【解決手段】呼制御装置は、ネットワークとの間で信号を入出力するインタフェース204と、発信者情報検索部202と、検索ID及び発信者に対応する発信者情報を、認証情報と対応させて記憶する発信者情報データベース203と、発信機から受信した受信機への呼接続信号に所定の文字列が含まれている場合には、認証情報の入力を促すガイダンスを発信機に送信し、発信機から受信した認証情報を発信者情報検索部に通知し、発信者情報検索部から通知された検索IDを、受信機へ送信される呼接続信号に付加して送信する通信制御部201と、を備える。発信者情報検索部は、通知された認証情報に基づいて発信者情報データベースから検索IDを検索し、検索された検索IDを通信制御部に通知し、検索IDに基づいて発信者情報データベースから発信者情報を検索して検索された発信者情報を受信機に送信する。
ネットワークを介して接続された呼制御装置からの呼接続信号を処理して発信機との間の通話を制御するとともに、前記呼接続信号に含まれる検索IDを抽出する電話機能部と、
抽出された前記検索IDを前記電話機能部から取得して前記検索IDを前記呼制御装置に送信し、前記呼制御装置から前記検索IDに対応する発信者情報を受信する発信者情報取得部と、
前記発信者情報取得部で受信された前記発信者情報を外部に出力する発信者情報出力部と、
前記ネットワークとの間で信号を入出力するインタフェースと、
を備える受信機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の通信システム10の構成を示すブロック図である。通信システム10は、発信機1、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ2、IP(Internet Protocol)ネットワーク3、受信機4を備える。SIPは、IPネットワークで広く用いられている、電話のための呼制御プロトコルである。
【0017】
発信機1は、発信者が使用する、SIPに対応していない端末である。発信機1は、例えば、公衆電話網や移動電話網とのインタフェースを持つ固定電話あるいは移動電話である。発信機1は、PB(push button)信号(例えばトーンダイヤル信号)を発生するキーを備える。
【0018】
受信機4は、受信者が使用する、SIPに対応した端末である。すなわち、受信機4は、SIPサーバ2との間でSIPメッセージによる呼制御が可能な、移動電話あるいは固定電話である。
【0019】
発信機1、SIPサーバ2及び受信機4は、IP(Internet Protocol)ネットワーク3を介してSIPサーバ2及び発信機1と接続されている。IPネットワーク3は、SIPによるトラフィックを伝送可能なIPパケット網であり、発信機1とIPネットワーク3との境界にSIPゲートウェイ301を備える。
【0020】
SIPゲートウェイ301は、SIPに対応しない電話機を、IPネットワーク及びSIPサーバに接続するための、プロトコル変換装置である。本実施形態では、発信機1は、SIPゲートウェイ301を介してSIPサーバ2及び受信機4と接続される。SIPゲートウェイは、発信機1のキーの操作により発生したPB信号が示す文字及び記号を、IPパケットに変換してSIPサーバに通知する。このような機能を備えるSIPゲートウェイ301の一般的な構成及び機能はよく知られているので、SIPゲートウェイ301に関する詳細な説明は省略する。
【0021】
図2は、発信機1の構成を示すブロック図である。発信機1は、電話機能部101、入力部102及びインタフェース104を備える。電話機能部101は、受信機4との間で通話を行うためのマイク、スピーカ等の音声インタフェース機能及び呼制御を含む発信機1の全体を制御する機能を備える。
【0022】
入力部102は、文字及び記号に対応するPB信号を発生させるキーである。入力部102は、0−9の数字及び「*」(星印)、「#」(ナンバーキー)に対応する複数のボタンを備える。入力部102は、受信機4の電話番号などの、文字列の入力に用いられる。発信者は、入力部102を操作して発生させたPB信号によって、0−9の数字及び「*」、「#」記号をIPネットワーク3へ送出できる。なお、入力部102で入力可能な文字は、後述するSIPゲートウェイ301及びSIPサーバ2で処理可能な文字であれば、0−9の数字、「*」記号及び「#」記号に限定されない。
【0023】
