【0008】
本発明における肉様食感とは、特に繊維感や歯ごたえが肉に近いものである。
本発明でいうオート麦は、別名オーツ麦、カラスムギないしエンバクと呼ばれるものである。
本発明でいうオート麦ファイバーとは、いわゆるオート麦のフスマ部分、すなわちオート麦の外皮部分から、水溶性繊維等の水溶性成分を除去した、不溶性の繊維部分のことである。いわゆるオート麦ブランないしオートブランと称される、水溶性食物繊維に富む製品では、肉様食感を発現させる効果は限定的である。
本発明における組織状大豆蛋白質素材とは、大豆蛋白質原料を主な原料とし、エクストルーダーのような押出し成型機により調製されるものである。
【0010】
また、オート麦ファイバーの量は、オート麦ファイバーと大豆蛋白質原料の合計量に対し、5〜50重量%であることが望ましく、この量は、より望ましくは7.5〜45重量%であり、さらに望ましくは10〜40重量%である。
なお、使用する大豆蛋白質原料としては脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、脱脂豆乳粉末、含脂豆乳粉末、大豆粉を挙げることがことができ、より望ましくは脱脂大豆、分離大豆蛋白であり、さらに望ましくは脱脂大豆である。これら大豆蛋白質原料から、1以上を適宜選択して用いることができる。
大豆蛋白質原料の量は、組織状大豆蛋白質素材固形分中、50〜95重量%が望ましく、より望ましくは55〜92.5重量%であり、さらに望ましくは60〜90%である。大豆蛋白質原料の量が多すぎると、相対的にオート麦ファイバーの使用量が減少することで、課題の解決が難しくなる場合がる。また、大豆蛋白質原料の量が少なすぎると、肉様食感が得られにくくなる場合がある。
【実施例】
【0019】
○検討1 各種繊維素材の検討
実施例1、比較例1〜11
表1に記載の配合により、各種の繊維素材を用い、後述の調製法に従い、組織状大豆蛋白質組成物を調製した。
得られた組織状大豆蛋白質組成物は、以下に記載する「組織状大豆蛋白質組成物の官能評価法」に従い評価した。
結果を表2に記載した。
【0020】
表1 配合
・オート麦ファイバーはJ.RETTENMAIER&SoHNE GMBH+CO. KG.社(以下JRS社)製「VITACEL HF200」を使用した。
・脱脂大豆は不二製油株式会社製製品を使用した。
・脱脂オカラは不二製油株式会社製製品を使用した。
・オレンシ゛ファイハ゛ーはJRS社製「VITACEL OF405」を使用した。
・小麦ファイハ゛ーはJRS社製「WF600」を使用した。
・サトウキヒ゛ファイハ゛ーはJRS社製「SF601」を使用した。
・粉末セルロースはJRS社製「VITAPUR 」を使用した。
・ホ゜テトファイハ゛ーはJRS社製「VITACEL KF200-S」を使用した。
・エント゛ウファイハ゛ーはJRS社製「VITACEL EF100」を使用した。
・アッフ゜ルファイハ゛ーはJRS社製「VITACEL AF400-30」を使用した。
・小麦フ゛ランはハ゜イオニア企画社製「フ゛ラン」を使用した。
・オート麦フ゛ランはK.I.テックインターナショナル社製「オートフ゛ランPT」を使用した。
【0021】
<組織状大豆蛋白質素材の調製法>
1 配合に従い、原材料を粉体混合した。
2 幸和工業(株)製二軸エクストルーダーを用いて組織化した。
水の添加量はダイから押し出される組織化物が膨化するようにバルブを調整し、原料中の水分を約20〜60重量%の間で調整した。
スクリュー回転数は200rpmとした。
先端バレル温度は160〜180℃であった。先端バレルの圧力は5〜50kg/cm2の間で変化させた。
3 得られた膨化物は、長さ20mm程度となるようダイス出口直後にカッターで切断した。
4 タバイ(株)製ESPEC PV-221乾燥機にて水分4〜8重量%となるよう80℃の熱風で乾燥を行った。
【0022】
<組織状大豆蛋白質組成物の官能評価法>
調製された組織状大豆蛋白質組成物は、水戻しした後、パネラー5名により、同条件で調製した、脱脂大豆100%のコントロールとの対比において、以下の基準で官能評価した。
・風味評価
5点 コントロールよりも大きく勝るもの。
4点 コントロールよりも若干勝るもの。
3点 コントロールと同等と評価されるもの。
2点 コントロールよりも若干劣るもの。
1点 コントロールよりも大きく劣るもの。
4点以上を合格とした。
・食感評価
5点 コントロールよりも大きく勝るもの。
4点 コントロールよりも若干勝るもの。
3点 コントロールと同等と評価されるもの。
2点 コントロールよりも若干劣るもの。
1点 コントロールよりも大きく劣るもの。
両項目で4点以上となったものを合格とした。
【0023】
表2 結果
【0024】
考察
表2に記載の通り、オート麦ファイバーを使用した場合は、それ以外の繊維素材を使用した場合に比べ、また、コントロールに比べ、風味及び繊維感や歯ごたえ等の肉様食感が良好であった。
【0025】
○検討2 オート麦ファイバーの平均繊維長の検討
実施例2〜4
表3配合記載の通り、各種平均繊維長のオート麦ファイバーを使用して組織状大豆蛋白質素材を調製した。調製条件は、検討1記載の通りとした。得られた組織状大豆蛋白質素材を、検討1と同様に官能評価した。結果を表4に記載した。
【0026】
表3 配合
・オート麦ファイハ゛ーAはJRS社製「HF600」を使用した。
・オート麦ファイハ゛ーBはJRS社製「HF101」を使用した。
・オート麦ファイハ゛ーCはJRS社製「HF600/30」を使用した。
【0027】
表4 結果
【0028】
考察
表4に記載の通り、オート麦ファイバーの平均繊維長によらず良好な肉様食感を示したが、平均繊維長がより長い方が肉様食感は良好であった。
【0029】
○検討3 オート麦ファイバーの配合量比検討
実施例5〜6
表5に示す配合により、オート麦ファイバーと脱脂大豆の合計量における、オート麦ファイバーの量を変えて、組織状大豆蛋白質素材の調製を行った。
調製法は検討1記載の通りとした。
得られた組織状大豆蛋白質素材は、検討1記載の方法により官能評価した。結果を表6に記載した。
【0030】
表5 配合
【0031】
表6 結果
【0032】
考察
オート麦ファイバーの添加量は多い方が、得られる組織状大豆蛋白質素材の風味及び食感に好ましい影響を与えることが明らかとなった。