特開2015-231029(P2015-231029A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231029(P2015-231029A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】酸化珪素膜研磨用研磨液組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20151124BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20151124BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   H01L21/304 622D
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-118002(P2014-118002)
(22)【出願日】2014年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】衣田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】古高 佑季
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CA01
3C158CA04
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED01
3C158ED04
3C158ED10
3C158ED22
3C158ED23
3C158ED24
3C158ED26
3C158ED28
5F057AA07
5F057AA14
5F057AA17
5F057BA24
5F057BB03
5F057BB19
5F057BB37
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA07
5F057EA11
5F057EA16
5F057EA21
5F057EA32
5F057EA33
(57)【要約】
【課題】本発明は、半導体基板の製造過程のシャロートレンチ素子分離構造の形成工程で行われる酸化珪素膜の研磨の際に用いられ、高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつも、窒化珪素膜の研磨を極力抑制し且つ酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性を呈し、且つ、研磨傷を低減できる酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を提供する。
【解決手段】本発明の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物は、窒化珪素膜上の酸化珪素膜を研磨する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物であって、アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体(成分A)、シリカ粒子と前記シリカ粒子の表面の少なくとも一部を覆う粒状セリアとを含むセリアコートシリカ粒子(成分B)、水系媒体(成分C)を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化珪素膜上の酸化珪素膜を研磨する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物であって、下記成分A〜Cを含む、酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
成分A:(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体
成分B:シリカ粒子と前記シリカ粒子の表面の少なくとも一部を覆う粒状セリアとを含むセリアコートシリカ粒子
成分C:水系媒体
【請求項2】
前記成分Bが、平均一次粒子径が15nm以上300nm以下のシリカ粒子を平均一次粒子径が5nm以上40nm以下の粒状セリアで被覆され、且つセリアとシリカの質量比(セリア/シリカ)が0.25以上2以下のセリアコートシリカ粒子である、請求項1に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
【請求項3】
前記成分Aが、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体、そのアルカリ金属、及びそのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
【請求項4】
アクリル酸モノマーと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸モノマーのモル比(アクリル酸モノマーのモル数/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸モノマーのモル数)が60/40〜98/2である、請求項1から3のいずれかの項に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
【請求項5】
前記共重合体の重量平均分子量が1000以上50000以下である請求項1から4のいずれかの項に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
【請求項6】
前記酸化珪素膜研磨用研磨液組成物中の前記成分Aの含有量が0.05質量%以上5質量%以下である請求項1から5のいずれかの項に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化珪素膜研磨用研磨液組成物、及びこれを用いた半導体基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の高集積化、微細化及び配線の多層化が進むに伴い、ウェーハ上に多層形成される導電層又は絶縁層において段差が大きくなりつつある。このような被研磨基板の段差を除去するために、1980年代の末に米国のIBM社により化学的除去工程及び機械的除去工程を結合させたCMP(ケミカルメカニカルポリッシング)技術といった新しい工程技術が開発された。このCMP技術とは、加工しようとする被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で研磨液をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面凹凸部分を化学的に反応させると共に機械的に除去して平坦化させる技術である。
【0003】
CMP技術のパフォーマンスは、CMPの工程条件、研磨液の種類、研磨パッドの種類などによって決められる。これらの中でも、特に、研磨液は、CMP工程のパフォーマンスに最も大きな影響を及ぼす因子である。この研磨液に含まれる研磨粒子としては、シリカ(SiO2)やセリア(CeO2)が広く用いられている。
【0004】
現在では、半導体素子の製造工程における、層間絶縁膜の平坦化、シャロートレンチ素子分離構造の形成、プラグ及び埋め込み金属配線の形成等を行う際には、このCMP技術が必須の技術となっている。近年、半導体素子の多層化、高精細化が飛躍的に進み、半導体素子の歩留まり及びスループット(収量)の更なる向上が要求されるようになってきている。それに伴い、CMP工程に関しても、研磨傷フリーで且つより高速な研磨が望まれるようになってきている。例えば、シャロートレンチ素子分離構造の形成工程では、被研磨膜(例えば、酸化珪素膜)に対する研磨ストッパ膜(例えば、窒化珪素膜)の研磨選択性(換言すると、研磨ストッパ膜の方が被研磨膜よりも研磨されにくいという研磨の選択性)を向上させて研磨傷(スクラッチ)の発生を防止すると同時に被研磨膜の研磨速度も向上させることが望まれている。