インタフェース104は、発信機1が接続された電話回線とのインタフェース回路である。SIPゲートウェイ301と発信機1との間の通信は、インタフェース104を介して行われる。SIPサーバ2及び受信機4がそれぞれ備えるインタフェースとインタフェース104との間で送受信される信号のプロトコルは、SIPゲートウェイ301において変換される。
【0024】
発信機1は、さらに、CPU(central processing unit、中央処理装置)105及びメモリ106を備えていてもよい。メモリ106は、例えば不揮発性の半導体メモリであるが、これには限定されない。メモリ106は、CPU105において実行されるプログラムを記憶する。CPU105は、メモリ106に記憶されたプログラムを実行することで、電話機能部101、入力部102及びインタフェース104の機能を含む、発信機1の全体の機能を実現してもよい。CPU105及びメモリ106は、電話機能部101に含まれていてもよい。
【0025】
発信者は、発信機1から受信機4への発呼の際に、受信機4の電話番号の前に特定の識別番号(以下、「特番」という。)を付加して発呼する。特番及び電話番号は、発信者が入力部102を操作することによって発信機1に入力される。特番は、記号及び数字の組合せからなる所定の文字列であり、例えば、「**11」である。通信システム10で用いられる特番は、予めSIPサーバ2に設定される。特番及び受信機4の電話番号を含む発呼信号は、SIPゲートウェイ301を介してSIPサーバ2へ送信される。
【0026】
電話機能部101は、受信機4への発呼後に認証情報の入力を促すガイダンスをIPネットワーク3から受信すると、受信したガイダンスを再生し、発信者に認証情報の入力を促す。認証情報は、発信機1の電話番号とは独立に定められた、発信者に対応する情報である。認証情報の例については後述する。電話機能部101は、ガイダンスへの応答として入力された認証情報を、SIPサーバ2に送信する。ガイダンスは、一般には音声信号として通知される。しかし、発信機1において再生可能であれば、ガイダンスは音声でなくともよい。
【0027】
図3は、SIPサーバ2の構成を示すブロック図である。SIPサーバ2は、通信制御部201、発信者情報検索部202、発信者情報データベース203及びインタフェース204を備える。
【0028】
通信制御部201は、SIPによる呼制御を行う制御回路である。発信者情報検索部202はデータベースの制御回路である。発信者情報検索部202は、入力された情報をキーとして、発信者情報データベース203に登録された、キーに対応する情報を発信者情報データベース203から取得する。発信者情報データベース203は、発信者の情報を認証情報及び検索IDと対応づけて記憶する。発信者情報データベース203の構成例については後述する。
【0029】
インタフェース204は、SIPサーバ2とIPネットワーク3との間のインタフェースである。SIPサーバ2と、IPネットワーク3に接続された機器との通信は、インタフェース204を介して行われる。
【0030】
SIPサーバ2は、さらに、CPU205及びメモリ206を備えていてもよい。メモリ206は、例えば不揮発性の半導体メモリであるが、これには限定されない。メモリ206は、CPU205において実行されるプログラムを記憶する。CPU205は、メモリ206に記憶されたプログラムを実行することで、通信制御部201、発信者情報検索部202、発信者情報データベース203及びインタフェース204の機能を含む、SIPサーバ2の全体の機能を実現してもよい。
【0031】
発信機1からの発呼信号は、SIPサーバ2の、通信制御部201で受信される。通信制御部201は、発呼信号に特番が付加されているかどうかを確認する。発呼信号に特番が付加されている場合には、通信制御部201は、認証情報の入力を促すためのガイダンスを発信機1へ送出する。
【0032】
SIPサーバ2から送出されたガイダンスが発信機1で再生されると、発信者は、ガイダンスに従って、入力部102を用いて認証情報を入力する。認証情報はPB信号として発信機1からSIPゲートウェイ301へ送信される。PB信号はSIPゲートウェイ301でIPパケットに変換されてSIPサーバ2の通信制御部201へ送信される。通信制御部201は、受信した認証情報に対応する検索IDの取得を発信者情報検索部202へ要求する。検索IDの例については後述する。
【0033】
