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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231262(P2015-231262A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】回転電機用のロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/32 20060101AFI20151124BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20151124BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   H02K1/32 Z
   H02K1/22 A
   H02K9/19 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-115337(P2014-115337)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】松原 珠
(72)【発明者】
【氏名】大崎 廣二郎
(72)【発明者】
【氏名】永廣 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD11
5H601GA22
5H601GA24
5H601GA32
5H601GE02
5H609BB03
5H609BB19
5H609QQ05
5H609QQ16
5H609QQ20
5H609RR12
(57)【要約】
【課題】冷媒通路の複雑化の抑制、冷媒の供給に伴う圧力損失の増加の抑制又は冷却効率の向上を可能とする回転電機用のロータを提供する。
【解決手段】回転電機10用のロータ14は、ロータコア22と端板24を有する。端板24には、冷媒供給手段12からの冷媒300を通過させる少なくとも1つの開口部76が形成される。軸方向に見たとき、開口部76の外周縁は、ロータコア22の複数の孔40の外周縁よりも径方向内側に位置する。端板24のうちロータコア22の第1コア端面60と対向する面82には、少なくとも開口部76よりも径方向外側において円周方向に沿って延在する凹部78が形成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方側における端面である第1コア端面及び前記軸方向の他方側の端面である第2コア端面を有するロータコアと、
前記ロータコアに固定された永久磁石と、
前記第1コア端面に対して前記軸方向に冷媒を供給する冷媒供給手段及び前記第1コア端面の間において前記第1コア端面と接する端板と
を備える回転電機用のロータであって、
前記ロータコアには、前記第1コア端面から前記第2コア端面に向かって前記冷媒を案内する複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記ロータコアの円周方向に沿って等間隔又は異なる間隔で形成され、
前記端板には、前記複数の孔の一部又は全部と連通し、前記冷媒供給手段から供給された前記冷媒を通過させる少なくとも1つの開口部が形成され、前記軸方向に見たとき、前記開口部の外周縁は、前記複数の孔の外周縁よりも径方向内側に位置し、
前記端板のうち前記第1コア端面と対向する面であるコア対向面には、少なくとも前記開口部よりも径方向外側において前記円周方向に沿って延在する凹部が形成される
ことを特徴とするロータ。
【請求項2】
請求項1記載のロータにおいて、
前記ロータコアは、所定の数の前記永久磁石によって磁極が構成され、
前記端板において、前記円周方向に隣接する前記開口部の間にはリブが形成され、
前記リブは、前記軸方向に見たとき、前記円周方向に隣接する前記磁極間の内周側に位置する
ことを特徴とするロータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のロータにおいて、
前記端板の前記コア対向面には、前記凹部に連通すると共に径方向外側に向かって延びて外周に開口する排出路が形成され、
前記軸方向から見たとき、前記排出路は少なくとも一部が前記永久磁石に重なる
