【解決手段】少なくとも1つの出力電圧ラインと、入力電圧供給の停止を検出する検出部と、前記検出部による検出に基づいて、前記出力電圧ラインに接続された容量素子から電荷を引抜く電荷引抜き部と、を備える電源装置としている。
前記電荷引抜き部は、前記検出部による検出に基づいてオンとなるスイッチ素子を有し、前記スイッチ素子に流れる電流によって前記電荷を引抜くことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
前記検出部は、入力電圧の減少を検出すると、前記出力電圧ラインのうち少なくとも1つに接続された制御回路をリセットさせる減電検出回路であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記スイッチング電源回路を備えた基板に設けられたコネクタと、当該基板とは別の基板に設けられたコネクタとは基板間中継ケーブル(FFC(フレキシブルフラットケーブル)等)によって接続され、上記スイッチング電源回路の電圧出力は上記基板間中継ケーブルを介して上記別の基板に設けられた所定の回路に供給される場合がある。
【0006】
また、基板間中継ケーブルのコネクタにおける隣接する端子間のピッチは例えば1mm程度であって非常に短いので、基板間中継ケーブルのコネクタを基板のコネクタに接続する場合、本来接続されるべきでない端子同士が短絡してしまう場合があった。
【0007】
製品の組み立て工程や修理時に、スイッチング電源回路の入力電圧の供給を停止させた後、短時間内に基板間中継ケーブルを引抜いて再度接続した場合に、上記のように本来接続されるべきでない端子同士が短絡すると、平滑コンデンサに残留した電荷による電圧が本来印加されるべきでない回路(上記別の基板に設けられた回路)に印加され、部品を破壊してしまうことがあった。
【0008】
なお、特許文献1には、交流入力が停止されたことが検知されると、スイッチング電源回路の入力側に設けられたフィルタ回路が有するコンデンサから電荷を放電させるものが開示されている。しかしながら、この技術は、上記のようにスイッチング電源回路の出力側に設けられたコンデンサに残留した電荷による問題を解決するものではない。
【0009】
上記状況に鑑み、本発明は、入力電圧の供給が停止された際に出力側に設けられた容量素子に残留した電荷により生じる不具合を抑制できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の電源装置は、少なくとも1つの出力電圧ラインと、入力電圧供給の停止を検出する検出部と、前記検出部による検出に基づいて、前記出力電圧ラインに接続された容量素子から電荷を引抜く電荷引抜き部と、を備える構成としている。
【0011】
また、上記構成において、前記電荷引抜き部は、前記検出部による検出に基づいてオンとなるスイッチ素子を有し、前記スイッチ素子に流れる電流によって前記電荷を引抜くこととしてもよい。
【0012】
また、上記構成において、前記少なくとも1つの出力電圧ラインは、第1出力電圧ラインと第2出力電圧ラインを含み、前記第1出力電圧ラインは、第2出力電圧ラインよりも装置の通常動作での出力電圧が高く、前記第1出力電圧ラインにカソードが接続され、第2出力電圧ラインにアノードが接続されるダイオードを前記電荷引抜き部は有することとしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、入力電圧供給の停止が検出されると、スイッチ素子がオンとなり、第1出力電圧ラインを介して電荷が引き抜かれ、第1出力電圧ラインの電圧が低下するとダイオードがオンとなり、第2出力電圧ラインを介して電荷が引き抜かれる。従って、2つの出力電圧ラインから電荷を引抜くことが可能となる。
【0014】
また、上記いずれかの構成において、前記検出部は、入力電圧の減少を検出すると、前記出力電圧ラインのうち少なくとも1つに接続された制御回路をリセットさせる減電検出回路であることとしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、検出部は、入力電圧の減少による制御回路のフリーズを抑止する機能を持つ減電検出回路と回路部品を共通化できる。