発信者情報検索部202は、発信者情報データベース203に対して、認証情報に対応する検索IDの検索を要求する。検索IDは、認証情報に対応する、発信者情報を検索するための情報である。発信者情報検索部202は、発信者情報データベース203から検索IDを取得すると、取得した検索IDを、検索IDの取得の要求に対する応答として通信制御部201へ通知する。
【0034】
通信制御部201は、通知された検索IDをSIP−INVITEメッセージに付加して受信機4へ送信する。以上の手順により、検索IDが付加されたSIP−INVITEメッセージが、発呼信号としてSIPサーバ2から受信機4に送信される。
【0035】
図4は、受信機4の構成を示すブロック図である。受信機4は、電話機能部401、発信者情報取得部402、発信者情報表示部403及びインタフェース404を備える。電話機能部401は、発信機1との間で通話を行うためのマイク、スピーカ等の音声インタフェース機能及び呼制御を含む受信機4の全体を制御する機能を備える。
【0036】
インタフェース404は、受信機4とIPネットワーク3との間のインタフェースである。IPネットワーク3に接続された機器と受信機4との間の通信は、インタフェース404を介して行われる。
【0037】
受信機4は、さらに、CPU405及びメモリ406を備えていてもよい。メモリ406は、例えば不揮発性の半導体メモリであるが、これには限定されない。メモリ406は、CPU405において実行されるプログラムを記憶する。CPU405は、メモリ406に記憶されたプログラムを実行することで、電話機能部401、発信者情報取得部402、発信者情報表示部403及びインタフェース404の機能を含む、受信機4の全体の機能を実現してもよい。CPU405及びメモリ406は、電話機能部401に含まれていてもよい。
【0038】
電話機能部401は、検索IDが付加されたSIP−INVITEメッセージをSIPサーバ2から受信すると、受信したSIP−INVITEメッセージを処理して発信機1との通話を確立する。さらに、電話機能部401は、SIP−INVITEメッセージに検索IDが含まれている場合には、検索IDを発信者情報取得部402に通知する。
【0039】
発信者情報取得部402は、電話機能部401から検索IDを取得すると、SIPサーバ2にアクセスする。そして、発信者情報取得部402は、SIPサーバ2の発信者情報データベース203から発信者情報を取得し、発信者情報表示部403を用いて受信者に発信者情報を通知する。
【0040】
図5は、発信者情報データベース203に登録されている発信者情報の例を示す図である。発信者情報データベース203には、予め発信者情報が登録されている。
図3に示される発信者情報には、認証情報及びそれに対応する検索ID、氏名、電話番号、画像が含まれる。発信者情報データベース203に登録される電話番号は、発信機1の電話番号と同一である必要はない。1個の認証情報に対して、複数の電話番号が登録されていてもよい。また、発信者情報の内容は、
図5の例には限定されない。例えば、発信者情報データベース203には、発信者のメールアドレスや、発信者に関連する情報が記載されたWebページのURL(Uniform Resource Locator)が登録されていてもよい。
【0041】
図6は、第1の実施形態の通信システム10の動作シーケンスの例を示す図である。
図6は、発信機1、SIPサーバ2及び受信機4の上述の動作をまとめて示す。なお、
図6では、インタフェース104、204、404及びネットワーク3並びにSIPゲートウェイ301の記載は省略されている。
【0042】
発信者は、入力部102を用いて、特番及び受信機4の電話番号を入力する(ステップS1の「ダイヤル入力」)。例えば、特番が「**11」であり、受信機4の電話番号が「1234567891」である場合には、発信者は、入力部102を使用して「**111234567891」という文字列(ダイヤル文字列)を入力する。
【0043】
発信機1が受信機4に発呼すると、発信者が発信機1に入力したダイヤル文字列は、IPネットワーク3を介して、発呼信号に含まれてSIPサーバ2へ送信される(S2)。SIPサーバ2の通信制御部201は、ダイヤル文字列に特番が含まれているか否かを確認する(S3)。ダイヤル文字列に特番が含まれている場合には、通信制御部201は、発信者による認証情報の入力を要求するガイダンスを、発信機1へ送出する(S4)。ダイヤル番号に特番が含まれていない場合には、通信制御部201は、ガイダンスを送出することなく、ダイヤル文字列に含まれる電話番号に対する通常の発呼処理を行う。