ことを特徴とするロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を好適に冷却することが可能な回転電機用のロータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動機ロータを冷却する構成及び方法が開示されている。より具体的には、特許文献1の電動機ロータ10(以下「ロータ10」という。)は、ロータシャフト30と、1又は2以上の第1の油路40と、1又は2以上の第2の油路50と、1又は2以上の第3の油路60と、油留め部62と、ロータコア12とを備える(要約、図1及び図2)。
【0003】
ロータシャフト30は、冷却油の経路となる中空部30aを有する。第1の油路40は、中空部30aと連通し、ロータ10の径方向に形成される。第2の油路50は、第1の油路40と連通し、ロータ10の円周表面又は表面近傍に回転方向に沿って形成される。第3の油路60は、第2の油路50と連通し、ロータ10の円周表面又は表面近傍に軸方向に沿って、ロータ10の端面近傍まで形成される。油留め部62は、第3の油路60と連通し、ロータ10の端面近傍に形成される。ロータコア12は、油留め部62と連通し、ロータ10の端面に形成され、断面が油留め部62よりも狭められた形状を有する吹き出し口64が形成されている(要約、図1及び図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−016826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ロータシャフト30の中空部30a、第1の油路40、第2の油路50及び第3の油路60を冷却油が通過することでロータ10の内部を冷却する。第1の油路40、第2の油路50及び第3の油路60に供給される冷却油はいずれも中空部30aを通過する。このため、冷却油(冷媒)の供給に伴う圧力損失が生じ易い。また、中空部30a、第1の油路40、第2の油路50及び第3の油路60はそれぞれ方向が異なるため(図1及び図2)、冷媒通路が複雑化してしまう。さらに、上記のような特許文献1の構成では、ロータ10の冷却効率に改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、冷媒通路の複雑化の抑制、冷媒の供給に伴う圧力損失の増加の抑制及び冷却効率の向上の少なくとも1つを可能とする回転電機用のロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回転電機用のロータは、軸方向の一方側における端面である第1コア端面及び前記軸方向の他方側の端面である第2コア端面を有するロータコアと、前記ロータコアに固定された永久磁石と、前記第1コア端面に対して前記軸方向に冷媒を供給する冷媒供給手段及び前記第1コア端面の間において前記第1コア端面と接する端板とを備えるものであって、前記ロータコアには、前記第1コア端面から前記第2コア端面に向かって前記冷媒を案内する複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記ロータコアの円周方向に沿って等間隔又は異なる間隔で形成され、前記端板には、前記複数の孔の一部又は全部と連通し、前記冷媒供給手段から供給された前記冷媒を通過させる少なくとも1つの開口部が形成され、前記軸方向に見たとき、前記開口部の外周縁は、前記複数の孔の外周縁よりも径方向内側に位置し、前記端板のうち前記第1コア端面と対向する面であるコア対向面には、少なくとも前記開口部よりも径方向外側において前記円周方向に沿って延在する凹部が形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、冷媒通路の複雑化の抑制、冷媒の供給に伴う圧力損失の増加の抑制及び冷却効率の向上の少なくとも1つが可能となる。
【0009】
すなわち、本発明によれば、ロータコアには、第1コア端面から第2コア端面に向かって冷媒を案内する複数の孔が形成され、複数の孔は、ロータコアの円周方向に沿って等間隔又は異なる間隔で形成される。このため、冷媒が軸方向に供給されて、端板の開口部を通過して、ロータコアの孔を流れる。従って、ロータシャフトの内部のみを介して冷媒をロータコア内に供給する場合と比較して、冷媒通路の複雑化を抑制すると共に、圧力損失の増加を抑制することが可能となる。
【0010】