【0016】
また、上記いずれかの構成において、前記検出部は、前記入力電圧に基づいて発光量が変化するフォトカプラを有することとしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、トランスの1次側と2次側間を絶縁しつつ、迅速に入力電圧供給の停止を検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電源装置によると、入力電圧の供給が停止された際に電源出力側に設けられた容量素子に残留した電荷により生じる不具合を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る基板接続構成の模式図を
図1に示す。
図1に示す基板接続構成は、例えばテレビ装置に設けられ、スイッチング電源回路から電圧を各回路に供給するためのものである。
【0021】
図1に示すように、第1基板21にはスイッチング電源回路1とコネクタ22が設けられる。
図1ではスイッチング電源回路1の構成を一部のみ示しており、スイッチング電源回路1は、トランス(
図1で不図示)の2次側に設けられた整流平滑回路11と、減電検出回路12と、電荷引抜き回路13を備えている。
【0022】
減電検出回路12は、スイッチング電源回路1に入力される交流電圧の低下を検出する回路である。減電検出回路12の検出信号はリセットラインL3に出力される。
【0023】
電荷引抜き回路13は、整流平滑回路11の後段に設けられた第1出力電圧ラインL1と第2出力電圧ラインL2に接続されており、整流平滑回路11が有する各コンデンサ(
図1では不図示)から電荷を引抜いて放電させる回路である。なお、電荷引抜き回路13は、減電検出回路12の検出信号に応じて動作する。減電検出回路12及び電荷引抜き回路13の詳細な構成については後述する。
【0024】
コネクタ22は、第1基板21に対して固定されており、第1出力電圧ラインL1に接続される端子22A、第2出力電圧ラインL2に接続される端子22B、及び減電検出回路12とリセットラインL3を介して接続される端子22Cを備えている。
【0025】
また、第2基板27には、SOC(System-on-a-chip)25と、オーディオアンプ26が設けられる。SOC25は、例えばテレビ装置などの装置全体を制御する機能を有する回路である。オーディオアンプ26は、音声信号を増幅する機能を有する回路であり、SOC25によって制御される。
【0026】
ここで、第1基板21に固定されたコネクタ22と、第2基板27に固定されたコネクタ24とは、コネクタ231及びコネクタ232を各端部に有したFFC23によって接続される。コネクタ231はコネクタ22に、コネクタ232はコネクタ24に接続される。
【0027】
FFC23によって正しく接続した状態では、第1出力電圧ラインL1は端子22A、コネクタ231に備えられた端子231A、コネクタ232、及びコネクタ24を介して、SOC25の電源端子25Aに電気的接続される。同様に、第2出力電圧ラインL2は端子22B、コネクタ231に備えられた端子231B、コネクタ232、及びコネクタ24を介して、SOC25の電源端子25Bに電気的接続される。更に同様に、リセットラインL3は端子22C、コネクタ231に備えられた端子231C、コネクタ232、及びコネクタ24を介して、SOC25のリセット端子25Cに電気的接続される。なお、第2出力電圧ラインL2は、第2基板27上での配線の分岐によってオーディオアンプ26の電源端子26Aにも電気的接続される。
【0028】
次に、スイッチング電源回路1の具体的な回路構成を
図2に示す。
図2に示すスイッチング電源回路1は、RCC(Ringing Choke Converter)方式(自励方式)のものである。
【0029】
