【実施例】
【0055】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で用いたフィルター及び評価方法を以下に示す。
【0056】
〔フィルター〕
(空隙率ε及び目付量BW)
空隙率ε及び目付量BWは、化学工学論文集第30巻第1号(2004)79頁に記載されている以下の式を用いて求めた。
空隙率[%]:ε
目付量[kg/m
2]:BW
フィルター濾過層厚み[m]:L
フィルターを構成しているステンレス繊維の密度:ρ[kg/m
3]
フィルター濾過層質量:W[kg]
フィルター濾過面積:A[m
2]
BW=W/A
ε={1−BW/(ρL)}×100
<濾過面積>
リーフディスク型:濾過面積は、フィルターの濾過層のリーフディスクに対する投影面積で求めた。
キャンドル型:フィルター濾過層を平面に広げた際の投影面積で求めた。
(絶対濾過精度)
均一粒子径を有するラテックスビーズを分散させた液を数種類用いて定圧濾過試験を行い、フィルター濾材通過前後の粒子数(NAとNB)を測定して次式により濾過効率を算出し、算出した濾過効率とラテックスビーズの粒子径から、濾過効率曲線(粒子径に対する濾過効率のグラフ)を作成し、濾過効率100%の粒子径を絶対濾過精度とした。
フィルター濾材通過前粒子数:NA
フィルター濾材通過後粒子数:NB
濾過効率(%)={(NA−NB)/NA}×100
【0057】
〔測定方法〕
(重量平均分子量(Mw))
試料の重量平均分子量(以下、Mwと略す。)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から、下式による換算分子量校正曲線を用いて求めた。
Mw
PC=0.3591Mw
PS1.0388
(Mw
PCはポリカーボネートのMw、Mw
PSはポリスチレンのMwを示す。)
【0058】
(色調)
色調は、後述する実施例及び比較例において製造した芳香族ポリカーボネートの円盤を成形し、測定した。
まず、射出成型機を用い、予め窒素雰囲気下、120℃で4時間以上乾燥させた芳香族ポリカーボネートを、シリンダー温度290℃、金型温度90℃で、直径55mm×厚さ3.2mmの円盤状試験片に連続成形した。
得られた試験片の色調は色彩計を用いて測定した。
色彩計は、JIS Z8722に準拠した分光測光器を装備し、色調は、JIS Z8729に準拠したCIELAB法(Commission Internationale de l‘Eclairage 1976 L
*a
*b
* Diagram)表色系である、黄色度の指標であるb
*値で示した。
具体的には、測定の基準とするb
*値1.97の白板上に、前記厚さ3.2mmの円盤状試験片を置き、反射法にて円盤状試験片のb
*値を測定した。
同一の芳香族ポリカーボネートを用いて、フィルターによる濾過処理を行わずに連続成形した円盤状試験片のb
*値を、フィルター濾過処理前のb
*値とした。
【0059】
(フィッシュアイ)
フィッシュアイは、後述する実施例及び比較例において製造した芳香族ポリカーボネートのシートを成形し、計数した。
シート成形用Tダイを設置した単軸押出機を用い、予め窒素下120℃で4時間以上乾燥させた芳香族ポリカーボネートを、シリンダー温度280℃又は290℃で、幅17cm×厚み0.5〜0.7mmのシートに連続成形した。
得られたシートのうち、幅10cm×長さ10cmの領域で、長径200μm以上のフィッシュアイを目視で観察し、計数した。
フィッシュアイの外周は、その周辺と屈折率が異なるため、目視で歪んで見える部分とした。
同一シートに対して、場所の異なる5ヶ所の測定領域でフィッシュアイを計数し、その平均値をシートの代表値とし、1g当たりの個数に換算した。
同一の芳香族ポリカーボネートを用いて、フィルターによる濾過処理を行わずに連続成形したシートのフィッシュアイを、フィルター濾過処理前のフィッシュアイとした。
【0060】
(「実施例1〜9」、「比較例1〜6」、「参考例1、2」における芳香族ポリカーボネートの製造)
実施例1〜9、比較例1〜6、及び参考例1、2において、芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを、ジアリールカーボネートとしてジフェニルカーボネートを用い、これらを溶融状態で重合して製造した。
得られた芳香族ポリカーボネートは、重合反応工程から押出濾過工程へ送液し、押出成形工程へ送液した。
押出濾過工程における混練装置として二軸押出機を用い、フィルター濾過処理の操作圧力源として、二軸押出機の先端にギアポンプを設置し、ギアポンプの先にフィルター装置を設置し、溶融状態の芳香族ポリカーボネートをフィルターにより濾過処理した。
【0061】
(「実施例1〜9」、「比較例1〜6」、「参考例1、2」におけるフィルター濾過処理)
<実施例1>
空隙率が60%、絶対濾過精度が25μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度286℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置前後の圧力損失(以下、差圧と記載する。)は10.6MPa、フィルター装置出口の溶融状態の芳香族ポリカーボネート(以下、溶融ポリマーと記載する。)温度は315℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは56個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0062】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続したが、その間及び10日経過後(以下、10日後と記載する。)、フィルター装置の差圧は10.6MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは3個/g、500μm以上のフィッシュアイは1個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は94%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認された。
【0063】
<実施例2>
空隙率が63%、絶対濾過精度が16μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度290℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は150kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は11.5MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は319℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは54個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0064】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は11.5MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは4個/g、500μm以上のフィッシュアイは2個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は90%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認された。
【0065】
<実施例3>
空隙率が63%、絶対濾過精度が38μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度287℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は9.3MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は312℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは58個/g、500μm以上のフィッシュアイは9個/gで、それぞれ安定していた。
【0066】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は9.3MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは4個/g、500μm以上のフィッシュアイは2個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は91%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認された。
【0067】
<実施例4>
空隙率が64%、絶対濾過精度が28μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度320℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は5.2MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は322℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは55個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0068】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続したところ、途中で差圧が5.3MPaに上昇したが、以後10日後まで5.3MPaで安定した。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは1個/g、500μm以上のフィッシュアイは0個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は98%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認された。
【0069】
<実施例5>