また、軸方向に見たとき、端板の開口部の外周縁が、ロータコアの孔の外周縁よりも径方向内側に位置する。このため、開口部からロータコア側に供給された冷媒が、開口部から流出することを抑制することで、冷媒を孔の内側に貯留すると共に軸方向他方側へ冷媒を供給することが可能となる。従って、冷媒とロータコアの熱交換時間を長くすると共に熱交換領域を広げることで、ロータコアを効率的に冷却することができる。
【0011】
さらに、端板のコア対向面には、少なくとも開口部よりも径方向外側において円周方向に沿って延在する凹部が形成される。このため、ロータコア及び端板が回転している状態で開口部を介してロータコアと端板の間に導入された冷媒は、凹部を介して円周方向に変位することとなる。これにより、ロータコアの複数の孔に供給される冷媒を円周方向に分散させることが可能となる。その結果、例えば、軸方向に見たとき開口部と重ならない孔が存在する場合(例えば、端板の開口部間に形成されたリブと重なる位置に孔がある場合)でも、当該孔に対して冷媒を供給することで冷却効率を高めることが可能となる。
【0012】
前記ロータコアは、所定の数の前記永久磁石によって磁極が構成され、前記端板において、前記円周方向に隣接する前記開口部の間にはリブが形成され、前記リブは、前記軸方向に見たとき、前記円周方向に隣接する前記磁極間の内周側に位置してもよい。これにより、永久磁石の内周側に位置する孔に対して、より積極的に冷媒が流れ込むようにすることができるため、永久磁石を効果的に冷却することが可能となる。
【0013】
前記端板の前記コア対向面には、前記凹部に連通すると共に径方向外側に向かって延びて外周に開口する排出路が形成され、前記軸方向から見たとき、前記排出路は少なくとも一部が前記永久磁石に重なってもよい。これにより、排出路を介して冷媒を外周側に排出する途中において、冷媒と永久磁石を接触又は接近させることが可能となる。このため、永久磁石を効果的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冷媒通路の複雑化の抑制、冷媒の供給に伴う圧力損失の増加の抑制及び冷却効率の向上の少なくとも1つが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るロータを含むモータの斜視図である。
図2】ロータコアの正面図である。
図3】前記ロータの断面の一部を拡大して示す拡大断面斜視図である。
図4】前記モータの断面の一部を拡大して示す拡大断面側面図である。
図5】手前側端板の一部を拡大して示す背面図である。
図6】前記ロータの一部を拡大及び省略して示す拡大正面図である。
図7】本発明の第1変形例に係るロータを含むモータの斜視図である。
図8】本発明の第2変形例に係るロータを含むモータの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.一実施形態
A1.構成
[A1−1.全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るロータ14を含むモータ10の斜視図である。図1における破線は、透視した構成要素を示している。モータ10は、ロータ14に加え、冷媒供給部12と、ステータ16(図4)とを有する。
【0017】
モータ10は、例えば、図示しない車両の駆動力を生成するための駆動源として用いられる。モータ10は、3相交流ブラシレス式であり、図示しないインバータを介して図示しないバッテリから供給される電力に基づいて前記車両の駆動力を生成することができる。
【0018】
[A1−2.冷媒供給部12]
冷媒供給部12(冷媒供給手段)は、ロータ14に冷媒300(例えば、冷却油)を供給(噴射又は放出)するものであり、図示しないポンプ、ノズル等を備える。前記ポンプは、電動式又は機械式のいずれでもよい。図1等では、冷媒供給部12を簡易的に描いている。また、図1等では、冷媒300の流れを矢印として示している。
【0019】
[A1−3.ロータ14]
(A1−3−1.ロータ14の概要)
図1に示すように、ロータ14は、ロータシャフト20と、ロータコア22と、手前側端板24(以下「第1端板24」又は「端板24」ともいう。)と、奥側端板26(以下「第2端板26」又は「端板26」ともいう。)とを有する。リラクタンスモータ型のロータのように、永久磁石52を含まずにロータコア22を構成してもよい。
【0020】
