【解決手段】第1固定電極142は、可動電極120の第1辺に対向している。第2固定電極144は、可動電極120の第2辺に対向している。第2辺は、可動電極120の第1辺とは反対側の辺である。第1検出用電極152は、可動電極120及び第1固定電極142から絶縁されており、可動電極120の第1辺に対向している。第2検出用電極154は、可動電極120及び第2固定電極144から絶縁されており、可動電極120の第2辺に対向している。そして駆動部200は、第1固定電極142に第1信号を入力するとともに、第2固定電極144に、前記第1信号とは位相が逆である第2信号を入力する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る回転型アクチュエータ100の構成を示す図である。回転型アクチュエータ100は、支持体110、可動電極120、固定部材130、第1固定電極142、第2固定電極144、第1検出用電極152、第2検出用電極154、及び駆動部200を備えている。第1固定電極142及び第2固定電極144によって回転型アクチュエータ100の固定電極140が構成されており、第1検出用電極152及び第2検出用電極154によって回転型アクチュエータ100の検出用電極150が構成されている。
【0013】
固定部材130は、可動電極120を支持体110に取り付けることにより、可動電極120の回転軸となる。第1固定電極142は、可動電極120の第1辺に対向している。第2固定電極144は、可動電極120の第2辺に対向している。第2辺は、可動電極120の第1辺とは反対側の辺である。第1検出用電極152は、可動電極120及び第1固定電極142から絶縁されており、可動電極120の第1辺に対向している。第2検出用電極154は、可動電極120及び第2固定電極144から絶縁されており、可動電極120の第2辺に対向している。そして駆動部200は、第1固定電極142に第1信号を入力するとともに、第2固定電極144に、前記第1信号とは位相が逆である第2信号を入力する。第2信号は、例えば第1信号を位相反転した信号である。この場合、第2信号の振幅と第1信号の振幅はほぼ等しくなる。
【0014】
本実施形態によれば、第2固定電極144に入力される第2信号の位相は、第1固定電極142に入力される位相の逆になっている。このため、第1検出用電極152の電位及び第2検出用電極154の電位の和(又は平均)の変動に基づいて、可動電極120の位置を検出すると、第1固定電極142及び第2固定電極144に印加される信号が可動電極120の位置検出のノイズになることを抑制できる。以下、詳細に説明する。
【0015】
本図に示す例において、可動電極120の平面形状は矩形である。そして可動電極120の第1辺の中央部には第1固定電極142が配置されている。そして第1辺の両端部には、それぞれ第1検出用電極152が配置されている。また、可動電極120のうち第1辺に対向する辺(第2辺)の中央部には第2固定電極144が配置されている。そして第2辺の両端部には、それぞれ第2検出用電極154が配置されている。第1固定電極142及び第2固定電極144は、固定部材130を延長した線を基準に、互いに線対称となる位置に配置されている。また、第1検出用電極152及び第2検出用電極154も、固定部材130を延長した線を基準に、互いに線対称となる位置に配置されている。
【0016】
また、可動電極120の第1辺及び第2辺はいずれも櫛歯状になっている。そして第1固定電極142及び第1検出用電極152のうち可動電極120に対向する辺も櫛歯状になっており、可動電極120の第1辺とかみ合っている。また、第2固定電極144及び第1検出用電極152のうち可動電極120に対向する辺も櫛歯状にあっており、可動電極120の第2辺とかみ合っている。このため、第1固定電極142及び第2固定電極144と可動電極120は、互いに対向する部分の面積が大きくなり、その結果、可動電極120の駆動力は大きくなる。また、第1検出用電極152及び第2検出用電極154と可動電極120は、互いに対向する部分の面積が大きくなり、その結果、第1検出用電極152及び第2検出用電極154による検出値は大きくなる。
【0017】
支持体110は、可動電極120の4辺のうち第1辺及び第2辺以外の2つの辺それぞれに対向している。固定部材130は、可動電極120のうち支持体110と対向している2辺それぞれに対して設けられている。詳細には、固定部材130は、可動電極120のうち支持体110と対向している辺の中心に接続している。そして2つの固定部材130を結ぶ線が、可動電極120の回転軸となっている。本実施形態では、支持体110、可動電極120、及び固定部材130は一体的に形成されている。
【0018】
回転型アクチュエータ100の可動電極120は、例えば上面が鏡面になっている。この鏡面は、例えば可動電極120の上面に金属膜(例えばAl膜)を形成することにより、形成されている。そして可動電極120の角度を変えることにより、可動電極120に入射してきた光の反射角を変える。回転型アクチュエータ100は、例えば光スキャナーやモーションセンサなどに用いられる。