【0005】
特に、汎用的に用いられるメモリ分野では、スループット向上が重要な課題であり、スループット向上に向け、研磨剤の改良も進んでいる。例えば研磨粒子としてセリアを用いた場合、被研磨膜(酸化珪素膜)の研磨速度を向上させるためには、研磨粒子の粒子径を大きくすることが一般的に知られているが、粒子径を大きくすると、研磨傷の増加により品質面で劣るようになり、歩留まりを低下させる結果となる。
【0006】
そこで被研磨膜を高速で研磨しつつも研磨傷を低下させる手段として、非特許文献1には、セリアに崩壊性を付与した大粒子径セリアを含む研磨剤を用い、研磨中に大粒子セリアが崩壊することにより、高い研磨速度を発現しつつも研磨傷を低下させる技術が記載されている。一方で、シャロートレンチ素子分離構造の形成工程では、被研磨膜(例えば、酸化珪素膜)に対する研磨ストッパ膜(例えば、窒化珪素膜)の研磨選択性が求められる。シャロートレンチ素子分離構造の形成に用いられる研磨剤として、特許文献1には、酸化セリウム粒子と、分散剤と、遊離の―COOM基、フェノール性OH基、―SO3M基、―O・SO3H基、―PO42基又は―PO32基等のアニオン性基を有する水溶性有機低分子(MはH,NH4,またはNa,K等の金属原子)から選ばれる添加剤と、水とを含むCMP研磨剤が開示されている。特許文献1に記載のCMP研磨剤の解決課題は、酸化珪素絶縁膜の高平坦化である。特許文献2及び特許文献3には、カルボキシメチルセルロース等の改質セルロースを含むCMP用の水性組成物が開示されている。これらの水性組成物の解決課題としては、金属配線の過度なディッシングを伴わずに、金属を含有する半導体ウェーハの表面のCMPを行うことが挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日立評論 2008年2月号 62−67ページ
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−7060号公報
【特許文献2】特開2006−019747号公報
【特許文献3】特開2006−019746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年の半導体分野においては高集積化が進んでおり、配線の複雑化や微細化が求められている。そのため、シャロートレンチ素子分離構造の形成工程において、シリコンウェーハの一方の主面側に形成する窒化珪素膜の厚みをできるだけ薄くする必要がある。よって、窒化珪素膜の上に形成された酸化珪素膜の研磨工程では、窒化珪素膜の研磨を極力抑制し、なおかつ、酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができるという「高い研磨選択性」に対する要求がますます高まっている。上記の要求に対し、ポリアクリル酸等の研磨助剤による研磨選択性の向上が試みられているが、窒化珪素膜の過剰研磨や平坦化不良の解決のためには、研磨助剤の高濃度添加が行われ、その結果として、酸化珪素膜の研磨速度を低下させる等の問題が生じている。故に、この試みでは、研磨選択性の向上の効果は不十分であった。また、研磨助剤の高濃度添加で研磨粒子の凝集が進行し、結果として研磨助剤の添加が研磨傷を増加させる要因ともなっている。
【0010】
本発明は、半導体基板の製造過程のシャロートレンチ素子分離構造の形成工程で行われる酸化珪素膜の研磨の際に用いられ、高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつも、窒化珪素膜の研磨を極力抑制し且つ酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性を呈し、且つ、研磨傷を低減できる酸化珪素膜研磨用研磨液組成物、及びこれを用いた半導体基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物は、下記成分A〜Cを含む。
成分A:(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体
成分B:シリカ粒子と前記シリカ粒子の表面の少なくとも一部を覆う粒状セリアとを含むセリアコートシリカ粒子
成分C:水系媒体
【0012】
本発明を利用した半導体基板の製造方法では、シリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された窒化珪素膜とを含む基板にトレンチを形成した後、トレンチ埋め込み用の酸化珪素膜を前記基板上に形成し、前記酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて少なくとも前記窒化珪素膜上の酸化珪素膜が除去されるまで研磨した後、前記窒化珪素膜をシリコン基板上から除去することにより、シャロートレンチ素子分離構造を形成する、ことを含む基板の製造方法おいて、前記研磨液組成物として本発明の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半導体基板の製造過程のシャロートレンチ素子分離構造の形成工程で行われる酸化珪素膜の研磨の際に用いられ、高い生産性の為の必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつも、窒化珪素膜の研磨を極力抑制し且つ酸化珪素膜の研磨を進行させることができるという高い研磨選択性を呈し、且つ、研磨傷を低減できる、酸化珪素膜研磨用研磨液組成物、および当該酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いた半導体基板の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、シリカ粒子の表面の少なくとも一部がセリアで被覆されたセリアコートシリカ粒子及び水系媒体を含有する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物(以下「研磨液組成物」と略称する場合もある。)に、研磨助剤として、(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体を含有させることにより、シャロートレンチ素子分離構造(以下「素子分離構造」ともいう。)を形成する工程において、高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつも、窒化珪素膜の研磨を極力抑制し且つ酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性を呈し、且つ、研磨傷を低減できるという知見に基づく。(メタ)アクリル酸モノマーとは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種のモノマーを指す。
【0015】
