特開2015-231352(P2015-231352A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231352(P2015-231352A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】培養装置及び培養方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20151201BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20151201BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   C12M1/00 C
   C12M1/00 D
   C12M3/00 Z
   C12N1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-119841(P2014-119841)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100176603
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 允史
(72)【発明者】
【氏名】伊 藤 健 一
(72)【発明者】
【氏名】籠 田 将 慶
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029CC01
4B029DB01
4B065AA01X
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BC41
(57)【要約】
【課題】袋本体内の培養液の物性を適切に評価することが可能な培養装置を提供する。
【解決手段】培養装置10は、被培養物8aを含む培養液8を収容する袋本体11と、回転軸Xの周りで回転可能となるように袋本体11内に設けられ、培養液8を撹拌する撹拌器30と、袋本体11に取り付けられ、袋本体11内の培養液8の物性を検出する複数の物性検出部60と、を備える。各物性検出部60は、袋本体11内の培養液8の或る物性を検出する第1検出要素61を含み、一の物性検出部60aは、少なくとも1つの他の物性検出部60bと、回転軸Xに平行な方向における位置が異なっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被培養物を含む培養液を収容する袋本体と、
回転軸の周りで回転可能となるように前記袋本体内に設けられ、前記培養液を撹拌する撹拌器と、
前記袋本体に取り付けられ、前記袋本体内の培養液の物性を検出する複数の物性検出部と、を備え、
一の物性検出部は、少なくとも1つの他の物性検出部と、前記回転軸に平行な方向における位置が異なっている、培養装置。
【請求項2】
前記複数の物性検出部のうちの或る2つの物性検出部が、前記回転軸に対して反対側に位置している、請求項1に記載の培養装置。
【請求項3】
前記撹拌器は、前記回転軸と平行な方向に並べて配置され前記培養液を撹拌する複数の撹拌用羽根を有し、
各物性検出部は、各々に対応する撹拌用羽根と対面している、請求項1または2に記載の培養装置。
【請求項4】
前記複数の物性検出部のうちの或る2つの物性検出部が、前記回転軸を挟んで対面し、
前記複数の物性検出部のうちの別の2つの物性検出部が、前記回転軸を挟んで対面し、
前記或る2つの物性検出部は、前記別の2つの物性検出部と、前記回転軸に平行な方向における位置が異なっている、請求項1に記載の培養装置。
【請求項5】
前記撹拌器は、前記回転軸と平行な方向に並べて配置され前記培養液を撹拌する複数の撹拌用羽根を有し、
前記或る2つの物性検出部は、一の撹拌用羽根を挟んで対面し、
前記別の2つの物性検出部は、他の撹拌用羽根を挟んで対面している、請求項4に記載の培養装置。
【請求項6】
各物性検出部は、前記袋本体内の培養液の或る物性を検出する検出要素を含み、一の物性検出部の前記検出要素と前記回転軸との距離は、少なくとも1つの他の物性検出部の前記検出要素と前記回転軸との距離と異なっている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の培養装置。
【請求項7】
各物性検出部は、前記袋本体の壁面に取り付けられ、前記検出要素を前記袋本体の壁面よりも前記回転軸に近接した位置で保持するサンプリングポートをさらに含み、
前記一の物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量は、50mm以下であり、
前記他の物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量は、100mm以上である、請求項6に記載の培養装置。
【請求項8】
被培養物を含む培養液を収容する袋本体と、
回転軸の周りで回転可能となるように前記袋本体内に設けられ、前記培養液を撹拌する撹拌用羽根を有する撹拌器と、
前記袋本体に取り付けられ、前記袋本体内の培養液の物性を検出する単一の物性検出部と、を備え、
前記物性検出部は、前記袋本体内の培養液の或る物性を検出する検出要素と、前記袋本体の壁面に取り付けられ、前記検出要素を前記袋本体の壁面よりも前記回転軸に近接した位置で保持するサンプリングポートと、を含み、
前記物性検出部は、前記撹拌用羽根と対面し、
前記物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量は、5mm以上150mm以下である、培養装置。
【請求項9】
前記検出要素は、前記袋本体内の前記培養液の温度を計測する温度センサである、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の培養装置。
【請求項10】
被培養物を含む培養液を収容する袋本体と、
回転軸の周りで回転可能となるように前記袋本体内に設けられ、前記培養液を撹拌する複数の撹拌用羽根を有する撹拌器と、
前記袋本体に取り付けられ、前記袋本体内の培養液の物性を検出する物性検出部と、を備え、
前記物性検出部は、前記回転軸に平行な方向において2つの撹拌用羽根の間となる位置に位置している、培養装置。
【請求項11】
前記袋本体を環状に取り囲む加熱ジャケット装置をさらに備え、
前記加熱ジャケット装置は、前記袋本体の外方から当該袋本体内の前記培養液を加熱する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の培養装置。
【請求項12】
袋本体内に収容された被培養物を含む培養液を撹拌する工程と、