図2に示すスイッチング電源回路1は、トランスTr、電界効果トランジスタQ1(以下、トランジスタQ1)、バイポーラトランジスタQ2(以下、トランジスタQ2)、フォトカプラP1、シャントレギュレータS1、コンデンサC1〜C3、抵抗R1〜R9、ダイオードD1、ツェナーダイオードZ1、整流平滑回路11、減電検出回路12、電荷引抜き回路13、及び整流平滑回路14を備えている。
【0030】
トランスTrは、1次側に1次巻線N1及びドライブ巻線N3を、2次側に2次巻線N2を有している。整流平滑回路14は例えばダイオードブリッジと平滑コンデンサから構成され、入力される交流電圧Vacを直流電圧Vinに変換する。直流電圧Vinが入力される電源入力ラインが1次巻線N1の一端に接続される。1次巻線N1の他端には、トランジスタQ1のドレインが接続される。トランジスタQ1のソースは接地される。トランジスタQ1のゲートは、コンデンサC1及び抵抗R2を介してドライブ巻線N3の一端に接続される。ドライブ巻線N3の他端は接地される。トランジスタQ1とコンデンサC1の接続点と、上記電源入力ラインの間には起動用の抵抗R1が接続される。
【0031】
抵抗R2とドライブ巻線N3の接続点には、ダイオードD1のアノードが接続される。ダイオードD1のカソードとグランド電位の間には、抵抗R4とコンデンサC3が直列接続される。
【0032】
抵抗R2とダイオードD1の接続点には、ツェナーダイオードZ1のカソードが接続される。ツェナーダイオードZ1のアノードには、抵抗R3を介してトランジスタQ2のベースが接続される。トランジスタQ2のコレクタには、トランジスタQ1とコンデンサC1の接続点に接続される。トランジスタQ2のエミッタは接地される。
【0033】
整流平滑回路11は、ダイオードD2、平滑コンデンサC4、ダイオードD3、及び平滑コンデンサC5から構成される。2次巻線N2の一端は接地され、他端はダイオードD2のアノードに接続される。ダイオードD2のカソードには、出力電圧Vout1を出力する第1出力電圧ラインL1が接続される。平滑コンデンサC4は、第1出力電圧ラインL1とグランド電位の間に接続される。
【0034】
また、2次巻線N2の中間点にはダイオードD3のアノードが接続される。ダイオードD3のカソードには、出力電圧Vout2を出力する第2出力電圧ラインL2接続される。平滑コンデンサC5は、第2出力電圧ラインL2とグランド電位の間に接続される。
【0035】
第1出力電圧ラインL1とグランド電位の間には、抵抗R7と抵抗R9が直列接続される。第2出力電圧ラインL2には抵抗R8の一端が接続され、抵抗R8の他端には抵抗R7と抵抗R9の接続点が接続される。
【0036】
抵抗R7と抵抗R9の接続点には、シャントレギュレータS1のリファレンス端子が接続される。シャントレギュレータS1のアノード端子は接地される。シャントレギュレータS1のカソード端子は、フォトカプラP1の発光ダイオードの一端に接続される。当該発光ダイオードの他端は、抵抗R6を介して第1出力電圧ラインL1に接続される。
【0037】
フォトカプラP1のフォトトランジスタの一端には、抵抗R4とコンデンサC3の接続点が接続される。当該フォトトランジスタの他端には、トランジスタQ2のベースと抵抗R5の接続点が接続される。当該接続点にはコンデンサC2の一端が接続され、コンデンサC2の他端は接地される。抵抗R5は、コンデンサC2と並列に接続される。
【0038】
次に、以上のような構成であるスイッチング電源回路1の基本的な動作について説明する。
【0039】
まず、例えばACケーブルをコンセントに装着するなどして交流電圧Vacを入力させて、直流電圧Vinを入力させた起動時には、トランジスタQ1はオフであるため1次巻線N1には電流は流れないが、起動抵抗R1を通してトランジスタQ1のゲート−ソース間に形成される内部容量に電流が流れ込む。これによってトランジスタQ1のゲート−ソース間電圧Vgsが上昇し、トランジスタQ1の閾値を超えた時点でトランジスタQ1がターンオンし始める。トランジスタQ1がターンオンし始めると、トランスTの1次巻線N1に直流電圧Vinが印加されて電流が流れ始め、これによってドライブ巻線N3と2次巻線N2それぞれに誘導電圧が生じる。