(A1−3−2.ロータシャフト20)
ロータシャフト20は、ロータコア22のシャフト挿入孔30(図2)に挿入されてロータコア22と固定される(図1及び図2参照)。ロータシャフト20は、中空形状であり、冷媒300がその内部を通過することを許容する。
【0021】
(A1−3−3.ロータコア22)
図2は、ロータコア22の正面図である。図3は、ロータ14の断面の一部を拡大して示す拡大断面斜視図である。図4は、モータ10の断面の一部を拡大して示す拡大断面側面図である。図4では、ステータ16を二点鎖線で示している。
【0022】
ロータコア22は、略同一形状の円環状の電磁鋼板(例えば、ケイ素鋼板)を軸方向X1、X2に複数積層して形成され、ステータ16のステータコア200(図4)と対向して配置される。ロータコア22は、シャフト挿入孔30と、磁極部32と、内周側環状部34(第1環状部)と、複数のリブ36と、外周側環状部38(第2環状部)と、貫通孔40とを備える。
【0023】
シャフト挿入孔30には、ロータシャフト20が圧入されてロータシャフト20とロータコア22とが固定される。
【0024】
磁極部32は、ロータ14側において磁極を形成するものであり、ロータ14の円周方向C1、C2に所定間隔(ここでは等間隔)で配置される。各磁極部32は、3つの磁石挿入孔50a、50b、50c(以下「挿入孔50a、50b、50c」ともいう。)と、挿入孔50a、50b、50cに挿入された永久磁石52とを備える。永久磁石52は、径方向R1、R2に磁化され且つ円周方向C1、C2で交互に磁化方向が異なるように配置される。
【0025】
図2等に示すように、各リブ36は、外周側(R2方向)に向かって延在している。図3及び図4から理解可能なように、リブ36は、軸方向X1、X2においてロータコア22の一端側の端面60(図4中、左側)から他端側の端面62(図4中、右側)に亘って形成される。以下では、端面60を「第1コア端面60」又は「第1端面60」ともいう。また、端面62を「第2コア端面62」又は「第2端面62」ともいう。
【0026】
貫通孔40は、内周側環状部34、隣り合うリブ36及び外周側環状部38により形成される。貫通孔40は、軸方向X1、X2において第1コア端面60から第2コア端面62まで貫通する。貫通孔40は、肉抜き部として機能すると共に、冷媒通路として機能する。
【0027】
(A1−3−4.手前側端板24)
(A1−3−4−1.手前側端板24の概要)
図5は、手前側端板24の一部を拡大して示す背面図である。図6は、ロータ14の一部を拡大及び省略して示す拡大正面図である。図1図3及び図4に示すように、端板24は、冷媒供給部12及び第1コア端面60の間において第1コア端面60と接するように配置される環状板(コアカバー又はサイドカバー)である。端板24は、円環状を基調とする非磁性体の金属製であり、ロータコア22に供給する冷媒300の通路302(図4)の一部を形成する。
【0028】
図1等に示すように、軸方向X2に見たとき、端板24は、内周側環状部70と、複数のリブ72(以下「第1端板リブ72」又は「端板リブ72」ともいう。)と、外周側環状部74と、開口部76とを備える。また、冷媒供給部12からロータコア22に向かってみたとき、端板24は、内周側環状部70、リブ72、外周側環状部74及び開口部76に加え、溝部78(以下「第1溝部78」又は「手前側溝部78」ともいう。)と、排出路80(以下「第1排出路80」又は「手前側排出路80」ともいう。)とを備える(図5等参照)。換言すると、第1端板24のうちロータコア22に対向する面82(以下「コア対向面82」ともいう。)には、第1溝部78及び第1排出路80が形成される。
【0029】
(A1−3−4−2.開口部76)
図3等に示すように、開口部76は、内周側環状部70、隣り合う第1端板リブ72及び外周側環状部74により形成される。
【0030】
図3図4等に示すように、第1端板24の内周側環状部70は、ロータコア22の内周側環状部34と接している。また、第1端板24の外周側環状部74は、第1排出路80の位置を除き、ロータコア22の外周側環状部38と接している。これにより、第1コア端面60と第1端板24との間に冷媒300の通路302の一部が形成される。
【0031】
