子付電線が挿入される側の開口からキャビティの内部にはまり込むように形成されているとともに、その先端面が塞がれているダミー栓部を含むため、端子部と同様の形状をもつ部材により誤嵌合を抑制することができる。
【0019】
特に、第6の態様に係る電線モジュールによると、誤嵌合防止部材は、ダミー栓部に連なると共に、端子付電線が挿入される側の開口から外部に延出する延出部を含むため、延出部を掴んで作業することで誤嵌合防止部材の取り外しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る電線モジュール10について説明する。
図1は、第1実施形態に係る電線モジュール10を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る電線モジュール10を相手側コネクタハウジング66側から見た概略正面図である。
図3は、
図2のIII−III線に沿って切断した断面図である。
【0022】
第1実施形態に係る電線モジュール10は、コネクタ付電線12と、誤嵌合防止部材30とを備える。電線モジュール10は相手側コネクタ付電線60に接続される。
【0023】
コネクタ付電線12は、コネクタハウジング20と端子付電線14とを含む。
【0024】
端子付電線14は、コネクタハウジング20の後述するキャビティ22に挿入されている。端子付電線14は、少なくとも1本含まれている。また、端子付電線14は、キャビティ22の数よりも少なくなるように設定されている。端子付電線14は、電線16と端子18とを含む。
【0025】
電線16は、芯線の外周に樹脂が押出被覆等されることで被覆部が形成された構成とされている。電線16は、車両等の配設対象箇所に配設された状態で、車両等に搭載された各種電気機器同士を電気的に接続するものとして用いられる。
【0026】
端子18は、電線16の端部に設けられている。端子18は、相手側コネクタハウジング66に保持された相手側端子付電線62の相手側端子64と電気的に接続される。ここでは、端子18は、固定部と接続部とを含む。固定部は、圧着等により電線16に固定される。接続部は、相手側端子64と電気的に接続される部分である。
【0027】
コネクタハウジング20には、複数のキャビティ22が形成されている。ここでは、コネクタハウジング20には、1段に4つのキャビティ22が2段分形成されている例で説明するが、キャビティ22の数及び配列等はこれに限られるものではなく、適宜設定される。
【0028】
キャビティ22は、端子付電線14の端子18が挿入可能な形状に形成されている。また、ここでは、キャビティ22は、端子18の位置を規制可能に形成されている。
【0029】
具体的には、キャビティ22は、コネクタハウジング20の一方の面から反対側の面にかけて貫通する貫通孔状に形成されている。この際に、貫通孔が、端子18よりも大きく設定されることで、キャビティ22に端子18を挿入可能となっている。以下では、貫通孔の2つの開口のうち、端子付電線14が挿入される側の開口を一方側開口23と呼び、反対側の開口を他方側開口24と呼ぶ。他方側開口24からは、電線モジュール10が相手側コネクタ付電線60と嵌った際に、相手側コネクタハウジング66に挿入された相手側端子64の先端が挿入され、端子18と接続される。
【0030】
キャビティ22の中間部分の内周面には、段差部28が設けられている。段差部28にキャビティ22に挿入された端子付電線14の端子18の先端が当接することで、端子18が段差部28よりも奥まで挿入されることを抑制している。
【0031】
また、コネクタハウジング20には、キャビティ22のうち段差部28よりも一方側開口23側の内周面から他方側開口24に向かって突出するように突起部29が形成されている。突起部29は、端子18が一方側開口23からキャビティ22内に挿入される際に弾性変形可能に形成されている。そして、端子18が所定の位置まで挿入されると、突起部29が弾性変形の状態から元に戻り、端子18に後ろから当接することにより、端子18を抜止状に保持可能となる。
【0032】
キャビティ22と端子付電線14とに関して、上述したように、端子付電線14の数がキャビティ22の数よりも少なくなるように設定されているため、複数のキャビティ22のうち端子付電線14が挿入されていないキャビティ22(以下、空キャビティ26と呼ぶ)が少なくとも1つ存在している。ここでは、キャビティ22が8つ、端子付電線14が7本に設定されているため、空キャビティ26が1つ存在している。この空キャビティ26に誤嵌合防止部材30が設けられる。
【0033】
なお、ここでは、