【0040】
ドライブ巻線N3に生じた電圧によって、ドライブ巻線N3から抵抗R2とコンデンサC1を介してトランジスタQ1のゲートに電流が流れ込み、トランジスタQ1のゲート−ソース間電圧Vgsの上昇を加速し、トランジスタQ1が完全にターンオンする。一方、2次巻線N2に発生した電圧は整流用のダイオードD2及びD3に対して逆方向の電圧(負極性の電圧)になるため、2次巻線N2には電流は流れない。
【0041】
トランジスタQ1がターンオンしてドライブ巻線N3に正極性の電圧が生じると、ダイオードD1、抵抗R4、及びフォトカプラP1を介して電流が流れてコンデンサC2が充電される。これにより、コンデンサC2の両端の電圧、即ち、トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧が上昇する。トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧が上昇してトランジスタQ2の閾値を超えるとトランジスタQ2がオンする。トランジスタQ2がオンすると、トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間電圧、即ち、トランジスタQ1のゲート−ソース間電圧Vgsがほぼ0Vとなって、トランジスタQ1をターンオフさせるように働く。
【0042】
トランジスタQ1がターンオフし始めると1次巻線N1に印加される電圧が0Vになり、1次巻線N1に流れていた電流もゼロになる。しかしながら、トランジスタQ1がオンのときに1次巻線N1に流れた電流によってトランスTrに蓄積されていた励磁エネルギーによって、2次巻線N2及びドライブ巻線N3にはそれまでと逆極性の誘導電圧が生じる。
【0043】
2次巻線N2に生じた逆極性の電圧によって発生した電流はダイオードD2を通って平滑コンデンサC4で平滑化されて出力されると共に、ダイオードD3を通って平滑コンデンサC5で平滑化されて出力される。また、ドライブ巻線N3に生じた逆極性の電圧は、トランジスタQ1のゲート−ソース間に形成された内部容量から、コンデンサC1及び抵抗R2を介して急速に電荷を吸収し、トランジスタQ1を完全にターンオフさせる。そして同時に、コンデンサC2の電荷は抵抗R5によって放電され、トランジスタQ2はオフとなる。つまり、トランジスタQ2はトランジスタQ1をターンオフするきっかけを与えるときにのみ一瞬だけオンになる。
【0044】
トランジスタQ1がオフのときに2次巻線N2に流れる電流は、トランスTrからの励磁エネルギーの放出とともに徐々に減少して最後にはゼロとなる。2次巻線N2に流れる電流がゼロになると、2次巻線N2及びドライブ巻線N3それぞれに生じる電圧はそのまま放置すれば0Vを境にして振動しながら減衰する傾向を示す。このときドライブ巻線N3において逆極性から一時的に正極性になる電圧のことをキック電圧という。
【0045】
ドライブ巻線N3にキック電圧が生じると、ドライブ巻線N3から抵抗R2とコンデンサC1を介して、トランジスタQ1のゲートとソースの間に形成される内部容量に電流が流れ込んでトランジスタQ1のゲート−ソース間電圧Vgsを上昇させる。そして、ゲート−ソース間電圧Vgsが閾値を超えてトランジスタQ1がターンオンする。そして、トランジスタQ1のターンオンとともに、2次巻線N2及びドライブ巻線N3それぞれに生じる電圧は強制的に一方の極性に引き上げられて、電圧の振動は強制終了させられる。
【0046】
これ以降は起動時と同様の動作を繰り返すことになり、トランジスタQ1のターンオンとターンオフが繰り返され、スイッチング電源回路として動作する。
【0047】
また、スイッチング電源回路1は、電圧安定化機能(フィードバック機能)も有しており、シャントレギュレータS1のリファレンス端子には出力電圧Vout1及びVout2に応じた電圧が印加され、当該電圧に応じた電流がシャントレギュレータS1に流れる。そして、この電流に応じた発光量でフォトカプラP1の発光ダイオードが発光し、受光量に応じた電流がフォトダイオードに流れる。これにより、トランジスタQ1がオンのときにコンデンサC2に充電される時間が制御され、トランジスタQ2がオンとなるタイミング、即ちトランジスタQ1がオフとなるタイミングが制御される。このようにして、出力電圧Vout1及びVout2は一定値となるように制御される。なお、例えばVout1は20V、Vout2は10Vに制御される。