【0044】
発信者は、再生されたガイダンスに従い、入力部102を使用して認証情報を入力する(S5)。ここでは、認証情報として、発信者によって「12345678」が発信機1に入力された場合について説明する。認証情報は、発信者情報データベース203において発信者情報と関連づけられて登録されている。
【0045】
発信者によって入力された認証情報「12345678」は、発信機1からSIPサーバ2の通信制御部201へ送信される(S6)。通信制御部201は、認証情報を受信すると、発信者情報検索部202へ認証情報「12345678」を通知する。発信者情報検索部202へ認証情報を通知することによって、通信制御部201は、発信者情報検索部202に検索IDの取得を要求する(S7)。
【0046】
発信者情報検索部202は、発信者情報データベース203から、認証情報「12345678」に対応する発信者情報の検索IDを取得する(S8)。発信者情報データベース203が
図5に記載された構成を備える場合は、発信者情報検索部202は、認証情報「12345678」に対応する検索IDとして「1234abcd」を発信者情報データベース203から取得する。
【0047】
発信者情報検索部202は、取得した検索IDを通信制御部201に通知する(S9)。通信制御部201は、SIP−INVITEメッセージに、検索IDを付加して送信する(S10)。
【0048】
受信機4の電話機能部401は、SIPサーバ2から受信したSIP−INVITEメッセージに検索IDが付加されている場合には、発信機1との通話を確立する(S11)とともに、検索IDを抽出して発信者情報取得部402に通知する(S12)。
【0049】
受信機4の発信者情報取得部402は、検索ID「1234abcd」に対応する発信者情報を取得するために、SIPサーバ2の発信者情報検索部202に発信者情報取得要求を送信する(S13)。発信者情報取得要求には、検索ID「1234abcd」が含まれる。発信者情報取得部402は、SIPサーバ2へのアクセスに、HTTP(Hyper Text Transport Protocol)やHTTPS(HTTP over transport layer security)などの一般的な通信プロトコルを使用してもよい。発信者情報取得要求の送信先のアドレスには、SIPサーバ2のアドレスが用いられてもよい。あるいは、発信者情報取得要求の送信先のアドレスは、通信システム10の既定値として受信機4に予め通知されていてもよいし、検索IDに含まれていてもよい。
【0050】
SIPサーバ2の発信者情報検索部202は、検索ID「1234abcd」に対応する発信者情報(
図5においては、氏名、電話番号及び画像)を発信者情報データベース203から取得する(S14)。発信者情報検索部202は、発信者情報取得結果として、検索ID「1234abcd」に対応する発信者情報を発信者情報取得部402に送信する(S15)。
【0051】
発信者情報取得部402は、受信した発信者情報を発信者情報表示部403へ通知し、発信者情報の表示を要求する(S16)。発信者情報表示部403は、発信者情報を受信者に表示する(S17)。
【0052】
このようにして受信機4に表示される発信者情報は、発信者が入力した認証情報に対応する発信者情報である。すなわち、認証情報を知っている発信者のみが、発信機の電話番号に依存することなく、認証情報に対応する発信者情報を受信者に通知できる。
【0053】
以上説明したように、第1の実施形態の通信システム10によれば、実際の発信者の情報を受信者に通知できる。その理由は、発信者が入力した認証情報に対応する発信者情報が、受信機4に通知されるからである。また、第1の実施形態の通信システム10は、発信者と受信者との双方でSIPに対応した端末を用いる必要もない。その理由は、汎用的なPB信号によって認証情報の入力が行われるため、発信機には特別なハードウエアやソフトウエアが必要とされないからである。すなわち、発信者は、PB信号を出力することが可能な一般的な電話(例えば固定電話、携帯電話あるいは公衆電話)を発信機1として用いることができる。
【0054】
さらに、第1の実施形態の通信システム10によれば、発信者の成りすましを防ぐことができる。その理由は、受信者に通知したい発信者情報に対応する認証情報を知っている発信者だけが、当該発信者情報を受信者に通知できるからである。
【0055】