図2の相手側コネクタハウジング66側から見たコネクタハウジング20の正面視において、右上のキャビティ22のみ空キャビティ26になっている。もっとも、空キャビティ26の数及び位置はこれに限定されるものではない。誤嵌合を抑制したい複数の電線モジュール間で、異なる位置に空キャビティ26が存在するように設定されていることが好ましい。
【0034】
次に、空キャビティ26に設けられる誤嵌合防止部材30について説明する。
図4は、第1実施形態に係る誤嵌合防止部材30を示す斜視図である。
【0035】
誤嵌合防止部材30は、キャビティ22のうち端子付電線14が挿入されていない空キャビティ26の少なくとも1つに、誤嵌合の際に相手側端子64が挿入される領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられている。ここでは、誤嵌合防止部材30は、圧入部32を含む。さらにここでは、誤嵌合防止部材30は、面接触部34を含む。
【0036】
圧入部32は、相手側端子64が挿入される側の開口(他方側開口24)からキャビティ22の内部に圧入されてはまり込むように形成されている。
【0037】
具体的には、圧入部32の周方向の外形は、キャビティ22の内周よりも大きく設定されている。そして、圧入部32は、他方側開口24から弾性変形又は塑性変形を伴いながらキャビティ22の内部へ挿入される。このため、圧入部32がキャビティ22に挿入されると、圧入部32がキャビティ22の内周面に密着固定する。これにより、誤嵌合防止部材30がコネクタハウジング20に固定される。
【0038】
また、圧入部32は、キャビティ22の他方側開口24から段差部28までの寸法と同じかそれよりも大きい奥行寸法を有している。これにより、圧入部32の先端が段差部28と接することで、圧入が完了したことを認識可能となる。さらに、コネクタハウジング20と接触する領域が大きくなるため、圧入部32がキャビティ22から抜けにくくなる。ここでは、圧入部32は、キャビティ22の他方側開口24から段差部28までの寸法よりも若干大きい奥行寸法に設定され、他方側開口24から突出する部分の周囲に後述する面接触部34が連なっている。
【0039】
もっとも、圧入部32の奥行寸法が、キャビティ22の他方側開口24から段差部28までの寸法と同じかそれよりも大きいことは必須ではない。圧入部32の奥行寸法が、キャビティ22の他方側開口24から段差部28までの寸法よりも小さく設定され、圧入部32の先端が段差部28まで達していなくてもよい。
【0040】
面接触部34は、圧入部32に連なるとともに、キャビティ22の相手側端子64が挿入される側の開口(他方側開口24)が形成された面のうち開口24以外の部分を覆うように形成されている。より具体的には、面接触部34のコネクタハウジング20側の面及び相手側コネクタハウジング66側の面は、接触するコネクタハウジング20及び相手側コネクタハウジング66の面にそれぞれ沿った形状に形成され、それぞれ面接触可能に形成されている。これにより、コネクタハウジング20が相手側コネクタハウジング66に嵌った際に、面接触部34が相手側コネクタハウジング66に面接触することで、コネクタハウジング20,66同士ががたつくことを抑制することができる。また、面接触部34がキャビティ22の外側に出ているため、作業者は、面接触部34を掴むことで誤嵌合防止部材30の圧入部32をキャビティ22に出し入れしやすくなる。
【0041】
この際に、面接触部34のうち圧入部32が設けられる部分以外では、コネクタハウジング20の他方側開口24の位置に貫通孔33が形成される。この貫通孔33を通して、相手側端子64がキャビティ22内に進入し、端子18と接続可能となる。つまり、貫通孔33が形成されることで、面接触部34が他のキャビティ22の端子18の出入りを邪魔することを抑えることができる。
【0042】
なお、面接触部34の厚みは、誤嵌合防止部材30が設けられていないときにコネクタハウジング20が相手側コネクタハウジング66に嵌った状態で、両者の間に生じる隙間の寸法以内であることが好ましい。これにより、コネクタハウジング20と相手側コネクタハウジング66との嵌合を阻害することを抑えることができることによって、端子18と相手側端子64との接続不良等を抑えることができる。
【0043】
もっとも、誤嵌合防止部材30が圧入部32を含むことは必須ではない。例えば、他方側開口24に蓋をする蓋状部材をテープまたは接着剤等でコネクタハウジング20に固定することで誤嵌合防止部材30を構成していてもよい。また、誤嵌合防止部材30は、後述する第3実施形態に係る誤嵌合防止部材30のように、一方側開口23から挿入されるものであってもよい。
【0044】
また、誤嵌合防止部材30が圧入部32を含む場合でも、誤嵌合防止部材30が面接触部34を含むことは必須ではない。誤嵌合防止部は、圧入部32のみを含んでいてもよい。この場合、圧入部32は、空キャビティ26に取り外しができないように、いわゆる嵌め殺し状に取り付けられていてもよい。