前記袋本体内の培養液の或る物性を複数の異なる検出位置で検出する工程と、を備え、
一の検出位置は、少なくとも1つの他の検出位置と、前記回転軸に平行な方向における位置が異なっている、培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被培養物を含む培養液を収容して被培養物を培養する培養装置に関する。また、本発明は、被培養物を培養する培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品産業の大部分を占める新薬市場の主流が、低分子医薬品からバイオ医薬品へ移行している。このバイオ医薬品の生産には、微生物、細胞、菌等の被培養物を培養する培養法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
培養法には、従来からステンレス製の培養容器を有する培養システムが用いられてきた。この培養容器には被培養物を含む培養液が収容され、撹拌器によって培養液が撹拌される。このようにして、被培養物の培養が行われるようになっている。この培養システムにおいて新たに培養を行う際には、培養液を培養容器に収容する前に、培養容器や撹拌器等を洗浄し、滅菌を行っている。
【0004】
多くの培養装置では、培養容器や撹拌器等を分解することなく洗浄する定置洗浄(CIP:Clean in place)が可能になっている。このことにより、比較的容易に洗浄を行うことが可能になっている。しかしながら、このような定置洗浄を行う場合であっても、人手による作業は依然として残っている。また、バリデーションとして、定期的に洗浄性や洗浄後の培養液の残存量の確認を行い、洗浄性の検証を行っている。このため洗浄に多くの時間が費やされているという問題がある。なお、定置洗浄では洗浄性が不十分となる場合には、分解洗浄が行われ、この場合には、更に多くの時間が費やされる。このため、バイオ医薬品の生産工程の短縮化が困難になっている。
【0005】
このことに対処するために、培養液を収容する使い捨て可能な可撓性バッグを用いて被培養物の培養を行う培養装置が知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。この可撓性バッグは、滅菌されて清浄な状態に維持されているため、上述したステンレス製の培養容器を用いる場合のような洗浄、滅菌、定期バリデーションといった工程等を不要とすることができる。このため、バイオ医薬品の生産工程を短縮し、単位時間あたりのバイオ医薬品の生産量を増大させることを可能にしている。
【0006】
特許文献2または3に示す可撓性バックは、培養液を収容する袋本体と、袋本体の周りに配置された加熱ジャケット装置と、袋本体内に配置された撹拌器と、袋本体の壁面近傍に位置する培養液の物性を検出する物性検出部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−168341号公報
【特許文献2】特表2007−534335号公報
【特許文献3】特開2009−72182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2または3に示す培養装置では、袋本体の周りに配置された加熱ジャケット装置により袋本体内の培養液を加熱する。この場合、撹拌器により袋本体内の培養液を撹拌しているものの、袋本体の壁面近傍と袋本体の内部との間で培養液に温度差が生じてしまう。さらに、撹拌による袋本体内の培養液の流れは、袋本体の壁面の影響を受けるため、袋本体の壁面近傍に位置する培養液は、袋本体の内方に位置する培養液と混ざり難い。特許文献2または3に示す培養装置では、袋本体の壁面近傍に位置する培養液の物性のみを検出するため、袋本体内の培養液の物性を適切に評価することができなかった。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、袋本体内の培養液の物性を適切に評価することが可能な培養装置及び培養方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による第1の培養装置は、被培養物を含む培養液を収容する袋本体と、
回転軸の周りで回転可能となるように前記袋本体内に設けられ、前記培養液を撹拌する撹拌器と、
前記袋本体に取り付けられ、前記袋本体内の培養液の物性を検出する複数の物性検出部と、を備え、一の物性検出部は、少なくとも1つの他の物性検出部と、前記回転軸に平行な方向における位置が異なっている。
【0011】
本発明による第1の培養装置において、前記複数の物性検出部のうちの或る2つの物性検出部が、前記回転軸に対して反対側に位置していてもよい。
【0012】
本発明による第1の培養装置において、前記撹拌器は、前記回転軸と平行な方向に並べて配置され前記培養液を撹拌する複数の撹拌用羽根を有し、各物性検出部は、各々に対応する撹拌用羽根と対面していてもよい。
【0013】
本発明による第1の培養装置において、前記複数の物性検出部のうちの或る2つの物性検出部が、前記回転軸を挟んで対面し、前記複数の物性検出部のうちの別の2つの物性検出部が、前記回転軸を挟んで対面し、前記或る2つの物性検出部は、前記別の2つの物性検出部と、前記回転軸に平行な方向における位置が異なっていてもよい。
【0014】
本発明による第1の培養装置において、前記撹拌器は、前記回転軸と平行な方向に並べて配置され前記培養液を撹拌する複数の撹拌用羽根を有し、前記或る2つの物性検出部は、一の撹拌用羽根を挟んで対面し、前記別の2つの物性検出部は、他の撹拌用羽根を挟んで対面していてもよい。
【0015】
本発明による第1の培養装置において、各物性検出部は、前記袋本体内の培養液の或る物性を検出する検出要素を含み、一の物性検出部の前記検出要素と前記回転軸との距離は、少なくとも1つの他の物性検出部の前記検出要素と前記回転軸との距離と異なっていてもよい。
【0016】
本発明による第1の培養装置において、一の物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量は、他の物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量と異なっていてもよい。
【0017】
本発明による第1の培養装置において、各物性検出部は、前記袋本体の壁面に取り付けられ、前記検出要素を前記袋本体の壁面よりも前記回転軸に近接した位置で保持するサンプリングポートをさらに含み、
前記一の物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量は、50mm以下であり、