また、第1の実施形態の通信システム10によれば、異なる電話番号を持つ複数の発信機を発信者が使い分ける場合や、発信者が使用する発信機の電話番号が変更された場合でも、発信者自身の発信者情報を受信者に通知できる。さらに、同一の電話番号が複数の発信者で共用される場合も、発信者ごとに異なる発信者情報を受信者に通知できる。その理由は、発信者情報は認証情報と関連づけられて発信者情報データベース203に記憶されており、発信者情報は発信機の電話番号に依存しないからである。
【0056】
(第1の実施形態の第1の変形例)
第1の実施形態の
図6のステップS15では、SIPサーバ2の発信者情報検索部202は、検索IDに対応する氏名や画像等の発信者情報を、発信者情報取得部402に送信する。しかし、発信者情報検索部202は、ステップS15において、発信者情報が掲載されたWebページのURLを受信機4へ送信してもよい。この場合、受信機4の発信者情報取得部402は、ステップS15で受信したURLで示されるWebページにアクセスし、当該Webページの内容を取得して発信者情報表示部403へ通知する。そして、発信者情報表示部403は、発信者情報取得部402から通知されたWebページを表示することで、発信者情報を受信者に通知する。
【0057】
SIPサーバ2が、発信者情報が掲載されたURLのみを受信機4に通知することで、さらに、発信者情報データベースの記憶量の削減や、SIPサーバ2と受信機4との間のトラフィックの削減が可能という効果が得られる。
【0058】
一方、発信者情報のデータ量が小さい場合は、
図6のステップS10において、SIPサーバ2は、検索IDに代えて発信者情報そのものが付加されたSIP−INVITEメッセージを受信機4に送信してもよい。SIP−INVITEメッセージに発信者情報が含まれていた場合には、電話機能部401は、発信者情報をSIP−INVITEメッセージから抽出して発信者情報表示部403に通知し、発信者情報表示部403に発信者情報を表示させてもよい。この場合には、ステップS13−S15の手順が不要となるため、受信機4において迅速に発信者情報が表示されるとともに、検索IDに基づく発信者情報の取得によるIPネットワーク3のトラフィックが削減されるという効果が得られる。
【0059】
(第1の実施形態の第2の変形例)
図6において、SIPサーバ2から受信機4へのSIP−INVITEの送信(S10)以降、発信機1と受信機4との間の通話の確立手順(S11)と、発信者情報データベース203からの発信者情報の取得手順(S12−S17)とは、独立に行われてもよい。SIP−INVITEの通知(S10)により直ちに受信機4と発信機1との間の通話が確立される場合には、受信機4における発信者情報の取得手順の実行(S12−S17)による呼接続の遅延は生じない。
【0060】
一方、受信機4は、ステップS10におけるSIP−INVITEの受信後、直ちには発信機1との間の通話を確立させず、ステップS17において発信者情報の取得及び表示が完了した後、さらに、受信者の確認操作を待って、通話を確立させてもよい。受信機4での発信者情報の表示(S17)後、受信者が確認操作で通話を拒否した場合は、発信機1から受信機4への発呼手順は中止される。この場合、受信者は発信者情報を確認してから発信者と通話できるので、不詳な発信者からの電話を拒否できる。
【0061】
(第1の実施形態の第3の変形例)
発信者情報は、一般的には文字、図、画像等によって表示されるが、発信者情報は、音声、振動、ランプ(色、点滅)によって受信者に通知されてもよい。識別情報ごとに異なる音声の内容や振動の周期が発信者情報として受信機4に通知されることにより、受信者は、視覚によらず発信者を識別できる。いずれの方法により通知されるかは、受信機4の機能及び受信者による受信機4への設定により定められてもよい。例えば、発信者情報が受信機4で表示あるいは再生できる形式のデータであり、受信者が発信者情報の表示あるいは再生を許可した形態に一致する場合のみ、受信機4において発信者情報が表示あるいは再生されるように、受信機4が設定されてもよい。
【0062】
以上説明した、第1の実施形態の各変形例においても、発信機1がPB信号を出力可能な入力部を備えていれば、発信機1が携帯電話や公衆電話であっても、発信機1の電話プロトコルの種別を問わず、実際の発信者の情報を受信者に通知できる。
【0063】