本発明の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下の様に推定している。ほぼ中性下では、酸化珪素膜の表面は負に帯電し且つ親水性であり、一方、窒化珪素膜の表面は中性であるかやや正に帯電しており且つやや疎水性である。本発明の研磨液組成物に含まれる前記共重合体は、(メタ)アクリル酸モノマーに由来の構成単位中のカルボン酸の解離が少なく、適度な疎水性を示しており、且つ、アニオン性であり負の電荷を持つカルボン酸基とスルホン酸基を有しているので、窒化珪素膜に、近づき易く且つ吸着し易い。故に、酸化珪素膜の研磨が進行して窒化珪素膜が露出すると、前記研磨助剤は、疎水性相互作用と電荷的な相互作用の両方によって、窒化珪素膜に選択吸着する。本発明の研磨液組成物では、窒化珪素膜に吸着した前記研磨助剤の被膜の存在によって窒化珪素膜の研磨が抑制されるので、窒化珪素膜の研磨が抑制され且つ酸化珪素膜の研磨を進行させることができる。また、現状、研磨粒子として広く使用されている、粉砕法によって製造されたセリア粒子は、多くのエッジを有するのに対して、本発明の研磨液組成物に含まれるセリアコートシリカ粒子は、シリカ粒子表面の少なくとも一部が粒状セリアで被覆された構造である。そのために、本発明の研磨液組成物は、研磨粒子として粉砕法によって製造されたセリア粒子を含む従来の研磨液組成物よりも、研磨傷の発生が抑制されている。また、通常、研磨粒子の粒子形状が球状になると、被研磨面との摩擦抵抗の減少により、高い研磨速度を発現することはできないが、本発明の研磨液組成物に含まれるセリアコートシリカ粒子では、シリカ粒子上に微細な粒状セリアを被覆することにより、粒子表面上に微細な凹凸を有する構造となっているので、例えば、シリカ粒子形状が略球状であっても、この特殊な粒子構造により被研磨面との摩擦抵抗が向上され、高い研磨速度を発現するものと推定している。故に、本発明の研磨液組成物に含まれる前記共重合体とセリアコートシリカ粒子の併用により、窒化珪素膜の研磨を極力抑制しながら、酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性が呈されて、高いレベルで段差の解消を実現でき、更に、露出した窒化珪素膜への研磨傷発生を抑制することもできる。この高い研磨選択性と研磨傷発生の抑制効果とにより、本発明では、酸化珪素膜と窒化珪素膜とを含み、高度に平滑な面を得ることができる。但し、これらは推定であって、本発明は、これらメカニズムに限定されるものではない。
【0016】
本発明は、一つの態様において、前記共重合体、セリアコートシリカ粒子及び水系媒体を含有する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物に関する。本発明の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いれば、素子分離構造を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨において、高い生産性のために必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保でき、且つ、窒化珪素膜の過剰な研磨を抑制でき、優れた研磨選択性の達成が可能となる。また、研磨傷の低減も可能となる。
【0017】
本明細書において「研磨選択性」が高いと、窒化珪素膜の研磨速度に対する酸化珪素膜の研磨速度比(酸化珪素膜の研磨速度/窒化珪素膜の研磨速度)が大きくなる。
【0018】
[共重合体:成分A]
本発明の研磨液組成物は、研磨選択性向上、及び高い生産性の為に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体(成分A)を含む。本共重合体は、未中和の状態、アルカリにより中和された状態のどちらでもよい。
【0019】
前記アルカリにより中和された状態に関しては、研磨選択性向上、及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、中和に用いるアルカリはK、Na又はNH4が好ましい。また、共重合体の合成に用いられる(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーのモル比((メタ)アクリル酸モノマーのモル数/ビニル基を持つスルホン酸モノマーのモル数)は、研磨選択性及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは(60/40)以上、より好ましくは(70/30)以上、更により好ましくは(80/20)以上、更により好ましくは(85/15)以上であり、好ましくは(98/2)以下、より好ましくは(95/5)以下、更により好ましくは(92.5/7.5)以下、更により好ましくは(91/9)以下である。(メタ)アクリル酸モノマー比率が多いと、窒化珪素膜の研磨抑制効果が優れ、またビニル基を持つスルホン酸量が多いと酸化珪素膜の研磨速度を向上させることができる。尚、前記モル比は、共重合体1分子中に含まれる(メタ)アクリル酸モノマーに由来の構成単位とビニル基を持つスルホン酸モノマーに由来の構成単位のモル比でもある。
【0020】
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、研磨選択性向上、及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上であり、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは25000以下である。重量平均分子量が大きければ窒化珪素膜の研磨抑制効果に優れ、重量平均分子量が小さくなると酸化珪素膜の研磨速度が向上する。尚、前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の液体クロマトグラフィーを用いて測定した値である。
【0021】
本発明の研磨液組成物に含まれる前記共重合体としては、研磨選択性向上、及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、アクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、アクリル酸とメタクリルスルホン酸の共重合体、メタクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、メタクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、メタクリル酸とメタクリルスルホン酸の共重合体、及びこれらのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、研磨選択性向上、及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、アクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、メタクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、及びメタクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、又はアクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、そのアルカリ金属塩、及びそのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体のアルカリ金属塩、及びアクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体のアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が更により好ましい。