【0045】
なお、ここでは、空キャビティ26が1つしかないため圧入部32は1つしか設けられていないが、空キャビティ26が複数ある場合、圧入部32は複数設けられていてもよい。圧入部32が複数設けられることで、誤嵌合防止部材30がより確実にキャビティ22から抜けにくくなる。さらに、圧入部32が複数設けられる場合、なるべく離れた空キャビティ26の位置に圧入部32が設けられることが好ましい。これにより、誤嵌合防止部材30がより確実にキャビティ22に固定可能となるとともに、面接触部34がめくれることを抑えることができる。
【0046】
<誤嵌合の抑制>
次に、複数(ここでは、2つ)の電線モジュール間で誤嵌合を抑制可能な組み合わせについて説明する。ここでは、実施形態に係る電線モジュール10を用いて、他の電線モジュール10A(10B)との誤嵌合を抑制可能な例について説明する。この場合、2つの電線モジュール10,10A(10B)間で相互の誤嵌合を抑制できる場合と、一方の誤嵌合のみを抑制できる場合とがある。
【0047】
まず、2つの電線モジュール10,10A間で相互の誤嵌合を抑制できる場合について説明する。
図5は、2つの電線モジュール10,10A間で相互の誤嵌合を抑制できる組み合わせの例を説明する図である。
図6は、第1実施形態に係る電線モジュール10において、誤嵌合を防いでいる様子を説明する図である。
【0048】
図5において、右上に位置するのが実施形態に係る電線モジュール10であり、その下に位置するのが、電線モジュール10とは異なる空キャビティ26の位置に圧入部が設けられた誤嵌合防止部材が取り付けられている電線モジュール10Aである。左側に位置するのが、右隣りの電線モジュール10,10Aにそれぞれ嵌合する相手側コネクタ付電線60,60Aである。
【0049】
なお、
図5の相手側コネクタ付電線60,60Aは、電線モジュール10,10A側から見た概略正面図となっている。このため、
図5の電線モジュール10,10Aの空キャビティの位置と相手側コネクタ付電線60,60Aの空キャビティの位置とは、線対称になっている(
図7でも同様)。また、
図5において、電線モジュール10,10Aと相手側コネクタ付電線60,60Aとの組み合わせにおいて、嵌合可能な場合は矢印に丸印を付して表し、嵌合できない場合(嵌合が抑制される場合)は矢印にバツ印を付して表している(
図7でも同様)。
【0050】
図5のように、2つの電線モジュール10,10A間で、異なる位置に空キャビティ26が存在するとともに、その異なる位置の空キャビティ26にそれぞれ誤嵌合防止部材30が設けられていると、2つの電線モジュール10,10A間での相互の誤嵌合を抑制できる。
【0051】
具体的には、電線モジュール10と相手側コネクタ付電線60Aとを嵌合させようとすると、
図6のように、相手側コネクタ付電線60Aの相手側端子64が確実に誤嵌合防止部材30に当接し挿入不可となり、誤嵌合が抑制される。電線モジュール10Aと相手側コネクタ付電線60とを嵌合させようとした場合も、同様に、相手側コネクタ付電線60の相手側端子64が確実に誤嵌合防止部材に当接し挿入不可となり、誤嵌合が抑制される。
【0052】
なお、互いに誤嵌合を抑制できる電線モジュールの組み合わせの数は、キャビティ22の数、空キャビティ26の数及び空キャビティ26に誤嵌合防止部材30が設けられるか否かによる。例えば、実施形態に係る電線モジュール10の場合、8つのキャビティ22のうち空キャビティ26が同じく1つであって、空キャビティ26の位置が互いに異なり、それぞれの空キャビティ26に誤嵌合防止部材が設けられている他の7つの電線モジュールとの誤嵌合を相互に抑制することができる。つまり、8つの電線モジュールにおいてどの2つを選んでも相互に誤嵌合を抑制できる。
【0053】
また、例えば、後述する第2実施形態に係る電線モジュール10Cのように8つのキャビティ22のうち2つの空きキャビティ22を塞ぐように誤嵌合防止部材30Cが設けられる場合、8つのキャビティ22のうち2つのキャビティ22を選ぶ組み合わせと等しい28種類の電線モジュールにおいて、どの2つを選んでも相互に誤嵌合を抑制できる。
【0054】
以上は、空キャビティ26の数が同じであり、すべての空キャビティ26に誤嵌合防止部材が設けられる場合についてである。この場合、空キャビティ26の位置が異なっていれば確実に2つの電線モジュール間について相互の誤嵌合を抑制することができる。
【0055】
次に、2つの電線モジュール10,10B間で一方の誤嵌合のみを抑制できる場合について説明する。
図7は、2つの電線モジュール10,10B間で、一方の誤嵌合のみを抑制できる組み合わせの例を説明する図である。
【0056】