そして、第1の実施形態の各変形例においても、発信者の成りすましを防ぐことができる。また、第1の実施形態の各変形例においても、異なる電話番号を持つ複数の発信機を発信者が使用する場合や、発信者が使用する発信機の電話番号が変更された場合でも、発信者自身の発信者情報を受信者に通知できる。さらに、第1の実施形態の各変形例においても、同一の電話番号が複数の発信者で共用される場合も、発信者ごとに異なる発信者情報を受信者に通知することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の
図3で説明したSIPサーバ2は、以下の第2の実施形態の呼制御装置として構成された場合も、実際の発信者の情報を受信者に通知するという効果を奏する。すなわち、第2の実施形態の呼制御装置には、発信者が操作する発信機1と、発信機の発呼先である受信機4と、がネットワーク3を介して接続されている。そして、第2の実施形態の呼制御装置は、発信者情報検索部202と、発信者情報データベース203と、通信制御部201と、インタフェース204と、を備える。
【0065】
発信者情報データベース203は、検索ID(Identification)と、発信者に対応する発信者情報とを、認証情報と対応させて記憶する。
【0066】
通信制御部201は、発信機1から受信した受信機4への呼接続信号に所定の文字列(すなわち、特番)が含まれている場合には、認証情報の入力を促すガイダンスを発信機1に送信する。通信制御部201は、発信機1から受信した認証情報を発信者情報検索部202に通知し、発信者情報検索部202から通知された検索IDを、受信機4へ送信される呼接続信号に付加して送信する。
【0067】
発信者情報検索部202は、認証情報が通知された場合には、通知された認証情報に基づいて発信者情報データベース203から検索IDを検索し、検索された検索IDを通信制御部201に通知する。また、発信者情報検索部202は、検索IDが通知された場合には、検索IDに基づいて発信者情報データベース203から発信者情報を検索して検索された発信者情報を受信機4に通知する。
【0068】
インタフェース204は、ネットワーク3と信号を入出力する送受信回路である。
【0069】
このような構成を備える呼制御装置は、発信者によって入力された認証情報に対応した検索IDを受信機4に通知し、受信機4から検索IDが通知された場合には検索IDに対応する発信者情報を受信機4に通知する。従って、呼制御装置は、入力された認証情報に対応する、実際の発信者の情報を受信者に通知することを可能とする。
【0070】
(第3の実施形態)
第1の実施形態の
図4で説明した受信機4は、以下の第3の実施形態の受信機として構成された場合も、実際の発信者の情報を受信者に通知することを可能とする。すなわち、第3の実施形態の受信機は、電話機能部401と、発信者情報取得部402と、発信者情報出力部403と、インタフェース404と、を備える。電話機能部401は、ネットワーク3を介して接続された呼制御装置(第2の実施形態の呼制御装置)からの呼接続信号を処理して発信機との間の通話を制御するとともに、呼接続信号に含まれる検索IDを抽出する。
【0071】
発信者情報取得部402は、抽出された検索IDを電話機能部401から取得して、検索IDを呼制御装置に通知し、呼制御装置から検索IDに対応する発信者情報を取得する。
【0072】
発信者情報出力部403は、発信者情報取得部402で取得された発信者情報を、文字、画像、音声、振動、ランプの色、ランプの点滅などによって、受信機4の外部に出力する。インタフェース404は、ネットワーク3と信号を入出力する、送受信回路である。
【0073】
このような構成を備える受信機は、呼制御装置から発信者の認証情報に対応した検索IDが通知された場合には、当該検索IDに対応する発信者情報を呼制御装置から取得する。従って、第3の実施形態の受信機は、発信者の認証情報に対応する、実際の発信者の情報を呼制御装置から取得して受信者に通知することを可能とする。
【0074】
(第4の実施形態)
第1の実施形態の
図2で説明した発信機1は、以下の第4の実施形態の発信機として構成された場合も、実際の発信者の情報を受信者に通知することを可能とする。すなわち、第4の実施形態の発信機は、電話機能部101と、入力部102と、インタフェース104と、を備える。
【0075】
