特開2015-231409(P2015-231409A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 2015231409-過酸化水素ガス滅菌器 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231409(P2015-231409A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】過酸化水素ガス滅菌器
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20151201BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   A61L2/20 G
   A61L2/20 C
   C02F1/28 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-118596(P2014-118596)
(22)【出願日】2014年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】浮穴 雄二
【テーマコード(参考)】
4C058
4D624
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058DD01
4C058DD06
4C058JJ16
4C058JJ28
4C058JJ29
4D624AA09
4D624AB11
4D624BA02
4D624BC01
(57)【要約】
【課題】滅菌槽2に過酸化水素センサを設置することなく、滅菌槽2内の過酸化水素濃度を推定できる過酸化水素ガス滅菌器1を提供する。
【解決手段】被滅菌物が収容された滅菌槽2内へ過酸化水素ガスを供給して、被滅菌物を滅菌する過酸化水素ガス滅菌器1である。滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出する水封式真空ポンプ6と、この水封式真空ポンプ6からの排水中に含まれる過酸化水素濃度を検出する過酸化水素センサ19とを備える。過酸化水素センサ19を残留塩素濃度検出用の塩素センサ27で代用してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被滅菌物が収容された滅菌槽内へ過酸化水素ガスを供給して、被滅菌物を滅菌する過酸化水素ガス滅菌器であって、
前記滅菌槽内の気体を外部へ吸引排出する水封式真空ポンプと、
この水封式真空ポンプからの排水中に含まれる過酸化水素濃度を検出する過酸化水素センサと
を備えることを特徴とする過酸化水素ガス滅菌器。
【請求項2】
前記過酸化水素センサを残留塩素濃度検出用の塩素センサで代用する
ことを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素ガス滅菌器。
【請求項3】
被滅菌物が収容される前記滅菌槽と、
前記水封式真空ポンプを用いて、前記滅菌槽内の気体を外部へ吸引排出して、前記滅菌槽内を減圧する減圧手段と、
減圧された前記滅菌槽内へ空気を導入して、前記滅菌槽内を復圧する復圧手段と、
前記滅菌槽内へ過酸化水素ガスを供給するガス供給手段と、
前記センサから構成される濃度検出手段と、
前記減圧手段、前記復圧手段および前記ガス供給手段を制御して前記滅菌槽内の被滅菌物を滅菌すると共に、その後のエアレーションにおいて前記減圧手段の作動中、前記濃度検出手段による検出濃度を監視する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過酸化水素ガス滅菌器。
【請求項4】
前記水封式真空ポンプへの封水の給水路に、水中に含まれる残留塩素を除去するための残留塩素除去手段を設けた
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過酸化水素ガス滅菌器。
【請求項5】
前記滅菌槽内で被滅菌物を滅菌後、前記センサによる検出濃度が設定値を下回るまで、エアレーションを行うか、前記滅菌槽の扉の開放を規制する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の過酸化水素ガス滅菌器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素ガスを用いて被滅菌物を滅菌する過酸化水素ガス滅菌器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、被滅菌物を収容した滅菌槽内を減圧後、滅菌槽内に過酸化水素ガスを供給して被滅菌物を滅菌し、その後、滅菌槽内のガス濃度を下げるエアレーションを行う過酸化水素ガス滅菌器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−328276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、エアレーションの終了タイミング、言い換えれば、滅菌後に滅菌槽の扉を開けてよいタイミングは、客観的に判断されておらず、経験的に所定時間だけエアレーションを実行した後とされている。滅菌槽内の過酸化水素ガス濃度を監視するにしても、従来、過酸化水素センサは高価であるし、滅菌槽への取付けも容易ではない。