図1図3図4等に示すように、第1端板24の端板リブ72及び開口部76は、ロータコア22のリブ36及び貫通孔40に対向して配置される。これにより、開口部76を介して導入された冷媒300を、貫通孔40に案内し易くなる。また、端板リブ72(特に、円周方向C1、C2における中央)は、径方向R1、R2において永久磁石52が存在しない位置(位相)に配置される。
【0032】
図3図4等に示すように、軸方向X1、X2に見たとき、開口部76の外周縁は、ロータコア22の貫通孔40の外周縁よりも径方向内側(R2方向)に位置する。例えば、図4において、開口部76の上端は、貫通孔40の上端よりも下側にある。これにより、ロータ14が回転し冷媒300に遠心力がかかっている状態において、冷媒300が溜まる冷媒溜まり304が形成される。これにより、冷媒300は、開口部76から漏れ難くなる。
【0033】
(A1−3−4−3.手前側溝部78)
図5等に示すように、第1溝部78は、開口部76の位置に対応して円周方向C1、C2に形成される。本実施形態の第1溝部78は円環状であり、円周方向C1、C2全体に亘って第1端板24に形成される。第1溝部78は、外周側環状部74のうち開口部76の周囲並びに第1端板リブ72の内側に形成される。換言すると、第1端板リブ72は、第1溝部78が形成される分、薄くなっている。
【0034】
(A1−3−4−4.手前側排出路80)
第1排出路80は、冷媒300をロータ14の内部から外部に排出するための通路である。図1に示すように、第1排出路80は、円周方向C1、C2に所定の間隔(ここでは等間隔)に複数形成される。
【0035】
また、図1図3図6に示すように、第1排出路80は、第1溝部78から径方向R2に沿って延在する。図1図6等に示すように、軸方向X2に見たとき、第1排出路80は、永久磁石52と重なるように配置される。本実施形態では、軸方向X1、X2において、永久磁石52は、第1端板24に対して露出している。このため、第1排出路80を介して冷媒300がロータ14の外部に排出される際、冷媒300は、永久磁石52と接触することとなる。第1排出路80に対して冷媒300を案内し易いように、第1排出路80は、円周方向C1、C2において、隣り合う第1端板リブ72の中間に配置される。
【0036】
さらに、図4に示すように、第1排出路80は、ロータ14の外周面近傍で軸方向X1に曲がっている。これにより、第1排出路80から噴出した冷媒300を、ステータコア200に巻回されたコイル202に供給して、冷媒300によりコイル202を冷却することが可能となる。加えて、ロータコア22とステータコア200の間に冷媒300が入ることを避けることができる。その結果、ロータコア22とステータコア200の間に冷媒300が入ることによる摩擦の増加及びこれに伴う冷媒300の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0037】
(A1−3−5.奥側端板26)
(A1−3−5−1.奥側端板26の概要)
図3及び図4に示すように、奥側端板26は、第2コア端面62と接するように配置される環状板(コアカバー又はサイドカバー)である。第2端板26は、円環状を基調とする非磁性体の金属製であり、ロータコア22に供給する冷媒300の通路302の一部を形成する。
【0038】
図3図4図6等に示すように、第2端板26は、内周側環状部90と、外周側環状部94と、溝部96(以下「第2溝部96」又は「奥側溝部96」ともいう。)と、排出路98(以下「第2排出路98」又は「奥側排出路98」ともいう。)とを備える。奥側端板26は、手前側端板24の開口部76に相当する部位(軸方向X1、X2に端板26を貫通する貫通孔)を備えていない。
【0039】
(A1−3−5−2.奥側溝部96)
図3図6等に示すように、第2溝部96は、ロータコア22の貫通孔40の位置に対応して円周方向C1、C2に形成される。図6に示すように、本実施形態の第2溝部96は、内周側環状部90及び外周側環状部94によって囲まれた円環状であり、円周方向C1、C2全体に亘って第2端板26に形成される。また、図3図4に示すように、第2溝部96は、ロータコア22の貫通孔40よりも径方向外側(R2方向)に長くなっている。
【0040】
(A1−3−5−3.奥側排出路98)
第2排出路98は、冷媒300をロータ14の内部から外部に排出するための通路である。軸方向X1、X2に見たとき、奥側排出路98は、手前側排出路80と重なる位置(すなわち、円周方向C1、C2に所定の間隔(ここでは等間隔))に複数形成される。