【0022】
本発明の研磨液組成物中の前記共重合体(成分A)の含有量は、前記共重合体(成分A)とセリアコートシリカ粒子(成分B)と前記水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、研磨選択性向上、及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更により好ましくは0.25質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更により好ましくは0.75質量%以下である。
【0023】
[研磨粒子:成分B]
本発明の研磨液組成物に含まれる前記研磨粒子は、高い生産性の為に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保し、研磨傷を低減させる観点から、シリカ粒子の表面の少なくとも一部が粒状セリアで被覆されたセリアコートシリカ粒子を含む。
【0024】
動的光散乱法により測定される前記セリアコートシリカ粒子の平均一次粒子径は、好ましくは30nm以上、より好ましくは45nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。セリアコートシリカ粒子の平均一次粒子径が大きいと酸化珪素膜の研磨速度は高まり、逆に小さいと研磨傷は少なくなる。前記セリアコートシリカ粒子の平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0025】
本発明の研磨液組成物に含まれる前記研磨粒子は、酸化珪素膜の研磨速度の向上と研磨傷の低減の観点から、シリカ粒子を被覆するセリアは結晶性を有し、更にその形状は、粒状であり、好ましくは略球状である。また、粒状セリアの透過型電子顕微観察により測定される平均一次粒子径は、研磨速度の観点から好ましくは5nm以上、より好ましくは7.5nm以上、更に好ましくは10nm以上であり、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは25nm以下である。シリカ粒子を被覆する粒状セリアの平均一次粒子径が5nm以上では粒状セリアの合成が容易となり、また40nm以下ではシリカ粒子上に粒状セリアが均一に被覆されて研磨傷の発生を効果的に抑制することができる。尚、粒状セリアの平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0026】
粒状セリアによって被覆されたシリカ粒子は、酸化珪素膜の研磨速度の向上と研磨傷の低減の観点から、コロイダルシリカであると好ましく、その形状は略球状であると好ましい。また、使用するコロイダルシリカ粒子の透過型電子顕微観察により測定される平均一次粒子径は、研磨速度の観点から好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは40nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下である。シリカ粒子の平均一次粒子径が15nm以上では酸化珪素膜の研磨速度を効果的に向上でき、300nm以下では研磨傷の発生を効果的に抑制できる。尚、シリカ粒子の平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0027】
セリアコートシリカ粒子の製造過程で、シリカ粒子の被覆に使用されるセリアの量をシリカとの質量比(セリア/シリカ)で表わすと、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.33以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。セリアの被覆量を多くすると酸化珪素膜の研磨速度を大きくすることができ、セリアの被覆量を少なくすると、シリカ粒子上に被覆できずに遊離状態となったセリアの凝集体の生成を抑制して研磨傷の発生を抑制できる。尚、この被覆量については、被覆する粒状セリアの粒子径の関係で変動はあるものの、おおむね記載した質量比で被覆すると、良好な研磨特性を得ることができる。また、「シリカ粒子の被覆に使用されるセリアの量」とは、セリアの供給源の使用量から換算されるセリアの質量を意味する。
【0028】
セリアコートシリカ粒子の製造方法としては、シリア粒子にセリアを沈着させることで行うことができる。例えば、硝酸セリウムを溶解させた水溶液をシリカ粒子の分散液に滴下してシリカ粒子上にセリアを沈着させる方法や、硝酸アンモニウムセリウムの熱加水分解による方法やアルコキシドを用いた方法等、シリカ粒子上に水酸化セリウム又は酸化セリウムを生成できる方法であれば、従来から公知のいずれの方法でもよい。シリカ粒子上に水酸化セリウムを生成する場合は、焼成により水酸化セリウムを酸化セリウムにすればよい。これらの方法で生成されたセリアコートシリカ粒子は、焼成によって相互にくっついた粒子同士が分離するようにほぐされてから用いてもよい。
【0029】
本発明の研磨液組成物中の前記セリアコートシリカ粒子(成分B)の含有量は、前記共重合体(成分A)とセリアコートシリカ粒子(成分B)と前記水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、研磨選択性向上、及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上、更により好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更により好ましくは1.5質量%以下である。
【0030】
本発明の研磨液組成物中の前記共重合体(成分A)と前記セリアコートシリカ粒子(成分B)の質量比(共重合体の質量/セリアコートシリカ粒子の質量)は、研磨選択性向上及び研磨傷の低減の観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは1以下である。
【0031】
[水系媒体:成分C]
本発明の研磨液組成物は、水系媒体を含有する。水系媒体としては、水、及び水と水に可溶な溶媒との混合物が挙げられる。前記水に可溶な溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールが挙げられ、研磨工程での安全性の観点からエタノールが好ましい。また、前記水系媒体としては、半導体基板の品質向上の観点からイオン交換水、蒸留水、超純水等の水からなるとより好ましい。
【0032】
本発明の研磨液組成物中の水系媒体(成分C)の含有量は、共重合体(成分A)とセリアコートシリカ粒子(成分B)と水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、共重合体(成分A)とセリアコートシリカ粒子(成分B)とを除いた残余であればよい。
【0033】
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、pH調整剤、成分(B)以外の研磨助剤等を含有してもよい。これらの任意成分の含有量は、酸化珪素膜の研磨速度確保の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.0025質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、研磨選択性の向上の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。
【0034】
[研磨液組成物]