図7において、右上に位置するのが実施形態に係る電線モジュール10であり、その下に位置するのが、空キャビティ26のない電線モジュール10Bである。左側に位置するのが、右隣りの電線モジュール10,10Bにそれぞれ嵌合する相手側コネクタ付電線60,60Bである。
【0057】
電線モジュール10と、空キャビティ26のない電線モジュール10Bに嵌合される相手側コネクタ付電線60Bとを嵌合させようとした場合には、先ほどと同様に、
図6のように、相手側コネクタ付電線60Bの相手側端子64が誤嵌合防止部材30に当接し挿入不可となり、誤嵌合が抑制される。
【0058】
一方、空キャビティ26のない電線モジュール10Bに対して、実施形態に係る電線モジュール10に嵌合される相手側コネクタ付電線60は嵌合可能であり、誤嵌合される恐れがある。
【0059】
なお、2つの電線モジュール間で一方の誤嵌合のみを抑制可能な他の例として、後述する第2実施形態に係る電線モジュール10Cと、電線モジュール10Cと2つの空キャビティ26のうち一方の空キャビティ26の位置は同じであるが、他方の空キャビティ26の位置は異なり、2つの空キャビティ26のうち電線モジュール10Cと同じ位置にある一方の空キャビティ26にのみ誤嵌合防止部材が設けられている他の電線モジュールとの組み合わせ等があげられる。この場合、他の電線モジュールに対応する相手側コネクタ付電線を第2実施形態に係る電線モジュール10Cに嵌合させることはできないが、第2実施形態に係る電線モジュール10Cに対応する相手側コネクタ付電線を他の電線モジュールに嵌合させることはできる。
【0060】
このように、空キャビティ26の数及び各空キャビティ26に誤嵌合防止部材が設けられるか否かによっては、2つの電線モジュール間で一方の誤嵌合のみを抑制可能な場合も存在する。
【0061】
しかしながら、2つの電線モジュール間で一方の誤嵌合のみを抑制可能な場合でも、誤嵌合が発生する(
図7において、電線モジュール10Bと相手側コネクタ付電線60が先に嵌合する)と、最終的に嵌合できないペアが残る(
図7において、電線モジュール10と相手側コネクタ付電線60Bが残る)ため、誤嵌合が発生していることに気づくことができる。
【0062】
なお、この際に、一方にのみ嵌合可能な電線モジュール(
図7の場合、電線モジュール10)から先に嵌合させると、確実に2つの電線モジュール間の誤嵌合を抑制することができ、誤嵌合してしまった電線モジュールを正しい嵌合相手に嵌合しなおす手間を省くことができる。
【0063】
第1実施形態に係る電線モジュール10によると、キャビティ22のうち端子付電線14が挿入されていない空キャビティ26の少なくとも1つに、誤嵌合の際に相手側端子64が挿入される領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられた誤嵌合防止部材30を備えるため、誤嵌合の際に、相手側端子64が誤嵌合防止部材30と接触することで、誤嵌合を認識可能となる。これにより、コネクタの誤嵌合をより容易に抑制することができる。
【0064】
また、相手側端子64が挿入される側の開口からキャビティ22の内部に圧入されてはまり込むように形成された圧入部32を含むため、圧入部32でコネクタハウジング20への固定と相手側端子64の挿入の抑制とを行うことができる。
【0065】
また、誤嵌合防止部材30は、圧入部32に連なるとともに、キャビティ22の相手側端子64側の開口が形成された面のうち開口以外の部分を覆う面接触部34を含むため、コネクタハウジング20が相手側コネクタハウジング66に嵌った際にがたつくことを抑制することができる。
【0066】
{第2実施形態}
次に、第2実施形態に係る電線モジュール10Cについて説明する。
図8は、第2実施形態に係る電線モジュール10Cを相手側コネクタハウジング側から見た概略正面図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する(以下の第3実施形態でも同様)。
【0067】
第2実施形態に係る電線モジュール10Cは、誤嵌合防止部材30のC形状が第1実施形態に係る電線モジュール10の誤嵌合防止部材30の形状とは異なる。
【0068】
図9は、第2実施形態に係る誤嵌合防止部材30Cを示す斜視図である。具体的には、誤嵌合防止部材30Cは、第1実施形態に係る誤嵌合防止部材30の構成に加えて、さらに開口塞ぎ部35を含む。
【0069】
開口塞ぎ部35は、キャビティ22の相手側端子64が挿入される側の開口(他方側開口24)を塞ぐように形成されている。より具体的には、開口塞ぎ部35は、面接触部34に形成された貫通孔33の一部が塞がれるように、貫通孔33の位置に充填される部分又は部材が存在することで形成されている。
【0070】