【0041】
また、第1排出路80と同様、第2排出路98は、第2溝部96から径方向R2に沿って延在すると共に、軸方向X1、X2に見たとき、永久磁石52と重なるように配置される。本実施形態では、軸方向X1、X2において、永久磁石52は、第2端板26に対して露出している。このため、第2排出路98を介して冷媒300がロータ14の外部に排出される際、冷媒300は、永久磁石52と接触することとなる。
【0042】
さらに、図4に示すように、第2排出路98は、ロータ14の外周面近傍で軸方向X2に曲がっている。これにより、第1排出路80と同様の作用及び効果を奏することが可能となる。
【0043】
A2.冷媒300の流れ
次に、ロータ14における冷媒300の流れについて説明する。
【0044】
ロータ14が回転している状態で、冷媒供給部12からの冷媒300が開口部76に対して供給されると、冷媒300は、手前側端板24と第1コア端面60との間に入り込む。そして、冷媒300の一部は、ロータコア22の貫通孔40に流れ込む。
【0045】
貫通孔40に流れ込んだ冷媒300は、第1溝部78又は第2溝部96を介して円周方向C1、C2に移動する。或いは、冷媒300は、第1排出路80又は第2排出路98を介して径方向R2に移動してロータ14の外に排出される。また、溝部78、96及び排出路80、98の寸法が限定されている関係で溝部78、96又は排出路80、98に入り込めない冷媒300は、貫通孔40の冷媒溜まり304に留まる。なお、溝部78、96を介して別の貫通孔40に到達した冷媒300は、当該別の貫通孔40において冷媒溜まり304を形成する場合がある。
【0046】
上記のように、本実施形態では、開口部76を介して供給された冷媒300は、ロータ14の内部を移動した後、排出路80、98を介してロータ14から排出される。但し、ロータ14の回転速度、冷媒300の供給量等によっては、開口部76から入った冷媒300が開口部76を介してロータ14外に漏れ出す場合もあり得る。
【0047】
A3.本実施形態の作用及び効果
以上のような本実施形態によれば、冷媒300の通路302の複雑化の抑制、冷媒300の供給に伴う圧力損失の増加の抑制及び冷却効率の向上の少なくとも1つが可能となる。
【0048】
すなわち、本実施形態によれば、ロータコア22には、第1コア端面60から第2コア端面62に向かって冷媒300を案内する複数の貫通孔40(孔)が形成され、複数の貫通孔40は、円周方向C1、C2に沿って等間隔で形成される(図1図4等)。このため、冷媒300が軸方向X2に供給されて、手前側端板24の開口部76を通過して、ロータコア22の貫通孔40を流れる。従って、ロータシャフト20の内部のみを介して冷媒300をロータコア22内に供給する場合と比較して、通路302の複雑化を抑制すると共に、圧力損失の増加を抑制することが可能となる。
【0049】
また、軸方向X1、X2に見たとき、第1端板24の開口部76の外周縁が、ロータコア22の貫通孔40の外周縁よりも径方向内側(R1方向)に位置する(図4等)。このため、開口部76からロータコア22側に供給された冷媒300が、開口部76から流出することを抑制することで、冷媒300を貫通孔40の内側に貯留すると共に軸方向他方側(X2方向)へ冷媒300を供給することが可能となる。従って、冷媒300とロータコア22の熱交換時間を長くすると共に熱交換領域を広げることで、ロータコア22を効率的に冷却することができる。
【0050】
さらに、第1端板24のコア対向面82には、少なくとも開口部76よりも径方向外側(R2方向)において円周方向C1、C2に沿って延在する第1溝部78(凹部)が形成される(図5等)。このため、ロータコア22及び第1端板24が回転している状態で開口部76を介してロータコア22と第1端板24の間に導入された冷媒300は、第1溝部78を介して円周方向C1、C2に変位することとなる。これにより、ロータコア22の複数の貫通孔40に供給される冷媒300を円周方向C1、C2に分散させることが可能となる。その結果、例えば、軸方向X1、X2に見たとき開口部76と重ならない貫通孔40が存在する場合(例えば、第1端板24の開口部76間に形成された第1端板リブ72と重なる位置に貫通孔40がある場合)でも、当該貫通孔40に対して冷媒300を供給することで冷却効率を高めることが可能となる。