前記他の物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量は、100mm以上であってもよい。
【0018】
本発明による第2の培養装置は、被培養物を含む培養液を収容する袋本体と、
回転軸の周りで回転可能となるように前記袋本体内に設けられ、前記培養液を撹拌する複数の撹拌用羽根を有する撹拌器と、
前記袋本体に取り付けられ、前記袋本体内の培養液の物性を検出する物性検出部と、を備え、
前記物性検出部は、前記回転軸に平行な方向において2つの撹拌用羽根の間に位置している。
【0019】
本発明による第3の培養装置は、被培養物を含む培養液を収容する袋本体と、
回転軸の周りで回転可能となるように前記袋本体内に設けられ、前記培養液を撹拌する撹拌用羽根を有する撹拌器と、
前記袋本体に取り付けられ、前記袋本体内の培養液の物性を検出する単一の物性検出部と、を備え、
前記物性検出部は、前記袋本体内の培養液の或る物性を検出する検出要素と、前記袋本体の壁面に取り付けられ、前記検出要素を前記袋本体の壁面よりも前記回転軸に近接した位置で保持するサンプリングポートと、を含み、
前記物性検出部は、前記撹拌用羽根と対面し、
前記物性検出部の前記検出要素が前記袋本体の壁面から突出する突出量は、5mm以上50mm以下である。突出量が全く無いと培養液部に加えてフィルムそのものの計測を行うことになるので培養液を計測するためにわずかな突出はあったほうが良いが、突出量があまりに多いと外部環境と接する外周部の影響が全く考慮されない培養液部を中心にした計測になってしまうため、上記の範囲が望ましい。
【0020】
本発明による第1乃至第3の培養装置において、前記検出要素は、前記袋本体内の前記培養液の温度を計測する温度センサであってもよい。
【0021】
本発明による第1乃至第3の培養装置において、前記袋本体を環状に取り囲む加熱ジャケット装置をさらに備え、前記加熱ジャケット装置は、前記袋本体の外方から当該袋本体内の前記培養液を加熱してもよい。
【0022】
本発明による培養方法は、袋本体内に収容された被培養物を含む培養液を撹拌する工程と、前記袋本体内の培養液の或る物性を複数の異なる検出位置で検出する工程と、を備え、
一の検出位置は、少なくとも1つの他の検出位置と、前記回転軸に平行な方向における位置が異なっている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、袋本体内の培養液の物性を適切に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態による培養装置を概略的に示す分解斜視図。
図2図1に示す培養装置の要部を示す正面図。
図3図2に示す培養装置の袋本体を示す斜視図。
図4図2に示す線IV−IVに沿った培養装置の断面を示す断面図。
図5図2に示す線V−Vに沿った培養装置の断面を示す断面図。
図6図2に対応する図であって、物性検出部の他の構成例を示す図。
図7図2に対応する図であって、物性検出部のさらに他の構成例を示す図。
図8図2に対応する図であって、物性検出部のさらに他の構成例を示す図。
図9図2に対応する図であって、物性検出部のさらに他の構成例を示す図。
図10】本発明の第2の実施の形態による培養装置の要部を示す正面図。
図11】本発明の第3の実施の形態による培養装置の要部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0026】
図1乃至図5は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、本発明の一実施の形態による培養装置を概略的に示す分解斜視図であり、図2は、図1に示す培養装置の要部を示す図である。
【0027】
図1及び図2に示す培養装置10は、細胞、微生物、菌等の被培養物8aを含む培養液8を収容して被培養物8aを培養するためのものである。図1及び図2に示すように、培養装置10は、培養液8を収容する袋本体11と、回転軸Xの周りで回転可能となるように袋本体11内に設けられた撹拌器30と、袋本体11に取り付けられ、袋本体11内の培養液8の物性を検出する複数の物性検出部60と、を備えている。このうち、袋本体11は、図3を参照して後に詳述するが、一対の胴部フィルム12、13と、上面フィルム14と、下面フィルム15と、を有している。
【0028】
攪拌器30は、インペラとも呼ばれる。攪拌器30は、袋本体11の上面フィルム14と下面フィルム15との間を延びる回転シャフト31と、回転シャフト31に設けられた複数の撹拌用羽根32と、を有している。回転シャフト31の軸線が撹拌器30の回転軸Xに一致する。図2に示す例では、回転軸Xは上下方向に平行な直線からなり、回転シャフト31の上端部側が回転シャフト31の下端部側よりも上下方向における上方に位置している。
【0029】
回転シャフト31の上端部及び下端部は、袋本体11に回転可能に支持されている。すなわち、袋本体11の上面フィルム14には、回転シャフト31の上端部を回転可能に支持する上側軸受部33が設けられ、袋本体11の下面フィルム15には、回転シャフト31の下端部を回転可能に支持する下側軸受部34が設けられている。攪拌器30の回転シャフト31の上端部には、撹拌駆動装置6から磁気カップリング方式で駆動力が伝達されるようになっている。
【0030】
複数の撹拌用羽根32は、回転軸Xに沿って並べて配置されている。本実施の形態では、2つの撹拌用羽根32が回転軸Xに沿って間隔をあけて配置されている。撹拌器30が複数の撹拌用羽根32を有することにより、袋本体11内の培養液8をよりムラなく攪拌することができるようになっている。
【0031】
撹拌器30によれば、撹拌駆動装置6から伝達される駆動力によって、攪拌器30の回転シャフト31および撹拌用羽根32が回転するようになっている。
【0032】
次に、袋本体11について図3を参照して説明する。図3は、図1に示す袋本体11を拡大して示す斜視図である。袋本体11は、全体として、円筒状に形成されている。袋本体11は、一対の胴部フィルムをなす第1胴部フィルム12及び第2胴部フィルム13と、各胴部フィルム12、13の上縁部に接合された上面フィルム14と、各胴部フィルム12、13の下縁部に接合された下面フィルム15と、を有している。第1胴部フィルム12、第2胴部フィルム13、上面フィルム14及び下面フィルム15によって、袋本体11の壁面11wが構成される。袋本体11の壁面11wに囲まれる空間内に培養液8が収容されている。
【0033】