【0048】
次に、減電検出回路12の具体的構成を
図3に示して説明する。
図3に示すように減電検出回路12は、抵抗121、ダイオード122、平滑コンデンサ123、ツェナーダイオード124、抵抗125、抵抗126、トランジスタ127、及びNOT回路128を備えている。
【0049】
トランスTrにおける2次巻線N2(
図2)の中間点に抵抗121の一端が接続され、他端にダイオード122のカソードが接続される。ダイオード122のアノードには平滑コンデンサ123の一端と共にツェナーダイオード124のアノードに接続される。平滑コンデンサ123の他端は接地される。ツェナーダイオード124のカソードには抵抗125の一端が接続される。抵抗125の他端は抵抗126を介して定電圧Vccに接続される。抵抗125と抵抗126の接続点にはトランジスタ127のベースが接続される。トランジスタ127のエミッタは接地され、コレクタはリセットラインL3(
図2)に接続される。また、抵抗125と抵抗126の接続点にはNOT回路128の入力端に接続される。NOT回路128の出力端には電荷引抜き回路13(
図2)の入力端が接続される。
【0050】
このような構成により、2次巻線N2の中間点に発生した電圧は、抵抗121を介し、ダイオード122及び平滑コンデンサ123から成る整流平滑回路によりマイナス側へ整流平滑され、ツェナーダイオード124によって降伏電圧分だけバイアスされ、定電圧Vccとの間で抵抗125及び126によって分圧される。分圧後の電圧は、トランジスタ127のベース、及びNOT回路128の入力端に印加される。
【0051】
入力されている交流電圧Vacが不安定となり減少した場合(振幅が小さくなった場合)、直流電圧Vinが低下するので、トランジスタQ1がオンのときに2次巻線N2の中間点に発生する負極性の電圧がプラス側へ近づく。これにより、減電検出回路12における上記分圧後の電圧はプラス側に大きくなり、トランジスタ127がオンとなる。すると、リセットラインL3がグランド電位に引き込まれるので、FFC23を介してリセットラインL3に電気的接続されたSOC25のリセット端子25Cに入力される電圧がLowレベルとなる。これにより、SOC25はリセットされ、電源電圧低下によるフリーズを抑止できる。
【0052】
次に、NOT回路128の後段側に設けられた電荷引抜き回路13について説明する。電荷引抜き回路13の回路構成を
図4に示す。
図4に示すように電荷引抜き回路13は、抵抗131、132、134、135及び138と、コンデンサ136と、トランジスタ133、137と、ダイオード139を備えている。
【0053】
NOT回路128の出力信号が入力される端子T1には、抵抗131の一端が接続される。抵抗131の他端には、抵抗132の一端とトランジスタ133のベースが接続される。トランジスタ133のコレクタには、直列接続された抵抗134と135の接続点が接続される。抵抗134と135の接続点には、コンデンサ136の一端と、トランジスタ137のベースが接続される。抵抗132の他端、トランジスタ133のエミッタ、抵抗135の他端、コンデンサ136の他端、及びトランジスタ137のエミッタは共通接続されて接地される。
【0054】
また、第1出力電圧ラインL1に接続される端子T2と抵抗134の一端との接続点には、抵抗138の一端とダイオード139のカソードが共通接続される。抵抗138の他端にはトランジスタ137のコレクタが接続される。そして、第2出力電圧ラインL2に接続される端子T3には、ダイオード139のアノードが接続される。即ち、通常動作時に出力電圧の高い第1出力電圧ラインL1(例えば20V)にダイオード139のカソードが、出力電圧の低い第2出力電圧ラインL2(例えば10V)にダイオード139のアノードが接続される。
