特開2015-231285(P2015-231285A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015231285-電動車両、外部給電装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231285(P2015-231285A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】電動車両、外部給電装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 1/00 20060101AFI20151124BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20151124BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20151124BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20151124BHJP
   B60W 10/26 20060101ALN20151124BHJP
   B60W 20/00 20060101ALN20151124BHJP
   B60W 10/30 20060101ALN20151124BHJP
【FI】
   B60L1/00 LZHV
   B60H1/32 623T
   B60H1/22 671
   B60L11/18 C
   B60K6/20 330
   B60K6/20 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-116407(P2014-116407)
(22)【出願日】2014年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】服部 司郎
【テーマコード(参考)】
3D202
3L211
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA10
3D202BB26
3D202BB45
3D202CC01
3D202CC57
3D202DD00
3L211AA10
3L211AA12
3L211AA14
3L211BA02
3L211BA03
3L211BA32
3L211EA03
3L211EA83
3L211GA99
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC24
5H125BC25
5H125CD08
5H125DD01
5H125EE21
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】乗員に不快な思いをさせずに外部給電中のバッテリーの電力消費を抑制する。
【解決手段】電動車両で車室内の温度の調整中(空調中)に外部給電が開始されたことを検出した場合には、車室内の空調を中断する。そして、その状態で、乗員が乗り込んでくるなどして車室内で乗員が検出された場合には、中断していた空調を再開する。こうすれば、外部給電中は空調が中断されるので、バッテリーの電力消費を抑制することができる。また、乗員が乗り込んでくるなどして乗員が検出されると、中断していた空調が再開される。このため、たとえ、室内温度が高くなっていた場合でも、しばらく待っていれば温度が下がると考えて、乗員が不快に感じることがない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー(10)に蓄えられた電力を用いて走行する走行機能と、車室内温度を調整する空調機能とを有する電動車両(1)であって、
前記バッテリーの電力を変換して、前記電動車両の外部の電気機器(60)に外部供給する外部給電部(30)と、
前記バッテリーの電力を用いて前記電動車両の車室内温度を調節する空調部(20)と、
前記電動車両の車室内での乗員を検出する乗員検出部(51、52、53、54)と、
前記外部給電部および前記空調部の動作を制御する制御部(40)と
を備え、
前記制御部は、前記空調部の動作中に前記外部給電が開始された場合には、該空調部の動作を中断し、該空調部の動作の中断中に前記乗員検出部が前記乗員を検出した場合には、前記空調部の動作を再開する制御部である
電動車両。
【請求項2】
バッテリー(10)に蓄えられた電力を用いて走行する走行モーター(11)と、車室内温度を調整する空調機(20)とを有する電動車両(1)に搭載されて、該バッテリーの電力を該電動車両の外部の電気機器に外部供給する外部給電装置(2)であって、
前記バッテリーの電力を変換して、前記電動車両の外部の電気機器(60)に外部供給する外部給電部(30)と、
前記電動車両の車室内での乗員を検出する乗員検出部(51、52、53、54)と、
前記外部給電部および前記空調機の動作を制御する制御部(40)と
を備え、
前記制御部は、前記空調機の動作中に前記外部給電が開始された場合には、該空調機の動作を中断し、該空調機の動作の中断中に前記乗員検出部が前記乗員を検出した場合には、前記空調機の動作を再開する制御部である