各フィルム12、13、14、15の縁部は、ヒートシールにより接合されている。すなわち、第1胴部フィルム12の両側縁部と第2胴部フィルム13の両側縁部とがヒートシールにより接合されて、側部接合部16がそれぞれ形成されている。図3に示す例では、側部接合部16は、鉛直方向に沿って略直線状に延びている。また、各胴部フィルム12、13の上縁部と上面フィルム14の周縁部とがヒートシールにより接合されて、上部接合部17が形成され、各胴部フィルム12、13の下縁部と下面フィルム15の周縁部とがヒートシールにより接合されて、下部接合部18が形成されている。
【0034】
なお、各胴部フィルム12、13の上縁部は、図3に示すように、上方に凸となるように湾曲状に形成されている。このことにより、当該上縁部に接合される上面フィルム14は、上方に凸となるように湾曲状に形成されている。同様に、各胴部フィルム12、13の下縁部は、下方に凸となるように湾曲状に形成されており、当該下縁部に接合される下面フィルム15は、下方に凸となるように湾曲状に形成されている。
【0035】
図2及び図3に示すように、袋本体11の上面フィルム14には、上側軸受部33を取り付けるための上側軸受開孔20と、培養液注入部50、気体排出部51及び気体供給チューブ53を取り付けるための上面開孔21と、が設けられている。培養液注入部50は、不図示の培養液供給部から供給される被培養物8aを含む培養液8を、袋本体11内に注入するべく設けられている。気体排出部51は、培養液注入部50から袋本体11に培養液8を注入する際に、袋本体11内の気体を排出するべく設けられている。
【0036】
一方、気体供給チューブ53は、不図示の気体供給部から袋本体11内の培養液8に空気9を供給するためのものである。気体供給チューブ53は、上面開孔21を通って側部接合部16に沿って延び、袋本体11内に配置された気体導入部52に接続されている。気体導入部52は、スパージャーとも呼ばれる。気体導入部52は、袋本体11内に収容された培養液8に、気体供給チューブ53から供給される空気9等の気体を導入するためのものである。
【0037】
図3に示すように、下面フィルム15には、下側軸受部34を取り付けるための下側軸受開孔22が設けられている。
【0038】
また、図3に示すように、第2胴部フィルム13に、複数の第1胴部開孔19aが配置され、第1胴部フィルム12に、複数の第2胴部開孔19bが配置されている。各第1胴部開孔19a及び各第2胴部開孔19bは、袋本体11内の培養液の物性を検出する物性検出部60を袋本体11に取り付けられるためのものである。さらに、第2胴部フィルム13に、複数の第1胴部開孔19aに並べてサンプリング用開孔23が配置されている。サンプリング用開孔23には、図1に示すように、サンプリングチューブ64が挿入されている。第2胴部フィルム13にサンプリングチューブ64が取り付けられていることにより、培養中の培養液8をサンプリングチューブ64から取り出し可能となる。
【0039】
なお、袋本体11に取り付けられる上述した培養注入部50、サンプリングチューブ64のような各チューブ類の配置は、図1乃至図3に示すような配置に限られることはなく、任意に設定可能である。
【0040】
図2に示すように、複数の物性検出部60が袋本体11の胴部フィルム12、13に、上記胴部開孔19a、19bを利用して取り付けられている。物性検出部60にて検出される培養液の物性として、例えば温度、PH及び溶存酸素量が挙げられる。図1に示す例では、これらの物性を計測すべく、各物性検出部60は、第1検出要素61、第2検出要素62および第3検出要素63を含んでいる。第1検出要素61は、当該第1検出要素61が設けられた位置における袋本体11内の培養液8の温度を計測する温度センサとして構成されている。第2検出要素62は、当該第2検出要素62が設けられた位置における袋本体11内の培養液8のpHを計測するpHセンサとして構成されている。第3検出要素63は、当該第3検出要素63が設けられた位置における袋本体11内の培養液8の溶存酸素量を計測する溶存酸素センサつまりDoセンサとして構成されている。
【0041】
各物性検出部60に含まれる第1検出要素61、第2検出要素62及び第3検出要素63は、回転軸Xに直交する平面内を延びる方向に沿って並べて配置されている。図2に示す例では、各物性検出部60に含まれる第1検出要素61、第2検出要素62及び第3検出要素63は、水平方向に並んでいる。
【0042】
図2に示すように、複数の物性検出部60のうちの一の物性検出部60aは、少なくとも1つの他の物性検出部60bと、回転軸Xに平行な方向における位置が異なっている。本実施の形態では、複数の物性検出部60は、回転軸Xに平行な方向における位置が互いに異なる第1物性検出部60a及び第2物性検出部60bからなる。図2に示す例では、回転軸Xが鉛直方向に平行に配置されているため、第1物性検出部60aは、第2物性検出部60bと鉛直方向における高さが異なっている。
【0043】
また、図2に示すように、複数の物性検出部60のうちの2つの物性検出部60a、60bが、回転軸Xに対して反対側に位置している。言い換えると、複数の物性検出部60のうちの2つの物性検出部60a、60bが、回転軸Xを間に挟むようにして配置されている。2つの物性検出部60a、60bが回転軸Xに対して反対側に位置している限り、図2に示すように、2つの物性検出部60a、60bが回転軸Xと平行な方向に関してずれて位置していてもよい。図2に示す例では、第1物性検出部60aと第2物性検出部60bとの間となる位置を、回転軸Xが通り抜けている。
【0044】
さらに、本実施の形態では、各物性検出部60a、60bは、各々に対応する撹拌用羽根32と対面している。ここでいう「物性検出部60a、60bが撹拌用羽根32と対面している」とは、回転軸Xに直交する方向からみたときに、物性検出部60a、60bが撹拌用羽根32と少なくとも部分的に重なっていることを意味する。図2に示す例では、第1物性検出部60aが、相対的に下方に位置する撹拌用羽根32と対面しており、第2物性検出部60bが、相対的に上方に位置する撹拌用羽根32と対面している。
【0045】