入力部102は、ネットワークを介して接続された受信機4の電話番号、及び、所定の文字列(すなわち、特番)の入力に用いられる。インタフェース104は、ネットワーク3と信号を送受信する、送受信回路である。電話機能部101は、受信機4の電話番号及び入力部102で入力された文字列を含む呼接続信号により受信機4への発呼を行い、発信機1と受信機4との間の通話を制御する。さらに、電話機能部101は、受信機4への発呼後に認証情報の入力を促すガイダンスを呼制御装置から受信すると当該ガイダンスを再生し、入力部102から入力された認証情報を呼制御装置に送信する。
【0076】
このような構成を備える発信機は、呼制御装置から認証情報の入力を促すガイダンスを呼制御装置から受信すると、発信者によって入力部102から入力された認証情報を呼制御装置に送信する。その結果、呼制御装置は、発信者が入力した認証情報に基づいた発信者情報を受信者に通知することができる。従って、第4の実施形態の発信機は、認証情報に対応する、実際の発信者の情報を受信者に通知することを可能とする。
【0077】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態に限定されない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0078】
なお、本発明の実施形態は以下の付記のようにも記載されうるが、これらには限定されない。
【0079】
(付記1)
発信者が操作する発信機と、前記発信機の発呼先である受信機と、がネットワークを介して接続された呼制御装置であって、
前記ネットワークとの間で信号を入出力するインタフェースと、
発信者情報検索部と、
検索ID(Identification)及び前記発信者に対応する発信者情報を、認証情報と対応させて記憶する発信者情報データベースと、
前記発信機から受信した前記受信機への呼接続信号に所定の文字列が含まれている場合には、前記認証情報の入力を促すガイダンスを前記発信機に送信し、前記発信機から受信した前記認証情報を前記発信者情報検索部に通知し、前記発信者情報検索部から通知された前記検索IDを、前記受信機へ送信される呼接続信号に付加して送信する通信制御部と、を備え、
前記発信者情報検索部は、
前記認証情報が通知された場合には、通知された前記認証情報に基づいて前記発信者情報データベースから前記検索IDを検索し、検索された前記検索IDを前記通信制御部に通知し、
前記検索IDが通知された場合には、前記検索IDに基づいて前記発信者情報データベースから前記発信者情報を検索し、検索された前記発信者情報を前記受信機に送信する、
ことを特徴とする呼制御装置。
【0080】
(付記2)
前記検索IDは前記認証情報の所在を示すURL(Uniform Resource Locator)を含む、付記1に記載された呼制御装置。
【0081】
(付記3)
前記通信制御部はSIP(session initiation protocol)に対応した呼制御機能を備え、
前記受信機へ送信される呼接続信号はSIP−INVITEメッセージである、
付記1又は2に記載された呼制御装置。
【0082】
(付記4)
ネットワークを介して接続された呼制御装置からの呼接続信号を処理して発信機との間の通話を制御するとともに、前記呼接続信号に含まれる検索IDを抽出する電話機能部と、
抽出された前記検索IDを前記電話機能部から取得して前記検索IDを前記呼制御装置に送信し、前記呼制御装置から前記検索IDに対応する発信者情報を受信する発信者情報取得部と、
前記発信者情報取得部で受信された前記発信者情報を外部に出力する発信者情報出力部と、
前記ネットワークとの間で信号を入出力するインタフェースと、
を備える受信機。
【0083】
(付記5)
前記電話機能部は、前記発信者情報が前記発信者情報出力部から出力された後、
前記発信機との呼接続を拒否する旨の指示が入力された場合は前記発信機との呼接続処理を行わず、
前記発信機との呼接続を拒否する以外の指示が入力された場合は前記発信機との呼接続処理を行う、付記4に記載された受信機。
【0084】
(付記6)
前記発信者情報出力部は、文字列の表示、画像の表示、音声の発生、表示灯の点滅、振動の発生のうち少なくとも一つによって前記発信者情報を外部に出力する、付記5に記載された受信機。
【0085】
(付記7)
前記電話機能部は、SIP(session initiation protocol)に対応した呼制御機能を備える、付記5又は6に記載された受信機。
【0086】
(付記8)
文字の入力に用いられる入力部と、
ネットワークとの間で信号を送受信するインタフェースと、