【0055】
ここで、入力される交流電圧Vacが正常レベルであれば、トランジスタQ1がオンのときに2次巻線N2の中間点に発生する負極性の電圧はマイナス側に大きな正常の値であるので、
図3の減電検出回路12における抵抗125と126の接続点の電圧である分圧後の電圧はLowレベルとなり、NOT回路128の出力はHighレベルとなる。
【0056】
このとき、
図4の電荷引抜き回路13における端子T1にHighレベルの電圧が印加されるので、
図5Aに示すように、トランジスタ133がオンとなり、トランジスタ137はオフとなる。従って、平滑コンデンサC4(
図2)から第1出力電圧ラインL1及び端子T2を介してトランジスタ137に電流は流れないので、電荷はほとんど引き抜かれず放電されない。このとき、ダイオード139はオフである。
【0057】
また、ACケーブルをコンセントから外すなどして交流電圧Vacの供給が停止されると、直流電圧Vinが低下し、トランジスタQ1がオンのときに2次巻線N2の中間点に発生する負極性の電圧がプラス側へ近づく。これにより、減電検出回路12における上記分圧後の電圧はHighレベルとなり、NOT回路128の出力はLowレベルとなる。
【0058】
このとき、電荷引抜き回路13における端子T1にLowレベルの電圧が印加されるので、
図5Bに示すように、トランジスタ133がオフとなり、第1出力電圧ラインL1の電圧がプルアップ電圧として端子T2及び抵抗134を介してトランジスタ137のベースに印加される。これにより、トランジスタ137はオンとなり、平滑コンデンサC4から第1出力電圧ラインL1、端子T2、抵抗138、及びトランジスタ137を介して電流が流れ、平滑コンデンサC4から電荷が短時間に引き抜かれて放電される。
【0059】
平滑コンデンサC4から電荷が引き抜かれて端子T2の電圧が低くなると、端子T3に印加される第2出力電圧ラインL2の電圧との関係で、
図5Cのように、ダイオード139がオンとなる。これにより、端子T3の電圧がプルアップ電圧としてダイオード139、抵抗134を介してトランジスタ137のベースに印加され、トランジスタ137はオンを維持する。すると、平滑コンデンサC5から第2出力電圧ラインL2、端子T3、ダイオード139、抵抗138、及びトランジスタ137を介して電流が流れ、平滑コンデンサC5から電荷が短時間に引き抜かれて放電される。放電されると、ダイオード139とトランジスタ137はオフとなる。
【0060】
このように電荷引抜き回路13によれば、交流電圧Vacの供給を停止させた場合に、第1出力電圧ラインL1に接続される平滑コンデンサC4、第2出力電圧ラインL2に接続される平滑コンデンサC5から順に短時間で放電させることができる。
【0061】
例えば製品の組み立て工程や修理時に、交流電圧Vacの供給を停止させた後、短時間にFFC23のコネクタ231をコネクタ22から引抜き(
図1)、再度挿入したときに、本来対応していないコネクタ22とコネクタ231の端子同士が短絡したとする。しかしながら、既に平滑コンデンサC4及びC5には引き抜きによって電荷が残留していないので、第2基板27に設けられた回路(SOC25やオーディオアンプ26等)の部品が破壊することを抑止できる。なお、コネクタ232のコネクタ24に対する脱着を行った場合も同様である。
【0062】
なお、交流電圧Vacが正常レベルの場合である
図5Aの状態では、端子T2から抵抗134及びオンとなったトランジスタ133を介して電流が流れるが、抵抗134はトランジスタ137のドライブ用で高い抵抗値としているため、消費電力はごくわずかであり無視できるレベルである。
【0063】
また、
図4の電荷引抜き回路13において端子T3とダイオード139を設けないようにした回路を第1出力電圧ラインL1からの引抜き用とし、同様の回路を別途、第2出力電圧ラインL2からの引抜き用に設けてもよい。これによれば、平滑コンデンサC4とC5から並行して電荷を引抜くことができる。但し、コストと基板スペースの面からは