図4及び図5に、第1物性検出部60a及び第2物性検出部60bの断面図をそれぞれ拡大して示す。なお、図4及び図5には、第1検出要素61の断面を示しているが、第2検出要素62及び第3検出要素63についても同様な断面となる。図4及び図5に示すように、各物性検出部60は、袋本体11の壁面11wに取り付けられ、対応する検出要素61〜63を袋本体11の壁面11wよりも回転軸Xに近接した位置で保持するサンプリングポート65をさらに含んでいる。各サンプリングポート65は、袋本体11に取り付けられる中空のホルダ66と、ホルダ66から袋本体11内方に向かって延び、対応する検出要素61〜63を保持するチューブ67と、を有している。ホルダ66は、袋本体11に取り付けられる中空円盤状の鍔66aと、鍔66aから袋本体11内方側に向かって延びる中空のコネクタ66bと、を含んでいる。中空円盤状の鍔66aは、袋本体11にヒートシールによって接合されている。中空のコネクタ66bは、当該コネクタ66bに挿入されたチューブ67を保持している。コネクタ66bに保持されたチューブ67は、コネクタ66bから袋本体11内方つまり回転軸X側に向かって延び出している。チューブ67は、袋本体11内方側に位置する先端面67aを有し、当該先端面67aに対応する検出要素61〜63が配置されている。図4及び図5に示す例では、各検出要素61〜63は、先端面67aよりも袋本体11内方に位置しており、ゆえに、袋本体11内の培養液8に接触している。各検出要素61〜63は、先端面67aに接合され、袋本体11内の培養液8が漏れないようになっている。さらに、チューブ67の先端面67aには孔67bが設けられている。各検出要素61〜63に接続された配線Eが、孔67b、チューブ67の中空空間及びホルダ66の中空空間を順に通って、不図示の制御部に接続されている。
【0046】
とりわけ、図4に示すサンプリングポート65のチューブ67は、図5に示すサンプリングポート65のチューブ67よりも短い。このため、第1物性検出部60aの第1検出要素61は、第2物性検出部60bの第1検出要素61よりも袋本体11外方側に位置している。したがって、図2に示すように、第1物性検出部60aの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1は、第2物性検出部60bの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D2よりも長くなっている。この場合、第1物性検出部60aの第1検出要素61は、第2物性検出部60bの第1検出要素61よりも、袋本体11の壁面11w寄りに位置する培養液8の物性を計測することができる。
【0047】
一例として、袋本体11の半径が300mmで撹拌用羽根32の半径が150mmの場合を考えると、第1物性検出部60aの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1は、250mm以上295mm以下に設定される。第2物性検出部60bの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D2は、150mm以上200mm以下に設定される。この場合、袋本体11内に培養液8を充填した状態において、第1物性検出部60aの第1検出要素61が、第2胴部フィルム13つまり袋本体11の壁面11wから突出する突出量H1は、5mm以上50mm以下程度になり、第2物性検出部60bの第1検出要素61が、第1胴部フィルム12つまり袋本体11の壁面11wから突出する突出量H2は、100mm以上150mm以下程度になる。
【0048】
また、図1に示す培養装置10は、袋本体11を環状に取り囲む加熱ジャケット装置70をさらに備えている。加熱ジャケット装置70は、袋本体11の外方から当該袋本体11内の培養液8を加熱する。加熱ジャケット装置70が袋本体11を環状に取り囲むことにより、袋本体11の壁面11wをムラなく暖めることができる。
【0049】
一例として、加熱ジャケット装置70は、いわゆるウォータージャケットにて構成される。具体的な構成として、加熱ジャケット装置70は、袋本体11を環状に取り囲み液体を内包するジャケット本体71と、ジャケット本体71内の液体を循環させるポンプ72と、を有している。ジャケット本体71とポンプ72とに流入管73が接続され、ポンプ72からの液体が流入管73を介してジャケット本体71に流入するようになっている。また、ジャケット本体71とポンプ72とに流出管74が接続され、ジャケット本体71内の液体が流出管74を介してポンプ72に導かれるようになっている。なお、ジャケット本体71には、物性検出部60を袋本体11に取り付けるために、物性検出部60の大きさに合わせて形成されたポケット75が設けられている。
【0050】
なお、培養装置10の各構成要素の材料について述べると、袋本体11をなす各フィルム12、13、14、15に用いる材料としては、可撓性を有するとともに耐ガンマ線滅菌性を有するプラスチック材料であれば特に限定されることはない。例えば、各フィルム12、13、14、15には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、(ON)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリエチレン(PE)等を用いることができる。また、袋本体11の各フィルム12、13、14、15の厚さは、例えば100μm〜350μm程度に設定される。一方、撹拌器30は、典型的には、樹脂により形成される。サンプリングポート65としては、樹脂製のものやステンレス製のものが挙げられる。
【0051】
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の培養装置10の使用方法について説明する。
【0052】
まず、培養液注入部50から袋本体11内に被培養物8aを含む培養液8が注入される。この際、気体排出部51から、袋本体11内の気体が排出される。このことにより、袋本体11内にスムーズに培養液8を注入することができる。
【0053】
次に、袋本体11を外方側から加熱する工程と、袋本体11内に収容された培養液8を撹拌する工程と、を行う。具体的には、加熱ジャケット装置70を作動させ、袋本体11を外方側から加熱する。続いて、撹拌駆動装置6から伝達される駆動力によって、攪拌器30の回転シャフト31および撹拌用羽根32を回転させる。これにより、袋本体11内の培養液8が撹拌されていく。図1に示すように、撹拌用羽根32の周りに位置する培養液8の一部は、撹拌用羽根32から送り出され、別の一部は撹拌用羽根32に吸込まれる。これにより、袋本体11内のうち回転軸Xに相対的に近い領域では、回転軸Xに平行な上下方向における下方から上方への流れが培養液8に生じ、袋本体11内の壁面11wに相対的に近い領域では、上下方向における上方から下方への流れが培養液8に生じる。ただし、袋本体11内の壁面11w付近の領域では、上下方向における上方から下方への流れの影響を受けるものの、当該壁面11wによる摩擦損失の影響が培養液8に生じる。このため、袋本体11内の壁面11w付近の領域では、培養液8の流れが弱められる。