【0019】
駆動部200は、可動電極120の動きを制御する。具体的には、可動電極120を回転させるとき、駆動部200は、可動電極120と第1固定電極142の間に、交流電圧である第1信号を印加し、かつ、可動電極120と第2固定電極144の間に、交流電圧である第2信号を印加する。第2信号は、例えば第1信号を反転させた信号である。ただし、第1信号の振幅と第2信号の振幅は異なっていても良い。なお、可動電極120には、直流電圧源400によって予め決められた直流電圧が印加されている。この直流電圧の大きさは、第1信号の振幅の2倍及び第2信号の振幅の2倍のいずれよりも大きくなっている。
【0020】
また、回転型アクチュエータ100はさらに検出部300を備えている。検出部300は、第1検出用電極152の電位と第2検出用電極154の電位の和又は平均の変動に基づいて、可動電極120の位置を判断する。検出部300の検出結果は駆動部200に出力される。駆動部200は、検出部300からの出力を用いて、第1信号及び第2信号を生成する。
【0021】
図2は、回転型アクチュエータ100の等価回路図である。本図において、第1検出用電極152及び第2検出用電極154を合わせたものを、検出用電極150として記載している。
【0022】
検出部300は、増幅器、抵抗、及び容量素子を並列に接続したものである。そして検出部300の入力端子には、検出用電極150が接続している。検出用電極150は、可動電極120とともに可変容量素子を構成している。この可変容量素子は、直流電圧源400に接続している。
【0023】
また、この可変容量素子は、可動電極120と第1固定電極142からなる容量素子を介して第2信号生成部220に接続しており、かつ、可動電極120と第2固定電極144からなる容量素子を介して第1信号生成部210に接続している。この接続に起因して、検出部300の入力端子には第1信号に起因したノイズと第2信号に起因したノイズが入り込む。
【0024】
しかし、本実施形態では、第2固定電極144に入力される第2信号は、第1固定電極142に入力される第1位信号と位相が逆になっている。このため、可変容量素子においては第1信号に起因したノイズと第2信号に起因したノイズが互いに打ち消しあい、その結果、検出部300に入力端子に入り込むノイズは非常に小さくなる。
【0025】
また、第1検出用電極152は第1固定電極142に対向しており、第2固定電極144は第2検出用電極154に対向している。このため、検出部300は、第2検出用電極154及び第2固定電極144からなる容量素子、並びに第1検出用電極152及び第1固定電極142からなる容量素子にも接続している。この接続によっても、検出部300の入力端子には第1信号に起因したノイズと第2信号に起因したノイズが入り込む。しかし、このノイズも、上記した理由により、非常に小さくなる。
【0026】
図3は、比較例に係る回転型アクチュエータ100の検出部300が検出した電圧の波形を説明するための図である。詳細には、
図3(a)は可動電極120の位置(変位角)を示すチャートであり、
図3(b)は固定電極140に入力する信号を示すチャートである。そして
図3(c)は、検出用電極150に電圧の波形を示すチャートである。この比較例では、
図3(b)に示すように、固定電極140を構成する第1固定電極142及び第2固定電極144には、互いに同一の信号が入力されている。そして
図3(a)に示すように、可動電極120の変位角は正弦波に沿って変化している。しかし、
図3(c)に示すように、検出部300の電圧の波形は正弦波を崩した形になっている。詳細には、この形は、正弦波を、固定電極140に入力されている信号の電圧が変化するタイミングで崩した形になっている。このことから、検出部300の検出電圧には、固定電極140に入力されている信号がノイズとして載っていることが分かる。
【0027】
図4は、本実施例に係る回転型アクチュエータ100の検出部300が検出した電圧の波形を示す図である。
図4(a)は可動電極120の位置(変位角)を示すチャートであり、
図4(b)は固定電極140に入力する信号を示すチャートである。そして
図4(c)は、検出用電極150に電圧の波形を示すチャートである。
図4(b)に示すように、本実施形態では、第1固定電極142に入力される第1信号と第2固定電極144に入力される第2信号の位相は逆になっている。このため、
図4(c)に示すように、検出部300が検出した電圧の波形は、正弦波に近い形になる。
【0028】
以上、本実施形態によれば、第2固定電極144に入力される第2信号は、第1固定電極142に入力される第1位信号と位相が逆になっているため、検出部300に入力端子に入り込むノイズは非常に小さくなる。従って、可動電極120の位置を高い精度で検出することができる。また、第2信号の位相を第1信号とは逆にすればよいため、大きな回路も必要としないですむ。