本発明の研磨液組成物は、(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体(成分A)、セリアコートシリカ粒子(成分B)及び水系媒体(成分C)を含有する。本発明の研磨液組成物は、例えば、前記(メタ)アクリル酸と2-アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、前記水系媒体及び前記セリアコートシリカ粒子の水分散液を混合する工程を含む製造方法によって製造できる。好ましくは、研磨助剤としての(メタ)アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体の水スラリーを水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液と、セリアコートシリカ粒子を水系媒体に分散して得られるセリアコートシリカ粒子分散液とを用意し、研磨助剤水溶液を攪拌しながら、前記セリアコートシリカ粒子分散液と、必要に応じて前記pH調整剤等のその他の成分を、研磨助剤水溶液に添加(滴下)して研磨液組成物を得ることができる。
【0035】
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨装置の保護、酸化珪素膜の研磨速度向上、研磨選択性向上、及びセリアコートシリカ粒子の分散性向上の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、更により好ましくは5.5以上であり、研磨条件の制御容易性の向上、研磨選択性の向上、窒化珪素膜の研磨抑制及びセリアコートシリカ粒子の分散性向上の観点から、好ましくは9以下、より好ましくは8.5以下、更に好ましくは7.5以下、更により好ましくは6.5以下である。尚、pHの測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
【0036】
本発明の研磨液組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、そのpHを調整して用いることができる。低く調整する場合に用いられるpH調整剤としては、酸性化合物であれば特に限定されないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、及びリンゴ酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、汎用性の観点から、塩酸、硝酸及び酢酸が好ましく、塩酸及び酢酸がより好ましい。
【0037】
研磨液組成物のpHを高く調整する場合に用いられるpH調整剤としては、アルカリ性化合物であれば特に限定されないが、例えば、アンモニア、及び水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物、アルキルアミン、及びアルカノールアミン等の有機アルカリ化合物が挙げられる。なかでも、半導体基板の品質向上の観点から、アンモニア及びアルキルアミンが好ましく、アンモニアがより好ましい。
【0038】
成分(B)以外の研磨助剤としては、セリアコートシリカ粒子の分散性向上の観点から、アニオン性化合物及びノニオン性化合物が好ましく、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、ポリアクリル酸等のアニオン性ポリマー、アルキルエーテル酢酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、及びアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリアクリルアミド等のノニオン性ポリマー、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0039】
本願の研磨液組成物の実施形態は、全ての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型に限定されず、使用時混合されるいわゆる2液型であってもよい。2液型の研磨液組成物では、上記水系媒体が、第1水系媒体と第2水系媒体とに分かれており、研磨液組成物は、例えば、セリアコートシリカ粒子と(メタ)アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体の一部を第1水系媒体に分散して得られるセリアコートシリカ粒子分散液と、残余の(メタ)アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体を第2水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液とから構成してもよい。
【0040】
セリアコートシリカ粒子分散液と研磨助剤水溶液の混合は、研磨対象の表面への供給前に行われてもよいし、これらは別々に供給されて被研磨基板の表面上で混合されてもよい。
【0041】
尚、上記において説明した各成分の含有量は、研磨工程での使用時における含有量であるが、本実施形態の研磨液組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存および供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して研磨工程で使用することができる。希釈割合としては5〜100倍が好ましい。
【0042】
[半導体基板の製造方法]
本発明の研磨液組成物は、半導体基板の素子分離構造を形成する工程で行われる研磨に好適に使用できる。本発明の半導体基板の製造方法の具体例としては、まず、シリコン基板を酸化炉内で酸素に晒すことよりその表面に二酸化シリコン層を成長させ、次いで、当該二酸化シリコン層上に窒化珪素(Si3N4)膜を、例えばCVD法(化学気相成長法)にて形成する。次に、シリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された窒化珪素膜とを含む基板、例えば、シリコン基板の二酸化シリコン層上に窒化珪素膜が形成された基板に、フォトリソグラフィー技術を用いてトレンチを形成する。次いで、例えば、シランガスと酸素ガスを用いたCVD法により、トレンチ埋め込み用の酸化珪素(SiO2)膜を形成し、窒化珪素膜が酸化珪素膜で覆われた被研磨基板を得る。酸化珪素膜の形成により、前記トレンチは酸化珪素膜の酸化珪素で満たされ、窒化珪素膜の前記シリコン基板側の面の反対面は酸化珪素膜によって被覆される。
【0043】
このようにして形成された酸化珪素膜のシリコン基板側の面の反対面は、下層の凸凹に対応して形成された段差を有する。次いで、CMP法により、酸化珪素膜を、少なくとも窒化珪素膜のシリコン基板側の面の反対面が露出するまで研磨し、より好ましくは、酸化珪素膜の表面と窒化珪素膜の表面とが面一になるまで酸化珪素膜を研磨する。本発明の研磨液組成物は、このCMP法による研磨を行う工程に用いられる。CMP法による研磨では、被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で、研磨液組成物をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面の凹凸部分を平坦化させる。尚、本発明の半導体基板の製造方法において、シリコン基板の二酸化シリコン層と窒化珪素膜の間に他の絶縁膜が形成されていてもよいし、酸化珪素膜と窒化珪素膜の間に他の絶縁膜が形成されていてもよい。
【0044】