【0054】
次に、袋本体11内の培養液8の或る物性を複数の異なる検出位置で検出する工程を行う。本実施の形態では、回転軸Xに平行な方向における位置が互いに異なる第1物性検出部60a及び第2物性検出部60bの各々が、培養液8の温度を検出する第1検出要素61を含んでいる。したがって、第1物性検出部60aの第1検出要素61の検出位置は、回転軸Xに平行な方向において、第2物性検出部60bの第1検出要素61の検出位置と異なっている。このように、回転軸Xに平行な方向において互いに異なる複数の検出位置にて温度を計測することにより、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の温度の分布を把握することに寄与する。
【0055】
培養を行っている間、培養システム1の気体供給部(図示せず)から気体供給チューブ53を通って気体導入部52に空気9が供給され、気体導入部52から、対流している培養液8に空気9が導入される。また、必要に応じて、サンプリングチューブ64から培養中の培養液8が取り出されて、培養状態の確認が行われる。
【0056】
培養が終了すると、撹拌器30を停止させ、袋本体11内での培養液8の撹拌が止まる。その後、袋本体11から下側軸受部34を介して培養液8が排出される。培養液8が排出された後、加熱ジャケット装置70から袋本体11が取り外されて廃棄される。次の培養を行う際には、新たな袋本体11が加熱ジャケット装置70に設置される。
【0057】
以上のように、本実施の形態の培養装置10によれば、被培養物8aを含む培養液8を収容する袋本体11と、回転軸Xの周りで回転可能となるように袋本体11内に設けられ、培養液8を撹拌する撹拌器30と、袋本体11に取り付けられ、袋本体11内の培養液8の物性を検出する複数の物性検出部60と、を備え、各物性検出部60は、袋本体11内の培養液8の或る物性を検出する第1検出要素61を含み、一の物性検出部60aは、少なくとも1つの他の物性検出部60bと、回転軸Xに平行な方向における位置が異なっている。したがって、第1物性検出部60aの第1検出要素61の検出位置は、回転軸Xに平行な方向において、第2物性検出部60bの第1検出要素61の検出位置と異なっている。このように、回転軸Xに平行な方向において互いに異なる複数の検出位置にて前記或る物性を計測することにより、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の前記或る物性の分布を把握することに寄与する。とりわけ、撹拌器30による培養液8の撹拌によって、袋本体11内のうち回転軸Xに相対的に近い領域では、回転軸Xに平行な上下方向における下方から上方への流れが培養液8に生じ、袋本体11内の壁面11wに相対的に近い領域では、上下方向における上方から下方への流れが培養液8に生じる。このため、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の前記或る物性の分布を把握することは、袋本体11内の培養液8の流れの影響を把握することにも有益となる。したがって、本実施の形態の培養装置10によれば、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の前記或る物性の分布及び袋本体11内の培養液8の流れの影響を考慮することで、従来よりも袋本体11内の培養液8の物性を適切に評価することができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、一の物性検出部60aの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1は、少なくとも1つの他の物性検出部60bの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D2と異なっている。このように回転軸Xとの距離が互いに異なる複数の検出位置にて或る物性を計測することにより、回転軸Xに直交する方向における袋本体11内の培養液8の前記或る物性の分布を把握することに寄与する。上述のように、撹拌器30による培養液8の撹拌によって、袋本体11内のうち回転軸Xに相対的に近い領域では、回転軸Xに平行な上下方向における下方から上方への流れが培養液8に生じ、袋本体11内の壁面11wに相対的に近い領域では、上下方向における上方から下方への流れが培養液8に生じる。さらに、袋本体11内の壁面11w付近の領域では、当該壁面11wによる摩擦損失の影響で培養液8の流れが弱められる。このため、回転軸Xに直交する方向において袋本体11内の培養液8に互いに異なる特性の流れが生じる。したがって、回転軸Xに直交する方向における袋本体11内の培養液8の前記或る物性の分布を把握することにより、回転軸Xに直交する方向において生じる異なる特性の流れの影響を把握することができる。したがって、このような形態によれば、袋本体11内の培養液8の物性をさらに適切に評価することができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、各物性検出部60は、袋本体11の壁面11wに取り付けられ、第1検出要素61を袋本体11の壁面11wよりも回転軸Xに近接した位置で保持するサンプリングポート65をさらに含み、一の物性検出部60aの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H1は、50mm以下であり、他の物性検出部60bの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H2は、100mm以上である。このような形態によれば、一の物性検出部60aの第1検出要素61によって、撹拌による流れの影響を受け難い袋本体11の壁面11w付近の領域における培養液8の物性を計測し、他の物性検出部60bの第1検出要素61によって、撹拌による流れの影響を受け易い袋本体11内部の領域における培養液8の物性を計測することができる。このため、袋本体11内の培養液8の物性をさらに適切に評価することができる。
【0060】