【0029】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る回転型アクチュエータ100が有する駆動部200の構成を示す回路図である。本実施形態に係る回転型アクチュエータ100は、駆動部200の構成を除いて、第1の実施形態に係る回転型アクチュエータ100と同様の構成である。
【0030】
本実施形態において、第2信号は、第1信号を位相反転した上で、さらに振幅を調整したものである。以下、詳細に説明する。
【0031】
駆動部200は、基準パルス生成部202を有している。基準パルス生成部202が生成した基準パルスは、第1信号生成部210及び第2信号生成部220に入力される。
【0032】
第1信号生成部210は、増幅部215を有している。増幅部215は第1信号を出力する。増幅部215の入力端子と基準パルス生成部202の間には、容量素子211及び第1抵抗212がこの順に直列に接続されている。また増幅部215の入力端子は、第2抵抗213及び第3抵抗214を介して接地されている。第3抵抗214の抵抗値は、第1抵抗212の抵抗値及び第2抵抗213の抵抗値よりも大きい(例えば10倍以上100倍以下)。そして第2抵抗213の抵抗値及び第3抵抗214の抵抗値は、例えば互いに等しい。
【0033】
同様に、第2信号生成部220は増幅部225を有している。増幅部225は第2信号を出力する。そして増幅部225の入力端子と基準パルス生成部202の間には、インバータ226、容量素子221、及び第4抵抗222がこの順に直列に接続されている。また増幅部225の入力端子は、第5抵抗223及び第6抵抗224を介して接地されている。第6抵抗224の抵抗値は、第4抵抗222の抵抗値及び第5抵抗223の抵抗値よりも大きく(例えば10倍以上100倍以下)、また、第3抵抗214の抵抗値と同じである。
【0034】
上述した回路において、基準パルス生成部202から第1固定電極142に至るまでの信号の経路のインピーダンスは、基準パルス生成部202から第2固定電極144に至るまでの信号の経路のインピーダンスと多少異なっている。また、第1検出用電極152から検出部300に至るまでの信号の経路のインピーダンスも、第2検出用電極154から検出部300に至るまでの信号の経路のインピーダンスとは多少異なっている。このため、単純に第1信号を移送反転したものを第2信号として使用しても、検出部300の検出値にはノイズが残る可能性がある。
【0035】
そこで本実施形態では、第4抵抗222の抵抗値及び第5抵抗223の抵抗値、並びに第1抵抗212及び第4抵抗222の抵抗値の少なくとも一方の組を調節することにより、上記したインピーダンスの差を小さくしている。言い換えると、容量素子211、第1抵抗212、第2抵抗213、及び第3抵抗214から算出されるインピーダンスは、容量素子221、第4抵抗222、第5抵抗223、及び第6抵抗224から算出されるインピーダンスとは異なっている。例えば、第4抵抗222の抵抗値と第5抵抗223の抵抗値の和が、第1抵抗212の抵抗値と第2抵抗213の抵抗値の和に等しい範囲内で、第4抵抗222の抵抗値と第5抵抗223の抵抗値を調節する。その結果、検出部300の検出値にノイズが残る可能性を低くすることができる。従って、さらに高い精度で可動電極120の位置を検出することができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係る回転型アクチュエータ100の構成を示す図である。本実施形態に係る回転型アクチュエータ100は、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る回転型アクチュエータ100又は第2の実施形態に係る回転型アクチュエータ100と同様である。
【0037】
本実施形態において、可動電極120の第1辺の中央部には第1検出用電極152が配置されている。そして第1辺の両端部には、それぞれ第1固定電極142が配置されている。また、可動電極120の第2辺の中央部には第2検出用電極154が配置されている。そして第2辺の両端部には、それぞれ第2固定電極144が配置されている。
【0038】
本実施形態によっても、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に係る回転型アクチュエータ100の構成を示す図である。本実施形態に係る回転型アクチュエータ100は、第1固定電極142及び第2固定電極144のそれぞれが複数に分割されている点を除いて、第1の実施形態に係る回転型アクチュエータ100又は第2の実施形態に係る回転型アクチュエータ100と同様である。
【0040】
本実施形態によっても、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば固定電極140及び検出用電極150の配置は、上記した実施形態に限定されるものではない。