研磨パッドの回転数は、研磨液組成物が1液型、2液型のいずれであっても、30〜200r/minが好ましく、45〜150r/minがより好ましく、60〜100r/minが更に好ましい。被研磨基板の回転数は、130〜200r/minが好ましく、45〜150r/minがより好ましく、60〜100r/minが更に好ましい。
【0045】
研磨パッドを備えた研磨装置に設定される研磨荷重は、研磨液組成物が1液型、2液型のいずれであっても、荷重が大きすぎることに起因して生じる平坦化への悪影響および傷の発生を抑制する観点から、500g重/cm2以下が好ましく、400g重/cm2以下がより好ましく、350g重/cm2以下が更に好ましい。一方、研磨時間の短縮化の観点から、20g重/cm2以上が好ましく、50g重/cm2以上がより好ましく、100g重/cm2以上が更に好ましい。
【0046】
研磨液組成物の供給速度は、研磨の効率性の観点から、500mL/min以下が好ましく、400mL/min以下がより好ましく、300mL/min以下が更に好ましい。一方、研磨液組成物の供給速度は、酸化珪素膜の研磨速度向上の観点から、10mL/min以上が好ましく、30mL/min以上がより好ましい。
【0047】
本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関する。
【0048】
<1> 窒化珪素膜上の酸化珪素膜を研磨する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物であって、下記成分A〜Cを含む、酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
成分A:アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体
成分B:シリカ粒子と前記シリカ粒子の表面の少なくとも一部を覆う粒状セリアとを含むセリアコートシリカ粒子
成分C:水系媒体
<2> 前記成分Aにおけるモル比((メタ)アクリル酸モノマーのモル数/ビニル基を持つスルホン酸モノマーのモル数)は、好ましくは(60/40)以上、より好ましくは(70/30)以上、更により好ましくは(80/20)以上、更により好ましくは(85/15)以上であり、好ましくは(98/2)以下、より好ましくは(95/5)以下、更により好ましくは(92.5/7.5)以下、更により好ましくは(91/9)以下である、前記<1>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<3> 前記共重合体の重量平均分子量が、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上であり、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは25000以下である、前記<1>又は<2>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<4> 前記成分Aが、好ましくは、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体、そのアルカリ金属、及びそのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<5> 前記成分Bが、平均一次粒子径が好ましくは15nm以上300nm以下のシリカ粒子を、平均一次粒子径が好ましくは5nm以上40nm以下の粒状セリアで被覆され、且つセリアとシリカの質量比(セリア/シリカ)が好ましくは0.25以上2以下のセリアコートシリカ粒子である、前記<1>から<4>のいずれかの項に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<6> 前記粒状セリアの平均一次粒子径が、より好ましくは7.5nm以上、更に好ましくは10nm以上であり、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは25nm以下である、前記<5>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<7> 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは40nm以上であり、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下である、前記<5>又は<6>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<8> 前記セリアコートシリカ粒子における、質量比(セリア/シリカ)が、好ましくは0.33以上、より好ましくは0.4以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である、前記<5>から<7>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<9> 前記セリアコートシリカ粒子の平均一次粒子径が、好ましくは30nm以上、より好ましくは45nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である、前記<1>から<8>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<10> 前記酸化珪素膜研磨用研磨液組成物中の前記成分Aの含有量が、前記共重合体(成分A)とセリアコートシリカ粒子(成分B)と前記水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更により好ましくは0.25質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更により好ましくは0.75質量%以下である、前記<1>から<9>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<11> 前記酸化珪素膜研磨用研磨液組成物中の前記(成分B)の含有量が、前記共重合体(成分A)と前記セリアコートシリカ粒子(成分B)と前記水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上、更により好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更により好ましくは1.5質量%以下である、前記<1>から<10>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<12> 前記酸化珪素膜研磨用研磨液組成物中の前記共重合体(成分A)と前記セリアコートシリカ粒子(成分B)の質量比(共重合体の質量/セリアコートシリカ粒子の質量)が、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは1以下である、前記<1>から<11>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<13> 前記酸化珪素膜研磨用研磨液組成物の25℃におけるpHが、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、更により好ましくは5.5以上であり、好ましくは9以下、より好ましくは8.5以下、更に好ましくは7.5以下、更により好ましくは6.5以下である、前記<1>から<12>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<14> 前記水系媒体が、第1水系媒体と第2水系媒体とに分かれており、