【0051】
本実施形態において、ロータコア22は、所定の数の永久磁石52によって磁極(磁極部32)が構成される(図2等)。また、第1端板24において、円周方向C1、C2に隣接する開口部76の間には第1端板リブ72が形成され、リブ72は、軸方向X1、X2に見たとき、円周方向C1、C2に隣接する磁極(磁極部32)間の内周側に位置する(図6等)。これにより、永久磁石52の内周側に位置する貫通孔40(孔)に対して、より積極的に冷媒300が流れ込むようにすることができるため、永久磁石52を効果的に冷却することが可能となる。
【0052】
本実施形態において、第1端板24のコア対向面82には、第1溝部78(凹部)に連通すると共に径方向外側(R2方向)に向かって延びて外周に開口する第1排出路80が形成される(図1図4等)。また、軸方向X1、X2に見たとき、第1排出路80は少なくとも一部が永久磁石52に重なる。これにより、第1排出路80を介して冷媒300を外周側に排出する途中において、冷媒300と永久磁石52を接触又は接近させることが可能となる。このため、永久磁石52を効果的に冷却することができる。
【0053】
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0054】
B1.適用対象
上記実施形態では、モータ10を車両に搭載する例として説明したが、これに限らず、モータ10を用いる別の用途に適用することができる。例えば、モータ10を、産業機械、家電製品等の機器に用いることもできる。
【0055】
B2.冷媒供給部12(冷媒供給手段)
上記実施形態では、冷媒300として冷却油を用いたが、例えば、冷却機能の観点からすれば、冷却油以外の冷却流体(例えば、水等)であってもよい。
【0056】
B3.モータ10
[B3−1.モータ10全般]
上記実施形態では、モータ10は、3相交流方式としたが、例えば、冷媒300による冷却又はモータ10の小型化の観点からすれば、その他の交流方式又は直流方式であってもよい。上記実施形態では、モータ10をブラシレス式としたが、ブラシ式としてもよい。
【0057】
上記実施形態では、第1端板24を介してロータコア22内に冷媒300を供給した(図1)。これに加え、例えば、特許文献1のように、ロータシャフト20の中空部を介してロータコア22内に冷媒300を供給することも可能である。
【0058】
[B3−2.ロータコア22]
上記実施形態では、ロータコア22の形状を図2等に示すものとした。しかしながら、例えば、ロータコア22の冷却の観点からすれば、これに限らない。例えば、ロータコア22の形状として、特開平11−098739号公報の図1又は特開2004−194419号公報の図1等に示すものを用いることも可能である。
【0059】
上記実施形態では、貫通孔40は、回転軸Axと平行であった(図3図4等)。しかしながら、例えば、貫通孔40が第1コア端面60から第2コア端面62に向かって冷媒300を案内する点に着目すれば、貫通孔40は、回転軸Axに対して平行でなくてもよい。
【0060】
上記実施形態では、貫通孔40は、径方向R1、R2の位置が互いに同じであった(図2等)。しかしながら、例えば、手前側端板24における第1溝部78の機能(円周方向C1、C2への冷媒300の移動)に着目すれば、貫通孔40は、径方向R1、R2の位置を互いに相違させてもよい。
【0061】
上記実施形態では、貫通孔40はいずれも第1コア端面60から第2コア端面62まで到達する貫通孔であった(図3図4等)。しかしながら、例えば、第1端板24の構成に着目すれば、孔40は、第2コア端面62に到達しないものであってもよい。
【0062】
[B3−3.手前側端板24及び奥側端板26]
(B3−3−1.端板24、26全体)
上記実施形態では、端板24、26を円環状とした(図1等参照)。しかしながら、例えば、溝部78、96の機能に着目すれば、端板24、26は、四角環状としてもよい。或いは、端板24、26は、環状ではない円弧状にすること(換言すると、円周方向C1、C2の一部にのみ端板24、26を形成すること)も可能である。
【0063】
上記実施形態では、手前側端板24及び奥側端板26の両方を用いた(図1図3図4等)。しかしながら、例えば、手前側端板24の構成に着目すれば、奥側端板26を設けない構成も可能である。
【0064】