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、滅菌槽に過酸化水素センサを設置することなく、滅菌槽内の過酸化水素濃度を推定できる過酸化水素ガス滅菌器を提供することにある。また、その際、好ましくは、高価な過酸化水素センサを用いることなく、安価に過酸化水素濃度を推定可能とする。さらに、滅菌槽内の過酸化水素濃度の推定により、エアレーションの終了タイミング、言い換えれば滅菌槽の扉を開けてよいタイミングを客観的に判定可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被滅菌物が収容された滅菌槽内へ過酸化水素ガスを供給して、被滅菌物を滅菌する過酸化水素ガス滅菌器であって、前記滅菌槽内の気体を外部へ吸引排出する水封式真空ポンプと、この水封式真空ポンプからの排水中に含まれる過酸化水素濃度を検出する過酸化水素センサとを備えることを特徴とする過酸化水素ガス滅菌器である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、水封式真空ポンプからの排水中に含まれる過酸化水素濃度から、滅菌槽内の過酸化水素濃度を推定することができる。これにより、滅菌槽に過酸化水素センサを設置する必要がない。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記過酸化水素センサを残留塩素濃度検出用の塩素センサで代用することを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素ガス滅菌器である。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、高価な過酸化水素センサを用いることなく、安価な塩素センサを用いて、滅菌槽内の過酸化水素濃度を推定することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、被滅菌物が収容される前記滅菌槽と、前記水封式真空ポンプを用いて、前記滅菌槽内の気体を外部へ吸引排出して、前記滅菌槽内を減圧する減圧手段と、減圧された前記滅菌槽内へ空気を導入して、前記滅菌槽内を復圧する復圧手段と、前記滅菌槽内へ過酸化水素ガスを供給するガス供給手段と、前記センサから構成される濃度検出手段と、前記減圧手段、前記復圧手段および前記ガス供給手段を制御して前記滅菌槽内の被滅菌物を滅菌すると共に、その後のエアレーションにおいて前記減圧手段の作動中、前記濃度検出手段による検出濃度を監視する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過酸化水素ガス滅菌器である。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、減圧手段、復圧手段およびガス供給手段を制御して滅菌槽内の被滅菌物を滅菌すると共に、その後のエアレーションにおいて濃度検出手段により滅菌槽内の過酸化水素濃度を監視することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記水封式真空ポンプへの封水の給水路に、水中に含まれる残留塩素を除去するための残留塩素除去手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過酸化水素ガス滅菌器である。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、水封式真空ポンプへの封水から残留塩素を除去しておくことで、より正確で容易に、滅菌槽内の過酸化水素濃度を推定することができる。
【0014】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記滅菌槽内で被滅菌物を滅菌後、前記センサによる検出濃度が設定値を下回るまで、エアレーションを行うか、前記滅菌槽の扉の開放を規制することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の過酸化水素ガス滅菌器である。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、滅菌槽内の過酸化水素濃度を推定して、エアレーションの終了タイミング、あるいは滅菌槽の扉を開けてよいタイミングを、客観的に判定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の過酸化水素ガス滅菌器によれば、滅菌槽に過酸化水素センサを設置することなく、滅菌槽内の過酸化水素濃度を推定することができる。また、その際、高価な過酸化水素センサを用いることなく、安価な塩素センサで代用することもできる。さらに、滅菌槽内の過酸化水素濃度の推定により、エアレーションの終了タイミング、言い換えれば滅菌槽の扉を開けてよいタイミングを客観的に判定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例の過酸化水素ガス滅菌器を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の過酸化水素ガス滅菌器1を示す概略図である。
【0019】