前記酸化珪素膜研磨用研磨液組成物は、セリアコートシリカ粒子(成分B)と前記成分Aの一部を前記第1水系媒体に分散して得られるセリアコートシリカ粒子分散液と、残余の前記成分Aを第2水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液とから構成される2液型である、前記<1>から<13>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<15> アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体(成分A)、シリカ粒子と前記シリカ粒子の表面の少なくとも一部を覆う粒状セリアとを含むセリアコートシリカ粒子(成分B)、及び水系媒体(成分C)を混合する工程を含む、酸化珪素膜研磨用研磨液組成物の製造方法。
<16> 前記工程において、(メタ)アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体の水スラリーを水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液と、セリアコートシリカ粒子を水系媒体に分散して得られるセリアコートシリカ粒子分散液とを混合する、前記<15>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物の製造方法。
<17> シリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された窒化珪素膜とを含む基板にトレンチを形成した後、トレンチ埋め込み用の酸化珪素膜を前記基板上に形成し、前記酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて少なくとも前記窒化珪素膜上の酸化珪素膜が除去されるまで研磨した後、前記窒化珪素膜をシリコン基板上から除去することにより、シャロートレンチ素子分離構造を形成する、ことを含む半導体基板の製造方法おいて、
前記研磨液組成物が、前記<1>から<14>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物である半導体基板の製造方法。
【実施例】
【0049】
1.研磨液組成物の調製
〔研磨液組成物の調製例1〕
成分(B)としてアクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体と、イオン交換水とを均一に混合し、研磨助剤水溶液を得た。前記研磨助剤水溶液を攪拌しながら、当該水溶液中に、セリアコートシリカ粒子分散液(分散媒:イオン交換水)と、pH調整剤としての1N塩酸水溶液を加え、更にイオン交換水を加えて濃度調整を行い、実施例1の研磨液組成物を得た。各成分の質量比は、表1に記載した研磨液組成物の組成及びpHとなるように、調整した。
【0050】
〔研磨液組成物の調製例2〕
表1に記載した研磨液組成物の組成及びpHとなるように、各成分の量を調整した他は、前記研磨液組成物の調製例1と同様の方法で、実施例2〜19及び比較例1〜5の研磨液組成物を得た。pH調整剤としては、pHを低く調整する場合は1mol/L塩酸を用い、pHを高く調整する場合は1質量%アンモニア水を用いた。
【0051】
[セリアコートシリカ粒子の製造方法]
(1)<セリアコートシリカ粒子の製造方法1>
実施例1〜12、比較例4〜5の研磨液組成物の調製に用いたセリアコートシリカ粒子の製造方法は下記の通りである。
まず、平均一次粒子径が80nmの球状シリカ粒子(日揮触媒化成工業製、カタロイドSI−80PW)の20質量%水分散液を調製し、当該球状シリカ水分散液に、CeO2原料として硝酸セリウムを溶解させた水溶液を滴下し、同時に3質量%のアンモニア水溶液を別途滴下して、pHを約8に維持しながらセリウムをシリカ上に沈着させた。この滴下の間、球状シリカ水分散液は50℃に維持するために加温した。滴下終了後、反応液を100℃に4時間の加熱することにより熟成して、沈着させたセリアを結晶化させた。その後、得られた粒子を濾別、水での洗浄を十分に実施したのち、乾燥機にて100℃で乾燥させた。この状態で得られた乾燥粉を研磨液組成物の調製に使用してもよいが、ここでは更に乾燥粉について1000℃で2時間焼成を行った後、焼成によって相互にくっついた粒子同士を分離するために得られた焼成粉末をほぐして平均一次粒子径が110nmのセリアコートシリカ粒子を得た。当該セリアコートシリカ粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、シリカ粒子表面が粒状セリアで被覆されていた。
【0052】
(2)<セリアコートシリカ粒子の製造方法2>
実施例13〜15の研磨液組成物の調製に用いたセリアコートシリカ粒子の製造方法は下記の通りである。
CeO2原料として使用する硝酸セリウム量を<セリアコートシリカ粒子の製造方法1>の場合の1/3量としたこと以外は、<セリアコートシリカ粒子の製造方法1>と同様の方法にて平均一次粒子径が110nmのセリアコートシリカ粒子を得た。当該セリアコートシリカ粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、シリカ粒子表面が粒状セリアで被覆されていた。
【0053】
(3)<セリアコートシリカ粒子の製造方法3>
実施例16〜17の研磨液組成物の調製に用いたセリアコートシリカ粒子の製造方法は下記の通りである。
平均一次粒子径が80nmの球状シリカ粒子(日揮触媒化成工業製、カタロイドSI−80PW)の20質量%水分散液に代えて、平均一次粒子径が45nmの球状シリカ粒子(日揮触媒化成工業製、カタロイドSI−45P)の20質量%水分散液を用いたこと以外は、<セリアコートシリカ粒子の製造方法1>と同様の方法にて平均一次粒子径が65nmのセリアコートシリカ粒子を得た。当該セリアコートシリカ粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、シリカ粒子表面が粒状セリアで被覆されていた。
【0054】
(4)<セリアコートシリカ粒子の製造方法4>
実施例18〜19の研磨液組成物の調製に用いたセリアコートシリカ粒子の製造方法は下記の通りである。
平均一次粒子径が80nmの球状シリカ粒子(日揮触媒化成工業製、カタロイドSI−80PW)の20質量%水分散液に代えて、平均一次粒子径が120nmの球状シリカ粒子(日揮触媒化成工業製、カタロイドSI−120P)の20質量%水分散液を用いたこと以外は、<セリアコートシリカ粒子の製造方法1>と同様の方法にて平均一次粒子径が160nmのセリアコートシリカ粒子を得た。
【0055】
[アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体の製造方法]
実施例1〜19の研磨液組成物の調製に用いたアクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体の製造方法は以下の通りである。アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸とのモル比が90:10又は80:20となるようにこれらを重合して共重合体を得た。まず、イオン交換水125gを98℃に昇温し、ここに各モノマーを所定量同時に滴下するとともに、イオン交換水で希釈した開始剤である過硫酸アンモニウムを滴下し、重合を開始した。反応液の温度を約98℃に保持したまま重合を続行し、所定時間経過後、反応液に35質量%過酸化水素水を添加して重合を終了させた。その後、反応液の温度を40℃にまで下げた後、反応液をアンモニア水にて中和して共重合体を得た。共重合体の重量平均分子量の制御は、開始剤濃度を調整することで行った。