外部給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載バッテリーから外部の電気機器へ外部給電する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、いわゆる電気自動車やハイブリッド車両などのように、電気エネルギーを用いて走行可能な電動車両が市場に供給されるようになってきた。これらの電動車両には、電気エネルギーを蓄えるために大容量の車載バッテリーが搭載されていることが通常である。そこで、車載バッテリーの電力を商用の交流電源に変換する電力変換機を搭載することで、変換した電力を車外に供給するための接続端子(コンセントなど)を備えた電動車両が開発されている。(特許文献1)。このような車両では、例えば、車両に乗りキャンプ場へ出かけた場合に、車両の接続端子に各種の電気機器(例えば、ステレオ)のプラグを接続することで、屋外でも電気機器を使用することができる。
【0003】
また、車外で各種の電気機器を使用している時に、車室内での温度を制御するために空調装置(以下、エアコン)を動作させていると車載バッテリーの電力消費が大きくなる。そこで、エアコンの動作中に車外の電気機器(以下、車外電気機器)への電力供給を開始すると、エアコンを停止させることも行われている。車外電気機器は電力供給する場合に、乗員が車外に出て車外電気機器の電気プラグを接続端子に接続するため、エアコンを停止させても、乗員に不快な思いをさせることなく車載バッテリーの電力消費を抑制できるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−016197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の技術では、車外に出ていた乗員が車内に戻ってきた場合に、エアコンが止まっているので乗員に不快な思いをさせてしまうという問題があった。また、車外電気機器を使用するために乗員が車外に出た時に、他の乗員が車内に残っていた場合にもエアコンが止まってしまうと不快な思いをさせてしまうという問題があった。
【0006】
この発明は、従来技術が有する上述した課題に鑑みてなされたものであり、車外電気機器が使用された場合に、できるだけ乗員に不快な思いをさせることなく、車載バッテリーの電力消費を抑制することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の電動車両および外部給電装置では、車室内の温度の調整中(空調中)に外部給電が開始されたことを検出した場合には、車室内の空調を中断する。そして、その状態で、乗員が乗り込んでくるなどして車室内で乗員が検出された場合には、中断していた空調を再開する。
【0008】
こうすれば、外部給電中は空調が中断されるので、バッテリーの電力消費を抑制することができる。また、乗員が乗り込んでくるなどして乗員が検出されると、中断していた空調が再開される。このため、たとえ、室内温度が高くなっていた場合でも、しばらく待っていれば温度が下がると考えて、乗員が不快に感じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の外部給電装置2を備えた車両1の大まかな構成を示す説明図である。
図2】制御装置40が実行する外部給電時エアコン駆動処理のフローチャートである。
図3】外部給電時エアコン駆動処理時の、制御装置40の指令により動作する外部給電部30と、エアコン20との動作を示した説明図である。
図4】乗員を検知する各種センサーを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために実施例について説明する。
図1には本実施例の外部給電装置2を備えた車両1の大まかな構成が示されている。図示されるように、車両1はバッテリー10や、エアコン20、外部給電部30、制御装置40、ドアセンサー51を備えており、外部給電部30はインバーター31と給電端子32とを備えている。また、本実施例の外部給電装置2は、外部給電部30や、制御装置40、ドアセンサー51を備えている。
尚、本実施例では、エアコン20が本発明の「空調部」あるいは「空調機」に該当し、ドアセンサー51が本発明の「乗員検出部」に該当する。更に、本実施例の制御装置40は、本発明の「制御部」に該当する。
【0011】
本実施例の車両1は、いわゆる電気自動車やハイブリット車両などのように、走行モーター11を搭載して、電気エネルギーを用いて走行することができる電動車両である。電動車両は、ガソリンや、軽油を利用するエンジンで走行する車両と比較して、大きな容量のバッテリー10を搭載している。バッテリー10はエアコン20に電力を供給しており、エアコン20は電力の供給が開始されることで車内の温度の調節を開始することができる。エアコン20の動作は制御装置40により制御されており、動作の状況が制御装置40によってモニターされている。
【0012】
バッテリー10はインバーター31にも電力を供給しており、インバーター31はバッテリー10から出力される直流電流を交流電流に変換して給電端子32に供給する。インバーター31の動作も制御装置40が制御しており、動作の状況は制御装置40によってモニターされている。
さらに、制御装置40はドアセンサー51と接続されており、ドアの開閉状態を検知することによって車室内に乗員が載ってきたことを検知することができる。
【0013】
エアコン20と外部給電部30とが同時に起動すると、バッテリー10の消費電力が大きくなる。その結果、バッテリー10の電力消費量が大きくなるだけではなく、既定の電力を車外電気機器60に供給することが困難となる場合もある。こうした事態を避けるために、従来はエアコン20の動作中に外部給電部30を介して外部給電が開始された場合には、エアコン20の動作を停止させていた。しかし、これでは前述したようにエアコン20の停止後に人が乗車した場合などには乗員に不快な思いを与えてしまう。そこで、本実施例の制御装置40は次のような処理を行う。