とりわけ、本実施の形態によれば、第1検出要素61は、袋本体11内の培養液8の温度を計測する温度センサであり、袋本体11を環状に取り囲む加熱ジャケット装置70をさらに備える。加熱ジャケット装置70は、袋本体11の外方から当該袋本体11内の培養液8を加熱するため、袋本体11内の培養液8に、袋本体11内方から外方にかけて温度分布が発生し易い。このため、一の物性検出部60aの第1検出要素61によって、撹拌による流れの影響を受け難い袋本体11の壁面11w付近の領域における培養液8の温度を計測し、他の物性検出部60bの第1検出要素61によって、撹拌による流れの影響を受け易い袋本体11の内部の領域における培養液8の温度を計測することで、袋本体11内の培養液8の温度分布をさらに適切に評価することができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、複数の物性検出部60のうちの2つの物性検出部60a、60bが、回転軸Xに対して反対側に位置している。この場合、袋本体11内の培養液8の物性をバランスよく計測することができ、袋本体11内の培養液8の物性をさらに適切に評価することができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、各物性検出部60は、各々に対応する撹拌用羽根32と対面している。上述のように、撹拌用羽根32の周りに位置する培養液8の一部は、撹拌用羽根32から送り出され、別の一部は撹拌用羽根32に吸込まれる。したがって、物性検出部60が撹拌用羽根32に対面して配置されていることにより、撹拌用羽根32により生成される流れの影響をより適切に把握することができる。なお、本明細書において、「各物性検出部60が各々に対応する撹拌用羽根32と対面している」には、1つの物性検出部60が1つの撹拌用羽根32と対面している場合だけでなく、「複数の物性検出部60が1つの撹拌用羽根32と対面している場合も含まれる。
【0063】
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0064】
上述した実施の形態では、図2に示すように、第1物性検出部60aの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1が第2物性検出部60bの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D2と異なる例を示したが、物性検出部60の形態は、上述した例に限定されない。図6に、物性検出部60の他の例を示す。図6に示す例では、第1物性検出部60aの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1は、第2物性検出部60bの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D2と、等しくなっている。したがって、第1物性検出部60aの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H1も、第2物性検出部60bの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H2と、等しくなっている。具体的には、各物性検出部60の第1検出要素61の突出量H1、H2は、5mm以上50mm以下である。この場合、回転軸Xに平行な方向において互いに異なる複数の検出位置にて、袋本体11の壁面11w付近における培養液8の物性を計測することができる。このため、撹拌器30による流れの影響を大きく受けることなく、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の物性の分布を把握することができる。
【0065】
また、上述した実施の形態では、図2に示すように、第1物性検出部60aが第2物性検出部60bと回転軸Xに対して反対側に位置している例を示したが、物性検出部60の配置は、上述した例に限定されない。図7に、物性検出部60のさらに他の例を示す。図7に示す例では、第1物性検出部60aが第2物性検出部60bと回転軸Xに対して同じ側となるように配置されている。より詳細には、第1物性検出部60aと第2物性検出部60bとは、回転軸Xに平行な方向に沿って並べて配置されている。第1物性検出部60aの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1は、第2物性検出部60bの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D2と、等しくなっている。同様に、第1物性検出部60aの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H1も、第2物性検出部60bの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H2と、等しくなっている。このような形態であっても、上述した実施の形態と同様に、袋本体11内の培養液8の物性を適切に評価することができる。
【0066】
また、上述した実施の形態では、図2に示すように、培養装置10が2つの物性検出部60を備える例を示したが、物性検出部60の数は、上述した例に限定されない。図8及び図9に、物性検出部60のさらに他の例を示す。このうち、図8に示す例では、培養装置10が4つの物性検出部60を備えている。具体的には、4つの物性検出部60のうちの或る2つの物性検出部60a、60cが、回転軸Xを挟んで対面し、4つの物性検出部60のうちの別の2つの物性検出部60b、60dが、回転軸Xを挟んで対面している。前者の2つの物性検出部60a、60cは、前記別の2つの物性検出部60b、60dと、回転軸Xに平行な方向における位置が異なっている。このような形態によれば、回転軸Xに平行な方向において互いに異なる複数の一対の検出位置にて前記或る物性を計測することにより、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の前記或る物性の分布を精度よく把握することができる。
【0067】
とりわけ、図8に示す例では、2つの物性検出部60a、60cは、一の撹拌用羽根32を挟んで対面し、別の2つの物性検出部60b、60dは、他の撹拌用羽根32を挟んで対面している。上述のように、撹拌用羽根32の周りに位置する培養液8の一部は、撹拌用羽根32から送り出され、別の一部は撹拌用羽根32に吸込まれる。したがって、物性検出部60が撹拌用羽根32に対面して配置されていることにより、撹拌用羽根32により生成される流れの影響をより適切に把握することができる。
【0068】