【0056】
比較例の研磨液組成物の調製の際、比較例1〜5では、ポリマーとしてポリアクリル酸を用い、比較例1〜3では研磨粒子として,下記の粉砕法で製造されたセリア粒子(平均一次粒子径135nm、平均結晶子径20nm)の水分散液(バイコウスキー社製、固形分40質量%、分散媒:イオン交換水)を用いた。
【0057】
研磨液組成物のpH、セリアコートシリカ粒子の平均一次粒子径、セリアコートシリカ粒子の製造に用いたシリカ粒子の平均一次粒子径及びセリアコートシリカ粒子中の粒状セリアの平均一次粒子径は以下の方法により測定した。
【0058】
(a)研磨液組成物のpH測定
研磨液組成物の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定した値であり、電極の研磨液組成物への浸漬後1分後の数値である。
【0059】
(b)セリアコートシリカ粒子の平均一次粒子径
セリアコートシリカ粒子の平均一次粒子径は、固形分濃度が0.1質量%のセリアコートシリカ粒子スラリーを準備し、これをマルバーン社製、ゼータサイザーナノZS(動的光散乱法)にて測定し、得られた体積平均粒子径を平均一次粒子径とした。
【0060】
(c)シリカ粒子の平均一次粒子径
セリアコートシリカ粒子の原料であるシリカ粒子の体積平均粒子径(nm)は固形分濃度が0.1質量%のシリカ粒子スラリーを準備し、これをマルバーン社製、ゼータサイザーナノZS(動的光散乱法)にて測定し、得られた体積平均粒子径を平均一次粒子径とした。セリアコート後のシリカ粒子の平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)より得られる画像を用い、シリカ粒子50個の大きさを計測し、これらを平均して得た。
【0061】
(d)粒状セリアの平均一次粒子径
シリカ粒子上の粒状セリアの平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)より得られる画像を用い、シリカ粒子上の粒状セリア100個の粒子径を計測し、これらを平均して得た。別法として、セリアコートシリカ粒子の粉体を粉末X線回折測定にかけ、29〜30°付近に出現するセリアの(1,1,1)面のピークの半値幅、回折角度を用い、シェラー式より得られる結晶子径を平均一次粒子径としてもよい。
シェラー式:結晶子径(Å)=K×λ/(β×cosθ)
K:シェラー定数、λ:X線の波長=1.54056Å、β:半値幅、θ:回折角2θ/θ
【0062】
(e)ポリマーの重量平均分子量の測定方法
実施例1〜19、比較例1〜5の研磨液組成物の調製に用いたポリマーの重量平均分子量の測定方法は下記の通りである。
ポリマーの重量平均分子量は、液体クロマトグラフィー(株式会社日立製作所製、L−6000型高速液体クロマトグラフィー)を使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって下記条件で測定した。
検出器:ショーデックスRI SE−61示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製のG4000PWXLとG2500PWXLを直列につないだものを使用した。
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=90/10(容量比)で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
標準ポリマー:重量平均分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
【0063】
2.研磨液組成物(実施例1〜19、比較例1〜5)の評価
[試験片の作成]
シリコンウェーハの片面に、TEOS−プラズマCVD法で厚さ2000nmの酸化珪素膜(酸化膜)を形成したものから、40mm×40mmの正方形片を切り出し、酸化膜試験片を得た。同様に、シリコンウェーハの片面に、CVD法で厚さ300nmの窒化珪素膜(窒化膜)を形成したものから、40mm×40mmの正方形片を切り出し、窒化膜試験片を得た。
【0064】
[酸化膜の研磨速度の測定]
研磨装置として、定盤径300mmのムサシノ電子社製「MA−300」を用いた。また、研磨パッドとしては、ニッタ・ハース社製の硬質ウレタンパッド「IC−1000/Sub400」を用いた。前記研磨装置の定盤に、前記研磨パッドを貼り付けた。前記試験片をホルダーにセットし、試験片の酸化珪素膜を形成した面が下になるように(酸化膜が研磨パッドに面するように)ホルダーを研磨パッドに載せた。さらに、試験片にかかる荷重が300g重/cm2となるように、錘をホルダーに載せた。研磨パッドを貼り付けた定盤の中心に、研磨液組成物を50mL/minの速度で滴下しながら、定盤及びホルダーのそれぞれを同じ回転方向に90r/minで2分間回転させて、酸化膜試験片の研磨を行った。研磨後、超純水を用いて洗浄し、乾燥して、酸化膜試験片を後述の光干渉式膜厚測定装置による測定対象とした。
【0065】
研磨前及び研磨後において、光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン社製「ラムダエースVM−1000」)を用いて、酸化膜の膜厚を測定した。酸化膜の研磨速度は下記式により算出した。酸化膜の研磨速度を下記表1に示す。
酸化膜の研磨速度(nm/min)
=[研磨前の酸化膜厚さ(nm)−研磨後の酸化膜厚さ(nm)]/研磨時間(min)
【0066】
[窒化膜の研磨速度の測定]
試験片として酸化膜試験片の代わりに窒化膜試験片を用いること以外は、前記[酸化膜の研磨速度の測定]と同様に、窒化膜の研磨、膜厚の測定及び研磨速度の算出を行った。窒化膜の研磨速度を下記表1に示す。
【0067】
[研磨速度比]
窒化膜の研磨速度に対する酸化膜の研磨速度の比を研磨速度比とし、下記式により算出した。研磨速度比の値が大きいほど、研磨選択性が良好であるため、段差解消に対する能力が高い。結果を下記表1に示す。
研磨速度比=酸化膜の研磨速度(nm/min)/窒化膜の研磨速度(nm/min)
【0068】
[研磨傷(スクラッチ数)の測定方法]
測定機器:光学顕微鏡(ビジョンテック社製、VMX-3100)
評価:研磨後、洗浄及び乾燥した、酸化膜試験片及び窒化膜試験片を平坦基板に貼り付け、光源を照射後、暗視野条件で観察して、研磨傷を計測した。尚、本開示において「研磨傷」とは、光学顕微鏡により検出される長さが1μm以上の傷である。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示されるように、研磨粒子としてセリアコートシリカ粒子を用い、ポリマーとしてアクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体を用いた実施例1〜19の研磨液組成物を用いた場合は、比較例の研磨液組成物を用いるよりも、高い生産性の為の必要な酸化膜の研磨速度を確保しながら、研磨選択性が優れ且つ研磨傷の低減も少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の研磨液組成物は、高い生産性の為の必要な酸化膜の研磨速度を確保しながら、研磨選択性の向上と研磨傷の低減が可能であるので、例えば、高密度化又は高集積化用の半導体基板の製造方法において有用である。