本実施例の過酸化水素ガス滅菌器1は、被滅菌物が収容される滅菌槽2と、滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出して滅菌槽2内を減圧する減圧手段3と、減圧された滅菌槽2内へ空気を導入して滅菌槽2内を復圧する復圧手段4と、滅菌槽2内へ過酸化水素ガスを供給するガス供給手段5と、前記各手段を制御する制御手段(図示省略)とを備える。さらに、減圧手段3の水封式真空ポンプ6からの排水系統に、排水中に含まれる過酸化水素濃度を検出する濃度検出手段7が設けられる。なお、被滅菌物は、特に問わないが、典型的には医療器具である。
【0020】
滅菌槽2は、内部空間の減圧に耐える中空容器であり、典型的には、略矩形の中空ボックス状に形成され、扉で開閉可能とされる。なお、滅菌槽2の正面と背面とに扉を設け、一方の扉を、滅菌前の被滅菌物を滅菌槽2内に入れるための搬入扉とし、他方の扉を、滅菌後の被滅菌物を滅菌槽2外に取り出すための搬出扉としてもよい(パススルー仕様)。
【0021】
滅菌槽2には、滅菌槽2内の圧力を検出する圧力センサ8と、滅菌槽2内の温度を検出する温度センサ9とが設けられる。さらに、滅菌槽2には、滅菌槽2内を加熱する加熱手段(図示省略)を設けるのが好ましい。たとえば、加熱手段として、滅菌槽2の外壁に電気ヒータを設け、この電気ヒータを作動させて、滅菌槽2内を外側から温める。あるいは、加熱手段として、滅菌槽2の外壁に温水ジャケットを設け、この温水ジャケットに温水を入れて、滅菌槽2内を外側から温める。
【0022】
減圧手段3は、水封式真空ポンプ6を用いて、滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出して、滅菌槽2内を減圧する手段である。具体的には、滅菌槽2内からの排気路10に、排気弁11と水封式真空ポンプ6とが順に設けられる。
【0023】
水封式真空ポンプ6は、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。そのために、水封式真空ポンプ6の給水口6aには、封水給水路12を介して水が供給される。封水給水路12には封水給水弁13が設けられており、封水給水弁13を開くことで、水封式真空ポンプ6に封水を供給することができる。封水給水弁13を開いた状態で水封式真空ポンプ6を作動させると、水封式真空ポンプ6は、吸気口6bから気体を吸入し、排気口6cへ排気および排水する。詳細は後述するが、封水給水路12には、水中に含まれる残留塩素を除去するための残留塩素除去手段14として、たとえば活性炭フィルタ15が、所望により設けられる。
【0024】
水封式真空ポンプ6から排出される流体は、所望によりセパレータ(図示省略)で気水分離を図られた後、排気および排水される。水封式真空ポンプからの排水路(セパレータのない場合は排気路を兼ねる)16には、分岐路17が設けられており、その分岐路17には検査弁18を介して濃度検出手段7が設けられる。検査弁18を開けると、水封式真空ポンプ6からの排水の一部が分岐路17を介して、濃度検出手段7へ供給される。本実施例の濃度検出手段7は、水中に含まれる過酸化水素濃度を検出する過酸化水素センサ19である。この過酸化水素センサ19として、たとえば、試薬を添加して変色度合いを光学的に検出するものを用いることができる。なお、水封式真空ポンプ6からの排気路(図示省略)や排水路16には、適宜、過酸化水素ガスを無害化する触媒(図示省略)を設けるのが好ましい。
【0025】
復圧手段4は、減圧された滅菌槽2内へ空気を導入して、滅菌槽2内を復圧する手段である。本実施例では、滅菌槽2内への給気路20に、無菌フィルタ21、給気弁22および逆止弁23が順に設けられる。滅菌槽2内が減圧された状態で給気弁22を開くと、滅菌槽2の内外の差圧により、浄化した空気を滅菌槽2内へ導入して、滅菌槽2内を復圧することができる。
【0026】
ガス供給手段5は、滅菌槽2内へ過酸化水素ガスを供給する手段である。本実施例では、過酸化水素ガス発生装置24がガス供給路25を介して滅菌槽2に接続されている。過酸化水素ガス発生装置24は、たとえばカートリッジやボンベに貯留された液化ガスを気化させる装置である。ガス供給路25には、ガス供給弁26が設けられている。
【0027】
制御手段は、前記各センサの検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段を制御する制御器(図示省略)である。具体的には、滅菌槽2の電気ヒータ、排気弁11、水封式真空ポンプ6、封水給水弁13、検査弁18、給気弁22、過酸化水素ガス発生装置24、ガス供給弁26の他、圧力センサ8、温度センサ9、過酸化水素センサ19などは、制御器に接続される。そして、制御器は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、滅菌槽2内の被滅菌物の滅菌を図る。
【0028】
以下、本実施例の過酸化水素ガス滅菌器1の運転方法の一例について具体的に説明する。
【0029】
運転開始に先立ち、滅菌槽2内には被滅菌物を収容し、滅菌槽2の扉を気密に閉じる。その後、運転開始が指示されると、まずは、前処理工程として、減圧手段3により滅菌槽2内を設定圧力まで減圧する。具体的には、排気弁11および封水給水弁13を開けた状態で、水封式真空ポンプ6を作動させる。この際、検査弁18、給気弁22およびガス供給弁26は、閉じられた状態にある。滅菌槽2内を設定圧力まで減圧すると、排気弁11および封水給水弁13を閉じて、水封式真空ポンプ6を停止させる。
【0030】