(B3−3−2.開口部76)
上記実施形態では、開口部76の形状、数、配置等を図1等に示すものとした。しかしながら、例えば、ロータコア22の冷却の観点からすれば、これに限らない。例えば、開口部76の形状を変更することも可能である。また、上記実施形態では開口部76の数が4であったが(図1)、1〜3又は5以上としてもよい。
【0065】
図7は、本発明の第1変形例に係るロータ14aを含むモータ10Aの斜視図である。モータ10Aでは、手前側端板24aの形状が、上記実施形態の端板24と異なる。具体的には、第1変形例に係る端板24aでは、上記実施形態の端板24と比較して、円周方向C1、C2における開口部76aの長さが短い。これに伴い、開口部76aの数が上記実施形態よりも多くなると共に、円周方向C1、C2における第1端板リブ72aの長さが長くなっている。
【0066】
第1変形例に係るロータ14aによれば、円周方向C1、C2における第1端板リブ72aの長さが長くなっているため、ロータコア22及び第1端板24aの回転中にロータコア22と端板24aとの間から冷媒300が漏れ難くなる。
【0067】
図8は、本発明の第2変形例に係るロータ14bを含むモータ10Bの部分拡大図である。モータ10Bでは、手前側端板24bの形状及び位置並びに永久磁石52の形状が、上記実施形態及び第1変形例と異なる。具体的には、第2変形例に係る第1端板24bでは、上記実施形態の開口部76に加え、永久磁石52の位置に対応する開口部76b(第2開口部)が設けられる。加えて、永久磁石52には、貫通孔100(以下「磁石貫通孔100」ともいう。)を形成する。この場合、開口部76に加え、第2開口部76bに対しても冷媒供給部12から冷媒300を供給することにより、永久磁石52に直接冷媒300を供給し、さらに、磁石貫通孔100内に冷媒300を通過させることが可能となる。これにより、永久磁石52の冷却効率を高めることができる。
【0068】
なお、第2開口部76bに対応する位置にも溝部78と同様の溝部を設け、ロータコア22と第1端板24bとの間において冷媒300が円周方向C1、C2に移動することを許容してもよい。
【0069】
(B3−3−3.手前側溝部78及び奥側溝部96(凹部))
上記実施形態では、第1端板24の内周側環状部70、第1端板リブ72及び外周側環状部74に亘って手前側溝部78を形成した(図5等)。しかしながら、例えば、開口部76を介して第1端板24とロータコア22の間に導入された冷媒300を円周方向C1、C2に移動させる観点からすれば、内周側環状部70、リブ72及び外周側環状部74のいずれか1つ又は2つのみに対して手前側溝部78を形成することも可能である。奥側溝部96も同様である。
【0070】
(B3−3−4.手前側排出路80及び奥側排出路98)
上記実施形態では、ロータ14の外周面周辺において、第1排出路80を軸方向X1に折り曲げ、第2排出路98を軸方向X2に折り曲げた(図4)。しかしながら、例えば、開口部76等の機能に着目すれば、そのような折曲げを行わないことも可能である。
【0071】
上記実施形態では、排出路80、98は、磁極部32に含まれる3つの永久磁石52のうち挿入孔50b内のもののみに面していた(図1等)。しかしながら、例えば、永久磁石52を冷却する観点からすれば、挿入孔50bの手前で排出路80、98を円周方向C1、C2に分岐させて3つの永久磁石52それぞれに冷媒300を供給してもよい。
【0072】
上記実施形態では、複数の磁極部32のうち特定の磁極部32にのみ対応して排出路80、98を配置した(図1等参照)。しかしながら、全ての磁極部32に対応して排出路80、98を配置してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10…モータ(回転電機) 12…冷媒供給部(冷媒供給手段)
14、14a、14b…ロータ 22…ロータコア
24、24a、24b…手前側端板(端板)
32…磁極部 40…貫通孔(孔)
52…永久磁石 60…第1コア端面
62…第2コア端面 72、72a…第1端板リブ(リブ)
76、76a、76b…開口部 78…第1溝部(凹部)
80…第1排出路 82…コア対向面
300…冷媒 C1、C2…円周方向
X1、X2…軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8