開口塞ぎ部35としては、例えば、面接触部34を含む誤嵌合防止部材30Cを作成する際に、貫通孔33ができないように貫通孔33の位置にも材料を充填し、面接触部34と一体的に形成されてもよい。また、例えば、いったん貫通孔33が形成された面接触部34を作成してから、面接触部34の貫通孔33を塞ぐ別の部材を設けてもよい。
【0071】
第2実施形態に係る電線モジュール10Cによっても、第1実施形態に係る電線モジュール10と同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、第2実施形態に係る電線モジュール10Cによると、誤嵌合防止部材30Cがキャビティ22の相手側コネクタハウジング66側の開口を塞ぐように形成された開口塞ぎ部35を含むため、圧入部32が挿入された空キャビティ26以外の空キャビティ26でも相手側端子64の挿入を抑制することができる。これにより、相互に誤嵌合を抑制できる電線モジュールの種類を増やすことができる。
【0073】
{第3実施形態}
次に、第3実施形態に係る電線モジュール10Dについて説明する。
図10は、第3実施形態に係る電線モジュール10Dを示す断面図である。
【0074】
第3実施形態に係る電線モジュール10Dは、誤嵌合防止部材30Dの形状が、第1実施形態に係る電線モジュール10の誤嵌合防止部材30の形状とは異なる。
【0075】
図11は、第3実施形態に係る誤嵌合防止部材30Dを示す斜視図である。ここでは、誤嵌合防止部材30Dは、ダミー栓部36を含む。さらにここでは、誤嵌合防止部材30は、延出部38を含む。
【0076】
ダミー栓部36は、端子付電線14が挿入される側の開口(一方側開口23)からキャビティ22(空キャビティ26)の内部にはまり込むように形成されている。ダミー栓部36は、端子付電線14の端子18と同様の構成により、キャビティ22にはまり込むように形成されている。具体的には、ダミー栓部36は、端子18と同程度の奥行寸法を有しているとともに、ダミー栓部36の外形は、ダミー栓部36がキャビティ22における端子18の所定の位置まで挿入された状態でダミー栓部36の先端が段差部28に接するとともに、突起部29がダミー栓部36に後ろから当接するように形成されている。
【0077】
ここで、ダミー栓部36は端子18とは異なり、その先端面に開口が設けられておらず、先端面が壁状に形成されている。より詳しくは、端子18は、通常、相手側端子64と接続するために、先端の面に相手側端子64が挿入可能な開口が形成されている。しかしながら、ダミー栓部36は、端子18とは異なり、この開口が形成されていない。このため、ダミー栓部36は、その先端から相手側端子64が挿入不可能とされている。
【0078】
延出部38は、ダミー栓部36に連なると共に、端子付電線14が挿入される側の開口(一方側開口23)から外部に延出するように形成されている。作業者は、延出部38を掴んで、ダミー栓部36を空キャビティ26の奥まで挿入することができる。また、空キャビティ26に挿入されたダミー栓部36を抜き出すことができる。ここでは、延出部38は、ダミー栓部36の後端側の一部からダミー栓部36の延在方向に沿って突出する態様で形成されている。
【0079】
もっとも、誤嵌合防止部材30Dが延出部38を含むことは必須ではない。誤嵌合防止部材が延出部38を含まない場合、ダミー栓部36は、空キャビティ26に取り外しできないように、嵌め殺し状に取り付けられる。
【0080】
第3実施形態に係る電線モジュール10Dによっても、キャビティ22のうち端子付電線14が挿入されていない空キャビティ26の少なくとも1つに、誤嵌合の際に相手側端子64が挿入される領域の少なくとも一部を塞ぐように設けられた誤嵌合防止部材30Dを備えるため、誤嵌合の際に、相手側端子64が誤嵌合防止部材30Dと接触することで、誤嵌合を認識可能となる。これにより、コネクタの誤嵌合をより容易に抑制することができる。
【0081】
さらに、第3実施形態に係る電線モジュール10Dによると、誤嵌合防止部材30Dは、端子付電線14が挿入される側の開口からキャビティ22の内部はまり込むように形成されているとともに、その先端面が塞がれているダミー栓部36を含むため、端子18と同様の形状をもつ部材により誤嵌合を抑制することができる。
【0082】
また、誤嵌合防止部材30Dは、ダミー栓部36に連なると共に、端子付電線14が挿入される側の開口から外部に延出する延出部38を含むため、延出部38を掴んで作業することで誤嵌合防止部材30Dの取り外しを容易に行うことができる。
【0083】
なお、上記各実施形態で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0084】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。