このような減圧と並行して(あるいはこのような減圧の後)、所望により、加熱手段により滅菌槽2内を設定温度まで加熱する。具体的には、電気ヒータを作動させて、滅菌槽2内が設定温度になるまで加熱して維持する。このような加熱は、滅菌工程の終了まで継続される。
【0031】
その後の滅菌工程では、ガス供給手段5により滅菌槽2内へ過酸化水素ガスを供給して、被滅菌物を滅菌する。具体的には、過酸化水素ガス発生装置24にて過酸化水素ガスを発生させると共に、ガス供給弁26を開けて、過酸化水素ガス発生装置24からの過酸化水素ガスを滅菌槽2内へ供給する。滅菌槽2内へ所望量の過酸化水素ガスを供給すれば、過酸化水素ガス発生装置24を停止すると共に、ガス供給弁26を閉じる。滅菌槽2内を滅菌圧力で滅菌時間だけ保持した後、滅菌工程を終了する。なお、滅菌工程では、場合により、滅菌槽2内の減圧と、滅菌槽2内への滅菌ガス供給による復圧とを含む工程を繰り返してもよい。
【0032】
その後の後処理工程(エアレーション)では、減圧手段3による減圧と復圧手段4による復圧とを繰り返す。具体的には、排気弁11および封水給水弁13を開けた状態で水封式真空ポンプ6を作動させて、滅菌槽2内を所定圧力まで減圧した後、排気弁11および封水給水弁13を閉じて水封式真空ポンプ6を停止させる代わりに、給気弁22を開けて滅菌槽2内を規定圧力まで復圧する。そして、このような減圧と復圧とを所定まで繰り返す。これにより、滅菌槽2内からの過酸化水素ガスは、外部へ排出される。
【0033】
この間、減圧手段3の作動中(水封式真空ポンプ6から排水がある間)、検査弁18を開けて、過酸化水素センサ19において、排水中に含まれる過酸化水素濃度を監視する。水封式真空ポンプ6からの排水中のガス成分は、滅菌槽2内の気体組成と比例関係にあるので、排水中の過酸化水素濃度から滅菌槽2内の過酸化水素濃度を推定することができる。
【0034】
過酸化水素センサ19による検出濃度が設定値を下回るまで、エアレーションを継続するか、滅菌槽2の扉の開放を規制するのが好ましい。所定まで過酸化水素濃度が低下すれば、エアレーションを停止し、復圧手段4により滅菌槽2内を大気圧まで復圧して、滅菌槽2内から被滅菌物を取り出すことができる。本実施例の過酸化水素ガス滅菌器1によれば、滅菌槽2内に過酸化水素の所定以上の残留があるか否かを容易に監視できるので、安全性を高めることができる。
【0035】
ところで、過酸化水素センサ19には、残留塩素に反応するタイプのものがあるので、その場合、水封式真空ポンプ6への封水給水路12には、残留塩素除去手段14(たとえば活性炭フィルタ15)を設置するのが好ましい。但し、残留塩素に反応するタイプであっても、残留塩素除去手段14を設けずに、その代わりに、封水に含まれる残留塩素濃度を考慮して前記設定値を定めて制御してもよい。
【0036】
その他、過酸化水素センサ19を残留塩素濃度検出用の塩素センサ27で代用してもよい。つまり、過酸化水素センサ19に代えて、塩素センサ27を設置してもよい。塩素センサ27は過酸化水素に感度があるので、過酸化水素センサ19を用いた場合と同様、検出濃度に基づき過酸化水素濃度を推定することができる。なお、塩素センサ27は、広く市販されており安価に入手できる。塩素センサ27として、たとえば、三浦工業株式会社製の全自動水質監視装置「カラーメトリ」(登録商標)を用いることもできる(残留塩素用カートリッジを装着)。
【0037】
塩素センサ27を用いる場合、水封式真空ポンプ6への封水給水路12には、残留塩素除去手段14(たとえば活性炭フィルタ15)を設置するのが好ましい。但し、残留塩素除去手段14を設けずに、その代わりに、封水に含まれる残留塩素濃度を考慮して前記設定値を定めて制御してもよい。
【0038】
本発明の過酸化水素ガス滅菌器1は、上記実施例の構成(制御を含む)に限らず適宜変更可能である。特に、被滅菌物が収容された滅菌槽2内へ過酸化水素ガスを供給して、被滅菌物を滅菌する過酸化水素ガス滅菌器1であって、滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出する水封式真空ポンプ6を備え、この水封式真空ポンプ6からの排水中に含まれる過酸化水素濃度を検出して、滅菌槽2内の過酸化水素ガス濃度を推定するのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0039】
また、前記実施例では、水封式真空ポンプ6からの排水路16に分岐路17を設け、その分岐路17に過酸化水素センサ19(または塩素センサ27)を設けたが、場合により、分岐路17を省略して、排水路16自体に前記センサ19(27)を設けてもよい。
【0040】
さらに、前記実施例では、水封式真空ポンプ6からの排水路16に過酸化水素センサ19(または塩素センサ27)を設けたが、排気路に塩素ガスセンサを設けてもよい。この場合も、塩素ガスセンサは過酸化水素に感度があり、塩素ガスセンサを過酸化水素ガスセンサとして用いることができる。そして、その検出濃度により、滅菌槽内の過酸化水素濃度を監視することができ、前記実施例と同様に制御に利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 過酸化水素ガス滅菌器
2 滅菌槽
3 減圧手段
4 復圧手段
5 ガス供給手段
6 水封式真空ポンプ
7 濃度検出手段
10 排気路
12 封水給水路
14 残留塩素除去手段
16 排水路
17 分岐路
19 過酸化水素センサ
20 給気路
24 過酸化水素ガス発生装置
25 ガス供給路
27 塩素センサ
図1