図4に示した構成が望ましい。
【0064】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について述べる。本実施形態に係る電荷引抜き回路の回路構成を
図6に示す。本実施形態は、第1実施形態における第1出力電圧ラインL1、第2出力電圧ラインL2に加えて、第3出力電圧ラインを備えたスイッチング電源回路を前提とする。
【0065】
図6に示す電荷引抜き回路13’では、
図4で示した構成に加えて、ダイオード140と端子T4を備えている。第1出力電圧ラインが端子T2、第2出力電圧ラインL2が端子T3、及び第3出力電圧ラインが端子T4にそれぞれ接続しており、通常動作時の出力電圧については、第1出力電圧ライン>第2出力電圧ライン>第3出力電圧ラインとなっている。そして、端子T2とダイオード139のカソードの接続点に、ダイオード140のカソードが接続される。ダイオード140のアノードが端子T4に接続される。
【0066】
このような構成によれば、交流電圧の供給が停止されて端子T1にLowレベルの信号が印加されると、トランジスタ133がオフとなり、トランジスタ137がプルアップによりオンとなる。これにより、第1出力電圧ラインに接続された平滑コンデンサから放電が行われ、端子T2の電圧が低下する。すると、ダイオード139がオンとなり、ダイオード140はオフが維持される。そして、トランジスタ137のオンが維持され、第2出力電圧ラインに接続された平滑コンデンサからの放電が行われる。
【0067】
放電により端子T3の電圧が低下すると、ダイオード139はオフとなり、ダイオード140がオンとなる。すると、トランジスタ137のベースにプルアップ電圧が印加され、トランジスタ137はオンを維持する。これにより、第3出力電圧ラインに接続された平滑コンデンサからの放電が行われる。
【0068】
このように、本実施形態によれば、3つ設けられた出力電圧ラインの各平滑コンデンサから順次、短時間で電荷を引抜くことができる。なお、出力電圧ラインが4つ以上になった場合でも、ダイオードを追加して同様の構成を採ればよい。
【0069】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について述べる。本実施形態では、交流電圧Vacの供給の停止を検出する構成が第1実施形態と相違する。本実施形態に係るスイッチング電源回路の構成を
図7に示す。なお、
図7において減電検出回路12’は、
図3の構成においてNOT回路128を削除した構成となる。
【0070】
図7に示すように、スイッチング電源回路1’は、整流平滑回路15、フォトカプラP2、抵抗R10、及び抵抗R11を備えている。
【0071】
交流電圧Vacが正常レベルであれば、交流電圧Vacを整流平滑する整流平滑回路15の出力電圧は所定のレベルにあるので、フォトカプラP2の発光ダイオードの発光により、フォトカプラP2のフォトトランジスタと抵抗R11の接続点の電圧はHighレベルとなる。当該接続点は電荷引抜き回路13の端子T1(
図4)に接続されるので、端子T1の電圧はHighレベルとなり、電荷の引抜きは行われない(
図5A)。
【0072】
一方、交流電圧Vacの供給が停止されると、整流平滑回路15の出力電圧が低下し、フォトカプラP2のフォトトランジスタと抵抗R11の接続点の電圧はLowレベルとなる。よって、電荷引抜き回路13の端子T1の電圧がLowレベルとなり、電荷の引抜きが行われる(
図5B、
図5C)。
【0073】
このようなフォトカプラP2を用いた構成によれば、1次側と2次側間を絶縁しつつ迅速に交流電圧Vacの供給停止を検出することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【0075】
例えば、本発明は、自励式に限らず他励式のスイッチング電源回路にも適用できるし、トランスを有した絶縁型に限らず、非絶縁型の電源回路(チョッパ回路等)にも適用可能である。また、入力電圧は交流電圧に限らず、直流電圧でもよい。