また、図8に示す例では、各物性検出部60の第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1〜D4は、互いに等しくなっている。同様に、各物性検出部60の第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H1〜H4も、互いに等しくなっている。具体的には、各物性検出部60の第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H1〜H4は、5mm以上50mm以下である。この場合、回転軸Xに平行な方向において互いに異なる複数の一対の検出位置にて、袋本体11の壁面11w付近における培養液8の物性を計測することができる。このため、撹拌器30による流れの影響を大きく受けることなく、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の物性の分布を精度よく把握することもできる。
【0069】
一方、図9に示す例では、培養装置10は、図8に示す4つの物性検出部60に加えて、さらに4つの物性検出部60を備えており、合計で8つの物性検出部60が設けられている。追加された4つの物性検出部60e〜hに含まれる各物性検出部60e〜hの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D5は、図8に示された4つの物性検出部60a〜dに含まれる各物性検出部60a〜dの第1検出要素61と回転軸Xとの距離D1よりも短い。したがって、図9に示された4つの物性検出部60e〜hに含まれる各物性検出部60e〜hの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H5は、図8に示された4つの物性検出部60a〜dに含まれる各物性検出部60a〜dの第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H1よりも、大きくなっている。相対的に突出量の大きい4つの物性検出部60e〜hの各々の第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H5は、互いに等しくなっている。具体的には、相対的に突出量の大きい4つの物性検出部60e〜hの各々の第1検出要素61が袋本体11の壁面11wから突出する突出量H5は、100mm以上150mm以下である。
【0070】
また、図9に示すように、相対的に突出量の大きい4つの物性検出部60e〜hの各々は、対応する相対的に突出量の小さい物性検出部60a〜dに、上下方向における下側で隣り合って位置している。
【0071】
このような形態によれば、相対的に突出量の小さい4つの物性検出部60a〜dによって、撹拌器30による流れの影響を大きく受けることなく、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の物性の分布を精度よく特定することに加えて、相対的に突出量の大きい4つの物性検出部60e〜hによって、撹拌器30による流れの影響を受ける領域での、回転軸X方向における袋本体11内の培養液8の物性の分布を精度よく特定することができる。このため、袋本体11内の培養液8の物性を極めて適切に評価することができる。
【0072】
≪第2の実施の形態≫
次に、図10を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態による培養装置10の要部を示す正面図である。図10を参照して説明する第2の実施の形態は、物性検出部60の形態が異なるが、その他の構成は、第1の実施形態と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0073】
図10に示すように、物性検出部60は、各撹拌用羽根32と、回転軸Xに平行な方向における位置が異なっている。具体的には、物性検出部60は、回転軸Xに平行な方向において2つの撹拌用羽根の間となる位置に配置されている。言い換えると、回転軸X及び物性検出部60を通る図10に示す平面内で回転軸Xに直交する方向からみたときに、物性検出部60は、隣り合う2つの撹拌用羽根32の間に位置している。また、物性検出部60の第1検出要素61の突出量H1は、5mm以上290mm以下である。
【0074】
本実施の形態の培養装置10の使用方法については、上述した第1の実施の形態と略同様なためここでは詳細な説明を省略する。
【0075】
本実施の形態の培養装置10によれば、単一の物性検出部60が、回転軸Xに平行な方向において2つの撹拌用羽根32の間となる位置の培養液8の物性を計測することができる。これにより、1つの物性検出部60で、2つの撹拌用羽根32による流れの影響を考慮しながら袋本体11内の培養液8の物性を評価することができる。したがって、部品コストを低く抑えながら、従来よりも袋本体11内の培養液8の物性を適切に評価することができる。
【0076】
≪第3の実施の形態≫
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図11は、本発明の第3の実施の形態による培養装置10の要部を示す正面図である。図11を参照して説明する第3の実施の形態は、単一の物性検出部60の形態が異なるが、その他の構成は、第2の実施形態と同様に構成することができる。
【0077】
図11に示すように、単一の物性検出部60は、袋本体11内の培養液8の或る物性を検出する第1検出要素61と、袋本体11の壁面11wに取り付けられ、対応する検出要素61〜63を袋本体11の壁面11wよりも回転軸Xに近接した位置で保持するサンプリングポート65と、を含んでいる。図11に示す例では、第1検出要素61は、当該第1検出要素61が設けられた位置における袋本体11内の培養液8の温度を計測する温度センサとして構成されている。
【0078】
図11に示すように、単一の物性検出部60の第1検出要素61の突出量H1は、5mm以上50mm以下である。単一の物性検出部60は、2つの撹拌用羽根32のうちの相対的に下方に位置する撹拌用羽根32と対面している。
【0079】
本実施の形態の培養装置10の使用方法については、上述した第1の実施の形態と略同様なためここでは詳細な説明を省略する。
【0080】
本実施の形態の培養装置10によれば、単一の物性検出部60で、撹拌用羽根32による流れの影響を受け易い撹拌用羽根32に対面する領域での袋本体11内の培養液8の物性を評価することができる。結果として、単一の物性検出部60を用いることで部品コストを低く抑えながら、袋本体11内の培養液8の物性を評価することができる。
【符号の説明】
【0081】
8 培養液
8a 被培養物
10 培養装置
11 袋本体
11w 壁面
30 撹拌器
32 撹拌用羽根
60 物性検出部
60a 第1物性検出部
60b 第2物性検出部
61 第1検出要素
65 サンプリングポート
70 加熱ジャケット装置
X 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11