実施例4と同じリーフディスク型フィルターを装着したフィルター装置を用いた。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量27000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度304℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は3.4MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は306℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは26個/g、500μm以上のフィッシュアイは2個/gで、それぞれ安定していた。
【0070】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。1000T後のフィルター装置の差圧は3.4MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは1個/g、500μm以上のフィッシュアイは0個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は96%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認された。
【0071】
<実施例6>
実施例4、5と同じリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度319℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は60kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は1.6MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は323℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは54個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0072】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は1.6MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、途中で2.3と上昇し、以後10日後まで2.3で安定していた。フィルター濾過処理によりb
*値が上昇し、色調が悪化した。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは11個/g、500μm以上のフィッシュアイは3個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は77%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認されたが、その効果は実施例1〜5に比べると若干低かった。
【0073】
<実施例7>
実施例6と同じリーフィディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度292℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は350kg/h/m
2、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は326℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは56個/g、500μm以上のフィッシュアイは9個/gであった。
【0074】
フィルター濾過処置開始直後のフィルター装置の差圧は15.0MPaを示していた。引き続き10日間のフィルター濾過処理の継続を試みた。開始から間もなくフィルター装置の差圧が14.7MPaに低下したが、以後10日後まで14.7MPaで安定した。10日後にフィルター装置を開放点検してみたところ、装着されたフィルターの一部が変形していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、2.0とやや上昇した。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは14個/g、500μm以上のフィッシュアイは5個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は71%であった。フィルターに若干の変形を生じたが、フィッシュアイの削減率は実用上良好であった。
【0075】
<実施例8>
実施例6と同じリーフィディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量27000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度256℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は150kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は13.8MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は262℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは54個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0076】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は13.8MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは12個/g、500μm以上のフィッシュアイは3個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は76%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認されたが、その効果は実施例1〜5に比べると若干低かった。
【0077】
<実施例9>
実施例6と同じリーフィディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度343℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は8.3MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は348℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は2.1、200〜500μmのフィッシュアイは56個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0078】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続したところ、途中で差圧が8.4MPaに上昇したが、以後10日後まで8.4MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、途中で2.5と上昇し、以後10日後まで2.5で安定していた。フィルター濾過処理によりb
*値が上昇し、色調が悪化した。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは11個/g、500μm以上のフィッシュアイは3個/g、200μm以上のフィッシュアイ削減率は78%で、濾過処理期間を通じて安定しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が確認されたが、その効果は実施例1〜5に比べると若干低かった。
【0079】
<比較例1>
空隙率が72%、絶対濾過精度が9μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、押出成形工程で成形した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネート固形ペレットを、溶融機能が付与された二軸押出機を有する、実験室規模の生産量である押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルター装置へ供給される溶融ポリマー温度は317℃、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は12.7MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は323℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは54個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0080】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続したところ、途中で差圧が12.8MPaに上昇したが、以後10日後まで12.8MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは著しく増加しており、100個/gで計数を止めたが、それ以上の個数が目視確認された。500μm以上のフィッシュアイは、5個/gであった。
フィッシュアイは、濾過処理期間を通じて発生しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が全く見られず、200〜500μmのフィッシュアイは増加した。
【0081】
<比較例2>
空隙率が44%、絶対濾過精度が53μmである、SUS316L焼結粒子のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、押出成形工程で成形した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネート固形ペレットを、溶融機能が付与された二軸押出機を有する、実験室規模の生産量である押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルター装置へ供給される溶融ポリマー温度は286℃、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は100kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は12.5MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は329℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは56個/g、500μm以上のフィッシュアイは9個/gで、それぞれ安定していた。