所定の文字列及び前記電話番号を含む呼接続信号により前記受信機への発呼を行い、前記受信機との間の通話を制御し、認証情報の入力を促すガイダンスを前記呼制御装置から受信すると前記入力部から入力された前記認証情報を前記呼制御装置に送信する電話機能部と、
を備える発信機。
【0087】
(付記9)
前記入力部は、前記文字に対応するPB(push button)信号を発生する、付記8に記載された発信機。
【0088】
(付記10)
付記1又は2に記載された呼制御装置と、付記4乃至6のいずれかに記載された受信機と、付記8に記載された発信機と、が、前記ネットワークを介して接続された、通信システム。
【0089】
(付記11)
付記3に記載された呼制御装置と、付記7に記載された受信機と、付記9に記載された発信機と、が前記ネットワークを介して接続され、
前記ネットワークは、前記受信機及び前記呼制御装置と、前記発信機と、の間のプロトコル変換を行うゲートウェイを備える、通信システム。
【0090】
(付記12)
発信者が操作する発信機と、前記発信機の発呼先である受信機と、がネットワークを介して接続された呼制御装置の制御方法であって、
前記発信機から受信した前記受信機への呼接続信号に所定の文字列が含まれている場合には、認証情報の入力を促すガイダンスを前記発信機に送信し、
検索ID(Identification)及び前記発信者に対応する発信者情報が前記認証情報と対応させて登録された発信者情報データベースから、前記発信機から受信した前記認証情報に基づいて前記検索IDを検索し、
前記受信機へ送信される呼接続信号に前記検索IDを付加して送信し、
前記受信機から受信した前記検索IDに基づいて前記発信者情報データベースから前記発信者情報を検索して検索された前記発信者情報を前記受信機に送信する、
ことを特徴とする呼制御装置の制御方法。
【0091】
(付記13)
ネットワークを介して接続された呼制御装置からの呼接続信号を処理して発信機との間で通話を行う受信機の制御方法であって、
前記呼接続信号に含まれる検索IDを抽出し、
抽出された前記検索IDを前記呼制御装置に送信し、
前記呼制御装置から前記検索IDに対応する発信者情報を受信し、
受信された前記発信者情報を外部に出力する、
ことを特徴とする受信機の制御方法。
【0092】
(付記14)
ネットワークを介して接続された受信機との間で通話を行う発信機の制御方法であって、
所定の文字列及び前記受信機の電話番号を含む呼接続信号により前記受信機への発呼を行い、
認証情報の入力を促すガイダンスを前記呼制御装置から受信すると、前記認証情報を前記呼制御装置に送信する、
ことを特徴とする発信機の制御方法。
【0093】
(付記15)
発信者が操作する発信機と、前記発信機の発呼先である受信機と、がネットワークを介して接続された呼制御装置のコンピュータに、
前記発信機から受信した前記受信機への呼接続信号に所定の文字列が含まれている場合には、認証情報の入力を促すガイダンスを前記発信機に送信する手順、
検索ID(Identification)及び前記発信者に対応する発信者情報が前記認証情報と対応させて登録された発信者情報データベースから、前記発信機から受信した前記認証情報に基づいて前記検索IDを検索する手順、
前記受信機へ送信される呼接続信号に前記検索IDを付加して送信する手順、
前記受信機から受信した前記検索IDに基づいて前記発信者情報データベースから前記発信者情報を検索して検索された前記発信者情報を前記受信機に送信する手順、
を実行させるための呼制御装置の制御プログラム。
【0094】
(付記16)
ネットワークを介して接続された呼制御装置からの呼接続信号を処理して発信機との間で通話を行う受信機のコンピュータに、
前記呼接続信号に含まれる検索IDを抽出する手順、
抽出された前記検索IDを前記呼制御装置に送信する手順、
前記呼制御装置から前記検索IDに対応する発信者情報を受信する手順、
取得された前記発信者情報を外部に出力する手順、
を実行させるための受信機の制御プログラム。
【0095】
(付記17)
ネットワークを介して接続された受信機との間で通話を行う発信機のコンピュータに、
所定の文字列及び前記受信機の電話番号を含む呼接続信号により前記受信機への発呼を行う手順、
前記受信機への発呼後に認証情報の入力を促すガイダンスを前記呼制御装置から受信すると、前記認証情報を前記呼制御装置に送信する手順、
を実行させるための発信機の制御プログラム。