【0014】
図2には、本実施例の制御装置40が外部給電時にエアコンの動作を制御する処理(外部給電時エアコン駆動処理)のフローチャートが示されている。
図示されるように、外部給電時エアコン駆動処理では、先ず始めにエアコン20が動作しているかどうかを確認する(S10)。前述したように、エアコン20は制御装置40の制御の下で動作を開始し、さらに、動作中は制御装置40によってモニターされている。(図3(a)参照)従って、制御装置40は、エアコン20が動作しているかどうかを容易に確認することができる。
【0015】
エアコン20が動作中でない場合は(S10:no)、そのまま外部給電時エアコン駆動処理を終了する。これに対して、エアコン20が動作中であった場合は(S10:yes)、次に、外部給電部30が車外電気機器60に外部給電を開始したか否か確認する(S20)。
外部給電がされていない場合は(S20:no)、エアコン20の動作を停止するか否かを判断し(S70)、エアコン20を停止しない場合は(S70:no)、エアコン20を動作させたまま、再び外部給電を開始するか否かを判断する(S20)。
一方、エアコン20の動作中に外部給電が開始された場合は(S20:yes)、制御装置40はエアコンの給電を停止する(S30)。図3(b)には、制御装置40が外部給電を確認してエアコン20の動作を停止する様子が示されている。
【0016】
その後、ドアセンサー51の信号を検出して、エアコン20の停止後に車内に人が入ってきたかどうかを判断する。(S40)。ドアセンサー51の信号からドアが閉状態から開状態になった場合には人が乗車してきたものと判断することができる。
そして、ドアセンサー51の信号で人が乗車してきたと判断した場合は(S40:yes)、エアコン20の動作を再開させる(S60)。図3(c)には、外部給電中に制御装置40がドアセンサー51の信号を検知してエアコン20を動作させる様子が示されている。
【0017】
一方、人が乗車してきたと判断しなかった場合は(S40:no)、外部給電部30が外部給電をしているか判断する(S50)。外部給電をしている場合は(S50:yes)、車内に人が乗車してきたかどうかの判断に戻り(S40)、続く上述した処理を繰り返す。また、人が乗車してきたと判断されないまま外部給電が終了した場合は(S50:no)、エアコン20の動作を停止するか否かを判断する(S70)。
【0018】
上述したように、外部給電を開始しなかった場合(S20:no)、または、人が乗車してきたことが確認されずに外部給電が終了した場合は(S50:no)、エアコン20の動作を停止するか否かを判断する(S70)。同様に、人の乗車を検知した場合は(S40:yes)、エアコンの動作を再開し(S60)、エアコンの動作を停止するか否かを判断する(S70)。
エアコン20を停止しない場合は(S70:no)、エアコン20を動作させたまま、再び外部給電を開始するか否かの判断に戻り(S20)、続く上述した処理を繰り返す。エアコンの動作を停止する場合は(S70:yes)、給電を停止して外部給電時エアコン駆動処理を終了する。
【0019】
以上に説明したように、本実施例によれば、制御装置40はドアセンサー51の信号を受信し、人の乗車を検知することができるので、乗員がいる場合にエアコン20の動作を再開させることができる。
尚、以上の説明ではドアセンサー51の信号に基づいて、人が乗車してきたことを検知するものとして説明した、しかし、車室内の乗員を検知できるセンサーであればどのようなセンサーを用いてもよい。
【0020】
図4には車室内の乗員を検知するための各種センサーが例示されている。人が乗車する際にはドア3が解放されるので、それに伴って車内温度が変化する。例えば、車外温度が室内温度よりも低い場合には、人の乗車に伴って車室内温度が急に低下する。逆に、車外温度が室内温度よりも高い場合には、人の乗車に伴って車室内温度が急に上昇する。
従って、温度センサー52をドア3の開閉部付近などに設置して温度変化を検出し、例えば一定時間内に一定以上の温度変化を検知した場合には、人が乗車してきたものと判断することができる。
【0021】
また、着座センサー53を座席4の下に設置しておけば、乗員が椅子に座っていることを検知することができる。従って、着座センサー53で検出した荷重が一定値以上である場合には、人が乗車しているものと判断することができる。あるいは、着座センサー53で検出した荷重が一定値以上に急増した場合には、人が乗車してきたものと判断することができる。して、人が乗車していることを判断できる。
さらに、赤外線センサー54を車室内の例えば天井付近に設置しておけば、人体から放射される赤外線を検知することができる。従って、人体からの赤外線を赤外線センサー54で検出した場合には、人が乗車しているものと判断することができる。あるいは、赤外線センサー54で検出した赤外線が急増した場合には、人が乗車してきたものと判断することができる。
【0022】
以上、実施例について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。例えば、上述したこれらのセンサーを、単体、もしくは複合して使用することで乗員を検知し、実施することができる。
【符号の説明】
【0023】
1…車両、 2…外部給電装置、 10…バッテリー、
11…走行モーター、 20…エアコン、 30…外部給電部、
31…インバーター、 32…給電端子、 40…制御装置、
51…ドアセンサー、 52…温度センサー、 53…着座センサー、
54…赤外線センサー、 60…車外電気機器。
図1
図2
図3
図4