【0082】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は12.5MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは著しく増加しており、100個/gで計数を止めたが、それ以上の個数が目視確認された。500μm以上のフィッシュアイは、4個/gであった。
フィッシュアイは、濾過処理期間を通じて発生しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が全く見られず、200〜500μmのフィッシュアイは増加した。
【0083】
<比較例3>
空隙率が70%、絶対濾過精度が30μmである、SUS316L焼結繊維のキャンドル型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、押出成形工程で成形した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネート固形ペレットを、溶融機能が付与された二軸押出機を有する、実験室規模の生産量である押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルター装置へ供給される溶融ポリマー温度は285℃、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は8.2MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は290℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは54個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0084】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は8.2MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは著しく増加しており、100個/gで計数を止めたが、それ以上の個数が目視確認された。500μm以上のフィッシュアイは、4個/gであった。
フィッシュアイは、濾過処理期間を通じて発生しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が全く見られず、200〜500μmのフィッシュアイは増加した。
【0085】
<比較例4>
空隙率が72%、絶対濾過精度が9μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重合平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度319℃の溶融状態のまま押出濾過行程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は12.6MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は325℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは54個/g、500μm以上のフィッシュアイは9個/gで、それぞれ安定していた。
【0086】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続したところ、途中で差圧が12.7MPaに上昇したが、以後10日後まで12.7MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは著しく増加しており、100個/gで計数を止めたが、それ以上の個数が目視確認された。500μm以上のフィッシュアイは、4個/gであった。
フィッシュアイは、濾過処理期間を通じて発生しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が全く見られず、200〜500μmのフィッシュアイは増加した。
【0087】
<比較例5>
空隙率が44%、絶対濾過精度が53μmである、SUS316L焼結粒子のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度290℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は100kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は12.2MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は333℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは56個/g、500μm以上のフィッシュアイは9個/gで、それぞれ安定していた。
【0088】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は12.2MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは著しく増加しており、100個/gで計数を止めたが、それ以上の個数が目視確認された。500μm以上のフィッシュアイは、4個/gであった。
フィッシュアイは、濾過処理期間を通じて発生しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が全く見られず、200〜500μmのフィッシュアイは増加した。
【0089】
<比較例6>
空隙率が70%、絶対濾過精度が30μmである、SUS316L焼結繊維のキャンドル型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量32000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度288℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は8.0MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は293℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは54個/g、500μm以上のフィッシュアイは8個/gで、それぞれ安定していた。
【0090】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は8.0MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは著しく増加しており、100個/gで計数を止めたが、それ以上の個数が目視確認された。500μm以上のフィッシュアイは、4個/gであった。
フィッシュアイは、濾過処理期間を通じて発生しており、フィルター濾過処理によるフィッシュアイ削減効果が全く見られず、200〜500μmのフィッシュアイは増加した。
【0091】
<参考例1>
空隙率が60%、絶対濾過精度が25μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量18000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度272℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
すなわち、この参考例1においては、上述した実施例よりも、低い重量平均分子量の芳香族ポリカーボネートを用いた。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は2.0MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は274℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは3個/g、500μm以上のフィッシュアイは0個/gで、それぞれ安定していた。
【0092】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は2.0MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは3個/g、500μm以上のフィッシュアイは0個/gであり、フィルター濾過処理直前と変化が見られなかった。
上述したことから、重量平均分子量が18000g/mоl程度の、比較的分子量が低い芳香族ポリカーボネート中のゲルは、本発明のフィルターにより削除対象とするまでもなく、多くないことが確かめられた。
【0093】
<参考例2>
空隙率が72%、絶対濾過精度が9μmである、SUS316L焼結繊維のリーフディスク型フィルターをフィルター装置に装着した。
これに、重合反応工程で重合した重量平均分子量18000g/molの芳香族ポリカーボネートを、温度272℃の溶融状態のまま押出濾過工程へ供給した。
すなわち、この参考例2においては、上述した実施例よりも、低い重量平均分子量の芳香族ポリカーボネートを用いた。
このとき、フィルターの単位濾過面積当たりの処理量は190kg/h/m
2、フィルター装置の差圧は5.5MPa、フィルター装置出口の溶融ポリマー温度は273℃であった。
フィルター濾過処理する直前の芳香族ポリカーボネートのb
*値は1.9、200〜500μmのフィッシュアイは3個/g、500μm以上のフィッシュアイは0個/gで、それぞれ安定していた。
【0094】
引き続き、10日間フィルター濾過処理を継続した。その間及び10日後のフィルター装置の差圧は5.5MPaで安定していた。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートのb
*値は、濾過処理期間を通じて1.9と安定しており、フィルター濾過処理による色調変化は見られなかった。
フィルター濾過処理した芳香族ポリカーボネートの200〜500μmのフィッシュアイは3個/g、500μm以上のフィッシュアイは0個/gであり、フィルター濾過処理直前と変化が見られなかった。
上述したことように、重量平均分子量が18000g/mоl程度の、比較的分子量が低い芳香族ポリカーボネート中のゲルは、本発明のフィルターにより削除対象とするまでもなく多くないので、この参考例2においては、参考例1と同様の結果となった。
【0095】
【表1】